特開2017-2019(P2017-2019A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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▶ 株式会社ピカソ美化学研究所の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-2019(P2017-2019A)
(43)【公開日】2017年1月5日
(54)【発明の名称】メイクアップ化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20161209BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20161209BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20161209BHJP
【FI】
   A61K8/19
   A61K8/29
   A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-127068(P2015-127068)
(22)【出願日】2015年6月8日
(71)【出願人】
【識別番号】399091120
【氏名又は名称】株式会社ピカソ美化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 美佐子
(72)【発明者】
【氏名】小松 紀之
(72)【発明者】
【氏名】飯田 昭彦
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC352
4C083AC422
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD492
4C083BB21
4C083BB25
4C083CC11
4C083EE01
4C083EE03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】白浮きせず、塗布後の時間経過と共に生じるくすみを低減させたメイクアップ化粧料の提供。
【解決手段】白色粉体、ベンガラ被覆酸化チタン、赤色酸化鉄および黄色酸化鉄を含み、黒色酸化鉄を含まないメイクアップ化粧料。前記ベンガラ被覆酸化チタンを白色粉体の重量に対して0.1〜2倍量含むメイクアップ化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色粉体、ベンガラ被覆酸化チタン、赤色酸化鉄および黄色酸化鉄を含み、黒色酸化鉄を含まないことを特徴とするメイクアップ化粧料。
【請求項2】
前記ベンガラ被覆酸化チタンを、白色粉体の重量に対して0.1〜2倍量含むことを特徴とする請求項1に記載のメイクアップ化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白浮きせず、塗布後の時間経過と共に生じるくすみを低減させたメイクアップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なメイクアップ化粧料、例えば、パウダーファンデーション、油性ファンデーション、ジェル状ファンデーション、クリーム状ファンデーション、リキッドファンデーション等には、肌上に塗布することにより魅力ある美しい外観を演出するために使用される。このようなメイクアップ化粧料は、血行不良や色素の沈着など加齢とともに感じられる肌色のくすみをカバーするとともに、仕上がりの色調が自然であることが求められている。つまり、メイクアップ化粧料においては、肌を自然な肌色に着色することが求められる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されるように、ファンデーションを肌色に着色する際に黒酸化鉄を用いて調整することが記載されている。実際にファンデーションを肌色に着色しようとした場合、酸化チタン、タルク等の白色に、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄の三色を配合することにより色を調整することが通常である。しかしながら、黒色酸化鉄を用いた場合、肌に塗布後の時間経過と共に色がくすんでしまうという問題を生じることが判った。一方で、くすみの原因である黒色酸化鉄を使用しない場合には、酸化チタンやタルク等のベース色である白色が強くでてしまい、白く浮き上がった肌色しか調色することができず、自然な肌色とはいえないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−031079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、白浮きせず、塗布後の時間経過と共に生じるくすみを低減させたメイクアップ化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のメイクアップ化粧料は、白色粉体、ベンガラ被覆酸化チタン、赤色酸化鉄および黄色酸化鉄を含み、黒色酸化鉄を含まないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のメイクアップ化粧料によれば、塗布後の経時的なくすみの発生を低減し、白浮きを抑制して自然な肌色を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
本発明のメイクアップ化粧料は、白色粉体、ベンガラ被覆酸化チタン、赤色酸化鉄および黄色酸化鉄を含み、黒色酸化鉄を含まないものである。とくに、黒色酸化チタンを用いず、ベンガラ被覆酸化チタンを用いることにより、自然な肌色に調色することが可能であり、塗布後の経時的なくすみを抑制することができる。
【0010】
本発明のメイクアップ化粧料において使用される白色粉体は、白または白以外の色相の調整に実質的に寄与しない粉体である。この白色粉体は、化粧料で使用されるものであれば特に限定されず、例えば、タルク、カオリン、マイカ、合成雲母、酸化チタン、酸化亜鉛、パール光沢顔料、シリカ、ポリアミド樹脂(ナイロン粉末)ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリウレタン粉末、ポリスチレン粉末、ポリアクリル酸アルキル粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、シリコーン粉末、架橋型シリコーン粉末等が挙げられる。
本発明のメイクアップ化粧料における白色粉体の含有量としては、その剤型によって異なる最適量を含有することが好ましい。例えば、パウダーファンデーション等の粉末状又は粉末を固形化した化粧料の場合には、その全質量に対し、50質量%以上90質量%以下が好ましい。また、リキッドファンデーション等の液状又はクリーム状の化粧料である場合には、その全質量に対し、0.1以上30質量%以下が好ましい。
【0011】
本発明のメイクアップ化粧料において使用されるベンガラ被覆酸化チタンは、酸化チタンの表面にベンガラ(赤酸化鉄)を焼晶させたものである。
このベンガラ被覆酸化チタンは、本発明のメイクアップ化粧料において、上記白色粉体の重量に対して、0.1〜2倍量配合することが好ましい。
【0012】
本発明のメイクアップ化粧料において使用される赤色酸化鉄および黄色酸化鉄は、通常化粧料において使用されるものであれば特に限定されるものではない。
この赤色酸化鉄および黄色酸化鉄は、本発明のメイクアップ化粧料の色調を肌色に整える量であればよく、通常0.001〜1質量%の範囲で配合することが好ましい。
【0013】
上記白色粉体、ベンガラ被覆酸化チタン、赤色酸化鉄および黄色酸化鉄は、親水化処理または疎水化処理が施されていてもよい。
【0014】
本発明のメイクアップ化粧料は、W/OまたはO/Wエマルジョン状、クリーム状、ジェル状、固形状、パウダー状などの所望される剤形に応じて、上記白色粉体、ベンガラ被
できる。上記他成分としては、化粧品や医薬部外品などで配合成分として一般的に用いられる、界面活性剤、ゲル化剤、油脂類、pH調整剤、保湿剤、溶剤、防腐剤、植物抽出物、紫外線吸収剤、抗炎症剤、香料などを適宜配合することができる。
【0015】
本発明のメイクアップ化粧料としては、BBクリーム、ファンデーションまたは化粧下地が好適である。
【実施例】
【0016】
つぎに、本発明の実施例、比較例および参考例について説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
本発明の実施例、比較例および参考例のメイクアップ化粧料を表1に示す組成にて調製した。
具体的には、▲1▼をホモミキサーにて均質に混合した後、加熱しながら▲2▼を加えて混合した。そこに、一方で▲3▼を加熱しながら混合したもの加え、乳化させ、冷却することによりジェル状のメイクアップ化粧料を調製した。
【0017】
【表1】
【0018】
[塗布試験]
調製した実施例及び比較例のメイクアップ化粧料を0.1g取って、前腕内側部位5cm×5cmに塗布した。塗布後、5分後、および1時間後にカラーリーダーCR−13型(コニカミノルタ社製)を用いてLabを測定した。なお、参考例のメイクアップ化粧料については、同様に塗布後、5分後のみ測定した。測定結果は、3回測定した際の平均値とし、表1に示した。
【0019】
塗布試験の結果から明らかなように、黒色酸化鉄を配合せず、ベンガラ被覆酸化チタンを配合した実施例1,2では、明度の低下が見られないものの、黒色酸化鉄を配合し、ベンガラ被覆酸化チタンを配合しなかった比較例1,2において明度の低下が見られた。つまり、黒酸化鉄が塗布後の時間経過とともに生じるくすみの原因であることがわかる。一方、ベンガラ被覆酸化チタンを配合しても塗布後の時間経過とともにくすみが生じないことがわかる。
【0020】
また、本発明の参考例のメイクアップ化粧料については、ベンガラ被覆酸化チタンおよび黒色酸化鉄を使用せず、白色粉体、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄を用いて、自然な肌色に調色しようとしたものである。
しかしながら、メイクアップ化粧料を塗布していない肌をカラーリーダーで測定した結果(a:6.9、b:14.1、L:61.9)と比べてかけ離れた結果となった。さらに、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄を減らしてa値、b値を合わせた場合には、明度が高くなりすぎ、白浮きした状態であった。つまり、ベンガラ被覆酸化チタンまたは黒色酸化鉄を使用しない場合には、肌色に調色できないと考えられる。