【課題】消火栓装置を監視員通路内に埋め込むようにして設置した場合において、消火ホースや消火器の取り出しに支障が生ずることなく迅速な消火活動ができる消火栓装置及び消火器箱を得る。
【解決手段】本発明に係る消火栓装置1は、トンネル内の車道85の路肩に構築された監視員通路83に設けられた設置用空間87内に設置されるものであって、ホース3を収納するホース収納部5を有し、上面が開口した有底枠状の本体部11と、本体部11の上面開口を覆う天板部9とを有する筐体7を備え、天板部9は、監視員通路83の路面として供用されると共に開閉可能な蓋部材になっていることを特徴とするものである。
前記本体部は消火器を横に寝かせた状態で収納する消火器収納部を有し、該消火器収納部は前記消火器の向きをいずれの向きでも収納できるスペースを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の消火栓装置。
前記天板部は、前記監視員通路の排水勾配に対応させて前記本体部に対して傾斜して設置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の消火栓装置。
前記天板部は、前記本体部に枢着されて180度あるいはそれ以上回動可能になっており、開扉状態では前記監視員通路の路面に接することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の消火栓装置。
前記天板部は、奥行き方向で分割されて奥側の前記板部材と手前側の前記板部材の2枚の板部材で構成され、奥側の板部材が後辺部又は後辺部近傍で前記本体部に枢着され、手前側の板部材は奥側の板部材に枢着されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の消火栓装置。
前記天板部は、奥行き方向で2分割されて、奥側の前記板部材と手前側の前記板部材の2枚の板部材で構成され、奥側の板部材の後辺部又は後辺部近傍が前記本体部に回動可能に取り付けられると共に、奥側の前記板部材と手前側の前記板部材がヒンジによって連結されてなり、
両方の板部材の連結部が山形状になるように前記手前側の板部材の手前側端部を奥側に向かってスライドさせて開放できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の消火栓装置。
手前側の板部材の後辺部と奥側の板部材の前辺部のそれぞれに各板部材の天面側から下方に向かって屈曲する屈曲片部を形成すると共に該屈曲片部にヒンジを設け、前記天板部を閉扉した状態で、手前側の板部材の後辺部と奥側の板部材の前辺部の間に手指よりも幅広の溝形状部が形成されるようにしたことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の消火栓装置。
手前側の板部材の後辺部と奥側の板部材の前辺部のそれぞれに、各板部材の天面側から下方に向かって屈曲する屈曲片部と、各板部材の天面側から下方に凹陥する凹陥部とが形成され、該凹陥部に前記ヒンジが設けられると共に、前記各板部材に形成された屈曲片部が天板部の閉扉状態で手指よりも幅広のV字状となるV字溝を形成するようにしたことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の消火栓装置。
手前側の板部材の後辺部と奥側の板部材の前辺部のそれぞれに各板部材の天面側から下方に凹陥する凹陥部が形成され、該凹陥部に前記ヒンジが設けられると共に、前記手前側の板部材の後辺部又は奥側の板部材の前辺部のいずれか一方に前記天板部の開閉に伴って他方の板部材の内側に出入りする湾曲片部が形成されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の消火栓装置。
前記本体部内に、本体部の底部よりも上方で、前記天板部よりも下方の位置に歩行用のステップが設けられており、前記天板部を開扉した状態で、前記本体部内に足を踏み入れることができるようになっていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の消火栓装置。
前記本体部は、前記消火器を横に寝かせた状態で、かつ前記消火器の向きをいずれの向きでも収納できるスペースを有することを特徴とする請求項15に記載の消火器箱。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示のものは、本体内に引き出し可能に設けたトレイにホースリールや消火器を収納し、前記トレイを前面側に引き出すようにしている。そのため、消火栓装置の前面側にはトレイを引き出すための空間が必要となる。
しかしながら、消火栓装置の前面側は、車道に近く、事故車等が消火栓装置の前面側にあることもあり、消火栓装置の前面にはほとんど空間がないことも考えられる。そのため、消火活動を迅速に行えないことが想定される。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、消火栓装置を監視員通路内に埋め込むようにして設置した場合において、消火用のホースの取り出しに支障が生ずることなく迅速な消火活動ができる消火栓装置を得ることを目的としている。
また、消火器箱を監視員通路内に埋め込むようにして設置した場合において、消火器の取り出しに支障が生ずることなく迅速な消火活動ができる消火器箱を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る消火栓装置は、トンネル内の車道の路肩に構築された監視員通路に設けられた設置用空間内に設置される消火栓装置であって、
ホースを収納するホース収納部を有し、上面が開口した箱形状の本体部と、該本体部の上面開口を覆う天板部とを有する筐体を備え、
前記天板部は、前記監視員通路の路面として供用されると共に開閉可能な蓋部材になっていることを特徴とするものである。
【0009】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記ホース収納部は、巻いた状態のホースを横にして収納していることを特徴とするものである。
【0010】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記本体部は消火器を横に寝かせた状態で収納する消火器収納部を有し、該消火器収納部は前記消火器の向きをいずれの向きでも収納できるスペースを有することを特徴とするものである。
【0011】
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記天板部は、前記監視員通路の排水勾配に対応させて前記本体部に対して傾斜して設置されていることを特徴とするものである。
【0012】
(5)また、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のものにおいて、前記天板部は、前記本体部に枢着されて180度あるいはそれ以上回動可能になっており、開扉状態では前記監視員通路の路面に接することを特徴とするものである。
【0013】
(6)また、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のものにおいて、前記天板部は、奥行き方向で分割されて奥側の前記板部材と手前側の前記板部材の2枚の板部材で構成され、奥側の板部材が後辺部又は後辺部近傍で前記本体部に枢着され、手前側の板部材は奥側の板部材に枢着されていることを特徴とするものである。
【0014】
(7)また、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のものにおいて、前記天板部は、奥行き方向で2分割されて、奥側の前記板部材と手前側の前記板部材の2枚の板部材で構成され、奥側の板部材の後辺部又は後辺部近傍が前記本体部に回動可能に取り付けられると共に、奥側の前記板部材と手前側の前記板部材がヒンジによって連結されてなり、
両方の板部材の連結部が山形状になるように前記手前側の板部材の手前側端部を奥側に向かってスライドさせて開放できるようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
(8)また、上記(6)又は(7)に記載のものにおいて、前記本体部の両側面の内部側の上端近傍に設けられて奥行き方向に延びる車輪走行面部と、
前記手間側の板部材の裏面に設けられて、前記天板部の開閉時において前記車輪走行面部を走行する車輪とを備え、
前記車輪走行面部は、手前側の端部に下方に傾斜する傾斜面部を有し、該傾斜面部の上方の空間が前記天板部の閉止状態で前記車輪が収納される車輪収納空間になっていることを特徴とするものである。
【0016】
(9)また、上記(8)に記載のものにおいて、前記傾斜面部の頂上部に前記車輪が傾斜面部側に移動するのを規制するストッパーを設けたことを特徴とするものである。
【0017】
(10)また、上記(7)乃至(9)のいずれかに記載のものにおいて、手前側の板部材の後辺部と奥側の板部材の前辺部のそれぞれに各板部材の天面側から下方に向かって屈曲する屈曲片部を形成すると共に該屈曲片部にヒンジを設け、前記天板部を閉扉した状態で、手前側の板部材の後辺部と奥側の板部材の前辺部の間に手指よりも幅広の溝形状部が形成されるようにしたことを特徴ものである。
【0018】
(11)また、上記(7)乃至(9)のいずれかに記載のものにおいて、手前側の板部材の後辺部と奥側の板部材の前辺部のそれぞれに、各板部材の天面側から下方に向かって屈曲する屈曲片部と、各板部材の天面側から下方に凹陥する凹陥部とが形成され、該凹陥部に前記ヒンジが設けられると共に、前記各板部材に形成された屈曲片部が天板部の閉扉状態で手指よりも幅広のV字状となるV字溝を形成するようにしたことを特徴とするものである。
【0019】
(12)また、上記(7)乃至(9)のいずれかに記載のものにおいて、手前側の板部材の後辺部と奥側の板部材の前辺部のそれぞれに各板部材の天面側から下方に凹陥する凹陥部が形成され、該凹陥部に前記ヒンジが設けられると共に、前記手前側の板部材の後辺部又は奥側の板部材の前辺部のいずれか一方に前記天板部の開閉に伴って他方の板部材の内側に出入りする湾曲片部が形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
(13)また、上記(11)又は(12)に記載のものにおいて、前記ヒンジに、天板部の開閉操作を行うための取っ手を取り付けたことを特徴とするものである。
【0021】
(14)また、上記(1)乃至(13)のいずれかに記載のものにおいて、前記本体部内に、本体部の底部よりも上方で、前記天板部よりも下方の位置に歩行用のステップが設けられており、前記天板部を開扉した状態で、前記本体部内に足を踏み入れることができるようになっていることを特徴とするものである。
【0022】
(15)本発明に係る消火器箱は、トンネル内の車道の路肩に構築された監視員通路に設けられた設置用空間内に設置される消火器箱であって、
上面が開口した箱形状の本体部と、該本体部の上面開口を覆う天板部とを有する筐体を備え、
前記天板部は、前記監視員通路の路面として供用されると共に開閉可能な蓋部材になっていることを特徴とするものである。
【0023】
(16)また、上記(15)に記載のものにおいて、前記本体部は、前記消火器を横に寝かせた状態で、かつ前記消火器の向きをいずれの向きでも収納できるスペースを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る消火栓装置は、トンネル内の車道の路肩に構築された監視員通路に設けられた設置用空間内に設置されるものであって、ホースを収納するホース収納部を有し、上面が開口した箱形状の本体部と、該本体部の上面開口を覆う天板部とを有する筐体を備え、
前記天板部は、前記監視員通路の路面として供用されると共に開閉可能な蓋部材になっていることにより、天板部を開扉することで、本体部の上面全体が開口されるため、消火用のホースの取り出しに支障が生ずることなく迅速な消火活動ができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[実施の形態1]
本実施の形態に係る消火栓装置は、トンネル内の車道の路肩に構築された監視員通路に設けられた設置用空間内に設置されるものである。
まず、消火栓装置が設置される監視員通路の設置用空間について
図10に基づいて説明する。
図10は、トンネルの路肩の監視員通路83の一部を示したものであり、図中、81はトンネル壁面、83は監視員通路、85は車道である。
監視員通路83の路面は、車道幅方向に車道85側が低くなるような傾斜面となっている。この傾斜面の勾配は、排水勾配と呼ばれ、傾斜角度は2.0%程度である。なお、2.0%の傾斜とは、100cmで2.0cmの高低差が生ずるような傾斜をいう。
【0027】
設置用空間87は、
図10に示すように、監視員通路83の前壁89から監視員通路83の車道幅方向に切り欠くように設けられ、監視員通路83の軸線に直交する断面では設置用空間87を形成する壁がL字形状になっている。監視員通路83の路面には設置用空間87の上面に該当する開口部があり、該開口部の開口縁部91は、後述する消火栓装置1の天板部9の周縁部が載置される3辺の部分が一段低くなった段部になっている。
【0028】
上記のような設置用空間87に設置される本実施の形態の消火栓装置1を
図1、2に基づいて説明する。消火栓装置1は、ホース3を収納するホース収納部5を内蔵する箱形の筐体7を備え、筐体7は、天板部9と天板部9の下方の本体部11とを有し、天板部9は、監視員通路83の路面として供用されると共に開閉可能な蓋部材となっている。
以下、消火栓装置1を構成する各部について詳細に説明する。
【0029】
<筐体>
本例における筐体7は、上述のように本体部11と天板部9を有し、全体形状は、
図2に示すように、略直方体形状をしている。
上述のように、筐体7内にはホース3を内巻きにした状態で横向き(巻いた状態の中心軸が垂直方向になる方向)にして収納するので、筐体7は、高さよりも奥行きの大きい扁平な直方体形状をしている。
【0030】
《本体部》
本体部11は、上面が開口した箱形状であり、本体部11の内部には、
図1に示すように、ホース3を内巻きにした状態で横向きにして収納するホース収納部5、および消火器13を横に寝かせた状態で収納する消火器収納部15が設けられている。なお、ホース収納部5へのホース3の収納は内巻き以外の収納形態でも良く、例えば、ホースリールにホースを巻き付けるリール式の収納形態でも良い。リール式の場合でも、リールに巻き付けられたホース3は横向きに載置される。
また、ホース収納部5の図中右側で、かつ設置状態で奥側となる部位に、消火栓弁を操作するための操作レバー17が設けられている。
さらに、ホース収納部5の図中右側で、かつ設置状態で手前側となる部位には、ホース3の先端に設けられた消火ノズル19を保持するためのノズルホルダ(図示なし)が設けられている。
【0031】
操作レバー17及びノズルホルダを設ける位置は、天板部9を開扉した状態で、監視員通路83上あるいは、監視員通路83の下のいずれからでも操作者が操作等できる位置に設けるのが望ましい。詳細には、監視員通路83の下から消火ノズル19及びホース3を引き出すために、ノズルホルダの方が操作レバー17より車道寄り寄りに設けられる。
また、ノズルホルダによる消火ノズル19の保持方法についても、監視員通路83上あるいは、監視員通路83の下のいずれからでも容易に取り外し可能な保持方法にするのが望ましい。
なお、ノズルホルダを設けることなく、消火ノズル19を本体部11内に置くだけでもよい。
【0032】
この点、本実施の形態においては、ノズルホルダに関し、
図1に示すように、消火ノズル19の先端を監視員通路83の奥側に向けて保持するようにしているので、監視員通路83上あるいは、監視員通路83の下のいずれからでも容易に取り外しができる。
【0033】
消火器収納部15は、
図1に示すように、消火器13の頭を手前側に向け、消火器13の底部を奥側に向けて収納している。消火器13の頭を手前側に向けて収納することで、車道85側から消火器13の取り出しが容易になる。
【0034】
なお、本実施の形態の消火器収納部15は、後述の実施の形態2の
図5に示すように、消火器13を筐体7の幅方向(車道走行方向)に寝かして収納することもできる。
図5に示すように、消火器13を収納すれば、監視員通路83上からでも、あるいは車道85側からでも消火器13の取り出しが容易になる。
このように、本実施の形態の消火器収納部15は、消火器13の収納時の姿勢について、
図1に示す状態と、
図5に示す状態のいずれの状態での収納も可能なスペースを有している。
このため、消火栓装置1の設置現場の状況に応じて、消火器13の収納姿勢を適宜選択できる。
なお、消火器13を収納する姿勢は、
図1、
図5の場合に限られず、場合によっては斜め方向に寝かして収納することも考えられることから、消火器収納部15のスペースは、消火器13を寝かした状態でいずれの方向にも向けられるようにするのが好ましい。
【0035】
ホース収納部5と消火器収納部15との間には、仕切り部23が設けられ、仕切り部23上面には、赤色表示灯25、非常時を監視員に知らせるための非常ボタン27、非常ボタン27を押したときに点灯する非常ランプ29が設けられている。
なお、消火栓装置1の前面部には、図示しない赤色表示灯、非常ボタン、非常ランプが備えられており、常に該赤色表示灯は視認可能になっている。
【0036】
また、本体部11の両側部及び後辺部には、外方に張出す張出し部31を有している。
張出し部31は、本体部11を設置用空間87内に収容する際に、設置用空間87の開口縁部91に形成された段部に載置する。これによって、張出し部31及び天板部9と、監視員通路83の路面とが面一になる。なお、張出し部31は少なくとも両側の2辺に設けられれば良く、その場合は開口縁部91の段部も両側の2辺にだけあれば良い。
【0037】
《天板部》
天板部9は、
図1に示すように、筐体7の幅方向で2分割された2枚の板部材9a、9bからなり、各板部材9a、9bは本体部11に枢着され、それぞれ両端の回動軸33a、33bを中心に回動可能になっており、180度あるいはそれ以上回動させることで開閉できるいわゆる観音開き構造になっている。
天板部9は、その全体が蓋部材として機能し、開扉状態では、
図1に示すように本体部11の上面開口が全面開放するので、機器の操作やホース3の取り出しが容易にできる。特に、全面が開放することで、内巻きしたホース3の引き出しを、抵抗が少ない状態で円滑に行うことができる。
【0038】
なお、天板部9を閉扉した状態では、天板部9は監視員通路83の一部として供用されるが、内部の赤色表示灯25を見えるようにするため、例えば閉扉状態で赤色表示灯25に対向する部分は透光性のある部材にするとなお良い。また、板部材9aがホース収納部5の開口部とほぼ同じ大きさで形成され、板部材9aでホース収納部5を覆い、板部材9bが消火器収納部15の開口部とほぼ同じ大きさで形成され、板部材9bで消火器収納部15を覆う構成でも良い。この構成であれば、各板部材9a、9bが閉じた状態であっても、赤色表示灯25が常に見えると共に、非常ボタン27の操作もできる。
【0039】
また、前述したように監視員通路83に排水勾配が設けられている場合には、これに合わせて、例えば天板部9を本体部11に対して奥側が高く、手前側が低くなるように傾斜させて設置するようにするのが好ましい。
【0040】
次に、上記のように構成された本実施の形態の消火栓装置1の設置方法及び設置状態について
図3、
図4に基づいて説明する。
消火栓装置1は、監視員通路83の開口縁部91に本体部11の張出し部31を載置して、本体部11を設置用空間87内に収容するように設置される。
監視員通路83に排水勾配が設けられている場合には、排水勾配に合わせて天板部9を本体部11に対して傾斜させておけば、この場合でも監視員通路83に対して面一の状態で設置することができる。
【0041】
上記のように設置された消火栓装置1においては、
図3に示すように、天板部9が監視員通路83の路面の一部となり通行することができる。
また、天板部9を開扉した状態では、
図4に示すように、全面が開放されるため、操作レバー17の操作、ホース3の引き出し、及び消火器13の取り出しを、監視員通路83の上から、あるいは監視員通路83の下からでも行うことができる。
また、天板部9は、180度あるいはそれ以上回動可能な観音開きの構造であるため、全開した状態で、天板部9を構成する板部材9a、9bの表面の少なくとも一部が監視員通路の路面に接すると共に天板部9路面に近接して配置され、作業者が板部材9a、9bに乗ることもできるので、天板部9が消火活動の邪魔になることもない。
なお、天板部9は180度あるいはそれ以上回動可能な観音開きの構造に限らず、本体部11の上面開口からホース3の引き出し等、消火栓装置1の操作ができれば良い。例えば、天板部9はスライド式の扉であっても良く、その場合、本体部11の上面開口は一部開口するだけでも消火栓装置1の操作が可能となる。
【0042】
また、上記の実施の形態においては、筐体7内にホース収納部5及び消火器収納部15を有する例を示したが、ホース収納部5及び消火器収納部15の両方を備えることは必ずしも必須ではなく、ホース収納部5のみを有するものを排除しない。
【0043】
[実施の形態2]
本実施の形態に係る消火栓装置35について、
図5〜
図8に基づいて説明する。なお、
図5〜
図8において実施の形態1の
図1〜
図4に示した部位と同一又は対応する部位には同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
本実施の形態に係る消火栓装置35が実施の形態1のものと異なる点は、天板部の構造のみであるため、以下本実施の形態の消火栓装置35の天板部37について説明する。
【0045】
本実施の形態の天板部37は、奥行き方向で2分割されている。奥側の第1板部材37aはその奥側の辺部に該当する後辺部又は該後辺部近傍が本体部11に枢着され、第1回動軸39aを中心に回動可能になっている。また、手前側の第2板部材37bは奥側の第1板部材37aに枢着され、第1板部材37aに対して第2回動軸39bを中心に回動可能になっている。したがって、第2板部材37bは、
図5に示すように、折り畳みができるようになっている。
なお、奥側の第1板部材37aは、起立状態で保持できるような起立保持部材を備えるのが好ましい。
【0046】
以上のような、天板部37においては、
図7に示すように、閉扉状態では実施の形態1と同様に、監視員通路83と面一になって監視員通路83の路面の一部として供用される。
また、天板部37を開扉する際には、手前側の第2板部材37bを手前から奥に向けて押し上げるようにすることで、手前側の第2板部材37bが折り畳まれると共に、奥側の第1板部材37aが回動して
図8に示すような起立状態となって、筐体7の全面が開放される。
【0047】
上記の実施の形態では天板部37を2分割した例を示したが、必ずしも分割する必要はなく、また分割する場合にも2分割に限らず、3分割以上であってもよい。
【0048】
なお、上記の実施の形態で説明したように、天板部37は開扉時に全面が開放するので、ホース3や消火器13の取り出しには便利であるが、その反面、天板板37の開扉時に作業者等が監視員通路83を通行する際に、本体部11の底部に足を踏み入れることになり、スムーズな通行ができないことが考えられる。
そこで、
図9に示すように、本体部11の内部であって底部よりも上方で天板部37よりも下方の位置に歩行用のステップ35を設け、天板部37を開扉した状態で、本体部内に足を踏み入れてスムーズな通行ができるようにするのが好ましい。
【0049】
なお、
図9に示すステップ35は、消火栓装置1の奥側において幅方向の全長に亘る矩形板状のものであるが、本発明のステップの形状はこれに限られず、本体部11内の空いたスペースに浮島のように点在するものであってもよい。このようにすれば、内部機器の収納やホースの引き出し等に支障が生ずることがない。
【0050】
[実施の形態3]
本実施の形態に係る消火栓装置について、
図11〜
図15に基づいて説明する。なお、
図11〜
図15において実施の形態2の
図5〜
図8に示した部位と同一又は対応する部位には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態の消火栓装置41は、実施の形態2と同様に天板部37が奥側と手前側で2分割され、奥側の第1板部材37aと手前側の第2板部材37bで構成されているものであり、天板部37の構造をより具体化したものである。
【0051】
消火栓装置41の天板部37は、第1板部材37aの後辺部が本体部11の背面の上辺部に回動可能に取り付けられており、第1板部材37aの前辺部と第2板部材37bの後辺部の間はヒンジ43で連結されている。天板部37の開放時には、第2板部材37bの手前側端部を奥側に向かってスライドさせることで、
図12に示すように、第1板部材37aと第2板部材37bとの連結部が隆起して第1板部材37aと第2板部材37bの全体が山形状になり(
図12(b)参照)、開放に伴って山の傾斜が徐々に急峻になり、最終的には
図12(a)に示す状態となって全開できるようになっている。
【0052】
このヒンジ43による接合構造について詳細に説明する。
第1板部材37aの前辺部には、
図12(c)に示すように、閉扉状態で前方斜め下方に屈曲する第1屈曲片部45が形成され、第2板部材37bの後辺部には、
図12(c)に示すように、閉扉状態で後方斜め下方に屈曲する第2屈曲片部47が形成されている。そして、第1屈曲片部45と第2屈曲片部47とは閉扉状態でV字溝49を形成するように配置され、V字溝49の底部にヒンジ43が取り付けられている。
なお、本明細書において前辺部、後辺部とは、それぞれ前辺、後辺の辺部そのもののみではなく、その近傍も含み、例えば前辺部は第1屈曲片部45を含んでいる。
V字溝49の上部の隙間は手指の太さよりも広くなっている。第1屈曲片部45と第2屈曲片部47が仮に垂直である場合は第1屈曲片部45と第2屈曲片部47の隙間が狭くなるため閉扉時において指詰めするが、V字溝49とすることにより、閉扉時において指詰めが生じないようになっている。
【0053】
第2板部材37bの上面の3カ所には、
図11に示すように、天板部37の開閉の際に操作部となる取っ手51が設けられている。
【0054】
なお、第1板部材37a及び第2板部材37bは鋼板によって構成され、重量があるために開閉に力が必要となる。そこで、本実施の形態では、開閉を容易にするための開閉補助となる機構が設けられているので、この点について説明する。
この開閉補助となる機構は、側面パネルを外した状態である
図13に示すように、本体部11の両側面の内部側の上端近傍に設けられて奥行き方向に延びる車輪走行面部53と、第2板部材37bの前辺近傍の裏面(下面)に設けられて、天板部37の開閉時において車輪走行面部53を走行する車輪55とを備えている。
そして、車輪走行面部53は、奥側から手前側に延びる水平面部53aと、水平面部53aの前端部に連続して形成され、下方に傾斜する傾斜面部53bからなり、傾斜面部53bの上方の空間は天板部37の閉止状態において車輪55を収納する車輪収納空間57になっている(
図14参照)。
なお、車輪55は車輪支持部材58に回転自在に取り付けられており、車輪55の材質は特に限定されないが、例えばゴムや樹脂等の軟質部材であれば動作時において静音効果が高い。
【0055】
また、傾斜面部53bから水平面部53aとの境界にかけて車輪55が傾斜面部53b側に移動するのを規制する(水平面部53aまでしか移動できないように規制する)ストッパー59が設けられており、車輪55がストッパー59で移動が停止されることで、天板部37が一気に閉まるのを防止して、天板部37と本体部11との間で指詰め等が生ずるのを防止できるようになっている。
ストッパー59の具体的な形状は限定されないが、その一例として
図14に示すように、水平面部53aから上方に突出する凸部形状のものが挙げられる。
【0056】
また、開閉補助となる機構を構成するものとして、第1板部材37aの下面と本体部11の底面との間に設置された付勢手段の一例であるガススプリング61があり、常時、第1板部材37aの開方向、すなわち上方に押し上げる力を付与している(
図13参照)。
なお、ガススプリング61が伸長しすぎると天板部37の全開時に第1板部材37aが背面側に傾くことになるので、これを防止するために棒状のストッパー65が設けられている。ストッパー65は、
図13に示すように、車輪走行面部53に設けた長穴63に挿通され、その上端がガススプリング61の上端に連結され、下端にはフック65aが形成されている。ガススプリング61が伸長されて全開になったときに、フック65aが車輪走行面部53の下面に係止してガススプリング61がそれ以上伸長されないようになっている。
なお、ガススプリング61の付勢力は天板部37の重量による押し下力よりは小さく、天板部37の開扉を補助するものである。
【0057】
上記のように構成された本実施の形態の消火栓装置41の天板部37の開閉動作を説明する。
図11、
図12(a)に示す全開した状態では、第1板部材37aがほぼ垂直に立った状態になっており、この状態でも天板部37はガススプリング61の付勢力によって開放方向に付勢されているので、自重によって閉扉することはない。
図11、
図12(a)に示す状態から天板部37を閉止する場合には、取っ手51を掴んで第2板部材37bを手前に引くようにすれば、天板部37の自重と引く力がガススプリング61の付勢力に勝り、車輪55が車輪走行面部53の水平面部53aを走行してスムーズに移動して、円滑な閉扉操作ができる。このとき、ガススプリング61の付勢力に抗することになるが、第1板部材37a及び第2板部材37bは鋼板であり、重量があるためこの重量が押し下力となるため、操作者が強い力を加える必要はない。
【0058】
車輪55が水平面部53aを走行してストッパー59の位置まで移動すると、車輪55の移動が規制されて停止するので、
図12(b)、
図13、
図14、
図15に示すように、天板部37が半開きの状態で停止する。
このとき、第2板部材37bの前辺と本体部11の間、第1板部材37a及び第2板部材37bの側辺部と本体部11の間には手指の太さ以上の隙間が形成されるようになっている。このため、仮に天板部37が一気に閉止した場合には手指等を天板部37と本体部11との間に挟まれる危険があるが、本実施の形態の消火栓装置41ではこの危険が回避されており安全性に優れる。
【0059】
上記の状態から天板部37を完全に閉めるには、取っ手51を持ち第2板部材37bを少し持ち上げて、車輪55がストッパー59を乗り越えるようにすればよい。
天板部37を完全に閉めた状態では、車輪55が車輪収納空間57に収納され、天板部37は
図12(c)に示すように天板部37が水平になって完全に閉じた状態になる。
このとき、
図12(c)に示すようにV字溝49が形成され、かつ溝幅が手指の太さよりも広いのでV字の溝部に指詰めをする危険もない。
【0060】
なお、天板部37が閉扉の状態から開扉するには、取っ手51を持って、第1板部材37aと第2板部材37bとの連結部が山形状になるように引き上げながら、第2板部材37bの手前側端部を奥側に向かってスライドさせればよい。
【0061】
本実施の形態の消火栓装置41においても、実施の形態2で説明したのと同様に、
図16に示すように、本体部11のホース収納部5におけるホース3の上方にステップ35を設け、天板部37を開扉した状態で、本体部11内に足を踏み入れてスムーズな通行ができるようにするのが好ましい。
【0062】
[実施の形態4]
本実施の形態に係る消火栓装置について、
図17〜
図21に基づいて説明する。なお、
図17〜
図21において実施の形態3の
図11〜
図15に示した部位と同一又は対応する部位には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態の消火栓装置67は、実施の形態3と同様に天板部37が手前側と奥側で2分割され、第1板部材37aと第2板部材37bで構成されているものであるが、第1板部材37aと第2板部材37bの接続部の構造を変えたものである。
【0063】
第1板部材37aの前辺部に閉扉状態で前方斜め下方に屈曲する第1屈曲片部45が形成され、第2板部材37bの後辺部に閉扉状態で後方斜め下方に屈曲する第2屈曲片部47が形成されている点は、実施の形態3と同じである(
図17〜
図21参照)。
しかし、本実施の形態においては、ヒンジ43を第1屈曲片部45及び第2屈曲片部47に設けるのではく、第1板部材37aの前辺部及び第2板部材37bの後辺部のそれぞれの幅方向の複数箇所、例えば3箇所に天面側から下方に矩形の箱状に凹陥する凹陥部69を形成し、凹陥部69にヒンジ43を設けるようにしている(
図17、
図20参照)。
そして、凹陥部69に設けたヒンジ43の回動軸44と、第1屈曲片部45と第2屈曲片部47で形成されるV字溝49の先端(溝底)とが一致している(
図19参照)。回動軸44とV字溝49の先端(溝底)とを一致させることで、天板部37の開閉の際にV字溝49の先端が干渉することなく、また大きな隙間が生ずることもない。
【0064】
このように、ヒンジ43を第1屈曲片部45及び第2屈曲片部47に設けるのではく、別途設けた凹陥部69に設けることで、V字溝49の溝深さを浅くすることができる。なお、V字溝49が手指を詰めないような幅に設定されている点は、実施の形態3と同様である。なお、凹陥部69にはヒンジ43を設けているので、凹陥部69には指を詰めるような隙間が生ずることはない。
【0065】
また、本実施の形態では、ヒンジ43に天板部37の開閉操作を行うための逆U字形状の取っ手70が設けられている。具体的には、
図17に示すように、逆U字形状の両辺の端部をヒンジ43の回動軸部に回動可能に取り付けている。このように、取っ手70をヒンジ23に設けることで、天板部37の開放時に取っ手を上方に引き上げるだけでよく、操作が簡単になり、また操作に必要な力も低減できる。
なお、取っ手70の高さは凹陥部69の凹み深さと同じかそれ以下に設定されており、天板部37の閉扉時に取っ手70が天板部37から上方に突出しないようになっている(
図18参照)。
凹陥部69を、取っ手70の取付部として供用できるので、例えば実施の形態3における、第2板部材37bの様に別途凹陥する部位を設ける必要がなく、加工も容易になるという効果がある。
【0066】
なお、本実施の形態においても実施の形態3と同様の天板部37の開閉補助となる機構が設けられており、天板部37の開閉動作は、実施の形態3と同じである。
【0067】
[実施の形態5]
本実施の形態に係る消火栓装置について、
図22〜
図26に基づいて説明する。なお、
図22〜
図26において実施の形態4の
図17〜
図21に示した部位と同一又は対応する部位には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態の消火栓装置71は、実施の形態4と同様に天板部37が手前側と奥側で2分割され、第1板部材37aと第2板部材37bで構成し、第1板部材37aと第2板部材37bの接続部に設けた凹陥部69にヒンジ43を設けているが(
図22、
図23参照)、第1板部材37aの前辺部及び第2板部材37bの後辺部における凹陥部69以外の辺部の形状を実施の形態4と違った形状にしている。
【0068】
第2板部材37bの後辺部における凹陥部69以外の部分は、屈曲部等が設けられることなく、真っ直ぐな平坦形状になっている。
他方、第1板部材37aの前辺部における凹陥部69以外の部分には、天板部37の開閉に伴って第2板部材37bの後辺部の内側に出入りする湾曲片部73が形成されている(
図23〜
図26参照)。湾曲片部73は、例えば天板部37と同じく鋼板で形成する。
【0069】
上記のように構成された本実施の形態においては、天板部37を閉扉した状態では、
図22、
図23に示すように、湾曲片部73の先端からほぼ全体が第2板部材37bの後辺部の下方に入り込み、湾曲片部73の基端側が第2板部材37bの後辺部と近接した状態になる。
このため、第1板部材37aの前辺部と第2板部材37bの後辺部との間には、ほとんど隙間が形成されない。
【0070】
天板部37の閉扉状態から取っ手70を持って上に引き上げることで開扉操作を行うと、湾曲辺部73が第2板部材37bの後辺部に近接した状態を保持しながら、第2板部材37bの後辺部から徐々に露出してくる。この開扉操作の途中では、湾曲辺部73と第2板部材37bの後辺部との隙間はほとんどないので、指詰め等の危険が生じない。
【0071】
天板部37を完全に開扉した状態では、
図25、
図26に示すように、湾曲辺部73が第2板部材37bの後辺部からほぼ完全に露出して半円弧状になる。
【0072】
このように、本実施の形態によれば、天板部37の閉扉状態で第1板状体37aと第2板部材37bの接続部に隙間や凹みが生じず、かつ天板部37の開閉動作の途中においても両者間に隙間が生じずに指詰めの危険もない。
【0073】
上記の説明では、第1板部材37aの前辺部に湾曲片部73を設けた例を示したが、湾曲片部を第2板部材37bの後辺部側に設けるようにしてもよい。この場合、第1板部材37aの前辺部は平坦な形状となる。
なお、本実施の形態においても実施の形態3、4と同様の天板部37の開閉補助となる機構が設けられており、天板部37の開閉動作時において強い力を要しない点は実施の形態3、4と同様である。
また、上記の実施の形態3〜5においては、天板部37が本体部11の幅方向で連続するものであったが、例えば本体部11におけるホース収納部5と消火器収納部15のそれぞれを覆う部分を各別に設け、それぞれ別個に開放できるようにしてもよい。
【0074】
上記の実施の形態では、ホース3を収納するホース収納部5を有する消火栓装置1、35、41、67、71について説明したが、監視員通路83には消火栓装置ではなく、消火器のみを収容する消火器箱を設置することも考えられ、このような場合には、消火器箱にも上述した消火栓装置1、35、41、67、71の特徴を適用することができる。すなわち、消火器箱を、上述の消火栓装置の筐体7と同様に、上面が開口した箱形状の本体部と、該本体部の上面開口を覆う天板部とを有する筐体を備え、前記天板部は、前記監視員通路の路面として供用されると共に開閉可能な蓋部材になっているようにすればよい。
【0075】
そして、このような消火器箱においても、消火栓装置1、35、41、67、71と同様に、以下のような特徴を備えることができる。
(i)消火器の向きをいずれの向きでも収納できるスペースを有すること
(ii)前記天板部が、監視員通路の排水勾配に対応させて前記本体部に対して傾斜して設置すること
(iii)前記天板部が、前記本体部に枢着されて180度あるいはそれ以上回動可能になっており、開扉状態では前記監視員通路の路面に接すること
(iV)消火器を横に寝かせた状態で、かつ前記消火器の向きをいずれの向きでも収納できるスペースを有すること
(V)前記天板部は、奥行き方向で分割されて奥側の前記板部材と手前側の前記板部材の2枚の板部材で構成され、奥側の板部材が後辺部又は後辺部近傍で前記本体部に枢着され、手前側の板部材は奥側の板部材に枢着されていること