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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-201913(P2017-201913A)
(43)【公開日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】成形体の製造方法および成形体
(51)【国際特許分類】
   A23P 30/10 20160101AFI20171020BHJP
   A47G 33/00 20060101ALI20171020BHJP
【FI】
   A23P30/10
   A47G33/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-94604(P2016-94604)
(22)【出願日】2016年5月10日
(71)【出願人】
【識別番号】516137764
【氏名又は名称】横溝 力
(71)【出願人】
【識別番号】516137775
【氏名又は名称】古川 徳幸
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】横溝 力
【テーマコード(参考)】
4B048
【Fターム(参考)】
4B048PE03
4B048PL08
4B048PL15
4B048PS13
(57)【要約】
【課題】短期間で粒状の塩を成形できる成形体の製造方法および成形体を提供する。
【解決手段】成形体10は、にがり成分を含む粒状の塩に乾燥卵白を撹拌して成形用塩とし、この成形用塩を成形用型に充填し、成形用塩が充填された成形用型を加熱して乾燥卵白を固化させ、成形用塩を成形する。にがり成分が凝固材となって乾燥卵白が固化状態となるため、塩同士を短時間で結着させることができるので、短時間に様々な形状の成形体を成形することができる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
にがり成分を含む粒状の塩に乾燥卵白を撹拌して成形用塩とする第1工程と、
前記1工程での前記成形用塩を成形用型に充填する第2工程と、
前記2工程にて前記成形用塩が充填された前記成形用型を加熱して前記乾燥卵白を固化させ、前記成形用塩を成形する第3工程とを含む成形体の製造方法。
【請求項2】
前記乾燥卵白は、前記塩100質量部に対して1.5質量部以上、2.5質量部以下である請求項1記載の成形体の製造方法。
【請求項3】
前記第1工程にて、前記乾燥卵白がメレンゲ化しないように前記乾燥卵白を撹拌する請求項1または2記載の成形体の製造方法。
【請求項4】
前記第3工程での加熱は、電子レンジによる請求項1から3のいずれかの項に記載の成形体の製造方法。
【請求項5】
前記成形用型は、シリコン型によるものである請求項1から4のいずれかの項に記載の成形体の製造方法。
【請求項6】
粒状の塩が乾燥卵白の固化状態により結着された成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状の塩を成形用型で成形する成形体の製造方法および成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
盛塩は、魔除けや千客万来の縁起物として、古くから店先や一般家庭の玄関などに置かれる。盛塩は、粒状の塩を円錐状に持っただけであるが、成形した盛塩が特許文献1として知られている。
【0003】
特許文献1に記載の成形盛塩の製造方法では、100質量部に対し、焼きミョウバン0.06から0.3質量部と、水6質量部を準備し、水に焼きミョウバンをよく溶かした溶液に、食塩を混練し、成形型で成形した後、脱型して乾燥させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3946161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の成形盛塩の製造方法では、水に焼きミョウバンを溶かした溶液を作製する際に、透明な水溶液が得るために、製品を作る前日にミョウバン水溶液を作っておき1晩寝かせるとか、水溶液と混練して濡れ砂状態になった塩を任意の形状の成形型に入れ成形する際にも、所定の形状に押し固めた後、成形型を抜き、成形状態の塩を5日〜2週間ぐらい自然放置して全体が固まるのを待つなど、成形盛塩が完成するまで、相当時間を要するようである。
【0006】
そこで本発明は、短期間で粒状の塩を成形できる成形体の製造方法および成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の成形体の製造方法は、にがり成分を含む粒状の塩に乾燥卵白を撹拌して成形用塩とする第1工程と、前記1工程での前記成形用塩を成形用型に充填する第2工程と、前記2工程にて前記成形用塩が充填された前記成形用型を加熱して前記乾燥卵白を固化させ、前記成形用塩を成形する第3工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の成形体は、粒状の塩が乾燥卵白の固化状態により結着されたことを特徴する。
【0009】
本発明によれば、にがり成分を含む粒状の塩に乾燥卵白を撹拌した成形用塩を成形用型に充填して加熱する。乾燥卵白の加熱は短時間で済ませることができる。この加熱により、にがり成分が凝固材となって乾燥卵白が固化状態となるため、塩同士を短時間で結着させることができる。
【0010】
前記乾燥卵白を、前記塩100質量部に対して1.5質量部以上、2.5質量部以下とすることができる。乾燥卵白が1.5質量部未満であると保型性が低下して成形体となったときに崩落しやすい状態となる。また、乾燥卵白が2.5質量部より多いと、保型性は高まるが、成形体となったときに黄ばんだ状態となり、成形体が塩によるものであることの認識がし難くなる。
【0011】
前記第1工程にて、前記乾燥卵白がメレンゲ化しないように前記乾燥卵白を撹拌することが望ましい。乾燥卵白をメレンゲ化してしまうと、加熱の際にメレンゲが膨張して成形体が崩れる。そのため、乾燥卵白がメレンゲ化しないように抑えることが望ましい。
【0012】
前記第3工程での加熱は、電子レンジによることができる。電子レンジにより加熱すれば、成形用型内の成形用塩を内部から効率よく、平均的な加熱が可能なので、効率よく、かつ確実に成形体を成形することができる。
【0013】
前記成形用型が、シリコン型によりものであると、所望とされる成形体の形状を成形するための成形用型を容易に作製することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、乾燥卵白の加熱は短時間で済ませることができ、この加熱により、にがり成分が凝固材となって乾燥卵白が固化状態とすることができるため、短期間で粒状の塩を成形できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る成形体の製造方法を説明するための図であり、塩と乾燥卵白とを準備することを説明するための図である。
図2図1に続く成形体の製造方法を説明するための図であり、塩と乾燥卵白とを容器に入れることを説明するための図である。
図3図2に続く成形体の製造方法を説明するための図であり、塩と乾燥卵白とを容器内にて撹拌して成形用塩とすることを説明するための図である。
図4図3に続く成形体の製造方法を説明するための図であり、成形用塩を成形用型に充填することを説明するための図である。
図5図4に続く成形体の製造方法を説明するための図であり、成形用塩が充填された第1の型と第2の型とを向かい合わせにすることを説明するための図である。
図6図5に続く成形体の製造方法を説明するための図であり、第1の型と第2の型とを型締め用紐により型締めすることを説明するための図である。
図7図6に続く成形体の製造方法を説明するための図であり、型締めされた成形用型を電子レンジで加熱することを説明するための図である。
図8図7に続く成形体の製造方法を説明するための図であり、電子レンジから取り出された成形用型を余熱で加熱しつつ、冷ますことを説明するための図である。
図9】本発明の実施の形態に係る成形体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係る成形体の製造方法を図面に基づいて説明する。本実施の形態では、成形体として招き猫を象った盛塩を作製するものとする。
図1に示すように、まず、作製者は、粒状の塩11と、乾燥卵白12を準備する。粒状の塩11は、にがり成分を含む食塩である。例えば、塩11は、水を塩田に散布し、太陽光や風による蒸発で塩を結晶化させた天日塩とすることができる。
【0017】
乾燥卵白12はメレンゲパウダーと称される粉状のもので、市販されているものが使用できる。乾燥卵白は、塩100質量部に対して、1.5質量部から2.5質量部とする。従って、塩11が200gであれば乾燥卵白12は3g〜5gである。
乾燥卵白12が3g未満であると、成形された塩11の保型性が低下して崩落しやすい状態となる。また、乾燥卵白12が5gより多いと、保型性は高まるが、成形体となったときに黄ばんだ状態となり、成形体が塩によるものであることの認識がし難くなる。従って、塩11が200gであれば、乾燥卵白12は、3g〜5gとすることが望ましい。
【0018】
図2に示すように、この塩11と乾燥卵白12とを容器13へ入れる。そして、図3に示すように、この塩11と乾燥卵白12とをよくかき混ぜ撹拌して、成形用塩14とする(第1工程)。このとき、強く撹拌すると、塩11が含む水分により、乾燥卵白12が泡立ちメレンゲ化するため、ゆっくりと撹拌する。乾燥卵白12がメレンゲ化すると、乾燥卵白12を加熱した際に膨張して成形体が崩れてしまう。従って、乾燥卵白12がメレンゲ化しないように撹拌することが重要である。
【0019】
次に、図4に示すように、成形用型20を準備する。成形用型20は、例えば、シリコン型とすることができる。この成形用型20は、招き猫の模型をスカルピー粘土と称される樹脂粘土により作製し、この模型を凸型として液状シリコンに浸漬し、液状シリコンを固化させることで、凹型となるシリコン型が形成できる。
【0020】
成形用型20は、招き猫の前部分のキャビティ21aが形成された第1の型21と、招き猫の後ろ部分のキャビティ22aが形成された第2の型22とにより構成される。第1の型21には、型締めする際の位置合わせのための凹部21bが形成され、第2の型22には、凹部21bに嵌合する凸部22bが形成されている。
【0021】
この第1の型21のキャビティ21aと第2の型22のキャビティ22aとに、成形用塩14を充填する(第2工程)。このとき、成形用塩14は、型締めしたときに減容するため、キャビティ21aおよびキャビティ22aから少し盛った状態とする。
【0022】
そして、作製者は、図5に示すように、第1の型21と第2の型22とを向き合わせ、図6に示すように、型締め用紐31により型締めする。この型締め用紐31は耐熱性の高いものを採用する。
次に、作製者は、図7に示すように、型締めした成形用型20を、電子レンジ32により加熱する(第3工程)。電子レンジ32は、例えば、600Wの出力のものであれば約1分間とすることができる。
この加熱により、塩11に含まれるにがり成分が凝固材となり、乾燥卵白12の蛋白質成分が固化状態となることで、粒状の塩11同士を結着する。
【0023】
電子レンジ32での加熱が終了すると、図8に示すように、型締めした成形用型20を、電子レンジ32から取り出し、型締めされた成形用塩を、余熱により更に固めると共に、冷却するため、数分間放置する。この放置は3分間くらいを目安とする。
最後に、成形用型20を型開きして、図9に示す成形体10を取り出せば完成である。
【0024】
以上のように、本発明の実施の形態に係る成形体の製造方法によれば、にがり成分を含む粒状の塩11に乾燥卵白12を撹拌した成形用塩14を成形用型20に充填して加熱することで、にがり成分が凝固材となって乾燥卵白が固化状態となる。そのため、塩11同士を短時間で結着させることができる。従って、短時間で成形体を成形することができる。
【0025】
また、成形するための加熱を電子レンジ32によって行っているため、内部から効率よく、平均的に加熱を行うことができるため、効率よく、かつ確実に成形体10を成形することができる。
更に、成形用型20をシリコン型による形成しているため、所望とされる成形体の形状を成形するための成形用型を容易に作製することができる。
【0026】
本実施の形態では、成形体10として招き猫を例に説明したが、一般的な盛塩の形状である略円錐形としたり、人形形状をした七福神としたり、アニメのキャラクタとしたりすることができる。また、成形体は、成形用型の形状次第で様々な形状のものとすることができる。また、図2および図3に示す塩と乾燥卵白を混合して撹拌するときや、成形後に着色することも可能である。塩と乾燥卵白を混合して撹拌するときに着色するときには、粉状の食用色素を一緒に混合する。また、成形後に着色するときには、粉状の食用色素を水に溶かして筆等により塗布したり、噴霧器により噴霧したりする。そうすることで、様々な色の成形体を作製することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、縁起物として、贈答品やお土産品、記念品、日用品などとして販売する商品と、この商品の製造に好適である。
【符号の説明】
【0028】
10 成形体
11 塩
12 乾燥卵白
13 容器
14 成形用塩
20 成形用型
21 第1の型
21a キャビティ
21b 凹部
22 第2の型
22a キャビティ
22b 凸部
31 型締め用紐
32 電子レンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9