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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-200993(P2017-200993A)
(43)【公開日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】軟質ウレタンフォームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/40 20060101AFI20171013BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20171013BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20171013BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20171013BHJP
【FI】
   C08G18/40 072
   C08G18/76 057
   C08G18/00 H
   C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-46925(P2017-46925)
(22)【出願日】2017年3月13日
(31)【優先権主張番号】特願2016-90469(P2016-90469)
(32)【優先日】2016年4月28日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石田 崇裕
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034BA08
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF11
4J034DF12
4J034DF16
4J034DF21
4J034DF22
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DG09
4J034DG10
4J034DG14
4J034DG23
4J034DP18
4J034DP19
4J034DQ05
4J034DQ13
4J034DQ15
4J034DQ16
4J034DQ18
4J034EA12
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA07
4J034HA08
4J034HA09
4J034HB05
4J034HB06
4J034HB07
4J034HB08
4J034HB09
4J034HB12
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC34
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB05
4J034KC02
4J034KC17
4J034KD02
4J034KD03
4J034KD07
4J034KD11
4J034KD12
4J034KE02
4J034MA12
4J034MA14
4J034MA16
4J034NA01
4J034NA02
4J034NA03
4J034NA08
4J034QA02
4J034QA03
4J034QA05
4J034QB01
4J034QB15
4J034QB19
4J034QC01
4J034QC02
4J034QD03
4J034RA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】1種のポリオール処方と1種のイソシアネートで、広い硬さ幅の成形品を得ることができ、成形性が良好な軟質ウレタンフォームの製造方法の提供。
【解決手段】活性水素成分(A)と有機イソシアネート(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)および整泡剤(E)の存在下に反応させて軟質ウレタンフォームを製造する方法であって、活性水素成分(A)が、特定組成のポリオールを特定量含有し、かつ、下記(1)〜(3)の条件を満たす軟質ウレタンフォームの製造方法。(1)フリー発泡のゲルタイム(t1)が12秒超30秒以下;(2)フリー発泡のライズ高さ最大到達時間(ライズタイム:t2)が18秒超40秒以下;(3)(t2)−(t1)が6秒以上10秒以下;
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性水素成分(A)と有機イソシアネート(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)および整泡剤(E)の存在下に反応させて軟質ウレタンフォームを製造する方法であって、活性水素成分(A)が、下記活性水素成分(A1)および(A2)を含有し、(A)中の含有量が、(A)の重量を基準として(A1)が50〜99重量%、(A2)が1〜50重量%であり、かつ、下記(1)〜(3)の条件を満たす軟質ウレタンフォームの製造方法。
(A1)数平均水酸基数が3〜10であって、水酸基価が20〜50(mgKOH/g)、末端エチレンオキシド単位の含有量が12重量%以上のポリエーテルポリオール;
(A2)(A1)中でラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(b)が重合されて得られる重合体ポリオール;
(1)フリー発泡のゲルタイム(t1)が12秒超30秒以下;
(2)フリー発泡のライズ高さ最大到達時間(ライズタイム:t2)が18秒超40秒以下;
(3)(t2)−(t1)が6秒以上10秒以下;
【請求項2】
活性水素成分(A)と有機イソシアネート(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)および整泡剤(E)の存在下に反応させて軟質ウレタンフォームを製造する方法であって、活性水素成分(A)が、下記活性水素成分(A1)と(A2)と(A3)を含有し、(A)中の含有量が、(A)の重量を基準として(A1)が50重量%以上99重量%未満、(A2)が1重量%以上50重量%未満、(A3)が30重量%以下であり、かつ、下記(1)〜(3)の条件を満たす軟質ウレタンフォームの製造方法。
(A1)数平均水酸基数が3〜10であって、水酸基価が20〜50(mgKOH/g)、末端エチレンオキシド単位の含有量が12重量%以上のポリエーテルポリオール;
(A2)(A1)中でラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(b)が重合されて得られる重合体ポリオール;
(A3)数平均水酸基数が1〜2.9であって、水酸基価が20〜50(mgKOH/g)のポリエーテルアルコール;
(1)フリー発泡のゲルタイム(t1)が12秒超30秒以下;
(2)フリー発泡のライズ高さ最大到達時間(ライズタイム:t2)が18秒超40秒以下;
(3)(t2)−(t1)が6秒以上10秒以下;
【請求項3】
有機イソシアネート(B)が、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4−4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1または2に記載の軟質ウレタンフォームの製造方法。
【請求項4】
発泡剤(C)が水である請求項1〜3のいずれか1項に記載の軟質ウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
得られるフォームがモールド成形フォームであり、活性水素成分(A)と有機イソシアネート(B)とが反応開始してからフォーム成形品を取り出すまでの時間が120秒以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の軟質ウレタンフォームの製造方法。
【請求項6】
得られるフォームの形状が自動車内装材用ヘッドレストまたはアームレストであり、表皮材と一体成形する請求項1〜5のいずれか1項に記載の軟質ウレタンフォームの製造方法。
【請求項7】
得られるフォームのコア密度が25〜70kg/m3である請求項1〜6のいずれか1項に記載の軟質ウレタンフォームの製造方法。
【請求項8】
得られるフォームの通気度が0.10ft3/分以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の軟質ウレタンフォームの製造方法。
【請求項9】
活性水素成分(A3)が、エチレンオキシド単位の合計含有量が10重量%以上であって、末端エチレンオキシド単位の含有量が5重量%以上のポリエーテルアルコールである請求項1〜8のいずれか1項に記載の軟質ウレタンフォームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軟質ウレタンフォームの製造方法、特に、モールド成形用に適した軟質ウレタンフォームを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウレタンフォームの製造方法として、ポリエーテルポリオールと有機ポリイソシアネートとを、発泡剤、触媒、整泡剤等の存在下で反応させてウレタンフォームを製造することは公知である(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−313262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は軟質ウレタンフォーム成形品において、原料統一のために1種のポリオール処方と1種のイソシアネートで硬さをコントロールしようとした場合、イソシアネート指数を変更することでコントロールしている。硬さを下げる場合はイソシアネート指数を下げ、硬さを上げる場合はイソシアネート指数を上げてコントロールをしているが、イソシアネート指数を下げると発泡性が低下しエア溜まり不良が生じたり成形品が収縮したりする。一方上げすぎると硬化不良により脱型時に成形品が変形する不良が生じる。そのため、1種のポリオール処方と1種のイソシアネートでは、広い硬さ幅の成形品を得ることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決する方法について鋭意検討した結果、特定の組成のポリオールを使用し、ポリオールとイソシアネートの反応性を一定の範囲内とするために、イソシアネート指数を変更することで、広い硬さ幅の成形品が得られ、かつ、脱型性および液流れ性が良く、成形品の外観が良好な軟質ウレタンフォームが得られることを見いだし、本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明は、活性水素成分(A)と有機イソシアネート(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)および整泡剤(E)の存在下に反応させて軟質ウレタンフォームを製造する方法であって、活性水素成分(A)が、下記活性水素成分(A1)および(A2)を含有し、(A)中の含有量が、(A)の重量を基準として(A1)が50〜99重量%、(A2)が1〜50重量%であり、かつ、下記(1)〜(3)の条件を満たす軟質ウレタンフォームの製造方法である。
(A1)数平均水酸基数が3〜10であって、水酸基価が20〜50(mgKOH/g)、末端エチレンオキシド単位の含有量が12重量%以上のポリエーテルポリオール;
(A2)(A1)中でラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(b)が重合されて得られる重合体ポリオール;
(1)フリー発泡のゲルタイム(t1)が12秒超30秒以下;
(2)フリー発泡のライズ高さ最大到達時間(ライズタイム:t2)が18秒超40秒以下;
(3)(t2)−(t1)が6秒以上10秒以下;
【発明の効果】
【0007】
本発明の軟質ウレタンフォームの製造方法では、イソシアネート指数を大きく変動させても、エア溜まり不良や脱型後の変形等の外観不良が発生することなく、安定して硬さ幅の広い成形性が良好な軟質ウレタンフォームを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の軟質ウレタンフォームの製造方法において、 活性水素成分(A)が、下記活性水素成分(A1)および(A2)を含有し、活性水素成分(A)中の(A1)、(A2)の含有量がそれぞれ(A)の重量を基準として、(A1)が50〜99重量%、(A2)が1〜50重量%である。
(A1)数平均水酸基数が3〜10であって、水酸基価が20〜50(mgKOH/g)、末端エチレンオキシド単位の含有量が12重量%以上のポリエーテルポリオール;
(A2)(A1)中でラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(b)が重合されて得られる重合体ポリオール;
【0009】
ポリエーテルポリオール(A1)としては、多価アルコール、アミン、アンモニア等の活性水素化合物のアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
多価アルコールとしては、2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1、6−ヘキサンジオール等);3価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(ペンタエリスリトール、メチルグルコシド等);5価アルコール(2、2、6、6、−テトラキス(ヒドキシルメチル)シクロヘキサノール等);6価アルコール(ソルビトール等);8価アルコール(ショ糖等)などが挙げられる。
アミンとしては、1価アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン等);2価アミン(メチルアミン、エチルアミン、アニリン等);3価アミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン等);4価アミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等);5価アミン(ジエチレントリアミン等)などが挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド(以下EOと略記)、プロピレンオキシド(以下POと略記)、1,2−、1,4−もしくは2,3−ブチレンオキシドおよびこれらの2種以上の併用が挙げられる。これらのうち好ましいものは、POおよび/またはEOであり、併用の場合の付加形式はブロックまたはランダムのいずれでもよい。
(A1)としては、多価アルコールのPOおよびEOのブロック共付加物が好ましい。
【0010】
該(A1)は、数平均水酸基数が3〜10、好ましくは4〜8である。
なお、本発明におけるポリオールの水酸基数は、活性水素化合物のアルキレンオキシド付加物の場合、出発物質である活性水素化合物の官能基数を、ポリオールの水酸基数と見なす。
(A1)の水酸基価(mgKOH/g)は、20〜50であり、好ましくは23〜40、更に好ましくは25〜30である。
また、末端エチレンオキシド単位(以下、EO単位と記載)の含有量は、12重量%以上であり、好ましくは13〜25重量%である。
(A1)の水酸基数が3以上であると硬化不良が起きにくく、硬さが低くなりにくい。(A1)の水酸基価が50以下であるとフォームが硬くなり過ぎる恐れがなく、20以上であると軟らかくなりすぎる恐れがなく、末端EO単位の含有量が12重量%以上である
と硬化不良が起きにくくなる。
なお、水酸基価はJIS K1557−1により求められる。
【0011】
ポリエーテルポリオール(A1)の製造方法としては特に限定されず、例えば多価アルコール等の活性水素を有する化合物にアルカリ触媒下で、アルキレンオキシドを付加する方法等が挙げられ、反応条件の一例として、温度が105〜130℃で0.5MPa以下での付加重合が挙げられる。
【0012】
本発明における重合体ポリオール(A2)としては、前記ポリエーテルポリオール(A1)中でビニルモノマ−(b)を公知の方法で重合して製造することができる。例えば、ポリエーテルポリオール(A1)中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマ−(b)を重合させ、安定分散させたものが挙げられる。重合方法の具体例としては、米国特許第3383351号明細書、特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。
重合体ポリオール(A2)の原料として好ましいポリエーテルポリオール(A1)は、前記のポリエーテルポリオール(A1)として好ましいものと同様である。
【0013】
上記ラジカル重合開始剤としては、遊離基を生成して重合を開始させるものが使用でき、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよび過コハク酸等の有機過酸化物;過硫酸塩および過ホウ酸塩等の無機過酸化物などが挙げられる。なお、これらは2種以上を併用することができる。
【0014】
ビニルモノマー(b)としては、芳香族炭化水素単量体(b1)、不飽和ニトリル類(b2)、(メタ)アクリル酸エステル類(b3)、その他のビニル単量体(b4)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(b1)としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどが挙げられる。
(b2)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロルスチレンなどが挙げられる。
(b3)としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類(アルキル基の炭素数が1〜24);ヒドロキシポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート類(たとえば、アルキレン基の炭素数2〜4、ポリオキシアルキレン鎖の数平均分子量200〜1000)などが挙げられる。
【0015】
その他のビニル単量体(b4)としては、ビニル基含有カルボン酸およびその誘導体〔(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドなど〕、脂肪族もしくは脂環式炭化水素単量体〔エチレン、プロピレン、ノルボルネンなど〕、フッ素含有ビニル単量体〔パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレートなど〕、上記以外の窒素含有ビニル単量体〔ジアミノエチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレートなど〕およびビニル変性シリコンなどが挙げられる。
【0016】
これらの中では、(b1)および(b2)が好ましく、アクリロニトリルおよび/またはスチレンがさらに好ましい。
これらの重量比率は、要求されるウレタンフォームの物性等に応じて変えることができ、特に限定されないが、一例を示すと次の通りである。
(b1):好ましくは0〜100重量%、さらに好ましくは0〜80重量%
(b2):好ましくは0〜95重量%、さらに好ましくは20〜100重量%
(b3):好ましくは0〜50重量%、さらに好ましくは0〜20重量%
(b4):好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜5重量%
なお、(b)の少なくとも一部(好ましくは0.05〜1重量%)として、多官能(好ましくは2〜8官能)ビニル基含有モノマー〔ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)クリレートなど〕を用いることにより、重合体の強度をさらに向上させることができる。
重合体ポリオール(A12)中の(b)の重合体の含量は、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは5〜45重量%である。
【0017】
活性水素成分(A)はポリエーテルアルコール(A3)を含有してもよい。(A3)は数平均水酸基数が1〜2.9であり、好ましくは1.5〜2.5である。(A3)の含有量は(A)の重量を基準として、30重量%以下であることが好ましい。
(A3)としては、アルコールのPOおよび/またはEOのブロックまたはランダム共付加物が好ましい。
上記アルコールとしては、前記の多価アルコール以外に、1価アルコール(メタノール、エタノール、1−プロパノール等)を用いることもできる。
(A3)の水酸基価(mgKOH/g)は、20〜50であり、好ましくは23〜40、更に好ましくは25〜30である。
(A3)の水酸基数が1以上であると硬化不良が起きにくく、硬さが低くなりにくい。
また、(A3)の水酸基価が50以下であるとフォームが硬くなり過ぎる恐れがなく、20以下であると軟らかくなりすぎる恐れがない。
【0018】
活性水素成分(A3)は、EO単位の合計(末端および内部)含有量が10重量%以上であって、末端EO単位の含有量が5重量%以上であることが好ましく、更に好ましくはEO単位の合計含有量が15〜30重量%であって、末端EO単位の含有量が8〜20重量%であり、特に好ましくはEO単位の合計含有量が20〜25重量%であって、末端EO単位の含有量が10〜15重量%である。
【0019】
活性水素成分(A)中には、活性水素成分(A1)〜(A3)以外に、他のポリオール、あるいは活性水素成分(A4)を併用してもよく、(A1)〜(A3)以外のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、変性ポリオールもしくはモノオール、多価アルコール、アミン並びにこれらの混合物等が挙げられる。
【0020】
ポリエステルポリオールとしては、前記の多価アルコール(とくに、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;前記ポリエーテルポリオール;またはこれらとグリセリン、トリメチロールプロパン等の3価又はそれ以上の多価アルコールとの混合物)と、前記ポリカルボン酸もしくはその無水物、低級アルキル(アルキル基の炭素数:1〜4)エステル等のエステル形成性誘導体(アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テレフタル酸ジメチル等)、または前記カルボン酸無水物およびAOとの縮合反応物;そのアルキレオンキサイド(EO、PO等)付加反応物;ポリラクトンポリオール、前記ポリオールを開始剤としてラクトン(ε−カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるもの;ポリカーボネートポリオール、前記ポリオールと低級アルコール(メタノールなど)の炭酸ジエステルとの反応物;などが挙げられる。
【0021】
変性ポリオールもしくはモノオールとしては、ポリエーテルポリオールを用いる以外の重合体ポリオール;ポリブタジエンポリオール等のポリジエンポリオールおよびそれらの水添物;アクリル系ポリオール、特開昭58−57413号公報及び特開昭58−57414号公報等に記載された水酸基含有ビニル重合体;ヒマシ油等の天然油系ポリオール;天然油系ポリオールの変性物;国際公開WO98/44016号公報に記載の末端ラジカル重合性官能基含有活性水素化合物;などが挙げられる。
多価アルコール、アミンとしては、前述のものが挙げられる。
【0022】
活性水素成分(A)中の(A1)および(A2)の含有量は、フォームの機械物性の点から、(A)の重量を基準として(A1)が50〜99重量%、(A2)が1〜50重量%であり、好ましくは(A1)が50〜90重量%、(A2)が10〜45重量%であり、さらに好ましくは(A1)が55〜75重量%、(A2)が20〜40重量%である。
さらに(A)はフォームの機械物性の点から(A3)を含むことが好ましい。(A3)を含む場合の(A1)(A2)(A3)の含有量は、(A)の重量を基準として(A1)が50重量%以上99重量%未満、(A2)が1重量%以上50重量%未満、(A3)30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは(A1)が55〜75重量%、(A2)が20〜40重量%、(A3)が1〜20重量%である。
【0023】
本発明において、活性水素成分(A)中のビニルモノマー(b)の重合体の含量は、0.5〜35重量%が好ましく、2〜30重量%がさらに好ましい。35重量%以下だと、フォームにセル荒れ等の外観不良が起きにくくなる。
【0024】
本発明の軟質ウレタンフォームの製造方法に用いられる有機イソシアネート(B)としては、ウレタンフォームの製造に使用される公知のもの、例えば炭素数(NCO基中の炭素数を除く)6〜20の芳香族ポリイソシアネート[2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−もしくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、ポリアリールポリイソシアネート(PAPI)等];炭素数2〜18の直鎖又は分岐脂肪族イソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等);炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート(イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート等);これらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ウレトジオン基、ビュウレット基、ウレトンイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等);およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
これら(B)のうち好ましいものは、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4−4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上である。
【0025】
発泡剤(C)としては、水、水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素、液化炭酸ガス等が用いられ、2種以上を併用しても良い。この中で、特に好ましいのは、環境汚染の観点から水単独である。
【0026】
活性水素成分(A)の重量に基づく発泡剤(C)の使用量は、水の場合は0.1〜10重量%が好ましく、更に好ましくは1〜8重量%、特に好ましくは3〜5重量%である。(C)中の水の含有量が0.1重量%以上では、フォームの液流れ性が良好で、充填不足によるセル荒れが発生しにくい。
【0027】
本発明に用いられる触媒(D)としては、当業界で慣用されるあらゆるウレタン化反応を促進する触媒を使用することができ、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルアミノプロピルジプロパノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン並びに1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセンおよび/またはその塩等のアミン系触媒、ジブチルチンラウレート等の有機金属化合物、並びに酢酸カリウム、オクチル酸カリウム及びスタナスオクトエート等のカルボン酸金属塩等を挙げることができる。上記の触媒を使用することにより、ポリウレタン形成における縮合反応を適切な状態に制御することが可能となる。
【0028】
触媒(D)の使用量は、フォームの成形性の観点から、活性水素成分(A)の重量に基づいて、0.1〜15重量%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜5重量%、特に好ましくは0.5〜3重量%である。
【0029】
本発明に用いられる整泡剤(E)としては、ウレタンフォームの製造に用いられる公知のものはすべて使用でき、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤[[東レ・ダウコーニング(株)製の「SRX−274C」、「SF−2962」等]、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の「L−5309」等が挙げられる。整泡剤の使用量は、ウレタンフォームの成形性及びフォームの変色の観点から、ポリエーテルポリオール(A)の重量に基づいて、0.1〜10.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.2〜5.0重量%、特に好ましくは0.3〜3.0重量%である。
【0030】
本発明において、必要により難燃剤(F)(リン酸エステル等)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等)及び紫外線吸収剤(トリアゾール及びベンゾフェノン等)等の老化防止剤;無機塩(炭酸カルシウム及び硫酸バリウム等)、無機繊維(ガラス繊維及び炭素繊維等)、ウイスカー(チタン酸カリウムウイスカー等)等の充填剤;接着剤(変性ポリカプロラクトンポリオール等);可塑剤(フタル酸エステル類等);着色剤(染料及び顔料);抗菌剤;抗カビ剤;等の、従来公知の添加剤及び助剤を使用することができる。
【0031】
本発明の軟質ウレタンフォームの製造方法におけるイソシアネート指数(インデックス)[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は、フォームのキュア性及びフォームの成形性の観点から、5〜300が好ましく、さらに好ましくは10〜200、特に好ましくは30〜150である。
【0032】
本発明の軟質ウレタンフォームの製造方法の具体例を示せば、下記の通りである。まず、活性水素成分(A)、発泡剤(C)、触媒(D)および整泡剤(E)、並びに必要によりその他の添加剤、助剤を所定量2Lポリ容器に混合してポリオール混合物を作製し、25±5℃に温調する。次いで、25±5℃に温調した有機イソシアネート(B)を所定量加え、攪拌機(ホモディスパー:プライミクス(株)製)にて8000rpm×2秒間攪拌混合し、発泡し硬化させ軟質ウレタンフォームを得る。なお、添加剤、助剤等は、有機イソシアネート(B)に混合して用いることもできる。
【0033】
本発明の軟質ウレタンフォームの製造方法においては、下記(1)〜(3)を満たすように、原料反応条件等を調整する。
(1)フリー発泡のゲルタイム(t1)が12秒超30秒以下;
(2)フリー発泡のライズ高さ最大到達時間(ライズタイム:t2)が18秒超40秒以下;
(3)(t2)−(t1)が6秒以上10秒以下;
【0034】
本発明において、クリームタイム、ゲルタイム、ライズ高さ、ライズタイムとは、以下のことを意味する。
クリームタイムとは、活性水素成分(A)と有機イソシアネート(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)および整泡剤(E)を全て混合してフリー発泡させるとき、混合開始から液面が上昇し始めるまでの時間を意味する。
【0035】
ゲルタイム(t1)とは、活性水素成分(A)と有機イソシアネート(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)および整泡剤(E)を全て混合してフリー発泡させるとき、混合開始から、増粘が起こってゲル強度が出始める(樹脂化)までの時間を意味する
本発明の製造方法におけるゲルタイムは12秒超30秒以下であり、好ましくは13秒以上25秒以下、特に好ましくは13秒以上20秒以下である。ゲルタイムが12秒以下だと液流れ性不足が生じやすくなり、30秒を超えると硬化不良が起きやすくなる。
ゲルタイムを12秒超とする手法としては、例えば活性水素成分(A)の一級水酸基の比率を上げることや、触媒(D)の使用量を増やすことなどが挙げられ、30秒以下する手法としては、例えば活性水素成分(A)の一級水酸基の比率を下げることや、触媒(D)の使用量を減らすことなどが挙げられる。
【0036】
本発明におけるライズタイム(t2)とは、活性水素成分(A)と有機イソシアネート(B)とを、発泡剤(C)、触媒(D)および整泡剤(E)を全て混合してフリー発泡させるとき、混合開始から上昇したフォームの高さが最大となるまでの時間を意味する。
本発明の製造方法におけるライズタイム(t2)は18秒超40秒以下が好ましく、更に好ましくは19秒以上35秒以下、特に好ましくは19秒以上30秒以下である。ライズタイムが18秒以下だと液流れ性不足が生じやすくなり、40秒を超えると硬化不良が起きやすくなる。
ライズタイム(t2)を18秒超とする手法としては、例えば活性水素成分(A)の一級水酸基の比率を上げることや、触媒(D)の使用量を増やすことなどが挙げられ、40秒以下する手法としては、例えば活性水素成分(A)の一級水酸基の比率を下げることや、触媒(D)の使用量を減らすことなどが挙げられる。
【0037】
また、(t2)−(t1)は6秒以上10秒以下であり、好ましくは6秒以上9秒以下、更に好ましくは7秒以上8秒以下である。(t2)−(t1)が10秒を超えると、液流れ性不足が生じやすくなりエア溜まり不良等が生じることがある。
(t2)−(t1)を6秒以上とする方法としては、例えば水もしくは触媒(D)の使用量を増やすことなどが挙げられる。
【0038】
本発明の製造方法において、モールド成形フォームの場合、活性水素成分(A)と有機イソシアネート(B)とが反応開始(これらを含む原料の混合開始)をしてからフォーム成形品を取り出すまでの時間は、120秒以下であることが好ましい。本発明の製造方法によれば、短時間で脱型しても、成形品に外観不良が発生する恐れがない。
【0039】
本発明の軟質ウレタンフォームの製造方法により得られた軟質ウレタンフォーム成形品は、通気度が0.10ft3/分未満であると、成形品の収縮等の不良が生じることがある。
【0040】
通気度とは、ダウ式エアーフローメーターにて測定(ASTM−3574)で測定した数値を示し、単位はft3/分で表記され、0.10ft3/分以上が好ましい。通気度を0.10ft3/分以上とする手法としては、例えば活性水素成分の水もしくは触媒の使
用量を下げることなどがある。
【0041】
本発明の軟質ウレタンフォームの製造方法において、得られる軟質ウレタンフォーム成形品のコア密度は、25〜70kg/m3が好ましく、更に好ましくは28〜65kg/m3、特に好ましくは30〜60kg/m3である。
本発明におけるフリー密度は、JIS K6400に準拠して測定される。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、以下において、%は、特にことわりのないかぎり、重量%を示す。
【0043】
〔実施例1〜7、比較例1〜6〕
実施例および比較例における軟質ウレタンフォ−ム原料は次の通りである。
(1)ポリオール(A1−1):ショ糖のPO・EOブロック付加物(水酸基価=28、末端EO単位の含有量=20%)。
(2)ポリオール(A1−2):グリセリンのPO・EOブロック付加物(水酸基価=34、末端EO単位の含有量=20%)。
(3)ポリオール(A2−1):グリセリンのPO・EOブロック付加物(水酸基価=34、末端EO単位の含有量=20%)のポリオール中でアクリロニトリルが重合されて得られた重合体ポリオール(重合体含量20%)。
(4)ポリオール(A2−2):ペンタエリスリトールのPO・EOブロック付加物(水酸基価=28、末端EO単位の含有量=14%)の中でアクリロニトリルとスチレンが重合されて得られた重合体ポリオール(重合体含量30%、アクリロニトリル/スチレン=67/33重量比)。
(5)ポリオール(A3):プロピレングリコールのPO・EO・PO・EOブロック付加物(水酸基価=28、EO単位の合計含有量=20%、末端EO単位の含有量=10%)。
(6)ポリオール(A4−1):トリエタノールアミン
(7)ポリオール(A4−2):グリセリンのPO・EOランダム付加物(水酸基価=24、EO単位の含有量=72%)
(8)発泡剤(C−1):水
(9)触媒(D−1):トリエチレンジアミンのジプロピレングリコ−ル溶液〔東ソー(株)製TEDA−L33〕
(10)触媒(D−2):ビス(ジメチルアミノエチル)エ−テルの70%ジプロピレングリコール溶液〔東ソ−(株)製TOYOCAT ET〕
(11)触媒(D−3):ビス(ジメチルアミノエチル)エ−テル〔エアプロ社製DABCO−BL19〕
(12)触媒(D−4):アミン系反応性触媒〔花王(株)製カオーライザーNo.25〕
(13)触媒(D−5):アミン系反応性触媒〔東ソ−(株)製TOYOCAT HX−70〕
(14)整泡剤(E−1):東レダウコーニング・シリコーン(株)製「SF−2962」
(15)有機イソシアネ−ト(B−1):粗製MDI〔日本ポリウレタン工業(株)製MR−200〕NCO%=31
(16)有機イソシアネ−ト(B−2):ポリエーテル変性MDI〔日本ポリウレタン工業(株)製〕NCO%=28
【0044】
<成形条件>
・発泡機:ポリマーエンジニアリング社製MINI−RIM、L型ヘッド
・吐出圧:14〜16MPa
・吐出量:200g/秒
・液温:30〜35℃
・脱型時間:60秒
得られた各フォームの成形性及び物性値の測定結果を表1に示す。
なお、表1では、使用する材料の仕込量を重量部で示している。また、有機イソシアネート(B)の仕込量は、インデックス(イソシアネート指数)で示している。
【0045】
各実施例、比較例における、前記の方法により測定した、クリームタイム、ゲルタイム(t1)、ライズタイム(t2)、(t2)−(t1)、コア密度、通気度の測定結果を表1に示す。
また、混合開始60秒後脱型後の変形の有無(無し:○、有り:×)、および、フォーム成形品のエア溜まりの有無(無し:○、有り:×)の評価結果を表1に示す。
さらに、Push−Pull硬さを測定した。測定法は、以下に記す通りである、
Push−Pull硬さ試験機を使用し、20mmの円筒の先端が球状の治具を使用してフォームに垂直に15mm押し込んだ時の応力を測定した。
【0046】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の製造方法で得られた軟質ウレタンフォームは、自動車内装用ヘッドレスト、アームレスト等の軟質ウレタンフォームのあらゆる用途で好適に使用できる。
特に、自動車内装材用ヘッドレストまたはアームレストを表皮材(熱可塑性樹脂成形品など)と一体成形する軟質ウレタンフォームに好適である。