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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-202464(P2017-202464A)
(43)【公開日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】水処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20171020BHJP
   B01D 61/12 20060101ALI20171020BHJP
【FI】
   C02F1/44 A
   B01D61/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-96223(P2016-96223)
(22)【出願日】2016年5月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】濱田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 敦行
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】武内 誠
(72)【発明者】
【氏名】菊池 陽介
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006JA53A
4D006KA67
4D006KE12P
4D006KE19P
4D006KE22Q
4D006KE30Q
4D006PA01
4D006PB04
4D006PB05
(57)【要約】
【課題】少ない個数の全有機炭素量検出手段で、供給水及び透過水の水質を適切に管理することができる水処理システムを提供すること。
【解決手段】水処理システム1は、供給源から供給される供給水W1を透過水W2と濃縮水W3とに分離する逆浸透膜モジュール53と、供給源と逆浸透膜モジュール53とを接続する供給水ラインL10と、逆浸透膜モジュール53と接続され、透過水W2が流通する透過水ラインL20と、供給水W1の上流側電気伝導率を検出する上流側電気伝導率検出手段EC1と、透過水W2の下流側電気伝導率を検出する下流側電気伝導率検出手段EC2と、供給水W1の上流側全有機炭素量を検出する上流側全有機炭素量検出手段2と、上流側電気伝導率、下流側電気伝導率及び上流側全有機炭素量に基づいて、透過水W2の下流側全有機炭素量を演算する下流側全有機炭素量演算部10と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給源から供給される供給水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜モジュールと、
前記供給源と前記逆浸透膜モジュールとを接続する供給水ラインと、
前記逆浸透膜モジュールと接続され、透過水が流通する透過水ラインと、
供給水の電気伝導率を上流側電気伝導率として検出する上流側電気伝導率検出手段と、
透過水の電気伝導率を下流側電気伝導率として検出する下流側電気伝導率検出手段と、
供給水の全有機炭素量を上流側全有機炭素量として検出する上流側全有機炭素量検出手段と、
上流側電気伝導率、下流側電気伝導率及び上流側全有機炭素量に基づいて、透過水の全有機炭素量を下流側全有機炭素量として演算する下流側全有機炭素量演算部と、を備える、水処理システム。
【請求項2】
供給源から分岐部を介して供給される供給水を透過水と濃縮水とに分離する二つ以上の逆浸透膜モジュールと、
前記供給源と前記分岐部とを接続する第1供給水ラインと、
前記分岐部とそれぞれの前記逆浸透膜モジュールとを接続する二つ以上の第2供給水ラインと、
それぞれの前記逆浸透膜モジュールと接続され、透過水が流通する二つ以上の透過水ラインと、
供給水の電気伝導率を上流側電気伝導率として検出する上流側電気伝導率検出手段と、
透過水の電気伝導率を下流側電気伝導率として検出する下流側電気伝導率検出手段と、
供給水の全有機炭素量を上流側全有機炭素量として検出する上流側全有機炭素量検出手段と、
上流側電気伝導率、下流側電気伝導率及び上流側全有機炭素量に基づいて、透過水の全有機炭素量を下流側全有機炭素量として演算する下流側全有機炭素量演算部と、を備える、水処理システム。
【請求項3】
前記上流側全有機炭素量検出手段は、前記第1供給水ラインを流通する供給水の全有機炭素量を上流側全有機炭素量として検出する、請求項2に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記上流側電気伝導率検出手段は、前記第1供給水ラインを流通する供給水の電気伝導率を上流側電気伝導率として検出する、請求項2又は3に記載の水処理システム。
【請求項5】
前記逆浸透膜モジュールへ供給される供給水の流量に対する透過水の流量の比率である回収率を調整できる回収率調整手段と、
下流側全有機炭素量に基づいて、前記回収率調整手段を制御する第1回収率制御部と、を更に備える、請求項1〜4のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項6】
上流側全有機炭素量に基づいて、前記回収率調整手段を制御する第2回収率制御部を更に備える、請求項5に記載の水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜モジュールを備えた水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
被処理水(供給水)を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜モジュールを備えた水処理システムが知られている。従来、需要箇所で消費される透過水を一つの逆浸透膜モジュールで分離できない場合に対応するため、複数の逆浸透膜モジュールを並列に接続した水処理システム(以下、「複数の逆浸透膜モジュールを備えた水処理システム」ともいう)が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
一方で、逆浸透膜モジュールを備えた水処理システムにおいて、全有機炭素量は供給水の水質を評価する指標として知られている。例えば、単数(一つ)の逆浸透膜モジュールの上流側(供給水側)及び下流側(透過水側)に、全有機炭素量検出手段が設置された水処理システムが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
複数の逆浸透膜モジュールを備えた水処理システムにおいて、それぞれの逆浸透膜モジュールの上流側及び下流側に、全有機炭素量を検出する手段(以下、「全有機炭素量検出手段」ともいう)を設置することにより、供給水及び透過水の水質を適切に管理することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−131578号公報
【特許文献2】特開2014−188439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数の逆浸透膜モジュールを備えた水処理システムにおいて、それぞれの逆浸透膜モジュールの上流側及び下流側に、全有機炭素量検出手段を設置すると、水処理システムの導入及びメンテナンスに費用が掛かる場合がある。
【0007】
そのため、複数(二つ以上)の逆浸透膜モジュールを備えた水処理システムにおいて、少ない個数の全有機炭素量検出手段で、供給水及び透過水の水質を適切に管理することができる水処理システムが望まれている。単数(一つ)の逆浸透膜モジュールを備えた水処理システムにおいても同様である。
【0008】
本発明は、少ない個数の全有機炭素量検出手段で、供給水及び透過水の水質を適切に管理することができる水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、供給源から供給される供給水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜モジュールと、前記供給源と前記逆浸透膜モジュールとを接続する供給水ラインと、前記逆浸透膜モジュールと接続され、透過水が流通する透過水ラインと、供給水の電気伝導率を上流側電気伝導率として検出する上流側電気伝導率検出手段と、透過水の電気伝導率を下流側電気伝導率として検出する下流側電気伝導率検出手段と、供給水の全有機炭素量を上流側全有機炭素量として検出する上流側全有機炭素量検出手段と、上流側電気伝導率、下流側電気伝導率及び上流側全有機炭素量に基づいて、透過水の全有機炭素量を下流側全有機炭素量として演算する下流側全有機炭素量演算部と、を備える、水処理システムに関する。
【0010】
また、供給源から分岐部を介して供給される供給水を透過水と濃縮水とに分離する二つ以上の逆浸透膜モジュールと、前記供給源と前記分岐部とを接続する第1供給水ラインと、前記分岐部とそれぞれの前記逆浸透膜モジュールとを接続する二つ以上の第2供給水ラインと、それぞれの前記逆浸透膜モジュールと接続され、透過水が流通する二つ以上の透過水ラインと、供給水の電気伝導率を上流側電気伝導率として検出する上流側電気伝導率検出手段と、透過水の電気伝導率を下流側電気伝導率として検出する下流側電気伝導率検出手段と、供給水の全有機炭素量を上流側全有機炭素量として検出する上流側全有機炭素量検出手段と、上流側電気伝導率、下流側電気伝導率及び上流側全有機炭素量に基づいて、透過水の全有機炭素量を下流側全有機炭素量として演算する下流側全有機炭素量演算部と、を備えることが好ましい。
【0011】
また、前記上流側全有機炭素量検出手段は、前記第1供給水ラインを流通する供給水の全有機炭素量を上流側全有機炭素量として検出することが好ましい。
【0012】
また、前記上流側電気伝導率検出手段は、前記第1供給水ラインを流通する供給水の電気伝導率を上流側電気伝導率として検出することが好ましい。
【0013】
また、前記逆浸透膜モジュールへ供給される供給水の流量に対する透過水の流量の比率である回収率を調整できる回収率調整手段と、下流側全有機炭素量に基づいて、前記回収率調整手段を制御する第1回収率制御部と、を更に備えることが好ましい。
【0014】
また、上流側全有機炭素量に基づいて、前記回収率調整手段を制御する第2回収率制御部を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、少ない個数の全有機炭素量検出手段で、供給水及び透過水の水質を適切に管理することができる水処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る水処理システムの全体構成図である。
図2】本実施形態の下流側全有機炭素量を演算する演算処理を示すフローチャートである。
図3】本実施形態の下流側全有機炭素量に基づく回収率の制御手順を示すフローチャートである。
図4】本実施形態の上流側全有機炭素量に基づく回収率の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の水処理システム1の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の水処理システム1の全体構成図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の水処理システム1は、RO装置5(複数のRO装置5a〜5c)と、制御部10と、供給水ラインL10と、透過水ラインL20と、濃縮水ラインL30と、を備える。なお、「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。また、制御部10と被制御対象装置との電気的接続線の図示については、省略している。また、以下の構成を説明するにあたって、複数(二つ以上)又は単数(一つ)を区別する必要がない場合には、識別記号である「a」、「b」、「c」について適宜に省略して説明する。
【0019】
供給水ラインL10は、供給源(不図示)とRO装置5(詳細には、RO装置5が有する逆浸透膜モジュールとしてのRO膜モジュール53)とを接続するラインである。また、供給水ラインL10は、供給水W1が流通するラインである。供給水ラインL10は、供給源に連通する第1供給水ラインL11と、第1供給水ラインL11から分岐(連続)すると共にRO装置5に連続する第2供給水ラインL12(複数の第2供給水ラインL12a〜L12c)と、を有する。供給水ラインL10の途中には、分岐部J1が配置されている。
【0020】
第1供給水ラインL11は、供給源(不図示)と分岐部J1とを接続するラインである。第1供給水ラインL11には、上流側から下流側に向けて、上流側全有機炭素量検出手段としてのTOCセンサ2と、上流側電気伝導率検出手段としての上流側電気伝導率センサEC1とが設けられている。
【0021】
TOCセンサ2は、供給水W1の全有機炭素量を上流側全有機炭素量として検出する装置である。本実施形態においては、TOCセンサ2は、第1供給水ラインL11を流通する供給水W1の全有機炭素量を上流側全有機炭素量Tuとして検出する。TOCセンサ2は、制御部10と電気的に接続されている。TOCセンサ2で検出された上流側全有機炭素量Tuは、制御部10に検出信号として送信される。なお、全有機炭素(TOC:Total Organic Carbon)は、JIS K0101「工業用水試験方法」において、「水中に存在する有機物中の炭素をいう」とされている。TOCセンサ2としては、例えば、UV酸化−電気伝導率測定方式のセンサ等を用いることができる。
【0022】
上流側電気伝導率センサEC1は、供給水W1の電気伝導率を上流側電気伝導率として検出する装置である。本実施形態においては、上流側電気伝導率センサEC1は、第1供給水ラインL11を流通する供給水W1の電気伝導率を上流側電気伝導率ECuとして検出する装置である。上流側電気伝導率センサEC1は、制御部10と電気的に接続されている。上流側電気伝導率センサEC1で検出された上流側電気伝導率ECuは、制御部10に検出信号として送信される。
【0023】
第2供給水ラインL12は、分岐部J1とRO装置5とを接続するラインである。本実施形態においては、第2供給水ラインL12は、水処理システム1において二つ以上(例えば、三つ)設置される。二つ以上(複数)の第2供給水ラインL12a〜L12cは、それぞれ、分岐部J1と複数のRO装置5a〜5c(詳細には、RO装置5a〜5cの有するRO膜モジュール53a〜53c)とを接続する。なお、複数の第2供給水ラインL12a〜L12cのそれぞれを流通する供給水W1を特に「供給水W1a〜W1c」ともいう。供給水W1a〜W1cの水質(例えば、全有機炭素量)は、全て同等である。
【0024】
RO装置5は、加圧ポンプ51と、インバータ52と、逆浸透膜モジュールとしてのRO膜モジュール53と、回収率調整手段としての排水弁54と、を有する装置である。RO装置5には、供給水ラインL10(詳細には、第2供給水ラインL12)と、透過水ラインL20(詳細には、後述の第1透過水ラインL21)と、濃縮水ラインL30とが接続されている。また、RO装置5は、制御部10と電気的に接続されている。本実施形態においては、RO装置5は、第2供給水ラインL12(複数の第2供給水ラインL12a〜L12c)のそれぞれに対応して、水処理システム1において二つ以上(例えば、三つ)設置される。
【0025】
RO装置5(複数のRO装置5a〜5c)には、供給水ラインL10(第1供給水ラインL11、分岐部J1及び複数の第2供給水ラインL12a〜L12c)を介して、供給源(例えば、井戸、河川、貯水池等)から、供給水W1(供給水W1a〜W1c)が供給される。RO装置5において、第2供給水ラインL12の下流側の端部は、RO膜モジュール53の一次側入口ポート(供給水W1の入口)と接続されている。第2供給水ラインL12の途中には、加圧ポンプ51と、インバータ52とが設けられている。
【0026】
加圧ポンプ51は、供給水W1を吸入し、RO膜モジュール53へ向けて圧送(吐出)する装置である。加圧ポンプ51には、インバータ52から周波数が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ51は、供給(入力)された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。本実施形態においては、加圧ポンプ51は、RO装置5(複数のRO装置5a〜5c)のそれぞれに対応して、水処理システム1において二つ以上(例えば、三つ)設置される。
【0027】
インバータ52は、加圧ポンプ51に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。インバータ52の出力(供給)する駆動電力は、制御部10から入力される指令信号(電流値信号又は電圧値信号)により制御される。インバータ52は、制御部10で入力された指令信号に対応する駆動周波数の駆動電力を加圧ポンプ51に出力する。本実施形態においては、インバータ52は、RO装置5(複数のRO装置5a〜5c)のそれぞれに対応して、水処理システム1において二つ以上(例えば、三つ)設置される。
【0028】
RO膜モジュール53は、供給源(不図示)から供給される供給水W1を透過水W2と濃縮水W3とに分離する設備である。詳細には、RO膜モジュール53は、加圧ポンプ51から吐出された供給水W1を、汚濁物質が除去された透過水W2と、汚濁物質が濃縮された濃縮水W3とに膜分離処理する設備である。なお、汚濁物質としては、濁質(例えば、微粒子、溶存鉄の酸化析出物等の懸濁物質)や、全有機炭素量として把握される有機物が挙げられる。
【0029】
RO膜モジュール53は、単一又は複数のRO膜エレメント(不図示)を備える。RO膜モジュール53は、これらRO膜エレメントで供給水W1を膜分離処理し、透過水W2及び濃縮水W3を製造する。本実施形態においては、RO膜モジュール53は、RO装置5(複数のRO装置5a〜5c)のそれぞれに対応して、水処理システム1において二つ以上(例えば、三つ)設置される。二つ以上(複数)のRO膜モジュール53a〜53cは、それぞれ、供給水W1(供給水W1a〜W1c)を透過水W2(透過水W2a〜W2c)と濃縮水W3(濃縮水W3a〜W3c)とに分離する。
【0030】
透過水ラインL20は、RO膜モジュール53と接続され、透過水W2が流通するラインである。透過水ラインL20は、RO装置5と需要箇所(不図示)とを接続する。透過水ラインL20は、透過水ラインとしての第1透過水ラインL21(複数の第1透過水ラインL21a〜L21c)と、複数の第1透過水ラインL21a〜L21cの下流側端部(合流部)と連続する第2供給水ラインL12と、を有する。なお、複数の第1透過水ラインL21a〜L21cのそれぞれを流通する透過水W2を特に「透過水W2a〜W2c」ともいう。
【0031】
透過水ラインとしての第1透過水ラインL21は、RO膜モジュール53の二次側ポート(透過水W2の出口)と第2透過水ラインL22の上流側端部とを接続するラインである。本実施形態においては、第1透過水ラインL21は、RO装置5(複数のRO装置5a〜5c)のそれぞれに対応して、水処理システム1において二つ以上(例えば、三つ)設置される。二つ以上(複数)の第1透過水ラインL21a〜L21cは、それぞれのRO膜モジュール53a〜53cと接続され、透過水W2a〜W2cが流通するラインである。第1透過水ラインL21(複数の第1透過水ラインL21a〜L21c)の途中には、下流側電気伝導率検出手段としての下流側電気伝導率センサEC2(複数の下流側電気伝導率センサEC2a〜EC2c)が設けられている。
【0032】
下流側電気伝導率センサEC2は、透過水W2の電気伝導率を下流側電気伝導率として検出する装置である。下流側電気伝導率センサEC2は、制御部10と電気的に接続されている。下流側電気伝導率センサEC2で検出された下流側電気伝導率は、制御部10に検出信号として送信される。本実施形態においては、下流側電気伝導率センサEC2は、第1透過水ラインL21(複数の第1透過水ラインL21a〜L21c)のそれぞれに対応して、水処理システム1において二つ以上(例えば、三つ)設置される。二つ以上(複数)の下流側電気伝導率センサEC2a〜EC2cは、透過水W2a〜W2cの電気伝導率を下流側電気伝導率ECda〜ECdcとして検出する。
【0033】
第2透過水ラインL22は、第1透過水ラインL21の下流側端部と需要箇所(不図示)とを接続するラインである。本実施形態においては、RO装置5(複数のRO装置5a〜5c)から透過水ラインL20(複数の第1透過水ラインL21a〜L21c及び第2透過水ラインL22)を介して、需要箇所に、透過水W2が供給される。
【0034】
濃縮水ラインL30は、RO膜モジュール53の一次側出口ポート(濃縮水W3の出口)と接続され、濃縮水W3(濃縮水W3a〜W3c)を系外に排出するラインである。本実施形態においては、濃縮水ラインL30は、RO装置5(複数のRO装置5a〜5c)のそれぞれに対応して、水処理システム1において二つ以上(例えば、三つ)設置される。濃縮水ラインL30(複数の濃縮水ラインL30a〜L30c)の途中には、RO装置5の排水弁54(複数の排水弁54a〜54c)が設けられている。なお、複数の濃縮水ラインL30a〜L30cのそれぞれを流通する濃縮水W3を特に「濃縮水W3a〜W3c」ともいう。
【0035】
回収率調整手段としての排水弁54は、回収率を調整できる弁である。なお、回収率とは、RO膜モジュール53へ供給される供給水W1の流量に対する透過水W2の流量の比率(割合)をいう。排水弁54の弁開度は、制御部10から送信される駆動信号により制御される。濃縮水W3の排出流量が調整(例えば、増加)されることにより、供給水W1の流量に対する透過水W2の流量が調整(例えば、減少)される。つまり、濃縮水W3の排出流量が調整(例えば、増加)されることにより、回収率が調整(例えば、減少)される。本実施形態においては、排水弁54は、RO装置5(複数のRO装置5a〜5c)のそれぞれに対応して、水処理システム1において二つ以上(例えば、三つ)設置される。複数の排水弁54a〜54cは、RO装置5(複数のRO装置5a〜5c)毎の回収率を調整する。
【0036】
制御部10は、CPU及び内部メモリを含むマイクロプロセッサ(いずれも不図示)により構成される。制御部10の内部メモリ(不図示)には、例えば、上流側電気伝導率センサEC1で検出された上流側電気伝導率ECuと、下流側電気伝導率センサEC2で検出された下流側電気伝導率ECdと、TOCセンサ2で検出された上流側全有機炭素量Tuと、後述する近似計算用数値A及び近似計算用数値Bとが記憶されている。以下、制御部10の機能について説明する。
【0037】
制御部10は、上流側電気伝導率、下流側電気伝導率(複数の下流側電気伝導率)及び上流側全有機炭素量に基づいて、透過水W2(透過水W2a〜W2c)の全有機炭素量を下流側全有機炭素量(複数の下流側全有機炭素量)として演算する下流側全有機炭素量演算部として機能する。
【0038】
制御部10は、下流側全有機炭素量演算部(制御部10)で演算される下流側全有機炭素量(複数の下流側全有機炭素量)に基づいて、回収率を制御する第1回収率制御部として機能する。制御部10は、TOCセンサ2で検出される上流側全有機炭素量に基づいて、回収率を制御する第2回収率制御部として機能する。
【0039】
〔下流側全有機炭素量を演算する演算処理〕
下流側全有機炭素量演算部としての制御部10の機能について図2を用いて説明する。図2は、本実施形態の下流側全有機炭素量を演算する演算処理を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートの処理は、水処理システム1の運転中において、繰り返し実行される。本実施形態においては、RO装置5毎の回収率R、上流側電気伝導率ECu、下流側電気伝導率ECda〜ECdc及び上流側全有機炭素量Tuに基づいて、制御部10は、下流側全有機炭素量Tda〜Tdcを演算する。
【0040】
ステップST101において、制御部10は、各種の検出値を取得する。例えば、制御部10は、RO装置5毎の回収率(以下、回収率Rともいう)を取得する。また、制御部10は、上流側電気伝導率センサEC1、下流側電気伝導率センサEC2(下流側電気伝導率センサEC2a〜EC2c)、TOCセンサ2の検出信号を受信することにより、上流側電気伝導率ECu、下流側電気伝導率ECd(下流側電気伝導率ECda〜ECdc)、上流側全有機炭素量Tuを取得する。制御部10が取得した各種の検出値は、内部メモリ(不図示)に記憶される。
【0041】
ステップST102において、制御部10は、濃縮倍率(以下、「濃縮倍率N」ともいう)を演算する。本実施形態においては、制御部10は、ステップST101で取得した回収率Rから、濃縮倍率Nを下記の式(1)に基づいて演算する。
N=1÷(1−R) (1)
【0042】
ステップST103において、制御部10は、EC透過率(以下、「EC透過率ECr」ともいう)を演算する。本実施形態においては、制御部10は、ステップST101で取得した上流側電気伝導率ECu及び下流側電気伝導率ECdと、式(1)で演算された濃縮倍率Nとから、EC透過率ECrを下記の式(2)に基づいて演算する。
ECr=ECd÷(ECu×N) (2)
【0043】
ステップST104において、制御部10は、EC除去率(以下、「EC除去率ECi」ともいう)を演算する。本実施形態においては、制御部10は、式(2)で演算されたEC透過率ECrから、EC除去率ECiを下記の式(3)に基づいて演算する。
ECi=1−ECr (3)
【0044】
ステップST105において、制御部10は、TOC除去率(以下、「TOC除去率Ti」ともいう)を演算する。TOC除去率TiとEC除去率ECiとの間には、直線近似可能な正の相関関係がある。本実施形態においては、制御部10は、内部メモリ(不図示)から近似計算用数値A及び近似計算用数値Bを取得する。制御部10は、取得した近似計算用数値A及び近似計算用数値Bと、式(3)で演算されたEC除去率ECiとから、TOC除去率Tiを下記の式(4)に基づいて演算(予測演算)する。
Ti=(ECi−B)×A (4)
近似計算用数値Aは、1.0〜3.0の範囲で設定されることが好ましく、1.5〜2.5の範囲で設定されることが更に好ましく、本実施形態においては、2.0程度に設定される。また、近似計算用数値Bは、0.2〜1.0の範囲で設定されることが好ましく、0.4〜0.8の範囲で設定されることが更に好ましく、本実施形態においては、0.6程度に設定される。
【0045】
ステップST106において、制御部10は、TOC透過率(以下、「TOC透過率Tr」ともいう)を演算する。本実施形態においては、制御部10は、式(3)で演算されたTOC除去率Tiから、TOC透過率Trを下記の式(5)に基づいて演算する。
Tr=1−Ti (5)
【0046】
ステップST107において、制御部10は、下流側全有機炭素量(以下、「下流側全有機炭素量Td」ともいう)を演算する。本実施形態においては、制御部10は、ステップST101で取得した上流側全有機炭素量Tuと、式(5)で演算されたTOC透過率Trと、式(1)で演算された濃縮倍率Nとから、下流側全有機炭素量Tdを下記の式(6)に基づいて演算する。
Td=Tr×Tu×N (6)
【0047】
下流側全有機炭素量Tdが演算されることによって、本フローチャートの処理は終了する。
【0048】
〔下流側全有機炭素量に基づく回収率の制御手順〕
第1回収率制御部としての制御部10が実行する下流側全有機炭素量に基づく回収率の制御について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態の下流側全有機炭素量に基づく回収率の制御手順を示すフローチャートである。
【0049】
ステップST201において、制御部10は、下流側全有機炭素量Tda〜Tdcの少なくとも一つ以上の値を取得する。本実施形態においては、制御部10は、図2に示すフローチャートの処理によって下流側全有機炭素量Tda〜Tdcの全ての値を演算(取得)する。
【0050】
ステップST202において、制御部10は、回収率調整手段(本実施形態においては排水弁54)で回収率を調整するか否かを判定する。具体的には、制御部10は、下流側全有機炭素量Tda〜Tdcの少なくとも一つ以上の値が下流側閾値Mdを上回る(下流側全有機炭素量Td≧下流側閾値Md)か否かを判定する。
【0051】
下流側閾値Mdは、回収率を調整するか否かを判定するための閾値として、制御部10の内部メモリ(不図示)に記録されている。下流側閾値Mdは、透過水W2の用途により定められる水質基準によって適宜に設定される。また、下流側閾値Mdは、0.5[mg/L]以下の範囲で設定されることが好ましい。
【0052】
ステップST202において、下流側全有機炭素量Tda〜Tdcの少なくとも一つ以上の値が下流側閾値Mdを上回る(YES)場合には、処理はステップST203に移行する。下流側全有機炭素量Tda〜Tdcの全ての値が下流側閾値Mdを上回らない(NO)場合には、処理はステップST201に戻る。
【0053】
ステップST203において、制御部10は、下流側閾値Mdを上回る下流側全有機炭素量Tdを示した透過水W2に対応する回収率を調整(減少)するように排水弁54を制御する。例えば、透過水W2aに対応する下流側全有機炭素量Tdaのみが下流側閾値Mdを上回る(下流側全有機炭素量Tda≧下流側閾値Md、且つ、下流側全有機炭素量Tdb<下流側閾値Md、且つ、下流側全有機炭素量Tdc<下流側閾値Md)場合には、透過水W2aに対応する回収率調整手段としての排水弁54aの弁開度を調整するように、制御部10は排水弁54aを制御する。具体的には、制御部10は、排水弁54aの弁開度が全開(弁開度が100%の状態)となるように、排水弁54aを制御する。透過水W2a〜W2cのそれぞれに対応する回収率が調整されることにより、本フローチャートの処理は、終了する。
【0054】
〔上流側全有機炭素量に基づく回収率の制御手順〕
第2回収率制御部としての制御部10が実行する上流側全有機炭素量に基づく回収率の制御について、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態の上流側全有機炭素量に基づく回収率の制御手順を示すフローチャートである。
【0055】
ステップST301において、制御部10は、上流側全有機炭素量Tuの値を取得する。本実施形態においては、制御部10は、内部メモリ(不図示)から上流側全有機炭素量Tuの値を取得する。
【0056】
ステップST302において、制御部10は、回収率調整手段(本実施形態においては排水弁54)で回収率を調整するか否かを判定する。具体的には、制御部10は、上流側全有機炭素量Tuが上流側閾値Muを上回る(上流側全有機炭素量Tu≧上流側閾値Mu)か否かを判定する。
【0057】
上流側閾値Muは、回収率を調整するか否かを判定するための閾値として、制御部10の内部メモリ(不図示)に記録されている。上流側閾値Muは、原水の水質(供給水W1の水質)によって適宜に設定される。また、上流側閾値Muは、2.0[mg/L]以下の範囲で設定されることが好ましい。
【0058】
ステップST302において、上流側全有機炭素量Tuが上流側閾値Muを上回る(YES)場合には、処理はステップST303に移行する。上流側全有機炭素量Tuが下流側閾値Mdを上回らない(NO)場合には、処理はステップST301に戻る。
【0059】
ステップST303において、制御部10は、排水弁54で回収率を調整(減少)するように排水弁54を制御する。本実施形態においては、制御部10は、排水弁54a〜54cの全ての弁開度が全開(弁開度が100%の状態)となるように、排水弁54を制御する。透過水W2a〜W2cの全てに対応する回収率が調整されることにより、本フローチャートの処理は、終了する。
【0060】
〔効果〕
上述した本実施形態に係る水処理システム1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態の水処理システム1は、供給源(不図示)から供給される供給水W1を透過水W2と濃縮水W3とに分離するRO膜モジュール53と、供給源(不図示)と逆浸透膜モジュールとしてのRO膜モジュール53とを接続する供給水ラインL10と、RO膜モジュール53と接続され、透過水W2が流通する透過水ラインL20と、供給水W1の電気伝導率を上流側電気伝導率として検出する上流側電気伝導率検出手段としての上流側電気伝導率センサEC1と、透過水W2の電気伝導率を下流側電気伝導率として検出する下流側電気伝導率検出手段としての下流側電気伝導率センサEC2と、供給水W1の全有機炭素量を上流側全有機炭素量として検出する上流側全有機炭素量検出手段としてのTOCセンサ2と、上流側電気伝導率(上流側電気伝導率ECu)、下流側電気伝導率(下流側電気伝導率ECd)及び上流側全有機炭素量(上流側全有機炭素量Tu)に基づいて、透過水W2の全有機炭素量を下流側全有機炭素量(下流側全有機炭素量Td)として演算する下流側全有機炭素量演算部としての制御部10と、を備える。
【0061】
そのため、RO膜モジュール53の下流側のラインにTOCセンサが設置されなくても、制御部10は、透過水W2の下流側全有機炭素量Tdを演算できる。これにより、少ない個数の全有機炭素量検出手段で、供給水及び透過水の水質を適切に管理することができる。
【0062】
また、上流側全有機炭素量Tu(又は下流側全有機炭素量Td)を検出しない水処理システムでは、下流側全有機炭素量Td(又は上流側全有機炭素量Tu)が高く検出された場合に、透過水W2の水質が悪化した要因を特定することは困難である。一方、本実施形態の水処理システム1は、上流側全有機炭素量Tuと下流側全有機炭素量Tdとを検出(演算)するため、下流側全有機炭素量Tdが高く検出(演算)された要因を特定できる。具体的には、上流側全有機炭素量Tuが低く検出され、且つ、下流側全有機炭素量Tdが高く演算された場合には、下流側全有機炭素量Tdが高く検出された要因がRO膜モジュール53の処理能力の低下にあると認められる。また、上流側全有機炭素量Tuが高く検出され、且つ、下流側全有機炭素量Tdが高く演算された場合には、下流側全有機炭素量Tdが高く検出された要因が供給水W1の水質悪化にあると認められる。これにより、下流側全有機炭素量Tdが高く検出(演算)された要因に応じて供給水及び透過水の水質を適切に管理できる。
【0063】
また、本実施形態の水処理システム1は、供給源(不図示)から分岐部J1を介して供給される供給水W1を透過水W2a〜W2cと濃縮水W3a〜W3cとに分離する二つ以上(複数)の逆浸透膜モジュールとしてのRO膜モジュール53a〜53cと、供給源(不図示)と分岐部J1とを接続する第1供給水ラインL11と、分岐部J1とそれぞれのRO膜モジュール53a〜53cとを接続する二つ以上(複数)の第2供給水ラインL12a〜L12cと、それぞれのRO膜モジュール53a〜53cと接続され、透過水W2a〜W2cが流通する二つ以上(複数)の透過水ラインとしての第1透過水ラインL21と、供給水W1の電気伝導率を上流側電気伝導率として検出する上流側電気伝導率検出手段としての上流側電気伝導率センサEC1と、透過水の電気伝導率を下流側電気伝導率として検出する下流側電気伝導率検出手段としての下流側電気伝導率センサEC2a〜EC2cと、供給水W1の全有機炭素量を上流側全有機炭素量として検出する上流側全有機炭素量検出手段としてのTOCセンサ2と、上流側電気伝導率(上流側電気伝導率ECu)、下流側電気伝導率(下流側電気伝導率ECda〜ECdc)及び上流側全有機炭素量(上流側全有機炭素量Tu)に基づいて、透過水W2a〜W2cの下流側全有機炭素量(下流側全有機炭素量Td)として演算する下流側全有機炭素量演算部としての制御部10と、を備える。
【0064】
そのため、複数(例えば、三つ)のRO膜モジュール53a〜53cの下流側のラインに複数(例えば、三つ)のTOCセンサが設置されなくても、制御部10は、透過水W2の下流側全有機炭素量Tda〜Tdcを演算できる。これにより、少ない個数の全有機炭素量検出手段で、供給水及び透過水の水質を適切に管理することができる。
【0065】
また、TOCセンサ2は、第1供給水ラインL11を流通する供給水W1の全有機炭素量を上流側全有機炭素量Tuとして検出する。第1供給水ラインL11は、供給源(不図示)と分岐部J1とを接続するラインであり、複数のRO膜モジュール53a〜53cに供給される供給水W1が流通するラインである。そのため、複数のRO膜モジュール53a〜53cのそれぞれに供給される供給水W1の上流側全有機炭素量Tuを1個のTOCセンサ2で検出できる。これにより、少ない個数の全有機炭素量検出手段で、供給水及び透過水の水質を適切に管理することができる。
【0066】
また、上流側電気伝導率センサEC1は、第1供給水ラインL11を流通する供給水W1の電気伝導率を上流側電気伝導率ECuとして検出する。第1供給水ラインL11は、供給源と分岐部J1とを接続するラインであり、複数のRO膜モジュール53a〜53cに供給される供給水W1が流通するラインである。そのため、複数のRO膜モジュール53a〜53cのそれぞれに供給される供給水W1の電気伝導率を1個の上流側電気伝導率センサEC1で検出できる。これにより、少ない個数の電気伝導率検出手段で、供給水及び透過水の水質を適切に管理することができる。
【0067】
また、本実施形態の水処理システム1は、RO膜モジュール53へ供給される供給水W1の流量に対する透過水W2の流量の比率である回収率を調整できる回収率調整手段としての排水弁54と、下流側全有機炭素量Tdに基づいて、排水弁54を制御する第1回収率制御部としての制御部10と、を更に備える。そのため、RO膜モジュール53の下流側にTOCセンサを設置せずに、制御部10は、下流側全有機炭素量Tdに基づいて透過水W2a〜W2cのそれぞれに対応する回収率を調整するように、排水弁54a〜54cを制御できる。これにより、少ない個数の全有機炭素量検出手段で、透過水W2a〜W2cの水質(下流側全有機炭素量Tda〜Tdc)を検出し、検出された水質に応じて、RO膜モジュール53a〜53cそれぞれの回収率を調整することで、透過水の水質を適切に管理することができる。
【0068】
また、本実施形態の水処理システム1は、上流側全有機炭素量Tuに基づいて、排水弁54を制御する第2回収率制御部としての制御部10を更に備える。そのため、RO膜モジュール53の下流側にTOCセンサを設置せずに、制御部10は、上流側全有機炭素量Tuに基づいて回収率を調整するように排水弁54を制御できる。これにより、少ない個数の全有機炭素量検出手段で、供給水W1の水質(上流側全有機炭素量Tu)を検出し、検出された水質に応じて、RO膜モジュール53a〜53cそれぞれの回収率を調整することで、透過水の水質を適切に管理することができる。
【0069】
〔変形例〕
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0070】
例えば、下流側全有機炭素量Tdを演算する演算処理の手順は、図2に示した手順に限定されない。下流側全有機炭素量Tdは、他の演算処理の手順で演算されてもよい。
【0071】
また、制御部10の実行する図2図4に示すフローチャートの処理(制御)、即ち、下流側全有機炭素量を演算する演算処理と、下流側全有機炭素量に基づく回収率の制御と、上流側全有機炭素量に基づく回収率の制御とがそれぞれ水処理システム1の運転中において繰り返し実行される例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部10は、所定の条件に基づいて、いずれかの処理(制御)を繰り返し実行せずに、他の処理(制御)を優先して実行してもよい。
【0072】
また、全有機炭素量(上流側全有機炭素量Tu又は下流側全有機炭素量Td)が閾値(上流側閾値Mu又は下流側閾値Md)を上回る(ステップST202:YES又はステップST302:YES)場合に回収率が調整される例について説明したが、これに限定されない。例えば、全有機炭素量が閾値を上回る場合には、制御部10は、警報を発信するように他の構成を制御してもよい。
【0073】
また、全有機炭素量(上流側全有機炭素量Tu又は下流側全有機炭素量Td)が閾値(上流側閾値Mu又は下流側閾値Md)を上回る場合には、回収率が調整(減少)される(ステップST203又はステップST303)例について説明したが、これに限定されない。
【0074】
また、制御部10が、排水弁54を制御することで回収率を調整する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部10は、排水弁54を制御せずに、その代わりに、供給水W1及び透過水W2の流量を減少させることで、回収率を調整してもよい。
【0075】
また、制御部10が排水弁54の弁開度を制御することにより、濃縮水W3の排水流量を調整する例について説明したが、これに限定されない。複数の排水バルブを並列に設けた構成とし、排水バルブの開弁数を増減することにより、濃縮水W3の排水流量を段階的に調整するように制御してもよい。
【0076】
また、TOCセンサ2及び上流側電気伝導率センサEC1が、第1供給水ラインL11に設けられている例について説明したが、これに限定されない。TOCセンサ2及び上流側電気伝導率センサEC1は、供給水W1の水質を検出できるように設けられればよく、例えば、第2供給水ラインL12に設けられてもよい。
【0077】
また、第1供給水ラインL11には、上流側から下流側に向けて、TOCセンサ2と、上流側電気伝導率センサEC1とが設けられている例について説明したが、これに限定されない。第1供給水ラインL11には、上流側から下流側に向けて、上流側電気伝導率センサEC1とTOCセンサ2とが設けられていてもよい。
【0078】
また、水処理システム1におけるRO装置5等は、三つ(三列並列)に限定されず、単数(一つ)であってもよく、三つ以外の複数並列であってもよい。供給源(不図示)及び需要箇所(不図示)は、一つに限定されず、複数(二つ以上)であってもよい。分岐部J1及び合流部(第1透過水ラインL21と第2透過水ラインL22との合流部)は、一つに限定されず、複数(二つ以上)であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 水処理システム
2 TOCセンサ(上流側全有機炭素量検出手段)
5 RO装置
10 制御部(下流側全有機炭素量演算部、第1回収率制御部、第2回収率制御部)
53 RO膜モジュール(逆浸透膜モジュール)
54 排水弁(回収率調整手段)
EC1 上流側電気伝導率センサ(上流側電気伝導率検出手段)
EC2 下流側電気伝導率センサ(下流側電気伝導率検出手段)
L10 供給水ライン
L11 第1供給水ライン(供給水ライン)
L12 第2供給水ライン(供給水ライン)
L20 透過水ライン
L21 第1透過水ライン(透過水ライン)
L22 第2透過水ライン(透過水ライン)
J1 分岐部
W1 供給水
W2 透過水
W3 濃縮水
図1
図2
図3
図4