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特開2017-201001共重合体、および、それを含む樹脂組成物、パッケージ膜とパッケージ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-201001(P2017-201001A)
(43)【公開日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】共重合体、および、それを含む樹脂組成物、パッケージ膜とパッケージ構造
(51)【国際特許分類】
   C08G 81/02 20060101AFI20171013BHJP
   C08F 8/42 20060101ALI20171013BHJP
   C08F 220/18 20060101ALI20171013BHJP
   C08F 230/08 20060101ALI20171013BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20171013BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20171013BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20171013BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20171013BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20171013BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20171013BHJP
【FI】
   C08G81/02
   C08F8/42
   C08F220/18
   C08F230/08
   C08F220/06
   C08L33/04
   C08L63/00 A
   H01L23/30 F
   H01L33/56
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-84455(P2017-84455)
(22)【出願日】2017年4月21日
(31)【優先権主張番号】105114088
(32)【優先日】2016年5月6日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 明宗
(72)【発明者】
【氏名】張 徳宜
(72)【発明者】
【氏名】黄 耀正
(72)【発明者】
【氏名】▲らい▼ ▲いん▼佑
【テーマコード(参考)】
4J002
4J031
4J100
4M109
5F142
【Fターム(参考)】
4J002BG041
4J002BG05
4J002CD002
4J002CD052
4J002FD140
4J002FD200
4J002GQ00
4J002HA03
4J031AA20
4J031AA59
4J031AB01
4J031AC13
4J031AD01
4J031CD26
4J100AJ02S
4J100AL03R
4J100AL03S
4J100AL04R
4J100AL05R
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL08R
4J100AL09S
4J100AL11P
4J100BA04P
4J100BA04R
4J100BA77Q
4J100BA81H
4J100BA81Q
4J100BB01P
4J100BB03P
4J100BB07P
4J100BC43H
4J100BC43P
4J100BC43Q
4J100CA05
4J100CA31
4J100HA61
4J100HC77
4J100HE14
4J100JA32
4J100JA43
4M109AA01
4M109BA04
4M109CA22
4M109EA10
4M109ED05
4M109GA01
5F142AA72
5F142CD17
5F142CD24
5F142CG03
5F142CG06
5F142CG13
5F142CG26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】大尺寸、薄型、可撓性OLEDのカプセル化に適用できるカプセル化材料である共重合体及び、それを含む樹脂組成物、パッケージ膜とパッケージ構造の提供。
【解決手段】30〜80mol%の式(I)に示される反復単位、5〜25mol%の式(II)に示される反復単位及び、5〜30mol%の式(III)に示される反復単位を有する共重合体。

(R1はC6−13アリール基、C7−13アラルキル基、C6−8ハロゲン化アリール基又は、C7−8アシルオキシアルキル基;R3はC3−16アルキル基又はC3−6アルコキシ置換アルキル基;R5は単結合又はC1−3アルキレン基;R6とR7は各々独立にC1−3アルコキシ基;R8はメチル及びフェニル基を有するポリシロキサン;R、R及びRは各々独立にH又はメチル基)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
30〜80mol%の式(I)に示される反復単位、5から25mol%の式(II)に示される反復単位、および、5から30mol%の式(III)に示される反復単位を有する共重合体であって、
【化1】
式中、
1は、C6−C13アリール基、C7−C13アラルキル基、C6−C8ハロゲン化アリール基、あるいは、C7−C8アシルオキシアルキル基であり、
3は、C3−C16アルキル基、あるいは、C3−C6アルコキシ置換アルキル基であり、
5は、単結合、あるいは、C1−C3アルキレン基であり、
6とR7は、独立して、C1−C3アルコキシ基であり、
8は、メチル、および、フェニル基を有するポリシロキサン、および、
2、R4とR9は、独立して、水素、あるいは、メチルであることを特徴とする共重合体。
【請求項2】
さらに、式(IV)に示される反復単位を有し、
【化2】
式中、
10は、水素、メチル、ヒドロキシエチル、あるいは、ヒドロキシプロピルであり、R11は、水素、あるいは、メチルであることを特徴とする請求項1記載の共重合体。
【請求項3】
前記共重合体は、30から50mol%の式(I)に示される反復単位、5から25mol%の式(II)に示される反復単位、5から30mol%の式(III)に示される反復単位、および、10から30mol%の式(IV)に示される反復単位を有することを特徴とする請求項2記載の共重合体。
【請求項4】
1は、ベンジル、フェニル、フェニルエチル、クロロフェニル、ペンタブロモフェニル、ペンタフルオロフェニル、トリブロモフェニル、ベンズヒドリル、あるいは、フェノキシエチルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項5】
3は、tert−アミル、n−ブトキシエチル、tert−ブチル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、イソデシル、n−デシル、n−ドデシル、エトキシエトキシエチル、エチルヘキシ、ヘキサデシル、n−ヘキシル、メトキシエチル、n−オクチル、あるいは、n−プロピルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項6】
5は、単結合、あるいは、プロピレン、R6とR7は、独立して、メトキシ、あるいは、エトキシであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項7】
前記ポリシロキサンの反復単位は、
【化3】
あるいは、それらの組み合わせを有し、式中、Meはメチル、Phはフェニルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項8】
前記ポリシロキサン中のフェニル基対メチル基のモル比は、3、あるいは、それ以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項9】
前記ポリシロキサンの重量平均分子量は、500〜20000であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の共重合体。
【請求項10】
樹脂組成物であって、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の前記共重合体、および、
エポキシ樹脂、
を有し、前記エポキシ樹脂対前記共重合体の重量比は、0.01から1であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項11】
さらに、溶剤を有し、前記樹脂組成物の前記総重量で占める割合は、40〜80%であることを特徴とする請求項10記載の樹脂組成物。
【請求項12】
さらに、促進剤を有し、前記樹脂組成物の前記総重量で占める割合は0.05〜5%であることを特徴とする請求項10または11に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
前記エポキシ樹脂が前記樹脂組成物の前記総重量で占める割合は、5〜10%であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項14】
前記エポキシ樹脂は、重量平均分子量が150〜300、粘性が3〜300cpsであることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項15】
パッケージ膜であって、
基板と、
前記基板上に設置される剥離層と、
前記剥離層上に設置される気体遮断層、および、
前記気体遮断層上に設置され、且つ、請求項10〜14のいずれか1項に記載の樹脂組成物を有する樹脂層、
を有することを特徴とするパッケージ膜。
【請求項16】
前記剥離層と前記気体遮断層間の付着力は、65〜6000nN/20mmであることを特徴とする請求項15記載のパッケージ膜。
【請求項17】
前記剥離層は、酸化タングステン、あるいは、シリカ材料を有することを特徴とする請求項15または16記載のパッケージ膜。
【請求項18】
前記基板は厚さが2μm〜200μm、前記剥離層は厚さが2nm〜200nm、前記気体遮断層は厚さが2nm〜200nm、前記樹脂層は厚さが5μm〜600μmであることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載のパッケージ膜。
【請求項19】
パッケージ構造であって、
基板と、
前記基板上に設置される半導体素子と、
前記半導体素子をカプセル化するとともに、請求項10〜14のいずれか1項に記載の前記樹脂組成物、および、
前記樹脂層上に設置される気体遮断層、
を有することを特徴とするパッケージ構造。
【請求項20】
前記樹脂層は厚さが5μm〜600μm、前記気体遮断層は厚さが2nm〜200nmであることを特徴とする請求項19記載のパッケージ構造。
【請求項21】
前記基板は、テレフタル酸ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、あるいは、ポリイミドを有することを特徴とする請求項15〜20のいずれか1項に記載のパッケージ構造。
【請求項22】
前記気体遮断層は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、あるいは、それらの組み合わせを有することを特徴とする請求項15〜21のいずれか1項に記載のパッケージ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリレート共重合体、および、それを含む樹脂組成物、パッケージ膜とパッケージ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光ダイオード(OLED)素子は、大尺寸、薄型化、および、可撓性基板に向けて発展している。しかし、OLED素子は、一種の多結晶半導体であり、酸素や湿気の影響を受けやすいので、OLED素子の劣化を招く。これにより、OLED素子は外部を密封して、周囲の気体の流入を防止する必要がある。
【0003】
OLEDに適用される常見のカプセル化方法は、ガラスフリット技術(glass-frit technique)とダムフィリング技術(dam & filling technique)である。
【0004】
ガラスフリット技術は、酸素や湿気に耐えることができるが、大尺寸、薄い、可撓性素子に適さない。ダムフィリング技術は、酸素や湿気に耐え、カプセル化のための高い機械的強度を有するが、この技術は複雑で、大尺寸やロールトゥロールプロセスに適さない。
【0005】
上述に基づき、大尺寸、薄型、可撓性OLEDのカプセス化に適用できる新規のカプセル化材料の発展が期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、アクリレート共重合体、および、それを含む樹脂組成物、パッケージ膜とパッケージ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は共重合体を提供し、30〜80mol%の式(I)に示される反復単位、5〜25mol%の式(II)に示される反復単位、および、5から30mol%の式(III)に示される反復単位を有する。
【化1】
【0008】
式中、R1は、C6−C13アリール基、C7−C13アラルキル基、C6−C8ハロゲン化アリール基、あるいは、C7−C8アシルオキシアルキル基である。R3は、C3−C16アルキル基、あるいは、C3−C6アルコキシ置換アルキル基である。R5は、単結合、あるいは、C1−C3アルキレン基、R6とR7は、独立して、C1−C3アルコキシ基、R8は、メチル、および、フェニル基を有するポリシロキサンである。R2、R4とR9は、独立して、水素、あるいは、メチルである。
【0009】
本発明は、上述の共重合体とエポキシ樹脂を有する樹脂組成物を提供し、エポキシ樹脂対共重合体の重量比は、0.01から1である。
【0010】
本発明は、基板と、基板上に設置される剥離層と、剥離層上に設置される気体遮断層、および、気体遮断層上に設置され、且つ、上述の樹脂組成物を有する樹脂層を有するパッケージ膜を提供する。
【0011】
本発明は、基板と、基板上に設置される半導体素子と、半導体素子をカプセル化し、且つ、上述の樹脂組成物を有する樹脂層、および、樹脂層上に設置される気体遮断層を有するパッケージ構造を提供する。
【0012】
本発明は、第一アクリレート、第二アクリレート、および、第三アクリレート、あるいは、第一アクリレート、第二アクリレート、第三アクリレート、および、第四アクリレートから一連の重合により合成される共重合体である。いくつかの実施態様において、まず、遊離基重合が行われて、樹脂前駆体を形成する。続いて、凝縮重合により、樹脂前駆体がシリコーンオリゴマーと反応して、本発明の共重合体を形成する。第一アクリレートは、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アリール基、あるいは、アシルオキシアルキル基を有して、共重合体の耐熱性と相溶性を増加する。第二アクリレートは、長鎖アルキル基、あるいは、アルコキシ置換アルキル基を有して、共重合体の可撓性と熱転写特性を向上させる。第三アクリレートは、(メタ)アクリルシラン、たとえば、(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシシラン、および、(メタ)アクリルオキシアルコキシシランで、且つ、シラン基により、シリコーンオリゴマーと接合されて、共重合体の耐熱性と耐黄変性を改善する。第四アクリレートは、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、あるいは、それらの組み合わせにより例示され、且つ、さらに、基板との付着性を改善する。
【0013】
アクリル樹脂は、高い光線透過率と高密着性の特性を有する。シリコーン樹脂は、耐熱性の特性を有する。これにより、本発明において、アクリル樹脂は、シリコーン樹脂と接合されて、耐黄変性、耐熱性、高密着性、および、可撓性の特性を有する共重合体を形成する。いくつかの実施態様において、共重合体は、カプセル化のための熱転写材料として用いられるが、その応用分野はこの限りではない。
【0014】
本発明のパッケージ膜は、大尺寸、薄型、および、可撓性OLED素子のカプセル化に適用され、パッケージ膜は、ホットロールラミネーションを用いて、OLED素子をカプセル化する。いくつかの実施態様において、熱転写プリントは、圧力、温度、速度、および、機械式高熱圧縮機器のプレス時間を制御することにより、たとえば、圧力2Kg/cm2、温度60℃〜120℃、および、速度0.5m/分で実行される。樹脂層自身の熱融解特性のため、パッケージ膜は、たとえば、OLED素子上に存在する塵や微粒子を完全に覆って、OLED素子上に平坦化層を形成する。室温まで冷却後、基板と剥離層を、気体遮断層から直接剥離して、OLED素子上に、気体遮断層と樹脂層を残し、大尺寸のOLED素子のパッケージ構造を形成して、周囲の気体や水蒸気の流入を防止する。
【0015】
以下で図面とともにいくつかの実施態様を記述して、本発明を詳細に説明する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の共重合体は、耐黄変性、耐熱性、高密着性、および、可撓性特性を有し、且つ、大尺寸の熱転写プリントのカプセル材として用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の本質及び範囲の理解を更に完全にするために、次の詳細な説明を添付に図面と併せて参考にすることができる。
【0018】
図1】本発明の一実施態様によるパッケージ膜を示す模式図である。
図2】本発明の一実施態様によるパッケージ構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、第一アクリレート、第二アクリレート、および、第三アクリレート、あるいは、第一アクリレート、第二アクリレート、第三アクリレート、および、第四アクリレートから一連の重合により合成される共重合体である。いくつかの実施態様において、まず、遊離基重合が行われて、樹脂前駆体を形成する。続いて、凝縮重合により、樹脂前駆体がシリコーンオリゴマーと反応して、本発明の共重合体を形成する。第一アクリレートは、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アリール基、あるいは、アシルオキシアルキル基を有して、共重合体の耐熱性と相溶性を増加する。第二アクリレートは、長鎖アルキル基、あるいは、アルコキシ置換アルキル基を有して、共重合体の可撓性と熱転写特性を向上させる。第三アクリレートは、(メタ)アクリルシラン、たとえば、(メタ)アクリルオキシアルキルアルコキシシラン、および、(メタ)アクリルオキシアルコキシシランで、且つ、シラン基により、シリコーンオリゴマーと接合されて、共重合体の耐熱性と耐黄変性を改善する。第四アクリレートは、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、あるいは、それらの組み合わせにより例示され、且つ、さらに、基板との付着性を改善する。
【0020】
いくつかの実施態様において、第一アクリレートは、ベンジルアクリレート、メタクリル酸ベンジル、ベンズヒドリルアクリレート、ベンズヒドリルメタクリル樹脂、4−クロロフェニルアクリレート、4−クロロフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタフルオロフェニルアクリレート、ペンタフルオロフェニルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルメタクリレート、あるいは、それらの組み合わせにより例示されるが、この限りではない。
【0021】
いくつかの実施態様において、第二アクリレートは、tert−アミルアクリレート、tert−アミルメタクリレート、2−n−ブトキシエチルアクリレート、2−n−ブトキシエチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、n−デシルアクリレート、n−デシルメタクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−ドデシルメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、1−ヘキサデシルアクリレート、1−ヘキサデシルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクレート、あるいは、それらの組み合わせにより例示されるが、この限りではない。
【0022】
いくつかの実施態様において、第三アクリレートは、メタクリロキシトリメトキシシラン、アクリルオキシトリメトキシシラン、メタクリルオキシトリエトキシシラン、アクリルオキシトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、アクリルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、アクリルオキシメチルトリエトキシシラン、3−(ジメトキメチルシリル)プロピルメタクレート、3−(ジメトキメチルシリル)プロピルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクレート、3−(ジエトキシメチルシリル)プロピルメタクレート、3−(ジエトキシメチルシリル)プロピルアクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルアクリレート、あるいは、それらの組み合わせにより例示されるが、この限りではない。
【0023】
いくつかの実施態様において、シリコーンオリゴマーは、Dow Corning 804、Dow Corning 805、Dow Corning 806、Dow Corning 840、Dow Corning 409、あるいは、Dow Corning431(Dow Corning Corporationから仕入れる)により例示されるが、この限りではない。いくつかの実施態様において、シリコーンオリゴマーは、メチル、および、フェニル基を有し、且つ、重量平均分子量が500〜20000が、フェニル基対メチル基のモル比が0.5〜3である。シリコーンオリゴマーの重量平均分子量が20000より大きいとき、全体の反応性が悪くなる。シリコーンオリゴマーの重量平均分子量が500より小さいとき、共重合体の耐熱性が不足する。フェニル基対メチル基のモル比は、共重合体の耐熱性と耐黄変性、および、シリコーンオリゴマーとアクリレート間の相溶性に影響する。
【0024】
アクリル樹脂は、高い光線透過率と高密着性の特性を有するが、高い温度に耐えられない。しかし、シリコーン樹脂は耐熱性特性を有する。これにより、本発明において、アクリル樹脂がシリコーン樹脂と接合されて、耐黄変性、耐熱性、高密着性、および、可撓性の特性を有する共重合体を形成する。いくつかの実施態様において、共重合体は、カプセル化のための熱転写材として用いられるが、その応用分野はこの限りではない。
【0025】
本発明は共重合体を提供し、30〜80mol%の式(I)に示される反復単位、5〜25mol%の式(II)に示される反復単位、および、5〜30mol%の式(III)に示される反復単位を有する。
【化2】
【0026】
式中、R1は、C6−C13アリール基、C7−C13アラルキル基、C6−C8ハロゲン化アリール基、あるいは、C7−C8アシルオキシアルキル基である。R3は、C3−C16アルキル基、あるいは、C3−C6アルコキシ置換アルキル基である。R5は、単結合、あるいは、C1−C3アルキレン基である。R6とR7は、独立して、C1−C3アルコキシ基である。R8は、メチル、および、フェニル基を有するポリシロキサンである。R2、R4とR9は、独立して、水素、あるいは、メチルである。
【0027】
いくつかの実施態様において、式(I)に示される反復単位、式(II)に示される反復単位、および、式(III)に示される反復単位は、不規則、あるいは、間欠的な順序で設けられる。
【0028】
いくつかの実施態様において、R1は、ベンジル、フェニル、フェニルエチル、クロロフェニル、ペンタブロモフェニル、ペンタフルオロフェニル、トリブロモフェニル、ベンズヒドリル、あるいは、フェノキシエチルであるが、この限りではない。
【0029】
いくつかの実施態様において、R3は、tert−アミル、n−ブトキシエチル、tert−ブチル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、イソデシル、n−デシル、n−ドデシル、エトキシエトキシエチル、エチルヘキシル、ヘキサデシル、n−ヘキシル、メトキシエチル、n−オクチル、あるいは、n−プロピル、この限りではない。
【0030】
いくつかの実施態様において、R5は、単結合、あるいは、プロピレンで、R6とR7は、独立して、メトキシ、あるいは、エトキシであるが、この限りではない。
【0031】
いくつかの実施態様において、ポリシロキサンの反復単位は、
【化3】
あるいは、それらの組み合わせを有し、式中、Meはメチル、Phはフェニルである。いくつかの実施態様において、ポリシロキサンは、7〜700の反復単位、重量平均分子量500〜20000、および、フェニル基対メチル基のモル比3か、それ以下、たとえば、0.5〜2.5である。
【0032】
いくつかの実施態様において、R8は、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルメチルフェニルシロキサン、および、ポリジメチルジフェニルシロキサンであるが、この限りではない。
【0033】
いくつかの実施態様において、共重合体は、さらに、式(IV)に示される反復単位:
【化4】
を有し、
【0034】
式中、R10は、水素、メチル、ヒドロキシエチル、あるいは、ヒドロキシプロピルである。R11は水素、あるいは、メチルである。
【0035】
いくつかの実施態様において、式(I)に示される反復単位、式(II)に示される反復単位、式(III)に示される反復単位、および、式(IV)に示される反復単位は、不規則、あるいは、間欠的な順序で設けられ、共重合体は、30から50mol%の式(I)に示される反復単位、5から25mol%の式(II)に示される反復単位、5から30mol%の式(III)に示される反復単位、および、10から30mol%の式(IV)に示される反復単位を有する。
【0036】
いくつかの実施態様において、本発明の共重合体は、樹脂組成物、パッケージ膜、および、パッケージ構造に用いられるが、この限りではない。
【0037】
本発明は、上述の共重合体とエポキシ樹脂を有する樹脂組成物を提供し、エポキシ樹脂対共重合体の重量比は、0.01から1、たとえば、0.01〜0.2である。
【0038】
いくつかの実施態様において、エポキシ樹脂が樹脂組成物の総重量で占める割合は、5〜10%であり、Epon 825、Epon 826、Epon 827、 Epon 828、 Epon 830、Epon 834、Epon 862、あるいは、Epon 863(Shell Chemical Corporationから仕入れる)により例示されるが、この限りではない。エポキシ樹脂は、重量平均分子量が150〜300、粘性が3〜300cpsである。エポキシ樹脂は、樹脂組成物の耐化学性と、成膜の架橋密度を増加させる。エポキシ樹脂の重量平均分子量が300より大きいとき、架橋反応に影響する。
【0039】
いくつかの実施態様において、樹脂組成物、さらに、溶剤を有し、樹脂組成物の総重量で占める割合は、40〜80%である。溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、アセチルアセトン、アセトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、あるいは、テトラヒドロフランにより例示されるが、この限りではない。
【0040】
いくつかの実施態様において、樹脂組成物は、さらに、促進剤を有し、樹脂組成物の総重量で占める割合は0.05〜5%である。促進剤は、イミダゾール、脂肪族アミン、ポリアミン、ポリエステルアミン、あるいは、ピぺラジンにより例示されるが、この限りではない。
【0041】
図1は、本発明の一実施態様によるパッケージ膜100を示す模式図である。パッケージ膜100は、基板110、剥離層120、気体遮断層130、および、樹脂層140を有する。剥離層120は基板110上に設置され、気体遮断層130は剥離層120上に設置される。樹脂層140は、本発明の樹脂組成物を有し、且つ、気体遮断層130上に設置される。さらに、剥離層120と気体遮断層130は、基板110と樹脂層140間に設置される。
【0042】
いくつかの実施態様において、基板110は、厚さ2μm〜200μmで、且つ、テレフタル酸ポリエチレン(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、あるいは、ポリイミドにより例示されるが、この限りではない。剥離層120は、厚さ2nm〜200nmで、且つ、酸化タングステン、あるいは、シリカ材料により例示されるが、この限りではない。さらに、シリカ材料は、KF96、KS-702、あるいは、KF96SP(TOPCO Technologies Corporationから仕入れる)により例示されるが、この限りではない。気体遮断層130は、厚さ2nm〜200nmで、且つ、水や気体を効果的に防止する無機膜、たとえば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、あるいは、それらの組み合わせであるが、この限りではない。樹脂層140は、厚さが5μm〜600μm、たとえば、20μm〜200μmである。しかし、樹脂層140は、本発明の共重合体を有するので、厚さが厚い条件下でも、耐黄変性、耐熱性、高密着性、および、可撓性特性を有することができる。
【0043】
いくつかの実施態様において、剥離層120と気体遮断層130が、蒸気蒸着、あるいは、スパッタ蒸着で、基板110上に形成される。続いて、樹脂層140が、ドクターブレードコーティング、あるいは、スピンコーティングにより、気体遮断層130上に形成され、オーブンかデジタル温度コントローラーで、80℃〜120℃の温度で乾燥されて、ドライフィルムを形成する。さらに、ドライフィルムは、巻き取り機を用いて、ロール状に収集される。しかし、本発明のパッケージ膜の準備方法はこれに限定されない。
【0044】
いくつかの実施態様において、剥離層120と気体遮断層130は、付着力が65nN/20mm〜6000nN/20mmである。付着力は、0.3〜100m/分の剥離速度で、180°の剥離テストにより測定される。基板110が剥離層120とともに剥離されるとき、気体遮断層130は、樹脂層とバリア層間の付着力により、樹脂層140上で効果的に固定される。
【0045】
本発明のパッケージ膜は、大尺寸、薄型、および、可撓性OLED素子のカプセル化に適用され、パッケージ膜は、ホットロールラミネーションを用いることにより、OLED素子をカプセル化する。いくつかの実施態様において、熱転写プリントは、熱転写プリントは、圧力、温度、速度、および、機械式高熱圧縮機器のプレス時間を制御することにより、たとえば、圧力2Kg/cm2、温度60℃〜120℃、および、速度0.5m/分で実行される。樹脂層自身の熱融解特性のため、パッケージ膜は、たとえば、OLED素子上に存在する塵や微粒子を完全に覆って、OLED素子上に平坦化層を形成する。室温まで冷却後、基板と剥離層を気体遮断層から直接剥離して、OLED素子上に、気体遮断層と樹脂層を残し、大尺寸のOLED素子のパッケージ構造を形成して、周囲の気体や水蒸気の流入を防止する。
【0046】
図2は、本発明の一実施態様によるパッケージ構造200を示す模式図である。パッケージ構造200は、基板210、半導体素子220、樹脂層140、および、気体遮断層130を有する。半導体素子220は基板210上に設置される。樹脂層140は、本発明の樹脂組成物を有し、且つ、半導体素子220をカプセル化する。気体遮断層130は樹脂層140上に設置される。さらに、樹脂層140が、半導体素子220と気体遮断層130間に設置される。
【0047】
いくつかの実施態様において、基板210は、テレフタル酸ポリエチレン(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、あるいは、ポリイミドにより例示されるが、この限りではない。半導体素子220は、有機発光ダイオード(OLED)、発光ダイオード(LED)、あるいは、タッチパネルにより例示されるが、この限りではない。気体遮断層130は、厚さが2nm〜200nmで、且つ、水や気体を効果的に防止する無機膜、たとえば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、あるいは、それらの組み合わせであるが、この限りではない。樹脂層140は、厚さが5μm〜600μm、たとえば、20μm〜200μmである。しかし、樹脂層140は、本発明の共重合体を有するので、厚さが厚い条件下でも、耐黄変性、耐熱性、高密着性、および、可撓性特性を有することができる。
【0048】
本発明の共重合体は、少なくとも三種のアクリレートモノマーの重合により合成され、それぞれ、特定の置換基、あるいは、シリコーンオリゴマーと接合するシラン基を有する。これにより、本発明の共重合体は、耐黄変性、耐熱性、高密着性、および、可撓性特性を有し、且つ、大尺寸の熱転写プリントのカプセル材として用いられる。
【0049】
注意すべきことは、上述の実施態様は、単なる説明用であり、本発明の共重合体、樹脂組成物、パッケージ膜、および、パッケージ構造は上記方法や化合物により得られるものに限定されない。
【0050】
実施例1 共重合体1
【0051】
13gのメタクリル酸(MAA)、33gのメタクリル酸メチル(MMA)、70gのメタクリル酸ベンジル(BZMA)、35gの2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、16gの3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクレート、0.8gのチオール、および、0.8gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を、180gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)で溶解させるとともに、窒素雰囲気下で、磁気攪拌子により攪拌した。混合物を90℃で4時間加熱して、樹脂前駆体を得た。熱重量分析(Perkin-Elmer TGA-7)により測定された平均固形分は49.6%、ゲル浸透クロマトグラフィー(WATERS Model 600)により測定された重量平均分子量(Mw)は46340、および、ビスコグラフ(BROOKFIELD)により25℃で測定された平均粘度は、14250cpsであった。
【0052】
続いて、120.2gの前述の樹脂前駆体、および、18.8gのシリコーンオリゴマー(Dow Corning 840、Dow Corning Corporationから仕入れ、1H-NMRにより測定されたフェニル基対メチル基のモル比は2.07)を、300gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)で溶解させるとともに、窒素雰囲気下で、磁気攪拌子により攪拌した。混合物を、50℃−60℃で4時間加熱して、共重合体1を得た。熱重量分析(Perkin-Elmer TGA-7)により測定された平均固形分は25.5%、ゲル浸透クロマトグラフィー(WATERS Model 600)により測定された重量平均分子量(Mw)は54850、および、ビスコグラフ(BROOKFIELD)により25℃下で測定された平均粘度は、3100cpsであった。
【0053】
実施例2 共重合体2
【0054】
13gのメタクリル酸(MAA)、33gのメタクリル酸メチル(MMA)、70gのメタクリル酸ベンジル(BZMA)、35gの2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、16gの3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクレート、0.8gのチオール、および、0.8gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を、180gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)で溶解させるとともに、窒素雰囲気下で、磁気攪拌子により攪拌した。混合物を、90℃で4時間加熱して、樹脂前駆体を得た。熱重量分析(Perkin-Elmer TGA-7)により測定された平均固形分は49.6%、ゲル浸透クロマトグラフィー(WATERS Model 600)により測定された重量平均分子量(Mw)は46340、および、ビスコグラフ(BROOKFIELD)により25℃で測定された平均粘度は14250cpsであった。
【0055】
続いて、108.2gの前述の樹脂前駆体、および、33.8gのシリコーンオリゴマー(Dow Corning 804、Dow Corning Corporationから仕入れ、1H-NMRにより測定されたフェニル基対メチル基のモル比は0.64)を、300gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)で溶解させるとともに、窒素雰囲気下で、磁気攪拌子により攪拌した。混合物を、50℃−60℃で4時間加熱して、共重合体2を得た。熱重量分析(Perkin-Elmer TGA-7)により測定された平均固形分は25.1%、ゲル浸透クロマトグラフィー(WATERS Model 600)により測定された重量平均分子量(Mw)は55350、および、ビスコグラフ(BROOKFIELD)により25℃で測定された平均粘度は2950であった。
【0056】
実施例3 樹脂層1
【0057】
100gの共重合体1、6.5gのエポキシ単量体(Epon 828、Shell Chemical Corporationから仕入れる)、0.13gのイミダゾール、および、20gのPGMEAを混合して、樹脂組成物を得た。続いて、スピンコーターにより、樹脂組成物を10cm×10cmのPET膜にコートして、厚さが40μmを有するとともに、90℃で2分加熱して、樹脂層1を得た。
【0058】
実施例4 樹脂層2
【0059】
100gの共重合体12、6.5gのエポキシ単量体(Epon 828、Shell Chemical Corporationから仕入れる)、0.13gのイミダゾール、および、20gのPGMEAを混合して、樹脂組成物を得た。続いて、スピンコーターにより、樹脂組成物を10cm×10cmのPET膜にコートして、厚さが40μmを有するとともに、90℃で2分加熱して、樹脂層2を得た。
【0060】
比較例1 樹脂層3
【0061】
25gのメタクリル酸(MAA)、75gのメタクリル酸メチル(MMA)、14gのメタクリル酸ベンジル(BZMA)、16gの2−メタクリル酸ヒドロキシエチル(2−HEMA)、1gのチオール、および、1gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を、300gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)で溶解させて、窒素雰囲気下で、磁気攪拌子により攪拌した。混合物を90℃で4時間加熱して、アクリル樹脂を得た。熱重量分析(Perkin-Elmer TGA-7)により測定された平均固形分は39.6%、ゲル浸透クロマトグラフィー(WATERS Model 600)により測定された重量平均分子量(Mw)は34500、および、ビスコグラフ(BROOKFIELD)により25℃で測定された平均粘度は、4850cpsであった。
【0062】
続いて、300gの前述のアクリル樹脂、50gのエトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(A-DPH-12E、KOWA Corporationから仕入れる)、0.3gの1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(o−ベンゾイルオキシム)、および、300gのPGMEAを混合して、樹脂組成物を得た。その後、スピンコーターにより、樹脂組成物を10cm×10cmのPET膜にコートして、厚さが40μmを有するとともに、90℃で2分加熱して、樹脂層3を得た。
【0063】
比較例2 樹脂層4
【0064】
22gのメタクリル酸(MAA)、36gのメタクリル酸メチル(MMA)、72gのメタクリル酸ベンジル(BZMA)、16gの2−メタクリル酸ヒドロキシエチル(2−HEMA)、16gの3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクレート、0.4gのチオール、および、0.4gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を、220gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)で溶解させるとともに、窒素雰囲気下で、磁気攪拌子により攪拌した。混合物を90℃で4時間加熱して、樹脂前駆体を得た。熱重量分析(Perkin-Elmer TGA-7)により測定された平均固形分は40.2%、ゲル浸透クロマトグラフィー(WATERS Model 600)により測定された重量平均分子量(Mw)は24800、および、ビスコグラフ(BROOKFIELD)により25℃で測定された平均粘度は6200cpsであった。
【0065】
続いて、108.2gの前述の樹脂前駆体、および、33.8gのシリコーンオリゴマー(Dow Corning 840、Dow Corning Corporationから仕入れ、1H-NMRにより測定されたフェニル基対メチル基のモル比が2.07)を、300gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)で溶解させて、窒素雰囲気下で、磁気攪拌子により攪拌した。混合物を、50℃−60℃で4時間加熱して、共重合体3を得た。熱重量分析(Perkin-Elmer TGA-7)により測定された平均固形分は25.5%、ゲル浸透クロマトグラフィー(WATERS Model 600)により測定された重量平均分子量(Mw)は58500、および、ビスコグラフ(BROOKFIELD)により25℃で測定された平均粘度が2950cpsであった。
【0066】
100gの共重合体3、6.5gのエポキシ単量体(Epon 828、Shell Chemical Corporationから仕入れる)、0.13gのイミダゾール、および、20gのPGMEAを混合して、樹脂組成物を得た。その後、スピンコーターにより、樹脂組成物を10cm×10cmのPET膜にコートして、厚さが40μmを有するとともに、90℃で2分加熱して、樹脂層4を得た。
【0067】
比較例3 樹脂層5
【0068】
30gの2−メタクリル酸ヒドロキシエチル(2−HEMA)、45gの2−エチルヘキシルメタクリレート(2−EHMA)、45gのtert−ブチルメタクリレート(TBMA)、16gの3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクレート、0.8gのチオール、および、0.8gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を、350gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)で溶解させて、窒素雰囲気下で、磁気攪拌子により攪拌した。混合物を90℃で4時間加熱して、樹脂前駆体を得た。熱重量分析(Perkin-Elmer TGA-7)により測定された平均固形分は40.5%、ゲル浸透クロマトグラフィー(WATERS Model 600)により測定された重量平均分子量(Mw)は25500、および、ビスコグラフ(BROOKFIELD)により25℃で測定された平均粘度は6250cpsであった。
【0069】
続いて、108.2gの前述の樹脂前駆体、および、33.8gのシリコーンオリゴマー(Dow Corning 840、Dow Corning Corporationから仕入れ、1H-NMRにより測定されたフェニル基対メチル基のモル比が2.07)を、300gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)で溶解させて、窒素雰囲気下で、磁気攪拌子により攪拌した。混合物を、50℃−60℃で4時間加熱して、共重合体4を得た。熱重量分析(Perkin-Elmer TGA-7)により測定された平均固形分は26.0%、ゲル浸透クロマトグラフィー(WATERS Model 600)により測定された重量平均分子量(Mw)は61500、および、ビスコグラフ(BROOKFIELD)により25℃で測定された平均粘度は2950cpsであった。
【0070】
100gの共重合体4、6.5gのエポキシ単量体(Epon 828, Shell Chemical Corporationから仕入れる)、0.13gのイミダゾール、および、20gのPGMEAを混合して、樹脂組成物を得た。その後、スピンコーターにより、樹脂組成物を10cm×10cmのPET膜にコートして、厚さが40μmを有するとともに、90℃で2分加熱して、樹脂層5を得た。
【0071】
テスト例
【0072】
熱転写プロセスを用いて、上述の樹脂層1、樹脂層2、樹脂層3、樹脂層4、および、樹脂層5を、それぞれ、ガラス基板上に形成した。その後、可撓性テスト、付着性試験、および、耐熱性テストを行い、テスト結果を表1に示した。クロスカットテスターを用いて、付着性試験を行い、240℃、1時間の条件下で、黄色度指数(b*)を測定することにより耐熱性テストを実行した。表1に示されるように、ポリシロキサンなしで合成された樹脂層3は、可撓性、付着性、および、耐黄変性が悪い。式(II)に示される反復単位なしで合成された樹脂層4は、可撓性が悪い。式(I)に示される反復単位なしで合成された樹脂層5は耐黄変性が悪い。樹脂層3、樹脂層4、および、樹脂層5と比較すると、本発明の共重合体を有する樹脂層1と樹脂層2は、可撓性、付着性、および、耐黄変性がよい。
【0073】
【表1】
【0074】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の修正や変更を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0075】
100 パッケージ膜
110 基板
120 剥離層
130 気体遮断層
140 樹脂層
200 パッケージ構造
210 基板
220 半導体素子
図1
図2