特開2017-202885(P2017-202885A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-202885(P2017-202885A)
(43)【公開日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20171020BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20171020BHJP
【FI】
   B65G1/04 551B
   H01L21/68 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-93739(P2016-93739)
(22)【出願日】2016年5月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
【テーマコード(参考)】
3F022
5F131
【Fターム(参考)】
3F022JJ02
3F022JJ11
3F022KK02
3F022KK07
3F022KK14
3F022LL12
3F022MM52
3F022MM57
3F022PP06
3F022QQ11
5F131AA02
5F131CA12
5F131DA05
5F131DA23
5F131DA42
5F131DB87
5F131DC06
5F131DC26
5F131DD02
5F131DD44
5F131DD57
5F131DD59
5F131DD94
5F131GA14
5F131GA88
5F131HA02
5F131HA43
5F131KA05
5F131KA16
5F131KA33
5F131KA34
5F131KA35
5F131KA72
5F131KB32
(57)【要約】
【課題】容器に備える蓋の有無または蓋の外れを簡単な構成で確実に判別することが可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置1は、側面3bに蓋2を有する容器3を搬送する装置であって、搬送位置に位置する容器3の蓋2の上端部2bに対向するように配置される蓋落下防止部材19と、蓋落下防止部材19に配置されて蓋2の上端部2bの有無を検出する蓋検出部20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に蓋を有する容器を搬送する搬送装置であって、
搬送位置に位置する前記容器の前記蓋の上端部に対向するように配置される蓋落下防止部材と、
前記蓋落下防止部材に配置されて前記蓋の上端部の有無を検出する蓋検出部と、を備える搬送装置。
【請求項2】
前記蓋検出部は、前記蓋の上端部の中央から横方向に離れた部分と対向するように配置される、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記蓋の上端部の接近を検出する蓋接近検出部を備える、請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記蓋接近検出部は、前記蓋に形成された平坦部と対向するように配置される、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記蓋落下防止部材は、前記蓋を除いた前記容器の一部に当接して前記容器の接近を阻止するストッパを備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記容器を保持して昇降させる昇降駆動部を備え、
前記蓋落下防止部材は、前記昇降駆動部に設けられる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
天井走行車などの搬送装置は、例えばFOUP(Front Opening Unified Pod:フープ)等のように側面等に着脱可能な蓋を有する容器の搬送などに利用されている(例えば、特許文献1参照)。搬送装置においては、容器内の半導体ウエハ等の被収容物の汚染防止や飛び出し、または蓋の落下防止などの観点から、蓋の有無または蓋の外れを検出することが望まれる。特許文献1には、蓋の前方に押さえ部材が配置され、この押さえ部材に蓋の外れを検出する光学センサを備える搬送装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−70004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、搬送中の容器において蓋の有無を検出することができないといった問題がある。上記した天井走行車は、自動倉庫等からホイスト等の昇降駆動部により容器を上昇させ、容器を吊り下げた状態で移送するが、自動倉庫内で既に蓋が外れている場合、あるいは容器を上昇させる途中で蓋が外れて落下した場合など、天井走行車の搬送位置に容器を配置した段階で既に蓋がない可能性がある。このような場合、特許文献1の光学センサでは容器の蓋がないといった異常を検出できない。その結果、天井走行車の走行中に被収容物の汚染や飛び出しを招く可能性がある。
【0005】
また、天井走行車は、横出し機構により昇降駆動部を横方向に突出させた状態で容器を昇降させるものがある。このような天井走行車は、吊り下げた容器を横方向に移動させるため、容器の蓋の有無または蓋の外れを検出する検出部を、容器の移動のじゃまにならないように配置する必要がある。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、容器に備える蓋の有無または蓋の外れを簡単な構成で確実に判別することが可能な搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、側面に蓋を有する容器を保持して搬送する搬送装置であって、搬送位置に位置する容器の蓋の上端部に対向するように配置される蓋落下防止部材と、蓋落下防止部材に配置されて蓋の上端部の有無を検出する蓋検出部と、を備える。
【0008】
また、蓋検出部は、蓋の上端部の中央から横方向に離れた部分と対向するように配置されてもよい。また、蓋の上端部の接近を検出する蓋接近検出部を備えてもよい。また、蓋接近検出部は、蓋に形成された平坦部と対向するように配置されてもよい。また、蓋落下防止部材は、蓋を除いた容器の一部に当接して容器の接近を阻止するストッパを備えてもよい。また、容器を保持して昇降させる昇降駆動部を備え、蓋落下防止部材は、昇降駆動部に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蓋落下防止部材に配置された蓋検出部により、容器に備える蓋の有無を検出するので、容器に蓋が付いていない異常な状態を簡単な構成で確実に判別することができる。
【0010】
また、蓋検出部が、蓋の上端部の中央から横方向に離れた部分と対向するように配置される場合、蓋がないときに容器に収容した円盤状の部材の端部を蓋検出部が検出し、蓋があるものと誤認識することを低減できる。また、蓋の上端部の接近を検出する蓋接近検出部を備える場合、容器から蓋が外れて倒れてきたことを蓋接近検出部で検出するので、蓋の外れを容易かつ確実に判別できる。また、蓋接近検出部が、蓋に形成された平坦部と対向するように配置される場合、平坦部によって蓋の接近を精度よく検出できる。また、蓋落下防止部材が、蓋を除いた容器の一部に当接して容器の接近を阻止するストッパを備える場合、搬送中の容器の揺れを抑制することができるだけでなく、搬送中の揺れによって容器全体が蓋接近検出部に接近することによって、蓋が外れていないにもかかわらず蓋が外れたと蓋接近検出部が誤検出するのを防止することができる。また、容器を保持して昇降させる昇降駆動部を備え、蓋落下防止部材が、昇降駆動部に設けられる場合、昇降駆動部を横方向に移動可能とするときでも、簡単な構成で蓋の有無を確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る搬送装置の一例を概念的に示す図である。
図2】蓋落下防止部材を容器の蓋側から見た斜視図である。
図3】蓋落下防止部材を外側から見た斜視図である。
図4】容器と蓋検出部及び蓋接近検出部との位置関係を示す図である。
図5】(A)は蓋検出部と蓋との位置関係を示す図であり、(B)は蓋接近検出部と蓋との位置関係を示す図である。
図6】昇降駆動部を横出しした状態の一例を示す図である。
図7】搬送装置の下部の構成の一例を示す斜視図である。
図8】(A)は蓋検出部により蓋の有無を検出する一例を示す図、(B)は蓋接近検出部により蓋の接近を検出する一例を示す図である。
図9】ストッパに容器の一部が接触した状態を示す図である。
図10】第2実施形態に係る搬送装置の一例を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る搬送装置1の一例を概念的に示す図である。この搬送装置1は、例えば、処理装置あるいは自動倉庫などの間において、蓋2を有する容器3の搬送に用いられる。容器3は、例えば、半導体ウエハを収容するFOUPであるが、半導体ウエハ以外の物を収容する容器であってもよい。
【0014】
容器3は、半導体ウエハなどの被収容物を容器3の内部へ搬入するための開口3aを備える。開口3aは、容器3の側面3bに設けられており、この側面3bは、鉛直方向と平行に配置され、開口3aが水平方向(図1ではY方向)に向くように配置される。蓋2は、開口3aを塞ぐように、容器3の側面3bに着脱可能に設けられる。蓋2の着脱機構は任意の構成が適用される。蓋2の外側の面(−Y側の面)には、着脱用の吸盤等を吸着させる複数の平坦部2aが形成される。平坦部2aは、例えば円形状であるが、平坦部2aの形状は任意である。
【0015】
容器3の頂部には、フランジ部3cが設けられている。フランジ部3cは、基端側の接続部3dと、接続部3dの上方に取り付けられる矩形板状の被係止部3eと、を有している。
【0016】
搬送装置1は、容器3を保持して鉛直方向に昇降させる昇降駆動部4と、昇降駆動部4を水平方向に移動させる天井走行車5と、容器3における蓋の有無を検出する蓋検出部20と、搬送装置1の各部を制御する制御部7と、を備える。
【0017】
天井走行車5は、走行駆動部9を有し、走行駆動部9の駆動力によって走行レール(軌道)8に沿って走行する。走行レール8は、例えばクリーンルームの天井に設けられ、X方向に延びている。走行駆動部9は、不図示のリニアモータ、走行輪、エンコーダなどを有する。走行輪は、走行レール8に接するように配置される。エンコーダは、走行輪の回転数などを検出し、その検出結果を制御部7に出力する。制御部7は、エンコーダの検出結果に基づいてリニアモータを制御し、天井走行車5の速度あるいは停止位置の制御を行う。なお、天井走行車5の停止位置の設定は、走行レール8に沿って予め設置された指標板等を識別することによって行ってもよい。
【0018】
天井走行車5は、走行駆動部9から下方に延びる支持軸10が取り付けられている。支持軸10の下部はY方向移動部11が取り付けられている。Y方向移動部11の下部には、横出し機構12が取り付けられている。横出し機構12の下部には昇降駆動部4が取り付けられている。
【0019】
Y方向移動部11は、不図示のY方向ガイド、Y方向駆動部などを有する。Y方向移動部11は、電動モータ等のY方向駆動部からの駆動力によって、横出し機構12をガイドに沿って+Y方向または−Y方向に移動可能である。横出し機構12は、上板12aと下板12bとが重ねられて設けられ、上板12aがY方向移動部11に対してY方向に移動可能であり、下板12bが上板12aに対してY方向に移動可能である。下板12bには、後に説明する昇降駆動部4が取り付けられている。これにより、昇降駆動部4をY方向に移動することができる。横方向移動部11及び横出し機構12の動作については、後に図6で説明する。なお、搬送装置1は、Y方向移動部11及び横出し機構12を備えなくてもよい。
【0020】
また、天井走行車5は、不図示の回動部を備えている。回動部は、不図示の回動軸、回動駆動部などを有する。この回動軸はZ方向と平行に配置され、昇降駆動部4に接続される。回動駆動部は、電動モータ等が用いられ、回動軸をZ方向の周りで回動させる。回動部は、回動駆動部からの駆動力によって回動軸を回動し、昇降駆動部4をZ方向に平行な軸周りに回動可能である。制御部7は、回動部を制御し、昇降駆動部4を目標位置に回動させる。なお、搬送装置1は、回動部を備えなくてもよい。
【0021】
昇降駆動部4は、容器3を保持する保持部13と、保持部13を鉛直方向に移動させる駆動部14と、を備える。保持部13は、容器3のフランジ部3cを把持することにより、容器3を吊り下げて保持する。保持部13は、例えば、水平方向に移動可能な爪部13aを有するチャックであり、爪部13aを被係止部3eの下方に侵入させ、保持部13を上昇させることで、容器3を保持する。保持部13は、ワイヤあるいはベルトなどの吊り下げ部材13b(図6参照)と接続されている。駆動部14は、例えばホイストであり、吊り下げ部材13bを繰り出すことにより保持部13を降下させ、吊り下げ部材13bを巻き取ることにより保持部13を上昇させる。
【0022】
制御部7は、昇降駆動部4を制御して、所定の速度で保持部13を降下あるいは上昇させる。また、制御部7は、昇降駆動部4を制御して、保持部13を目標の高さに保持させる。制御部7は、昇降駆動部4を制御することにより、保持部13に保持された容器3の高さを制御する。以下の説明において、保持部13に保持された容器3が昇降範囲の上端まで上昇した状態を、適宜、搬送位置における吊り上げ保持状態という。
【0023】
上述のY方向移動部11、横出し機構12、及び昇降駆動部4は、天井走行車5に支持されており、天井走行車5と一体となってX方向に移動する。Y方向移動部11、横出し機構12、及び昇降駆動部4の−X側の側方にはカバー15が設けられており、+X側の側方にはカバー16が設けられている。カバー15およびカバー16は、それぞれ、支持軸10を介して天井走行車5に支持されており、天井走行車5と一体となってX方向に移動する。
【0024】
カバー15及びカバー16は、容器3の吊り上げ保持状態において、それぞれの下端部が容器3の底面より下方に位置する。カバー15の下端部およびカバー16の下端部には、それぞれ、バー17aを介して落下防止片17が設けられている。カバー15及びカバー16の下部であって−Y側には、それぞれ蓋押さえ片18が設けられている。落下防止片17、蓋押さえ片18については、後に図7においても説明する。
【0025】
次に、蓋落下防止部材19について説明する。蓋落下防止部材19は、蓋2の−Y方向(前面側)に設けられ、容器3から蓋2が外れて落下するのを防止する。蓋落下防止部材19は、例えば、昇降駆動部4の下部に設けられ、昇降駆動部4の移動とともに移動する。蓋落下防止部材19は、搬送位置に位置する容器3の蓋2の上端部2bに対向するように配置される。搬送位置は、例えば、昇降駆動部4による容器3の可動範囲内で、容器3が最も上昇した位置である。蓋落下防止部材19は、容器3が可動範囲内で最も上昇した状態(搬送位置)で、蓋2の上端部2bに対向する位置に配置される。この場合、蓋2の下方向への位置ずれ量が小さい状態でも蓋2の位置ずれを容易に検出することができる。
【0026】
蓋落下防止部材19は、蓋検出部20と、蓋接近検出部21と、を備える。蓋検出部20は、蓋2の上端部2bの有無を検出する。蓋検出部20は、容器3に蓋2がついていない状態であるか否かを検出する。蓋接近検出部21は、蓋2の上端部2bの接近を検出する。蓋接近検出部21は、例えば、容器3から蓋2が外れて倒れてきたことを検出する。蓋接近検出部21は、蓋2に形成された平坦部2aと対向するように配置される。この場合、例えば平坦部2aを光学的に検出すること(後に図5で説明する)が容易であるので、蓋2の接近を精度よく検出できる。なお、搬送装置1は、蓋接近検出部21を備えなくてもよい。
【0027】
図2は、蓋落下防止部材19を容器3の蓋側(+Y方向)から見た斜視図である。図3は、蓋落下防止部材19を外側(−Y方向)から見た斜視図である。図2に示すように、蓋検出部20及び蓋接近検出部21は、それぞれ、蓋落下防止部材19における容器3側に配置される。蓋検出部20及び蓋接近検出部21は、それぞれ、例えば蓋2に対して凹んだ凹部に配置される。この場合、蓋2が外れて蓋落下防止部材19と衝突した場合でも、蓋検出部20あるいは蓋接近検出部21よりも凸の部分が蓋2に接触して蓋2を支えるので、蓋検出部20あるいは蓋接近検出部21と蓋2とが衝突することが抑制される。
【0028】
蓋検出部20及び蓋接近検出部21は、それぞれ、例えば、コントローラ22と電気的に接続される。コントローラ22は、例えば、蓋検出部20及び蓋接近検出部21の動作の制御、蓋検出部20及び蓋接近検出部21の検出結果の処理、蓋検出部20及び蓋接近検出部21の検出結果に基づいた各部の制御などを行う。蓋検出部20、蓋接近検出部21及びコントローラ22の動作については、後に図5において説明する。なお、蓋検出部20を制御するコントローラと蓋接近検出部21を制御するコントローラとが個別に設けられてもよい。
【0029】
図4は、容器3と蓋検出部20及び蓋接近検出部21との位置関係を示す図である。蓋検出部20は、例えば、蓋2のうち上端部2bの中央から横方向(X方向)に離れた部分と対向するように配置される。例えば、蓋検出部20は、蓋2のうち上端部2bの中央に対して−X方向に離れた部分と対向するように配置される。図4の符号OBは、容器3に収容された被収容物である。被収容物OBは、例えば、円盤状あるいは円柱状の形状である。被収容物OBの表面は、蓋2の上端部2bの中央から横方向に向かうにつれて蓋2から離れる凸形状である。蓋検出部20は、その検出範囲AR1が被収容物OBと被らないように、上端部2bの中央から横方向に離れた部分と対向する位置に配置される。蓋2のうち上端部2bの中央から横方向に離れた部分と蓋検出部20とが対向する場合、蓋2が外れている状態で蓋検出部20が被収容物OBを検出することが回避されるので、蓋2の有無を正確に検出することができる。
【0030】
図2の説明に戻り、蓋落下防止部材19は、ストッパ23を備える。ストッパ23は、例えば、蓋落下防止部材19のうち容器3側(+Y側)の面の−X側及び+X側に配置される。これらのストッパ23は、容器3側(+Y側)に突出している。ストッパ23は、容器3が揺れなどによって蓋落下防止部材19に接近した際に容器3と接触し、それ以上に容器3が接近することを防止する。ストッパ23は、容器3が揺れなどによって移動した際に、蓋接近検出部21と蓋2との距離が閾値以下になることを防止する。この閾値は、例えば、蓋接近検出部21の検出範囲に応じて設定され、容器3とストッパ23が接触した際に蓋接近検出部21の検出結果が蓋2の接近を示すレベルにならないように設定される。ストッパ23の機能については、後に図9においても説明する。なお、ストッパ23の数、形状及び位置は、それぞれ、上記したものに限定されず、任意に変更可能である。例えば、蓋落下防止部材19は、3つ以上のストッパ23を備えてもよい。また、蓋落下防止部材19がストッパ23を備えるか否かは任意であり、ストッパ23が蓋落下防止部材19以外の部分に設けられてもよいし、ストッパ23がない搬送装置1であってもよい。
【0031】
図3に示すように、蓋落下防止部材19は、接触検出部24を備える。接触検出部24は、蓋落下防止部材19のうち容器3と反対側(−Y方向)の面に配置される。接触検出部24は、例えばテープスイッチ等の圧力センサであり、蓋落下防止部材19が別の物体と接触したことを検出する。接触検出部24は、コントローラ25と電気的に接続される。接触検出部24は、検出結果として、例えば受けた圧力に応じたレベルの信号をコントローラ25に出力する。コントローラ25は、接触検出部24の検出結果(信号のレベル)に基づいて、接触検出部24(蓋落下防止部材19)と他の物体との接触があったか否かを判定する。例えば、蓋落下防止部材19の横方向(−Y方向)の移動等により接触検出部24が他の部材に接触したと判定した場合、例えば、蓋落下防止部材19が他の物体と接触した状態であることを作業者等に音声や表示等で報知(例、警告)する。コントローラ25は、例えば、接触検出部24の検出結果に基づき、横出し機構12の駆動を制御してもよい。また、コントローラ25は、蓋落下防止部材19に接触があるとの判定結果を受けた場合、制御部7に指令して、容器3の搬送を停止するようにしてもよいし、容器3の搬送速度を低下させてもよい。
【0032】
次に、蓋検出部20の構成および動作について説明する。図5は、(A)は蓋検出部20と蓋2との位置関係を示す図である。蓋検出部20は、発光部20aと、光センサ(受光部)20bと、を有する。発光部20aは、例えば発光ダイオード(LED)あるいはレーザーダイオード(LD)などの固体光源であり、蓋2が配置される方向(+Y方向)に光を射出する。光センサ20bは、例えばフォトダイオードであり、光を検出する。発光部20a及び光センサ24は、それぞれ、蓋2が所定の位置に配置された状態で発光部20aからの光が蓋2で反射して光センサ20bに入射するように、配置される。例えば、蓋2(実線で示す)が容器3に正常に付いている正常状態の場合、発光部20aが射出した光は、蓋2で反射し光センサ20bに入射する。また、蓋2(二点鎖線で示す)が容器3から外れた異常状態の場合、発光部20aが射出した光は、蓋2に入射しないこと、あるいは蓋2で反射するが反射後の方向が図5(A)から変化することによって、光センサ20bに入射しない。
【0033】
コントローラ22は、発光部20aを制御して、発光部20aから光を射出させる。コントローラ22は、容器3の吊り上げ保持状態において、発光部20aから光を連続的にまたは間欠的(パルス状)に射出させるように、発光部20aを制御する。コントローラ22は、光センサ20bを制御して、発光部20aから光を射出しているタイミングで光の検出動作を光センサ20bに実行させる。コントローラ22は、光センサ20bから検出結果を取得し、この検出結果に基づいて、蓋2が容器3から外れた状態か否か(蓋2が容器3に正常に付いているか否か)を判定する。コントローラ22は、発光部20aから光を射出させている状態で、光センサ20bからの検出信号のレベルが閾値以上である場合に、蓋2が容器3に正常に付いている状態と判定する。コントローラ22は、発光部20aから光を射出させている状態で、光センサ20bにより光が検出されない場合(例、検出信号のレベルが閾値未満の場合)に、蓋2が容器3から外れた状態と判定する。
【0034】
コントローラ22は、蓋2が容器3から外れた状態と判定した場合に、例えば搬送装置1の制御部(図示せず)などに判定結果を出力する。制御部は、蓋2が容器3から外れた状態の判定結果を受けた場合、例えば、蓋2が容器3から外れた状態であることを作業者等に音声や表示等で報知(例、警告)する。また、制御部は、蓋2が容器3から外れた状態の判定結果を受けた場合、容器3の搬送を停止してもよいし、容器3の搬送速度を低下させてもよい。なお、制御部は、コントローラ25の代わりに、光センサ24の検出結果に基づいて、蓋2が容器3に取り付けられているか否かを判定してもよい。
【0035】
次に、蓋接近検出部21の構成および動作について説明する。図5(B)は、蓋接近検出部21と蓋2との位置関係を示す図である。蓋接近検出部21は、発光部21aと、光センサ(受光部)21bと、を有する。例えば、発光部21a及び光センサ(受光部)21bは、それぞれ、蓋検出部20の発光部20a、光センサ20bと同様の構成である。発光部21aは、蓋2が設置される方向(+Y方向)に光を射出する。光センサ21bは、光を検出する。発光部21a及び光センサ21bは、それぞれ、蓋2が所定の位置に配置された状態で発光部21aからの光が蓋2で反射して光センサ21bに入射するように、配置される。例えば、蓋2(実線で示す)が容器3に正常に取り付けられている正常状態の場合、発光部21aが射出した光は蓋2で反射し光センサ21bに入射する。蓋2(二点鎖線で示す)が容器3から外れて、蓋落下防止部材19に接近した異常状態の場合、光センサ21bで検出される光の強度が正常状態から変化する。例えば、発光部21aとしてLEDなどを用いる場合、発光部21aからの光は拡散光であり、異常状態において、正常状態よりも蓋2が接近していることで、光センサ21bで検出される光の強度が強くなる。また、発光部21aとしてレーザダイオードなどを用いる場合、発光部21aからの光は直進性が強いレーザ光であり、異常状態において、蓋2で反射後の光の方向が正常状態から変化することで、光センサ21bで検出される光の強度が弱くなる。
【0036】
発光部21a及び光センサ21bは、コントローラ22により、それぞれ、発光部20a、光センサ21bと同様に制御される。コントローラ22は、光センサ21bから検出結果を取得し、この検出結果に基づいて、蓋2が容器3から外れているか否かを判定する。例えば、光センサ21bは、検出結果として、受光した光の強度に相当するレベルの検出信号をコントローラ25に出力する。コントローラ25は、発光部21aが光を射出している状態において、光センサ21bの検出信号のレベルを閾値と比較して、蓋2が容器3から外れているか否かを判定する。
【0037】
次に、昇降駆動部4の横方向の移動(本明細書において、横出しという)について説明する。図6は、昇降駆動部4を横出しした状態の一例を示す図である。昇降駆動部4は、容器3を収容するスペースに対してカバー15、16(図1参照)が設けられていない横方向(Y方向)に移動可能である。昇降駆動部4を−Y方向に移動させる場合、Y方向移動部11は、電動モータ等のY方向駆動部(図示せず)からの駆動力によって、横出し機構12の上板12aをY方向移動部11に対して−Y方向に駆動する。また、Y方向移動部11は、下板12bを上板12aに対して、−Y方向に駆動し目的位置に移動させる。昇降駆動部4は、下板12bの下面側に設けられており、昇降駆動部4は、吊り下げ部材13bを下方向に繰り出すことによって保持部13を降下させ、容器3を目的位置に載置する。このように、搬送装置1が昇降駆動部4を横出し可能である場合、例えば、目的位置に他の物品が配置されている際にSTB(サイドトラックバッファ)などに容器3を仮置きすることができ、搬送装置1を効率的に運用することができる。また、蓋落下防止部材19が昇降駆動部4に設けられる場合、例えば降駆動部4が横方向に移動中においても、簡単な構成で蓋2の有無を確実に検出できる。
【0038】
次に、搬送装置1の下部の構成について説明する。図7は、搬送装置1の下部の構成の一例を示す斜視図である。搬送装置1の下部には、バー17a、落下防止片17及び蓋押さえ片18が配置される。落下防止片17は、容器3から外れた蓋2が落下するのを防止する。落下防止片17は、容器3の下方において容器3の前面側(−Y側)に張り出して設けられ(図8(A)参照)、容器3から外れた蓋2を支持する。落下防止片17は、容器3が昇降する際に通る範囲(通路)に対して、進退可能である。例えば、バー17aは、Z方向と平行な回転軸を中心として、カバー15に対して回転可能であり、落下防止片17は、Z方向と平行な回転軸を中心として、バー17aに対して回転可能である。落下防止片17は、容器3が下方から吊り上げられる際、または、吊り上げ保持状態の容器3を降下させる際に、容器3が通る範囲外へ退避する。この際に、バー17aは、その長手方向がY方向と平行になるように回転し、且つ落下防止片17は、その長手方向がY方向と平行になるように回転する。また、バー17aおよび落下防止片17は、容器3が吊り上げ保持状態となった際に、退避した位置(点線で示す)から回転して、実線に示す位置に配置される。落下防止片17およびバー17aは、駆動部(図示せず)により駆動されて回転する。この駆動部は、制御部7(図1参照)によって制御されて、落下防止片17およびバー17aを回転させる。なお、落下防止片17を設けるか否かは任意であり、落下防止片17がない搬送装置1であってもよい。
【0039】
蓋押さえ片18は、容器3から外れた蓋2が落下するのを防止する。蓋押さえ片18は、例えば、吊り上げ保持状態において、容器3から外れた蓋2が−Y方向に移動するのを規制する。蓋押さえ片18は、横出しの際に容器3が通る範囲(通路)に対して、進退可能である。例えば、蓋押さえ片18は、Y方向と平行な回転軸を中心として、カバー15に対して回転可能である。蓋押さえ片18は、例えば、横出しなどによって容器3をY方向に移動させる際に、その長手方向がZ方向と平行(点線で示す)になるように、カバー15に近づく方向に回転して、容器3が通る範囲外へ退避する。また、蓋押さえ片18は、容器3が吊り上げ保持状態となった際に、退避した位置(点線で示す)から回転して、実線に示す位置に配置される。なお、蓋押さえ片18は、駆動部(図示せず)により駆動されて回転する。この駆動部は、制御部7(図1参照)によって制御されて、蓋押さえ片18を回転させる。なお、蓋押さえ片18を設けるか否かは任意であり、蓋押さえ片18がない搬送装置1であってもよい。
【0040】
次に、蓋検出部20及び蓋接近検出部21による蓋2の検出について説明する。図8(A)は、蓋検出部20により蓋2の有無を検出する一例を示す図、(B)は蓋接近検出部21により蓋2の接近を検出する一例を示す図である。図8(A)には、蓋2の下部が押さえ部材18に向かって滑った状態をX方向から見た図を示している。図8(B)には、蓋2の上部が蓋落下防止部材19に向かって倒れた状態をX方向から見た図を示している。
【0041】
図8(A)に示すように、蓋2の下端が容器3から外れると、蓋2が容器3からずり落ちて、押さえ部材18に支持され、落下防止片17に引っかかった状態となる。蓋2は、その下部を支点として容器3に向かって倒れている。この状態において、蓋検出部20の発光部20a(図2参照)からの光は、蓋2に入射せず蓋2で反射しない。したがって、光センサ20bに入射する光の光量が正常状態よりも減少し、光センサ20bの検出信号のレベルが減少することによって、蓋2の外れが検出される。押さえ部材18のY方向の位置が、落下防止片17の−Y方向の端の位置、または落下防止片17の−Y方向の端よりも+Y方向の位置であると、蓋2の落下を確実に防止することができる。
【0042】
また、図8(B)に示すように、蓋2の上端が容器3から外れると、蓋2の下部を支点として、蓋2の上部が蓋落下防止部材19に向かって倒れる状態になる。この状態において、蓋接近検出部21と蓋2とが接近した状態となり、蓋接近検出部21の光センサ21bの検出信号のレベルが正常状態から変化するので、蓋2の外れが検出される。
【0043】
次に、ストッパ23の機能について説明する。図9は、ストッパ23と容器3の一部とを拡大して示す図である。搬送装置1は、走行中のカーブなどで容器3が揺れる場合がある。容器3が揺れると、容器3が蓋落下防止部材19に接近する場合がある。容器3と蓋落下部材19とがあるレベルまで接近すると、ストッパ23は、蓋2を除いた容器3の一部に当接する。ストッパ23が蓋2を除いた容器3の一部に当接する場合、搬送中の容器3の揺れが抑制され、且つ容器3の蓋落下防止部材19への接近が阻止される。また、この場合、吊り下げた状態の容器3がY方向に移動した際に、容器3から蓋2が外れていない状態で、蓋2と蓋接近検出部21との間隔が閾値以下になることが防止され、蓋接近検出部21による検出を正常に行うことができる。また、これにより、蓋3が外れていないにもかかわらず蓋3が外れたと蓋接近検出部21が検出するのを防止することができる。なお、ストッパ23に容器3の接触を検出するセンサを設けてもよい。
【0044】
このように、本実施形態によれば、容器3に備える蓋2の有無または蓋2の外れを簡単な構成で確実に判別することが可能である。これにより、容器3に蓋2が付いていない異常状態を容易かつ確実に判別することができため、容器3の搬送中に誤って被収容物を容器3から落下させることを回避することができる。
【0045】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
【0046】
図10は、第2実施形態に係る搬送装置の一例を概念的に示す図である。第1実施形態では、容器3の蓋2の検出を2つの検出部(蓋検出部20及び蓋接近検出部21)により行っていたが、1つの検出部で行ってもよい。例えば、本実施形態の搬送装置1Aは、第1実施形態の蓋検出部20及び蓋接近検出部21に代えて、検出部30を備える。なお、搬送装置1Aの検出部30以外のものについては、第1実施形態と同様である。
【0047】
検出部30は、例えば、発光部30aと光センサ30bとを備える。発光部30a及び光センサ30bは、それぞれ、第1実施形態の発光部20a、光センサ20bと同様の構成である。検出部30は、例えば、第1実施形態の蓋検出部20の位置に配置される。発光部30aは蓋2の上端部に光を射出する。光センサ30bは、光の強度を検出し、その検出結果をコントローラ22(図2参照)に出力にする。コントローラ22は、光センサ30bの検出結果(光の強度)に基づき、蓋2の有無および容器3の蓋2の外れを検出する。コントローラ22は、発光部30aが光を射出している状態において、光センサ30bの検出信号のレベルを閾値と比較して、蓋2が容器3から外れているか否かを判定する。例えば、コントローラ22は、発光部30aから光を射出させている状態で、光センサ30bからの検出信号のレベルが閾値以上である場合に、蓋2が容器3に正常に付いている状態と判定する。また、コントローラ22は、発光部30aから光を射出させている状態で、光センサ30bにより光が検出されない場合(例、検出信号のレベルが閾値未満の場合)に、蓋2が容器3から外れた状態と判定する。また、コントローラ22は、第1実施形態のコントローラ25と同様に、光センサ30bで検出される光の強度が、蓋2が容器3に正常に付いている状態の光の強度から変化した場合に、蓋2が容器3から外れて接近した異常状態と判定する。
【0048】
このように、本実施形態によれば、容器3に備える蓋2の有無または蓋2の外れを簡単な構成で確実に判別することが可能である。これにより、容器3に蓋2が付いていない異常状態を容易かつ確実に判別することができため、容器3の搬送中に誤って収容物を容器3から落下させることを回避することができる。
【0049】
以上、実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、蓋検出部20あるいは蓋接近検出部21は、複数設けられていてもよい。複数の蓋検出部20あるいは複数の蓋接近検出部21を用いる場合、少なくとも1つを予備として用いることや、他の蓋検出部20あるいは蓋接近検出部21と比較に用いることが可能であり、他の蓋検出部20あるいは蓋接近検出部21の故障検出などに用いられてもよい。
【0050】
また、上記した実施形態では、蓋検出部20及び蓋接近検出部21は、それぞれ、光学的な検出手法を用いるが、他の検出手法により蓋2を検出してもよい。例えば、磁気センサ、静電容量センサ、超音波センサなどの非接触式のセンサが用いられてもよい。
【0051】
また、上記した実施形態では、搬送装置1として天井走行車5の例を記載しているが、これに代えて、床面に敷設された軌道に沿って走行する地上走行車や、床面上を走行する無軌道走行車などに適用されてもよい。
【0052】
また、上記した実施形態では、容器3として着脱可能な蓋2を備えているが、これに限定されない。例えば、蓋2として、開閉可能なシャッタが用いられてもよい。このシャッタを持つ容器の場合、蓋がない状態とは、シャッタが開けられた状態である。
【符号の説明】
【0053】
1、1A・・・搬送装置、2・・・蓋、2a・・・平坦部、2b・・・上端部、3・・・容器、3a・・・開口、4・・・昇降駆動部、19・・・蓋落下防止部材、20・・・蓋検出部、21・・・蓋接近検出部、23・・・ストッパ、30・・・検出部
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
図9
図10