【解決手段】発光素子と、発光素子から出射される光を受光する複数の受光素子と、発光素子の点灯及び消灯を制御する滴落制御部と、発光素子の光を受光することにより各受光素子に発生する出力電圧が伝達され、当該出力電圧の結果に基づいて、輸液セットの種類を判定する、データ処理部と、を含み、60滴輸液セットの点滴口によって遮られる光軸の数が点滴筒の点滴検出器への装着状態に応じてa又a−1となり、20滴輸液セットの点滴口によって遮られる光軸の数が点滴筒の点滴検出器への装着状態に応じてb又はb−1となる、位置関係で、発光素子と複数の受光素子とが配置されている。ただし、a<b−1の関係が満たされ、a及びbは自然数であり、aは2以上である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の点滴検出器は、1個以上の発光素子と、前記発光素子から出射される光を受光する複数の受光素子を含む。本発明の点滴検出器では、例えば、発光素子から受光素子へ入力される光が点滴筒の点滴口によって遮弊されることにより生じる出力電圧の降下量の相違により、輸液セットの種類を判別している。本発明の点滴検出器では、発光素子と複数の前記受光素子とが、点滴検出器に60滴輸液セットが装着されたときに、60滴輸液セットの点滴口によって遮られる光軸の数が、前記点滴筒の前記点滴検出器への装着状態に応じてa−1又はaとなり、点滴検出器に20滴輸液セットが装着されたときに、20滴輸液セットの点滴口によって遮られる光軸の数が、前記点滴筒の前記点滴検出器への装着状態に応じてb−1又はbとなる、位置関係で配置されている。ただし、a<b−1の関係が満たされ、a及びbは自然数であり、aは2以上である。そのため、点滴検出器への点滴筒の装着が理想的な状態でない場合や点滴筒の製造のバラツキ等により、特に、60滴輸液セットの点滴口が理想的な位置からずれても、発光素子から出射された光が点滴口により遮られる確率が高まる。故に、本発明の点滴検出器は、従来の点滴検出器と比較して、輸液セットの種類の判定が良好に行える。
【0013】
尚、本発明において、「前記点滴検出器に60滴輸液セットが装着されたときに、前記60滴輸液セットの点滴口によって遮られる前記光軸の数が、前記点滴筒の前記点滴検出器への装着状態に応じてa−1又はaとなり」とは、点滴筒の点滴検出器への装着位置が所定の位置である場合は、60滴輸液セットの点滴口によって遮られる光軸の数がa−1となり、点滴筒の点滴検出器への装着位置が別の所定の位置である場合は、60滴輸液セットの点滴口によって遮られる光軸の数がa本となることを意味する。同様に、「前記点滴検出器に20滴輸液セットが装着されたときに、前記20滴輸液セットの点滴口によって遮られる前記光軸の数が、前記点滴筒の前記点滴検出器への装着状態に応じてb−1又はbとなる」とは、点滴筒の点滴検出器への装着位置が所定の位置である場合は、20滴輸液セットの点滴口によって遮られる光軸の数がb−1となり、点滴筒の点滴検出器への装着位置が別の所定の位置である場合は、20滴輸液セットの点滴口によって遮られる光軸の数がb本となることを意味する。
【0014】
次に、本発明の一実施形態に係る点滴検出器、及びその制御方法、並びに、当該点滴検出器を含む輸液ポンプ等について、
図1〜
図8を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る点滴検出器2、及び点滴検出器2と輸液ポンプ本体12とを含む輸液ポンプ1の構成概略図である。輸液セットを構成する輸液バック11には、点滴筒8を介して可撓性チューブ10が接続されている。可撓性チューブ10内の輸液は、チューブ押圧部17によって可撓性チューブ10が下方にしごかれることにより、下方に送られ、輸液セットが接続された患者に送られる。
【0016】
点滴検出器2は、点滴筒8を挟んで、各々対向するように配置された、第1発光部31と第1受光部41、第2発光部32と第2受光部42とを含む。第1発光部31と第2発光部32は、点滴筒8の外部の一側に配置され、第1受光部41と第2受光部42は、点滴筒8の外部の前記一側の反対側に配置されている。第1発光部31及び第1受光部41は、輸液ポンプに装着される輸液セットの種類の判定のために設けられ、第2発光部32と第2受光部42は、液滴9の検知のために設けられている。
【0017】
図2に示されるように、点滴検出器は、点滴筒8を保持する点滴筒保持部6を含み、点滴筒保持部6は、例えば、上面視した場合に見える形状が略U字状をなしたホルダである。点滴筒保持部の内面には、第1発光部31と第1受光部41、第2発光部32と第2受光部42とが、対向して配置されている。点滴筒保持部6は、例えば、板ばね(図示せず)等の保持手段を内面に有しており、入口側(点滴筒の装着開始側)61から点滴筒8を着脱可能に保持する。点滴筒8は、点滴筒保持部6の内部空間62のうちの、点滴口81や液滴9の検出にとって理想的な位置よりも、奥側64に配置されることもあるし、入口側61に配置されることもある。
【0018】
図1に示されるように、第1発光部31と第1受光部41は、第1発光部31と第1受光部41との間の光軸L
1〜L
5(
図3A参照)を含む面が、点滴筒8の点滴口81によって貫かれる位置に配置されている。一方、第2発光部32と第2受光部42は、点滴口81の下流側先端よりも、下方に配置されており、第2発光部32と第2受光部42との間の光軸を含む面は、第1発光部31と第1受光部41との間の光軸を含む面よりも、点滴筒8内を流れる液体の下流側に配置されている。
【0019】
尚、輸液ポンプに装着される輸液セットは、20滴輸液セットと60滴輸液セットの2種類に分類される。20滴の点滴筒は1mLを20滴に分けて滴下し、60滴の点滴筒は1mLを60滴に分けて滴下する。そのため、20滴輸液セットを構成する点滴筒8の点滴口b
20(
図3参照)は、60滴輸液セットを構成する点滴筒8の点滴口b
60(
図3参照)よりも大きい。
【0020】
図3Aでは、第1発光部31は、1つの第1発光素子31aを含んでいるが、第1発光素子31aの数は、第1発光部31と第1受光部41との間の領域において点滴口81の検出範囲を広げる観点から、複数であってもよい。第1受光部41は、複数の第1受光素子を含んでおり、第1受光素子の数は、第1発光部31と第1受光部41との間の領域において点滴口81の検出範囲を広げる観点から、好ましくは5個以上、より好ましくは6個以上であり、経済性の観点から、7個以下である。
【0021】
第1受光部41において、第1受光素子41a〜41eは、第1発光素子31aと第1受光素子41a〜41e間の光軸のいずれもが、液滴9(
図1参照)の落下方向と直交する単一水平面内に収まるように配置されている。
【0022】
図3Bでは、第2発光部32が、複数の第2発光素子32a〜32eを含み、第2受光部42が、複数の第2受光素子42a〜42gを含んでいる。
図3Bにおいて、第2発光素子の数が5個、第2受光素子の数が7個であるが、本発明の点滴検出器1において、第2発光素子の数は、液滴の検出範囲を広げる観点から、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上であり、経済性の観点から、7個以下である。第2受光素子の数は、発光素子の数以上であればよいが、液滴の検出範囲を広げる観点から、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上であり、経済性の観点から、7個以下である。
【0023】
第2受光素子42a〜42gと第2発光素子32a〜32eは、これらの間の光軸のいずれもが、液滴9(
図1参照)の落下方向と直交する単一水平面内に収まるように配置されている。
【0024】
第1発光素子31a及び第2発光素子32a〜32eとしては、各々、例えば、近赤外線を発するLED、半導体レーザー等が挙げられる。第1受光素子41a〜41d及び第2受光素子42a〜42gとしては、各々、例えば、受光した光を電気信号(出力電圧)に変換するフォトダイオード又はフォトトランジスタからなる。
【0025】
点滴検出器2は、点滴筒8を保持する点滴筒保持部6を含み、本発明の好ましい一例では、点滴検出器2に20滴点滴セットが装着されたときの第1受光素子41eの出力電圧が、光軸L
5が点滴筒8の外壁のみを通過した場合のそれよりも低い場合に、データ処理部7は、輸液ポンプ本体12の設定入力部・制御部13に異常信号を送る。第1受光素子41eは、複数の第1受光素子41a〜41eのうちの点滴筒保持部6の点滴筒8の入口側の最も近くに配置されている。
【0026】
第1受光素子41eは、例えば、第1発光素子31aと第1受光素子41eとの間の光軸が、点滴口81の配置が適正に行われる適正領域63(
図4参照)を通過しない位置に配置される。尚、適正領域63は、例えば、第1発光素子と第1受光素子の配置を決定する際に決定された、理想的な装着位置を中心とする所定の半径の円の内側である。当該半径は、輸液セットの点滴筒の製造のバラツキ、及び点滴筒8の点滴筒保持部6への装着の仕方のバラツキ等からから想定される、点滴口の配置位置のバラツキを考慮して決定される。
【0027】
このように、複数の第1受光素子が、点滴口の装着不良を検知するための異常検出用受光素子として第1受光素子41eを含んでいると、20滴輸液セットと60滴輸液セットの種類の判定精度の向上と、20滴輸液セットの点滴筒8の装着不良の抑制とを両立できる。尚、第1受光部41において、異常検出用受光素子は、点滴筒保持部6の入口側と奥側の両方に設けられていてもよいし、奥側にのみに設けられていてもよい。
【0028】
図4において点滴口81がd
2の位置にあり、第1発光素子31aと第1受光素子41eとの間の光軸L
5が点滴口81により遮られた場合の第1受光素子41eの出力電圧は、光軸L
5が点滴口81は通過せず点滴筒8の外壁のみを通過した場合のそれよりも低くなる。データ処理部7は、点滴検出器に20滴点滴セットが装着されたときの第1受光素子41eの出力電圧が、光軸L
5が点滴口81は通過せず点滴筒8の外壁のみを通過した場合の第1受光素子41eの出力電圧よりも低い場合に、輸液ポンプ本体の設定入力部・制御部13に、点滴筒の設置が不適である事を示す異常信号を送る。次いで、設定入力部・制御部13は、モータ駆動部15へ停止信号を入力し、モータ16及びチューブ押圧部17の動作を停止させる。
【0029】
[輸液セットの種類の判定]
第1発光部31から出射された光は、点滴筒の外壁及び点滴口81によってその一部が遮弊されて、第1受光部41に到達する。そのため、点滴口81による光の遮弊の程度を検出することにより、点滴検出器1に、60滴輸液セットと20滴輸液セットのいずれが装着されたか、を判定できる。点滴筒の外壁と点滴口の両方を通過することによる出力電圧の低下量は、点滴筒の外壁のみを通過することによる出力電圧の低下量よりも顕著に大きい。そのため、例えば、光軸が点滴筒の外壁と点滴口の両方を通過した場合の出力電圧が、データ処理部7に入力されれば、データ処理部7により、光軸が点滴筒の外壁のみを通過した場合と区別できる。
【0030】
具体的には、第1発光素子31aから出射された光を第1受光素子41a〜41dが受光し、当該受光により各第1受光素子に発生した出力電圧が、データ処理部7に伝達される。データ処理部7において、当該出力電圧の結果に応じて、輸液セットの種類が判定される。第1発光素子31aの発光は、滴落制御部5からの制御信号により制御される。
【0031】
下記に、データ処理部7による輸液セットの種類の判定方法の一例を、
図3Aに示されるように、第1発光素子の数が1つであり、第1受光素子の数が5つである場合を例に挙げて説明する。
【0032】
(20滴輸液セットの検出)
図4は、
図3Aに示した第1発光素子31aと第1受光素子41a〜41d間の光軸L
1〜L
5と、20滴輸液セットの点滴口81の配置a
2〜d
2との位置関係を示している。尚、
図4において、配置a
2〜d
2は、点滴口81の装着位置のバラツキを意味し、円63で囲われた領域は、20滴輸液セットの点滴口の配置位置が適正な適正領域63である。
図5A〜5Eは、各々、点滴口81の配置がa
2〜d
2である場合の、第1発光素子31aの光を受光した第1受光素子41a〜41eの出力電圧を示したグラフである。
【0033】
図5A及び
図5Cに示されるように、点滴口の位置がa
2,c
2の場合、3つの光軸が点滴口により遮られて、3つの第1受光素子の出力電圧が、例えば光軸が点滴筒の外壁のみを通過した場合よりも顕著に下がる。この出力電圧の低下量の総和又は出力電圧が顕著に低下した第1受素子の数等に基づいて、データ処理部7にて、20滴輸液セットが装着されていると判定される。
【0034】
図5Bに示されるように、点滴口の位置がb
2の場合、4つの光軸が点滴口により遮られて、4つの第1受素子の出力電圧が、例えば光軸が点滴筒の外壁のみを通過した場合よりも顕著に下がる。この出力電圧の低下量の総和又は出力電圧が顕著に低下した第1受素子数等に基づいて、データ処理部7にて、20滴輸液セットが装着されていると判定される。
【0035】
図5Dに示されるように、点滴口の位置がd
2の場合、3つの光軸が点滴口により遮られて、3つの第1受素子の出力電圧が、例えば光軸が点滴筒の外壁のみを通過した場合よりも顕著に下がるが、点滴筒保持部6の入口側の最も近くに配置された第1受光素子41eの出力電圧が低下しているので、20滴輸液セットが装着されているものの、装着不良と判定される。
【0036】
図5Eに示されるように、全ての第1受光素子41a〜41dについて、出力電圧の低下がないことから、点滴筒保持部6に点滴筒が装着されていないと判定される。
【0037】
(60滴輸液セットの検出)
図6は、
図3Aに示した点滴検出器の第1発光素子31aと第1受光素子41a〜41e間の光軸L
1〜L
5と、60滴輸液セットの点滴口81の配置a
6〜d
6との位置関係を示している。
図7A〜7Eは、各々、点滴口81の配置がa
6〜d
6である場合の、第1発光素子31aの光を受光した第1受光素子41a〜41eの出力電圧を示したグラフである。
【0038】
図7A,
図7B,
図7D,および
図7Eに示されるように、点滴口の位置がa
6,b
6,d
6,e
6の場合、1つの光軸が点滴口により遮られて、1つの第1受素子の出力電圧が、例えば光軸が点滴筒の外壁のみを通過した場合よりも顕著に下がる。この出力電圧の低下量の総和又は出力電圧が顕著に低下した第1受素子数等に基づいて、データ処理部7にて、60滴輸液セットが装着されていると判定される。
【0039】
図7Cに示されるように、点滴口の位置がc
6の場合、2つの光軸が点滴口により遮られて、2つの第1受素子の出力電圧が、例えば光軸が点滴筒の外壁のみを通過した場合よりも顕著に下がる。この出力電圧の低下量の総和又は出力電圧が顕著に低下した第1受素子数等に基づいて、データ処理部7にて、60滴輸液セットが装着されていると判定される。
【0040】
図7Fに示されるように、全ての第1受光素子41a〜41dについて、出力電圧の低下がないことから、点滴筒保持部6に点滴筒が装着されていないと判定される。
【0041】
上記のとおり、点滴検出器2に20滴輸液セットが装着されたときに、20滴輸液セットの点滴口81によって遮られる光軸の数が、点滴筒8の点滴検出器2への装着状態に応じて3又は4となり、点滴検出器2に60滴輸液セットが装着されたときに、60滴輸液セットの点滴口81によって遮られる光軸の数が、点滴筒8の点滴検出器2への装着状態に応じて1又は2となる。
【0042】
尚、20滴輸液セットの点滴口81によって遮られる光軸の本数b−1又はbは、3又は4に限定されないが、点滴口81の検出範囲を広げる観点から、好ましくは3又は4、より好ましくは4又は5であり、経済性の観点から、5又は6である。60滴輸液セットの点滴口81によって遮られる光軸の本数a−1又はaも、a<b−1が満たされ、a及びbが自然数であり、aが2以上である限り、1又は2に限定されず、点滴口81の検出範囲を広げる観点から、好ましくは2又は3であり、経済性の観点から、3又は4である。a及びbは、自然数であり、aは2以上の自然数である。
【0043】
点滴検出器2に60滴輸液セットが装着されたときに、60滴輸液セットの点滴口81によって遮られる光軸の数が、点滴筒8の点滴検出器2への装着状態に応じてa−1又はaとなり、点滴検出器2に20滴輸液セットが装着されたときに、20滴輸液セットの点滴口81によって遮られる光軸の数が、点滴筒8の点滴検出器2への装着状態に応じてb−1又はbとなる、第1発光素子と複数の第1受光素子の位置関係は、例えば、下記の通り定めることができる。
【0044】
例えば、理想的な装着位置を中心とする所定の半径の円の内側を、複数の光軸が通過し、且つ、当該円の内側において、60滴輸液セットの点滴口を2つの光軸が通過する場合があるように、第1発光素子と複数の第1受光素子(但し、複数の第1受光素子が異常検出用受光素子を含む場合は、異常検出用受光素子は除く。)とを配置すればよい。当該半径は、輸液セットの点滴筒の製造のバラツキ、及び点滴筒8の点滴筒保持部6への装着の仕方のバラツキからから想定される点滴口の配置位置のバラツキを考慮して決定すればよい。
【0045】
データ処理部7は、輸液セットの種類の判定結果を、輸液ポンプ本体部12の設定入力部・制御部13に出力する。設定入力部・制御部13は、操作者が設定入力部・制御部13に予め設定入力した輸液セットの種類と、データ処理部7から入力された輸液セットの種類の判定結果(20滴又は60滴)とを比較する。設定入力部・制御部13は、両者が一致した場合は、モータ駆動部15に駆動信号を入力し、モータ駆動部15はモータ16を動作させ、チューブ押圧部17を動作させる。設定入力部・制御部13は、両者が不一致の場合は、モータ駆動部15へ停止信号を入力し、モータ16及びチューブ押圧部17の動作を停止させる。
【0046】
上記の通り、本発明の一例では、点滴検出器に60滴輸液セットが装着されたときに、60滴輸液セットの点滴口によって遮られる光軸の数が、点滴筒の装着状態に応じて1又は2本となる、位置関係で第1発光素子31aと第1受光素子41a〜41eが配置されている。そのため、点滴検出器2への点滴筒8の装着状態が理想的な状態でない場合や点滴筒8の製造のバラツキ等により、点滴口が理想的な位置からずれても、第1発光素子から出照された光が点滴口により遮られる確率が高まる。故に、本発明の点滴検出器の一例では、60滴輸液セットの点滴口の検出が、1本の光軸のみの遮弊により行われる従来の滴検出器と比較して、輸液セットの種類の判定精度が高い。
【0047】
[液滴の検出]
図1に示されるように、第2発光部32から出射された光は、点滴口81から落下した液滴9によってその一部が遮弊されて、第2受光部42に到達するので、液滴9による光の遮弊を検出することにより、液滴数をカウントできる。
【0048】
具体的には、
図3Bに示されるように、第2発光素子32a〜32eから順次出射された光を、第2受光素子42a〜42gが受光する。各第2受光素子42a〜42gによる受光により発生する出力電圧は、点滴筒8内を液滴9が落下する度に変動する。尚、
図3Bにおいて、図の簡略化のために、第2発光素子32aと第2受光素子42a〜42gとの間の光軸l
1〜1
7のみを示し、第2発光素子32b〜32eと第2受光素子42a〜42gとの間の光軸は省略している。この出力電圧のアナログ値は、データ処理部7にてデジタル信号に変換された後、液滴9の落下をパルス信号として、ポンプ本体部12の設定入力部・制御部13に出力される。尚、第2発光素子32a〜32eの発光は、滴落制御部5からの制御信号により制御される。
【0049】
設定入力部・制御部13では、パルス信号をカウントし、滴数を流量に変換した後、当該流量が、設定入力部・制御部13に予め設定された流量に対する正常範囲内であるかを判定する。換算された流量が、正常範囲内である場合は、それまでの動作を継続し、正常範囲外である場合は、設定入力部・制御部13からモータ駆動部15へ停止信号が入力するとともに、設定入力部・制御部13は、警報発生部14に警報発報信号を出力する。停止信号が入力されたモータ駆動部15は、モータ16の動作を停止し、警報発報信号が入力された警報発生部14は、警報を発報する。
【0050】
本開示は、さらに以下の一又は複数の実施形態に関する。
【0051】
[1] 輸液ポンプを構成する輸液ポンプ本体へ、点滴筒内を落下する液滴の検出信号を出力するための点滴検出器であって、
前記点滴筒の外部の一側に配置された、1個以上の発光素子と、
前記点滴筒の外部の前記一側の反対側に配置され、前記発光素子から出射される光を受光する複数の受光素子と、
前記発光素子の点灯及び消灯を制御する滴落制御部と、
前記発光素子の光を受光することにより各前記受光素子に発生する出力電圧が伝達され、当該出力電圧の結果に基づいて、輸液セットの種類を判定する、データ処理部と、を含み、
前記発光素子と複数の前記受光素子とを各々結ぶ複数の光軸が、いずれも単一の平面内にあり、
前記点滴検出器に60滴輸液セットが装着されたときに、前記60滴輸液セットの点滴口によって遮られる前記光軸の数が、前記点滴筒の前記点滴検出器への装着状態に応じてa−1又はaとなり、
前記点滴検出器に20滴輸液セットが装着されたときに、前記20滴輸液セットの点滴口によって遮られる前記光軸の数が、前記点滴筒の前記点滴検出器への装着状態に応じてb−1又はbとなる、位置関係で、前記発光素子と複数の前記受光素子とが配置されている、点滴検出器。
ただし、a<b−1の関係が満たされ、a及びbは自然数であり、aは2以上である。
[2] 前記点滴検出器は、前記点滴筒を保持する点滴筒保持部を含み、
前記点滴検出器に20滴点滴セットが装着されたときの、前記複数の受光素子のうちの前記点滴筒保持部の前記点滴筒の入口側の最も近くに配置された受光素子の出力電圧が、前記光軸が点滴筒の外壁のみを通過した場合のそれよりも低い場合に、前記データ処理部は、前記輸液ポンプ本体の設定入力部・制御部に異常信号を送る、前記[1]に記載の点滴検出器。
[3] 前記発光素子を、第1発光素子と称し、前記受光素子を、第1受光素子と称することとすると、
前記点滴筒の外部の前記一側に配置された、1個以上の第2発光素子と、
前記点滴筒の外部の前記一側の反対側に配置され、第2発光素子から出射される光を受光する複数の第2受光素子と、を更に含み、
前記第2発光素子と複数の前記第2受光素子とを各々結ぶ複数の光軸は、いずれも、第1発光素子と複数の第1受光素子とを各々結ぶ複数の光軸が含まれる前記平面とは別の、単一の平面内にあり、
前記滴落制御部は、前記第2発光素子の点灯及び消灯を制御し、
前記データ処理部は、前記第2発光素子の光を受光することにより第2受光素子に発生する出力電圧が伝達され、当該出力電圧の結果に基づいて、前記液滴の検出を行い、前記輸液ポンプ本体の設定入力部・制御部に、液滴検出信号を出力する、前記[1]又は[2]に記載の点滴検出器。
[4] 前記[1]に記載の点滴検出器の制御方法であって、
前記滴落制御部により前記発光素子を発光させ、
前記発光素子の光の受光により発生した各受光素子の出力電圧を前記データ処理部に出力し、
前記データ処理部は、前記出力電圧の結果に基づいて、輸液セットの種類を判定する、点滴検出器の制御方法。
[5] 前記点滴検出器は、前記点滴筒を保持する点滴筒保持部を含み、
前記点滴検出器に20滴点滴セットが装着されたときの、前記複数の受光素子のうちの前記点滴筒保持部の前記点滴筒の入口側の最も近くに配置された受光素子の出力電圧が、前記光軸が点滴筒の外壁のみを通過した場合のそれよりも低い場合に、前記データ処理部は、前記輸液ポンプ本体の設定入力部・制御部に異常信号を送る、前記[4]に記載の点滴検出器の制御方法。
[6] 前記発光素子を、第1発光素子と称し、前記受光素子を、第1受光素子と称することとすると、
前記点滴筒の外部の前記一側に配置された、1個以上の第2発光素子と、
前記点滴筒の外部の前記一側の反対側に配置され、第2発光素子から出射される光を受光する複数の第2受光素子と、を更に含み、
前記滴落制御部は、前記第2発光素子の点灯及び消灯を制御し、
前記データ処理部は、前記第2発光素子の光を受光することにより第2受光素子に発生する出力電圧が伝達され、当該出力電圧の結果に基づいて、前記液滴の検出を行い、前記輸液ポンプ本体の設定入力部・制御部に、液滴検出信号を出力する、前記[4]又は[5]に記載の点滴検出器の制御方法。
[7] 前記[1]から[3]のいずれかに記載の点滴検出器と、輸液ポンプ本体とを含み、
前記輸液ポンプ本体は、
前記データ処理部による、輸液セットの種類の判定結果が入力される、設定入力部・制御部と、
前記輸液セットのチューブを押圧するチューブ押圧部と、
前記チューブ押圧部を駆動するモータと、
前記設定入力部・制御部から入力される、停止信号又は回転信号に応じて、前記モータの回転を制御する、モータ駆動部を含み、
前記設定入力部・制御部は、
前記データ処理部により判定された前記輸液セットの種類と、予め前記設定入力部・制御部に入力された輸液セットの種類とを比較し、両者が一致した場合は、前記モータ駆動部に回転信号を入力し、両者が不一致である場合は、前記モータ駆動部に停止信号を入力する、輸液ポンプ。
[8] 前記点滴検出器は、前記点滴筒を保持する点滴筒保持部を含み、
前記点滴検出器に20滴点滴セットが装着されたときの、前記複数の受光素子のうちの前記点滴筒保持部の前記点滴筒の入口側の最も近くに配置された受光素子の出力電圧が、前記光軸が点滴筒の外壁のみを通過した場合のそれよりも低い場合に、前記データ処理部は、前記輸液ポンプ本体の設定入力部・制御部に異常信号を送り、
前記設定入力部・制御部は、前記異常信号を受信すると、前記モータ駆動部に停止信号を入力する、前記[7]に記載の輸液ポンプ。
[9] 前記発光素子を、第1発光素子と称し、前記受光素子を、第1受光素子と称することとすると、
前記点滴筒の外部の前記一側に配置された、1個以上の第2発光素子と、
前記点滴筒の外部の前記一側の反対側に配置され、第2発光素子から出射される光を受光する複数の第2受光素子と、を更に含み、
前記滴落制御部は、前記第2発光素子の点灯及び消灯を制御し、
前記データ処理部は、前記第2発光素子の光を受光することにより第2受光素子に発生する出力電圧が伝達され、当該出力電圧の結果に基づいて、前記液滴の検出を行い、
前記設定入力部・制御部は、前記データ処理部から出力された液滴検出信号数をカウントし、前記液滴検出信号数を流量に変換し、変換された流量が、前記設定入力部・制御部に予め入力された流量設定の正常範囲を外れた場合に、前記モータ駆動部へ停止信号を出力する、前記[7]又は[8]に記載の輸液ポンプ。
[10] 警報発生部を更に含み、
前記設定入力部・制御部は、前記データ処理部から出力された液滴検出信号数をカウントし、前記液滴検出信号数を流量に変換し、変換された流量が、前記設定入力部・制御部に予め入力された流量設定の正常範囲を外れた場合に、前記警報発生部に前記警報発報信号を出力する、前記[9]に記載の輸液ポンプ。