【実施例】
【0098】
実施例1:試薬及びアッセイ
OSM結合抗体を選択し、特徴付けるために、ヒト及びカニクイザルOSMの構築物が哺乳動物の細胞発現のために生成された。ヒトOSM(NM_020530によってコードされたNP_065391)は、227のアミノ酸(配列番号11)の完全長の分泌タンパク質に加工される252のアミノ酸前駆体であり、これは、より完全な活性成熟形態のアミノ酸1〜184に更に加工されるプロタンパク質である。ヒトOSM cDNAは、OriGene(カタログ番号SC121421)から注文し、OriGeneクローンからヒトOSMのORFをPCRにより増幅し、タンパク質精製のためのヘキサHisタグ、及び部位指向タンパク質ビオチン化のためのAviTag(配列番号56)と共にシグナルペプチド(マウスIgG1)を導入した。後者は、受容体と相互作用するOSMの周辺に存在するリジン残基の無作為な化学ビオチン化を避けるために選択された。
【0099】
カニクイザルOSMは、cDNAを得るためにSuperscript III first strand synthesis system(InVitrogen)を使用して、カニクイザルPBMCのRNAからクローン化され、次に、米国特許出願第12/648430号に記載されるように、ヒトOSM配列から設計したUTRプライマーを使用してPCR増幅された。発現した完全長タンパク質を配列番号12に示し、切断された、活性形態は51〜227の184の残基により表される。
【0100】
ヒト及びカニクイザルOSMの前駆体及び成熟形態は、HEK 293で発現し、標準的な方法論を使用して精製された。タンパク質の機能的活動は、対照として大腸菌由来の市販のヒトOSM(R&D Systems、カタログ番号295−OM)を使用して、A375−S2細胞増殖及びpSTAT3シグナル伝達アッセイにおいて試験された。
【0101】
Mabs
対照抗体が使用された場合、CNTO6234と命名されるヒトIgG1アイソタイプ抗体が使用された。
【0102】
化学ビオチン化
サイトカイン上のアミン残基を標的とするNHS−エステルケミストリー(EZ−Link Sulfo−NHS−LC−Biotinylation Kit、Pierce,#21435)を使用して、組み換えヒトOSMをビオチン化した。ビオチンカップリング反応は、1モルの抗原当り1モルのビオチンの標的標識効率について最適化された。後者は、結合及び機能活性の損失を最小にし、一方で、タンパク質集団のほぼ完全な標識を確実にする。反応の完了時に、EZ−Link Sulfo−NHS−LC−Biotinylation Kit(Pierce)に含まれるZeba Desalt Spin Columnsを使用して、遊離ビオチン試薬及び残りの脱離基からタンパク質を精製した。約80%の出発原料を回収した。ビオチンの取り込みのレベルを測定するために、1モルのヒトOSM当り約1モルのビオチンを示す、HABAアッセイ(Pierce Biotin Quantitation Kit,#28005)を使用した。ビオチン化タンパク質におけるストレプトアビジンカップリング及びgp130−Fc(R&D Systems、カタログ番号671−GP)結合の両方を検証するために、Octet機器(ForteBIO)を使用した。Octet測定値は、ビオチン化ヒトOSMが未標識の出発原料と基本的に同一のプロファイルで、gp130に結合したことを示した。
【0103】
インビトロ標的ビオチン化
15残基AviTag(GLNDIFEAQKIEWHE)(配列番号56)は、内因性BirA基質BCCPと類似するビオチンアクセプター動態を有する(Beckett
et.al.1999,Protein Science)。関心のタンパク質に連結される際、1つのアクセプターリジン残基を有するAviTagは、1つの位置でのみビオチン化される。組み換えカニクイザルOSMは、Avidityから商業的に入手可能なビオチン−タンパク質リガーゼ及び試薬を使用して、インビトロで部位特異的にビオチン化された。一価のストレプトアビジン親和性樹脂を使用して、ビオチン化カニクイザルOSMを精製した。得られたタンパク質の質は、SDS−PAGE及びSEC−HPLCによって評価された。ビオチンの取り込みのレベルを測定するために、1モルのカニクイザルOSM当り約1モルのビオチンを示す、HABAアッセイ(Pierce Biotin Quantitation Kit,#28005)が使用された。ビオチン化タンパク質におけるストレプトアビジンカップリング及びgp130−Fcキメラ結合の両方を検証するために、Octet機器(ForteBIO)を使用した。Octet測定値は、ビオチン化カニクイザルOSMが未標識の出発原料と基本的に同一のプロファイルで、gp130に結合したことを示した。
【0104】
固相免疫アッセイ
最初のファージ−Fabパンニングには、TBS中の2μg/mLのビオチン化ヒトOSM又はカニクイザルOSMでコーティングされたNEUTRAVIDIN(商標)ELISAプレート(Pierce)を使用した。4℃で一晩インキュベートし、遮断、そして洗浄した後、パンニングの各回からのポリクローナルファージプールの1:100希釈物を添加した。pVIIIに特異的なHRP抱合モノクローナル、M13ファージ主要コートタンパク質(GE Healthcare、カタログ番号27−9421−01)、次に、化学発光基質POD(Roche、カタログ番号11582950001)の添加、そしてPerkinElmer機器で読み取り、結合ファージを検出した。
【0105】
個々のクローンの最初のスクリーニングは、大腸菌の上清からの分泌された可溶性Fab−Hisタンパク質を使用して実施された。可溶性Fab−Hisタンパク質を含有する細菌由来の上清は、ELISA形式で結合を行うために使用された。Black MaxiSorpプレート(Nunc、カタログ番号437111)を1μg/mLのヒツジ抗ヒトFd(CH1)抗体(The Binding Site、カタログ番号PC075)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。プレートを洗浄し、遮断した後、50μLの未希釈の細菌由来の上清(Fab−Hisタンパク質を含有する)を添加し、穏やかに振盪しながら室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、20nMのビオチン化ヒト又はカニクイザルOSMを、捕捉したFabに添加した。室温で1時間後、SA−HRP(Invitrogen、カタログ番号43−4323)を添加し、上述のように化学発光検出を行った。20nMの濃度のヒトOSMを用いた一次結合ELISAスクリーニングが、ナノモルの親和性範囲の親和性でクローンの検出を可能にすることが計算された。
【0106】
エピトープビニング
エピトープビニングは、ヒトIgG1変換mAb及び市販の抗体であるMAB29(OSMRβ/LIFRα動員遮断剤(R遮断剤)として知られる)を使用して実施された結合特徴に基づきMAbを分類するために実施された競合アッセイである。
【0107】
384ウェル多重アレイプレート(Meso Scale Discovery(MSD)、L25XA−4)の各ウェルに、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.4(Sigma,P3813)中の2.5μg/mLの抗ヒトFc(Jackson Immuno,709−005−149)を添加した。プレートを4℃で一晩インキュベートし
、次に室温で1時間、50μLのMSD遮断剤Aで遮断した。384多重アレイプレートを3回洗浄し(PBS pH7.4、0.05%のTween 20(Scytek、PBT010))、各ウェルに1.0μg/mLの試験mAbの溶液を添加し、次に室温で1時間、滴定プレート振盪器上でレベル6で振盪させた。プレートを前回同様、3回洗浄した。
【0108】
並行して、5μg/mLの競合mAbの溶液及び1μg/mLのビオチン化OSM(R&D Systems、295−OM−010/CF)を、MSDアッセイ緩衝液(1:3の遮断緩衝液とPBS pH7.4、0.05%のTween 20)中で別の96ウェルプレート(COSTAR、3357)で混合し、室温で1時間、滴定プレート振盪器上でレベル3で振盪させた。競合抗体及びビオチン化OSMのプレ複合体を384多重アレイプレートの各ウェルに添加し、室温で1時間振盪させた(滴定プレート振盪器上でレベル6)。プレートを3回洗浄し、各ウェルにストレプトアビジンスルホTAG(MSD、R32Ad−S)を添加し、室温で30分間振盪させた(滴定プレート振盪器上でレベル6)。プレートを3回洗浄し、各ウェルに、蒸留水(MSD、R92TC−1)で1:4に希釈した読み取り緩衝液Tを添加した。プレートをMSD S6000機器上で読み取った。
【0109】
自己競合からのシグナル(最大シグナルにおいて2〜4倍減少)と共に、競合mAbが不在(最大シグナル)のビオチン化OSMの存在下で試験mAbにおいて獲得されたシグナルに基づきデータを解釈した。エピトープ競合は、競合mAbの存在下の値が自己競合からの値の3つの標準偏差内であったときに割り当てられた。
【0110】
A375細胞
A375細胞(ATCC;CRL−1619)は、悪性メラノーマに由来するヒト上皮細胞である。A375−S2細胞(ATCC;CRL−1872、IL−1に敏感なCRL−1619の亜系統)は、T−175培養フラスコ(Corning、カタログ番号431080)中の10%のFBS(Gibco)で補われた完全成長培地(DMEM/GlutaMax−I,Gibco)中で培養され、約80%のコンフルエントになったとき、1:20の継代培養比で、3日〜4日毎に継代培養された。
【0111】
A375−S2細胞増殖(BrdU取り込み)アッセイ
ヒト又はカニクイザルOSMによるA375−S2細胞増殖の減少を、化学発光ELISAを使用して、BrdU取り込みにより測定した。オンコスタチンMは、A375−S2ヒトメラノーマ細胞系において増殖を減少させた(Zarling et al.PNAS 83:9739〜9743)。この細胞系は、抗体発見の全段階で抗オンコスタチンM抗体を評価するために使用された。A375−S2細胞を、T−150組織培養フラスコ(BD Falcon 35−5001)中で、95% O2−5% CO2、37℃のDMEM(Gibco 11995)+10% FBS(Gibco 16140)+1% Pen/Strep(Gibco 15140)に維持し、1週間に2回1:10に分けた。
【0112】
増殖アッセイを実施するために、細胞をトリプシン処理(0.25%、Gibco 25200)して、T150フラスコから取り出し、次に、黒色のTCコーティングされたプレート(BD Falcon 353948)の内部48ウェルで、200μLのDMEM/FBS/Pen−Strep中で、2000細胞/ウェルの密度で平板培養した。37℃/95% O2−5% CO2で一晩インキュベートした後、培地を取り出し、180μLの新しい培地と交換した。最終濃度の10Xで試験溶液の全てを含有する別のプレートを調製した。適切な実験状態を生成するために、このプレートから20μLを細胞プレートの対応するウェルに移した。各実験状態は、3つ組で試験された。中和を評価し
た任意の実験において、抗体及びオンコスタチンMは、細胞に添加される少なくとも1時間の間、一緒にインキュベートされた。次に、プレートを37℃/95% O2−5% CO2で更に72時間インキュベートした。この時点で、化学発光BrdU細胞増殖ELISA(Roche 11669915001)を実施した。BrdU標識試薬を4時間培養物に添加した。次に、培地を取り出し、100μLの固定溶液を各ウェルに添加した。室温で30分後、溶液を取り出し、100μL/ウェルの抗BrdU−POD溶液を添加した。室温で2時間後、プレートをPBS−Tweenで洗浄し、100μLのSuper Signal Pico(Thermo Scientific 37069)を各ウェルに添加した。次に、Perkin Elmer Victor3機器を使用して、発光を読み取った。
【0113】
最初の実験は、増殖の抑制における実験室内で生成したCHO細胞由来組み換えヒト及びカニクイザルのオンコスタチンMの用量応答を決定するために行われた。1〜5希釈で100ng/mLの開始濃度から0.0244ng/mLの最終濃度までOsmを試験した。増殖の%阻害は、ビヒクル対照で処理された細胞と比較して計算された。そのような実験の結果を
図2Aに示す。ヒト又はカニクイザルのオンコスタチンMの濃度が増加すると、対応してBrdU取り込みが減少した。抗増殖活性及びEC50の作用の両方の程度に基づいたヒト及びカニクイザルのオンコスタチンMの抗増殖活性は、区別不能である。
【0114】
これらの実験に基づき、抗オンコスタチンM抗体を評価し、比較するために、2ng/mLの濃度のオンコスタチンが使用され、それは、この濃度が増殖を約80%阻害し、抗体の用量応答を決定するための大きなウィンドウを提供するからである。抗体の完全な用量範囲は、2ng/mLのヒト又はカニクイザルのオンコスタチンMの存在下で評価された。加えて、アイソタイプ対照は、使用された抗オンコスタチンM抗体の最高濃度の実験に含まれた。アッセイウィンドウは、未処理対照ウェル(最大増殖)と2ng/mLのオンコスタチンMだけ(最小増殖)でインキュベートされたウェルとの間の相違により画定され、抗体の任意の濃度での%中和は、このウィンドウ内で画定された。
【0115】
A375−S2 Phospho−STAT3アッセイを使用したpSTAT3シグナル伝達
OSMは、細胞表面受容体gp130に結合し、OSMRβにより受容体ヘテロ二量体化を誘発して、シグナル伝達分子STAT3の活性化(リン酸化反応)を含む細胞内シグナル伝達カスケードを開始させることにより、A375−S2細胞の成長を阻害する(Kortylewski et al.,Oncogene 18:3742〜3753,1999)。STAT3シグナル伝達の乱れは、A375−S2細胞のOSM成長阻害を破壊し、STAT3活性化がOSMシグナル伝達において主要な工程であることを示す(Heinrich et al.,Biochem.J.374:1〜20,2003)。A375−S2細胞におけるSTAT3リン酸化反応は、OSM濃度依存であることが示され、刺激された細胞でそれを測定するための市販のキットが入手可能である。A375−S2細胞におけるOSM誘発STAT3リン酸化反応の中和は、Mab候補の一次スクリーニングアッセイとして選択された。
【0116】
OSM誘発STAT3リン酸化反応の抗体中和において、A375−S2細胞は、完全成長培地で200μL中25,000細胞/ウェルで96ウェル組織培養プレート(Corning、カタログ番号3596)に播種され、24時間インキュベートされる。10μg/mLから開始して1:5に連続希釈された実験用mAbと共に3時間室温で予めインキュベートされた5ng/mLのヒトOSM(組み換えの哺乳動物の細胞由来、OSMN1−1)を含有する溶液で細胞を処理する。対照は、未処理細胞、刺激された細胞(5ng/mLのOSMのみ)、及びhIgG1アイソタイプ対照mAbを含む。全ての処理は、特に記載のない限り、3つ組で実施される。
【0117】
pSTAT3内容物の分析は、Phospho−STAT3 Whole−Cell Lysate Kit(MSD、カタログ番号K150DID−1、ロット番号K0010570)、次に製造者のプロトコルを使用して行われる。簡潔に、細胞を200μL/ウェル容積で10分間処理し、処理溶液を取り出し、50μLの細胞MSD溶解緩衝液を多重チャネルピペットを介して添加する。プレートを軌道振盪器(300RPM)上に5分間設置する。その後、30μLの各溶解物をMSD phospho−STAT3の96ウェルプレートに移す。プレートを密封し、室温で1時間、軌道振盪器(300RPM)上に設置し、150μLのMSD洗浄緩衝液で3回洗浄し、25μLの二次検出抗体抱合体(抗pSTAT3−Ru(bpy)32+)を各ウェルに添加し、再度密封し、室温で1時間、軌道振盪器(300RPM)上でインキュベートする。プレートを前と同様に洗浄し、150μLのMSD読み取り緩衝液(トリプロピルアミン溶液)を各ウェルに添加した。プレートをMSD SECTOR Imager 6000機器上で読み取る。
【0118】
インライン成熟された親及び対照mAbの完全なEC50用量応答曲線を得、正規化した% pSTAT3シグナルとしてプロットした。
【0119】
表面プラズモン共鳴(Biacore)による親和性測定
前述のヒト又はカニクイザルOSM構築物を用い、Biacore 3000光バイオセンサー(Biacore)を使用して、表面プラズモン共鳴(SPR)により結合親和性を測定した。アミンカップリングケミストリーの製造者の指示を用いて、抗マウス(Jackson、カタログ番号315−005−046)及び抗ヒト(Jackson、カタログ番号109−005−098)の抗IgG Fc抗体混合物をカルボキシメチル化デキストラン表面のCM−5チップ(Biacore、カタログ番号BR−1000−14)にカップリングすることにより、バイオセンサー表面を調製した。抗OSM抗体の約19,000RU(反応単位)を、4つのフローセルそれぞれに固定化した。ランニング緩衝液(DPBS+0.005% P20+3mM EDTA)の中で25℃で速度実験を実施した。100nM〜0.412nMの範囲の連続希釈ヒト及びカニクイザルOSM
ECDをランニング緩衝液中で調製した。約200RUのmAbをセンサーチップのフローセル2〜4の上に捕捉した。フローセル1は、参照表面として用いた。mAbの捕捉に続いて、抗原を50μL/分で3分間注入(結合相)し、次いで緩衝液フロー(解離相)を10分間注入した。100mMのH3PO4(Sigma、カタログ番号7961)の50μL/分での18秒注入の2つのパルスによってチップ表面を再生した。
【0120】
BIAevaluationソフトウェア(Biacore、バージョン3.2)を使用して、収集したデータを加工した。先ず、アナライト注入の参照サブトラクション曲線から、バッファ注入によって生成された曲線を引くことにより、データからの2倍の参照サブストラクションが行われた。データの速度分析を、1:1の結合モデルと全体的適合を用いて実施した。各mAbの結果を、Ka(オン速度)、Kd(オフ速度)、及びK
D
(親和性定数)の形で報告した。
【0121】
実施例2:OSM結合FABの選択
新規Fab−pIXライブラリは、Shi et al.J Mol Biol397:385〜396,2010、WO第09085462A1号、U.S.第12/546850号に記載され、本明細書の上記において、IMGT命名法において、IGHV1−69(配列番号1)、IGHV3−23(配列番号2)、又はIGHV5−51(配列番号3)で使用される重鎖ヒト生殖系列フレームワークに言及する169、323、及び551と呼ばれる。3つの重鎖ライブラリフレームワークは、4つの軽鎖ライブラリVLカッハ゜フレームワーク:A27(IGKV3−20
*01(配列番号5))、B3(IG
KV4−1
*01(配列番号6))、L6(IGKV3−11
*01(配列番号7))、及
びO12(IGKV1−39
*01(配列番号8))と組み合わされる。ライブラリにお
いて、Fabs V領域は、重鎖に配列番号4及び軽鎖に配列番号10を含むJ領域(FR4)の追加により完成する。重鎖CDR3は、7〜14残基の可変長のものである。各ライブラリの完全なV領域の例は、
図1に示され、付番され、CDR領域はKabatに従い示される。
【0122】
初期の一式の抗OSMファージ提示ヒットは、市販のグリコシル化ヒトOSMを使用して同定された。Fab−pIXファージ提示ライブラリは、常磁性ストレプトアビジン(SA)ビーズ(Invitrogen、カタログ番号112.05D)上に捕捉したビオチン化ヒトOSM(R&D Systems、カタログ番号295−OM)、次に公開されたファージ選択のプロトコル(Marks and Bradbury,Antibody Engineering,Vol.248:161〜176,Humana Press,2004)を使用してパンニングされた。簡潔に、ビオチン化ヒトOSMが100nMの最終濃度に未抱合ビーズ上に前吸着されたファージライブラリに添加され、穏やかに回転させながら1時間インキュベートされた。遮断されたSAビーズを添加し、結合ファージによりビオチン化OSMを捕捉するために15分間インキュベートした。磁気的に捕捉したファージ/抗原/ビーズ複合体を1mLのTBSTで5回、1mLのTBSで1回洗浄した。最後のTBS洗浄の除去後、1mLの指数的に成長するTG1細胞(Stratagene、カタログ番号200123)を添加し、振盪させずに30分間、37℃でインキュベートした。感染細菌をLB/寒天(1%グルコース/100μg/mLカルベニシリン)プレート(Teknova、カタログ番号L5804)上に撒き、37℃で一晩インキュベートした。菌叢をこすり落とし、グリセロールストック[15%グリセロール/カルベニシリン(100μg/mL)/2xYT]を調製し、−80℃で保管した。2回目のパンニング用のファージを調製するために、25mLの2xYT/カルベニシリン(100μg/mL)を25μLの細菌由来のグリセロールストックと共に播種し、ほぼ0.5のOD600まで、37℃で成長させた。ヘルパーファージVCSM13(Stratagene、カタログ番号200251)を約10:1の感染の多重度で培養物に添加し、振盪させずに30分間、37℃でインキュベートを行った。細菌を沈降させ、ペレットを誘導培地(2xYT/Carb/Kan/IPTG)に再懸濁し、一晩30℃で成長させた。ファージを2% PEG/0.25M NaCl(最終濃度)で沈殿させ、2mLのPBSに再懸濁した。初回のファージを4℃で保管し、2回目のパンニングを行うために使用した。パンニングパラメータは、1回目が100nMの抗原、室温で1時間インキュベート、TBSTで洗浄5x、次にTBSで洗浄1x;2回目が10nMの抗原、室温で1時間インキュベート、TBSTで洗浄10x/TBSで洗浄1x;そして3回目が1nMの抗原、16時間(一晩)4℃でインキュベート、TBSTで洗浄10x/TBSで洗浄1xであった。
【0123】
Fabが抗ヒトFd(CH1)抗体で捕捉され、ビオチン化ヒトOSMが20nMで添加され、結合OSMがSA−HRPにより検出された成功例がELISAにより監視された。
【0124】
カニクイザルOSMと交差反応することが示された、提示Fabとしての30(30)の固有の重鎖−軽鎖対合がELISAにより同定された。重鎖は、169(IGHV1−69由来)及び551(IGHV5−51由来)ライブラリからの配列を表し、4つ全てのライブラリ生殖系列起源(A27、B3、L6、及びO12)を表す軽鎖可変領域と組み合わされた。
【0125】
実施例3:OSM結合MABの特徴付け
4つの螺旋体束構造のOSMは、比較的非構造的なループによって結合されるA、B、C、及びDと呼ばれる4つのα螺旋状セグメントを特徴とする。OSMは、配列番号1の
アミノ酸及び残基Q16、Q20、G120、N123、N124による接触を含むように決定された螺旋体A及びC(部位II)に位置する表面を介してgp130と相互作用する(Deller et al.Structure 8(8):863〜874,2000、Liu et al.Int.J.Mol.Med.23:161〜172,2009)。OSMRβ及びLIFRα(部位III)とのOSM相互作用に関与する表面は、螺旋体Dに位置する残基によって主に画定されると考えられている(Dellerら、同章)。
【0126】
gp130へのOSM結合の防止(部位II又はB遮断剤)又はLIFRa若しくはOSMRb(部位III又はR遮断剤)のOSM結合gp130動員の防止のいずれかを通してOSM誘導gp130シグナル伝達を防止することができるOSMに対して高親和性結合剤を選択することが目的である。
【0127】
最初に選択されたOSM結合Fabの30のうち29が、完全長ヒトIgG1 Mabに変換するためにベクターにクローン化された。特徴付けアッセイは、
(1)エピトープ群又は「ビン」を同定するための競合結合、(2)表面プラズモン共鳴(Biacore)による親和性測定、及び(3)pSTAT3シグナル伝達を遮断する能力、であった。全てのスクリーニング及びアッセイは、実施例1に記載するように、哺乳動物の細胞生成(グリコシル化)されたヒト及びカニクイザルタンパク質を使用して行われた。
【0128】
結果
pSTAT3及びELISA結合アッセイの対照MAB295(R&D Systems)に対するそのランク付けに基づき選択されたmAbのサブセットの親和性測定のデータを表3に示す。
【0129】
【表4】
【0130】
ビニングアッセイの結果は、M5、M6、及びM9が相互に競合したが、MAB295と競合しなかったことを示した。M10は、MAB295と競合しなかった。これらの4つのmAbは、gp130シグナル伝達の機能的中和剤であることもpSTAT3アッセイによって示された。したがって、M10はR遮断剤であり、M5、M6、及びM9は、gp130へのOSM結合を遮断する(B遮断剤)であるということになる。
【0131】
治療誘導のための標的親和性は、親和性(K
D)が約1nMであると測定されたOSM
−gp130相互作用と明確に競合する必要性によって決定された。したがって、OSMにおいて100pM以下のK
Dの標的親和性が所望された。
【0132】
治療候補の100pM親和性の必要条件に合致した誘導体を生成するために、OSM−gp130相互作用遮断剤であると分かったM5、M6、及びM9の中和MAb+M10がインライン成熟のために選択された。mAbがヒトOSM(500pM未満のK
D)の
5倍以内の親和性でカニクイザルOSMに結合することが更に望ましい特性であった。
【0133】
これら4つのMabの結合ドメインの組成物は、表4に示されるように指定される4つの固有の重鎖及び軽鎖対を表すことが分かった。
【0134】
【表5】
【0135】
完全な可変領域配列は、本明細書で上述されるファージライブラリを生成するために使用された生殖系列配列を含み、したがって、固定された残基は、未変異の親生殖系列残基と合致する。そのようなものとして、各V領域は、配列番号1〜3又は5〜8と呼ばれるスカフォールド内の指定されたCDR1及びCDR2、次にCDR3(表3及び4)、そして軽鎖可変領域(LCについては表5、そしてHCについては表6)において、次に重鎖については配列番号4、及び軽鎖については配列番号10としてJ領域からなる。
【0136】
【表6】
【0137】
HC可変領域H2は、配列番号1に由来するFR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3を含み、この場合、X
1=Aであり、X
2=Gであり、X
3=Iであり、X
4=Pであり、X5=Iであり、X
6=Fであり、H−CDR2に更なる変異を有する。ライブラリ5
51(H14、H17、及びH135)からのHCは、配列番号3に由来するFR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3を含み、この場合、X
1=Sであり、X
2=S又はGであり、X
3=Iであり、X
4=Yであり、X
5=Gであり、X
6=Y又はDである。4つのHCのそれぞれは、固有のCDR3(配列番号19〜22)からなる。
【0138】
【表7】
【0139】
選択されたFabのLC可変領域は全て、B3ライブラリに由来し、本明細書及び参照刊行物に記載されるように、ライブラリ多様化の開始配列として使用されたIGKV4−1(B3)としてIMGTデータベースに表される精選された生殖系列配列を含む。4つの軽鎖のうちの3つは、CDR1が異なり、H−CDR2が同一であった。4つの選択されたLC可変FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3のコンセンサス配列は、配列番号8に由来し、この場合、X
1は、Y、S、又はAであり、X
2は、K、E、又はNであり、X
3は、Y、W、又はFであり、X
4は、常にWである。
【0140】
2つの固有のCDR3配列が同定された。L−CDR3は、式Q−Q−(S,Y)−(F,Y)−S−(F,T)−PLTにより表されるコンセンサス配列(配列番号29)によって表され得る。
【0141】
実施例4.親和性再選択
実施例3に記載されるOSMM5、OSMM6、OSMM9、及びOSMM10の4つのV領域対合は、親和性を改善するために、軽鎖再選択のために選択された。効率的かつ能率的な様式で一次選択から多数の抗体を親和性成熟させるために、Shi et al.J Mol Biol 397:385〜396,2010及びWO第09085462A1号並びにU.S.第12/546850号に記載される「インライン」成熟過程が使用された。簡潔に、選択の初回に得た抗原特異的クローンのV
H領域は、対応するV
Lスカフォールドのライブラリ(この場合、B3ベースのV領域(配列番号8))と組み合わされた。
【0142】
3つの新しいライブラリが作製され、1つは多様V
L鎖の供給源として一次選択に使用
されたV
Lライブラリを使用し、2つの更なるライブラリは、既知の構造の最近の抗原−
抗体複合体の分析に基づき設計された(Raghuanthan et al.,J.Mol.Recognit,2010)。残基は、特異性決定残基使用(SDRU)とも呼ばれる標的タンパク質の結合に最も関与している可能性があるこれらの残基に基づく多様化について選択された。Vカッパ軽鎖において、これは、標的がタンパク質、ペプチド、又は低分子ハプテンであるか否かにより僅かに異なる、Chothia及びLeskによって画定される高頻度可変ループを中心とする3つの接触領域であることが決定された。表5は、親和性成熟に使用されたV
Lライブラリを示し、この場合、B3は、発見段階中
に使用された同じライブラリであり、ライブラリ2の「SDRM集中」は、SDRU残基及び多様性の集中に基づいており、NNKは、無作為化ライブラリである。表において、「X」は、NNKミックスにより生成された任意のアミノ酸+1つの終止コドンを意味する。
【0143】
表7にライブラリー1、2及び3の多様性がまとめてある。最終ライブラリの分析中、当初の設計の一部でなく、したがって、合成法の結果として導入された幾つかのアミノ酸を同定した。ジヌクレオチドを使用して合成されたライブラリ2に関し、こうしたアミノ酸は、S(位置30c)、T(位置30d)、EK(位置30f)、IW(位置32)、TV(位置50)、I(位置92)、D(位置93)、及びF(位置96)であった。
【0144】
【表8】
【0145】
Fab−Hisタンパク質は、3回目のパンニング生産物、及び対応する親Fabより高い結合シグナルを有する個々のヒットを同定するために採用されたモノクローナルFab−His ELISAから調製された。2nM及び0.2nMの2つの濃度のビオチン化ヒト抗原がこれらのランク付けELISAに使用された。各親クローンの結合シグナルは、100%として設定された。元来の重鎖及び軽鎖V領域を含む親Fabと比較した場合、最大9倍(900%)改善された結合を示すM6及びM9の親和性成熟から22のヒットがあった。重鎖及び軽鎖のこれらの新しい対合の幾つかを更なる評価のために選択した。
【0146】
MAB295対照並びに親mAbのM6及びM9と比較したヒト及びカニクイザルOSMのインライン成熟mAbの親和性(K
D)を表8にまとめ、これらのmAbのCDR組
成物を表9に示す。幾つかの場合において、LCVは、H14及びH17の両方と対合された。その生物物理学的特性及び機能特性に基づき指定された候補治療誘導であった特定のmAbは灰色で強調される。
【0147】
【表9】
【0148】
【表10】
【0149】
選択された候補のLC−CDR3多様性Q−Q−(S,Y)−(F,Y)−S−(F,T)−PLT(配列番号29)を減らし、再選択された高親和性LC−CDR3のコンセ
ンサス配列は、QQY−(F,Y)−STP−(L,I)−T(配列番号47)として表される。
【0150】
再選択されたmAbにおいて、H14及びH17のVHは、配列番号48により与えられ、配列番号14(CDR1)及び配列番号17(CDR2)を含む共通のFR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3を共有する。
【0151】
ヒト及びカニクイザルA375−S2細胞増殖を減少させる能力
インライン成熟抗体を評価するために、1〜5希釈で5μg/mL又は1μg/mLから開始して、それぞれ、0.0016又は0.00032μg/mLに至るまで用量応答が実施された。M71による中和を
図2Bに示す。抗体の濃度が増加すると、ヒト及びカニクイザルオンコスタチンMの両方の抗増殖作用が中和される。用量応答曲線は、ヒト(開記号)及びカニクイザル(閉記号)オンコスタチンMを用いた3つの別個の実験からのデータを使用して計算された。表10は、ヒト及びカニクイザルオンコスタチンMに対するM55、M64、M69、及びM71のIC
50(95%信頼区間)をまとめる。
【0152】
【表11】
【0153】
ヒトgp130競合
競合実験は、実施例1に記載されるBiacore 3000光学バイオセンサー(Biacore)を用いた表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、インライン成熟+上記の表からの選択された新しい結合剤用に選択された抗OSM mAbとヒトgp130との間で行われた。
【0154】
バイオセンサー表面は、製造者の指示に従い、各試験mAbをカルボキシメチル化デキストラン表面のCM−5チップ(Biacore、カタログ番号BR−1000−14)にカップリングすることにより調製された。各試験mAbの約4,000〜15,000RU(反応単位)は、機器の4つのフローセルの1つに固定された。競合実験は、ランニング緩衝液(DPBS+0.005% P20+3mM EDTA)の中で25℃で実施された。ヒトOSM(実験室内、OSMN1−1)をランニング緩衝液中で30nMに希釈し、固定されたmAbを含むフローセルのそれぞれの上に3μL/分で3分間注入した。ヒトOSM捕捉後、300nMで競合mAb又はヒトgp130−Fcのいずれかを3分間注入し(会合段階)、次に3分間緩衝層を流した(解離段階)。100mMのH
3P
O
4(Sigma、カタログ番号7961)の50μL/分での12秒の2つのパルスに
よってチップ表面を再生した。BIAevaluationソフトウェア、バージョン3.2(Biacore)を用いて、回収したデータを加工した。最初に、ヒトOSMの注入時にセンサーグラムを整合した。次に、ヒトOSMの結合レベル(RU)、競合mAb
、又はgp130−Fcを記録した。競合mAb又はgp130−FcがOSM表面上に注入されたときの結合(RU)の上昇は、固定された試験mAbとの競合がないことを示し、逆もまた同様である。フローセル(Fc1など)固定されたmAbは、表10の水平のサンプル列に沿って表示される。
【0155】
M2は、OSMに結合するgp130と競合しないことが知られている市販の抗体MAB295と競合することが以前示された。競合結合アッセイを示す結果は、M54、M55、M64、M69、及びM71がOSM抗原においてヒトgp130−Fcと競合することを示した(表11)。
【0156】
【表12】
【0157】
A375細胞においてpSTAT3を遮断する能力
M6及びM9の5ng/mLのhOSMの存在下又は不在下で、A375細胞及びこれらのMabのインライン成熟変異体において実施された、計算されたpSTAT3阻害のEC50値を表12に示す。
【0158】
【表13】
【0159】
実施例5.生物活性
マクロファージ−軟骨細胞共培養アッセイ
マクロファージ−軟骨細胞共培養系において、M71を評価した。分化マクロファージは、オンコスタチンMを生成することが知られている(Hasegawa et al.Rheumatology 38:612〜617,1999)。OSMは、軟骨マトリックスの大部分を作り上げる高度に硫酸化されたプロテオグリカンアグリカン(GAG)の合成を減少させることができる。
【0160】
抗ヒトオンコスタチンM抗体は、組み換えHEK生成His−Aviタグ付けされたヒト及びカニクイザルのオンコスタチンMを使用して発見され、これらの抗体の活性は、これらの分子並びにR&D Systems(295−OM)の細菌由来の組み換えヒトオンコスタチンMを使用して評価された。his−aviタグ(HEK生成Osm)又はグリコシル化(細菌由来の組み換えOsm)の欠損のいずれかのため、これらのいずれも天然の内因性ヒトオンコスタチンMと同一ではない。マクロファージは、オンコスタチンMを分泌することが知られており(Grove et al.,J Lipid Res 32:1889〜97,1991)、オンコスタチンMは、ヒト軟骨細胞においてプロテオグリカン合成を減少させる(Sanchez et al.OA and Cart.
12:810−10,2004)。よって、マクロファージ−軟骨細胞共培養系は、抗ヒトオンコスタチンM抗体が内因性又は天然のヒトオンコスタチンMを中和する能力を決定するために使用された。簡潔に、40,000の正常なヒト関節軟骨細胞を含有する単一のアルギン酸塩ビーズを分化ヒトマクロファージの存在下で72時間培養した。これらの実験は、用量範囲の抗オンコスタチンM抗体の存在下で行われた。実験の終わりに、放射能
35SO
4の取り込みによりプロテオグリカン合成を測定した。
【0161】
CD14+末梢血単球をAllCellから得た。0.5mLのマクロファージ培地(10%の熱失活されたFBS、1%のNEAA、及び1%のPen−Strepを含むRPMI+グルタミン)中で、2.5×105細胞/ウェルの48ウェルプレート上で単球を培養した。細胞を100ng/mLのマクロファージ−コロニー刺激因子(M−CSF)で処理した。48時間後、培地を交換して、非付着細胞を取り除いた。6日目に、M−CSF含有マクロファージ培地を、M−CSFを含まないマクロファージ培地と交換した。8日目に、マクロファージ培地を軟骨細胞培地(10%のウシ胎児血清を含む50%のHam’s F−12/50% DMEM)と交換し、単一のアルギン酸塩ビーズ軟骨細胞培養物(Articular Engineering #CDD−H−2200)を各ウェルに添加した。R&D Systems Human Oncostatin M
DuoSet(DY295)を使用してオンコスタチンMレベルの分析用に条件付きマクロファージ培地のアリコートを確保し、−80℃で保管した。
【0162】
アルギン酸塩ビーズ−マクロファージ共培養物を、20μg/mLの抗ヒトオンコスタチンM抗体(M64、M71、M55、M69)の存在下、又は用量範囲(5μg/mL〜0.00076μg/mL;1〜3希釈)の抗体(M71及びM55)の存在下のいずれかで、維持した。加えて、ヒトIgG1アイソタイプ対照(CNTO6234)が、試験された抗オンコスタチンM抗体の最高濃度でプレートに含まれた。他の対照は、軟骨細胞のみ(共培養ではない)及び2ng/mLのヒトオンコスタチンMの存在下の軟骨細胞であった。加えて、マクロファージのみを含有するウェルは、オンコスタチンMの産生を測定するために維持された。72時間の共培養後、更に20時間の間、10μCi/mLの放射能35SO4(Perkin−Elmer NEX041H002MC)を各ウェルに添加した。
【0163】
35SO
4の取り込みは、CPC沈殿法(MP BIomedicals(#19017
7))を使用して測定された。
35SO
4と共に20時間インキュベートした後、標識され
た培地を取り出し、各ビーズをCa及びMgを含むDPBSで2回洗浄した。2回目の洗浄後、200μLのクエン酸緩衝液(150mMのNaCl、55mMのクエン酸Na、ph 6.8)を各ビーズに添加した。ビーズが溶解されるまで、プレートを37℃で10〜15分間インキュベートした。各ウェルからの100μLのアリコートを1%のCPCで予備湿潤したMillipore Multiscreen 96ウェルフィルタプレートに移し、次に10μLの10%のCPCを5分間各ウェルに添加した。次に、フィルタが乾くまで、プレートに真空を適用した。次に、各ウェルを200μLの1%のCPCで2回洗浄し、フィルタが乾くまで、毎回プレートに真空を適用した。次に、プラスチックの底をプレートから取り外し、シーラ(Perkin Elmer #6005185)と交換した。シンチレーション流体(50μL、Perkin Elmer #6013621)を各ウェルに添加し、プレートシーラをプレートの上に適用した。次に、プレートをTop Count読み取り器上で数えた。
【0164】
20μg/mLで、M64、M71、M55、及びM69は、プロテオグリカン合成を抗体の不在下で観察されたレベルより上に増加させ、一方、アイソタイプ対照は効果がなかった(
図3)。別の実験において、M71は、プロテオグリカン合成を軟骨細胞のみにより示されたレベル(100%中和として定義される)に用量を依存的に増加させ、EC
50は30ng/mLであり、アイソタイプ対照は効果がなかった。これらのデータは、マクロファージ由来Osmが共培養された軟骨細胞においてプロテオグリカン合成を減少させ、抗ヒトオンコスタチンM抗体が天然のオンコスタチンMを中和したことを示す。
【0165】
ヒト肺線維芽細胞Phospho−STAT3アッセイ
OSMは、正常なヒト肺線維芽細胞において増殖及びコラーゲン産生を誘発する(Scaffidi et al.,Br.J.Pharmacol 136:793〜801,2002)。線維芽細胞によるコラーゲンの過剰産生は、多くの病理学的状態の主な特徴である(Lim et al.Oncogene 23(39):5416〜25,2006、Huang et al.J Cell Biochem 81(1):102〜13,2001)。オンコスタチンM受容体シグナル伝達は、JAK−STAT経路を活性化し、STAT3のリン酸化反応は、シグナル伝達経路における初期事象である(Auguste et al.(1997)Signaling of Type II Oncostatin M Receptor.J Biol Chem 272:15760〜15764)。オンコスタチンMがpSTAT3を生成する能力は、R&D Systems human/mouse pSTAT3 Duoset(DYC4607−5)を用いて、正常なヒト肺維芽細胞(NHLF)において決定された。次に、このアッセイは、M55及びM71がオンコスタチンMシグナル伝達を中和する能力を決定するために使用された。
【0166】
これらの実験は、Lonza所有FGM−2(CC−3132)培地中で成長させたLonza(CC−2512)からのNHLFを使用して行われた。簡潔に、細胞をFGM−2中で、25,000細胞/ウェルで平板培養し、24時間培養した。次に、細胞をオンコスタチンM抗体又は抗体+オンコスタチンMで10分間処理した。この10分間のインキュベーション中の温度依存作用を避けるために、処置を調製するために使用された溶液の全ては、予め加温され、37℃に維持された。10分間の処理後、培地を吸引して取り除き、完全溶解緩衝液と交換した。溶解緩衝液(pH=7.2)は、1%のNP−40、1%のデオキシコール酸ナトリウム、0.1%のSDS、0.15MのNaCl、及び0.01Mのリン酸ナトリウムからなり、4℃で保管された。使用する時に、完全溶解緩衝液は、Protease Inhibitor Cocktail(Roche,11836153001)1錠、及び110μLのHALTホスファターゼ阻害剤(Thermo Scientific 78420)を11mLの溶解緩衝液に添加することによって調製された。10分間の溶解工程後、得られた溶解物は、pSTAT3検出ができる状態である。
【0167】
オンコスタチンM用量応答を決定するために、NHLF細胞を用量範囲のOSM(1〜4希釈で100ng/mL〜0.024ng/mL、3つ組ウェル)で処理した。各ウェルのOsmの濃度が処理に必要な最終濃度より10X高い予め加温したPBS+1%のBSA中で希釈プレートを調製し、培地のみのウェルが、未処理対照として含まれた。培地を培養プレートから完全に取り除き、180μLの予め加温されたFGM−2と交換した。タイマーを10分間開始させ、次に20μLを希釈プレートの各ウェルから培養プレートの対応するウェルに移した。10分後、細胞プレート中の処置溶液を吸引により完全に取り除き、100μLの完全溶解緩衝液と交換した。インキュベーション時間の差を最小にするために、溶解緩衝液を処理と同じ順序でウェルに添加した。次に、アッセイプレートを10分間振盪器に設置した。振盪後、溶解物は、後の試験のために−80℃で凍結されるか、又は抗pSTAT3でコーティングされたELISAプレートに直接移されるかのいずれかであった。ELISA(R&D Systems human/mouse pSTAT3 Duoset)は、1)90μLの溶解物又は標準物のみが各ウェルに添加された、及び2)SuperSignal Pico(ThermoScientific 37069)がHRP基質として使用されたことを除き、製造者の指示に従い行わ
れた。ELISAプレートは、Victor3プレート読み取り器上で発光について読み取られた。
【0168】
M55及びM71がNHLFのOSMシグナル伝達を中和する能力を評価するために、細胞を2ng/mLのヒトOsmの存在下、用量範囲の抗OSM抗体(3つ組ウェル、1〜10希釈で500ng/mL〜0.005ng/mL、又は1〜2希釈で50ng/mL〜1.563ng/mL)で処理した。アイソタイプ対照(最高濃度の抗OSM抗体)用に含まれたウェル、並びに未処理対照及びOSMのみで処理された細胞の両方に抗体を含まない希釈プレートが、最終濃度の20Xで抗体用量応答処置用にPBS中で調製された。ヒトオンコスタチンMは、FGM−2中で40ng/mL(最終濃度の20X)で別に調製された。20Xの抗体及びOSM溶液は、10Xの処置溶液を生成するために希釈プレート中で等容量で混合され、プレートを37℃で1時間インキュベートし、OSMを抗体に結合させた。1時間後、培地を培養プレートから取り除き、180μLの予め加温されたFGM−2と交換した。タイマーを10分間開始させ、20μLを希釈プレートの各ウェルから培養プレートの対応するウェルに移した。10分後、細胞プレート中の溶液を吸引により完全に取り除き、100μLの完全溶解緩衝液と交換した。インキュベーション時間の差を最小にするために、溶解緩衝液を処理と同じ順序でウェルに添加した。次に、アッセイプレートを10分間振盪器に設置した。振盪後、溶解物は、後の試験のために−80℃で凍結されるか、又は抗pSTAT3でコーティングされたELISAプレートに直接移されるかのいずれかであった。ELISA(R&D Systems human/mouse pSTAT3 Duoset)は、1)90μLの溶解物又は標準物のみが各ウェルに添加された、及び2)SuperSignal Pico(ThermoScientific 37069)がHRP基質として使用されたことを除き、製造者の指示に従い行われた。ELISAプレートは、Victor3プレート読み取り器上で発光について読み取られた。
【0169】
ヒトオンコスタチンMは、約1ng/mLのEC50でNHLF細胞においてpSTAT3を増加させた。オンコスタチンM用量応答の例を
図4Aに提供する。この例において、EC50は0.90ng/mLであり、95%信頼区間は0.70〜1.17ng/mLであった。抗オンコスタチンM抗体の中和能力は、2ng/mLのオンコスタチンMの存在下で決定され、データの全ては、抗体が存在しない2ng/mLのOSMの存在下の発光に正規化された。
図4Bは、M71によるOSM誘発STAT3リン酸化反応の用量依存中和を示す。M71の濃度が増加すると、STAT3リン酸化反応の程度が減少する。用量応答曲線は、6つの別個の実験からのデータから計算され、計算されたM71のIC50は8.9ng/mLであり、95%信頼区間は6.9〜11.6ng/mLであった。
【0170】
実施例6:インビボでの活性
M71は、ヒトオンコスタチンMの全身性投与後のインビボでサイトカインの産生を遮断するその能力について評価された。ヒトオンコスタチンMの腹腔内注入は、おそらくマウス白血病阻害因子受容体を通して、及びそれと相互作用して特定の血清サイトカインのレベルを増加させる。
【0171】
ヒトオンコスタチンMのマウスへの全身(i.p.)投与は、抗オンコスタチンMモノクローナル抗体がインビボ設定で中和する能力を評価するためのモデルとして開発された。マウスは、200μLのPBS中の10μgのヒトオンコスタチンM又はPBSビヒクル対照でi.p.注入された。1時間後、マウスをCO2で麻酔し、末端心穿刺により血液を採取した。個々の血液サンプルを氷上で20分間凝固させ、次に3500rpmで10〜15分間回転させた。血清サンプルは、製造者の指示により、MilliplexマウスMAPサイトカイン/ケモカインマルチプレックス(32)パネルを用いて分析され
るまで凍結させた。サンプルの分析は、ビヒクル対照と比較して、ヒトオンコスタチンMがパネルの他のサイトカインに対して作用することなくマウスKC、IP−10、MCP−1、IL−6、及びエオタキシンの血清レベルを顕著に増加させたことを示した。これらのデータは、ヒトオンコスタチンMの注入が、おそらく抗オンコスタチンM抗体がインビボで中和する能力を試験するために使用され得るマウス白血病阻害因子受容体との相互作用を通してサイトカイン放出を誘発することを示す(Richards et al.J Immunol.159:2431〜37,1997、Lindberg et al.,Mol Cell Biol 18:3357〜3367,1988)。
【0172】
M71及びM55は、マウス全身投与モデルで評価された。簡潔に、マウスは、M71又はM55(20、2.0、又は0.2mg/kgのヒトIgG1抗ヒトOsm)、CNTO6234(huIgG1アイソタイプ対照、20mg/kg)、又は10μL/gの容量のPBSで皮下的に投与された。24時間後、次いで各マウスは、0.1%のマウス血清アルブミン(Sigma A3559)を含むPBS(Sigma D8357)中の10μgの実験室内で生成されたCHO細胞由来組み換えヒトオンコスタチンM、又はPBS−MSAビヒクル対照のみ(総容量200μL)のいずれかでi.p.注入された。1時間後、マウスをCO2で麻酔し、末端心穿刺により血液を採取した。個々の血液サンプルを氷上で20分間凝固させ、次に3500rpmで10〜15分間回転させた。血清サンプルは、MilliplexマウスMAPサイトカイン/ケモカインマルチプレックス(32)パネルを用いて分析されるまで凍結させた。血清サンプルを製造者の指示により分析した。
【0173】
ヒトオンコスタチンMは、キットにより検出された5つサイトカイン(エオタキシン、IL−6、IP−10、KC、及びMCP−1)の血清レベルにおいて大幅な(対合されないStudentのt検定)増加を誘発した。20mg/kgのアイソタイプ対照CNTO6234での前投与は、オンコスタチンM誘発サイトカイン放出に対して作用がなかった。しかしながら、M71による前投与は、2.0及び20mg/kgでIP−10、MCP−1、IL−6、及びエオタキシン並びに20mg/kgでKCの、血清レベルを大幅に減少させた。0.2mg/kgのM71でサイトカインのいずれに対しても作用はなかった。M71及びアイソタイプ対照のIP−10及びMCP−1に対する作用を、それぞれ、
図5A及びBに示す。20及び2.0mg/kgの両方での中和はIP−10でのみ見られたが、強い中和はM55であまり観察されなかった。IL−6、エオタキシン、及びMCP−1の血清レベルは、20mg/kgのM55で減少したが、KCレベルでの減少は、M55のいずれの用量でも見られなかった。これらのデータは、抗オンコスタチンM抗体がマウス全身投与モデルにおいて外因性ヒトオンコスタチンMの生物学的作用を中和する能力を示した。
【0174】
IP−10(インターフェロンγ誘発タンパク質10kDa又は低誘発性サイトカインB10)は、ヒトにおいて、CXCL10遺伝子(C−X−Cモチーフケモカイン10(CXCL10))によりコードされるタンパク質である。CXCL10は、単球/マクロファージ、T細胞、NK細胞、及び樹状細胞における化学誘引、並びに内皮細胞へのT細胞付着促進等の、幾つかの役割に起因する。現在ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド1(CXCL1)として知られるKCは、以前はGRO1癌遺伝子、GROα、好中球活性化タンパク質3(NAP−3)、及びメラノーマ成長刺激活性α(MSGA−α)とも呼ばれたCXCケモカインファミリーに属する低分子サイトカインである。ヒトにおいて、このタンパク質は、CXCL1遺伝子によりコードされる。CXCL1は、マクロファージ、好中球、及び上皮細胞によって発現し、好中球化学誘引物質活性を有する。
【0175】
実施例7.共結晶学
V領域H17(配列番号51)及びL180(配列番号55)を含むFab断片は、ヒ
トOSM(配列番号10)残基26〜212と共に結晶化された。
【0176】
OSMは、gp130サイトカインファミリーの他のメンバーとその4つの螺旋体束3次元構造を共有する。4つの螺旋体束構造は、比較的非構造的なループによって結合されるA(残基10〜37)、B(残基67〜90)、C(残基105〜131)、及びD(残基159〜185)と呼ばれる4つのα螺旋体セグメントを特徴とする。OSMは、螺旋体A及びCに位置するアミノ酸残基(Q16、Q20、G120、N123、N124)を含むエピトープ指向部位IIを介してgp130と相互作用する(Deller et al.Structure 8(8):863〜874,2000、Liu et al.Int.J.Mol.Med.23:161〜172,2009)。OSMRβ及びLIFRαとのOSM相互作用に関与するエピトープである部位IIIは、大部分は螺旋体Dに位置する残基によって画定されると考えられている(Deller et al.Structure 8(8):863〜874,2000)。
【0177】
結晶化
複合体の結晶化は、0.2μLのタンパク質複合体(10.95mg/mL)及び0.2μLのリザーバ溶液の等容量を分配するOryx4タンパク質結晶化ロボット(Douglas Instruments)を使用して、20℃でシッティングドロップ(sitting-drop)蒸気拡散法により実施された。多重結晶化スクリーニングが実施された。大半の液滴は透明なままであり、複合体の高可溶性を示す。結晶は、0.1MのMES(pH
6.5)、2.4Mの硫酸アンモニウム、及び0.1Mのトリス(pH 8.5)、3.5Mのギ酸ナトリムから得た。
【0178】
結晶構造溶液の結果
H14/L180 Fabと接触するOSM残基は、結合エピトープを構成する。OSMと接触する抗体残基は、結合パラトープを構成する。2つの可変ドメインの6つ全てのCDRは、OSM結合に関与する。接触する残基は表13に記載され、
図5に示される。重鎖可変領域H1のCDRと共に、長いCDR−L1は、底部に小さい隆起を有する谷のような結合部位を形成する(
図4C、左側のパネル)。結合時、谷の両側は、2つの螺旋体の間に底部隆起結合を有する螺旋体A及びCに沿ってOSMの4つの螺旋体束を抱持する(
図4C、右側のパネル)。抗体及び抗原結合接触面は、溶媒アクセス可能表面の2,514Å2を埋設する(Abにおいては1225Å2及びAgについては1298Å2)。接触面に多くの荷電残基が存在するが、荷電−荷電対合は存在せず、vdw及びH結合が抗体及び抗原相互作用に最も重要な役割を果たすことを示唆する。
【0179】
【表14】
*距離カットオフ値は、H結合(太字で強調される)においては3.3Å、そしてvd
w接触においては3.9Åである。
【0180】
よって、H17/L180 Fabは、gp130、Q20及びG120によって、並びにA及びC螺旋体に沿って接触することが以前に示された残基でOSMに接触する。
【0181】
実施例8:薬物動態
OSMは、細胞上の細胞表面提示標的とは反対に、炎症性過程に関連する可溶性標的である。本明細書で発見された結合領域を含み、Fcドメインを更に有する完全なIgGの性質は、よって、改変FcR結合を付与する変異体でFcを操作する方法を使用して、その使用に関連する目的及び治療仕様に合わせることができる。
【0182】
本発明の組成物において、循環における活性の維持及び持続性は、治療用モノクローナルIgGの有益な仕様である。したがって、Fcドメインは、新生児受容体(FcRn)に対して強化された親和性を有する。
【0183】
N434S(US第7371826号、WO第2006/053301号)と組み合わせて、前述される変異M428L(MedImmune、米国特許第7670600号)を使用して、標準的な組み換え技法を用いて変異した野生型の抗体を構築した。これらの2つのMabであるM71及びM71 L/Sは、標準的な活性アッセイにおいて比較さ
れ、ヒト以外の霊長類の循環における持続性について比較された。
【0184】
アッセイ
M71及びM71 L/Sは、A375−S2増殖アッセイにおいて、並べて比較された。用量応答は、1〜5希釈で1μg/mLの開始濃度から0.00032μg/mLまで評価された。1μg/mLの濃度で、これらの抗体のアイソタイプ対照であるCNTO3930及びCNTO8852は、それぞれ、2ng/mLのヒトオンコスタチンMが増殖を阻害する能力に対して効果がなかった。M71及びM71 L/Sの両方は、1μg/mLでオンコスタチンMの作用を完全に中和し、IC50において測定可能な相違はなかった。
【0185】
マウス全身投与モデルにおいて、M71及びM71 L/Sを比較した。簡潔に、マウスは、M71及びM71 L/S(20、10、又は5.0mg/kg)、CNTO3930(huIgG1アイソタイプ対照、20mg/kg)、CNTO8852(Fc変異型のアイソタイプ対照、20mg/kg)、又は10μL/gの容量のPBSで皮下的に投与された。24時間後、各マウスは、0.1%のマウス血清アルブミン(Sigma A3559)を含むPBS(Sigma D8357)中の10μgの室内で生成されたCHO細胞由来組み換えヒトオンコスタチンM、又はPBS−MSAビヒクル対照のみ(総容量200μL)のいずれかでi.p.注入された。1時間後、マウスをCO2で麻酔し、末端心穿刺により血液を採取した。個々の血液サンプルを氷上で20分間凝固させ、次に3500rpmで10〜15分間回転させた。IL−6、MCP−1、エオタキシン、KC、及びIP−10に特異的なビーズからなる特注のMilliporeマウスマルチプレックスを使用して分析するまで血清サンプルを凍結した。いずれのアイソタイプ対照は、ヒトオンコスタチンMによって誘発されたサイトカイン放出に対していずれの作用もなかった。しかしながら、M71及びM71 L/Sの両方は、オンコスタチンM誘発サイトカイン放出を中和し、潜在能又は有効性において明らかな相違はなかった。
【0186】
薬物動態分析
非末端カニクイザル薬物動態研究において、M71及びM71 L/Sの血清半減期を比較した。研究は、総数12匹のカニクイザルを含み、各抗体について皮下(s.c.、n=3)及び静脈内(i.v.、n=3)投与を評価した。3mg/kgの抗体が投与され、研究は60日にわたって行われた。血液サンプルは、1(IV群のみ)時間及び6時間、並びに1、2、4、6、8、12、16、30、37、45、及び60日目に採取された。サンプルからの血清は、試験まで−80℃で凍結された。血清の抗体レベルは、カニクイザル血清において、MesoScale Discoveryプラットホーム用に最適化されたELISAを使用して決定された。ビオチン化捕捉抗体は、M71(マウス抗M71)に対して生じた抗イディオタイプ抗体であった。検出抗体はルテニウム標識された抗ヒトIgGであり、読み出しはMesoScale Discovery化学発光であった。
【0187】
研究の結果を
図6A及びBに示す。
図6Aは、M71の血清半減期が15.21+/−3.0日であり、M71 L/Sの半減期が29.4+/−2.3日であるi.v.投与からのプロットを示す。同様の結果がs.c.投与(
図6B)から得られ、M71においては15.4+/−4日の血清半減期であり、M71 L/Sにおいては32.0+/−5.9日であった。
【0188】
結果は、M71 L/S t 1/2がM71と比較して、約2倍増加したことを示した。