特開2017-200893(P2017-200893A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-200893(P2017-200893A)
(43)【公開日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】日やけ止め効果のある化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/29 20060101AFI20171013BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20171013BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20171013BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20171013BHJP
【FI】
   A61K8/29
   A61Q17/04
   A61K8/27
   A61K8/894
   A61K8/73
   A61K8/891
   A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-102817(P2016-102817)
(22)【出願日】2016年5月6日
(71)【出願人】
【識別番号】595048544
【氏名又は名称】株式会社ちふれ化粧品
(72)【発明者】
【氏名】下田 良平
(72)【発明者】
【氏名】元山 幸
(72)【発明者】
【氏名】木藤 はるみ
(72)【発明者】
【氏名】茂木 倫典
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC482
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD212
4C083AD331
4C083AD332
4C083BB25
4C083CC05
4C083CC12
4C083CC19
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】金属酸化物を多量に配合しても使用感を悪化させず、経時安定性にも優れた日やけ止め効果のある化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)含水シリカ、ハイドロゲンジメチコンの順に表面処理された平均粒径10〜100nmの金属酸化物10〜25重量%、(B)ポリエーテル変性シリコーン3〜10重量%、(C)ヒアルロン酸又はその塩0.001〜0.5重量%、(D)シリコーン系真球状粉末0.5〜5重量%を含有することを特徴とした日やけ止め効果のある化粧料を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)含水シリカ、ハイドロゲンジメチコンの順に表面処理された平均粒径10〜100nmの金属酸化物10〜25重量%、(B)ポリエーテル変性シリコーン3〜10重量%、(C)ヒアルロン酸又はその塩0.001〜0.5重量%、(D)シリコーン系真球状粉末0.5〜5重量%を含有することを特徴とした日やけ止め効果のある化粧料。
【請求項2】
(B)ポリエーテル変性シリコーンのHLBが5以下である請求項1に記載の日やけ止め効果のある化粧料。
【請求項3】
(D)シリコーン系真球状粉末の平均粒子径が1〜10μmである請求項1から請求項2までのいずれかに記載の日やけ止め効果のある化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は日やけ止め効果のある化粧料に関する。さらに詳しくは、金属酸化物を多量に配合しても使用感を悪化させず、経時安定性にも優れた日やけ止め効果のある化粧料を提供することを課題とする。
【背景技術】
【0002】
日常生活における日やけ対策の重要性が指摘される中、日やけ止め効果のある化粧料にはSPF(Sun Protection Factor)やPFA(Protection Factor of UVA)で紫外線防御効果を表示し、消費者が商品選択を行う際の指標となっている。より高い日やけ止め効果を得るためには多量の紫外線吸収剤や金属酸化物による紫外線散乱剤を配合する必要がある。特に金属酸化物の配合量が多くなると、金属酸化物特有のきしみ感や塗布時の重たさを感じさせ、使用感が悪くなる。
【0003】
使用感の悪さを改善すべく、特許文献1では特定量のリゾリン脂質、油剤、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、紫外線防御粉体と水を含有する二層式紫外線防御化粧料が提案されている。
【0004】
特許文献2では平均粒径2.0〜5.0μmで粒径分布1〜15μmのオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体と平均粒径0.2μm以下の疎水化シリカ粉体とからなり、その割合が1:0.1〜1:5である混合粉体と、総油相成分の30重量%以上がシリコーン油である油相と、HLBが7以下の乳化剤と、水とからなる油中水型乳化化粧料が提案されている。
【0005】
特許文献3では平均粒径が1〜100μmで、比表面積が1〜100m/gである板状ヒドロキシアパタイトを親水性高分子と混合し、希混合物を噴霧乾燥して得られる加圧崩壊性球状粉体及び無機紫外線遮蔽材を含有する日焼け止め化粧料が提供されている。
【0006】
しかしながら、日やけ止め効果と使用感、及び安定性の全てについて満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−306842号公報
【特許文献2】特許第3406437号公報
【特許文献3】特開2009−155332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、金属酸化物を多量に配合しても使用感を悪化させず、経時安定性にも優れた日やけ止め効果のある化粧料を提供することを目的とする。
【発明を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定量の含水シリカ、ハイドロゲンジメチコンの順に表面処理された平均粒径10〜100nmの金属酸化物とポリエーテル変性シリコーンとヒアルロン酸又はその塩と、シリコーン系真球状粉末を配合することにより、金属酸化物を多量に配合しても使用感を悪化させず、経時安定性にも優れた日やけ止め効果のある化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(A)含水シリカ、ハイドロゲンジメチコンの順に表面処理された平均粒径10〜100nmの金属酸化物10〜25重量%、(B)ポリエーテル変性シリコーン3〜10重量%、(C)ヒアルロン酸又はその塩0.001〜0.5重量%、(D)シリコーン系真球状粉末0.5〜5重量%を含有することを特徴とした日やけ止め効果のある化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の日やけ防止効果のある化粧料に用いられる(A)含水シリカ、ハイドロゲンジメチコンの順に表面処理された平均粒径10〜100nmの金属酸化物は、通常日やけ止め効果のある化粧料に配合されるものを特に限定なく用いる事ができ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等が例示される。
【0011】
金属酸化物の平均粒子径が10nmより小さくなると日やけ止め効果が低下し、また100nmより大きくなると可視光に対する散乱が大きくなるため、透明感の点で望ましくない。
【0012】
これらの金属酸化物は含水シリカ、ハイドロゲンジメチコンの順に表面処理がなされるが、その表面処理を行う前に別の表面処理を行ったり、また含水シリカ、ハイドロゲンジメチコンの順に表面処理を行った後、さらに別の表面処理を行っても良い。
【0013】
また、金属酸化物としては入手可能な種々の形状のものを目的に応じて選択すれば良い。たとえば酸化チタンであれば粒状、針状、紡錘状、板状、鱗片状等の形状のものを、酸化亜鉛であれば球状または板状の六方晶系のものを、酸化セリウムであれば球状のものを適宜用いる事ができる。また、同一物質の異なる粒子径や形状のものを組み合わせて用いても、2以上の物質を任意に組み合わせても良い。
これらの金属酸化物は、粉末で配合しても、また分散体として他成分と混合されているものを用いても良い。
【0014】
本発明の日やけ止め効果のある化粧料における(A)含水シリカ、ハイドロゲンジメチコンの順に表面処理された平均粒径10〜100nmの金属酸化物の配合量は、10〜25重量%、好ましくは12〜20重量%である。10重量%未満であると日やけ止め効果が低く、25重量%を超えると使用感が悪くなる。
【0015】
本発明の日やけ止め効果のある化粧料における(B)ポリエーテル変性シリコーンはHLBが5以下であることが好ましい。
【0016】
本発明の日やけ止め効果のある化粧料における(B)ポリエーテル変性シリコーンは特に限定されないが、具体的に例示すれば、PEG−10ジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコン等が挙げられる。
【0017】
本発明の日やけ止め効果のある化粧料における(B)ポリエーテル変性シリコーンの配合量は3〜10重量%、好ましくは3.3〜6.5重量%である。3重量%未満であると安定性に劣り、10重量%を超えると皮膚刺激が懸念される。
【0018】
本発明の日やけ止め効果のある化粧料に用いられる(C)ヒアルロン酸又はその塩の由来は特に限定されず、鶏冠、へその緒、眼球、皮膚、軟骨組織から常法により抽出、精製したものであり、また、微生物発酵によって合成したものであっても差し支えない。
ここで、ヒアルロン酸の塩としては、生理学的又は薬学的に許容される塩であればよく、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム等の金属との塩類が例示できるが、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が安定性の観点から好ましい。
【0019】
本発明の日やけ止め効果のある化粧料における(C)ヒアルロン酸又はその塩の配合量は0.001〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.2重量%である。0.001重量%未満であるときしみ感が強く、0.5重量%を超えると伸びが悪く皮膜感が強くなる。
【0020】
本発明の日やけ止め効果のある化粧料における(D)シリコーン系真球状粉末は、ポリメチルシルセスキオキサン、及び(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー等が挙げられる。これらは1種単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。これらの中でも、使用時のサラサラ感からポリメチルシルセスキオキサンが好ましい。
【0021】
ポリメチルシルセスキオキサンの具体例としては、例えば、トスパール145A及びトスパール2000B(共にモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)等が挙げられる。
【0022】
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーの具体例としては、例えば、9701Cosmetic Powder(東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0023】
(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーの具体例としては、例えば、KSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−105(全て信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0024】
(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーの具体例としては、例えば、KSP−300(信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0025】
本発明の日やけ止め効果のある化粧料における(D)シリコーン系真球状粉末の配合量は0.5〜5重量%、好ましくは1〜3重量%である。0.5重量%未満であると使用感が重く、5重量%を超えると粉っぽい感触になる。
【0026】
本発明の日やけ止め効果のある化粧料は、上述した成分の他に、より日やけ止め効果を高めるために紫外線吸収剤を配合しても良い。
【0027】
本発明の日やけ止め効果のある化粧料は、上述した成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分を適宜配合することができる。例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、油剤、シリコーン類、ポリオール類、水溶性高分子化合物、粉体、防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、糖類、香料、塩類、粘土鉱物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を任意に選択して配合することができる。
【0028】
本発明の日やけ止め効果のある化粧料は、特に限定されないが、油中水型乳化物に調製することが容易であり、経時安定性にも優れるため、油中水型乳化化粧料とするのが好ましい。
【0029】
本発明の日やけ止め効果のある化粧料の剤型は任意であり、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、固形状、多層状等に適応が可能であり、さらにシート剤、スプレー剤、ムース剤等としても適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
【実施例】
【0031】
以下に具体例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。また、以下の実施例および比較例における配合量は特に断らない限り重量%を示す。
【0032】
表1に示す二層式油中水型乳化日やけ止め化粧料を調製し、使用感、SPF値および安定性の評価を行った。
【0033】
(1)SPF値の評価
試料2.00mg/cmをトランスポアサージカルテープ(3M社製)に均一に塗布し十分に乾燥させた後、SPFアナライザーUV−1000S(Labsphere社製)を用いてSPF値を測定し、SPF値が15以上であれば日焼け止め効果があり、15に満たないものは日やけ止め効果に劣ると判定した。
【0034】
(2)使用感の評価
専門評価者10名に各化粧料を実際に使用してもらい、下記評価基準に基づいて使用感を以下の3段階評価基準で官能評価し、評点の平均値を求めた。算出した平均値に基づき、下記の判定基準により使用感を判定した。
<3段階評定基準>
評点3:良い。
評点2:普通。
評点1:悪い。
<肌のしっとり感の判定基準>
◎:専門評価者10名の平均点が2.5点以上。
○:専門評価者10名の平均点が1.5点以上、2.5点未満。
×:専門評価者10名の平均点が1.5点未満。
【0035】
(3)安定性の評価
調製した化粧料を無色透明な容器に入れ、5℃及び40℃で3ヶ月保存し、分離・ゲル化・変色・変臭の状態を官能評価した。
◎:分離・ゲル化・変色・変臭が全く認められない。
○:分離・ゲル化・変色・変臭がわずかに認められる。
×:分離・ゲル化・変色・変臭が明らかに認められる。
【0036】
【表1】
※1 DIS−11A(堺化学工業社製)
※2 DIF−AW4(堺化学工業社製)
【0037】
実施例3 クリームファンデーション
(1)含水シリカ、ハイドロゲンジメチコンの順に表面処理された酸化チタン(平均粒径10〜100nm) 12.0%
(2)PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 5.0%
(3)ヒアルロン酸Na 0.1%
(4)(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 5.0%
(5)BG 5.0%
(6)ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 8.0%
(7)メチルポリシロキサン 3.0%
(8)シクロペンタシロキサン 10.0%
(9)クエン酸Na 0.05%
(10)メチコン処理酸化鉄 2.5%
(11)メチコン処理顔料級酸化チタン(平均粒径0.25μm) 5.0%
(12)メチコン処理タルク 5.0%
(13)防腐剤 適量
(14)精製水 残部
【0038】
実施例3は常法により調整し、実施例1〜2と同様の評価を行ったところ、いずれの例においても日やけ止め効果に優れ、使用感および安定性が良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
金属酸化物を多量に配合しても使用感を悪化させず、経時安定性にも優れた日やけ止め効果のある化粧料の提供ができる。