いわゆる二材成形法に用いられる射出成形機Mの第1の金型M1および第2の金型M2の温度を調節するための温度調節装置1において、高温水を供給可能である高温ユニット5と、低温水を供給可能である低温ユニット4と、中温水を供給可能である中温ユニットとを設け、射出成形機Mの回転体Rが第1位置に配置されているときに、高温ユニット5または低温ユニット4によって、第1の金型M1の温度を調節し、かつ、中温ユニット6によって、第2の金型M2の温度を調節し、回転体Rが第2位置に配置されているときに、高温ユニット5および低温ユニット4によって、第2の金型M2の温度を調節し、かつ、中温ユニット6によって、第1の金型M1の温度を調節する。
第1の樹脂を射出するための第1射出部と、第2の樹脂を射出するための第2射出部と、第1の金型と第2の金型とを支持し、前記第1射出部が前記第1の金型に前記第1の樹脂を射出可能であり、前記第2射出部が前記第2の金型に前記第2の樹脂を射出可能である第1位置と、前記第1射出部が前記第2の金型に前記第1の樹脂を射出可能であり、前記第2射出部が前記第1の金型に前記第2の樹脂を射出可能である第2位置との間を回転可能な回転体とを備える射出成形機に用いられ、前記第1の金型および前記第2の金型の温度を調節するための温度調節装置であって、
第1媒体を供給可能である第1ユニットと、
前記第1媒体よりも低い温度の第2媒体を供給可能である第2ユニットと、
第3媒体を供給可能である第3ユニットと
を備え、
前記回転体が前記第1位置に配置されているときに、前記第1ユニットは、前記第1の金型の流路に、前記第1媒体を供給可能であり、前記第2ユニットは、前記第1の金型の前記流路に、前記第2媒体を供給可能であり、前記第3ユニットは、前記第2の金型の流路に、前記第3媒体を供給可能であり、
前記回転体が前記第2位置に配置されているときに、前記第1ユニットは、前記第2の金型の前記流路に、前記第1媒体を供給可能であり、前記第2ユニットは、前記第2の金型の前記流路に、前記第2媒体を供給可能であり、前記第3ユニットは、前記第1の金型の前記流路に、前記第3媒体を供給可能であることを特徴とする、温度調節装置。
前記第1の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第1位置に配置されているときに、前記第1の金型の前記流路に供給される前記第1媒体または前記第2媒体が流れる第1供給配管と、
前記第2の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第1位置に配置されているときに、前記第2の金型の前記流路に供給される前記第3媒体が流れる第2供給配管と、
前記第2の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第2位置に配置されているときに、前記第2の金型の前記流路に供給される前記第1媒体または前記第2媒体が流れる第3供給配管と、
前記第1の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第2位置に配置されているときに、前記第1の金型の前記流路に供給される前記第3媒体が流れる第4供給配管と
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の温度調節装置。
前記第1の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第1位置に配置されているときに、前記第1の金型の前記流路から排出された前記第1媒体または前記第2媒体が流れる第1排出配管と、
前記第2の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第1位置に配置されているときに、前記第2の金型の前記流路から排出された前記第3媒体が流れる第2排出配管と、
前記第2の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第2位置に配置されているときに、前記第2の金型の前記流路から排出された前記第1媒体または前記第2媒体が流れる第3排出配管と、
前記第1の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第2位置に配置されているときに、前記第1の金型の前記流路から排出された前記第3媒体が流れる第4排出配管と
を備えることを特徴とする、請求項2に記載の温度調節装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような二材成形用の射出成形機において、使用する樹脂材の材質に応じて、樹脂材を射出するときには、金型を高温に保ち、その後、冷却する等、冷却の仕方を最適化したい場合がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、樹脂の性質に応じて、冷却の仕方を最適化することができる温度調節装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明は、第1の樹脂を射出するための第1射出部と、第2の樹脂を射出するための第2射出部と、第1の金型と第2の金型とを支持し、前記第1射出部が前記第1の金型に前記第1の樹脂を射出可能であり、前記第2射出部が前記第2の金型に前記第2の樹脂を射出可能である第1位置と、前記第1射出部が前記第2の金型に前記第1の樹脂を射出可能であり、前記第2射出部が前記第1の金型に前記第2の樹脂を射出可能である第2位置との間を回転可能な回転体とを備える射出成形機に用いられ、前記第1の金型および前記第2の金型の温度を調節するための温度調節装置であって、第1媒体を供給可能である第1ユニットと、前記第1媒体よりも低い温度の第2媒体を供給可能である第2ユニットと、第3媒体を供給可能である第3ユニットとを備え、前記回転体が前記第1位置に配置されているときに、前記第1ユニットは、前記第1の金型の流路に、前記第1媒体を供給可能であり、前記第2ユニットは、前記第1の金型の前記流路に、前記第2媒体を供給可能であり、前記第3ユニットは、前記第2の金型の流路に、前記第3媒体を供給可能であり、前記回転体が前記第2位置に配置されているときに、前記第1ユニットは、前記第2の金型の前記流路に、前記第1媒体を供給可能であり、前記第2ユニットは、前記第2の金型の前記流路に、前記第2媒体を供給可能であり、前記第3ユニットは、前記第1の金型の前記流路に、前記第3媒体を供給可能である、温度調節装置である。
【0007】
このような構成によれば、回転体が第1位置に配置されているときには、第1の金型の流路に、第1媒体と、第1媒体よりも低い温度の第2媒体とを選択的に供給することができる。また、回転体が第2位置に配置されているときには、第1の金型の流路に、第3媒体を供給することができる。
【0008】
これにより、第1の金型について、例えば、第1媒体によって第1の金型の温度を調節した状態で、第1の金型に第1の樹脂を射出し、その後、第2媒体によって第1の金型を冷却して、第1の樹脂からなる部分を成形した後、第3媒体によって第1の金型の温度を調節した状態で、第1の金型に第2の樹脂を射出することができる。
【0009】
また、第2の金型についても同様に、回転体が第2位置に配置されているときには、第2の金型の流路に、第1媒体と、第1媒体よりも低い温度の第2媒体とを選択的に供給することができる。また、回転体が第1位置に配置されているときには、第2の金型の流路に、第3媒体を供給することができる。
【0010】
これにより、第2の金型についても、例えば、第1媒体によって第2の金型の温度を調節した状態で、第2の金型に第1の樹脂を射出し、その後、第2媒体によって第2の金型を冷却して、第1の樹脂からなる部分を成形した後、第3媒体によって第2の金型の温度を調節した状態で、第2の金型に第2の樹脂を射出することができる。
【0011】
このように、第1の樹脂および第2の樹脂のそれぞれの性質に応じて、冷却の仕方を最適化することができる。
[2]本発明は、前記第1の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第1位置に配置されているときに、前記第1の金型の前記流路に供給される前記第1媒体または前記第2媒体が流れる第1供給配管と、前記第2の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第1位置に配置されているときに、前記第2の金型の前記流路に供給される前記第3媒体が流れる第2供給配管と、前記第2の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第2位置に配置されているときに、前記第2の金型の前記流路に供給される前記第1媒体または前記第2媒体が流れる第3供給配管と、前記第1の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第2位置に配置されているときに、前記第1の金型の前記流路に供給される前記第3媒体が流れる第4供給配管とを備える、上記[1]に記載の温度調節装置を含む。
【0012】
このような構成によれば、回転体が第1位置に配置されているときには、第1供給配管を介して、第1媒体および第2媒体を第1の金型の流路に供給し、第2供給配管を介して、第3媒体を第2の金型の流路に供給できる。
【0013】
また、回転体が第2位置に配置されているときには、第3供給配管を介して、第1媒体および第2媒体を第2の金型の流路に供給し、第4供給配管を介して、第3媒体を第1の金型の流路に供給できる。
[3]本発明は、前記第1の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第1位置に配置されているときに、前記第1の金型の前記流路から排出された前記第1媒体または前記第2媒体が流れる第1排出配管と、前記第2の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第1位置に配置されているときに、前記第2の金型の前記流路から排出された前記第3媒体が流れる第2排出配管と、前記第2の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第2位置に配置されているときに、前記第2の金型の前記流路から排出された前記第1媒体または前記第2媒体が流れる第3排出配管と、前記第1の金型の前記流路に接続され、前記回転体が前記第2位置に配置されているときに、前記第1の金型の前記流路から排出された前記第3媒体が流れる第4排出配管とを備える、上記[2]に記載の温度調節装置を含む。
【0014】
このような構成によれば、回転体が第1位置に配置されているときには、第1排出配管を介して、第1媒体および第2媒体を第1の金型の流路から排出し、第2排出配管を介して、第3媒体を第2の金型の流路から排出できる。
【0015】
また、回転体が第2位置に配置されているときには、第3排出配管を介して、第1媒体および第2媒体を第2の金型の流路から排出し、第4排出配管を介して、第3媒体を第1の金型の流路から排出できる。
[4]本発明は、前記第1排出配管および前記第3排出配管に接続されるとともに、前記第1ユニットに接続される第5排出配管と、前記第1排出配管および前記第3排出配管に接続されるとともに、前記第2ユニットに接続される第6排出配管とを備える、上記[3]に記載の温度調節装置を含む。
【0016】
このような構成によれば、第1の金型の流路から第1排出配管に排出された媒体を、第5排出配管を介して第1ユニットに戻すか、または、第6排出配管を介して第2ユニットに戻すか、選択することができる。
【0017】
また、第2の金型の流路から第3排出配管に排出された媒体についても、第5排出配管を介して第1ユニットに戻すか、または、第6排出配管を介して第2ユニットに戻すか、選択することができる。
[5]本発明は、前記温度調節装置の動作を制御するための制御部を備え、前記制御部が、前記回転体が前記第1位置に配置されていると判断したときに、前記第1の金型の流路に、前記第1媒体を供給する第1ステップと、前記第1ステップの後に、前記第1の金型の流路に、前記第2媒体を供給する第2ステップと、前記第2ステップの後に、前記回転体が前記第2位置に配置されていると判断したときに、前記第1の金型の流路に、前記第3媒体を供給する第3ステップとを実行する、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の温度調節装置を含む。
【0018】
このような構成によれば、第1の金型について、第1ステップにおいて、第1媒体によって第1の金型の温度を調節できる。その後、第2ステップにおいて、第2媒体によって第1の金型を冷却できる。さらに、その後、第3ステップにおいて、第3媒体によって第1の金型の温度を調節できる。
[6]本発明は、前記制御部が、前記第2ステップにおいて、前記第1の金型の流路に前記第2媒体を供給するとともに、前記第1の金型の流路から排出された前記第1媒体を前記第1ユニットに戻す回収ステップと、前記回収ステップの後に、前記第1の金型の流路に前記第2媒体を供給するとともに、前記第1の金型の流路から排出された前記第2媒体を前記第2ユニットに戻す循環ステップとを実行する、上記[5]に記載の温度調節装置を含む。
【0019】
このような構成によれば、回収ステップにより、第1の金型の流路から排出された第1媒体を第1ユニットに戻した後、循環ステップにより、第2媒体を、第1の金型の流路と第2ユニットとの間で循環することができる。
【0020】
これにより、第1の金型の流路から排出された第1媒体が第2ユニットに戻される場合と比べて、第1媒体の熱を効率よく利用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、第1の樹脂および第2の樹脂のそれぞれの性質に応じて、冷却の仕方を最適化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る温度調節装置1(
図2参照)は、
図1に示す射出成形機Mに用いられる。
【0024】
後で詳しく説明するが、射出成形機Mは、異なる樹脂からなる複数(具体的には2つ)の部分を複合させながら成形する、いわゆる二材成形法に用いられる射出成形機である。射出成形機Mは、第1の樹脂を射出する第1射出部I1と、第2の樹脂を射出する第2射出部I2と、第1の金型M1と、第2の金型M2と、第1の金型M1および第2の金型M2を支持する回転体Rとを備える。
【0025】
回転体Rは、第1位置(
図4A参照)と第2位置(
図5A参照)との間を回転可能である。回転体Rが第1位置に配置されているとき、第1射出部I1は、第1の金型M1に第1の樹脂を射出可能であり、第2射出部I2は、第2の金型M2に第2の樹脂を射出可能である。また、回転体Rが第2位置に配置されているときに、第1射出部I1は、第2の金型M2に第1の樹脂を射出可能であり、第2射出部I2は、第1の金型M1に第2の樹脂を射出可能である。
【0026】
また、射出成形機Mは、第1の金型M1の温度を調節するための媒体が流れる流路R1と、第2の金型M2の温度を調節するための媒体が流れる流路R2とを備える。流路R1は、流入口P1と、流出口P2とを備える。流路R2は、流入口P3と、流出口P4とを備える。
【0027】
図2に示すように、温度調節装置1は、射出成形機Mの第1の金型M1および第2の金型M2の温度を調節するための装置である。温度調節装置1は、本体2と、配管部3とを備える。
【0028】
本体2は、第2ユニットの一例としての低温ユニット4と、第1ユニットの一例としての高温ユニット5と、第3ユニットの一例としての中温ユニット6とを備える。
【0029】
低温ユニット4は、タンク11と、熱交換器12と、配管13Aと、配管13Bと、配管14と、配管15と、配管16とを備える。
【0030】
タンク11は、第1の金型M1および第2の金型M2の温度を調節するための媒体を貯留する。媒体としては、例えば、工業用水などの水を用いることができる。なお、以下の説明において、媒体は、水であるものとする。タンク11は、低温側11Aと高温側11Bとに仕切られている。なお、低温側11Aと高温側11Bとは、下端部で連通されており、互いに同じ水位に保たれる。低温側11Aには、第2媒体の一例としての低温水が貯留される。高温側11Bには、射出成形機Mから戻された水が貯留される。低温水の設定温度は、例えば、7℃以上、好ましくは、10℃以上である。また、低温水の設定温度は、例えば、45℃以下、好ましくは、30℃以下である。
【0031】
熱交換器12は、例えば、対向流型の熱交換器である。熱交換器12には、外部から冷却水が供給される。冷却水としては、例えば、工業用水などを用いることができる。冷却水は、熱交換器12内の冷却側流路12A内を流れる。また、熱交換器12には、タンク11の高温側11Bから配管13Aを介して被冷却側流路12Bに水が供給される。供給された水は、被冷却側流路12Bを流れるときに、冷却側流路12A内の冷却水との熱交換により冷却される。これにより、熱交換器12は、タンク11の高温側11Bから被冷却側流路12Bに供給された水を冷却し、低温水を調製する。得られた低温水は、配管13Bを介してタンク11の低温側11Aに供給される。
【0032】
配管13Aは、タンク11の高温側11B内の水を熱交換器12の被冷却側流路12Bに供給するための配管である。配管13Aの一端は、タンク11の高温側11Bに接続される。配管13Aの他端は、被冷却側流路12Bの入口に接続される。配管13Aは、一端と他端との間において、ポンプ13Cを備える。
【0033】
配管13Bは、被冷却側流路12Bから流出した低温水をタンク11の低温側11Aに供給するための配管である。配管13Bの一端は、被冷却側流路12Bの出口に接続される。配管13Bの他端は、タンク11の低温側11Aに接続される。
【0034】
配管14は、タンク11内の低温水を本体2の外へ流出させるための配管である。配管14の一端は、タンク11の低温側11Aに接続される。配管14の他端14Aは、本体2の外に露出している。配管14は、一端と他端14Aとの間において、ポンプ14Bおよびポンプ14Cを備える。ポンプ14Cは、ポンプ14Bと他端14Aとの間に配置されている。ポンプ14Bとポンプ14Cとは、互いに間隔を隔てて配置されている。
【0035】
配管15は、射出成形機Mからの水をタンク11へ戻すための配管である。配管14の一端15Aは、本体2の外に露出している。配管15の他端は、タンク11の高温側11Bに接続される。
【0036】
配管16は、配管14と配管15とをバイパスするための配管である。配管16の一端は、ポンプ14Cと配管14の他端14Aとの間において、配管14に接続される。配管16の他端は、配管15に接続される。配管16の途中には、バイパスバルブV1が介在される。バイパスバルブV1は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0037】
高温ユニット5は、ヒータユニット21と、配管22と、配管23と、配管24とを備える。
【0038】
ヒータユニット21は、複数(具体的には4つ)のタンク21Aを備える。複数のタンク21Aには、それぞれ、第1媒体の一例としての高温水が貯留される。詳しくは、複数のタンク21Aには、それぞれ、ヒータ21Bが設けられている。ヒータ21Bは、タンク21Aに貯留された水を加熱する。これにより、ヒータユニット21は、低温水よりも高温の高温水を調製する。高温水の設定温度は、例えば、120℃以上、好ましくは、140℃以上である。また、高温水の設定温度は、例えば、170℃以下、好ましくは、150℃以下である。なお、複数のタンク21Aは、水平方向に並んでおり、互いに直列的に接続されている。
【0039】
配管22は、ヒータユニット21内の高温水を本体2の外へ流出させるための配管である。配管22の一端は、複数のタンク21Aのうち、水平方向において最も一方側に配置されるタンク21Aに接続される。配管22の他端22Aは、本体2の外に露出している。配管22は、一端と他端22Aとの間において、ポンプ22Bを備える。
【0040】
配管23は、射出成形機Mからの水をヒータユニット21へ戻すための配管である。配管23の一端23Aは、本体2の外に露出している。配管23の他端は、複数のタンク21Aのうち、水平方向において最も他方側に配置されるタンク21Aに接続される。
【0041】
配管24は、配管22と配管23とをバイパスするための配管である。配管24の一端は、配管22に接続される。配管24の他端は、配管23に接続される。配管24の途中には、バイパスバルブV2が介在される。バイパスバルブV2は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0042】
中温ユニット6は、ヒータユニット31と、配管32と、配管33と、配管34とを備える。
【0043】
ヒータユニット31は、複数(具体的には2つ)のタンク31Aを備える。複数のタンク31Aには、それぞれ、第3媒体の一例としての中温水が貯留される。詳しくは、複数のタンク31Aには、それぞれ、ヒータ31Bが設けられている。ヒータ31Bは、タンク31Aに貯留された水を加熱する。これにより、ヒータユニット31は、低温水よりも高温、かつ、高温水よりも低温の中温水を調製する。中温水の設定温度は、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上である。また、中温水の設定温度は、例えば、80℃以下、好ましくは、70℃以下である。なお、複数のタンク31Aは、水平方向に並んでおり、互いに直列的に接続されている。
【0044】
配管32は、ヒータユニット31内の中温水を本体2の外へ流出させるための配管である。配管32の一端は、複数のタンク31Aのうち、水平方向において最も一方側に配置されるタンク31Aに接続される。配管32の他端32Aは、本体2の外に露出している。配管32は、一端と他端32Aとの間において、ポンプ32Bを備える。
【0045】
配管33は、射出成形機Mからヒータユニット31へ水を戻すための配管である。配管33の一端33Aは、本体2の外に露出している。配管33の他端は、複数のタンク31Aのうち、水平方向において最も他方側に配置されるタンク31Aに接続される。
【0046】
配管34は、配管32と配管33とをバイパスするための配管である。配管34の一端は、配管32に接続される。配管34の他端は、配管33に接続される。配管34の途中には、バイパスバルブV3が介在される。バイパスバルブV3は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0047】
また、本体2は、配管41と、配管42と、複数(具体的には3つ)の熱回収タンク43とを備える。
【0048】
配管41は、低温水を中温ユニット6のヒータユニット31に供給するための配管である。配管41の一端は、ポンプ14Bとポンプ14Cとの間において、配管14に接続される。配管41の他端は、複数のタンク31Aのうち、水平方向において最も他方側に配置されるタンク31Aに接続される。
【0049】
配管42は、余剰の中温水を低温ユニット4のタンク11に戻すための配管である。配管42の一端は、複数のタンク31Aのうち、水平方向において最も一方側に配置されるタンク31Aに接続される。配管42の他端は、タンク11の高温側11B内に配置される。配管42の途中には、配管44を介して、高温ユニット5のヒータユニット21が接続される。詳しくは、配管44の一端は、ヒータユニット21の複数のタンク21Aのうち、水平方向において最も一方側に配置されるタンク21Aに接続される。また、配管44の他端は、配管42の途中に接続される。これにより、余剰の高温水も、配管42を介して低温ユニット4のタンク11に戻すことができる。
【0050】
複数の熱回収タンク43は、高温ユニット5に設けられる。複数の熱回収タンク43は、水平方向に並んでおり、互いに直列的に接続されている。複数の熱回収タンク43のうち、水平方向において最も一方側に配置される熱回収タンク43は、配管45を介して、高温ユニット5のヒータユニット21に接続される。複数の熱回収タンク43のうち、水平方向において最も他方側に配置される熱回収タンク43は、配管46を介して、配管41に接続される。
【0051】
配管部3は、本体2と射出成形機Mとを繋ぐための複数の配管を備える。詳しくは、配管部3は、第1供給配管51、第2供給配管52、第3供給配管53、第4供給配管54、第5供給配管55、第6供給配管56、第1排出配管61、第2排出配管62、第3排出配管63、第4排出配管64、第5排出配管65および第6排出配管66を備える。
【0052】
第1供給配管51は、射出成形機Mの流路R1に、低温水または高温水を供給するための配管である。第1供給配管51の一端は、流路R1の流入口P1に接続される。これにより、第1供給配管51は、第1の金型M1の流路R1に接続される。第1供給配管51の他端には、切り替えバルブV11が設けられている。切り替えバルブV11は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0053】
第2供給配管52は、射出成形機Mの流路R2に、中温水を供給するための配管である。第2供給配管52の一端は、流路R2の流入口P3に接続される。これにより、第2供給配管52は、第2の金型M2の流路R2に接続される。第2供給配管52の他端には、切り替えバルブV12が設けられている。切り替えバルブV12は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0054】
第3供給配管53は、射出成形機Mの流路R2に、低温水または高温水を供給するための配管である。第3供給配管53の一端は、第2供給配管52と合流し、流路R2の流入口P3に接続される。これにより、第3供給配管53は、第2の金型M2の流路R2に接続される。第3供給配管53の他端には、切り替えバルブV13が設けられている。切り替えバルブV13は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0055】
第4供給配管54は、射出成形機Mの流路R1に、中温水を供給するための配管である。第4供給配管54の一端は、第1供給配管51と合流し、射出成形機Mの流路R1の流入口P1に接続される。これにより、第4供給配管54は、第1の金型M1の流路R1に接続される。第4供給配管54の他端には、切り替えバルブV14が設けられている。切り替えバルブV14は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0056】
第5供給配管55は、第1供給配管51または第3供給配管53に、高温水を供給するための配管である。第5供給配管55の一端は、第1供給配管51および第3供給配管53に接続される。第5供給配管55の他端は、高温ユニット5の配管22の他端22Aに接続される。第5供給配管55の途中には、切り替えバルブV15が設けられている。切り替えバルブV15は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0057】
第6供給配管56は、第1供給配管51または第3供給配管53に、低温水を供給するための配管である。第6供給配管56の一端は、第1供給配管51および第3供給配管53に接続される。第6供給配管56の他端は、低温ユニット4の配管14の他端14Aに接続される。第6供給配管56の途中には、切り替えバルブV16が設けられている。切り替えバルブV16は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0058】
第1排出配管61は、射出成形機Mの流路R1から排出された水を低温ユニット4または高温ユニット5へ戻すための配管である。第1排出配管61の一端は、流路R1の流出口P2に接続される。これにより、第1排出配管61は、第1の金型M1の流路R1に接続される。第1排出配管61の他端には、切り替えバルブV17が設けられている。切り替えバルブV17は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0059】
第2排出配管62は、射出成形機Mの流路R2から排出された水を中温ユニット6へ戻すための配管である。第2排出配管62の一端は、流路R2の流出口P4に接続される。これにより、第2排出配管62は、第2の金型M2の流路R2に接続される。第2排出配管62の他端には、切り替えバルブV18が設けられている。切り替えバルブV18は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0060】
第3排出配管63は、射出成形機Mの流路R2から排出された水を低温ユニット4または高温ユニット5へ戻すための配管である。第3排出配管63の一端は、第2排出配管62と合流し、流路R2の流出口P4に接続される。これにより、第3排出配管63は、第2の金型M2の流路R2に接続される。第3排出配管63の他端には、切り替えバルブV19が設けられている。切り替えバルブV19は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0061】
第4排出配管64は、射出成形機Mの流路R1から排出された水を中温ユニット6へ戻すための配管である。第4排出配管64の一端は、第1排出配管61と合流し、流路R1の流出口P2に接続される。これにより、第4排出配管64は、第1の金型M1の流路R1に接続される。第4排出配管64の他端には、切り替えバルブV20が設けられている。切り替えバルブV20は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0062】
第5排出配管65は、流路R1から第1排出配管61に排出された水、または、流路R2から第3排出配管63に排出された水を、高温ユニット5に戻すための配管である。第5排出配管65の一端は、第1排出配管61および第3排出配管63に接続される。第5排出配管65の他端は、高温ユニット5の配管23の一端23Aに接続される。第5排出配管65の途中には、切り替えバルブV21が設けられている。切り替えバルブV21は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0063】
第6排出配管66は、流路R1から第1排出配管61に排出された水、または、流路R2から第3排出配管63に排出された水を、低温ユニット4に戻すための配管である。第6排出配管66の一端は、第1排出配管61および第3排出配管63に接続される。第6排出配管66の他端は、低温ユニット4の配管15の一端15Aに接続される。第6排出配管66の途中には、切り替えバルブV22が設けられている。切り替えバルブV22は、空気作動弁であり、後述する制御部81の制御により、自動で開閉される。
【0064】
また、
図3に示すように、温度調節装置1は、制御部81を備える。制御部81は、制御パネル82と制御基板83とを備える。制御パネル82と制御基板83とは、電気的に接続されている。
【0065】
制御パネル82は、例えば、本体2の外面に配置されている。制御パネル82には、温度調節装置1の動作状態や、低温ユニット4、高温ユニット5および中温ユニット6の設定温度を設定するための設定画面が表示される。また、制御パネル82には、ユーザが設定温度を入力可能である。
【0066】
制御基板83は、温度調節装置1の動作を制御するためのプログラムが格納されるメモリや、メモリに格納されたプログラムを実行するための演算装置を備える。また、制御基板83は、射出成形機M、各バイパスバルブV1〜V3、および、各切り替えバルブV11〜V22に電気的に接続される。これにより、制御部81は、射出成形機Mからの信号を受けて、各バイパスバルブV1〜V3、および、各切り替えバルブV11〜V22を開閉することができる。各バイパスバルブV1〜V3、および、各切り替えバルブV11〜V22は、第1の金型M1または第2の金型M2に対する高温水、低温水および中温水の供給を切り換えるための切替手段を構成する。
【0067】
次いで、
図4Aから
図5Cを参照して、射出成形機Mの成形動作について説明する。
【0068】
射出成形機Mは、
図5Cに示すように、第1の樹脂からなる部分A1と、第1の樹脂とは異なる第2の樹脂からなる部分A2とを複合的に備える成形品Aを成形する。
【0069】
まず、射出成形機Mは、
図4Aに示すように、回転体Rを第1位置に配置する。このとき、第1の金型M1は、第1射出部I1と対向する。また、第2の金型M2は、第2射出部I2と対向する。
【0070】
次いで、射出成形機Mは、
図4Bに示すように、第1の金型M1を閉じるとともに、第2の金型M2を閉じる。そして、射出成形機Mは、第1射出部I1により、第1の金型M1に第1の樹脂を射出する。
【0071】
第1の金型M1に第1の樹脂が射出された後、第1の金型M1が冷却されることにより、第1の金型M1に、部分A1が成形される。
【0072】
次いで、射出成形機Mは、
図4Cに示すように、第1の金型M1を開くとともに、第2の金型M2を開き、その後、
図5Aに示すように、回転体Rを第2位置に配置する。これにより、第1の金型M1は、第2射出部I2と対向する。また、第2の金型M2は、第1射出部I1と対向する。
【0073】
次いで、
図5Bに示すように、第1の金型M1を閉じるとともに、第2の金型M2を閉じる。なお、このとき、部分A1が第1の金型M1に載置されている状態で、第1の金型を閉じる。
【0074】
そして、射出成形機Mは、第1射出部I1により、第2の金型M2に第1の樹脂を射出する。また、射出成形機Mは、第2射出部I2により、第1の金型M1に第2の樹脂を射出する。このとき、第1の金型M1には、部分A1と接触するように、第2の樹脂が射出される。
【0075】
その後、第1の金型M1が冷却されることにより、第1の金型M1に、部分A1と部分A2とが複合した成形品Aが成形される。
【0076】
また、このとき、第2の金型M2が冷却されることにより、第2の金型M2に、部分A1が成形される。なお、第2の金型M2の部分A1には、回転体Rが再度第1位置に配置され、第2の樹脂が第2の金型M2に射出されることにより、部分A2が複合される。
【0077】
このように、射出成形機Mは、回転体Rを第1位置と第2位置との間で繰り返し回転させながら、まず、第1の樹脂からなる部分A1を成形し、次いで、第2の樹脂からなる部分A2を、部分A1と複合するように成形する。
【0078】
次いで、
図6から
図18を参照しながら、温度調節装置1の動作について説明する。
【0079】
上記した成形動作において、回転体Rが第1位置に配置されているとき(
図4A参照)には、射出成形機Mから制御基板83に原点信号が入力されている。これにより、制御部81は、回転体Rが第1位置に配置されていると判断する。
【0080】
次いで、射出成形機Mが第1の金型M1および第2の金型M2を閉じると(
図4B参照)、射出成形機Mから制御基板83に昇温開始信号が入力される。
【0081】
すると、制御部81は、
図6に示す時点t1において、第1の金型M1の流路R1に高温水を供給する第1ステップを実行する。第1ステップでは、後述する低温熱回収ステップと、高温循環ステップとが順次実行される。
【0082】
図7に示すように、高温循環ステップでは、温度調節装置1は、高温ユニット5から第1の金型M1の流路R1に高温水を供給するとともに、流路R1から排出された水を高温ユニット5に戻す。高温循環ステップを開始するときには、制御部81は、切り替えバルブV15,V11を開く。これにより、高温ユニット5から、第5供給配管55および第1供給配管51を介して、第1の金型M1の流路R1に、高温水が供給される。また、このとき、制御部81は、切り替えバルブV17,V21を開く。これにより、第1の金型M1の流路R1を通過した高温水は、第1排出配管61および第5排出配管65を介して、高温ユニット5へ戻される。第1の金型M1の流路R1内を高温水が通過することにより、第1の金型M1が加熱される。
【0083】
また、このとき、制御部81は、切り替えバルブV12を開く。これにより、中温ユニット6から、第2供給配管52を介して、第2の金型M2の流路R2に、中温水が供給される。また、このとき、制御部81は、切り替えバルブV18を開く。これにより、第2の金型M2の流路R2を通過した中温水は、第2排出配管62を介して、中温ユニット6へ戻される。第2の金型M2の流路R2内を中温水が通過することにより、第2の金型M2が加熱される。第2の金型M2には、時点t1から後述する時点t6までの間、中温水が供給される。
【0084】
また、このとき、制御部81は、切り替えバルブV15、V11、V17、V21、V12、V18以外の切り替えバルブを、閉じる。
【0085】
また、このとき、制御部81は、低温ユニット4のバイパスバルブV1を開き、高温ユニット5のバイパスバルブV2および中温ユニット6のバイパスバルブV3を閉じる。これにより、低温水は、配管14、配管16および配管15を介して、低温ユニット4内で循環する。
【0086】
次いで、
図6に示すように、第1の金型M1の温度が目標の温度(具体的には、140℃)に到達すると、制御部81は、高温循環ステップを終了し、時点t2において、射出成形機Mに昇温完了信号を出力する。なお、昇温完了信号は、ユーザの設定により、高温循環ステップが開始された後、所定の時間が経過した後に、出力されてもよい。
【0087】
また、
図8に示すように、制御部81は、昇温完了信号を出力した後、切り替えバルブV15,V21を閉じ、バイパスバルブV2を開く。これにより、高温ユニット5から第1の金型M1の流路R1への高温水の供給が停止し、高温水は、配管22、配管24および配管23を介して、高温ユニット5内で循環する。
【0088】
その後、射出成形機Mは、第1の金型M1に第1の樹脂を射出する(
図4B参照)。
【0089】
次いで、第1の金型M1に対する第1の樹脂の射出が完了すると、射出成形機Mから制御基板83に降温開始信号が入力される。
【0090】
すると、制御部81は、第1の金型M1の流路R1に低温水を供給する第2ステップを実行する。第2ステップでは、回収ステップとしての高温熱回収ステップと、循環ステップとしての低温循環ステップとが順次実行される。高温熱回収ステップでは、温度調節装置1は、低温ユニット4から第1の金型M1の流路R1に低温水を供給するとともに、流路R1から排出された水を高温ユニット5に戻す。また、低温循環ステップでは、温度調節装置1は、低温ユニット4から第1の金型M1の流路R1に低温水を供給するとともに、流路R1から排出された水を低温ユニット4に戻す。
【0091】
制御部81は、
図6に示す時点t3において、高温熱回収ステップを開始する。高温熱回収ステップを開始するときには、
図9に示すように、制御部81は、切り替えバルブV16,V21を開き、バイパスバルブV1を閉じる。これにより、低温ユニット4から、第6供給配管56および第1供給配管51を介して、第1の金型M1の流路R1に、低温水が供給される。第1の金型M1の流路R1内に低温水が流入することにより、第1の金型M1が冷却される。また、第1の金型M1の流路R1内に溜まっていた高温水は、第1排出配管61および第5排出配管65を介して、高温ユニット5に戻される。なお、高温ユニット5に戻された高温水は、配管23を介してヒータユニット21に回収され、さらに、配管45を介して、熱回収タンク43に回収される。
【0092】
次いで、
図6に示すように、第1の金型M1の温度が目標の温度(具体的には、130℃)に到達すると、制御部81は、時点t4において、高温熱回収ステップを終了し、低温循環ステップを開始する。なお、低温循環ステップは、ユーザの設定により、高温熱回収ステップが開始された後、所定の時間が経過した後に、開始されてもよい。
【0093】
低温循環ステップを開始するときには、
図10に示すように、制御部81は、切り替えバルブV21を閉じ、切り替えバルブV22を開く。これにより、第1の金型M1の流路R1を通過した低温水は、第1排出配管61および第6排出配管66を介して、低温ユニット4へ戻される。第1の金型M1の流路R1内を低温水が通過することにより、さらに、第1の金型M1が冷却される。
【0094】
次いで、
図6に示すように、第1の金型M1の温度が目標の温度(具体的には、40℃)に到達すると、制御部81は、低温循環ステップを終了し、時点t5において、射出成形機Mに降温完了信号を出力する。なお、降温完了信号は、ユーザの設定により、低温循環ステップが開始された後、所定の時間が経過した後に、出力されてもよい。
【0095】
図11に示すように、制御部81は、降温完了信号を出力した後、切り替えバルブV16,V22を閉じ、バイパスバルブV1を開く。これにより、低温ユニット4から第1の金型M1の流路R1への低温水の供給が停止し、低温水は、配管14、配管16および配管15を介して、低温ユニット4内で循環する。
【0096】
その後、上記したように、射出成形機Mは、第1の金型M1および第2の金型M2を開き(
図4C参照)、回転体Rを第2位置に配置させて(
図5A参照)、第1の金型M1および第2の金型M2を閉じる(
図5B参照)。
【0097】
回転体Rが第2位置に配置されることにより、射出成形機Mから制御基板83に対する原点信号の入力が解除される。これにより、制御部81は、回転体Rが第2位置に配置されていると判断する。
【0098】
すると、
図6に示すように、制御部81は、時点t6において、第1の金型M1の流路R1に中温水を供給する第3ステップを実行する。
【0099】
第3ステップを開始するときには、
図12に示すように、制御部81は、切り替えバルブV14,V20を開き、切り替えバルブV12,V18,V11,V17を閉じる。これにより、中温水は、第4供給配管54を介して、第1の金型M1の流路R1に供給される。また、第1の金型M1の流路R1を通過した中温水は、第4排出配管64を介して、中温ユニット6へ戻される。第1の金型M1の流路R1内を中温水が通過することにより、第1の金型M1が加熱される。
【0100】
次いで、
図6に示すように、第1の金型M1の温度が目標の温度(具体的には、70℃)に到達すると、制御部81は、時点t7において、射出成形機Mに昇温完了信号を出力する。すると、射出成形機Mは、第1の金型M1に第2の樹脂を射出する。なお、第1の金型M1の流路R1には、第2の樹脂が射出された後においても、中温水が供給される。これにより、第1の金型M1は、第2の樹脂が射出された後、その温度(すなわち、70℃)で保温される。
【0101】
なお、時点t6の後、第2の金型M2は、上記した第1の金型M1と同様に、高温水によって加熱された後、第1の樹脂が射出され、その後、低温水によって冷却される。
【0102】
詳しくは、制御部81は、時点t6において、第2の金型M2について、低温熱回収ステップを実行する。
【0103】
第2の金型M2についての低温熱回収ステップでは、
図12に示すように、温度調節装置1は、高温ユニット5から第2の金型M2の流路R2に高温水を供給するとともに、流路R2から排出された水を低温ユニット4に戻す。第2の金型M2についての低温熱回収ステップを開始するには、制御部81は切り替えバルブV15,V13,V19,V22を開き、バイパスバルブV2を閉じる。これにより、高温ユニット5から、第5供給配管55および第3供給配管53を介して、第2の金型M2の流路R2に、高温水が供給される。第2の金型M2の流路R2内に高温水が流入することにより、第2の金型M2が加熱される。また、第2の金型M2の流路R2内に溜まっていた中温水は、第3排出配管63および第6排出配管66を介して、低温ユニット4に戻される。なお、低温ユニット4に戻された中温水は、配管15を介してタンク11の高温側11Bに回収される。
【0104】
その後、制御部81は、第2の金型M2の温度が目標の温度(具体的には、80℃)に到達すると、第2の金型M2について、高温循環ステップを実行する。
【0105】
第2の金型M2についての高温循環ステップでは、
図13に示すように、温度調節装置1は、高温ユニット5から第2の金型M2の流路R2に高温水を供給するとともに、流路R2から排出された水を高温ユニット5に戻す。第2の金型M2についての高温循環ステップを開始するには、制御部81は、切り替えバルブV21を開き、切り替えバルブV22を閉じる。なお、切り替えバルブV21,V22の切り替えは、ユーザの設定により、時点t6の後、所定の時間が経過した後に、開始されてもよい。これにより、第2の金型M2の流路R2を通過した高温水は、第3排出配管63および第5排出配管65を介して、高温ユニット5へ戻される。第2の金型M2の流路R2内を高温水が通過することにより、さらに、第2の金型M2が加熱される。
【0106】
その後、第2の金型M2の温度が目標の温度(具体的には、140℃)に到達すると、制御部81は、
図14に示すように、切り替えバルブV15,V21を閉じるとともに、バイパスバルブV2を開く。これにより、高温ユニット5から第2の金型M2の流路R2への高温水の供給が停止し、高温水は、配管22、配管24および配管23を介して、高温ユニット5内で循環する。
【0107】
その後、第2の金型M2に第1の樹脂が射出された後、制御部81は、第2の金型M2について、高温熱回収ステップを実行する。
【0108】
第2の金型M2についての高温熱回収ステップでは、
図15に示すように、温度調節装置1は、低温ユニット4から第2の金型M2の流路R2に低温水を供給するとともに、流路R2から排出された水を高温ユニット5に戻す。第2の金型M2についての高温熱回収ステップを開始するときには、制御部81は、切り替えバルブV16,V21を開き、バイパスバルブV1を閉じる。これにより、低温ユニット4から、第6供給配管56および第3供給配管53を介して、第2の金型M2の流路R2に、低温水が供給される。第2の金型M2の流路R2内に低温水が流入することにより、第2の金型M2が冷却される。また、第2の金型M2の流路R2内に溜まっていた高温水は、第3排出配管63および第5排出配管65を介して、高温ユニット5に戻される。
【0109】
次いで、第2の金型M2の温度が目標の温度(具体的には、130℃)に到達すると、制御部81は、
図16に示すように、第2の金型M2について、高温熱回収ステップを終了し、低温循環ステップを開始する。第2の金型M2についての低温循環ステップでは、温度調節装置1は、低温ユニット4から第2の金型M2の流路R2に低温水を供給するとともに、流路R2から排出された水を低温ユニット4に戻す。第2の金型M2についての低温循環ステップを開始するときには、制御部81は、切り替えバルブV21を閉じ、切り替えバルブV22を開く。これにより、第2の金型M2の流路R2を通過した低温水は、第3排出配管63および第6排出配管66を介して、低温ユニット4へ戻される。第2の金型M2の流路R2内を低温水が通過することにより、さらに、第2の金型M2が冷却される。
【0110】
次いで、第2の金型M2の温度が目標の温度(具体的には、40℃)に到達すると、制御部81は、第2の金型M2についての低温循環ステップを終了する。
【0111】
第2の金型M2についての低温循環ステップを終了するには、
図17に示すように、制御部81は、切り替えバルブV16,V22を閉じ、バイパスバルブV1を開く。これにより、低温ユニット4から第2の金型M2の流路R2への低温水の供給が停止し、低温水は、配管14、配管16および配管15を介して、低温ユニット4内で循環する。
【0112】
その後、射出成形機Mは、第2の金型M2の冷却が完了した後、第1の金型M1および第2の金型M2を開く(
図5C参照)。そして、完成した成形品Aが第1の金型M1から取り出された後、射出成形機Mは、再度、回転体Rを第1位置に配置させて、第1の金型M1および第2の金型M2を閉じる。すると、射出成形機Mから制御基板83に昇温開始信号が入力される。
【0113】
すると、制御部81は、
図6に示す時点t0において、第1の金型M1について、低温熱回収ステップを実行する。
【0114】
第1の金型M1についての低温熱回収ステップを開始するには、
図18に示すように、制御部81は、切り替えバルブV15,V11,V17,V22,V12,V18,を開き、切り替えバルブV13,V19,V14,V20およびバイパスバルブV2を閉じる。これにより、高温ユニット5から、第5供給配管55および第1供給配管51を介して、第1の金型M1の流路R1に、高温水が供給される。第1の金型M1の流路R1内に高温水が流入することにより、第1の金型M1が加熱される。また、第1の金型M1の流路R1内に溜まっていた中温水は、第1排出配管61および第6排出配管66を介して、低温ユニット4に戻される。
【0115】
また、中温ユニット6から、第2供給配管52を介して、第2の金型M2の流路R2に、中温水が供給される。第2の金型M2の流路R2を通過した中温水は、第2排出配管62を介して、中温ユニット6に戻される。
【0116】
その後、制御部81は、第1の金型M1の温度が目標の温度に到達すると、上記したように、第1の金型M1について、再度、高温循環ステップを実行する。
【0117】
このように、温度調節装置1は、射出成形機Mの第1の金型M1および第2の金型M2の温度を調節する。
【0118】
この温度調節装置1によれば、
図7および
図10に示すように、回転体Rが第1位置に配置されているとき(
図4B参照)には、第1の金型M1の流路R1に、高温水と低温水とを選択的に供給することができる。また、
図12に示すように、回転体Rが第2位置に配置されているとき(
図5B)には、第1の金型M1の流路R1に、中温水を供給することができる。
【0119】
これにより、第1の金型M1について、高温水によって第1の金型M1の温度を調節した状態で、
図4Bに示すように、第1の金型M1に第1の樹脂を射出し、その後、低温水によって第1の金型M1を冷却して、第1の樹脂からなる部分A1を成形した後、中温水によって第1の金型の温度を調節した状態で、
図5Bに示すように、第1の金型M1に第2の樹脂を射出することができる。
【0120】
また、第2の金型M2についても同様に、
図13および
図16に示すように、回転体Rが第2位置に配置されているとき(
図5B)には、第2の金型M2の流路R2に、高温水と低温水とを選択的に供給することができる。また、
図7に示すように、回転体Rが第1位置に配置されているときには、第2の金型M2の流路R2に、中温水を供給することができる。
【0121】
これにより、第2の金型M2についても、高温水によって第2の金型M2の温度を調節した状態で、第2の金型M2に第1の樹脂を射出し、その後、低温水によって第2の金型M2を冷却して、第1の樹脂からなる部分A1を成形した後、中温水によって第2の金型M2の温度を調節した状態で、第2の金型M2に第2の樹脂を射出することができる。
【0122】
このように、第1の樹脂および第2の樹脂のそれぞれの性質に応じて、冷却の仕方を最適化することができる。
【0123】
また、この温度調節装置1によれば、
図7および
図10に示すように、回転体Rが第1位置に配置されているときには、第1供給配管51を介して、高温水および低温水を第1の金型M1の流路R1に供給し、第2供給配管52を介して、中温水を第2の金型M2の流路R2に供給できる。
【0124】
また、
図13および
図16に示すように、回転体Rが第2位置に配置されているときには、第3供給配管53を介して、高温水および低温水を第2の金型M2の流路R2に供給し、第4供給配管54を介して、中温水を第1の金型M1の流路R1に供給できる。
【0125】
また、この温度調節装置1によれば、
図7および
図10に示すように、回転体Rが第1位置に配置されているときには、第1排出配管61を介して、高温水および低温水を第1の金型M1の流路R1から排出し、第2排出配管62を介して、中温水を第2の金型M2の流路R2から排出できる。
【0126】
また、
図13および
図16に示すように、回転体Rが第2位置に配置されているときには、第3排出配管63を介して、高温水および低温水を第2の金型M2の流路R2から排出し、第4排出配管64を介して、中温水を第1の金型M1の流路R1から排出できる。
【0127】
また、この温度調節装置1によれば、
図9および
図10に示すように、第1の金型M1の流路R1から第1排出配管61に排出された水を、第5排出配管65を介して高温ユニット5に戻すか、または、第6排出配管66を介して低温ユニット4に戻すか、選択することができる。
【0128】
また、
図15および
図16に示すように、第2の金型M2の流路R2から第3排出配管63に排出された水についても、第5排出配管65を介して高温ユニット5に戻すか、または、第6排出配管66を介して低温ユニット4に戻すか、選択することができる。
【0129】
また、この温度調節装置1によれば、
図6に示すように、第1の金型M1について、第1ステップ(時点t0から時点t2の間)において、高温水によって第1の金型M1の温度を調節した状態で、第1の金型M1に第1の樹脂を射出する。その後、第2ステップ(時点t3から時点t5の間)において、低温水によって第1の金型M1を冷却して、第1の樹脂からなる部分A1を成形する。その後、第3ステップ(時点t6よりも後)において、中温水によって第1の金型M1の温度を調節した状態で、第1の金型M1に第2の樹脂を射出することができる。
【0130】
また、この温度調節装置1によれば、
図9および
図10に示すように、高温熱回収ステップ(時点t3からt4の間)において、第1の金型M1の流路R1から排出された高温水を高温ユニット5に戻した後、低温循環ステップ(時点t4からt5の間)において、低温水を、第1の金型M1の流路R1と低温ユニット4との間で循環することができる。
【0131】
これにより、第1の金型M1の流路R1から排出された高温水が低温ユニットに戻される場合と比べて、高温水の熱を効率よく利用することができる。
【0132】
なお、上記した実施形態では、第1の金型M1について、第3ステップの後、低温熱回収ステップ(時点t0からt1の間)が実行されるが、第3ステップの後、低温熱回収ステップ(時点t0からt1の間)が実行されるまでの間に、第1の金型M1に低温水を供給することもできる。
【0133】
また、上記した実施形態では、複数の切り替えバルブV11〜V22およびバイパスバルブV1〜V3を開閉することによって、第1の金型M1または第2の金型M2に対する高温水、低温水および中温水の供給を切り換えているが、適宜、三方弁などの公知の切替手段に置き換えることができる。