【解決手段】所定の事象が発生したときに鳴動通知を行う鳴動通知部を備え、印刷処理中の印刷動作音を抑制する静音動作モードが設定可能な画像形成装置において、印刷動作音を抑制する静音動作モードがON状態のときに鳴動通知がON状態となった鳴動通知ジョブを入力すると、入力したタイミングではジョブを実行せず、静音動作モードが終了した時点で実行するようにする。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態によって本発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などは全て本発明の範疇に含まれるものとする。
【0016】
なお、本明細書において、添付する各図を参照した以下の説明において、方向乃至位置を示すために上、下、左、右の語を使用した場合、これはユーザが各図を図示の通りに見た場合の上、下、左、右に一致する。
【0017】
[装置構成について]
図1又は
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、印刷媒体となる用紙に対して画像形成する装置である。画像形成装置1は、給紙部10と、搬送部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50と、記憶部60と、制御部70と、設定表示部80と、画像読取部90と、鳴動通知部100とを備え、印刷ジョブを入力すると、ジョブ内容に応じて制御部70が各部を駆動制御してジョブを実行する。
【0018】
本形態の画像形成装置1は、印刷方式として印刷媒体となる用紙の印刷面にインクを吐出するインクジェット方式を用いたインクジェット印刷装置として説明する。しかしながら、画像形成装置1の構成として入力した印刷ジョブに従って印刷媒体に所望の画像が形成可能な構成を有する装置であればよい。そのため、インクジェット印刷装置の他に、孔版印刷装置、レーザプリンタ、印刷に関する各種機能(コピー機能、プリント機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能)を複合的に備えたMFP(デジタル複合機:Multi-Functional Peripheral )などを採用してもよい。
【0019】
また、本実施形態の画像形成装置1が実行する印刷ジョブは、例えばインターネット(Internet)、LAN(Local Area Network)などの通信ネットワークや、外部端末と画像形成装置1とを直接接続した専用回線を介して受信される情報であり、外部端末で事前に印刷条件(印刷枚数、印刷データ(文字、画像)、片面/両面印刷、カラー設定(単色、多色)、出力倍率など)が設定された情報である。また、印刷ジョブは、紙媒体である原稿を画像読取部90で読み取り、読み取った原稿データを基に設定表示部80で適宜印刷条件が設定された情報であってもよい。
【0020】
さらに、本実施形態の画像形成装置1は、印刷処理時における所定の生産性が確保されるように印刷時のインク吐出処理や用紙搬送処理を行いつつ、所定の事象が発生したときの通知(部数毎の通知、印刷終了時の通知などの印刷処理を効率的に行うための通知)として表示通知や鳴動通知を行う「標準動作モード」と、標準動作モードと比較して用紙の搬送速度(又は画像形成速度)を減速して作動させる「静音動作モード」の2つの動作モードが設定可能となっている。
【0021】
画像形成装置1の動作モードとして、通常稼働時は標準動作モードを設定しておき、会議や休憩時間などの印刷処理時に発生する機器動作音(用紙搬送時のモータ駆動音やファン駆動音)を抑制させたい時間帯となったときに、静音動作モードに切り替わるように設定されている。或いは、所定時間だけ静かにしたいときに、終了時間を指定して静音動作モードを設定できるようになっている。
【0022】
より具体的には、静音動作モードは、開始/終了時刻設定(例えば、会議が行われる午前9時から午前11時までの2時間)又は時間設定(例えば今から1時間で終了)について設定表示部80を操作して任意に設定可能となっている。なお、静音動作モードは、画像形成装置1の稼働時間の中で所定時間のみ設定されるモードであり、常時設定されるモードではない。よって、画像形成装置1が静音動作モードで動作している場合、通常、その静音動作モードの前後は標準動作モードで稼働することになる。
【0023】
図1に示すように、画像形成装置1の筐体内には、印刷媒体となる用紙の搬送経路として循環経路R1が設定されている。この循環経路R1は、画像形成された用紙を排紙部40まで搬送する通常経路R2と、表面に画像形成された用紙における搬送方向の前後を入れ換えた後、再び通常経路R2に戻すための反転経路R3から構成される閉ループ状の循環路である。用紙は、この循環経路R1を図示反時計回り方向に搬送される途中で画像形成され、必要に応じて反転経路R3を通過してスイッチバックされる。 また、循環経路R1における印刷部30の上流側は、給紙部10との間を接続する給紙経路R4が接続されている。
【0024】
―給紙部―
給紙部10は、搬送経路の最も上流側に配置され、印刷部30に用紙を給送する。給紙部10は、一部が筐体の外部に露出して設置される外部給紙台11と、外部給紙台11に積載された用紙を1枚ずつピックアップして印刷部30に給送する外部給紙ローラ12と、装置筐体内に配置され異なるサイズの用紙がサイズ毎に積載される複数の内部給紙台13と、内部給紙台13に積載された用紙のうち指定された用紙を1枚ずつピックアップして印刷部30に給送する複数の内部給紙ローラ14とを備えている。なお、外部給紙ローラ12と内部給紙ローラ14は、それぞれ図示しないモータにより駆動される。
【0025】
―搬送部―
搬送部20は、循環経路R1内で用紙を所定方向に搬送する。搬送部20は、給紙経路R4と反転経路R3との合流地点近傍に配置されたレジストローラ21を備えている。このレジストローラ21は、給紙部10又は反転部50から搬送されてきた用紙を一旦止めた後、所定のタイミングで印刷部30に向けて搬送する。
【0026】
また、搬送部20は、駆動ローラ22aと従動ローラ22bに掛け渡された無端状の吸引搬送ベルトの裏面側に設けた吸引手段22cで用紙をベルト上にエアー吸引しながら搬送するベルト搬送手段22を備えている。ベルト搬送手段22は、印刷部30の下方に配置され、レジストローラ21から搬送されてきた用紙を吸引搬送ベルト上に吸着保持して搬送する。ベルト搬送手段22の移動速度(つまり、用紙の搬送速度)は、印刷ジョブの内容に適した搬送速度となるように、例えば従動ローラ22bに設けられるエンコーダ(図示せず)の出力に基づき、制御部70が駆動ローラに接続される駆動モータ(図示せず)の回転数を制御する。
【0027】
また、搬送部20は、複数対の搬送ローラで構成された上面搬送ローラ23を複数備えている。この上面搬送ローラ23は、ベルト搬送手段22により搬送されてきた用紙を通常経路R2に沿って右方向から左方向へとUターンするように搬送する。なお、レジストローラ21及び上面搬送ローラ23は、それぞれ図示しないモータにより駆動される。
【0028】
―印刷部―
印刷部30は、用紙の搬送方向である副走査方向と直交する主走査方向に沿って千鳥状に複数配置したヘッドブロックを有する複数色のインク(例えば、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の4色)と対応したライン型のインクジェットヘッドが主走査方向に沿って互いに平行配置されたヘッドユニット31を備えている。印刷部30は、給紙部10から搬送された用紙の印刷面に対し、印刷ジョブに従って所定のインクジェットヘッドからインクを吐出して印刷を行う。
【0029】
―排紙部―
排紙部40は、通常経路R2の下流端と接続され、印刷済みの用紙を排紙する。排紙部40は、排紙された用紙が積載する排紙台41と、上面搬送ローラ23により搬送されてきた用紙を搬送して排紙台41へ排紙する排紙ローラ42とを備えている。
【0030】
―反転部―
反転部50は、反転経路R3内に設けられ、通常経路R2から搬送された片面印刷された用紙の表裏を反転した後、反転経路R3を搬送しながら搬送方向の前後を入れ換える方向反転処理をしてレジストローラ21まで搬送する。
【0031】
反転部50は、上面搬送ローラ23により搬送されてきた用紙をスイッチバック部52に一時的に搬入した後に搬出して、再給紙ローラ53へと搬送する反転ローラ51と、用紙を一時的に搬入するための空間であるスイッチバック部52と、反転ローラ51により搬送されてきた用紙をレジストローラ21へ搬送する再給紙ローラ53と、上面搬送ローラ23から搬送されてきた用紙を反転ローラ51へとガイドするとともに反転ローラ51によりスイッチバック部52から搬出される用紙を再給紙ローラ53へとガイドする切替ゲート54とを備えている。なお、反転ローラ51と再給紙ローラ53は、それぞれ図示しないモータにより駆動される。
【0032】
―記憶部―
記憶部60は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置や、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive )などの補助記憶装置で構成されており、主に画像形成装置1の各部を駆動するのに必要な各種情報(コンピュータプログラムやアプリケーションソフトウェアなど)を適宜記憶する。
【0033】
―制御部―
制御部70は、例えばCPU(Central Processing Unit )などのプロセッサで構成され、記憶部60に記憶されるコンピュータプログラムや各種アプリケーションソフトウェアを読み込んでプログラム処理することで、印刷ジョブに基づく処理(画像形成装置1を構成する各部の駆動制御や各種制御に必要な演算処理など)を行う印刷処理機能を備えている。
【0034】
なお、制御部70は、図示しないインターフェース部を内蔵しており、通信ネットワークや専用回線経由で図示しない外部端末から印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブを記憶部60に記憶させる。
【0035】
また、制御部70は、設定された動作モードに応じて印刷ジョブを適宜実行するための動作モード処理機能を備えている。
【0036】
ここで、印刷ジョブの実行時における動作モード処理機能の処理内容について説明する。本実施形態の画像形成装置1では、上述したように「標準動作モード」と「静音動作モード」の2つの動作モードが設定可能となっている。
【0037】
<標準動作モード>
標準動作モードは、画像形成装置形成1の稼働中に標準設定される動作モードである。標準動作モードのときは、印刷動作音を抑制する必要がないため、入力した印刷ジョブの設定内容に従って印刷ジョブを実行する。すなわち、印刷ジョブ作成時に設定された各種設定項目に従い、印刷処理時に所定の生産性が確保されるように、印刷処理速度を減速せずに実行する。また、印刷処理を効率的に行うためのブザー鳴動による通知、さらには表示設定部80による表示通知も行う。
【0038】
<静音動作モード>
静音動作モードは、画像形成装置1の稼働時間のうち、設定された時間帯(時刻、時間)にのみ切り替わるモードである。そして、標準動作モードから静音動作モードに切り替わると、下記に示す処理形態に基づいて印刷ジョブが実行される。
【0039】
なお、各処理形態で実施される印刷ジョブは、ユーザに対する通知方法としてブザー鳴動による通知が設定された印刷ジョブ(以下、「鳴動通知ジョブ」という)と、ブザー鳴動による通知が設定されていない印刷ジョブ(以下、「鳴動非通知ジョブ」という)の2種類とする。
【0040】
(処理形態1)
処理形態1は、
図3に示すように、標準動作モードから静音動作モードに切り替わり、静音動作モードON状態のときに鳴動通知ジョブが入力されると、このジョブを実行せず、静音動作モードが終了した時点でジョブを実行する。また、鳴動非通知ジョブが入力された場合は、入力時の動作モードに左右されず入力したタイミングで実行する。
【0041】
さらに、静音動作モードがON状態のときに入力された鳴動通知ジョブは、静音動作モードがOFF状態となると、入力した順で順次実行される。
【0042】
なお、静音動作モード中に待機している鳴動通知ジョブは、静音動作モードがOFF状態に切り替わったときに鳴動非通知ジョブよりも優先して実行される。つまり、静音動作モードがOFF状態となったタイミングで鳴動非通知ジョブが入力されたときに鳴動通知ジョブが待機状態の場合は、待機している鳴動通知ジョブの実行が優先される。
【0043】
また、静音動作モード中に鳴動通知ジョブが入力されると、設定表示部80の表示画面上に、鳴動設定をOFF状態にしてジョブを実行するか否かの選択画面が表示される。よって、鳴動通知ジョブを設定したユーザは、この表示内容を確認し、鳴動通知ジョブを鳴動非通知ジョブとして実行させる場合は、設定表示部80から鳴動設定の変更操作を行って、ジョブを実行させることができる。
【0044】
(処理形態2)
処理形態2は、
図4に示すように静音動作モードがON状態のとき、静音動作モードの設定時間(以下、「静音設定時間」という)中に入力した鳴動通知ジョブの実行方法を切り替えるための判断基準となる設定切替時間を設定し、鳴動通知ジョブの入力タイミングから静音動作モードの終了までの残り時間が、設定切替時間より長いか否かでジョブの処理方法を可変する。
【0045】
ここで、静音設定時間とは、会議が行われる時刻(例えば毎週月曜日の午前9時〜午前11時)や、休憩時間(例えば昼休憩であれば1時間)といったように、画像形成装置1の稼働時間帯を示す時間である。この静音設定時間は、設定表示部80を所定操作して任意に設定される情報である。つまり、開始時刻及び終了時刻を設定する方法と、終了時間(設定が終了した時点から静音動作モードが終了するまでの時間)を設定する方法がある。
【0046】
また、設定切替時間とは、鳴動通知ジョブの鳴動設定をOFF状態にして鳴動非通知ジョブとして処理を行う否かを判断するための所定の時間である。
【0047】
処理形態2において、静音動作モードがON状態で、鳴動通知ジョブが入力され、その入力タイミングから静音動作モードの終了までの残り時間が設定切替時間より長い場合には、鳴動通知ジョブの鳴動設定がOFF(キャンセル)され、鳴動非通知ジョブに切り替えて実行される。
また、静音動作モードがON状態で、鳴動通知ジョブが入力され、その入力タイミングから静音動作モードの終了までの残り時間が設定切替時間より短い場合には、静音動作モードがOFF状態となるまで待機させ、静音動作モードがOFF状態に切り替わった時点から鳴動通知ジョブが順次実行される。
【0048】
例えば、静音設定時間が午前9時〜午前11時で設定され、設定切替時間が15分で設定されたとする。
この場合、午前9時〜午前10時44分までに入力された鳴動通知ジョブは、鳴動通知ジョブの鳴動設定をOFF(キャンセル)状態にし、ジョブ入力された時点で実行される。また、10時45分以降に入力された鳴動通知ジョブは、鳴動通知ジョブとして処理される。すなわち、処理形態1と同様に、ジョブ入力時点では実行されず、静音動作モードがOFF状態となった時点で実行される。
【0049】
なお、鳴動非通知ジョブが入力された場合は、入力時の動作モードに限らず、入力したタイミングでジョブが実行される。また、静音動作モード中に待機している鳴動通知ジョブは、静音動作モードがOFF状態に切り替わったときに鳴動非通知ジョブよりも優先して実行される。つまり、静音動作モードがOFF状態となったタイミングで鳴動非通知ジョブが入力されたときに鳴動通知ジョブが待機状態の場合は、待機している鳴動通知ジョブの実行が優先される。
【0050】
ところで、上記処理形態1、2において、標準動作モードの残り時間よりも鳴動通知ジョブの実行時間の方が長い場合、標準動作モード中に入力された鳴動通知ジョブは、入力したタイミングで実行されるが、ジョブ実行中に静音動作モードに切り替わると、動作モードに従ってブザー鳴動がOFFとなってしまう。
【0051】
そこで、制御部70は、まず入力された鳴動通知ジョブの実行に要する時間(ジョブ実行時間)を算出するとともに、標準動作モードから静音動作モードに切り替わるまでの残り時間(モード切替残時間)を算出する。そして、算出した算出したジョブ実行時間と、モード切替残時間とを比較する。
比較した結果、モード切替残時間よりもジョブ実行時間の方が長い場合は、
図5(b)に示すように設定表示部80の表示画面上に、鳴動通知ジョブの実行に関する選択項目を表示させる。
図5(b)の表示例では、鳴動通知をOFF状態にして印刷を実行するか、又は実行するジョブを中止するかの2つの項目が表示され、鳴動設定をOFFにしてジョブを実行する項目を選択した例が示されている。
【0052】
この処理では、ユーザに対し、鳴動通知ジョブ実行中に動作モードが切り替わってブザー鳴動がOFFとなることを通知し、鳴動通知ジョブの鳴動設定をOFF状態にしてジョブを実行するか、又はジョブ自体を中止するかをユーザに選択させ、その選択結果に応じた処理を実行する。
【0053】
―設定表示部―
設定表示部80は、例えば操作キーや表示/入力パネルなどで構成される入力機器であり、筐体外側に設けられている。設定表示部80は、ユーザによる印刷ジョブの設定の他、画像形成装置1の駆動に必要な各種設定情報を設定する際に所定操作されると、その操作信号が制御部70に出力される。また、設定表示部80は、例えば
図5(b)に示すようなジョブ実行における確認事項の選択項目画面表示などのメッセージ表示を行う。
【0054】
―画像読取部―
画像読取部90は、原稿を照射する光を発する光源や、原稿からの反射光を受光して光電変換するCCDイメージセンサなどを有し、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成する。画像読取部90は、コピー機能及びスキャナ機能の使用時において、原稿の読み取りを行う。
【0055】
−鳴動通知部−
鳴動通知部100は、アラームやブザーなどの鳴動機器で構成される。鳴動通知部100は、機器異常が発生したときに、エラー内容に応じた鳴動通知を行う。また、鳴動通知部100は、鳴動通知ジョブで設定された通知タイミングや通知内容に合わせて適宜鳴動通知を行う。なお、鳴動通知部100による鳴動時の設定内容(例えば、音量、音の種類(単音/複音)、鳴動回数、鳴動タイミングなど)は適宜設定可能となっている。
【0056】
[処理動作について]
次に、上述した画像形成装置1における静音動作モード時の処理動作について
図6〜8を参照しながら説明する。画像形成装置1の実際の稼働時には、下記の処理動作1〜3の何れかの処理動作が実行される。画像形成装置1の記憶部60には、予め設定した処理動作を記憶しておく。
【0057】
なお、下記の処理動作1、2は、上述した処理形態1に基づく処理動作であり、処理動作3は、上述した処理形態2に基づく処理動作であり、印刷ジョブはユーザPCから入力されるものとする。
【0058】
<処理動作1>
図6において、処理動作1は、まず、ユーザPCで印刷条件が設定された印刷ジョブを入力する(ST1)。次に、入力した印刷ジョブが鳴動通知ジョブであるか否かの判断を行う(ST2)。
【0059】
このとき、印刷ジョブが鳴動通知ジョブであった場合(ST2−Yes)は、次に現在の動作モードが静音動作モードであるか否かを判断する(ST3)。
【0060】
一方、印刷ジョブが鳴動通知ジョブでない場合(ST2−No)は、入力した印刷ジョブに設定された印刷条件に従ってジョブを実行し(ST4)、処理を終了する。
【0061】
ST3において、動作モードが静音動作モードであった場合(ST3−Yes)は、鳴動通知ジョブを実行せず、再度ST3に戻る。
上述した処理形態1は、静音動作モード中に鳴動通知ジョブを実行せず、静音動作モードから標準動作モードに切り替わった時点でジョブを実行する処理である。よって、ST3−Yesから再度ST3へ戻る処理は、静音動作モードから標準動作モードに切り替わるまでジョブ実行を待機している状態を示している。
【0062】
一方、動作モードが静音動作モードでない場合(ST3−No)は、動作モードが標準動作モードであるため、入力した鳴動通知ジョブの印刷条件に従ってジョブを実行し(ST4)、処理を終了する。
鳴動通知ジョブには、所定の事象(例えば部数毎の印刷終了時やジョブ終了時)毎にブザー鳴動されるように設定されているため、ジョブ実行中に所定処理が終了するとブザー鳴動による通知が行われる。
【0063】
<処理動作2>
図7において、処理動作2は、まず、ユーザPCで印刷条件が設定された印刷ジョブを入力する(ST11)。次に、入力した印刷ジョブが鳴動通知ジョブであるか否かの判断を行う(ST12)。
【0064】
このとき、印刷ジョブが鳴動通知ジョブであった場合(ST12−Yes)は、次に現在の動作モードが静音動作モードであるか否かを判断する(ST13)。
【0065】
一方、印刷ジョブが鳴動通知ジョブでない場合(ST12−No)は、入力した印刷ジョブに設定された印刷条件に従ってジョブを実行し(ST14)、処理を終了する。
【0066】
ST13において、動作モードが静音動作モードであった場合(ST13−Yes)は、鳴動通知ジョブの鳴動設定をOFF状態で実行するか否かの判断を行う(ST15)。
【0067】
一方、動作モードが静音動作モードでなかった場合(ST13−No)は、動作モードが標準動作モードであるため、入力した鳴動通知ジョブの印刷条件に従ってジョブを実行し(ST14)、処理を終了する。
【0068】
ST15において、鳴動通知ジョブの鳴動設定をOFF状態にしてジョブを実行すると判断した場合は(ST15−Yes)、鳴動通知ジョブの鳴動設定をOFF状態にしてジョブを実行し(ST16)、処理を終了する。
【0069】
一方、鳴動通知ジョブの鳴動設定をOFF状態にしてジョブを実行しないと判断した場合は(ST15−No)、鳴動通知ジョブを実行せず、再度ST13に戻る。この処理は、上述した処理動作1の「ST3−Yes」の判断後の処理と同様である。
【0070】
ST15の判断は、設定表示部80の表示画面上に表示された表示内容をユーザが確認し、鳴動設定をOFF状態にするか否かの選択結果に基づくものである。また、設定表示部80からの選択に限らず、プリンタドライバによりユーザPCの画面上に確認表示させ、その確認画面からの選択結果を反映してもよい。
【0071】
なお、設定表示部80の表示画面上に上記ユーザ選択の表示をした際、ユーザが「鳴動設定をOFF状態にする」という選択をせず、所定時間何も操作しない場合には「鳴動設定をOFF状態にしてジョブを実行しない」と判断することになる。
【0072】
<処理動作3>
図8において、処理動作3は、まず、ユーザPCで印刷条件が設定された印刷ジョブを入力する(ST21)。次に、入力した印刷ジョブが鳴動通知ジョブであるか否かの判断を行う(ST22)。
【0073】
このとき、印刷ジョブが鳴動通知ジョブであった場合(ST22−Yes)は、次に現在の動作モードが静音動作モードであるか否かを判断する(ST23)。
【0074】
一方、印刷ジョブが鳴動通知ジョブでない場合(ST22−No)は、入力した印刷ジョブに設定された印刷条件に従ってジョブを実行し(ST24)、処理を終了する。
【0075】
ST23において、動作モードが静音動作モードであった場合(ST23−Yes)は、鳴動通知ジョブの入力タイミングから静音動作モードの終了までの残り時間(以下、「残り時間」と略す)を制御部70で算出し、この残り時間が設定切替時間より長いか否かを制御部70で判定する(ST25)。
【0076】
一方、動作モードが静音動作モードでなかった場合(ST23−No)は、動作モードが標準動作モードであるため、入力した鳴動通知ジョブの印刷条件に従ってジョブを実行し(ST24)、処理を終了する。
【0077】
ST25において、前記残り時間が設定切替時間よりも長い場合(ST25−Yes)は、鳴動設定をOFF状態にしてジョブを実行し(ST26)、処理を終了する。
【0078】
一方、前記残り時間が設定切替時間よりも短い場合(ST25−No)は、再度ST23に戻る。つまり、静音動作モードがOFF状態になるまで入力した鳴動通知ジョブを待機させる処理であり、上述した処理動作1の「ST3−Yes」の判断後の処理と同様である。
【0079】
以上説明したように、上述した画像形成装置1は、印刷動作音を抑制する静音動作モード時における第1の処理形態として、鳴動通知がON状態となった鳴動通知ジョブを入力したときはジョブを実行せず、静音動作モードが終了した時点で実行する。
【0080】
また、静音動作モード時における第2の処理形態として、鳴動通知ジョブが入力されてから静音動作モードが終了するまでの残り時間と、予め設定された設定切替時間との大小を判断し、前記残り時間が設定切替時間より長い時は鳴動通知ジョブの鳴動設定をOFF状態にして入力したタイミングで実行し、前記残り時間が設定切替時間より短い時は、ジョブを実行せず静音動作モードが終了した時点で実行する。
【0081】
これにより、処理形態1、2共に、静音動作モード中には印刷動作音を抑制しつつ、静音動作モード時に入力された鳴動通知ジョブを中止せずに実行させることができる。また、処理形態1では、静音動作モードのとき入力した鳴動通知ジョブについて、ユーザの意志によって鳴動設定をOFF状態にして実行するか否かの判断によってジョブの実行方法を決めることができる。
【0082】
さらに、処理形態2では、鳴動通知ジョブが入力されてから静音動作モードが終了するまでの時間が設定切替時間より長くなる場合に、当該鳴動通知ジョブが鳴動設定をOFF状態にして即実行されるため、静音動作モードが始まった直後に入力したジョブなど、動作モードが切り替わるまでジョブ実行を待たなくて済むため、生産性を確保することができる。
【0083】
[その他の実施形態について]
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下に示すように使用環境等に応じて適宜変更して実施することもできる。また、以下の変形例を本発明の要旨を逸脱しない範囲の中で任意に組み合わせて実施することもできる。
【0084】
上述した形態において、静音動作モード時における処理形態2は、静音設定時間が設定されており、鳴動通知ジョブの入力タイミングから静音動作モードが終了するまでの時間が設定切替時間より長い場合は鳴動設定をOFF状態にしてジョブを実行するが、下記の処理機能を追加することもできる。
【0085】
例えば処理形態2において、静音動作モード中に入力した鳴動通知ジョブのジョブ実行時間を算出し、また鳴動通知ジョブが入力された時点での該モードの残り時間を算出し、鳴動通知ジョブのジョブ実行時間が静音動作モードの残り時間よりも長い場合、静音動作モードが終了した時点から鳴動設定をOFFからONに切り替えるようにすることもできる。このような処理を実行させる場合、上述した鳴動通知ジョブの実行時間と静音動作モードの残り時間の比較によって鳴動設定のON/OFF切替処理が実行可能なように設定された鳴動通知ジョブを、ジョブ作成元となる画像形成装置1又はプリンタドライバがインストールされたユーザPCで作成すればよい。
【0086】
そして、上記設定を行った印刷ジョブを作成することで、入力したタイミングでジョブが実行されるが、静音動作モード中はブザー音による鳴動通知は行なわず、静音動作モードがOFF状態となったときにブザー音による鳴動通知が行われるようになる。よって、例えば作製部数の多いジョブの場合など静音設定時間よりも明らかにジョブ実行時間が長い印刷ジョブの場合、設定した全てのブザー鳴動が抑制されずにある程度ユーザの利便性が考慮されるようになる。