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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-202507(P2017-202507A)
(43)【公開日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】回転盤部材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 39/03 20060101AFI20171020BHJP
   F01L 1/46 20060101ALI20171020BHJP
   B21D 1/06 20060101ALI20171020BHJP
   B21D 53/26 20060101ALI20171020BHJP
【FI】
   B21D39/03 A
   F01L1/46 B
   B21D1/06 A
   B21D53/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-95564(P2016-95564)
(22)【出願日】2016年5月11日
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】浅野 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】磯村 青児
【テーマコード(参考)】
3G016
4E003
【Fターム(参考)】
3G016FA06
3G016FA38
4E003AA01
4E003CA03
(57)【要約】
【課題】ボス部の高さ寸法のバラツキが少なく、且つ製造コストが安価な回転盤部材を提供すること。
【解決手段】円盤の一方の側の面の中央部にボス部を有し、かかる円盤からボス部に亘って、シャフトを挿通するための挿通孔が形成されてなる回転盤部材において、ボス部を、複数の円環形状の金属製プレス加工板を積層プレス加工することにより、それら複数の金属製プレス加工板が相互にかしめ固定されてなる積層体によって構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤の一方の側の面の中央部にボス部を有し、かかる円盤からボス部に亘って、シャフトを挿通するための挿通孔が形成されてなる回転盤部材にして、かかるボス部が、相互にかしめ固定された、複数の円環形状の金属製プレス加工板の積層体によって構成されていることを特徴とする回転盤部材。
【請求項2】
前記円盤の周縁部に、径方向外方に突出する複数のセンサー感知部を有している請求項1に記載の回転盤部材からなる内燃機関用センサープレート。
【請求項3】
複数の円環形状の金属板材を準備し、かかる金属板材の各々に対して、厚さ方向においてプレス加工を実施することにより、該金属板材の厚さを調整する工程と、
該厚さが調整された金属板材に、厚さ方向に突出するかしめ部を形成する工程と、
該かしめ部が形成された複数の金属板材を、その厚さ方向に積層した状態において積層プレス加工を実施し、該複数の金属板材をかしめ固定することにより、厚さ方向に貫通する挿通孔を有する積層体を製造する工程と、
該積層体を、挿通孔を有する円盤上に、それらの挿通孔を一致させた状態において組み付ける工程と、
を有する回転盤部材の製造方法。
【請求項4】
前記かしめ部の形成が、前記金属板材に対する厚さ方向へのプレス加工に際して、該金属板材の厚さの調整と共に、実施される請求項3に記載の回転盤部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転盤部材及びその製造方法に係り、特に、車両等の内燃機関のクランクシャフトに組み付けられるセンサープレートとして好適に用いられ得る回転盤部材、及び、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の車両においては、円盤の一方の側の面の中央部にボス部を有し、その円盤からボス部に亘って、シャフトを挿通するための挿通孔が形成されてなる構成を有する部材(回転盤部材)が、様々な用途で使用されている。例えば、自動車等の内燃機関においては、クランクシャフトやカムシャフトの回転角度位置を検出するための部材として、上記の如き態様の回転盤部材からなるセンサープレートが、従来より広く用いられている。
【0003】
ここで、内燃機関に用いられる従来のセンサープレートは、その多くが、プレス加工品や焼結品にて構成されている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、そのようなプレス加工品や焼結品からなるセンサープレートにあっては、以下に詳述するように、必然的に製造コストが嵩むという問題を内在している。即ち、例えば、一連のプレス加工にてセンサープレートを製造する場合においては、増肉加工によってボス部を形成する必要があるところ、この増肉加工のためのプレス工程を特別に追加する必要があり、また、かかる増肉加工を実施するためには、大型のプレス機が必要とされる。また、ボス部とプレート部(円盤部)とを各々、異なるプレス加工によって作製し、その後、それらの部材を溶接等の手法に従って一体化せしめて、目的とするセンサープレートを製造する場合においては、工程数が多くなることから、必然的に、センサープレートの製造コストが上昇する。更に、焼結品からなるセンサープレートにあっても、その製造過程において切削工程が必須とされるところから、製造コストの上昇を抑制することは非常に困難である。
【0004】
その一方、所定の高さが必要とされる金属製部品を製造する手法の一つとして、積層プレス加工法が、従来より広く知られている。この積層プレス加工法とは、表面に小さな凹凸やツメ等が形成された板状部材を積み重ね、その後にプレスを実施するという工程を繰り返すことによって、所定の高さを有する金属製部品を製造する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−194544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者等が、上述の如き積層プレス加工法を利用乃至応用したセンサープレートの製造について鋭意、研究を進めたところ、従来の積層プレス加工法に従い、自動車等の内燃機関に用いられるセンサープレートを製造するに際しては、以下に述べる如き問題があることが判明した。具体的には、内燃機関に用いられるセンサープレートに対しては、他の部品(例えば、クランクギア等)と共にクランクシャフトやカムシャフトに組み付けられて使用される関係上、そのボス部の高さ(円盤からボス部の頂面までの高さ)に対して非常に高い寸法精度が要求されるところ、かかるボス部を、複数の板状部材を用いて積層プレス加工法に従って作製すると、それら複数の板状部材の厚さの誤差が最終的に得られるボス部の高さに影響を及ぼし、その結果、ボス部の高さ寸法がばらつく恐れがある。その一方で、板状部材が厚さ方向に誤差を有することを考慮して、一枚当たりの板状部材の厚さを薄くして、板状部材の重ね合わせ数を増やすことによって、最終的に得られるボス部の高さ寸法を調整することも考えられるが、部品数の増加は製造コストの増加に直結することから、得策ではないのである。
【0007】
本発明は、かかる状況の下に為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、ボス部の高さ寸法のバラツキが少なく、且つ製造コストが安価な回転盤部材を提供することにある。また、本発明は、そのような回転盤部材を有利に製造することが出来る方法を提供することをも、その解決課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明は、かかる課題を解決するために、円盤の一方の側の面の中央部にボス部を有し、かかる円盤からボス部に亘って、シャフトを挿通するための挿通孔が形成されてなる回転盤部材にして、かかるボス部が、相互にかしめ固定された、複数の円環形状の金属製プレス加工板の積層体によって構成されていることを特徴とする回転盤部材を、その要旨とするものである。
【0009】
また、本発明は、上記の如き態様の回転盤部材からなる内燃機関用センサープレートであって、前記円盤の周縁部に、径方向外方に突出する複数のセンサー感知部を有しているものも、その要旨とするものである。
【0010】
さらに、本発明は、上記の如き態様の回転盤部材を有利に製造することが出来る製造方法であって、1)複数の円環形状の金属板材を準備し、かかる金属板材の各々に対して、厚さ方向においてプレス加工を実施することにより、該金属板材の厚さを調整する工程と、2)該厚さが調整された金属板材に、厚さ方向に突出するかしめ部を形成する工程と、3)該かしめ部が形成された複数の金属板材を、その厚さ方向に積層した状態において積層プレス加工を実施し、該複数の金属板材をかしめ固定することにより、厚さ方向に貫通する挿通孔を有する積層体を製造する工程と、4)該積層体を、挿通孔を有する円盤上に、それらの挿通孔を一致させた状態において組み付ける工程と、を有する回転盤部材の製造方法をも、その要旨とするものである。
【0011】
なお、上記した、本発明に係る回転盤部材の製造方法においては、有利には、前記かしめ部の形成が、前記金属板材に対する厚さ方向へのプレス加工に際して、該金属板材の厚さの調整と共に、実施されるのである。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明に従う回転盤部材にあっては、そのボス部が、相互にかしめ固定された、複数の円環形状の金属製プレス加工板の積層体によって構成されているのであり、円環形状の金属製プレス加工板の各々は、その作製過程のプレスによって、厚さ方向の寸法が効果的に制御(調整)されることとなる。従って、そのような、厚さ方向の寸法が効果的に制御された金属製プレス加工板が相互にかしめ固定されて構成される、本発明の回転盤部材におけるボス部にあっては、その高さ寸法(金属製プレス加工板の積層方向の高さ寸法)におけるバラツキの発生が、有利に抑制されたものとなっているのである。また、金属製プレス加工板の各々の厚さ方向の寸法が効果的に制御されていることから、ボス部の高さ寸法におけるバラツキの発生を抑制すべく、金属製プレス加工板の一枚当たりの厚さを薄くする必要がなく、その結果、部品点数の増加が有利に抑制されて、安価なコストにて製造が可能ならしめられるのである。
【0013】
また、本発明に従う回転盤部材の製造方法にあっては、上述の如き回転盤部材を有利に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るクランクシャフト用センサープレートの斜視図である。
図2図1に示すクランクシャフト用センサープレートの正面図である。
図3図1に示すクランクシャフト用センサープレートの平面図である。
図4図1に示すクランクシャフト用センサープレートの底面図である。
図5図3におけるA1−A1断面図である。
図6図3におけるA2−A2断面図である。
図7図1に示すクランクシャフト用センサープレートのボス部を構成する金属製プレス加工板の一つを示す説明図であり、(a)は平面図、(b)はB−B断面図である。
図8図1に示すクランクシャフト用センサープレートのボス部を構成する金属製プレス加工板の他の一つを示す説明図であり、(a)は平面図、(b)はC−C断面図である。
図9図1に示すクランクシャフト用センサープレートのボス部を構成する金属製プレス加工板の更に他の一つを示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)はD−D断面図、(d)はE−E断面図である。
図10図1に示すクランクシャフト用センサープレートを構成する金属製円盤を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)はF−F断面図である。
図11】本発明の実施形態の他の一例に係るクランクシャフト用センサープレートの斜視図である。
図12図11に示すクランクシャフト用センサープレートの正面図である。
図13図11に示すクランクシャフト用センサープレートの平面図である。
図14図11に示すクランクシャフト用センサープレートの底面図である。
図15図13におけるJ1−J1断面図である。
図16図13におけるJ2−J2断面図である。
図17図11に示すクランクシャフト用センサープレートのボス部を構成する金属製プレス加工板の一つを示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)はG−G断面図、(d)はH−H断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0016】
図1乃至図4には、本発明の回転盤部材に係る代表的な実施形態の一つであるクランクシャフト用センサープレート(以下、単にセンサープレートという)が、図1では斜視図において、図2では正面図において、図3では平面図において、図4では底面図において、それぞれ示されている。それら図1乃至図4から明らかなように、センサープレート10は、金属製円盤12の一方の側の面の中央部に、円筒状のボス部14を有しており、かかるボス部14の内側には、金属製円盤12からボス部14にまで及ぶ挿通孔16が形成されている。
【0017】
より詳細には、図2に示されているように、ボス部14は、円環形状を呈する金属製プレス加工板の複数、具体的には、第一の金属製プレス加工板18aの一枚と、第二の金属製プレス加工板18bの四枚と、第三の金属製プレス加工板18cの一枚とが、相互にかしめ固定されてなる積層体にて、構成されているのである(図5及び図6を参照)。また、金属製円盤12の周縁部には、径方向外方に突出する複数の(本実施形態においては36個の)センサー感知部20が、径方向外方に突出する形態において形成されている(図1参照)。また、ボス部14の内側側面の一部には、クランクシャフトの位置決めピンと係合せしめるためのキー溝22が形成されている。
【0018】
上述の如き構成を有するセンサープレート10にあっては、例えば自動車の内燃機関のクランクシャフトに対して、他の部材(例えば、クランクギアやプーリー等)と共に一体的に組み付けられた状態において使用されるのであり、具体的には、金属製円盤12のセンサー感知部20を、かかるセンサー感知部20より所定距離だけ離間した位置に配置せしめられたセンサーにより感知することにより、内燃機関の作動により回転するクランクシャフトの回転角を検出し、その検出結果が、内燃機関の最適な回転制御に供されることとなるのである。
【0019】
そして、本発明に係るセンサープレート10にあっては、そのボス部14が、円環形状を呈する金属製プレス加工板の複数(第一の金属製プレス加工板18aの一枚と、第二の金属製プレス加工板18bの四枚と、第三の金属製プレス加工板18cの一枚とからなる、合計6枚の金属製プレス加工板)によって構成されているところに、大きな技術的特徴が存するのである。
【0020】
センサープレート10の如き、他の部材と組み合わされた状態で使用される回転盤部材にあっては、そのボス部の高さ寸法が著しい誤差を含むものである場合、他の部材と組み付けることが困難となる恐れや、仮に組み付けられたとしても、要求される性能を発揮し得ない恐れがある。具体的には、ボス部の高さ寸法が著しい誤差を含むクランクシャフト用センサープレートの場合においては、たとえクランクシャフトに組み付けられ得たとしても、円盤の周縁部のセンサー感知部が、センサーによって感知され得ない問題が発生し得る。このような問題の発生を防止すべく、本発明に係るセンサープレート10においては、複数の、円環形状を呈する金属製プレス加工板によって、ボス部14を形成せしめているのである。即ち、円環形状を呈する金属板材に対して、その厚さ方向においてプレス加工を実施すると、そこで得られる金属製プレス加工板は、その厚さが有利に調整されることとなる。そして、そのような厚さが調整された金属製プレス加工板を用いてボス部14を形成せしめることにより、得られるボス部14にあっては、その高さ寸法における誤差が非常に小さいものとなるのであり、以て、かかるボス部14を有するセンサープレート10においては、上記した問題の発生が効果的に抑制されることとなるのである。また、ボス部14の高さ寸法における誤差の発生を防止すべく、ボス部14を、より薄い円環形状の金属板材を、より多く用いて形成する手法が考えられるが、そのような手法は本発明のセンサープレート(円盤状部材)では不要であり、それ故に、本発明のセンサープレート(円盤状部材)においては、製造コストを安価に抑えることが可能ならしめられるのである。
【0021】
ところで、本実施形態に係るセンサープレート10については、例えば、以下に示す手順に従うことにより、製造することが可能である。
【0022】
先ず、ボス部14を形成するための三種類の金属製プレス加工板(18a、18b、18c)と、周縁部に複数のセンサー感知部20を有する金属製円盤12とを準備する。なお、金属製プレス加工板18a、18b、18c及び金属製円盤12を構成する金属材料は、特に限定されるものではなく、例えば、鉄やその各種合金等を使用することが可能である。
【0023】
第一の金属製プレス加工板18aは、図7(a)及び(b)に示されているように、各々が等間隔で配置されている4つの孔24を有すると共に、内周面側の一部には、第二の金属製プレス加工板18b及び第三の金属製プレス加工板18cと積層されることによってキー溝22を形成することとなる凹所26が形成されてなる、全体として円環形状を呈するものである。
【0024】
また、第二の金属製プレス加工板18bは、図8(a)及び(b)に示されているように、全体として円環形状を呈しているところ、加工板の一方の面上に突出する4つのかしめ部28が、各々、等間隔で設けられていると共に、内周面側の一部には、第一の金属製プレス加工板18aと同様に、第一の金属製プレス加工板18a及び第三の金属製プレス加工板18cと積層されることによってキー溝22を形成することとなる凹所30が形成されている。なお、第二の金属製プレス加工板18b上に設けられた4つのかしめ部28は、各々、第一の金属製プレス加工板18aと積層した際に、かかる第一の金属製プレス加工板18aの孔24の各々との間において、かしめ固定が可能となるような位置に配置されており、また、かしめ固定が可能な大きさ及び形状とされている。
【0025】
さらに、第三の金属製プレス加工板18cは、図9(a)、(b)、(c)及び(d)から明らかなように、全体として円環形状を呈しているものであって、第二の金属製プレス加工板18bと同様に、加工板の一方の面上に突出する4つのかしめ部32が各々、等間隔で設けられ、また、内周面側の一部には、第一の金属製プレス加工板18a及び第二の金属製プレス加工板18bと同様に、第二の金属製プレス加工板と積層されることによってキー溝22を形成することとなる凹所34が形成されている。なお、第三の金属製プレス加工板18c上に設けられた4つのかしめ部32は、各々、第二の金属製プレス加工板18bと積層した際に、かかる第二の金属製プレス加工板18bのかしめ部28の各々との間において、かしめ固定が可能となるような位置に配置されており、また、かしめ固定が可能な大きさ及び形状とされている。加えて、第三の金属製プレス加工板18cの底面(裏面)には、後述する金属製円盤12に対して圧入され得るように、4つの圧入凹部36が、周縁部にそれぞれ等間隔で設けられている。
【0026】
なお、上述した三種類の金属製プレス加工板のうち、第一の金属製プレス加工板18aについては、従来より公知の各種手法に従い、図7(a)及び(b)に示される形状を呈する金属板材を作製した後に、かかる金属板材に対して厚さ方向においてプレス加工を実施することにより、厚さの調整を行なうことによって、製造することが可能である。また、第二の金属製プレス加工板18b(第三の金属製プレス加工板18c)については、従来より公知の各種手法に従い、図8(a)及び(b)(図9(a)、(b)、(c)及び(d))に示される形状を呈する金属板材を作製した後に、かかる金属板材に対して厚さ方向においてプレス加工を実施し、厚さの調整を行なった後、従来より公知の手法に従って4つのかしめ部28(32)を形成することにより、製造することが可能である。加えて、かしめ部28(32)の形成を、プレス加工による厚さの調整と同時に行なうことも可能であり、厚さ調整及びかしめ部形成を一つの工程(プレス加工)で実施することにより、工程の短縮化及び製造コストの低減化を図ることが可能である。なお、プレス加工の際の各種条件は、金属材料の種類、形状や厚さ等に応じて適宜に決定されることとなる。
【0027】
一方、金属性円盤12は、図10(a)、(b)及び(c)から明らかなように、その外周縁部には、径方向外方に突出する複数のセンサー感知部20を有していると共に、その内周縁部には、前述した第三の金属製プレス加工板18cが圧入され得るように、4つの圧入凸部38が、それぞれ等間隔に設けられている。
【0028】
そのような構成を有する金属製円盤12は、従来より公知の各種手法に従って製造することが可能である。本発明においては、上述した金属製プレス加工板(18a、18b、18c)と同様に、図10(a)、(b)及び(c)に示される形状を有する金属板材を作製した後、かかる金属板材に対して厚さ方向においてプレス加工を実施し、厚さの調整を行なうことが好ましい。プレス加工によって厚さが調整された金属製円盤を用いることによって、本発明に係るセンサープレートについては、その高さ(金属製円盤の底面から、最上に位置する金属製プレス加工板の頂面までの高さ)を、より高精度なものとすることが可能ならしめられるのである。
【0029】
次いで、以上の如くして準備された金属製プレス加工板(18a、18b、18c)を用いて、一枚の第一の金属製プレス加工板18aと、四枚の第二の金属製プレス加工板18bと、一枚の第三の金属製プレス加工板18cの一枚とを、この順序において各々の厚さ方向に積層し、かかる状態で積層プレス加工を実施する。これにより、各金属プレス加工板は、図5及び図6に示されるように相互にかしめ固定されるのであり、以て、六枚の金属製プレス加工板からなる積層体が得られるのである。
【0030】
そして、得られた積層体を、その底面側(第三の金属製プレス加工板18cの底面側)より、金属製円盤12の上面に向かって圧入することにより、目的とするセンサープレート10が得られることとなるのである。
【0031】
以上、本発明の代表的な実施形態の一つについて詳述してきたが、本発明は、上述した具体的記述に何等、限定されるものでないことは、明らかなところである。
【0032】
例えば、上述した実施形態に係るセンサープレート(回転盤部材)においては、円環形状の金属製プレス加工板の複数からなる積層体が、円盤に対して、圧入せしめられることによって一体化されて、構成されているが、円盤上に金属製プレス加工板と同様のかしめ部を設けることにより、円盤と、複数の金属製プレス加工板からなる積層体とを一体化せしめるようにすることも可能である。
【0033】
また、上述した実施形態においては、ボス部が、3種類の金属製プレス加工板18a、18b、18cを用いて形成されているが、それらのうちの2種類のものを用いて、具体的には、第一の金属製プレス加工板18a及び第三の金属製プレス加工板18cを用いて積層体(ボス部)を形成し、その積層体(ボス部)を金属製円盤12に圧入することにより、センサープレートとすることも可能である。
【0034】
さらに、本発明の他の実施形態に係るクランクシャフト用センサープレートとして、図11乃至図14に示されるセンサープレート40を例示することができる。尚、以下のセンサープレート40の説明において、前述した実施形態と同一の部材及び部位については、先の実施形態において付した符号と同一の符号を付すものとし、詳細な説明は省略することとする。
【0035】
図11乃至図14より明らかなように、センサープレート40におけるボス部42は、第二の金属製プレス加工板18bの五枚と、第四の金属製プレス加工板18dの一枚とを用いて、それら複数の金属製プレス加工板が相互にかしめ固定された積層体にて構成されている。
【0036】
ここで、第四の金属製プレス加工板18dは、図17(a)及び(c)に示されるように、各々が等間隔で配置されている4つの孔44を有すると共に、その内周面側の一部には、第二の金属製プレス加工板18bと積層されることによってキー溝22を形成することとなる凹所46が形成されてなる、全体として円環形状を呈するものである。なお、第四の金属製プレス加工板18dにおける4つの孔44は、各々、第二の金属製プレス加工板18bと積層した際に、かかる第二の金属製プレス加工板18bの4つのかしめ部の各々との間において、かしめ固定が可能となるような位置に配置されており、また、かしめ固定が可能な大きさ及び形状とされている。加えて、第四の金属製プレス加工板18dの底面(裏面)には、金属製円盤12に対して圧入され得るように、4つの圧入凹部48が、周縁部にそれぞれ等間隔で設けられている(図17(b)及び(c)参照)。
【0037】
ボス部42の形成に際しては、第二の金属製プレス加工板18bの五枚と、第四の金属製プレス加工板18dの一枚とを積層し、その状態で積層プレス加工を実施する。これにより、それら複数の金属製プレス加工板は相互にかしめ固定され(図15及び図16参照)、以て、六枚の金属製プレス加工板の積層体からなるボス部42が得られるのである。
【0038】
そして、得られた積層体(ボス部42)を、その底面側(第四の金属製プレス加工板18dの底面側)より、金属製円盤12の上面に向かって圧入することにより、センサープレート40が得られるのである。
【0039】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そしてそのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0040】
10 センサープレート 12 金属製円盤
14 ボス部 16 挿通孔
18a 第一の金属製プレス加工板 18b 第二の金属製プレス加工板
18c 第三の金属製プレス加工板 20 センサー感知部
22 キー溝 24 孔
26、30、34 凹所 28、32 かしめ部
36 圧入凹部 38 圧入凸部
40 センサープレート 42 ボス部
44 孔 46 凹所
48 圧入凹部
図1
図2
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