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特開2017-200629コンピュータプログラム及びゲームシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-200629(P2017-200629A)
(43)【公開日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム及びゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/52 20140101AFI20171013BHJP
   A63F 13/55 20140101ALI20171013BHJP
   A63F 13/803 20140101ALI20171013BHJP
【FI】
   A63F13/52
   A63F13/55
   A63F13/803
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-157363(P2017-157363)
(22)【出願日】2017年8月17日
(62)【分割の表示】特願2012-216005(P2012-216005)の分割
【原出願日】2012年9月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 充
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直樹
(57)【要約】
【課題】 プレイシーンとムービーシーンとの切り替えの際に、キャラクタの行動態様に関連する不整合を解消できるコンピュータプログラム及びゲームシステムを提供する。
【解決手段】 ゲームシステム2は、仮想ゲーム空間生成40と、プレイシーンの進行を制御するプレイシーン制御部41と、ユーザの操作入力によるキャラクタの行動態様の決定を不能とし、所定のムービーシーンが再生されるムービー再生部42と、プレイシーン及びムービーシーンを切り替えるシーン切替部43と、プレイシーンでのキャラクタの行動態様をムービーシーンに整合するように規制するキャラクタ態様規制部44とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
キャラクタが行動する仮想ゲーム空間を生成する仮想ゲーム空間生成手段、
ユーザの操作入力に応じて前記仮想ゲーム空間内でのキャラクタの行動態様が決定されるプレイシーンの進行を制御するプレイシーン制御手段、
ユーザの操作入力によるキャラクタの行動態様の決定を不能とし、所定のムービーシーンが再生されるムービー再生手段、
前記プレイシーンと前記ムービーシーンとを切り替えるシーン切替手段、及び、
前記ムービーシーンと、該ムービーシーンの直前の前記プレイシーンとで、前記キャラクタの行動態様が整合するように、前記ムービーシーンを再生する前の所定の切替準備タイミングで、前記プレイシーンでのキャラクタの行動態様を規制する、キャラクタ態様規制手段、
として機能させ、
前記行動態様は、前記仮想ゲーム空間内でのキャラクタの移動方法であり、
前記キャラクタ態様規制手段は、前記プレイシーンでのキャラクタの移動方法を前記ムービーシーンに整合するように規制する、
コンピュータプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンピュータプログラムを記憶したプログラム記憶部と、該プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータと、を備えた、ゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進行中に所定のムービーシーンが再生されるようなゲームを実行可能なコンピュータプログラム及びゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクションゲームやロールプレイングゲームなど、ユーザの操作に応じてプレイヤキャラクタ(PC)を仮想ゲーム空間内で行動させるゲームがある。また、この種のゲームにおいて、ユーザがPCを操作してゲームを進行させている途中(プレイシーンの途中)で、所定のムービーシーンの表示に画面を切り替える技術が知られている(特許文献1参照)。当該特許文献1では、このようなムービーシーンを適宜挿入して再生することにより、ゲームのエンターテイメント性の向上が図れる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−11243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プレイシーンでのPCの行動態様とムービーシーンの内容とに不整合が生じ、ユーザに違和感を抱かせる可能性がある。例えば、レースゲームにおいて、ユーザが操作するPCの一例である乗物が時速100kmで走行している場合に、その直後に再生されたムービーシーンでは当該乗物が時速60kmで走行している内容になっていると、ユーザに違和感を生じさせることがある。
【0005】
そこで本発明は、プレイシーンとムービーシーンとが切り替わるゲームにおいて、キャラクタの行動態様に関連する両シーンでの不整合を解消することができるコンピュータプログラム及びゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、キャラクタが行動する仮想ゲーム空間を生成する仮想ゲーム空間生成手段、ユーザの操作入力に応じて前記仮想ゲーム空間内でのキャラクタの行動態様が決定されるプレイシーンの進行を制御するプレイシーン制御手段、ユーザの操作入力によるキャラクタの行動態様の決定を不能とし、所定のムービーシーンが再生されるムービー再生手段、前記プレイシーンと前記ムービーシーンとを切り替えるシーン切替手段、及び、前記ムービーシーンと、該ムービーシーンの直前又は直後の前記プレイシーンとで、前記キャラクタの行動態様に関連する不整合が存在する場合に、前記プレイシーンでのキャラクタの行動態様を前記ムービーシーンに整合するように規制する、キャラクタ態様規制手段、として機能させる。
【0007】
これにより、プレイシーンでのキャラクタの行動態様を規制するので、ムービーシーンとプレイシーンとで、キャラクタの行動態様に関連する不整合が解消され、ユーザに違和感が生じるのを抑制することができる。
【0008】
また、前記仮想ゲーム空間には、前記プレイシーンにて前記キャラクタが移動可能な移動領域が設定され、該移動領域内には、少なくとも前記キャラクタの到達によって前記ムービーシーンが再生される再生地点と、該再生地点の直前の所定範囲にわたる規制ゾーンと、が設けられており、前記キャラクタ態様規制手段は、ムービーシーンとその直前のプレイシーンとで前記不整合が存在する場合に、前記規制ゾーンにてキャラクタの行動態様を漸次的に規制することとしてもよい。
【0009】
これにより、プレイシーンからムービーシーンへの切り替えに際して、キャラクタの行動態様を漸次的に規制し、ユーザに違和感を生じさせることなく不整合を解消することができる。
【0010】
また、前記規制ゾーンは複数のサブゾーンに区分けされており、該サブゾーンごとにキャラクタの行動態様の規制内容が異なっていてもよい。
【0011】
これにより、キャラクタの行動態様を漸次的に規制するにあたり、より具体的には段階的に規制することができる。従って、ユーザに違和感を生じさせることなく、不整合を解消することができる。
【0012】
また、前記行動態様は、前記仮想ゲーム空間内でのキャラクタの移動スピードであり、前記キャラクタ態様規制手段は、前記ムービーシーンと、該ムービーシーンの直前又は直後の前記プレイシーンとで、前記キャラクタの移動スピードに関連する不整合が存在する場合に、前記プレイシーンでのキャラクタの移動スピードを前記ムービーシーンに整合するように規制することとしてもよい。
【0013】
これにより、例えばレースゲームにおいて、ムービーシーンとプレイシーンとでキャラクタの移動スピードに関連する不整合があった場合であっても、これを解消してユーザに違和感を生じさせることがない。
【0014】
また、前記行動態様は、前記仮想ゲーム空間内でのキャラクタの移動方法であり、前記キャラクタ態様規制手段は、前記ムービーシーンと、該ムービーシーンの直前又は直後の前記プレイシーンとで、前記キャラクタの移動方法に関連する不整合が存在する場合に、前記プレイシーンでのキャラクタの移動方法を前記ムービーシーンに整合するように規制することとしてもよい。
【0015】
これにより、例えばアクションゲームにおいて、ムービーシーンとプレイシーンとでPCの移動時の移動方法に関連する不整合があった場合であっても、これを解消してユーザに違和感を生じさせることがない。
【0016】
本発明に係るゲームシステムは、上述した何れかに記載のコンピュータプログラムを記憶したプログラム記憶部と、該プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータと、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プレイシーンとムービーシーンとが切り替わるゲームにおいて、キャラクタの行動態様に関連する両シーンでの不整合を解消することができるコンピュータプログラム及びゲームシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係るゲームシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】ゲームシステムの機能的構成を示すブロック図である。
図3】プレイシーンからムービーシーンへ切り替わるときのゲームシステムの動作を示すフローチャートである。
図4】本発明を適用したゲームを説明するための模式図である。
図5】ムービーシーンからプレイシーンへ切り替わるときのゲームシステムの動作を示すフローチャートである。
図6】本発明を適用した他のゲームを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係るコンピュータプログラム及びゲームシステムについて、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
[ハードウェア構成]
図1は、ゲームシステム2のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すようにゲームシステム2は、他のゲームシステム2及びサーバ装置3との間で、インターネット又はLANなどの通信ネットワークNWを介して互いに通信可能である。このゲームシステム2は、その動作を制御するコンピュータであるCPU10を備え、該CPU10にはバス11を介して、ディスクドライブ12、メモリカードスロット13、プログラム記憶部を成すHDD14及びROM15、並びにRAM16が接続されている。
【0021】
ディスクドライブ12には、DVD−ROM等のディスク型記録媒体30が装填可能であり、該ディスク型記録媒体30には、本実施の形態に係るゲームプログラム30aや、本実施の形態で説明するゲームに登場するキャラクタ(プレイヤキャラクタや敵キャラクタなど)や仮想ゲーム空間を形成するのに必要なオブジェクト及びテクスチャ等のゲームデータ30bなどが記録されている。また、メモリカードスロット13にはカード型記録媒体31が装填でき、ゲームの途中経過等のプレイ状況を示すセーブデータを、CPU10からの指示に応じて記録可能である。
【0022】
HDD14はゲームシステム2が内蔵する大容量記録媒体であって、ディスク型記録媒体30から読み込んだゲームプログラム30a及びゲームデータ30b、更にはセーブデータ等を記録する。ROM15は、マスクROM又はPROMなどの半導体メモリであり、ゲームシステム2を起動する起動プログラムや、ディスク型記録媒体30が装填されたときの動作を制御するプログラムなどを記録している。RAM16は、DRAM又はSRAMなどから成り、CPU10が実行すべきゲームプログラム30aや、その実行の際に必要になるゲームデータ30bなどを、ゲームのプレイ状況に応じてディスク型記録媒体30又はHDD14から読み込んで一時的に記録する。
【0023】
CPU10には更に、バス11を介してグラフィック処理部17、オーディオ合成部20、無線通信制御部23、及びネットワークインタフェース25が接続されている。
【0024】
このうちグラフィック処理部17は、CPU10の指示に従って仮想ゲーム空間や各キャラクタ等を含むゲーム画像を描画し、更に、このゲーム画像に重ねて、例えばプレイヤキャラクタが発言したメッセージを描画する。また、グラフィック処理部17にはビデオ変換部18を介して外部ディスプレイ19が接続されており、グラフィック処理部17にて描画されたゲーム画像はビデオ変換部18において動画形式に変換され、更にディスプレイ19にて表示される。
【0025】
オーディオ合成部20は、CPU10の指示に従ってデジタルのゲーム音声を再生及び合成する。また、オーディオ合成部20にはオーディオ変換部21を介して外部スピーカ22が接続されている。従って、オーディオ合成部20にて再生及び合成されたゲーム音声は、オーディオ変換部21にてアナログ形式にデコードされ、更にスピーカ22から外部へ出力されるようになっている。
【0026】
無線通信制御部23は、2.4GHz帯の無線通信モジュールを有し、ゲームシステム2に付属するコントローラ(外部入力装置)24との間で無線により接続され、データの送受信が可能となっている。ユーザは、このコントローラ24に設けられたボタン等の操作子(図示せず)を操作することにより、ゲームシステム2へ操作信号を入力することができ、ディスプレイ19に表示されるプレイヤキャラクタPCの行動を制御可能になっている。また、ネットワークインタフェース25は、通信ネットワークNWに対してゲームシステム2を接続するものであり、他のゲームシステム2又はサーバ装置3との間で通信可能である。そして、ゲームシステム2を、通信ネットワークNWを介して他のゲームシステム2と接続し、互いにデータを送受信することにより、同一のゲーム空間内で同期して複数のプレイヤキャラクタを表示させることができる。従って、複数人が共同してゲームを進行させるマルチプレイが可能になっている。
【0027】
[ゲームシステムの機能的構成]
図2は、上述したゲームシステム2の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すようにゲームシステム2は、仮想ゲーム空間生成部40、プレイシーン制御部41、ムービー再生部42、シーン切替部43、及びキャラクタ態様規制部44を含む各種機能を備えている。これらの機能は、CPU10がゲームプログラム30aを実行することによって実現されるものである。
【0028】
仮想ゲーム空間生成部40は、ユーザが操作するプレイヤキャラクタの行動場所である仮想ゲーム空間を生成し、ディスプレイ19に表示する。例えば、キャラクタの移動に伴って、ゲームデータ30bに含まれるオブジェクト及びテクスチャ等のデータを使用して三次元の仮想ゲーム空間を生成する。また、生成した仮想ゲーム空間を所定の仮想カメラで撮影したときの二次元画像を所定のフレームレートで生成し、各二次元画像を順次ディスプレイ19に表示する。
【0029】
プレイシーン制御部41は、プレイシーンの進行を制御する。本実施の形態において、このプレイシーンとは、ユーザの操作入力に応じて、仮想ゲーム空間内でのプレイヤキャラクタの行動態様が決定されるシーンを意味する。従って、プレイシーン制御部41は、例えばユーザによるコントローラ24の操作に応じて、仮想ゲーム空間内でプレイヤキャラクタ(例えば、乗物)の移動速度を変更したり、プレイヤキャラクタ(例えば、人)の姿勢を変更したりする。なお、プレイシーン制御部41は、プレイヤキャラクタの行動やゲーム状況に応じて、他のノンプレイヤキャラクタ(ユーザが直接その行動を操作できないキャラクタ)の行動を適宜決定したりもする。
【0030】
ムービー再生部42は、ユーザの操作入力によるプレイヤキャラクタの行動態様の決定を不能とし、所定のムービーシーン(動画)を再生する。ムービーシーンの再生の開始は、例えばプレイシーンにてプレイヤキャラクタが所定の地点に到達(あるいは、領域に進入)したり、当該地点で所定の行動を実行したりするなど、所定の条件が満たされたタイミングで実行され、再生されたムービーシーンはディスプレイ19に表示される。
【0031】
ここで、ムービー再生部42が再生するムービーシーンとしては、ゲーム状況の一部を示すカットシーンを予め映像データとして作成しておいたムービー(即ち、プリレンダリングムービー)を対象としており、映像及び音声が含まれる。なお、ゲームシステム2は、プリレンダリングムービーの他に、ゲームの進行中にリアルタイムに演算を行って作成したムービー(即ち、リアルタイムレンダリングムービー)を再生する機能を別途備えていてもよい。
【0032】
シーン切替部43は、上述したような所定のタイミングで、プレイシーンからムービーシーンへの切り替えを行うと共に、ムービーシーンの終了後には再びプレイシーンへ切り替えることにより、ユーザの操作入力によるプレイヤキャラクタの行動態様の決定を可能とする。
【0033】
キャラクタ態様規制部44は、ムービーシーンとプレイシーンとの整合を図るために、プレイヤキャラクタの行動態様を規制する。より詳しくは、ムービーシーンと、該ムービーシーンの直前又は直後のプレイシーンとで、プレイヤキャラクタの行動態様に関連する不整合が存在する場合に、該プレイシーンでのプレイヤキャラクタの行動態様をムービーシーンに整合するように規制する。例えば、プレイシーンとその直後のムービーシーンとで、プレイヤキャラクタの移動速度や姿勢にズレ(不整合)が存在する場合、キャラクタ態様規制部44は、事前のプレイシーンにてプレイヤキャラクタの行動態様を規制し、この不整合を解消する。
【0034】
[ゲームシステムの動作フロー]
次に、ゲームシステム2が実行するキャラクタ態様規制処理について説明する。図3は、ゲームシステム2の動作を示すフローチャートであり、ムービーシーンとその直前のプレイシーンとで、プレイヤキャラクタの行動態様に関連する不整合が存在する場合に、これを解消する処理を示すものである。また、図4は、自動車のレースゲームに本発明を適用した場合を説明するための模式図である。
【0035】
図4に示すように、本実施の形態に係るレースゲームでは、仮想ゲーム空間100に、プレイヤキャラクタを成す車両PCが走行するコース101が設定されている。このコース101には、車両PCが走行する様子がムービーシーンにより再生される対象箇所として、コーナーP1や水溜りP2などが設けられている。このようなコースレイアウト上の一又は複数の対象箇所には、ムービー再生地点102がコース101を横切るようにして設けられている(図4に示す破線参照)。各ムービー再生地点102には、対応する対象箇所を走行する車両PCを所定のカメラアングルで撮影したムービーシーン(プリレンダリングムービー)が関連付けられ、各映像データはゲームデータ30bに記録されている。例えば、コーナーP1にはその入口にムービー再生地点102が設定されており、当該ムービー再生地点102には、コーナーP1にアウトコースから進入した車両PCが時速60kmで通過して行く様子を撮影したムービーシーンが関連付けられている。
【0036】
また、各ムービー再生地点102の直前には、車両PCの行動態様を規制する、所定範囲にわたる規制ゾーン103が設定されている。なお、コース101において、上記対象箇所(コーナーP1や水溜りP2など)及び規制ゾーン103を除く部分を、ここではプレイゾーン105と称する。規制ゾーン103及びプレイゾーン105は、プレイヤによるコントローラ24の操作に応じて車両PCは行動態様が制御される領域(即ち、プレイシーンにてキャラクタが移動可能な「移動領域」)であり、これらの移動領域に車両PCが位置する間は、プレイシーン制御部41によってゲーム進行が制御される。以下では、ゲームの開始後、ムービー再生地点102が設定されたコーナーP1へ車両PCが進入する場合を例にして説明する。
【0037】
はじめに、ユーザによって当該レースゲームが開始されると、図3に示すようにゲームシステム2は、ユーザ操作に応じてプレイシーンの進行制御を行う(ステップS1)。例えば、スタート地点から走り始めた車両PCは、ユーザ操作に従ってスピードを上げつつ、コース101に沿ってプレイゾーン105を走行する。このように車両PCがプレイゾーン105を走行している間、ゲームシステム2は、ユーザによるコントローラ24の操作入力に応じて、車両PCの行動態様(例えば、移動スピードや移動方向)を決定し、この決定に基づいて車両PCを動作させる。なお、プレイシーンでの車両PCの行動態様は、車両PCに対して予め設定された初期性能(移動スピードの上限値や操舵能力に関する性能)の範囲内で、ユーザの操作入力に基づき決定される。
【0038】
また、プレイシーンでは、仮想ゲーム空間100をプレイシーン用の所定の仮想カメラ(例えば、ドライバ視点又は車両PCの後ろ上方に配置した仮想カメラ)で撮影した映像(画像)がディスプレイ19に表示される。この映像は、ゲームの進行に応じて順次生成され、ディスプレイ19に表示される。
【0039】
ゲームシステム2は、所定のタイミング(例えば、1フレームごと)で、プレイシーンからムービーシーンへの切り替え準備をすべきタイミングが到来したか否かを判定する(ステップS2)。本レースゲームにおいては、車両PCが規制ゾーン103に進入したか否かに基づき、上記タイミングが到来したか否かを判定する。そして、切り替え準備タイミングが到来していないと判定した場合は(ステップS2:NO)、引き続きプレイシーンの進行制御を行う(ステップS1)。一方、車両PCが規制ゾーン103に進入することで、切り替え準備タイミングが到来したと判定した場合は(ステップS2:YES)、キャラクタ態様規制処理(ステップS3)を実行する。
【0040】
ここでは、ムービー再生地点102(コーナーP1)に関連付けられたムービーシーンと、該ムービーシーンの直前のプレイシーンとで、車両PCの行動態様(移動スピード及びコース幅方向の位置)に不整合が存在する場合に、プレイシーンでの車両PCの行動態様をムービーシーンに整合するように規制する。
【0041】
より具体的に説明する。図4に示すように、コーナーP1(ムービー再生地点102)の直前に設定された規制ゾーン103は、複数のサブゾーン104(104A,104B,104C)に区分けされており、サブゾーン104ごとに車両PCの行動態様に対する規制内容が異なっている。即ち、コーナーP1から最も離れたサブゾーン104Aから最も近いサブゾーン104Cへ向かうに従って、ムービーシーンでの車両PCの行動態様(時速60km,アウトコースの配置)に近づくように規制する。
【0042】
例えば、サブゾーン104Aでは、コース幅方向の左側80%の範囲内で、且つ、時速55km〜90kmの範囲内での走行のみを許容する。次のサブゾーン104Bでは、コース幅方向の左側60%の範囲内で、且つ、時速55km〜80kmの範囲内での走行のみを許容する。更に次のサブゾーン104Cでは、コース幅方向の左側40%の範囲内で、且つ、時速55km〜70kmの範囲内での走行のみを許容する。なお、あるサブゾーン104の終了地点での車両PCの行動態様が、次のサブゾーン104の許容範囲から外れている場合がありえる。この場合には、サブゾーン104の移行と同時に車両PCの行動態様を許容範囲内に修正してもよいし、サブゾーン104の移行後、所定の時間を費やして徐々に許容範囲内に収まるように修正してもよい。
【0043】
次に、図3に示すようにムービーシーンへの切り替えタイミングが到来したか否かを判定する(ステップS4)。本レースゲームにおいては、車両PCがムービー再生地点102(コーナーP1の入口であって、規制ゾーン103の終点と同一地点)に到達したか否かに基づき、上記タイミングが到来したか否かを判定する。そして、切り替えタイミングが到来していないと判定した場合は(ステップS4:NO)、引き続きキャラクタ態様規制処理(ステップS3)を行う。一方、切り替えタイミングが到来したと判定した場合は(ステップS4:YES)、シーンの切り替えを行い(ステップS5)、上記ムービー再生地点102に関連付けられたムービーシーンを再生する(ステップS6)。なお、ムービーシーンの再生中は、ユーザによる車両PCの操作は不可となる。
【0044】
このような処理により、プレイシーンからムービーシーンへ切り替わる場合に、車両PCの行動態様に関連する不整合が解消され、ムービーシーンを見たユーザに違和感が生じるのを抑制できる。また、車両PCが規制ゾーン103を通過するまでの所定時間をかけて行動態様を整合させ、且つ、規制ゾーン103を通過している間にもユーザによる車両PCの操作をある程度許容するため、上記のような規制処理の存在自体をユーザに気づかれにくくなっている。
【0045】
上記では、プレイシーンからムービーシーンへ切り替える場合について説明したが、ムービーシーンからプレイシーンへ切り替える場合にも、本発明を適用することができる。図5は、ゲームシステム2の動作を示すフローチャートであり、ムービーシーンとその直後のプレイシーンとで、プレイヤキャラクタの行動態様に関連する不整合が存在する(存在し得る)場合に、これを解消する処理を示すものである。ここでも図4を参照しつつ、コーナーP1を出て再びプレイゾーン105へ車両PCが進行する場合を例にして説明する。
【0046】
図5に示すように、予め用意されたムービーシーンの再生(ステップS10)が終了すると、ムービーシーンからプレイシーンへの切り替えを行う(ステップS11)。即ち、ディスプレイ19の表示を、プレイシーン用の仮想カメラで撮影した仮想ゲーム空間100の映像に切り替え、プレイシーンの進行制御を再開する(ステップS12)。更に、ゲームシステム2は、プレイシーンの進行制御の再開と同時にキャラクタ態様規制処理(ステップS13)を実行する。
【0047】
このキャラクタ態様規制処理では、前のプレイシーンでの車両PCの行動態様の如何にかかわらず、現在の車両PCの行動態様を直前のムービーシーンの内容に一致させる。例えばムービーシーンが、コーナーP1に対して時速60kmでアウトコースから進入し、図4に二点鎖線で示すルートを通って時速70kmでインコースから抜ける内容であったとする。この場合、ステップS13のキャラクタ態様規制処理では、ステップS12で再開されるプレイシーンにおける車両PCの行動態様(移動スピード及び位置)を、ムービーシーンの終了時点における行動態様(時速70km,インコース)に規制する。その後は、ユーザによるコントローラ24の操作に従って、車両PCの行動態様が決定される。
【0048】
このような処理により、ムービーシーンからプレイシーンへ切り替わる場面においても、車両PCの行動態様に関連する不整合が解消される。従って、ムービーシーンを見ていたユーザが、プレイシーンに切り替わった際に違和感を抱くのを抑制することができる。なお、ムービーシーン直後のプレイシーンにおいても、規制ゾーンを設けてもよい。この規制ゾーンにおいては、ユーザがコントローラ24を操作した場合に車両PCの行動態様を変更できる許容範囲を徐々に広げる(徐々に規制を緩和する)ように設定してもよい。
【0049】
ところで、本発明は上記のようなレースゲームへの適用に限られない。例えば、ユーザが人型のキャラクタPCを操作して仮想ゲーム空間を行動させる、ロールプレイングゲームや、アクションゲームにも適用することができる。図6は、ユーザが人型のキャラクタPCを操作するアクションゲームに本発明を適用した場合を説明するための模式図である。
【0050】
図6に示すように、このアクションゲームにおいても、仮想ゲーム空間200にプレイゾーン201、ムービー再生地点202、及び規制ゾーン203などの領域が設定されている。具体的には、仮想ゲーム空間200に建物が配置されており、その入口P3がムービー再生地点202に設定されている。このムービー再生地点202には、キャラクタPCが前屈みの姿勢でドアを開けて建物内へ進入する様子を撮影したムービーシーン(プリレンダリングムービー)が関連付けられている。また、ムービー再生地点202を含む領域として、キャラクタPCの行動態様を規制する所定範囲にわたる規制ゾーン203が設定されている。更に、この規制ゾーン203を囲むようにして、ユーザ操作に応じてキャラクタPCの行動が決定されるプレイゾーン201が設定されている。なお、プレイゾーン201及び規制ゾーン203は、プレイヤによるコントローラ24の操作に応じて人型のキャラクタPCの行動態様が制御される領域(即ち、「移動領域」)であり、これらの移動領域にキャラクタPCが位置する間は、プレイシーン制御部41によってゲーム進行が制御される。
【0051】
以下では、図3のフローチャートと図6を参照しつつ、ゲームの開始後、プレイゾーン201に位置するキャラクタPCが、ムービー再生地点202が設定された建物の入口P3へ向かう場合を例にして説明する。
【0052】
はじめに、ユーザによって当該アクションゲームが開始されると、図3に示すようにゲームシステム2は、ユーザ操作に応じてプレイシーンの進行制御を行う(ステップS1)。例えば、ゲーム開始時点ではキャラクタPCをプレイゾーン201に配置し、ユーザ操作に従ってキャラクタPCの行動態様を決定し、この決定に基づいてキャラクタPCを動作させる。ここで、プレイゾーン201では、キャラクタPCの移動方法として、「ダッシュ」、「歩行」、「屈み歩き」のうち何れか一つを選択可能になっている。
【0053】
ゲームシステム2は、所定のタイミングで、プレイシーンからムービーシーンへの切り替え準備をすべきタイミングが到来したか否かを判定する(ステップS2)。本アクションゲームにおいては、キャラクタPCが規制ゾーン203に進入したか否かに基づき、上記タイミングが到来したか否かを判定する。そして、切り替え準備タイミングが到来していない判定した場合は(ステップS2:NO)、引き続きプレイシーンの進行制御を行う(ステップS1)。一方、キャラクタPCが規制ゾーン203に進入することで切り替え準備タイミングが到来したと判定した場合は(ステップS2:YES)、キャラクタ態様規制処理(ステップS3)を実行する。
【0054】
ここでは、ムービー再生地点202(建物の入口P3)に関連付けられたムービーシーンと、該ムービーシーンの直前のプレイシーンとで、キャラクタPCの行動態様(移動方法)に不整合が存在する場合に、プレイシーンでのキャラクタの行動態様をムービーシーンに整合するように規制する。
【0055】
より具体的に説明する。図6に示すように規制ゾーン203は、同心円状の複数のサブゾーン204(204A,204B)に区分けされており、サブゾーン204ごとにキャラクタPCの行動態様に対する規制内容が異なっている。即ち、入口P3から離れた外側のサブゾーン204Aよりも内側のサブゾーン204Bの方が、ムービーシーンでのキャラクタPCの行動態様(屈み歩き)に近づくように規制する。例えば、外側のサブゾーン204Aでは、ユーザの操作による「ダッシュ」での移動を禁止し、「歩行」及び「屈み歩き」のみを許容する。内側のサブゾーン204Bでは、ユーザの操作による「ダッシュ」及び「歩行」での移動を禁止し、「屈み歩き」のみを許容する。
【0056】
次に、図3に示すようにムービーシーンへの切り替えタイミングが到来したか否かを判定する(ステップS4)。本アクションゲームにおいては、キャラクタPCがムービー再生地点202(建物の入口P3)に到達し、且つ、ドアのノブに手を把持したか否かに基づき、上記タイミングが到来したか否かを判定する。そして、切り替えタイミングが到来していないと判定した場合は(ステップS4:NO)、引き続きキャラクタ態様規制処理(ステップS3)を行う。一方、切り替えタイミングが到来したと判定した場合は(ステップS4:YES)、シーンの切り替えを行い(ステップS5)、上記ムービー再生地点202に関連付けられたムービーシーンを再生する(ステップS6)。なお、ムービーシーンの再生中は、ユーザによるキャラクタPCの操作は不可となる。
【0057】
このような処理により、プレイシーンからムービーシーンへ切り替わる場合に、キャラクタPCの行動態様に関連する不整合が解消され、ムービーシーンを見たユーザに違和感が生じるのを抑制できる。
【0058】
なお、上述した実施の形態では、行動態様を規制するキャラクタとして車両や人型のキャラクタを例示したが、これらに限られず、ユーザがコントローラ24等によりその行動態様を操作(制御)することのできるキャラクタが含まれ得る。また、「行動態様」には、上述したような移動スピード,移動方向,移動方法の他、キャラクタの姿勢やモーションも含まれ得る。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、プレイシーンとムービーシーンとが切り替わるゲームにおいて、キャラクタの行動態様に関連する両シーンでの不整合を解消することができるコンピュータプログラム及びゲームシステムに適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
2 ゲームシステム
30a ゲームプログラム
30b ゲームデータ
40 仮想ゲーム空間生成部
41 プレイシーン制御部
42 ムービー再生部
43 シーン切替部
44 キャラクタ態様規制部
100,200 仮想ゲーム空間
PC プレイヤキャラクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6