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特開2017-200721歯車の歯部又は歯車状輪郭の工作物の歯部を硬質精密機械加工するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-200721(P2017-200721A)
(43)【公開日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】歯車の歯部又は歯車状輪郭の工作物の歯部を硬質精密機械加工するための方法
(51)【国際特許分類】
   B23F 5/04 20060101AFI20171013BHJP
   B23F 5/06 20060101ALI20171013BHJP
   G05B 19/4069 20060101ALI20171013BHJP
【FI】
   B23F5/04
   B23F5/06
   G05B19/4069
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-86794(P2017-86794)
(22)【出願日】2017年4月26日
(31)【優先権主張番号】10 2016 005 305.4
(32)【優先日】2016年5月2日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】515091795
【氏名又は名称】カップ ヴェルクゾイグマシーネン ゲー エム ベー ハー
【氏名又は名称原語表記】KAPP Werkzeugmaschinen GmbH
(71)【出願人】
【識別番号】513063062
【氏名又は名称】ニレス ヴェルクゾイグマシーネン ゲー エム ベー ハー
【氏名又は名称原語表記】NILES Werkzeugmaschinen GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、フランク
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB06
3C269BB03
3C269MN41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】精密研削プロセス又は研磨研削プロセスの間の補正における欠点を回避し、歯部及び歯車状輪郭の表面品質の改善を得ることができる加工方法を提供する。
【解決手段】a)少なくとも2つの軸方向に隣接する機械加工ゾーン4,5を備える硬質精密機械加工工具3を提供するステップであって、第1機械加工ゾーン4は、歯車2の歯部1の研削のために設計され、且つ第2機械加工ゾーン5は、歯部の精密研削及び/又は研磨のために設計される、ステップと、b)歯車の歯部を、第1機械加工ゾーンによって研削するステップであって、歯車の回転軸aと、硬質精密機械加工工具の回転軸bとの間に、第1旋回角βが存在する、ステップと、c)歯車の歯部を、第2機械加工ゾーンによって精密研削する及び/又は研磨するステップあって、歯車の回転軸と、硬質精密機械加工工具の回転軸との間に、第1旋回角とは異なる第2旋回角が存在する、ステップと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯車(2)の歯部(1)又は歯車状輪郭の工作物の歯部(1)を硬質精密機械加工するための方法であって、前記歯車(2)又は前記工作物は回転軸(a)を有し、前記方法において、前記歯車(2)の前記歯部(1)又は前記歯車状輪郭の前記工作物の前記歯部(1)は、硬質精密機械加工工具(3)によって機械加工され、前記硬質精密機械加工工具(3)は、回転軸(b)を有し、且つ硬質精密機械加工の間、前記回転軸(b)の周りを回転する、方法において、
前記方法は、
a)少なくとも2つの軸方向に隣接する機械加工ゾーン(4,5)を備える硬質精密機械加工工具(3)を提供するステップであって、第1機械加工ゾーン(4)は、前記歯車(2)の前記歯部(1)又は前記歯車状輪郭の前記工作物の前記歯部(1)の研削のために設計され、且つ第2機械加工ゾーン(5)は、前記歯部(1)又は前記歯車状輪郭の精密研削及び/又は研磨のために設計される、ステップと、
b)前記歯車(2)の前記歯部(1)又は前記歯車状輪郭の前記工作物の前記歯部(1)を、前記硬質精密機械加工工具(3)の前記第1機械加工ゾーン(4)によって研削するステップであって、前記歯車(2)又は前記工作物の前記回転軸(a)と、前記硬質精密機械加工工具(3)の前記回転軸(b)との間に、第1旋回角(β)が存在する、ステップと、
c)前記歯車(2)の前記歯部(1)又は前記歯車状輪郭の前記工作物の前記歯部(1)を、前記硬質精密機械加工工具(3)の前記第2機械加工ゾーン(5)によって精密研削する及び/又は研磨するステップであって、前記歯車(2)又は前記工作物の前記回転軸(a)と、前記硬質精密機械加工工具(3)の前記回転軸(b)との間に、前記第1旋回角(β)と異なる第2旋回角(β)が存在する、ステップと、
を備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記硬質精密機械加工工具(3)として、ウォーム状工具が使用されることを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記硬質精密機械加工工具(3)として、円盤形状の工具が使用されることを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記硬質精密機械加工工具(3)として、仕上げ可能な工具が使用されることを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法であって、
前記硬質精密機械加工工具(3)の輪郭(6)は、前記第1機械加工ゾーン(4)及び第2機械加工ゾーン(5)において同一であることを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記硬質精密機械加工工具(3)として、基体の中に研磨材を含む工具が使用され、前記第1機械加工ゾーン(4)における、及び前記第2機械加工ゾーン(5)における前記基体の材料の弾性係数は、異なることを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記第1機械加工ゾーン(4)における前記基体の材料の前記弾性係数は、前記第2機械加工ゾーン(5)におけるものよりも高いことを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
硬質精密機械加工ツール(3)として、前記第1機械加工ゾーン(4)においてセラミック材料から成る基体を有し、且つ前記第2機械加工ゾーン(5)においてプラスチック材料、特にポリウレタンを備える基体を有する工具が使用されることを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、
特性図又は公式関係が機械制御装置に格納され、該機械制御装置は、前記硬質精密機械加工工具(3)の所与の直径(D)に対する前記第1旋回角(β)と前記第2旋回角(β)との間の角度差(Δβ)の計算又はシミュレーション、及び請求項1に記載のステップc)の間の、前記歯部(1)又は前記歯車状輪郭の側面における望ましい除去量(Δs)の計算又はシミュレーションを、提供し、又は可能にすることを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
請求項1に記載のステップc)を実行することにおいて、前記特性図又は前記公式関係から、前記第1旋回角(β)と前記第2旋回角(β)との間で要求される角度差(Δβ)が、想起され、計算され、又はシミュレーションされ、且つ前記歯部(1)又は前記歯車状輪郭の側面における望ましい除去量(Δs)の仕様に従って、実現されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車の歯部又は歯車状輪郭の工作物の歯部を硬質精密機械加工するための方法に関し、歯車又は工作物は回転軸を有し、本方法においては、歯車の歯部又は歯車状輪郭の工作物の歯部は、硬質精密機械加工工具によって機械加工され、該硬質精密機械加工工具は、回転軸を有し、且つ硬質精密機械加工の間、該回転軸の周りを回転する。
【背景技術】
【0002】
最終的な研削プロセスは、特に歯車の生産において、高い重要性を有する。このプロセスでは、歯の側面は、該側面が正確な形状となるような研削動作を受ける。歯部の生産における効率的なプロセスは、研削ウォームを用いた生成的研削、又は輪郭研削ホイールによる輪郭研削である。
【0003】
上述の種類の方法は、独国特許出願第102010005435A1号(特許文献1)から既知である。特許文献1では、工作物の面領域に配置される歯部を機械加工するために、最初に粗い機械加工が、次に仕上げ機械加工が工作物に実行されるが、工具スピンドルは、衝突を回避するために、2つのプロセスステップ間で旋回される。更に、事前に知られる解決策として、国際公開第94/19135A1号パンフレット(特許文献2)、米国特許第6402607B2号(特許文献3)、及び米国特許第3708925号(特許文献4)に示されるものがある。
【0004】
歯部の側面の表面を最適化するために、研削プロセスそれ自体の他に、後で精密研削プロセス又は研磨プロセスを実行することが知られている。そのような精密研削プロセス又は研磨プロセスは、研磨研削プロセスとも呼ばれ、そしてそれは、続いて起こる機械加工仕上げプロセスであるが、このプロセスによって、歯部の表面の品質を向上させることが可能である。ごくわずかな除去量によって、歯側面の表面品質及び接触割合を向上させることが、上記精密研削プロセス又は研磨プロセスにおける機械加工の狙いである。
【0005】
それによって、多ステッププロセスが採用されるが、該多ステッププロセスでは、最初に従来の生成的研削又は輪郭研削プロセスが実行され、そしてその後、前述の精密研削又は研磨研削が続く。それによって、2つの異なる工具仕様が使用されるが、該工具仕様は、それらの工具の形状又は輪郭に関して、互いに、わずかに又は少しだけ異なる。しばしば、一方では生成的研削又は輪郭研削のための領域、及び他方では精密研削又は研磨研削のための領域の両方が、1つのもので、しかも同じ工具担体に配置され、且つ互いにしっかりと接続される(例えば、接着される、又はねじで留められる)。好ましくは、両方の機械加工ゾーンは、その後、(仕上げ可能な工具の場合には)最初は集合的に仕上げられる。続いて、精密研削工具及び研磨工具はまた、それぞれ、更なる倣削りによって、わずかに変更することが可能である。それによって、例えば、外側直径の減少が起こり得る。続く機械加工では、前述の2つのゾーンは、その後、連続的に使用されるが、原則的に同じ工具設定及び、特に工具の同じ旋回角が使用される。
【0006】
それによって、精密研削及び研磨研削において、それぞれ補正を実現することが可能である。補正に関して既知である可能なことは、工作物の軸を旋回させて、歯側面の1つにおいて送込み速度及び研磨圧力をそれぞれ減少させること、及び、他の側面において送込み速度及び研磨圧力を増加させることであり同時に軸の距離を変化させるが、該軸は、その後、対称的な輪郭において、両方の歯側面に均等に作用する。
【0007】
しかしながら、しばしば不利な方法で、歯部の先端及び基部における粗さは、望ましくないものとは異なる。補正のための、前述の事前に知られた可能なことによって、限定的にのみ、この問題を解決することが可能である。それゆえ、例えば、軸の距離を減少させることは、機械加工の力を増加させ、且つ形状における望ましくない不一致を、引き起こす可能性もある。
【0008】
更に、不利なことであるが、既知の解決法は、設定のための様々な作業ステップが必要なために非常に時間がかかり、望ましい結果には、しばしば到達しない。
【0009】
更に、不利なことであるが、得られる結果は、創り出された歯側面の幾何形状に関して、しばしば妥協的なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願第102010005435A1号
【特許文献2】国際公開第94/19135A1号パンフレット
【特許文献3】米国特許第6402607B2号
【特許文献4】米国特許第3708925号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、上述の種類の方法を提供することであり、該方法によって、歯部及び歯車状輪郭の表面品質の改善をそれぞれ得ることが可能である。それによって、精密研削プロセス又は研磨研削プロセスの間の補正における上述の欠点が回避されるはずであり、その結果として、歯側面の望ましい幾何形状が正確に得られる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるこの目的の解決法は、次に示す方法によって特徴付けられ、該方法は、
a)少なくとも2つの軸方向に隣接する機械加工ゾーンを備える硬質精密機械加工工具を提供するステップであって、第1機械加工ゾーンは、歯車の歯部又は歯車状輪郭の工作物の歯部の研削のために設計され、且つ第2機械加工ゾーンは、歯部又は歯車状輪郭の精密研削及び/又は研磨のために設計される、ステップと、
b)歯車の歯部又は歯車状輪郭の工作物の歯部を、硬質精密機械加工工具の第1機械加工ゾーンによって研削するステップであって、歯車又は工作物の回転軸と、硬質精密機械加工工具の回転軸との間に、第1旋回角が存在する、ステップと、
c)歯車の歯部又は歯車状輪郭の工作物の歯部を、硬質精密機械加工工具の第2機械加工ゾーンによって、続けて精密研削及び/又は研磨するステップであって、歯車又は工作物の回転軸と、硬質精密機械加工工具の回転軸との間に、第1旋回角とは異なる第2旋回角が存在する、ステップと、
を備える。
【0013】
好ましくは、硬質精密機械加工工具として、ウォーム状工具が使用される。代わりに、硬質精密機械加工工具として、円盤形状の工具が使用され得る。
【0014】
好ましくは、硬質精密機械加工工具として、更に仕上げ可能な工具が使用される。
【0015】
好ましくは、硬質精密機械加工工具の輪郭は、第1機械加工ゾーン及び第2機械加工ゾーンにおいて同一である。
【0016】
硬質精密機械加工工具として、基体の中に研磨材を含む工具が使用され得るが、第1機械加工ゾーン及び第2機械加工ゾーンにおける基体材料の弾性係数が異なる。好ましくは、第1機械加工ゾーンにおける基体材料の弾性係数は、第2機械加工ゾーンにおけるものよりも高い。具体的には、本発明の一実施形態によれば、硬質精密機械加工工具として、ある工具が使用されることが提供され、該工具は、第1機械加工ゾーンにおいてセラミック材料から成る基体を有し、且つ第2機械加工ゾーンにおいてプラスチック材料、特にポリウレタンを備える基体を有する。そのうえ、該工具は、第2ゾーンにおいてより弾性的であり、このことは、研磨研削に有利であり得る。
【0017】
特性図又は公式関係は、機械制御装置に格納することが可能であり、該機械制御装置は、次の計算又はシミュレーションを、提供し、又は可能にする。該計算又はシミュレーションとは、硬質精密機械加工工具の所与の直径に対して、及び、上述のステップc)の間の、歯部又は歯車状輪郭の側面での望ましい除去量に対して、第1旋回角と第2旋回角との間の角度差を、計算する又はシミュレーションすることである。それによって、具体的には、次のことを提供することが可能である。即ち、上記のステップc)の実行において、第1旋回角と第2旋回角との間で要求される角度差が、特性図又は公式関係から想起され、計算され、又はシミュレーションされ、且つ、歯部又は歯車状輪郭の側面での望ましい除去量に関する仕様に従って、実現される。
【0018】
これまでの範囲では、本発明は、上述の意味における補正の可能性として、工具旋回角が使用される。理論的に計算された旋回角(該旋回角は、事前的な機械加工(従って、生成的研削又は輪郭研削)のために使用される)から外れると、今度は旋回角の補正が、精密研削及び研磨研削のために、それぞれ使用される(従って、研磨研削において)。
【0019】
それによって、工具の直径に依存して、望ましい仕様(即ち、マイクロメータで与えられる、それぞれ歯部の側面からの、及び輪郭からの除去量)を、(度における)旋回角の補正の中で変換し、且つ、その後、理論的な旋回角を用いて計算することが可能である。
【0020】
工具の旋回角をそのように補正することによって、精密研削又は研磨研削の間、研磨圧力を増加させることがより容易となり、しかもその状況で、歯の先端及び基部における形状又は、更には異なる値の粗さについて不利な偏差を得ることはない、ということが見出された。それゆえ、プロセスパラメータの設定が容易となり、且つ歯部及び輪郭の品質がそれぞれ向上する。
【0021】
従って、提案された概念によれば、(工具の第2機械加工ゾーンによる)精密研削プロセス又は研磨プロセスの間、研削ヘッドの旋回角は、(工具の第1機械加工ゾーンによる)研削又は事前的機械加工と比較すると変更されたものとなり、それによって、歯部の側面上での工具の圧力が変更され、且つ、それゆえ、除去量が影響を受ける。
【0022】
しかしながら、工作物に対する工具の半径方向の影響が変わらないままであるため、歯部又は輪郭の形状における許容誤差は、改善された方法の中で維持することが可能である。
【0023】
提案された方法は、歯車及び特別な輪郭の精密研削及び研磨に対して、それぞれ適切である。
【0024】
図面において、本発明の一実施形態が示される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、ウォーム形状の工具の側面図を示す。
図2図2は、生成的研削の間、歯車と噛み合う、図1による工具の側面図を示す。
図3図3は、精密研削又は研磨研削の間、歯車と噛み合う、図1による工具の側面図を示す。
図4図4はヘッド曲線を示し、該ヘッド曲線から、旋回角に関して要求される変化は、研削ウォームの異なる直径に対する、望ましい除去量に関する依存性に帰着する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
もし歯側面の表面粗さが低減され、且つ低粘度を有する歯車箱オイルが使用される場合、安定性に関する欠点がない状態で、伝動装置の効率の程度の増加が可能であることが見出された。その基礎となるものは、仕上げプロセスとしての震動性研削によって生産されてきた伝動装置における研究である。しかしながら、特に伝動装置の生産者の観点から、この方法は、自動化されたプロセス連鎖の中に統合することには、適していない。従って、次のことが、調査されると共に示された。即ち、Rzが1μmに等しいか、又は1μmより小さい仕上げ品質のものを、従来の歯車研削機械上で精密研削プロセスを統合することによって生産できる、ということである。現代のこの種の機械は、生成的研削におけるのと同様に、輪郭研削において精密研削の技術を使用する可能性を提供する。
【0027】
輪郭研削において、従来の研削ホイールに加えて、最初に精密研削ホイールが使用されるが、これは、仕上げ可能なものであり得るし、又は仕上げを含まないものでもあり得る。両方の工具は、同じ工具心棒に取り付けることが可能である。従来の研削プロセスが終了した後、望ましい高品質の仕上げのものが、同じ締め付けにある精密研削ホイールを用いた更なる研削プロセスにおいて生産される。
【0028】
歯車の量産の分野では、ほとんどの場合、連続的な生成的研削が使用されるが、この理由は、その有利な生産性のためである。1つの締め付けにおいて、従来の工具及び精密研削工具から成る、結合された工具を使用することによって、1μmよりも小さい範囲にある仕上げ品質(Rz)で、歯車を生産することが可能である。それによって、追加的に要求される作業は、通常、従来の研削プロセスの機械加工時間の、わずか50%よりも少ない。
【0029】
本実施形態によれば、研削ウォームである硬質精密機械加工工具3が使用される。これは、生成的研削及び、それに続く精密研削又は研磨研削が結合されたものとして役立つ。そうするために、硬質精密機械加工ツール3は、第1機械加工ゾーン4及び第2機械加工ゾーン5を有する。第1機械加工ゾーン4は生成的研削に役立ち、その一方で、第2機械加工ゾーン5は研磨研削に役立つ。今の場合、硬質精密機械加工工具3は、仕上げ可能な工具であり、即ち、工具の輪郭6は、仕上げプロセスによって創り出される。更に、今の場合、ウォーム形状の輪郭6は、ゾーン4及びゾーン5の両方において同一であることが提供される。
【0030】
しかしながら、工具3の担体材料及び基部材料は、2つのゾーン4及びゾーン5においてそれぞれ異なる、ということが提供され得る。研削ウォームのゾーン4において、研磨材を備えた伝統的なセラミック材料が使用されるのに対して、研磨研削ウォームのゾーン5において、例えばポリウレタンのような、より柔軟な材料又はより可撓性がある材料(具体的には、より低い弾性係数を有する材料)を使用することが可能であり、その結果として、工具3は、ここではより高い度合いの弾性率を有するが、これは、研磨研削にとって有利であり得る。
【0031】
機械加工の間、硬質精密機械加工工具3は、回転軸bの周りを回転する。それとは別に、硬質精密機械加工工具は、直径Dを有する。
【0032】
図2及び図3において、生成的研削(図2)の間の、及びそれに続く研磨研削(図3)の間のプロセス状況が模式的に示されている。これによると、次のことが見てとれる。即ち、既知の方法において、硬質精密機械加工の間、硬質精密機械加工工具3は、機械加工されるべき、歯車2の形をした工作物と噛み合う、即ち、歯車2の歯部1と噛み合うが、該歯車2は、その回転軸の周りを回転し、その一方で、硬質精密機械加工工具3は、回転軸bの周りを回転する。
【0033】
図2で見てとれるように、硬質精密機械加工の第1サブステップである生成的研削については、硬質精密機械加工工具3の第1機械加工ゾーン4が使用されるが、ここで、歯車2の回転軸と、硬質精密機械加工工具3の回転軸bとの間には、第1旋回角βが与えられる(図で示され、且つβで表示されているものは、結局のところ、90°に対する余角である)。この旋回角βは、ある理論的角度に関するが、該理論的角度とは、生成的研削を用いて望ましい輪郭のものを理想的に生産するために、工作物の軸と工具の軸との間に与えなければならないものである。
【0034】
図2によれば、生成的研削が実行された後、研磨研削が続くが、該研磨研削は、硬質精密機械加工の第2ステップ及び最終のサブステップである。そうするために、硬質精密機械加工工具3の第2機械加工ゾーン5が使用される。次のことは、非常に重要である。即ち、更に今再び、歯車2の回転軸と、硬質精密機械加工工具3の回転軸との間に、旋回角が与えられ、且つ、しかしながら、今度は、該旋回角は第2旋回角βであり、該第2旋回角βは、第1旋回角βと異なる、従って、理想的な旋回角と異なるが、該理想的な旋回角とは、歯部1の理想的幾何形状が研磨される場合に、与えられなければならないものである。
【0035】
第2旋回角βが第1旋回角βから外れているために、従って、角度差Δβが与えられたことで、歯部1の歯側面から、追加的な除去量Δsが除去されるという結果となる。
【0036】
この状況は、図4に示される。ここで、上記除去量Δsは、角度差Δβに関する依存性で示され、即ち、研削ウォーム3の異なる直径Dに対して示されている。それによって、直径Dは、研削ウォーム3の最小の直径であり、且つ直径Dは、研削ウォーム3の最大の直径である。図4に示される特性曲線は、機械制御装置に格納することが可能であり、又は、格納された公式を用いて、機械制御装置でそれぞれ計算及びシミュレーションすることが可能であり、その結果として、生成的研削の後、研磨研削を実行しなければならない場合に、機械制御装置にアクセスすることが可能である。(研磨)研削ウォームの、既知の直径及び予め決められた直径Dにおいては、望ましい結果を得るために、望ましい除去量Δsに対して、角度差Δβがどれくらい大きくなければならないか、を直ちに決定することが可能である。研磨研削に対して要求される角度差は、従って、機械制御装置での特別な応用のための一組の曲線として、直接格納することが可能である。また、角度差は、予め決められた変数(ウォームの直径、望ましい除去量)を用いて、機械制御装置において計算され、又はシミュレーションを用いて計算され、そして、その後、決定された角度差が、研磨研削に対して使用される。
【0037】
本実施形態では、2つの部分の研削ウォーム3が採用されるが、該研削ウォームは、その側面については、1つの及び同一の仕上げ道具によって、輪郭が描かれる。
【符号の説明】
【0038】
1 歯部/歯車状輪郭
2 歯車/工作物
3 硬質精密機械加工工具(研削ウォーム)
4 第1機械加工ゾーン
5 第2機械加工ゾーン
6 硬質精密機械加工工具の輪郭
a 歯車の回転軸/工作物の回転軸
b 硬質精密機械加工工具の回転軸
β 第1旋回角
β 第2旋回角
Δβ 角度差
D 硬質精密機械加工工具の直径
Δs 除去量
図1
図2
図3
図4