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特開2017-201218ヒートポンプシステム及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-201218(P2017-201218A)
(43)【公開日】2017年11月9日
(54)【発明の名称】ヒートポンプシステム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20171013BHJP
   F25B 1/10 20060101ALI20171013BHJP
   F25B 6/02 20060101ALI20171013BHJP
   F25B 30/02 20060101ALI20171013BHJP
【FI】
   F25B1/00 361J
   F25B1/00 361A
   F25B1/00 371F
   F25B1/10 A
   F25B1/10 P
   F25B6/02 Z
   F25B30/02 G
   F25B1/00 304Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-92473(P2016-92473)
(22)【出願日】2016年5月2日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成27年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】和島 一喜
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 泰士
(72)【発明者】
【氏名】谷村 裕太
(72)【発明者】
【氏名】末光 亮介
(57)【要約】
【課題】圧縮機特性変化や温度条件の変動に追従し、ヒートポンプの効率を向上させる。
【解決手段】低段側圧縮機と高段側圧縮機とを備え、高段側圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる第1凝縮器と、低段側圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる第2凝縮器と、第1凝縮器及び第2凝縮器で冷媒と熱交換する温水を流通させる温水用伝熱管と、第1凝縮器及び第2凝縮器から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁と、膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、高段側圧縮機及び低段側圧縮機のそれぞれの圧縮機特性を記憶する記憶部12と、温水用伝熱管の出口側に設定される温水の設定出口温度が目標値となるように、当該ヒートポンプシステムの運転状態と各圧縮機特性とに基づいて、高段側圧縮機及び低段側圧縮機の効率が最大となる運転点を求め、該運転点となるように高段側圧縮機及び低段側圧縮機の回転数を調整する制御部14とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機構として第1圧縮機と第2圧縮機とを備え、
前記第1圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる第1凝縮器と、
前記第2圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる第2凝縮器と、
前記第1凝縮器及び前記第2凝縮器で冷媒と熱交換する温水を流通させる温水用伝熱管と、
前記第1凝縮器及び前記第2凝縮器から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁と、
前記膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、
前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機のそれぞれの圧縮機特性を記憶する記憶手段と、
前記温水用伝熱管の出口側に設定される温水の設定出口温度が目標値となるように、当該ヒートポンプシステムの運転状態と各前記圧縮機特性とに基づいて、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機の効率が最大となる運転点を求め、該運転点となるように前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機の回転数を調整する制御手段と
を具備するヒートポンプシステム。
【請求項2】
冷媒を圧縮する圧縮機構として低段側圧縮機と高段側圧縮機が直列に配置され、
前記高段側圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる高温側凝縮器と、
前記低段側圧縮機と前記高段側圧縮機との間から分岐して抽気された冷媒の一部を凝縮させる中間温側凝縮器と、
前記低段側圧縮機と前記中間温側凝縮器との間に設けられ、抽気される冷媒の流量を調整する抽気弁と、
前記高温側凝縮器及び前記中間温側凝縮器で冷媒と熱交換する温水を流通させる温水用伝熱管と、
前記高温側凝縮器及び前記中間温側凝縮器から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁と、
該膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、
当該ヒートポンプシステムのサイクル特性を記憶する記憶手段と、
当該ヒートポンプシステムの運転状態と前記サイクル特性とに基づいて、サイクル効率が最大となる前記中間温側凝縮器に抽気する抽気率を求め、該抽気率に応じて前記抽気弁の開度を調整する制御手段と、
を具備するヒートポンプシステム。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記高段側圧縮機及び前記低段側圧縮機のそれぞれの圧縮機特性を記憶し、
前記制御手段は、前記温水用伝熱管の出口側に設定される温水の設定出口温度が目標値となるように、各前記圧縮機特性に基づいて、前記高段側圧縮機及び前記低段側圧縮機の効率が最大となる運転点を求め、該運転点となるように前記高段側圧縮機及び前記低段側圧縮機の回転数を調整し、
当該ヒートポンプシステムのヒートポンプ効率が最大となるように前記高段側圧縮機、前記低段側圧縮機、及び前記抽気弁の制御を行う請求項2に記載のヒートポンプシステム。
【請求項4】
前記サイクル効率が最大となる前記中間温側凝縮器に抽気する抽気率に対応して、前記高温側凝縮器と前記中間温側凝縮器との間の温水用伝熱管における温水中間温度を設定し、
該温水中間温度が得られるようにフィードバック制御で前記抽気弁が調整される請求項2または請求項3に記載のヒートポンプシステム。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記抽気率に対する前記抽気弁を介して抽気される冷媒の流量を対応付けた対応情報と、前記抽気弁のCV値特性の情報とが記憶され、
前記CV値特性と、前記抽気弁の前後で計測される圧力差とに基づいて、フィードフォワード制御で前記抽気弁を調整する請求項2または請求項3に記載のヒートポンプシステム。
【請求項6】
冷媒を圧縮する圧縮機構として第1圧縮機と第2圧縮機とを備え、前記第1圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる第1凝縮器と、前記第2圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる第2凝縮器と、前記第1凝縮器及び前記第2凝縮器で冷媒と熱交換する温水を流通させる温水用伝熱管と、前記第1凝縮器及び前記第2凝縮器から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁と、前記膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器とを備えるヒートポンプシステムの制御方法であって、
前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機のそれぞれの圧縮機特性を記憶する第1工程と、
前記温水用伝熱管の出口側に設定される温水の設定出口温度が目標値となるように、当該ヒートポンプシステムの運転状態と各前記圧縮機特性とに基づいて、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機の効率が最大となる運転点を求め、該運転点となるように前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機の回転数を調整する第2工程と
を有するヒートポンプシステムの制御方法。
【請求項7】
冷媒を圧縮する圧縮機構として低段側圧縮機と高段側圧縮機が直列に配置され、前記高段側圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる高温側凝縮器と、前記低段側圧縮機と前記高段側圧縮機との間から分岐して抽気された冷媒の一部を凝縮させる中間温側凝縮器と、前記低段側圧縮機と前記中間温側凝縮器との間に設けられ、抽気される冷媒の流量を調整する抽気弁と、前記高温側凝縮器及び前記中間温側凝縮器で冷媒と熱交換する温水を流通させる温水用伝熱管と、前記高温側凝縮器及び前記中間温側凝縮器から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁と、該膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器とを具備するヒートポンプシステムの制御方法であって、
当該ヒートポンプシステムのサイクル特性を記憶する第1工程と、
当該ヒートポンプシステムの運転状態と前記サイクル特性とに基づいて、サイクル効率が最大となる前記中間温側凝縮器に抽気する抽気率を求め、該抽気率に応じて前記抽気弁の開度を調整する第2工程と、
を有するヒートポンプシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプシステム及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、温水の加熱・供給を行う電気式のヒートポンプサイクルでは、高温熱需要に応じた圧力まで冷媒の全量が圧縮され、圧縮された冷媒ガスが凝縮器で温水と熱交換され、冷媒ガスが凝縮し、温水が加熱される。この場合、圧縮機には冷媒ガスの全量を高圧まで圧縮させるための動力が必要とされる。
これに対し、ヒートポンプを効率的な温水加熱を行うため、圧縮機を多段に設けた構成とし、低圧側の圧縮機から吐出される冷媒ガスの一部を抽出して温水の中間加熱を行う抽気サイクルが知られている(下記特許文献1)。
抽気サイクルでは、圧縮機で冷媒ガスを加圧し、凝縮器で凝縮して温水を加熱する過程において、低圧段側の圧縮機から吐出される一部を抽出した冷媒ガスは、中間圧力の凝縮器において温水の中間加熱が行われる。高圧段側の圧縮機では抽出された分、少なくなった流量の冷媒ガスが圧縮されるので、高圧段側の圧縮機に必要な動力は低減される。こうした場合、冷媒の合計凝縮量は抽気しない場合と変化しないので加熱能力は変化せず、高圧段側圧縮機の動力が減じた分、ヒートポンプ効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−211361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、使用する圧縮機の特性や温水・熱源の温度条件に応じて、ヒートポンプ効率を最大とするための抽気冷媒ガスの流量や、低圧段側圧縮機と高圧段側圧縮機の圧縮比の割合は変動するものである。
しかしながら、上記特許文献1の方法では、圧縮機の特性変化や温度条件の変動に追従させる方法については検討されておらず、圧縮機の特性変化や温度条件の変動があった場合に追従させることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、圧縮機の特性変化や温度条件の変動に追従させ、ヒートポンプの効率を可及的に向上させることができるヒートポンプシステム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、冷媒を圧縮する圧縮機構として、第1圧縮機と第2圧縮機とを備え、前記第1圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる第1凝縮器と、前記第2圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる第2凝縮器と、前記第1凝縮器及び前記第2凝縮器で冷媒と熱交換する温水を流通させる温水用伝熱管と、前記第1凝縮器及び前記第2凝縮器から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁と、前記膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機のそれぞれの圧縮機特性を記憶する記憶手段と、前記温水用伝熱管の出口側に設定される温水の設定出口温度が目標値となるように、当該ヒートポンプシステムの運転状態と各前記圧縮機特性とに基づいて、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機の効率が最大となる運転点を求め、該運転点となるように前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機の回転数を調整する制御手段とを具備するヒートポンプシステムを提供する。
【0007】
本発明の構成によれば、圧縮機構を第1圧縮機と第2圧縮機に多段に設け、記憶手段に記憶された第1圧縮機と第2圧縮機との各圧縮機特性とヒートポンプシステムの運転状態とに基づいて、温水用伝熱管の出口側に設定される温水の設定出口温度が目標値となるように、第1圧縮機と第2圧縮機との効率が最大となる運転点が求められ、該運転点となるように第1圧縮機の回転数と第2圧縮機の回転数とが調整される。
ヒートポンプの効率を最大とする第1圧縮機と第2圧縮機の圧縮比の割合は変化するものであるが、使用する圧縮機の特性に従って効率が最大となる運転点で調整されるので、圧縮機特性に追従してヒートポンプを制御させることができ、高効率な運転につながる。
【0008】
なお、第1凝縮器及び第2凝縮器は、伝熱管を有するシェル&チューブ型熱交換器以外に、例えばプレート熱交換器やプレートフィン熱交換器等としても良い。
また、第1圧縮機と第2圧縮機とは冷媒系統を同じとして直列に接続する直列型してもよいし、冷媒系統を別とするタンデム型の接続としてもよい。
ここで、第1圧縮機及び第2圧縮機の効率が最大となる運転点とは、圧縮機の総効率が最大となる、つまり、第1圧縮機と第2圧縮機のバランスにおいて総効率が最大となる運転点を求めることである。
【0009】
本発明は、冷媒を圧縮する圧縮機構として、低段側圧縮機と高段側圧縮機が直列に配置され、前記高段側圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる高温側凝縮器と、前記低段側圧縮機と前記高段側圧縮機との間から分岐して抽気された冷媒の一部を凝縮させる中間温側凝縮器と、前記低段側圧縮機と前記中間温側凝縮器との間に設けられ、抽気される冷媒の流量を調整する抽気弁と、前記高温側凝縮器及び前記中間温側凝縮器で冷媒と熱交換する温水を流通させる温水用伝熱管と、前記高温側凝縮器及び前記中間温側凝縮器から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁と、該膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器と、当該ヒートポンプシステムのサイクル特性を記憶する記憶手段と、当該ヒートポンプシステムの運転状態と前記サイクル特性とに基づいて、サイクル効率が最大となる前記中間温側凝縮器に抽気する抽気率を求め、該抽気率に応じて前記抽気弁の開度を調整する制御手段と、を具備するヒートポンプシステムを提供する。
【0010】
本発明の構成によれば、圧縮機構を低段側圧縮機と高段側圧縮機とを直列に接続して多段に設け、低段側圧縮機と高段側圧縮機との間から抽気された冷媒の一部が中間温側凝縮器で凝縮され、抽気されずに高段側圧縮機に流入された冷媒は高段側圧縮機で圧縮され、高温側凝縮器で凝縮される。記憶手段に記憶されているヒートポンプシステムのサイクル特性に基づいて、サイクル効率が最大となる中間温側凝縮器に抽気させる冷媒の抽気率を求め、抽気率に対応する抽気弁の弁開度が調整される。
このように、圧縮機の特性や温水・熱源の温度条件によりヒートポンプシステムの効率を最大とする抽気冷媒ガス量は変化するものであるが、サイクル特性に基づいて決定された抽気量に基づいて制御することにより、サイクル特性に追従してヒートポンプを制御させることができ、高効率な運転につながる。
【0011】
上記ヒートポンプシステムの前記記憶手段は、前記高段側圧縮機及び前記低段側圧縮機のそれぞれの圧縮機特性を記憶し、前記制御手段は、前記温水用伝熱管の出口側に設定される温水の設定出口温度が目標値となるように、各前記圧縮機特性に基づいて、前記高段側圧縮機及び前記低段側圧縮機の効率が最大となる運転点を求め、該運転点となるように前記高段側圧縮機及び前記低段側圧縮機の回転数を調整し、当該ヒートポンプシステムのヒートポンプ効率が最大となるように前記高段側圧縮機、前記低段側圧縮機、及び前記抽気弁の制御を行うこととしてもよい。
【0012】
サイクル効率が最大になる運転点と、高段側圧縮機と低段側圧縮機との圧縮機の総効率が最大となる圧縮比の運転点との情報を勘案して、ヒートポンプ効率が最大となる運転を行うことにより、より高効率なヒートポンプの制御ができる。
【0013】
上記ヒートポンプシステムにおいて、前記サイクル効率が最大となる前記中間温側凝縮器に抽気する抽気率に対応して、前記高温側凝縮器と前記中間温側凝縮器との間の温水用伝熱管における温水中間温度を設定し、該温水中間温度が得られるようにフィードバック制御で前記抽気弁が調整されてもよい。
これにより、簡便に抽気率に対する抽気弁の調整が行われる。
【0014】
上記ヒートポンプシステムの前記記憶手段は、前記抽気率に対する前記抽気弁を介して抽気される冷媒の流量を対応付けた対応情報と、前記抽気弁のCV値特性の情報とが記憶され、前記CV値特性と、前記抽気弁の前後で計測される圧力差とに基づいて、フィードフォワード制御で前記抽気弁を調整してもよい。
フィードフォワード制御により、システム系統として安定させることができる。
【0015】
本発明は、冷媒を圧縮する圧縮機構として、第1圧縮機と第2圧縮機とを備え、前記第1圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる第1凝縮器と、前記第2圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる第2凝縮器と、前記第1凝縮器及び前記第2凝縮器で冷媒と熱交換する温水を流通させる温水用伝熱管と、前記第1凝縮器及び前記第2凝縮器から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁と、前記膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器とを備えるヒートポンプシステムの制御方法であって、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機のそれぞれの圧縮機特性を記憶する第1工程と、前記温水用伝熱管の出口側に設定される温水の設定出口温度が目標値となるように、当該ヒートポンプシステムの運転状態と各前記圧縮機特性とに基づいて、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機の効率が最大となる運転点を求め、該運転点となるように前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機の回転数を調整する第2工程とを有するヒートポンプシステムの制御方法を提供する。
【0016】
本発明は、冷媒を圧縮する圧縮機構として、低段側圧縮機と高段側圧縮機が直列に配置され、前記高段側圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる高温側凝縮器と、前記低段側圧縮機と前記高段側圧縮機との間から分岐して抽気された冷媒の一部を凝縮させる中間温側凝縮器と、前記低段側圧縮機と前記中間温側凝縮器との間に設けられ、抽気される冷媒の流量を調整する抽気弁と、前記高温側凝縮器及び前記中間温側凝縮器で冷媒と熱交換する温水を流通させる温水用伝熱管と、前記高温側凝縮器及び前記中間温側凝縮器から導かれた液冷媒を膨張させる膨張弁と、該膨張弁によって膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器とを具備するヒートポンプシステムの制御方法であって、当該ヒートポンプシステムのサイクル特性を記憶する第1工程と、当該ヒートポンプシステムの運転状態と前記サイクル特性とに基づいて、サイクル効率が最大となる前記中間温側凝縮器に抽気する抽気率を求め、該抽気率に応じて前記抽気弁の開度を調整する第2工程と、を有するヒートポンプシステムの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
圧縮機の特性変化や温度条件の変動に追従させ、ヒートポンプの効率を可及的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態に係るヒートポンプシステムを示した概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図3】高段側ターボ圧縮機の圧縮機特性を示す図の一例である。
図4】低段側ターボ圧縮機の圧縮機特性を示す図の一例である。
図5図3を圧縮比と断熱効率とを示す図に変換した図である。
図6図4を圧縮比と断熱効率とを示す図に変換した図である。
図7】タンデム型のヒートポンプシステムを示した概略構成図である。
図8】温水の出入口温度差毎の抽気率に対するサイクル効率特性を示した図の一例である。
図9】本発明の第2実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図10】本発明の第2実施形態の変形例に係るヒートポンプシステムを示した概略構成図である。
図11】圧縮比配分(∝抽気率)に対するサイクル効率及び圧縮機断熱効率のピーク点からの比を示した図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る制御装置の機能ブロック図であり、抽気冷媒調整弁をフィードバック制御する場合を示した図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る制御装置の機能ブロック図であり、抽気冷媒調整弁をフィードフォワード制御する場合を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1に示されているように、2段抽気ヒートポンプシステム(以下「ヒートポンプシステム」という)1は、冷媒を圧縮する低段側ターボ圧縮機(第1圧縮機)31と、冷媒を圧縮する高段側ターボ圧縮機(第2圧縮機)33と、低段側ターボ圧縮機31によって圧縮された中間圧のガス冷媒を凝縮する中間温側凝縮器(第1凝縮器)52と、高段側ターボ圧縮機33によって圧縮された高温高圧のガス冷媒を凝縮する高温側凝縮器(第2凝縮器)51と、中間温側凝縮器52及び高温側凝縮器51から導かれた液冷媒を膨張させる低圧段膨張機構7と、低圧段膨張機構7によって膨張された液冷媒を蒸発させる蒸発器9とを備えている。
冷媒としては、例えばHFO−1233zd(E)といった低圧冷媒が用いられており、運転中には蒸発器等の低圧部が大気圧以下となる。
【0021】
高段側ターボ圧縮機33及び低段側ターボ圧縮機31は、遠心式圧縮機であり、インバータ31d,33dによって回転数制御された電動機31c,33cによって駆動されている。インバータ31d,33dは、制御装置2(図2参照)によってその出力が制御されている。電動機31c,33cの入力電力Wは電力計(図示略)によって計測され、計測結果は制御装置2に送られる。
低段側ターボ圧縮機31は、回転軸31b周りに回転する羽根車31aを備えている。回転軸31bには、増速歯車31eを介して電動機31cから回転動力が伝達される。
高段側ターボ圧縮機33は、回転軸33b周りに回転する羽根車33aを備えている。回転軸33bには、増速歯車33eを介して電動機33cから回転動力が伝達される。
【0022】
低段側ターボ圧縮機31の吐出側と高段側ターボ圧縮機33の吸込側の間は、中間圧冷媒配管44で接続されている。中間圧冷媒配管44の途中から、低段側ターボ圧縮機31において圧縮された一部の冷媒が抽気されて流通する抽気冷媒配管45が接続されている。抽気冷媒配管45には、抽気冷媒調整弁42が設けられており、抽気冷媒調整弁42によって抽気冷媒配管45に流通させる抽気冷媒の流量が調整される。
抽気冷媒配管45は、中間温側凝縮器52に挿通されており、低段側ターボ圧縮機31で圧縮された一部の抽気された冷媒が中間温側凝縮器52の熱交換器にて温水と熱交換される。
【0023】
高段側ターボ圧縮機33の吐出側は、高圧冷媒配管41が接続されている。高圧冷媒配管41は、高温側凝縮器51に挿通されており、高段側ターボ圧縮機33で圧縮された冷媒が高温側凝縮器51の熱交換器にて温水と熱交換される。
高圧冷媒配管41における高温側凝縮器51の出口側には、高圧段膨張機構43が設けられている。高圧段膨張機構43は、電動式の膨張弁とされており、制御装置2によって開度が任意に設定される。
【0024】
高温側凝縮器51及び中間温側凝縮器52は、例えばシェルアンドチューブ型とされた熱交換器とされている。
高温側凝縮器51及び中間温側凝縮器52には、温水用伝熱管5が挿通されており、温水用伝熱管5内を流通する水と熱交換器内の冷媒とが熱交換する。温水用伝熱管5には、温水往き配管6aと温水戻り配管6bとが接続されている。
温水往き配管6aを流通して中間温側凝縮器52に導かれた温水は、低段側ターボ圧縮機31と高段側ターボ圧縮機33との間から抽気された低段側ターボ圧縮機31にて圧縮された一部の冷媒によって加温され、高温側凝縮器51に導かれる。高温側凝縮器51に導かれた温水は、高段側ターボ圧縮機33から吐出された冷媒によって目標となる設定出口温度まで加温され、温水戻り配管6bを介して図示しない外部負荷に導かれる。温水は、外部負荷にて加熱を供給した後に、温水往き配管6aを介して再び中間温側凝縮器52に導かれる。
【0025】
温水往き配管6aには、温水を送水する温水ポンプ20と、温水流量GWHを計測する温水流量センサ22と、温水入口温度TWHIを計測する温水入口温度センサ24とが設けられている。温水戻り配管6bには、温水出口温度TWHOを計測する温水出口温度センサ26が設けられている。また、温水往き配管6aと温水戻り配管6bとの間で、かつ、温水用伝熱管5の流路における中間温側凝縮器52の出口と高温側凝縮器51の入口の間には、温水中間温度TWHMを計測する温水中間温度センサ55が設けられている。また、中間温側凝縮器52には、中間温側凝縮圧力センサ53が設けられており、中間温側凝縮器52内の冷媒の凝縮圧力P2を計測する。高温側凝縮器51には、高温側凝縮圧力センサ54が設けられており、高温側凝縮器51内の冷媒の凝縮圧力P1を計測する。
これらセンサ22,24,26,53,54,55の計測値は制御装置2に送信される。
【0026】
低圧段膨張機構7は、電動式の膨張弁とされており、制御装置2によって開度が任意に設定される。
蒸発器9は、例えばシェルアンドチューブ型とされた熱交換器とされている。
蒸発器9には、図示しない工場排熱等から導かれる熱源水が流通する熱源水伝熱管10が挿通されている。熱源水伝熱管10には、熱源水往き配管37aと熱源水戻り配管37bとが接続されている。
蒸発器9は、熱源水伝熱管10内を流通する熱源水と熱交換器内の冷媒とを熱交換させ、熱源水から与えられる熱によって熱交換器内の冷媒を蒸発させ、低段側ターボ圧縮機31に吸い込ませる。こうして蒸発器9において、熱源水の熱量が冷媒に移る(吸熱)。
熱源水は、外部で吸熱した後に、再び蒸発器9に導かれる。
【0027】
熱源水往き配管37aには、熱源水を送水する熱源水ポンプ30と、熱源水流量GWEを計測する熱源水流量センサ32と、熱源水入口温度TWEIを計測する熱源水入口温度センサ34とが設けられている。熱源水戻り配管37bには、熱源水出口温度TWEOを計測する熱源水出口温度センサ36が設けられている。
蒸発器9には、蒸発圧力センサ8が設けられており、蒸発器9内の冷媒の蒸発圧力P3を計測する。
これらセンサ32,34,36,8の計測値は、制御装置2に送信される。
【0028】
制御装置2は、ヒートポンプシステム1の運転に関する制御を行い、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0029】
制御装置2は、温水用伝熱管5の出口側に設定される温水の設定出口温度が目標値(温水出口設定温度)となるように、当該ヒートポンプシステム1の運転状態と各圧縮機特性(後述する)とに基づいて、高段側ターボ圧縮機33及び低段側ターボ圧縮機31の効率が最大となる運転点を求め、該運転点となるように高段側ターボ圧縮機33及び低段側ターボ圧縮機31の回転数を調整する。
【0030】
図2には、制御装置2の機能ブロック図が示されている。
具体的には、制御装置2は、計測部11と、記憶部(記憶手段)12と、演算部13と、制御部(制御手段)14とを備えている。
計測部11は、温水入口温度センサ24にて計測された温水入口温度TWHI、温水中間温度センサ55にて計測された温水中間温度TWHM、温水出口温度センサ26にて計測された温水出口温度TWHO、温水流量センサ22にて計測された温水流量GWH、高温側凝縮圧力センサ54にて計測された高温側凝縮圧力P1、中間温側凝縮圧力センサ53にて計測された中間温側凝縮圧力P2、熱源水入口温度センサ34にて計測された熱源水入口温度TWEI、熱源水出口温度センサ36にて計測された熱源水出口温度TWEO、熱源水流量センサ32にて計測された熱源水流量GWE、及び蒸発圧力センサ8にて計測された蒸発圧力P3等の計測値を取得する。計測部11で取得された各計測値は、ヒートポンプシステム1の現在の運転状態を示す情報として用いられる。
【0031】
記憶部12には、後述するように、ヒートポンプシステム1の効率を向上させる制御をするためのデータとして、温水出口側に設定される温水出口設定温度、低段側ターボ圧縮機31及び高段側ターボ圧縮機33の圧縮機特性の情報が格納されている。
演算部13は、上述した各センサからの計測値と、記憶部12から取得した情報とが入力され、ヒートポンプシステム1の効率を最大とするための各種演算を行う。具体的には、計測部11から取得した各センサからの計測値と記憶部12の温水出口設定温度とに基づいて、低段側ターボ圧縮機31と高段側ターボ圧縮機33との全圧縮比率(現在値/目標値)と、全冷媒流量(現在値/目標値)とを求める。
記憶部12の圧縮機特性と、全圧縮比率と、全冷媒流量との情報に基づいて、ヒートポンプシステム1の効率が最大となる低段側ターボ圧縮機31と高段側ターボ圧縮機33の運転点を求め、制御部14に出力する。
【0032】
制御部14は、低段側ターボ圧縮機31及び高段側ターボ圧縮機33に対し、演算部13からの出力に基づいて、ヒートポンプシステム1の効率が最大となる低段側ターボ圧縮機31と高段側ターボ圧縮機33の運転点となる回転数指示を出力する。
【0033】
次に、図3及び図4を用いて、ヒートポンプシステム1の効率が最大となる運転点を決定するための圧縮機の圧縮機配分制御の考え方を説明する。
図3は、高段側ターボ圧縮機33の圧縮機特性を示す図であり、図4は、低段側ターボ圧縮機31の圧縮機特性を示す図である。図3及び図4において、実線は、回転数毎の圧縮機特性を示し、破線は圧縮機の断熱効率の等高線を示し、二点鎖線はサージングラインを示している。図3及び図4において、横軸は、冷媒流量(∝加熱能力)を示し、縦軸は圧縮比を示しており、破線の等高線が中心になるほど圧縮機の効率が良いことを示している。
【0034】
図3及び図4に示すような圧縮機特性がある場合に、圧縮比と断熱効率の図に変換すると、図5及び図6に示すような図となる。図5は、高段側ターボ圧縮機33の特性を示しており、横軸に圧縮比を示し、縦軸に断熱効率を示しており、複数の直線は冷媒流量(∝加熱能力)毎の特性を示している。図6は、低段側ターボ圧縮機31の特性を示しており、横軸に圧縮比を示し、縦軸に断熱効率を示しており、複数の直線は冷媒流量(∝加熱能力)毎の特性を示している。
このうち、現在の運転状態に基づいて、加熱能力(冷媒流量)と、高段側ターボ圧縮機33及び低段側ターボ圧縮機31の合計圧縮比a+bとが決定される。合計圧縮比a+bが一定となるように総合の断熱効率(∝COP)が最大となる圧縮比の組み合わせとなる圧縮比比率a´+b´(断熱効率c´,d´)算出する。高段側ターボ圧縮機33と低段側ターボ圧縮機31とが、算出された圧縮比比率a´+b´となるようにそれぞれ回転数の調整がされる。
【0035】
以下に本実施形態に係るヒートポンプシステム1の制御装置2の作用について説明する。
ヒートポンプシステム1が稼働することで、温水入口温度TWHI、温水中間温度TWHM、温水出口温度TWHO、温水流量GWH、凝縮圧力P1、凝縮圧力P2、熱源水入口温度TWEI、熱源水出口温度TWEO、熱源水流量GWE、及び蒸発圧力P3等の計測値が取得される。これら計測値によりヒートポンプシステム1の運転状況が演算され、該運転状況と記憶部12から読み出された温水出口設定温度から必要な圧縮比と冷媒ガス流量が算出される。
記憶部12に記憶されている高段側ターボ圧縮機33及び低段側ターボ圧縮機31の圧縮機特性から、圧縮機の総効率が最大となる低段側/高段側の圧縮機の圧縮比の割合が演算される。それぞれの圧縮機が演算された圧縮比となるような回転数となるように、高段側ターボ圧縮機33及び低段側ターボ圧縮機31の回転数が調整される。
【0036】
以上説明してきたように、ヒートポンプシステム1及びその制御方法によれば、圧縮機構を低段側ターボ圧縮機31と高段側ターボ圧縮機33とに多段に設け、記憶部12に記憶された低段側ターボ圧縮機31と高段側ターボ圧縮機33との各圧縮機特性と、ヒートポンプシステム1の計測値に基づく運転状態とに基づいて、温水用伝熱管5の出口側に設定される温水出口設定温度が目標値となるように、低段側ターボ圧縮機31と高段側ターボ圧縮機33との効率が最大となる運転点(圧縮機の総効率が最大となる、つまり、高段側ターボ圧縮機33と低段側ターボ圧縮機31のバランスにおいて総効率が最大となる運転点)が求められ、該運転点となるように高段側ターボ圧縮機33の回転数と低段側ターボ圧縮機31の回転数とが調整される。
【0037】
ヒートポンプシステム1の効率を最大とする低段側ターボ圧縮機31と高段側ターボ圧縮機33の圧縮比の割合は変化するものであるが、使用する圧縮機の特性に従って効率が最大となる運転点となるように調整されるので、圧縮機特性に追従してヒートポンプシステム1を制御させることができ、ヒートポンプシステム1の高効率な運転につながる。
【0038】
[変形例]
上記実施形態においては、低段側ターボ圧縮機31と高段側ターボ圧縮機33とは、冷媒系統を同じとして直列に接続した場合を例に挙げて説明していたが、本発明はこれに限定されず、例えば、図7に示されるような冷媒系統を別とするタンデム型の接続としてもよい。
図7に示されるように、タンデム型のヒートポンプシステム1aは、第1凝縮器520と、第2凝縮器510と、第1圧縮機310と、第2圧縮機330と、第1蒸発器9aと、第2蒸発器9bと、膨張弁70,71とを備えている。
【0039】
図7の紙面左側では低温側サイクルが示されている。蒸発器9bで熱交換後の(蒸発器9bに導入される高温の熱源水より低温となった)熱源水が蒸発器9aに導入され、蒸発器9aにて冷媒が吸熱する。第1圧縮機310にて冷媒が圧縮され、第1凝縮器520に導入される。第1凝縮器520にて熱交換され、温水用伝熱管5の入口から導入された温水が加熱され、第2凝縮器510に導入される。蒸発器9aで熱交換後の熱源水は低温となって出口に導かれる。
【0040】
図7の紙面右側では高温側サイクルが示されている。蒸発器9bに高温の熱源水が導入され、蒸発器9bにて熱交換され、冷媒が吸熱する。第2圧縮機330にて冷媒が圧縮され、第2凝縮器510に導入される。第1凝縮器520で熱交換後の(第1凝縮器520に導入される温水温度より高温となった)温水が第2凝縮器510に導入される。第2凝縮器510にて熱交換され、さらに高温となった温水が温水用伝熱管5の出口に導かれる。
【0041】
図示を省略しているが、ヒートポンプシステム1aにおいても、温水の入口温度、中間温度、出口温度及び流量を計測する各センサ、熱源水の入口温度、出口温度、及び流量を計測する各センサ、蒸発器の圧力及び凝縮器の圧力を計測する各センサ等が備えられており、ヒートポンプシステム1aの現在の運転状態が求められるようになっている。また、ヒートポンプシステム1aに対応する制御装置の記憶部(図示略)において、温水出口設定温度と圧縮機特性の情報が格納されている。
このとき、第1圧縮機310と第2圧縮機330との圧縮機比率が、ヒートポンプシステム1aの効率が最大となるように決定され、第1圧縮機310と第2圧縮機330の回転数が制御される。
【0042】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態においては、低段側ターボ圧縮機と高段側ターボ圧縮機との間から一部冷媒を抽気する抽気量を制御してヒートポンプシステムの効率が最大となるように制御する点で第1実施形態と異なる。本実施形態のヒートポンプシステムについて、第1実施形態と共通する点については説明を省略し、図1図8図9を用いて異なる点について主に説明する。
【0043】
図8は、抽気率によるサイクル効率特性を示しており、横軸に抽気率を示し、縦軸にサイクル効率特性を示している。図8に示される複数の曲線は、温水の入口と出口の温度差毎の特性を示している。
低段側ターボ圧縮機31から吐出され、中間温側凝縮器52に分岐する冷媒の比率を抽気率とした場合、サイクル効率は温水の出入口温度差毎で特性が異なる。この特性より、運転状態から決定される温水の出入口温度差においてサイクル効率が最大となる抽気率を算出する。
【0044】
具体的には、センサから計測された温水の入口温度と、目標とされる温水出口設定温度とに基づいて温水の出入口温度差が算出される。算出された出入口温度差に応じて、図8のうち温水出入口温度差の特性が選定される。選定された温水出入口温度差の特性のうち、極大となるときの(図8の破線の運転ポイントとなるように)抽気率が決定される。
なお、抽気率が決定されると、その抽気率に応じて中間温側凝縮器52における交換熱量が算出され、温水の中間温度設定値が算出される。このように、抽気率により温水の中間温度が決定するため、低段側ターボ圧縮機31は、決定された中間温度を得るための圧縮比が決定される。すなわち、抽気率が決定されることによって、圧縮比の配分も決定されることになる。
【0045】
こうして算出された中間温度設定値となるように、抽気冷媒調整弁42が調整される。
例えば、抽気率が決定され、温水の中間温度設定値が算出されると、中間温度設定値となるようにフィードバック制御により抽気冷媒調整弁42の開度を制御する。
【0046】
また、他の例として、記憶部12に抽気率と抽気冷媒調整弁42の開度とが対応付けられた抽気率対応情報を格納させておき、抽気率が決定された場合に、抽気率対応情情報を読み出して、抽気率に応じた抽気冷媒調整弁42の開度調整を行うことにより、中間温度を調整してもよい。
【0047】
図9は、本実施形態に係る制御装置2aの機能ブロック図である。以下に、本実施形態に係る制御装置2aの作用を図9を用いて説明する。
センサによって計測値が取得される。センサによって取得された計測値に基づくヒートポンプシステムの運転状態と、記憶部12に記憶されているサイクル特性とに基づいて、運転条件におけるサイクル上の効率が最大となる抽気冷媒量と、その場合の温水の中間温度設定値が算出される。
決定された温水の中間温度設定値となるように、抽気冷媒調整弁42の弁開度がフィードバック制御により制御される。
また、抽気冷媒量と温水の中間温度設定値との情報に基づいて、中間温度設定値を得るための圧縮機の圧縮比が決定される。決定された圧縮比となるように、高段側ターボ圧縮機33の回転数と、低段側ターボ圧縮機31の回転数とが制御される。
【0048】
以上説明してきたように、本実施形態に係るヒートポンプシステム1及びその制御方法によれば、低段側ターボ圧縮機31と高段側ターボ圧縮機33とを直列に接続して多段に設け、低段側ターボ圧縮機31と高段側ターボ圧縮機33との間から抽気された冷媒の一部が中間温側凝縮器52で凝縮され、抽気されずに高段側ターボ圧縮機33に流入された(抽気された一部の冷媒以外の)冷媒は高段側ターボ圧縮機33で凝縮され、高温側凝縮器51で凝縮される。記憶部12に記憶されているヒートポンプシステム1のサイクル特性と、ヒートポンプシステム1の運転状態の情報に基づいて、サイクル効率が最大となる中間温側凝縮器52に導入させる冷媒の抽気率を求め、抽気率に対応する抽気冷媒調整弁42の弁開度が調整される。
【0049】
圧縮機の特性や温水・熱源水の温度条件によりヒートポンプシステム1の効率を最大とする抽気冷媒ガス量は変化するものであるが、上述したようにサイクル特性に基づいて決定された抽気量に基づいて制御することにより、サイクル特性に追従してヒートポンプシステム1を制御させることができ、高効率な運転につながる。
また、ヒートポンプシステムにおいて、サイクル効率が最大となる中間温側凝縮器52に抽気する抽気率に対応して、高温側凝縮器51と中間温側凝縮器52との間の温水用伝熱管5における温水の中間温度を設定し、該温水中間温度が得られるようにフィードバック制御で抽気冷媒調整弁42を調整することにより、簡便に抽気率に対する抽気弁の調整が行われる。
【0050】
[変形例]
上記第2実施形態においては、抽気率に応じた中間温度設定値が得られるように抽気冷媒調整弁を調整していたが、抽気冷媒調整弁の調整方法はこれに限定されない。
図10は、ヒートポンプシステム1bの概略構成図が示されている。
例えば、図10に示されるように、抽気冷媒配管45における抽気冷媒調整弁42の入口側と出口側にそれぞれ圧力計Pa,Pbを設ける。
記憶部には、抽気率に対する抽気冷媒調整弁42を介して抽気される冷媒の流量を対応付けた抽気対応情報と、抽気冷媒調整弁42のCV値特性の情報とを記憶させておく。
【0051】
そして、抽気率を算出した場合に、抽気対応情報に基づいて抽気量を求め、該抽気量と、CV値特性と、抽気冷媒調整弁42の前後で計測される圧力差(Pa,Pbの差)とに基づいて、フィードフォワード制御で抽気冷媒調整弁42を調整してもよい。
このように、抽気冷媒調整弁42をフィードフォワード制御することにより、システム系統を安定させることができる。
【0052】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態においては、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせ、ヒートポンプシステムの効率が最大となるように制御する点で第1実施形態、第2実施形態と異なる。本実施形態のヒートポンプシステムについて、第1実施形態、第2実施形態と共通する点については説明を省略し、図1図11から図13を用いて異なる点について主に説明する。
【0053】
図11には、横軸に圧縮比配分(∝抽気率)を示し、縦軸にサイクル効率・圧縮機断熱効率のピーク点からの比を示している。図11の破線は、任意加熱能力における圧縮機圧縮比による効率特性を示しており、一点鎖線は、任意の温水の出入口温度差における抽気率による効率特性を示しており、実線はそれらの平均効率を示している。
【0054】
各センサからの計測値に基づいて、運転状態から加熱能力(∝冷媒流量)、温水の出入口温度差が決定される。この条件に応じて、圧縮機の圧縮比配分からの効率特性、抽気率(∝圧縮比配分)によるサイクル効率特性をそれぞれのピーク点からの比として整理し、平均した効率比が最大となる圧縮比配分(∝抽気率)を算出することにより、総合的に見た最大効率での運転が可能となる。
【0055】
図12には、本実施形態に係る制御装置2bの機能ブロック図が示されている。以下に、本実施形態に係る制御装置2bの作用を説明する。
記憶部11には、高段側ターボ圧縮機33及び低段側ターボ圧縮機31のそれぞれの圧縮機特性と、サイクル効率と、温水出口設定温度の情報とが格納されている。
制御装置2bは、温水用伝熱管5の出口側に設定される温水の設定出口温度が目標値となるように、各圧縮機特性に基づいて、高段側ターボ圧縮機33及び低段側ターボ圧縮機31の効率が最大となる運転点を求め、該運転点となるように高段側ターボ圧縮機33及び低段側ターボ圧縮機31の回転数を調整し、当該ヒートポンプシステム1のヒートポンプ効率が最大となるように高段側ターボ圧縮機33、低段側ターボ圧縮機31、及び抽気冷媒調整弁42の制御を行う。
【0056】
具体的には、各センサからの計測値と温水の設定出口温度とに基づいて、全圧縮比(現在/目標)を算出するとともに、全冷媒流量(現在/目標)を算出する。全圧縮比(現在/目標)と全冷媒流量(現在/目標)と圧縮機特性に基づいて、高段側ターボ圧縮機33と低段側ターボ圧縮機31との圧縮比がヒートポンプシステムの効率が最大となる高段側ターボ圧縮機運転点と、低段側ターボ圧縮機運転点とを求める。
また、全圧縮比(現在/目標)と全冷媒流量(現在/目標)とサイクル特性とに基づいて、抽気冷媒配管45に流通させる抽気冷媒量と、温水の中間温度設定値とを算出する。
抽気冷媒調整弁42の弁開度は、中間温度設定値となるように調整する。
【0057】
図12では、抽気冷媒調整弁42をフィードバック制御する場合の制御装置2bの機能ブロック図を示していたが、図13に示されるように、制御装置2cにおいて、抽気冷媒調整弁42をフィードフォワード制御してもよい。
抽気冷媒調整弁42をフィードフォワード制御する場合には、全圧縮比(現在/目標)と全冷媒流量(現在/目標)とサイクル特性と抽気対応情報に基づいて、抽気冷媒配管45に流通させる抽気冷媒量と、温水の中間温度設定値とが算出される。
抽気対応情報に基づいて決定された抽気冷媒量と、抽気冷媒調整弁42の特性であるCV値とに基づいて、抽気冷媒調整弁42の前後の差圧(Pa,Pbの差圧)を勘案しながら、抽気冷媒調整弁42の弁開度が調整される。
【0058】
以上説明してきたように、本実施形態に係るヒートポンプシステム及びその制御方法に依れば、サイクル効率が最大になる運転点と、高段側ターボ圧縮機33と低段側ターボ圧縮機31との圧縮機の総効率が最大となる圧縮比の運転点との情報を勘案して、ヒートポンプ効率が最大となる運転を行うことにより、さらに高効率なヒートポンプシステムの制御ができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更なども含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1,1a,1b ヒートポンプシステム
2,2a,2b,2c 制御装置
5 温水用伝熱管
7 低圧段膨張機構
9,9a,9b 蒸発器
11 計測部
12 記憶部(記憶手段)
13 演算部
14 制御部(制御手段)
31 低段側ターボ圧縮機(第1圧縮機)
33 高段側ターボ圧縮機(第2圧縮機)
42 抽気冷媒調整弁
43 高圧段膨張機構
45 抽気冷媒配管
51 高温側凝縮器(第2凝縮器)
52 中間温側凝縮器(第1凝縮器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13