【解決手段】野菜類の洗浄に用いる野菜類洗浄槽1であって、水平面に対して底面22が傾斜した貯水空間21を有する洗浄槽本体2と、前記貯水空間21の少なくとも下部領域を傾斜方向に沿って仕切る仕切部3と、を備えた、野菜類洗浄槽1とした。このとき、上面視において仕切部3と概ね平行に洗浄槽本体2に設けられ、周面に多数の放水孔が形成された上下一組の第一放水管41,42と、上面視において仕切部3を挟んで第一放水管41,42と反対側の位置で、仕切部3と概ね平行に洗浄槽本体2に設けられ、周面に多数の放水孔が形成された上下一組の第二放水管51,52と、を備えた構成とすることが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載の野菜類の洗浄装置などでは、土や泥が比較的多く付着した野菜類を洗浄する場合に、洗浄液(洗浄水)全体が汚れることで、比較的きれいな部分が汚染されやすいという課題があった。例えば、収穫されて、葉の部分と根の部分を有する野菜類を洗浄する場合、比較的多くの土や泥が付着している根の部分から洗浄液に拡散した汚れによって、土や泥が余り付着していない葉の部分が汚染されやすく、このため野菜類を効率的に洗浄しにくかった。
【0008】
本発明は、上述の事柄に留意してなされたものであって、泥汚れなどの付着した野菜を効率的に洗浄することができる野菜類洗浄槽を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、野菜類の洗浄に用いる野菜類洗浄槽であって、水平面に対して底面が傾斜した貯水空間を有する洗浄槽本体と、前記貯水空間の少なくとも下部領域を傾斜方向に沿って仕切る仕切部と、を備えた、野菜類洗浄槽とした。
ここで、野菜類には、野菜の他、果実類、藻類、山菜等の食用及び薬用植物全般が含まれる。また、洗浄槽本体の貯水空間には、野菜類を洗浄するための洗浄液(水や湯が含まれる)が貯水される。
【0010】
この野菜類洗浄槽は、洗浄槽本体が、水平面に対して底面が傾斜した貯水空間を有することにより、野菜類に付着していた泥汚れなどが貯水空間底面の傾斜に沿って深底側に集まりやすくなる。
また、貯水空間の少なくとも下部領域を傾斜方向に沿って仕切る仕切部を備えているため、泥汚れなどが比較的付着していない野菜類の部分とそうでない部分とが上面視において仕切部で区画されるように仕切部の上方に野菜を位置させて洗浄することで、泥汚れなどが比較的付着していない部分が汚染されにくくなり、効率的に洗浄することができる。
【0011】
上面視において仕切部と概ね平行に洗浄槽本体に設けられ、周面に多数の放水孔が形成された上下一組の第一放水管と、上面視において仕切部を挟んで前記第一放水管と反対側の位置で、仕切部と概ね平行に洗浄槽本体に設けられ、周面に多数の放水孔が形成された上下一組の第二放水管と、をさらに備えた、野菜類洗浄槽とすることができる。
【0012】
この野菜類洗浄槽は、仕切部を挟んで第一放水管と第二放水管を備えることで、仕切部で区画された部分それぞれに放水することが可能となり、より効率的に洗浄することができる。野菜類を洗浄する際には、上下一組の第一放水管の間と、上下一組の第二放水管の間に、野菜類を位置させれば、さらに効率的に洗浄することができる。
【0013】
ここで、上面視において仕切部と概ね平行に洗浄槽本体に設けられて野菜類を下側から支持する支持部と、仕切部の上方で仕切部と概ね平行に洗浄槽本体に設けられて、野菜類を上側から押さえる押え部と、をさらに備えた、野菜類洗浄槽とすることが好ましい。
【0014】
この野菜類洗浄槽は、上記支持部と上記押え部を備えていることにより、野菜類の姿勢が安定しやすいため、さらに効率的に洗浄することができる。葉と根を有する野菜類の場合、例えば、葉側を支持部の上に載せるとともに、葉と根の間の茎の部分を仕切部と押え部の間に位置させた状態で洗浄することができる。
【0015】
またここで、仕切部の上端が、上下一組の第一放水管のうち上側の第一放水管よりも低い位置にあるとともに、上下一組の第二放水管のうち上側の第二放水管よりも低い位置にある、野菜類洗浄槽とすることも好ましい。
【0016】
この野菜類洗浄槽は、上下一組の第一放水管の間と、上下一組の第二放水管の間に、野菜類を位置させやすくなる。
【0017】
またここで、洗浄槽本体は、貯水空間に貯水される洗浄液を排水して所定の水位に保つためのオーバーフロー孔を、底面が傾斜した貯水空間の深底側の壁面に有しており、前記オーバーフロー孔は、上下一組の第一放水管のうち上側の第一放水管よりも低く、かつ上下一組の第二放水管のうち上側の第二放水管よりも低い位置に設けられている、野菜類洗浄槽とすることも好ましい。
【0018】
この野菜類洗浄槽は、上側の第一放水管と上側の第二放水管が貯水空間に溜められた洗浄液の液面よりも高い位置になるため、これら放水管から、洗浄液が野菜類に勢いよく放出されやすい。
【0019】
またここで、上下一組の第一放水管のうち下側の第一放水管と、上下一組の第二放水管のうち下側の第二放水管が、側面視において、貯水空間の傾斜した底面と概ね平行である、野菜類洗浄槽とすることも好ましい。
【0020】
野菜類を洗浄する際には、例えば、最初に貯水空間の浅底側に投入し、徐々に深底側に移動させながら洗浄することができる。このように洗浄する場合に上記構成の野菜類洗浄槽を用いると、野菜類の移動に伴って、野菜類に対して洗浄液が放水される箇所が変化するため、さらに効率的に洗浄することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、泥汚れなどの付着した野菜を効率的に洗浄することができる野菜類洗浄槽を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を用いて野菜類洗浄槽を例示説明する。野菜類洗浄槽1は洗浄槽本体2と仕切部3を備えており、これらに加えて、以下の実施形態では第一放水管41,42、第二放水管51,52、支持部6および押え部7を備えている。
以下、各構成要素について例示説明するが、本発明およびその構成要素は、以下の説明に限定されるものではない。なお、
図1および
図2において、正面板11の方向を正面、左側面板13の方向を左側面とする
【0024】
1.洗浄槽本体
洗浄槽本体2は、水平面に対して底面22が傾斜した貯水空間21を有する。本実施形態では、洗浄槽本体2は、
図1および
図4などに例示するように、左右横長状の貯水空間21を有し、貯水空間21の底面22は長手方向に傾斜している。
洗浄槽本体2の貯水空間21には、水などの洗浄液が貯水され、洗浄対象である野菜類が投入される。本実施形態では、洗浄液は、後述する第一放水管41,42および第二放水管51,52から貯水空間21に放出される。
【0025】
本実施形態では、
図3および
図4に例示するように、貯水空間21に貯水された洗浄液を排水して所定の水位に保つためのオーバーフロー孔28を、底面22が傾斜した貯水空間21の深底側212の壁面に有している。このオーバーフロー孔28は、
図7に例示するように、上下一組の第一放水管41,42(後述)のうち上側の第一放水管41よりも低く、かつ上下一組の第二放水管51,52(後述)のうち上側の第二放水管51よりも低い位置に設けられている。また、本実施形態では、オーバーフロー孔28は、仕切部3(後述)の上端よりも高い位置に設けられている。
【0026】
また、本実施形態では、
図1に例示するように、底面22が傾斜した貯水空間21の深底側212の底部に、貯水空間21に貯水された洗浄液や野菜類に付着していた泥汚れなどを排出する排出孔29が設けられている。本実施形態では矩形形状の排出孔29が二カ所設けられている。
排出孔29には、通常時には栓(図示せず)がされており、洗浄液や泥汚れなどを排出する際に栓が外されてこれらが排水管9に流れ込むようになっている。
【0027】
2.仕切部
仕切部3は、貯水空間21の少なくとも下部領域を傾斜方向に沿って仕切る。本実施形態では、仕切部3は、
図4および
図7などに例示するように、左右横長状の貯水空間21の概ね下半分を傾斜方向に沿って二つに仕切っている。なお、
図3では、仕切部3が押え部7の下に隠れているため表示されていない。
【0028】
また、本実施形態においては、
図7などに例示するように、仕切部3で仕切られた二つの領域の奥行き幅が異なっており、幅広領域216と幅狭領域217の奥行き幅寸法の比率が概ね4:1になるように仕切部3を設けてある。
幅広領域と幅狭領域の奥行き幅寸法の比率は洗浄する野菜類によっても異なり、1:1、2:1、3:1など任意であるが、概ね2:1〜4:1であることが好ましい。
この幅広領域216およびその上方には、例えば、野菜類の葉の部分を位置させ、幅狭領域217およびその上方には、野菜類の根の部分を位置させることができる。このとき、野菜類の茎の部分は仕切部3の上端近傍に位置することになる。
【0029】
3.第一放水管
第一放水管41,42は、周面に多数の放水孔(図示せず)が形成されており、上下一組が、上面視において仕切部3と概ね平行になるように洗浄槽本体に設けられる。
本実施形態においては、
図7などに例示するように、上下一組の第一放水管41,42は、幅広領域216側の壁面寄りに設けてある。そして、上下一組の第一放水管41,42は、上面視において、両者重なって仕切部3と概ね平行に設けてある。
また、本実施形態においては、
図5などに例示するように、上下一組の第一放水管41,42のうち下側の第一放水管42が、側面視において、貯水空間21の傾斜した底面22と概ね平行になっている。
【0030】
第一放水管41,42から放出される洗浄液の放出方向は、放水孔の位置や方向によって決定づけられる。放出方向は特に制限されないものの、上下一組の第一放水管41,42の間に野菜類が位置することを考慮すると、放水管の長手方向と垂直な断面から見て、上側の第一放水管41については下方、斜め下方および側方に向けて、下側の第一放水管42については上方、斜め上方および側方に向けて放水するように放水孔を設けることが好ましい。このとき放水孔は、第一放水管41,42の長手方向の概ね全体に亘って設けることが好ましい。
上下一組の第一放水管41,42のうち下側の第一放水管42については、野菜類に付着していた泥汚れなどを深底側212に集めるといった観点からは、少なくとも浅底側211において、鉛直方向下向きから深底側212に傾斜した方向に洗浄液を放出するように放水孔を設けることも好ましい。
【0031】
4.第二放水管
第二放水管51,52は、周面に多数の放水孔が形成されており、上下一組が、上面視において、仕切部3を挟んで第一放水管41,42と反対側の位置で仕切部3と概ね平行になるように洗浄槽本体2に設けられる。
本実施形態においては、
図7などに例示するように、上下一組の第二放水管51,52は、幅狭領域217側に設けてある。そして、上下一組の第二放水管51,52は、上面視において、両者重なって仕切部3と概ね平行に設けてある。
また、本実施形態においては、
図4などに例示するように、上下一組の第二放水管51,52のうち下側の第二放水管52が、側面視において、貯水空間21の傾斜した底面22と概ね平行になるように設けてある。
【0032】
第二放水管51,52から放水される洗浄液の放出方向も、放水孔の位置や方向によって決定づけられる。放出方向は特に制限されないものの、前述した第一放水管41,42と同様のことが第二放水管51,52にもあてはまる。
また、上下一組の第二放水管51,52のうち下側の第二放水管52については、第一放水管42と同様、少なくとも浅底側211において、鉛直方向下向きから深底側212に傾斜した方向に洗浄液を放出するように放水孔を設けることが好ましい。
【0033】
第一放水管41,42および第二放水管51,52としては、例えば、φ15mm程度の塩ビパイプの周面に多数の放水孔を形成したものを用いることができる。
【0034】
5.支持部
支持部6は、野菜類を下側から支持するものであり、上面視において仕切部3と概ね平行になるように洗浄槽本体2に設けられてる。
本実施形態では、
図7などに例示するように、上面視において、上下一組の第一放水管41,42と仕切部3の間の領域であって、第一放水管41,42寄りの位置に支持部6が設けてある。また、
図5および
図7などに例示するように、側面視において、上下一組の第一放水管41,42の間の高さに支持部6が設けてある。
支持部6としては、例えば、φ9mm程度の丸棒を用いることができる。
【0035】
6.押え部
押え部7は、野菜類を上側から押さえるものであり、仕切部3の上方で仕切部3と概ね平行になるように洗浄槽本体2に設けられている。
本実施形態では、
図3や
図7に例示するように、上面視で仕切部3と概ね重なるように、仕切部3の上方に押え部7を設けてあり、仕切部3と押え部7との間隔は30〜40mm程度となっている。
押え部7としては、例えば、φ24mm程度のステンレスパイプを用いることができる。
【0036】
7.野菜類洗浄槽の使用方法
以下に、上記野菜類洗浄槽1の使用方法を例示説明する。
まず、野菜類洗浄槽1に洗浄液を供給する。具体的には、給水管8に洗浄液を供給して、第一放水管41,42および第二放水管51,52の放水孔(図示せず)から貯水空間21に洗浄液を放出する。
洗浄液が貯水空間21に貯水されたら野菜類を投入する。野菜類Vとしてパクチー(コリアンダー)を投入する場合には、例えば、
図8に例示するように、上下一組の第一放水管41,42の間に葉側を入れるとともに、仕切部3の上端と押え部7の間に根側を通して上下一組の第二放水管51,52の間に根側を入れる。葉と根の間の茎の部分は仕切部3と押え部7の間に位置した状態となる。この作業は、貯水空間21の浅底側211で行うことが好ましい。この状態では、葉側には上下一組の第一放水管41,42から、根側には上下一組の第二放水管51,52から洗浄液が放出されている。
野菜類が投入されたら洗浄する。上下一組の第一放水管41,42および上下一組の第二放水管51,52から洗浄液が放水されているので、ある程度は洗浄されるものの、作業者の手作業で洗浄作業を行ってもよい。そして、貯水空間21の浅底側211から深底側212に野菜類を移動させると浅底側211が空くので、ここに洗浄対象の野菜類を投入して連続的に洗浄を行うことができる。
洗浄作業を終える場合には、給水を止めるとともに、排出孔29の栓を外して、貯水空間21内の洗浄液や野菜類に付着していた泥汚れなどを排出するのである。
【0037】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を例示説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本出願の願書に添付された特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態では、上下一組の第一放水管および上下一組の第二放水管は長尺状であり撓むことが考えられるが、これを防止するために、第一放水管および第二放水管を支える支持手段を設けてもよい。具体的には正面板と背面板に支持棒掛け渡して各放水管を支えるようにすることができる。
【0039】
また、上記実施形態では、仕切部の先端(上端)が角を有していたがこれに限定されない。例えば、仕切部の先端(上端)を半円状としてもよい。