【実施例1】
【0042】
ここで、本発明の実施例1に係るインク供給装置及びインクカートリッジの構成について
図2及び
図3を用いて説明する。
【0043】
図2は本発明の実施例1に係るインク供給装置及びインクカートリッジを説明するための図であり、(a),(b)はカートリッジ取付機構部にインクカートリッジをロックさせる状態を示している。また、
図3は本発明の実施例1に係るインク供給装置及びインクカートリッジにおいて、プラグと、このプラグに接続されるソケットとを拡大して示している。
【0044】
図2(a),(b)に示す如く、本発明の実施例1に係るインク供給装置10Aは、プリンタ1(
図1)内に設けた実施例1のカートリッジ取付機構部20Aと、このカートリッジ取付機構部20Aに対して着脱自在な本発明に係るインクカートリッジ40とを合わせて構成されており、カートリッジ取付機構部20Aにインクカートリッジ40を接続したときに、インクカートリッジ40内のインクIKがプリンタ1側に供給されるように構成されている。
【0045】
まず、上記した実施例1のカートリッジ取付機構部20Aでは、樹脂材を用いて基台となるホルダー21が、略垂直な前板21aと、前板21aの下方に連接して横設したカートリッジ載置台21bと、前板21aの左右に連接して垂設した左右一対の側板(21c…図示せず),21dとで剛性を有する枠体に一体的に形成されている。
【0046】
上記したホルダー21の前板21aの中心部位には、ガイド溝付き貫通孔21e1を有する円環部21eがインクカートリッジ40側とは反対側となる後方側に向かって突出形成されており、且つ、円環部21eのガイド溝付き貫通孔21e1内に実施例1のプラグ(第1接続部)30Aのプラグ本体(第1本体)31Aの先端側に形成した第1,第2外周側円筒部31a,31bが前後方向にスライド可能に嵌合して支持されている。
【0047】
この際、ホルダー21の円環部21eの後端には、プラグ30Aが円環部21eのガイド溝付き貫通孔21e1内から抜け出るのを規制するストッパ21fが一体的に取り付けられている。
【0048】
上記した実施例1のプラグ30Aは、この実施例1の要部を構成する部材であり、このプラグ30Aについては後で詳述する。
【0049】
また、ホルダー21のカートリッジ載置台21bは、底面21b1が水平に形成されており、この底面21b1の上方に傾斜面21b2が前板21a側に向かって高さが低くなるように傾斜して形成されている。
【0050】
そして、カートリッジ載置台21bの傾斜面21b2上にインクカートリッジ40を搭載したときに、インクカートリッジ40内のインクIKがプラグ30A側に向かって流れるようになっている。
【0051】
一方、本発明に係るインクカートリッジ40は、前述したように直方形状の外箱41内にソケット(第2接続部)50が実施例1のプラグ30Aと対向して配設されていると共に、ソケット50のソケット本体(第2本体)51の後方にインク収納容器60が取り付けられている。
【0052】
上記したソケット50も、この実施例1の要部を構成する部材であり、このソケット50については後で詳述する。
【0053】
更に、ホルダー21の先端側の上下には、板バネ材の一端にローラ22a,23aをそれぞれ取り付けて弾性変位するロック部材22,23が設けられている。これと対向して、インクカートリッジ40に設けた外箱41の先端側の上下にロック用凹部41b,41cが形成されている。
【0054】
そして、インクカートリッジ40をホルダー21側に押し込んで接続したときに、外箱41のロック用凹部41b,41c内にホルダー21のロック部材22,23の各ローラ22a,23aが嵌め込まれるので、インクカートリッジ40がホルダー21にロックされる一方、インクカートリッジ40をホルダー21側から引き抜くとロックが解除されるようになっている。
【0055】
更に、後述の動作で説明するように、インクカートリッジ40をホルダー21側に押し込んで接続してインクカートリッジ40がホルダー21側にロックされたときに、プラグ30Aとソケット50は僅かな間隔を隔てて対向しており、ロック後にプリンタ1(
図1)内に設けたカム駆動機構部2によってプラグ30Aがソケット50に対して前後方向に移動可能になっている。
【0056】
これにより、インクカートリッジ40がホルダー21に先にロックされている場合においてのみ、プラグ30Aとソケット50とが嵌合される。
【0057】
この理由は、先に
図1を用いて説明したように、インクカートリッジ40の外箱41に取り付けたICタグ42から出力されるインクIKの色情報をICタグ受信機3で受信してインクカートリッジ40のインクIKの色が正しいことを確認した後に、プラグ30Aをソケット50に嵌合させる必要があるためである。
【0058】
この際、プラグ30Aを雄型プラグと呼称し、一方、ソケット50を雌型ソケットと呼称した場合に、雄型プラグ(30A)と雌型ソケット(50)とが雄雌嵌合されることになる。
【0059】
ここで、実施例1の要部を構成するプラグ30A及びソケット50について、
図3を用いて説明する。
【0060】
まず、
図3(a)に拡大して示す如く、実施例1のプラグ(第1接続部)30Aは、インクカートリッジ40と対向する先端側に係合部となる第1,第2外周側円筒部31a,31b及び先端側円形凹部31eが形成されている。
【0061】
また、実施例1のプラグ30Aは、先端側に形成した先端側円形凹部31e内の中心部位に後述するソケット本体51のインク供給口51eの孔径よりも細径の挿入軸31fを突出形成したプラグ本体(第1本体)31Aと、このプラグ本体31Aの先端側円形凹部31e内に収納された圧縮バネ32,軸受け部材33,Oリング押さえ部材34,Oリング35と、先端側円形凹部31eを覆うキャップ36とで構成されている。
【0062】
上記した実施例1のプラグ30Aのプラグ本体31Aは、樹脂材を用いて一体的に形成されている。
【0063】
この際、プラグ本体31Aの外形形状は、インクカートリッジ40(
図1,
図2)内のソケット50と対向する先端部位に第1外周側円筒部31aがキャップ36を取り付けできる径及び長さに形成され、且つ、第1外周側円筒部31aの後方に連接して第2外周側円筒部31bが第1外周側円筒部31aよりも大径で長尺に形成されている。また、プラグ本体31Aの長尺な第2外周側円筒部31bの中間部位に外周側凸部31cが短尺に突出形成されていると共に、長尺な第2外周側円筒部31bの後端にフランジ部31dが
図2(a)に示すように上下左右に対して長方形状に突出形成されている。
【0064】
また、プラグ本体31Aの先端側の内周部位には、先端側円形凹部31eが円形凹状に凹ませて形成されており、且つ、この先端側円形凹部31e内の中心部位に細径の挿入軸31fがキャップ36の裏面近傍まで突出形成されている。
【0065】
従って、プラグ本体31Aの先端側円形凹部31eの内周面と、細径の挿入軸31fの外周面との間には、円環状(リング状)の空間が形成されている。
【0066】
この際、プラグ本体31Aの第1,第2外周側円筒部31a,31bは、ホルダー21(
図2)の円環部21eのガイド溝付き貫通孔21e1内を前後方向に移動するときに、第2外周側円筒部31bの中間部位に形成した外周側凸部31cによって回り止めが図られている。
【0067】
また、上記したプラグ本体31A内の中心部位に突出形成した細径の挿入軸31fは、
図3(b)にイ部を拡大して斜視的に図示したように、細径の挿入軸(軸部)31fの先端を円錐状に尖鋭に形成した先端尖鋭部31f1と、この先端尖鋭部31f1の後方の挿入軸31fに連接して挿入軸31fの径よりも大径で且つインク供給口51eの孔径よりも小径で厚みを薄く形成した円板部31f2と、この円板部31f2の後方の挿入軸31fに所定の長さを有して沿いながらこの挿入軸31fの円周から周方向に略等間隔で且つ翼径を円板部31f2の径と略同径又は円板部31f2の径よりも少し小径に形成して突出させた複数の翼部31f3とが一体化されている。
【0068】
更に、挿入軸31fの翼部31f3の後方下方からインク流入経路31gがフランジ部31dまで連通して形成されている。
【0069】
また、プラグ本体31Aの先端側円形凹部31e内には、この後方側から先端側に向かって圧縮バネ32と、挿入軸30fを前後方向に移動可能に軸支する軸受け部材33と、Oリング押さえ部材34と、Oリング35とが挿入軸30fを通り抜けて収納されており、これらの各部材32〜35は詳細な図示を省略するがインクカートリッジ40から供給されるインクIKをインク流入経路31gに向けて流入させることができるように形成されている。
【0070】
そして、プラグ本体31Aの第1外周側円筒部31aに、大径丸孔36aを中心部に形成したキャップ36を取り付けることで、先端側円形凹部31e内に収納した各部材32〜35がキャップ36によって閉じられているが、後述するようにキャップ36の大径丸孔36a内には、ソケット50のソケット本体51のインク供給口51e側が進退可能になっている。
【0071】
次に、
図3(c)に拡大して示す如く、ソケット(第2接続部)50は、実施例1のプラグ30Aと対向する先端側に被係合部となる内周側円筒部51f及び先端側円環状凹部51afが形成されている。
【0072】
また、ソケット50は、実施例1のプラグ30Aのプラグ本体31A内の中心部位に突出形成した挿入軸31fと対向する先端側の中央部位に挿入軸31fの径よりも大径に形成されたインク供給口51e、及び、インク供給口51e側から後端側に向かって段付き凹状に形成されてインク収納容器60内に収納されたインクIKを受け入れ可能な複数の凹部51g〜51iとを有するソケット本体(第2本体)51と、このインク供給口51eを塞ぐためにインク供給口51eの内面に付着させたインクシール部材52と、ソケット本体51に形成した複数の凹部51g〜51i内に収納される中栓53,Oリング54
,圧縮バネ55,軸受け部材56とで構成されている。
【0073】
上記したソケット50のソケット本体51もプラグ本体31Aと同様に樹脂材を用いて一体的に形成されている。
【0074】
この際、ソケット本体51の外形形状は、実施例1のプラグ30Aのプラグ本体31Aと対向する先端部位に外周側大径円筒部51aがプラグ本体31Aの第1,第2外周側円筒部31a,31bよりも大径でこの第1,第2外周側円筒部31a,31bの先端部位を収納できる長さに形成され、且つ、外周側大径円筒部51aの後方に連接して外周側円形凸部51bが外周側大径円筒部51aよりも大径で短尺に形成され、且つ、外周側円形凸部51bの後方に連接して外周側テーパ状円筒部51cが後端側に向かって徐々に外径が細くなるように短尺に形成され、更に、外周側テーパ状円筒部51cの後方に連接して外周側小径円筒部51dがインク収納容器60の前面60aまで形成されている。
【0075】
また、ソケット本体51は、先端面にインク供給口51eを挿入軸31fの径よりも大径に開口した内周側円筒部51fがキャップ36の大径丸孔36a内及びプラグ本体31Aの先端側円形凹部31e内に進退できるように形成されており、このインク供給口51e内にプラグ本体31A内に形成した挿入軸31fが進退可能になっていると共に、外周側大径円筒部51aの内周面と内周側円筒部51fの外周面との間には円環状(リング状)の空間を有する先端側円環状凹部51afが先端側に形成されている。
【0076】
更に、ソケット本体51のインク供給口51eの後方からソケット本体51の後端に向かって第1円形凹部51g,テーパ状凹部51h,第2円形凹部51iがこの順で内径が大きくなるように階段状に形成されている。
【0077】
そして、ソケット本体51の後端側に向かって開口した各凹部51g〜51i側からインクシール部材52を挿入して、このインクシール部材52をインク供給口51eの内面に溶着又は接着などにより付着させているので、インクカートリッジ40の未使用時にインクシール部材52によってインク供給口51eが塞がれている。
【0078】
また、ソケット本体51の第1円形凹部51g,テーパ状凹部51h,第2円形凹部51i内に収納される中栓53は、ソケット本体51のインク供給口51eと対向する第1円筒部53aと、この第1円筒部53aの後方に連接して第1円筒部53aよりも大径な第2円筒部53bと、この第2円筒部53bの後方に連接して第2円筒部53bよりも大径な円形凸部53cと、この円形凸部53cの後方に連接して小径で長尺な細径軸部53dとが一体形成されている。
【0079】
そして、中栓53の第1円筒部53aの先端面中心部位に円錐孔53a1が形成されており、この円錐孔53a1内にプラグ本体31A内に形成した挿入軸31fの先端尖鋭部31f1が当接可能になっている。
【0080】
また、中栓53の第1,第2円筒部53a,53b側からOリング54を嵌め込んでこのOリング54を円形凸部53cに当接させている。
【0081】
更に、中栓53の細径軸部53dに圧縮バネ55を挿入した後に、この細径軸部53dを軸受け部材56の軸孔56aに嵌合させて、この軸受け部材56をソケット本体51の第2円形凹部51i内とインク収納容器60の前面60aとの間で固定支持している。この際、軸受け部材56のフランジ部56bは、インク収納容器60内のインクIKを第2円形凹部51i内に通す孔(図示せず)が貫通して穿設されている。
【0082】
そして、インクカートリッジ40の未使用時に、中栓53がこの円形凸部53cと軸受け部材56との間に介在させた圧縮バネ55の付勢力によりソケット本体51のインク供給口51e側に移動して、中栓53の第2円筒部53bに嵌め込んだOリング54が中栓53の円形凸部53cとソケット本体51のテーパ状凹部51hとに当接したときに、第2円形凹部51i内に形成されているインク流出経路51jが閉じられるのでインク収納容器60内のインクIKがインク供給口51eに流れ出るのを防止している。
【0083】
従って、インクカートリッジ40が未使用のときに、ソケット50はソケット本体51のインク供給口51eの内面に付着させたインクシール部材52と、ソケット本体51内に収納した中栓53とで、インク供給口51eからのインクIKの流出に対して二重にシールドされていることになる。
【0084】
これにより、インクカートリッジ40の輸送時とか、インクカートリッジ40の保管時にインクIKがソケット本体51のインク供給口51から漏れないために、インクカートリッジ40の外箱や周辺を汚すことがなく、信頼性の良いインクカートリッジ40を提供できる。
【0085】
また、ソケット本体51の後端外周部位は、インク収納容器60の前面60aに取り付けた容器支持筒体61がOリング62を介して嵌め込まれているので、ソケット本体51とインク収納容器60との間でもインク漏れを防止している。
【0086】
ここで、上記のように構成した本発明の実施例1に係るインク供給装置10A及びインクカートリッジ40の動作について、
図1〜
図4を併用して動作順に説明する。
【0087】
まず、
図4(a)は、インクカートリッジ40の外箱41が実施例1のカートリッジ取付機構部20Aに固定配置されたホルダー21にロックされた直後で、このホルダー21に前後移動可能に支持された実施例1のプラグ30Aの初期時を示している。
【0088】
この初期時では、インクカートリッジ40の外箱41がホルダー21にロックされたときに、プリンタ1内に設けたICタグ受信機3でインクカートリッジ40の外箱41に取り付けたICタグ42からのインクIKの色情報を受信して、不図示の制御部でインクIKの色情報が対応する色のホルダー21と一致しているか否かを判断しているので、インク色の色違いを先に検出できる。
【0089】
また、ホルダー21に前後移動可能に支持されたプラグ30Aが初期状態に至っているときには、前述したように、プラグ30Aと、インクカートリッジ40のソケット50とが僅かな間隔を隔てて対向しており、且つ、プラグ30Aをソケット50側に移動させるためにプリンタ1内に設けたカム駆動機構部2は停止して待機状態に至っている。
【0090】
即ち、実施例1のプラグ30A側では、プラグ本体31Aの先端側に位置する先端側円形凹部31e内の中心部位に突出形成した実施例1の挿入軸31fが、ソケット50のソケット本体51の先端側に位置するインク供給口51eに対して離れて対向している。この際、挿入軸31fの径はインク供給口51eの孔径よりも細径に形成されており、言い換えると、インク供給口51eの孔径は挿入軸31fの径よりも大径に形成されている。
【0091】
一方、ソケット50側では、ソケット本体51のインク供給口51eの内面にインクシール部材52が付着されており、且つ、ソケット本体51の第1円形凹部51g,テーパ状部51h,第2円形凹部51i内にOリング54を嵌め込んだ中栓53が圧縮バネ55の付勢力により前方のインク供給口51e側に移動してインク供給口51eを塞いでいる。
【0092】
これにより、インクカートリッジ40内のインクIKは、インクシール部材52と中栓53とによりインク供給口51eに対して二重にシールドされている。
【0093】
次に、
図4(b)は、プラグ30Aのソケット50への挿入開始時を示している。
【0094】
この挿入開始時では、カム駆動機構部2を始動してプラグ30Aをソケット50に向かって前方に移動を開始する。そして、プラグ本体31Aの第1外周側円筒部31aに取り付けたキャップ36側が、ソケット本体51の先端側に形成した先端側円環状凹部51af内に進入する。
【0095】
これに伴って、ソケット本体51のインク供給口51e側がキャップ36の大径丸穴36a,Oリング35及びOリング押さえ部材34内に順に入り込むので、プラグ本体31A内に形成した挿入軸31fがソケット本体51のインク挿入口51eに挿入されて、この挿入軸31fの先端に形成した先端尖鋭部31f1でインク挿入口51eの内面に付着させたインクシール部材52の中心部位を突き破って孔があけられる。
【0096】
そして、挿入軸31fの先端尖鋭部31f1は、ソケット本体51内に収納された中栓53の第1円筒部53aの先端面中心部位に形成した円錐孔53a1に当接するが、中栓53はまだ移動していないので、中栓53によってインクカートリッジ40内のインクIKはシールドされている。
【0097】
この際、挿入軸31fの先端尖鋭部31f1で突き破られたインクシール部材52の切り屑52aはソケット本体51の第1円形凹部51g内に落下する。
【0098】
次に、
図4(c)は、プラグ30Aのソケット50への挿入終了時を示している。
【0099】
ここでは、カム駆動機構部2を
図4(b)の状態から継続して動作させて、プラグ30Aをソケット50側に向かって更に移動させると、プラグ本体31Aの第1外周側円筒部31aに取り付けたキャップ36側が、ソケット本体51の先端側に形成した先端側円環状凹部51af内の奥方まで進入する。
【0100】
これに伴って、ソケット本体51のインク供給口51eの面でプラグ本体31A内の軸受け部材33を後方に押すので圧縮バネ32が縮み、且つ、プラグ本体31A内の中心部位に突出形成した挿入軸31fの先端尖鋭部31f1及びこの先端尖鋭部31f1の後方に形成した円板部31f2でソケット本体51内に収納された中栓53を圧縮バネ55に抗してインク供給口51eとは反対側に押し込むので、ソケット本体51の第1円形凹部51g,テーパ状部51h,第2円形凹部51i内にインク流出経路51jが形成される。
【0101】
また、孔があけられたインクシール部材52は、挿入軸31fの円板部31f2と中栓53の第1円筒部53aの先端面との間に固定配置されるので、ソケット本体51内のインクIKをインク供給口51eからプラグ本体31Aに向かって安定に供給できる。
【0102】
更に、ソケット本体51の内周側円筒部51fは、プラグ本体31A内に収納されたOリング35の内周面に当接するので、プラグ本体31A内でのインク漏れを防止できる。
【0103】
これにより、インクカートリッジ40内のインクIKは、ソケット本体51内に形成されたインク流出経路51jを通ってインク供給口51eからプラグ本体31A内に入り込み、このプラグ本体31A内に形成したインク流入経路31gを通ってプリンタ1側に供給される。
【0104】
尚、この後、インクカートリッジ40をホルダー21から取り外したときに、ソケット本体51内に収納した中栓53は圧縮バネ55の付勢力でインク供給口51e側に戻されるので、インクカートリッジ40内のインクIKを中栓53でシールできるが、インク供給口51eの内面に付着させたインクシール部材52は孔があけられてしまっているので、中栓53によるシールドだけとなるものの、インクカートリッジ40内のインクIKは殆ど消費されているので何らの問題も生じない。
【実施例2】
【0105】
本発明の実施例2に係るインク供給装置10B及びインクカートリッジ40は、先に
図2を用いて説明したように、実施例2のカートリッジ取付機構部20Bに固定配置されたホルダー21に支持した実施例2のプラグ30Bの構造のみが実施例1に対して一部異なっているだけであるので、ここでは
図5を用いて実施例1と同一の構成部材に対して同一の符号を付して適宜説明し、実施例1とは異なる構成部材に新たな符号を付して実施例1に対して異なる点を中心にして説明する。
【0106】
図5は本発明の実施例2に係るインク供給装置及びインクカートリッジにおいて、プラグと、このプラグに接続されるソケットとを拡大して示している。
【0107】
まず、
図5(a)に拡大して示す如く、実施例2のプラグ(第1接続部)30Bは、先端側に形成した先端側円形凹部31e内の中心部位に細径の挿入軸31hを突出形成したプラグ本体(第1本体)31Bと、このプラグ本体31Bの先端側円形凹部31e内に収納された圧縮バネ32,軸受け部材33,Oリング押さえ部材34,Oリング35と、先端側円形凹部31eを覆うキャップ36とで構成されている。
【0108】
上記した実施例2のプラグ30Bのプラグ本体31Bも、実施例1と同様に樹脂材を用いて一体的に形成されている。
【0109】
この際、プラグ本体31Bでは、実施例1に対して先端側円形凹部31e内の中心部位に突出形成した細径の挿入軸31hの形状のみが異なっているだけである。
【0110】
即ち、上記したプラグ本体31B内の中心部位に突出形成した細径の挿入軸31hは、
図5(b)にロ部を拡大して斜視的に図示したように、細径の挿入軸(軸部)31hの先端を例えば円錐状に尖鋭に形成した先端尖鋭部31h1と、この先端尖鋭部31h1の後方の挿入軸31hに第1の所定の長さを有して沿いながらこの挿入軸31hの円周から周方向に略等間隔で且つ翼径を挿入軸31hの径よりも大径で且つインク供給口51eの孔径よりも小径に形成して突出させた複数の第1翼部31h2と、この複数の第1翼部31h2の後方の挿入軸31hに第2の所定の長さを有して沿いながらこの挿入軸31hの円周から周方向に略等間隔で且つ複数の第1翼部31h2に対して周方向に位相を違えて略同径に突出させた複数の第2翼部31h3とが一体化されている。
【0111】
更に、挿入軸31hの第2翼部31h3の後方下方からインク流入経路31gがフランジ部31dまで連通して形成されている。
【0112】
一方、インクカートリッジ40は、実施例1と同じ構造であり、ソケット(第2接続部)50は、実施例2のプラグ30Bのプラグ本体31B内の中心部位に突出形成した挿入軸31hと対向して先端側に形成したインク供給口51eを有するソケット本体(第2本体)51と、このインク供給口51eを塞ぐためにインク供給口51eの内面に付着させたインクシール部材52と、ソケット本体51に形成した複数の凹部51g〜51i内に収納される中栓53,Oリング54,圧縮バネ55,軸受け部材56とで構成されている。
【0113】
ここで、上記のように構成した本発明の実施例2に係るインク供給装置10B及びインクカートリッジ40の動作について、
図1,
図5及び
図6を用いて動作順に説明する。
【0114】
尚、実施例2では、先に説明したように、プラグ30Bのプラグ本体31B内に形成した細径の挿入軸31hの形状のみが実施例1に対して異なっているだけであるので、
図6(a)〜(c)中で細径の挿入軸31hの形状の異なりによる動作について詳述する。
【0115】
まず、
図6(a)は、インクカートリッジ40の外箱41が実施例2のカートリッジ取付機構部20Bに固定配置されたホルダー21にロックされた直後で、このホルダー21に前後移動可能に支持された実施例2のプラグ30Bの初期時を示している。
【0116】
また、ホルダー21に支持されたプラグ30Bが初期状態に至っているときには、前述したように、プラグ30Bと、インクカートリッジ40のソケット50とが僅かな間隔を隔てて対向しており、且つ、プラグ30Bをソケット50側に移動させるためにプリンタ1内に設けたカム駆動機構部2は停止して待機状態に至っている。
【0117】
即ち、実施例2のプラグ30B側では、プラグ本体31Bの先端側に位置する先端側円形凹部31e内の中心部位に突出形成した実施例2の挿入軸31hが、ソケット50のソケット本体51の先端側に位置するインク供給口51eに対して離れて対向している。
【0118】
一方、ソケット50側では、ソケット本体51のインク供給口51eの内面にインクシール部材52が付着されており、且つ、ソケット本体51内に収納され且つOリング54を先端側に嵌め込んだ中栓53が圧縮バネ55の付勢力により前方のインク供給口51e側に移動してインク供給口51eを塞いでいる。
【0119】
これにより、インクカートリッジ40内のインクIKは、インクシール部材52と中栓53とにより二重にシールドされている。
【0120】
次に、
図6(b)は、プラグ30Bのソケット50への挿入開始時を示している。
【0121】
この挿入開始時では、カム駆動機構部2を始動してプラグ30Bをソケット50に向かって前方に移動を開始する。そして、プラグ本体31Bの第1外周側円筒部31aに取り付けたキャップ36側が、ソケット本体51の先端側に形成した先端側円環状凹部51af内に進入する。
【0122】
これに伴って、ソケット本体51のインク供給口51e側がキャップ36の大径丸穴36a内に入り込むので、プラグ本体31B内に形成した細径の挿入軸31hがソケット本体51のインク挿入口51eに挿入されて、この挿入軸31hの先端に形成した先端尖鋭部31h1でインク挿入口51eの内面に付着させたインクシール部材52の中心部位を突き破って孔があけられる。
【0123】
更に、孔があけられたインクシール部材52は先端尖鋭部31h1の後方に形成した複数の第1翼部31h2に沿うが、中栓53はまだ移動していないので、中栓53によってインクカートリッジ40内のインクIKはシールドされている。
【0124】
この際、突き破られたインクシール部材52は第1翼部31h2によりその形状に沿って切り込みが形成される。
【0125】
次に、
図6(c)は、プラグ30Bのソケット50への挿入終了時を示している。
【0126】
ここでは、カム駆動機構部2を
図6(b)の状態から継続して動作させて、プラグ30Bをソケット50側に向かって更に移動させると、プラグ本体31Bの第1外周側円筒部31aに取り付けたキャップ36側が、ソケット本体51の先端側に形成した先端側円環状凹部51af内の奥方まで進入する。
【0127】
これに伴って、ソケット本体51のインク供給口51eの面でプラグ本体31B内の軸受け部材33を後方に押すので圧縮バネ32が縮み、且つ、プラグ本体31B内に形成した挿入軸31hの先端尖鋭部31h1でソケット本体51内に収納された中栓53を圧縮バネ55に抗してインク供給口51eとは反対側に押し込むので、ソケット本体51の第1円形凹部51g,テーパ状部51h,第2円形凹部51i内にインク流出経路51jが形成される。
【0128】
また、挿入軸31hに形成した複数の第1翼部31h2に沿っているインクシール部材52は、挿入軸31hの挿入終了に伴って複数の第1翼部31h2の後方でこの第1翼部31h2に対して位相を違えて形成した複数の第2翼部31h3側に移動する。
【0129】
そして、インクシール部材52は、複数の第2翼部31h3とインク供給口51eとの間に固定配置されるので、ソケット本体51内のインクIKをインク供給口51eからプラグ本体31Bに向かって安定に供給できる。
【0130】
更に、ソケット本体51の内周側円筒部51fは、プラグ本体31B内に収納されたOリング35の内周面に当接するので、プラグ本体31B内でのインク漏れを防止できる。
【0131】
これにより、インクカートリッジ40内のインクIKは、ソケット本体51内に形成されたインク流出経路51jを通ってインク供給口51eからプラグ本体31B内に入り込み、このプラグ本体31B内に形成したインク流入経路31gを通ってプリンタ1側に供給される。
【0132】
尚、この後、インクカートリッジ40をホルダー21から取り外したときに、ソケット本体51内に収納した中栓53は圧縮バネ55の付勢力でインク供給口51e側に戻されるので、インクカートリッジ40内のインクIKを中栓53でシールできるが、インク供給口51eの内面に付着させたインクシール部材52は孔があけられてしまっているので、中栓53によるシールドだけとなるものの、インクカートリッジ40内のインクIKは殆ど消費されているので何らの問題も生じない。
【0133】
以上詳述した実施例1,2のインク供給装置10A,10Bでは、プラグ30A,30Bにソケット50を接続したときに、プラグ本体31A,31B内に形成した挿入軸31f,31hでソケット本体51のインク供給口51eを塞ぐインクシール部材を突き破るように構成したが、これに限ることなく、ここでの図示を省略するが、プラグ本体内に挿入軸を設けずに、ソケット本体内にインクシール部材を突き破る挿入軸を設ける構成も可能である。
【0134】
この場合には、プラグ本体内にソケット本体の被係合部を係合させる係合部を設け、且つ、ソケット本体内でインクシール部材を付着させたインク供給口の後方に挿入軸と中栓とを設けて構成すれば良い。
【0135】
そして、インクカーリッジの未使用時にインクシール部材と中栓とによりインク挿入口からのインクIKの流出に対して二重シールド化を図り、一方、プラグ本体の係合部にソケット本体の被係合部を係合させたときに、ソケット本体内の挿入軸をインク挿入口に向けて移動させて、この挿入軸でインクシール部材を突き破ると共に、中栓をインク挿入口側とは反対側に移動させて、インクをインク挿入口側を介してプラグ本体内に供給すれば良いものである。
【0136】
上記から、プラグ本体の係合部にソケット本体の被係合部を係合させたときに、ソケット本体のインク供給口に付着したインクシール部材を突き破る挿入軸は、プラグ本体内及びソケット本体内のいずれか一方に設ければ良いものである。