【課題】金属板をハウジングに固定する際に生じる金属板とコンタクトとの間の空間に異物又は液体が介在した場合であっても、電気的不具合を生じることを防ぐことができると共に、小型化及び高密度化することができ、かつ、設計自由度の高い電気コネクタを提供すること。
【解決手段】電気コネクタ1は、絶縁部60a及び絶縁部60bを備える金属板50と、板厚方向に延設されると共に、上端の少なくとも一部が外表面17に開口し、下端に絶縁部60aを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部13と、板厚方向に延設されると共に、下端の少なくとも一部が外表面18に開口し、上端に絶縁部60bを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部14と、を備えるコンタクト支持部12と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの下方の斜め前方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの要部を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの製造方法を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタの製造方法の変形例を示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタの下方の斜め前方から見た斜視図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタの断面図である。
【
図9】本発明の第4の実施形態に係る電気コネクタの断面図である。
【
図10】本発明の第5の実施形態に係る電気コネクタの断面図である。
【0014】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係るフレキブル基板接続用コネクタにつき、詳細に説明する。図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、y軸の正方向を前方向、y軸の負方向を後ろ方向、x軸方向を左右方向、z軸の正方向を上方向、及びz軸の負方向を下方向として説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の構成につき、
図1ないし
図3を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0016】
電気コネクタ1は、ハウジング10と、シールドカバー20と、上側コンタクト30と、下側コンタクト40と、金属板50と、を備えている。
【0017】
ハウジング10は、絶縁性を有する材料により形成されている。ハウジング10は、後方壁11から前方に延設された板状のコンタクト支持部12を有している。コンタクト支持部12は、図示しない相手側コネクタと嵌合する。
【0018】
コンタクト支持部12は、板厚方向である上下方向に延設されると共に、上端が外表面17に開口され、下端に絶縁部60aを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部13と、上下方向に延設されると共に、下端が外表面18に開口され、上端に絶縁部60bを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部14と、を備えている。孔部13と孔部14の配置については、後に詳述する。
【0019】
シールドカバー20は、前方に開口して相手側コネクタを挿入可能な挿入孔21と、基板70のグランド71に接続する端子部22と、を有している。シールドカバー20は、金属製の板材を折り曲げて、板材の折り曲げ方向の一方の端部の凹凸形状と他方の端部の凹凸形状とを係合することによりハウジング10に固定されている。
【0020】
上側コンタクト30は、複数設けられ、導電性を有する材料により形成されると共に細長板状であり、ハウジング10に固定されている。上側コンタクト30は、コンタクト支持部12の上側の外表面17に露出してコンタクト支持部12に支持される接続部31と、後方壁11から外部後方に突出して下方に折り曲げられて基板70の導電部73に接続する端子部32と、を備える。接続部31は、コンタクト支持部12の突出方向に沿って配置されている。
【0021】
下側コンタクト40は、複数設けられ、導電性を有する材料により形成されると共に細長板状であり、ハウジング10に固定されている。下側コンタクト40は、コンタクト支持部12の下側の外表面18に露出してコンタクト支持部12に支持される接続部41と、後方壁11から外部後方に突出して下方に折り曲げられて基板70の導電部72に接続する端子部42と、を備える。接続部41は、コンタクト支持部12の突出方向に沿って配置されている。
【0022】
金属板50は、コンタクト支持部12の内部に固定され、上側コンタクト30と下側コンタクト40との間に配置されると共に、上側コンタクト30及び下側コンタクト40に対してコンタクト支持部12の板厚方向に離間して配置されている。金属板50は、孔部13の下端に露出する絶縁部60aを有すると共に、孔部14の上端に露出する絶縁部60bを有している。金属板50に設ける絶縁部60a及び絶縁部60bは、絶縁性の接着テープを金属板50に貼り付ける方法、金属板50に絶縁体をコーティングする方法、又は金属板50に絶縁体を印刷する方法等を用いて形成する。絶縁部60a及び絶縁部60bは、典型的にはエポキシ樹脂又はポリイミド等により形成されている。
【0023】
上記構成を有する電気コネクタ1では、金属板50によりコンタクト支持部12を補強するので、相手側コネクタと挿抜する際等のコンタクト支持部12に外部から負荷が加わった場合であっても、コンタクト支持部12の破損等を防止してコンタクト支持部12の強度を向上させることができる。
【0024】
図2を参照しながら、孔部13と孔部14の配置について説明する。
図2(a)は、電気コネクタ1のコンタクト支持部12部分を上方向から見た平面図であって、コンタクト支持部12の外表面17における接続部31と孔部13の配置を示す図である。外表面17上には、4つの接続部31が均一なピッチで配設されており、それぞれの接続部31の間に3つの孔部13が配設されている。3つの孔部13は、いずれも、その全ての範囲が外表面17へ向けて開口しており、孔部13の下端には絶縁部60aが露出している。このような構成を有する電気コネクタ1では、孔部13に異物又は液体が介在した場合であっても、絶縁部60aによって、接続部31と金属板50との間の電気的不具合が生じることが防がれる。なお、説明の便宜上、
図2(a)には、上方向から見た場合の外表面17における接続部31と孔部13の配置のみを示したが、下方向から見た場合の外表面18における接続部41と孔部14の配置も同様となっている。
【0025】
図2(b)は、
図2(a)と同様の平面図であって、コンタクト支持部12の外表面17上における接続部31と孔部13の配置に係る変形例を示している。外表面17上には、4つの接続部31が均一なピッチで配設されており、それぞれの接続部31の間に3つの孔部13が配設され、孔部13の下端に絶縁部60aが露出している点は
図2(a)に示した態様と同じである。その一方で、3つの孔部13が、いずれも、その一部の範囲(
図2(b)において破線で示す範囲)が4つの接続部31の範囲と重なるように配設されている点で
図2(a)に示した態様と異なる。すなわち、
図2(b)の例では、孔部13の一部が接続部31によって塞がれ、かつ、他の一部が外表面17へ向けて開口している。この変形例のように、孔部13の少なくとも一部が外表面17へ開口するように孔部13と接続部31とを配設した場合であっても、孔部13に異物又は液体が介在した場合に電気的不具合を生じることを防ぐことができるという効果を得ることができる。
【0026】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法につき、
図4を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0027】
まず、金属板50の上面の所定の位置に、上述したような方法によって、絶縁部60aを形成すると共に、金属板50の下面の絶縁部60aを形成した箇所の反対側に絶縁部60bを形成する(
図4(a))。
【0028】
次に、金属板50を上金型83及び下金型84にセットし、押さえピン81及び押さえピン82により、金属板50の絶縁部60a及び絶縁部60bを形成した範囲内を上下より挟持して、上金型83と下金型84とにより形成されたキャビティ85内に金属板50を強固に保持する。ここで、押さえピン81及び押さえピン82は、それぞれ、その少なくとも一部が接続部31、接続部41の設けられる範囲と重ならないように配設されている。
【0029】
次に、溶融した樹脂を充填して金属板50を一体成形することで、ハウジング10を成形する。(
図4(b))。
【0030】
次に、キャビティ85内に充填した樹脂が硬化した後に、押さえピン81を上金型83より抜き取ると共に押さえピン82を下金型84より抜き取って、成形品を取り出す(
図4(c))。取り出した成形品には、押さえピン81の抜き跡である孔部13が形成されると共に、押さえピン82の抜き跡である孔部14が形成される。金属板50に設けた絶縁部60aによって孔部13の下端が塞がれ、金属板50に設けた絶縁部60bによって孔部14の上端が塞がれており、金属板50の表面は露出していない。すなわち、孔部13は外表面17から絶縁部60aに至って形成されており、孔部14は外表面18から絶縁部60bに至って形成されている。なお、成形されたハウジング10において、コンタクト支持部12の外表面17の後端から前方に向けて図示しない凹溝が形成されており、コンタクト支持部12の外表面18の後端から前方に向けて同様に図示しない凹溝が形成されている。
【0031】
次に、ハウジング10の後方より上側コンタクト30を圧入することによりコンタクト支持部12の凹溝に接続部31が配置され、ハウジング10の後方より下側コンタクト40を圧入することによりコンタクト支持部12の凹溝に接続部41が配置される(この工程は、図示を省略している)。この状態において、押さえピン81及び押さえピン82の範囲の全てが接続部31、接続部41の設けられる範囲と重ならないように配設されていた場合は、例えば、
図2(a)に示すような態様の電気コネクタとなる。また、押さえピン81及び押さえピン82の範囲の一部が接続部31、接続部41の設けられる範囲と重なるように配設されていた場合は、例えば
図2(b)に示すような態様の電気コネクタとなる。
【0032】
<電気コネクタの製造方法の変形例>
次に、本発明の第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法の変形例につき、
図5を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0033】
金属板50は、ハウジング10に一体成形により固定する場合に限らず、ハウジング10に圧入して固定することも可能である。
【0034】
先ず、金属板50の上面の所定の位置に絶縁部60aを形成すると共に、金属板50の下面の絶縁部60aを形成した箇所の反対側に絶縁部60bを形成する(
図5(a))。なお、説明の便宜上、この工程を最初に記述したが、この工程は必ずしも最初に行われる必要はなく、後述する金属板50を圧入する工程よりも前に完了されていれば、その順序は不問である。
【0035】
次に、金属板50と同一の板厚及び板幅を有する同一形状の金型部品90を上金型83及び下金型84にセットし、押さえピン81及び押さえピン82により、金型部品90における金属板50に絶縁部60a及び絶縁部60bが形成されている部分に対応する範囲内を上下より挟持して、上金型83と下金型84とにより形成されたキャビティ85内に金型部品90を強固に保持する。ここで、押さえピン81及び押さえピン82は、それぞれ、その少なくとも一部が接続部31、接続部41の設けられる範囲と重ならないように配設されている。
【0036】
次に、上金型83と下金型84とにより形成されたキャビティ85内に溶融した樹脂を充填してハウジング10を成形する。(
図5(b))。
【0037】
次に、キャビティ85内に充填した樹脂が硬化した後に、押さえピン81を上金型83より抜き取ると共に押さえピン82をした下金型84より抜き取る。これに伴って、押さえピン81の抜き跡である孔部13が形成されると共に、押さえピン82の抜き跡である孔部14が形成される。この状態において、孔部13は、成形されたハウジング10のコンタクト支持部12における外表面17から金型部品90に至って形成され、孔部14は、コンタクト支持部12における外表面18から金型部品90に至って形成されている。
【0038】
次に、金型部品90をキャビティ85から抜き取って、成形品を取り出す(
図5(c))。金型部品90を抜き取った後には、後端から前方に向けて金型部品90の抜き跡である保持孔19が形成される。保持孔19は、後端が外部に開放されていると共に、後端から前方に延設されてコンタクト支持部12の前端の手前まで形成されている。孔部13及び孔部14は、保持孔19を介して連通する。
【0039】
次に、保持孔19に後方より金属板50を圧入してコンタクト支持部12に固定する(
図5(d))。この状態において、金属板50に設けた絶縁部60aによって孔部13の下端が塞がれ、金属板50に設けた絶縁部60bによって孔部14の上端が塞がれており、金属板50の表面は露出していない。すなわち、孔部13の下端には絶縁部60aが臨み、孔部14の上端には絶縁部60bが臨んでいる。
【0040】
なお、上述した製造方法の場合と同様に、成形されたハウジング10において、コンタクト支持部12の外表面17の後端から前方に向けて図示しない凹溝が形成されており、コンタクト支持部12の外表面18の後端から前方に向けて同様に図示しない凹溝が形成されている。
【0041】
次に、ハウジング10の後方より上側コンタクト30を圧入することによりコンタクト支持部12の凹溝に接続部31が配置され、ハウジング10の後方より下側コンタクト40を圧入することによりコンタクト支持部12の凹溝に接続部41が配置される(この工程は、図示を省略している)。この状態において、上述した製造方法の場合と同様に、押さえピン81及び押さえピン82の範囲の全てが接続部31、接続部41の設けられる範囲と重ならないように配設されていた場合は、例えば、
図2(a)に示すような態様の電気コネクタとなる。また、押さえピン81及び押さえピン82の範囲の一部が接続部31、接続部41の設けられる範囲と重なるように配設されていた場合は、例えば
図2(b)に示すような態様の電気コネクタとなる。
【0042】
このように、本実施形態によれば、絶縁部60a及び絶縁部60bを備える金属板50と、コンタクト支持部12の板厚方向に延設されると共に、上端の少なくとも一部がコンタクト支持部12の外表面17へ開口し、下端に絶縁部60aを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部13と、コンタクト支持部12の板厚方向に延設されると共に、下端の少なくとも一部がコンタクト支持部12の外表面18へ開口し、上端に絶縁部60bを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部14と、を備えるコンタクト支持部12と、を有することにより、孔部13又は孔部14に異物又は液体が介在した場合であっても、電気的不具合を生じることを防ぐことができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、金属板50を一体成形によりコンタクト支持部12に固定する場合と、金属板50を圧入してコンタクト支持部12に固定する場合と、の両方において、押さえピン81及び押さえピン82の抜き跡である孔部13又は孔部14に異物又は液体が介在した場合であっても、電気的不具合を生じることを防ぐことができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、コンタクト支持部12の外表面17に接続部31を露出させると共に外表面18に接続部41を露出させて多極化させた電気コネクタ1において、孔部13又は孔部14に異物又は液体が介在した場合に電気的不具合を生じることを防ぐことができる。
【0045】
(第2の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第2の実施形態に係る電気コネクタ2の構成につき、
図6及び
図7を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0046】
なお、
図6及び
図7において、
図1ないし
図3と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0047】
電気コネクタ2は、ハウジング10と、シールドカバー20と、上側コンタクト30と、下側コンタクト40と、金属板100と、を備えている。
【0048】
金属板100は、コンタクト支持部12の内部に固定され、孔部13の下端に露出する絶縁部60aを有すると共に、孔部14の上端に露出する絶縁部60bを有している。金属板100は、コンタクト支持部12に固定される固定部101と、後端の左右両端より後方に延設されて下方に折り曲げられて基板70のグランド74に接続する脚部102と、を備え、上側コンタクト30の接続部31と下側コンタクト40の接続部41との間を遮蔽するシールド部材として機能する。
【0049】
なお、本実施形態に係る電気コネクタ2の製造方法は上記第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法と同一であるので、その説明を省略する。
【0050】
このように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果に加えて、金属板100をシールド部材とするので、高いシールド性能を得ることができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、コンタクト支持部12の強度の補強用の補強材と、シールド部材と、を金属板100で兼用させることにより、部品点数を減少させることができるので、製造コストを低減することができると共に小型化することができる。
【0052】
(第3の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第3の実施形態に係る電気コネクタ3の構成につき、
図8を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0053】
なお、
図8において、
図1ないし
図3と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0054】
電気コネクタ3は、ハウジング10と、シールドカバー20と、上側コンタクト30と、下側コンタクト40と、金属板50と、を備えている。
【0055】
金属板50は、絶縁部61により全体が覆われている。これにより、金属板50は、孔部13の下端に露出すると共に孔部14の上端に露出する絶縁部61を有している。なお、金属板50における上記以外の構成は上記第1の実施形態の金属板50と同一構成であるので、その説明を省略する。
【0056】
なお、本実施形態に係る電気コネクタ3の製造方法は、上記第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法に対して、絶縁部61により金属板50の全体を覆う以外は同一であるので、その説明を省略する。
【0057】
このように、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果に加えて、絶縁部61により金属板50の全体を覆うので、コンタクト支持部12に金属板50を固定する際に、孔部13に絶縁部が位置するように位置決めすると共に、孔部14に絶縁部が位置するように位置決めする面倒な位置合わせを不要にすることができるので、容易に製造することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、金属板50に絶縁部61を設ける際に、金属板50に対する絶縁部61の位置決めを行う必要がないので、容易に製造することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、絶縁部61により金属板50の全体を覆うので、製造過程等において金属板50に液体等が付着する状態を防ぐことができ、金属板50の腐蝕を軽減することができる。
【0060】
なお、本実施形態において、絶縁部61により金属板50を覆ったが、金属製の板材の全体を予め絶縁部61により覆い、絶縁部61によって全体を覆った板材を切断して金属板50を形成してもよい。この場合、金属板50の破断面には絶縁部61を有さないが、少なくとも金属板50の絶縁部により孔部13の下端及び孔部14の上端を塞ぐことができるので、孔部13又は孔部14に異物又は液体が介在した場合であっても、電気的不具合を生じることを防ぐことができる。
【0061】
また、上記の方法により金属板50に絶縁部61を設ける場合において、絶縁部61を設けた板材を切断して形成した金属板50の破断面に、更に絶縁部を形成してもよい。この場合には、製造過程等において金属板50に液体等が付着する状態を防ぐことができ、金属板50の腐蝕を軽減することができる。
【0062】
(第4の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第4の実施形態に係る電気コネクタ4の構成につき、
図9を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0063】
なお、
図9において、
図1ないし
図3と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0064】
電気コネクタ4は、シールドカバー20と、上側コンタクト30と、金属板50と、ハウジング110と、を備えている。
【0065】
ハウジング110は、絶縁性を有する材料により形成されている。ハウジング110は、後方壁11から前方に延設された板状のコンタクト支持部112を有している。コンタクト支持部112は、上下方向に延設されると共に、上端が外表面17に開口し、下端に絶縁部60aを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部13を備えている。
【0066】
金属板50は、コンタクト支持部112の外表面18に露出して設けられている。金属板50は、孔部13の下端に露出する絶縁部62を有している。金属板50に絶縁部62を形成する方法及び絶縁部62の材料は、上記第1の実施形態の絶縁部60a及び絶縁部60bと同一であるので、その説明を省略する。
【0067】
なお、本実施形態に係る電気コネクタ4の製造方法は、上記第1の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法に対して、下側コンタクト40を有さないこと、及びコンタクト支持部12に下側コンタクト40を保持する部分を形成しないこと以外は同一であるので、その説明を省略する。
【0068】
本実施形態によれば、上側コンタクト30と、上側コンタクト30を露出させているコンタクト支持部12の外表面17と反対側の外表面18に金属板50を露出させているような形状の電気コネクタにおいて、孔部13に異物又は液体が介在した場合であっても、電気的不具合を生じることを防ぐことができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、金属板50を一体成形によりハウジング110に固定する場合と、金属板50を圧入してハウジング110に固定する場合と、の両方において、押さえピン81の抜き跡である孔部13に異物又は液体が介在した場合であっても、電気的不具合を生じることを防ぐことができる。
【0070】
なお、本実施形態において、上側コンタクト30の接続部31をコンタクト支持部12の外表面17に露出させると共に金属板50をコンタクト支持部12の外表面18に露出させたが、金属板50をコンタクト支持部12の外表面17に露出させると共に下側コンタクト40の接続部41をコンタクト支持部12の外表面18に露出させるようにしてもよい。
【0071】
(第5の実施形態)
<電気コネクタの構成>
本発明の第5の実施形態に係る電気コネクタ5の構成につき、
図10を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0072】
なお、
図10において、
図1ないし
図3と同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0073】
電気コネクタ5は、シールドカバー20と、上側コンタクト30と、下側コンタクト40と、金属板50と、ハウジング210と、を備えている。
【0074】
ハウジング210は、絶縁性を有する材料により形成されている。ハウジング210は、後方壁11から前方に延設された板状のコンタクト支持部212を有している。コンタクト支持部212は、図示しない相手側コネクタと嵌合する。コンタクト支持部212は、上下方向に延設されると共に、上端が外表面17に開口し、下端に絶縁部60aを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部213と、上下方向に延設されると共に、下端が外表面18に開口し、上端に絶縁部60bを露出させる一方で金属板50を露出させない孔部214と、を備えている。孔部214は、孔部213に対してずれた位置に設けられている。
【0075】
上側コンタクト30は、複数設けられ、導電性を有する材料により形成されると共に細長板状であり、ハウジング210に固定されている。上側コンタクト30は、コンタクト支持部212の外表面17に露出してコンタクト支持部212に支持される接続部31と、後方壁11から外部後方に突出して下方に折り曲げられて基板70の導電部73に接続する端子部32と、を備える。接続部31は、コンタクト支持部212の突出方向に沿って配置されている。
【0076】
下側コンタクト40は、複数設けられ、導電性を有する材料により形成されると共に細長板状であり、ハウジング210に固定されている。下側コンタクト40は、コンタクト支持部212の下側の外表面18に露出してコンタクト支持部212に支持される接続部41と、後方壁11から外部後方に突出して下方に折り曲げられて基板70の導電部72に接続する端子部42と、を備える。接続部41は、コンタクト支持部212の突出方向に沿って配置されている。
【0077】
金属板50は、コンタクト支持部212の内部に固定され、上側コンタクト30と下側コンタクト40との間に配置されると共に、上側コンタクト30及び下側コンタクト40に対してコンタクト支持部212の板厚方向に離間して配置されている。金属板50は、孔部213の下端に露出する絶縁部60aを有すると共に、孔部214の上端に露出する絶縁部60bを有している。
【0078】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0079】
例えば、上記第1の実施形態から第5の実施形態において、シールドカバーを設けたが、シールドカバーを設けずに、コンタクト支持部の周囲をハウジングで囲んで相手側コネクタを挿入可能な挿入孔を形成してもよい。
【0080】
また、上記第1の実施形態から第5の実施形態において、金属板に絶縁部を設けたが、コンタクトの接続部における孔部に臨む部分に絶縁部を設けてもよい。このようにすることで、短絡が発生する可能性をさらに低減させることができる。
【0081】
また、上記第1の実施形態から第5の実施形態において、金属板の前端をコンタクト支持部の内部に配置するようにしたが、金属板の前端をコンタクト支持部の前端から前方に突出するようにしてもよい。
【0082】
また、上記第1の実施形態から第5の実施形態において、孔部は押さえピンの抜き跡であるが、孔部はコンタクトの接続部と金属板との間に何らかの理由により生じた空間であれば、必ずしも押さえピンの抜き跡でなくてもよい。