特開2017-200451(P2017-200451A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-200451(P2017-200451A)
(43)【公開日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20171013BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20171013BHJP
【FI】
   A23L2/00 B
   A23L2/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-93031(P2016-93031)
(22)【出願日】2016年5月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】鉄井 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】奥村 早紀
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC03
4B117LC04
4B117LG11
4B117LK08
4B117LK11
4B117LL02
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、飲料におけるエクオールの呈味を改善し、嗜好性の高い飲料を提供することである。
【解決手段】
糖質、酸味料、高甘味度甘味料から選択される1種又は2種以上と、エクオールを含有する飲料。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖質、酸味料、高甘味度甘味料から選択される1種又は2種以上と、エクオールを含有する飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖質、酸味料、高甘味度甘味料から選択される1種又は2種以上と、エクオールを含有する飲料に関する。なお本発明の飲料は、特定保健用食品、保健機能食品、機能性表示食品、食品、医薬品および医薬部外品の分野の飲料を含み得る。
【背景技術】
【0002】
エクオールはダイズなどに含まれるイソフラボンの1種ダイゼインの代謝産物であり、高いエストロゲン用活性を発揮することが知られている(非特許文献1、2参照)。
近年微生物によるエクオールの製造方法が確立されたことにより、その食品分野への応用が期待されている(非特許文献3参照)
また乳酸菌発酵によりえられたエクオールを含有する固形状サプリメントが上市されている。(非特許文献4参照)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Schmitt, E. et al., Toxicol. In Vitro, 15, 433-439 (2001)
【非特許文献2】Sathyamoorthy, N. and Wang, T. T., Eur. J. Cancer, 33, 2384-2389 (1997)
【非特許文献3】二階堂輝之,フレグランスジャーナル,vol.141No.4,60-63(2013)
【非特許文献4】http://www.otsuka.co.jp/eql/(2016/2/24閲覧)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エクオールを飲料に配合した場合、清涼感に欠け、嗜好性の高い飲料を得ることは困難であった。そこで、本願発明はエクオールの呈味を改善し、嗜好性の高い飲料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、かかる課題について鋭意検討した結果、糖質、酸味料、高甘味度甘味料から選択される1種又は2種以上と、エクオールを併用することにより、エクオールの低実を改善することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
(請求項1)
糖質、酸味料、高甘味度甘味料から選択される1種又は2種以上と、エクオールを含有する飲料。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、エクオールを含有する飲料の呈味を改善し、嗜好性の高い飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0009】
エクオールは、イソフラボンの1種であるダイゼインの代謝産物であり、高いエストロゲン用活性を有することが知られている。本発明の飲料は、透明、白濁状、乳状を問わないが、特に透明飲料において有用である。なお本発明の飲料が透明な状態である場合は、エクオールを、予めデキストリンに分散させて用いることが好ましい。
【0010】
エクオールの配合量としては、特に限定されないが、飲料100mLあたり0.001〜0.1質量g配合することが好ましい。0.001質量g未満の摂取では、エクオールによる効果が期待できない場合がある。0.1質量gを超えて摂取すると、過剰摂取となる場合がある。
【0011】
本発明で用いる糖質とは、エクオールの呈味を改善する目的で配合するものであり、甘味を有するものをいう。かかる糖質としては、食品、医薬部外品、医薬品に配合し得るものであれば特に限定されない。具体的には、果糖、ブドウ糖、ガラクトース、異性化糖などの単糖類、ショ糖、乳糖、マルトース、パラチノース等の二糖類、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖などのオリゴ糖、還元麦芽糖水飴、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、イソマルチトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、パニトール、オリゴ糖アルコールなどの糖アルコールが例示される。これらの糖質は1種を単独で、若しくは2種以上を併用して用いることができる。さらに、糖質を含有する蜂蜜、メープルシロップ等の天然甘味料を用いることもできる。
【0012】
本発明で用いる酸味料は、食品、医薬部外品、医薬品に配合し得るものであれば特に限定されない。例えば、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、グルコン酸、フマル酸、酢酸、フィチン酸、及びこれらの塩からなる群から選択される。これらは、それぞれ酸味度、呈味性が異なるため、飲料のタイプに応じて選択することができる。また、目的に応じ、2種以上の酸味料を組み合わせて使用することも可能である。本発明の飲料に酸味料が含有される場合、当該酸味料の、本発明の飲料に対する配合量は、当該飲料の呈する風味や目的に応じて決定することができる。その量は、典型的には、当該飲料中の1.0〜4.0g/Lである。
【0013】
本発明で使用する高甘味度甘味料としては、食品、医薬部外品、医薬品に配合し得るものであれば特に限定されない。例えば、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、アリテーム、ラグドゥネーム、アドバンテーム、ステビア末、ステビア抽出物、α−グルコシルトランスフェラーゼ処理ステビア、レバウディオサイド、ソーマチン、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、ネオテーム、アリテーム等が例示される。高甘味度甘味料は1種を単独で若しくは2種以上を併用して用いることができる。本発明においては、エクオールの呈味改善効果の点から、スクラロース、ステビア、アスパルテームから選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0014】
高甘味度甘味料が本発明の飲料に含まれる場合、その濃度は、飲料に求められる甘さの質や甘味度等により適宜決定すればよい。例えば、高甘味度甘味料がアセスルファムKである場合には、その配合量は、本発明の飲料中で、0.0005〜0.090w/v%であることが好ましく、0.005〜0.07w/v%であることがより好ましく、0.01〜0.05w/v%であることが更により好ましい。高甘味度甘味料がスクラロースである場合には、その配合量は、本発明の飲料中で、0.0001〜0.04w/v%であることが好ましく、0.001〜0.03w/v%であることがより好ましく、0.005〜0.02w/v%であることが更により好ましい。これらの濃度は、HPLC法などの公知の方法により測定することができる。他の高甘味度甘味料も、上記のいずれかの濃度範囲で飲料中に配合することができる。
【0015】
本発明の飲料はpHを5未満、好ましくは4.5未満、更に好ましくは4.0未満に調整することが好ましい。pHが5以上の場合、微生物汚染の危険性が高まる場合がある。
【0016】
本発明の飲料には、ビタミン類を配合することができる。かかるビタミン類としては、飲料に配合し得るビタミンであれば特に限定されない。例えばアスコルビン酸若しくはその誘導体並びにそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上のビタミンC類、チアミン若しくはその誘導体並びにそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上のビタミンB1類、リボフラビン若しくはその誘導体並びにそれらの塩類から選ばれる1種又は2種以上のビタミンB2類、ナイアシン、パントテン酸、ピリドキシン若しくはその誘導体並びにそれらの塩から選ばれる1種または2種以上のビタミンB6類などが例示される。
【0017】
本発明の飲料には、アミノ酸、ペプチド、タンパク質を配合することができる。かかるアミノ酸、ペプチド、タンパク質としては保健機能食品、食品、医薬品および医薬部外品の分野に利用しうるものであれば特に限定されない。例えばアミノ酸としては、バリン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、リジン、スレオニン、アスパラギン、フェニルアラニン、セリン、メチオニン、グリシン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、シスチン、テアニンなどが例示される。ペプチド、タンパク質としては、例えばコラーゲン及びその加水分解物、エラスチン及びその加水分解物、大豆タンパク質及びその加水分解物などが例示される。
【0018】
本発明の飲料には、上記の他、ヒアルロン酸、コンドロイチン、グルコサミン、ローヤルゼリー、コエンザイムQ10、プラセンタ、カテキン、ポリフェノール、セラミド、アスタキサンチン、プロポリス、カルニチン、西洋カラマツ抽出物、DHA、食物繊維類、ミネラル類から選ばれる1種又は2種以上を併用して用いることができる。
【0019】
本発明の飲料には、通常保健機能食品、食品、医薬品および医薬部外品の分野の飲料に用いることが可能な成分、例えば、有機酸類、無機酸類、生薬、着色料、香料、保存剤、増粘剤、多糖類、などの他、キトサン化合物、栄養強化成分、滋養強壮成分などを適時選択して配合することができ、飲料製造の常法により製造することができる。
【0020】
本発明の飲料は通常の液状又はゼリー状の飲料であり、炭酸タイプの液状、ゼリー状飲料であってもよい。
【実施例】
【0021】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。
【0022】
まず、糖類及び酸味料による、エクオール臭のマスキング効果を測定した。表1〜4に示す成分を含有する水溶液100mLを調製し、味認識装置TS−5000Z (株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製)を用いて、塩味の変化を測定し、エクオオールの呈味改善効果として評価した。測定値は、比較例1の値を0とした相対値で示した。かかる相対値は、1目盛りがウェーバー比20%に相当し、数字が人が確実に舌で違いを感じることができる最小単位となっており、絶対値が大きいほど指数関数的に味覚が強く、弱くなることを意味する。なお、エクオールとしては、エクオール純分5質量%のデキストリン分散物をエクオールとして使用した。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
表1〜4に示した通り、エクオールと糖質、酸味料を併用することにより、エクオールの呈味が改善された。
【0028】
表5に示した処方を用い、定法によりエクオールと高甘味度甘味料を併用した飲料を調製し、飲み易さ、飲み難さに関し、官能評価を行った。
【0029】
[官能評価方法]
本発明の実施例、比較例にかかる飲料について、各実施例と高甘味度甘味料を配合していない比較例1の2点評価で、「飲み易さ」、「飲み難さ」の2項目を比較評価した。飲み易さ、飲み難さについて比較例1の評価値を3とした時の5段階相対値にて結果を表5に示す。飲み易さは点数が高いほど飲み易いことを、飲み難さは点数が高いほど飲み難いことを示す。
【0030】
【表5】
【0031】
表5に示した通り、エクオール含有飲料に高甘味度甘味料を添加することにより、飲み易さが向上し、飲み難さが減少した。
【0032】
[実施例24]
(1)液糖 5000(mg)
(2)エリスリトール 1000
(3)エクオール 200
(4)クエン酸 pHを3.8とする量
(5)スクラロース 2
(6)水 全量を100mLとする量