(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-202080(P2017-202080A)
(43)【公開日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】噴射ノズル
(51)【国際特許分類】
A62C 31/12 20060101AFI20171020BHJP
B05B 1/02 20060101ALI20171020BHJP
B05B 1/12 20060101ALI20171020BHJP
A62C 31/03 20060101ALI20171020BHJP
A62C 31/05 20060101ALI20171020BHJP
【FI】
A62C31/12
B05B1/02 101
B05B1/12
A62C31/03
A62C31/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-95224(P2016-95224)
(22)【出願日】2016年5月11日
(71)【出願人】
【識別番号】591078712
【氏名又は名称】消防庁長官
(71)【出願人】
【識別番号】000192338
【氏名又は名称】深田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118706
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 陽
(72)【発明者】
【氏名】天野 久徳
(72)【発明者】
【氏名】内藤 浩由
(72)【発明者】
【氏名】大野 正実
(72)【発明者】
【氏名】花井 佑一朗
【テーマコード(参考)】
2E189
4F033
【Fターム(参考)】
2E189KA02
2E189KB03
4F033AA12
4F033BA02
4F033BA03
4F033CA01
4F033CA14
4F033DA01
4F033EA01
4F033JA02
4F033LA06
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】長さが短くて軽量化が可能であり、放出される泡の還元時間が長い泡ノズルを提供する。
【解決手段】該水溶液の通路となる第1の流路と、該水溶液の通路となる第2の流路とが設けられている。第1の流路の途中には縮径部が少なくとも2か所に設けられており、該縮径部の下流側には外気を取入れるための空気取入口が設けられており、下流末端には流れが軸方向から径外方向に広がる形状とされた第1のデフレクターを有する第1の出口が設けられている。第2の流路の下流末端には、流れが軸方向から径外方向に広がり、且つ、第1の出口からの流れと衝突するような形状とされた第2のデフレクターを有する第2の出口が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡消火薬剤の水溶液を空気と混合して泡放射するための泡ノズルであって、
該水溶液の通路となる第1の流路と、該水溶液の通路となる第2の流路とが設けられており、
該第1の流路の途中には縮径部が少なくとも2か所に設けられており、該縮径部の下流側には外気を取入れるための空気取入口が設けられており、下流末端には流れを軸方向から径外方向に広げる形状とされた第1のデフレクターを有する第1の出口が設けられており、
該第2の流路の下流末端には、流れが軸方向から径外方向に広がり、且つ、第1の出口からの流れと衝突する形状とされた第2のデフレクターを有する第2の出口が設けられていることを特徴とする泡ノズル。
【請求項2】
泡ノズルの先端に第1及び第2の出口からの突出長さを調節することのできる外筒が設けられていることにより、放水形状が可変となることを特徴とする請求項1に記載の泡ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油火災をはじめとする危険物火災の際に、泡消火薬剤を放射するためのノズル(以下「泡ノズル」という)に関する。本発明の泡ノズルは、可搬式の小流量ノズル(400L/min程度)のみならず、大容量泡放水砲(10,000L/min以上)に用いられる大容量の泡ノズルにも好適に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
油火災等の危険物火災においては、泡ノズルから泡消火薬剤の水溶液を発泡させて放出するという、泡消火が行われる。泡消火に用いられる泡ノズルでは、泡の状態を長時間保つこと(すなわち泡の還元時間を長くすること)が要求される。泡の還元時間が短いと、火炎により泡が破壊されて消火が不十分となったり、不可能となったりする恐れが生じるからである。
【0003】
泡ノズルとしては、従来よりアスピレートノズルとノンアスピレートノズルの2種類の泡ノズルが知られている。
アスピレートノズルは、
図5に示すように、ノズル100の途中に空気吸引口101及びノズル100の内径より小径のスプレイノズル103が設けられており、空気吸引口101の下流にプレパイプ102が延在する構造とされている。このアスピレートノズルでは、加圧された泡消火薬剤の水溶液がノズル100の一端側から流入してスプレイノズル103から吐出されて負圧部が形成される。これにより空気吸引口101から空気が吸引され、プレパイプ102内で空気と水溶液とが攪拌され、発泡および整泡された後、プレパイプ102の先端から泡が放射される。このアスピレートノズルでは、プレパイプ内にて水溶液と空気が充分に撹拌・混合されるため、還元時間の長く安定した泡を放射することができるという利点はあるが、ノズル自体の長さが長くなるという欠点がある
【0004】
一方、ノンアスピレートノズルは、
図6に示すように、略円筒状のノズル200の先端にリング状の開口部201が設けられており、プレパイプや空気吸引口は設けられていない。このノンアスピレートノズルでは、加圧された泡消火薬剤の水溶液がノズル200の一端側から流入し、リング状の開口部201から放出された後、放出された水溶液の水流同士が衝突する。この時、周囲の空気が水流に取り込まれ、空気と水溶液とが攪拌され、泡となる。このノンアスピレートノズルでは、プレパイプが設けられていないため、長さを短くすることができる。
また、ノンアスピレートノズルには、ノズル200の先端に開口部201からノズル200先端までの突出長さを調節可能とするスライド式外筒202が設けられているものもある。この突出長さの調整により、長くして水/泡の放水形状を直線的に放出したり、短くして水/泡の放水形状をコーン状にしたりすることが可能であり、火災状況に応じて放水形状を変化させることができるという利点を有している。しかしながら、アスピレートノズルと比較すると、放出される泡の還元時間が短く、泡の安定性が低いという欠点を有している。
【0005】
そして、さらにはノンアスピレートノズルとアスピレートノズルとを組み合わせたセミアスピレートノズルも開発されている(例えば特許文献1参照)。
セミアスピレートノズルの断面図を
図7に示す。セミアスピレートノズルは、前述したノンアスピレートノズルと同様、略円筒状のノズル300の先端のリング状の開口部301が設けられており、ノズル300の先端には開口部301からノズル300先端までの突出長さを調節可能とするスライド式外筒302が設けられている。さらに、ノズル300の途中には、前述のアスピレートノズルと同様、空気吸引口303及びスプレイノズル304が設けられている。
このセミアスピレートノズルでは、スプレイノズル304から泡消火薬剤の水溶液が放射される際、スプレイノズル304の出口付近に負圧が発生することで、空気吸引口303から空気を取り込むことができる。これにより、ノズル300の先端のリング状の開口部301から放出される前に、予め泡消火薬剤の水溶液と空気とを混合して泡を発生させることができる。そして、開口部301から放出されるときには、この泡が核となり、さらなる泡の発生を促すため、ノンアスピレートノズルと比較して還元時間が長い泡を放出することが可能となる。また、スライド式外筒302が設けられているため、突出長さを長くして水/泡の放水形状を直線的にしたり、コーン状にしたりすることができる。このため、火災状況に応じて放水形状を変化させることができるというノンアスピレートノズルと同様の利点を有している。
【0006】
しかしながらセミアスピレートノズルでは、スプレイノズル304から棒状に放射された泡水溶液と空気とを充分に混合するため、ある程度の長さが必要となり、これにより泡ノズル全体の長さが長くなり、重くなってしまうという欠点があった。また、泡ノズルを収納容器へ格納する場合、そのぶんのスペースを取ってしまい、収納容器の巨大化を招くという問題があった。
【0007】
こうした問題点を解決すべく、小型の棒状スプレイノズルを多数配置したり(特許文献1)、デフレクターとノズル本体間の泡消火薬剤水溶液が通過する箇所において、ノズル本体側に負圧機構を設け、ここで泡水溶液と空気を混合したり(特許文献2)する方法も提案されている。
【0008】
しかしながら、いずれのノズルも泡水溶液と空気が混合されてからノズル外部に放射されるまでの距離を短くした場合、空気と泡水溶液の混合は不十分となる。このため、泡ノズルの長さを短くしたまま、放出される泡の還元時間を長くすることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許5779158号公報
【特許文献2】米国特許7048207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、長さが短くて軽量化が可能であり、放出される泡の還元時間が長い泡ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の泡ノズルは、泡消火薬剤の水溶液を空気と混合して泡放射するための泡ノズルであって、
該水溶液の通路となる第1の流路と、該水溶液の通路となる第2の流路とが設けられており、
該第1の流路の途中には縮径部が少なくとも2か所に設けられており、該縮径部の下流側には外気を取入れるための空気取入口が設けられており、下流末端には流れを軸方向から径外方向に広げる形状とされた第1のデフレクターを有する第1の出口が設けられており、
該第2の流路の下流末端には、流れが軸方向から径外方向に広がり、且つ、第1の出口からの流れと衝突する形状とされた第2のデフレクターを有する第2の出口が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明の泡ノズルでは、送液ポンプから加圧送液された泡消火薬剤の水溶液が、第1の流路及び第2の流路の二種類の流路を流れることとなる。
第1の流路に送られた泡消火剤の水溶液は、第1の流路の途中に設けられた縮径部によって流れが絞り込まれるため、オリフィスとして機能し、下流側が減圧状態となる。ここで、減圧状態となった複数個所に向かって空気取入口から外気が流入し、水溶液と空気が混合される。また、縮径部は少なくとも2か所に設けられているため、水溶液に乱流が生じ、下流側へ放射される水溶液は棒状と液滴群が組み合わさった放射形状となる。このため、従来の棒状の放射と比べて水溶液の表面積が広くなり、より短い長さで効率的に水溶液と空気を混合することができる。そして空気と混合された泡消火薬剤の水溶液は第1の出口に向かい、第1のデフレクターに衝突して流れが軸方向から径外方向に広がって放射される。
一方、第2の流路に送られた泡消火薬剤の水溶液は、液滴群とならず液体状態のまま第2の出口に向かい、第2のデフレクターに衝突して流れが軸方向から径外方向に変化して放射される。
ここで第2のデフレクターは第2の流路を流れる泡消火薬剤の水溶液の流れが、第1の出口からの流れと衝突するような形状とされているため、第1の出口から放出される水流と第2の出口から放出される水流とが衝突し、その際に水溶液と空気の混合・撹拌が更に促進される。したがって、より安定性に優れた還元時間の長い泡を放出することができる。また第1の流路においては、泡消火薬剤の水溶液は棒状と液滴群の放射が合わさった放射形状として縮径部より放射されるため、液滴群のみの放射と比較して流速の低下を抑えることができる。これにより、泡放射の射程の低減を抑えることができる。またその一方で、泡消火薬剤の水溶液は棒状と液滴群の放射が合わさった放射形状をとるため、空気と水溶液を充分に混合・撹拌することが可能となる。
【0013】
泡ノズルの先端には第1及び第2の出口からの突出長さを調節することのできる外筒が設けられていることが好ましい。こうであれば、外筒の突出長さを短くして、放出される泡をコーン状として広い範囲を消火できるようにしたり、外筒の突出長さを長くして、放出される泡をより直線状に遠くまで放出したりすることが可能となり、火災状況に応じて放水形状を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1の泡ノズル(外筒を伸ばした状態)の断面図である。
【
図2】実施例1の泡ノズル(外筒を引っ込めた状態)の断面図である。
【
図3】実施例1の泡ノズルの
図1のX−X矢視断面図である。
【
図4】比較例1の泡ノズル(外筒を引っ込めた状態)の部分断面図である。
【
図5】ノンアスピレートノズルの泡放出状態における断面図である。
【
図6】アスピレートノズルの泡放出状態における断面図である。
【
図7】セミアスピレートノズルの泡放出状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施例を比較例と比較しつつ説明する。
(実施例1)
実施例1の泡ノズルは固定モニターに搭載して使用する中流量泡ノズル(全長162cm、重量2.51kg)であり、
図1に示すように、泡ノズル本体1と、泡ノズル本体1の先端にスライド溝2aに沿ってスライド可能に取り付けられた円筒形状の外筒2と、泡ノズル本体1の後端にボルト1aで固定された略円筒形状の後筒3とを備えている。泡ノズル本体1の軸心部分には、第1の水路を形成する貫通孔4が開けられており、貫通孔4の後端は径が小さくされた縮径部5aが設けられており、縮径部5aの少し下流側には縮径部5aと同じ径とされた縮径部5bが設けられている。泡ノズル本体1の縮径部5bの少し下流側には、外気と連通する空気取入口を形成する空気取入口6a,b,c,dが4か所に設けられている。縮径部5a、5b及び空気取入口6a,b,c,dによってオリフィスが形成されている。第1の水路の流末端には、流れが軸方向から径外方向に広がるようにテーパ形状とされた第1のデフレクター7がボルト7aによって固定されるとともに、外気と連通する第1の出口8が設けられている。
また、泡ノズル本体1の貫通孔4よりも少し径外方向には、
図3にも示すように、4か所に第2の水路を形成する貫通孔9a,b,c,dが設けられており、第2の水路の流末端には、流れが軸方向から径外方向に広がるようにテーパ形状とされ、第1の出口8からの流れと衝突するような形状とされた第2のデフレクター10を有する第2の出口11が設けられている。
【0016】
以上のように構成された実施例1の泡ノズルでは、泡消火薬剤の水溶液が図示しない送液ポンプから後筒3に送られ、
図1に示すように、第1の流路及び第2の流路に流入する。第1の流路では、縮径部5a及び縮径部5bがオリフィスの役割を果たし、泡消火薬剤の水溶液の流れは乱流となり、縮径部5bから棒状と液滴群が組み合わさった形状となって放射される。ここで、縮径部は5aと5bの2か所に設けられているため、縮径部5aと縮径部5b間において効率的に乱流が生じ、縮径部5b後方が減圧状態となる。さらに、該縮径部5bの下流側には外気を取入れるための空気取入口6a,b,c,dが設けられているため、乱流が生じて減圧状態となった水溶液に空気が混入して泡−水溶液の混合状態となって、第1の出口8に向かい、第1のデフレクター7に衝突して流れが軸方向から径外方向に広がるとともに、第1の出口8から放射される。
【0017】
一方、第2の流路を流れる泡消火薬剤の水溶液は、液体状態のまま第2の出口11に向かい、第2のデフレクター10に衝突して流れが軸方向から径外方向に広がり放出される。ここで、第2のデフレクター10は第2の流路を流れる泡消火薬剤の水溶液の流れが第1の出口11からの流れと衝突するような形状とされているため、第1の出口8から放出される水流と激しく衝突し、その際に水溶液と空気の混合・撹拌が更に促進される。したがって、安定性に優れた還元時間の長い泡となる。そして、泡は外筒2に前方向に案内されるため、広角に広がらずに前方に棒状態で放出される。ここで、第1の流路においては、泡消火薬剤の水溶液は棒状と液滴群の放射が合わさった放射形状として縮径部5bより放射されるため、液滴群のみが放射される場合と比較して流速の低下を抑えることができる。これにより、泡放射の射程の低減を抑えることができる。したがって、実施例1の泡ノズルによれば、長さが短くて軽量化が可能であり、放出される泡の還元時間が長い泡を遠方まで放出することができる。
【0018】
また、
図1の状態における外筒2の突出長さを、
図2に示すように短くした場合、出口8及び出口11からの流れは、外筒2によって案内されることがないため、広角に広がったコーン状に放出される。
以上のように、実施例1の泡ノズルによれば、射程距離の長い棒状の放出としたり、広角に広がったコーン状に広範囲に放出したりできるため、火災状況に応じて放水形状を変化させることができる。
【0019】
(比較例1)
比較例1の泡ノズルは従来から利用されているセミアスピレートノズル(深田工業株式会社製 SAN1500)である。全長は210cm、重量は5.28kgであり、
図4に示すように、泡ノズル本体21と、泡ノズル本体21の先端にスライド可能に取り付けられた円筒形状の外筒22と、泡ノズル本体21の後端に接続された略円筒形状の後筒23とを備えている。泡ノズル本体21の軸心部分には、水路を形成する貫通孔24が開けられており、貫通孔24の途中には径がテーパ形状となっている縮径部25が設けられている。泡ノズル本体21の縮径部25の少し下流側には、外気と連通する空気取入口を形成する空気取入口26が設けられている。縮径部25及び空気取入口26によってオリフィスが形成されている。第1の水路の流末端には、流れが軸方向から径外方向に広がるようにテーパ形状とされたデフレクター27が固定されるとともに、外気と連通する出口28が設けられている。
【0020】
以上のように構成された比較例1の泡ノズルでは、泡消火薬剤の水溶液が図示しない送液ポンプから後筒23に送られ、流路に流入する。このとき、縮径部25がオリフィスの役割を果たし、泡消火薬剤の水溶液は棒状の形状で縮径部25より放射されるとともに、減圧状態となって空気取入口26から空気が混入して泡−水溶液の混合状態となる。そして、デフレクター27に衝突して流れが軸方向から径外方向に広がるとともに、液滴の状態で出口28から放出される。さらに外筒22によって液滴の流れは前方向へ案内され放出され、液滴同士が衝突して空気を巻き込むため、ノンアスピレートノズルと比較して還元時間が長い泡を放出することが可能となる。しかしながら、泡消火薬剤の水溶液は棒状の形状で縮径部25より放射されるため、棒状と液滴群の放射が合わさった放射形状として放射される実施例1の泡ノズルに比べて、空気との混合・撹拌が不十分となる。このため、空気との混合・撹拌を十分なものとするために、全長は210cmと実施例1の泡ノズル(全長162cm)よりも長くされている。このため、全体の重量が実施例1の泡ノズルよりも重くなっている。
【0021】
<評 価>
上記実施例1及び比較例1の泡ノズルを用い、仰角30°、毎分1500[L/min]の放射量で泡放射実験を実施し、泡の安定性を示す指標となる25%還元時間、発泡倍率に加え、最大射程を測定した。泡消火薬剤は粘性付与水成膜泡消火薬剤「フカダ・ライトニングAR(泡第24〜1号)」を用い、泡水混合比は3%となるように比例混合器(WQ150, 深田工業)にて調節した。なお、泡性状(発泡倍率・25%還元時間)の測定については、「消防用設備等の試験基準の全部改正について」(消防予第282号)記載の「泡消火設備発泡倍率及び25%還元時間測定方法」に準拠しておこなった。また、泡射程については最大値を測定員の目視により測定した。
【0022】
その結果、表1に示すように、実施例1の泡ノズルでは、発泡倍率が9.3倍、25%還元時間が574秒となり、比較例1の泡ノズルでは、発泡倍率が7.8倍、25%還元時間が186秒となり、共に実施例1の泡ノズルの方が高い値となった。特に、25%還元時間では、実施例1の泡ノズルの方が比較例1の泡ノズルの2倍程度の長さとなり、実施例1の泡ノズルでは、泡水溶液と空気が十分に交じり合い、安定した泡が生成可能であることが分かった。
また最大射程距離については、実施例1及び比較例1の泡ノズルも同程度となり、発泡倍率及び還元時間が優れているにもかかわらず、射程距離は比較例1の泡ノズルと遜色ないことがわかった。
更に、実施例1の泡ノズルは比較例1の泡ノズルと比較して、ノズル全長が2割程度短くなり、それに伴ってノズル重量は5割程度軽くなった。したがって実施例1により、長さが短くて軽量かつ、放出される泡の還元時間が長い泡ノズルを実現できた。
【0024】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0025】
5a…縮径部(第1の縮径部)
5b…縮径部(第2の縮径部)
6a,6b,6c,6d…空気取入口
7…第1のデフレクター
8…第1の出口
10…第2のデフレクター
11…第2の出口
2…外筒