(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-202968(P2017-202968A)
(43)【公開日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】焼成カルシウム飽和溶液生成装置
(51)【国際特許分類】
C01F 11/02 20060101AFI20171020BHJP
B01F 1/00 20060101ALI20171020BHJP
B01F 5/00 20060101ALI20171020BHJP
【FI】
C01F11/02 Z
B01F1/00 F
B01F5/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-257902(P2016-257902)
(22)【出願日】2016年12月15日
(31)【優先権主張番号】特願2016-103741(P2016-103741)
(32)【優先日】2016年5月6日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517181715
【氏名又は名称】株式会社オーノギ
(72)【発明者】
【氏名】森松 敏憲
【テーマコード(参考)】
4G035
4G076
【Fターム(参考)】
4G035AA25
4G035AB44
4G035AC44
4G035AE13
4G076AA02
4G076AA10
4G076DA30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】焼成カルシウム飽和溶液の原料となる粒状焼成カルシウムの残量が蓋を開けないと分からず容器が角状で、粒状焼成カルシウムの溶解が万遍なく出来ず、溶解速度が遅くフィルターが溶解容器の外部にありフィルターの目詰まりが早かった。
【解決手段】容器を筒状に変えることで均等に早く粒状焼成カルシウムが溶解でき、樹脂の透明容器に変えることで粒状焼成カルシウムの残量や溶解状態の確認が出来るようになりフィルター4をフィルター交換蓋に取り付ける事によりフィルターへ付着した粒状焼成カルシウムが剥がれて底部へ下降し、又、回転水流になり飽和溶液が生成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状本体と逆円錐台状底部とからなる装置本体の上方に粒状焼成カルシウム投入口を備え、下方に水導入手段が前記装置本体の円周方向に水を導入するように備えられるとともに前記逆円錐台状底部の底には突起物が設けられ、前記円筒状本体の上部にはフィルターを備えた水溶液取出口が設けられたことを特徴とする焼成カルシウム飽和溶液生成装置。
【請求項2】
円筒状本体と逆円錐台状底部とからなる装置本体の上方に粒状焼成カルシウム投入口を備え、下方に水導入手段が前記装置本体の円周方向に水を導入するように備えられるとともに前記逆円錐台状底部の底には突起物が設けられ、前記円筒状本体の上部には水溶液取出口が設けられ、該水溶液取出し口の下流側にフィルターハウジングが設けられたことを特徴とする焼成カルシウム飽和溶液生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成カルシウムを無駄なく溶解させて、野菜などの生鮮食品もしくは食器などの除菌・消臭剤として有用な強アルカリ性焼成カルシウム飽和溶液を連続的に製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカルシウム飽和溶液の製造方法としては、焼成カルシウムをそのまま容器の中で溶解させ白濁した溶液を使用したりする方法を採っていた。又、カルシウム飽和溶液の生成装置としては、特許第5295863号に記載されたアルカリ性焼成カルシウム水溶液製造装置が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の焼成カルシウムをそのまま容器の中で溶解させ白濁した溶液を使用する方法では、溶解できなかった粉末状の焼成カルシウムの固形物が食材へ混入し消費者のクレームとなる課題があった。又、特許第5295863号に記載されたアルカリ性焼成カルシウム水溶液製造装置では、焼成カルシウムは通水板上で蓮根固形状の塊となり焼成カルシウムは長時間十分溶解することができず焼成カルシウムの攪拌能力が低く溶解速度が遅いという課題と溶解出来なかった焼成カルシウム溶解槽の外で蓄積し、沈殿する無駄な課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の焼成カルシウム飽和溶液生成装置は筒状本体と逆円錐台状底部とからなる装置本体の上方に粒状焼成カルシウム投入口を備え、下方に水導入口が前記装置本体の円周方向に水を導入するように備えられるとともに前記逆円錐台状底部の底には突起物が設けられ、前記円筒状本体の上部にはフィルターを備えた水溶液取出口が設けられたことを特徴とする。
請求項2に記載の焼成カルシウム飽和溶液生成装置は円筒状本体と逆円錐台状底部とからなる装置本体の上方に粒状焼成カルシウム投入口を備え、下方に水導入手段が前記装置本体の円周方向に水を導入するように備えられるとともに前記逆円錐台状底部の底には突起物が設けられ、前記円筒状本体の上部には水溶液取出口が設けられ、該水溶液取出し口の下流側にフィルターハウジングが設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、粒状焼成カルシウムを効率よく省スペースでカルシウム飽和溶液を生成出来る効果を持つ、装置本体は円筒形で成り、底面部の中心部に突起物が有り、下部は逆台形の円錐筒の溶解槽と側面に水流調整板が設けられており、逆台形の円錐筒上部から上部は円筒形から成り下部側面に水導の供給口が円周方向に向けられ、最上部の密閉蓋が有り、蓋に濾過制度:0.5〜10μのフィルターが付フィルターを通過する水出口から成り、又、円筒中央側面に傾斜上向きに粒状焼成カルシウム投入口と密閉蓋で形成している装置。
【0006】
高アルカリ焼成カルシウム飽和溶液の原料となる粒状焼成カルシウムは、底面から上面へ水導水を回転吐出させることにより水流調整板にて底面水流になり粒状焼成カルシウムも同じく回転しながら溶解し、逆台形円錐筒は上方に上がる事により回転速度が速くなり焼成カルシウム飽和溶液が速いスピードで、カルシウム飽和溶液が生成され、又、溶解出来なかった粒状焼成カルシウムは筒の中心部より底部へ沈殿後、水流による回転運動を繰り返し連続して飽和溶液が生成出来る装置であり、装置本体内上部のフィルターを通過して透明な高アルカリ焼成カルシウム飽和溶液が効率よく生成できる装置。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第一の実施形態を示す粒状焼成カルシウム飽和溶液生成装置の概念図
【
図2】第一の実施形態の粒状焼成カルシウム飽和溶液の生成状態を示す図
【
図4】Aは
図1のA−A矢視断面図で、BはB−B矢視断面図
【
図5】本発明の第二の実施形態を示す粒状焼成カルシウム飽和溶液生成装置の概念図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の第一の実施形態を
図1〜
図4を参照して説明する。装置本体1は筒状本体1aと逆円錐状底部1bとからなり、筒状本体1aの上部には水溶液取出口5が設けられ、該水溶液取出口5には円筒状のフィルター4が備えられている。前記逆円錐状底部1bには突起物11が前記逆円錐状底部1bの底部17に設けられている。なお、底部17には雌ネジ16が螺刻されていて、前記突起物11の後端側に前記雌ネジ16に螺合する雄ネジ18が螺刻されている。前記筒状本体1aの下方に水導入手段としての水導入ノズル9が備えられていて、該水導入ノズル9の吐出方向は前記筒状本体1aの円周方向を向いている。さらに、前記筒状本体1aの略中央部に粒状焼成カルシウム投入孔19が設けられ、該焼成カルシウム投入孔19には焼成カルシウム投入パイプ20が連設しており、該焼成カルシウム投入パイプ20の先端部が焼成カルシウム投入口2となっていて、蓋23で塞がれている。前記水溶液取出口5には水溶液取出パイプ21が連接されており、前記焼成カルシウム投入パイプ20には圧力計12が備えられていて、前記水導入ノズル9には水量調整バルブ10を備えた水導入パイプ3が連設している。また、前記逆円錐状底部1bの内周面には水流調整板6が2箇所に設けられている。
【0009】
つぎに、本発明の焼成カルシウム飽和溶液生成装置22による焼成カルシウム飽和溶液の生成法を説明する。
まず、装置本体1内に水を半分程度貯水した状態で、粒状焼成カルシウム投入口2の蓋23を開けて、粒状焼成カルシウムを投入し蓋を閉め、水量調整バルブ10を開けて装置本体1内に水導水ノズル9より水圧のある水を供給する。
すると水導入ノズル9から導入された水による回転水流が発生し、同時に粒状焼成カルシウムの回転が始まり、水流調整板6の効果が加わり、粒状焼成カルシウムが溶解しながら上昇し、焼成カルシウム飽和溶液がフィルター4を通過し水溶液取出口5を経由して水溶液取出パイプ21から放出される。未溶解の粒状焼成カルシウムは筒状本体1aの中心部を経由して逆円錐状底部1bに向かって下降し、突起物11により円周方向に分散し、導入水の回転水流と水流調整板6により粒状焼成カルシウムは再び上昇し、上昇下降を繰り返す。
なお、フィルター4の目詰まりを防ぐには装置本体1内の溶液のうちフィルター4に接触する溶液は透明度が高いことが望ましい。
また、フィルター4の側面に付着した未溶解の粒状焼成カルシウムも剥がれて底部へ下降する。フィルター4の目詰は圧力計12の交換指針で把握が出来、フィルター交換蓋7を開けて交換できる装置である、そして装置本体1が透明な樹脂で構成されている場合は、粒状焼成カルシウムの残量の確認が容易である。
【0010】
装置本体の発明は焼成カルシウムの性質上、空気に触れずにカルシウム飽和溶液を製造でき不溶解の粒状焼成カルシウムが溶解装置に戻りカルシウム飽和溶液と成る装置。
【実施例】
【0011】
本発明は、家庭用の小型装置で円筒の外形は直径20cm高さ60cmを採用した。
【0012】
粒状焼成カルシウム8が、焼成カルシウム飽和溶液を生成する工程を説明する、水導口より装置本体直径20cmへ約1lの水を入れ、
図1より粒状焼成カルシウムを100g投入した30分後水導口内径4mmより毎分2l、水圧0.3Mpaの水を入れると、容器の底へ沈殿し蓄積した粒状焼成カルシウムが水と同じく円周回転運動で溶解を始め、装置本体1の上部へ回転しながら上部のフィルター4でろ過され、カルシウム飽和溶液、水溶液出口5内径6mmより水溶液取出しパイプ21ペーハー値12,7の強アルカリ溶液が連続生成された。
【0013】
フィルター:濾過精度:1ミクロンの使用では、粒状焼成カルシウム100gに対して90lの無色透明なph12.3〜12.7飽和溶液を確認。
【0014】
フィルター:濾過精度:10ミクロンの使用では、粒状焼成カルシウム100gに対し半透明な飽和溶液が確認され、洗浄目的で真水にて洗い流しが必要であり、スプレー式ボトルの使用では溶解してない粒状焼成カルシウムの目詰まりが起きやすい、砂場等の散布など目的にあった使用ができる。
【0013】
次に、本発明の第二の実施形態を
図5〜
図7を参照して説明する。装置本体101は逆円錐状本体101aと筒状底部101bとからなり、逆円錐本体101aの上部には水溶液取出口5及び粒状焼成カルシウム投入口107が設けられ、該水溶液取出口5には水溶液取出パイプ21が備えられている。前記水溶液取出パイプ21の下流側にはサイクロンフィルター102が接続されている。該サイクロンフィルター102の上部には焼成カルシウム溶液取出パイプ104が接続されている。前記焼成カルシウム溶液取出パイプ104には圧力計112が取り付けられている。前記焼成カルシウム溶液取出パイプ104の下流側にはフィルターハウジング103が接続されている。前記フィルターハウジング103の出口側にはph電極ハウジング105が接続されていて水溶液取出し口113から焼成カルシウム溶液が放出されるように構成されている。筒状底部101bには円錐状の突起物119が前記筒状底部101bの底部17に設けられている。前記筒状底部101bの側壁に水導入手段としての高速流量ノズル120が
図5おいて左側に3個取り付けられていて、右側に2個取り付けられていて、右側に2個は左側の高速流量ノズル120に対向するように取り付けられている。なお、前記高速流量ノズル120の吐出方向は前記筒状底部101bの円周方向を向いている。さらに、前記逆円錐状本体101aの略中央部に粒状焼成カルシウム投入口107が設けられていて、蓋23で塞がれている。白濁水溶液取出口111には白濁水溶液取出パイプ21が連接されている。前記高速流量ノズル120には水量調整バルブ115を備えた水導入分岐パイプ118が連設している。なお、該水導入分岐パイプ118は水量調整バルブ115を介して水導入パイプ109に連接している。前記サイクロンフィルター102下部に不溶解カルシウム回収パイプ122が接続されている。該不溶解カルシウム回収パイプ122はカルシウムミキシングパイプ123に組み込まれたエジェクター110に接続されている。前記筒状底部101bの内側には高速流量ノズル120の取付位置と高速流量ノズル120の取付位置との間に流量調整板106が設けられている。なお、該流量調整板106は水導入方法向けて下方に傾斜した状態で設けられている。前記流量調整板106はパンチング板が用いられているが、必ずしもパンチング板である必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の装置は省スペースで効率よく高アルカリ焼成カルシウム飽和溶液は無色、透明な溶液が生成されるため、装置のサイズを変えることにより、一般家庭から幼稚園の砂場など学校・ホテル・食品工場・公共施設などの細菌・ウイルス・カビから汚染される食品・厨房・トイレなどに洗浄や噴霧によって環境改善の利用が可能となる。
【0016】
本発明の装置は密閉容器のであり空気の接触が極めて少なく高アルカリ溶液が生成でき高アルカリの維持で必要なとき必要なだけ使える。
【0017】
本発明の応用で粒状焼成カルシウム8の容積を深くし水流調整板11を増設する事により安定したカルシウム飽和溶液の増産生成が可能となる。
【0018】
有機野菜の洗浄を次亜塩素酸ナトリウム溶液で洗浄除菌すれば有機野菜と表示出来ないが焼成カルシウム溶液の洗浄除菌は表示義務違反にならない。
次亜塩素酸ナトリウム溶液の150ppmと同等の除菌効果があり、大学や各研究機関の文献発表「ホタテ貝殻焼成カルシウム文献」で確認できる。
無色透明な焼成カルシウムのph12.7のアルカリ溶液を超音波霧化器にて噴霧することにより浮遊菌を除菌出来るため食品は減菌できる。
【符号の説明】
【0019】
1装置本体
2粒状焼成カルシウム投入口
3水導入パイプ
4フィルター
5水溶液取出口
6水流調整板
7フィルター交換蓋
8粒状焼成カルシウム
9水導入ノズル
10水量調整バルブ
11突起物
12圧力計
13円筒内の飽和溶液の水流と飽和状態
14飽和溶液上昇
15飽和溶液生成後過溶解カルシウム粒
16雌ネジ
17底部
18雄ネジ
19粒状焼成カルシウム投入孔
20粒状焼成カルシウム投入パイプ
21水溶液取出パイプ
22粒状焼成カルシウム飽和溶液生成装置
23蓋
24雌ネジ
25雄ネジ
26回転水流
101装置本体
102サイクロンフィルター
103フィルターハウジング
104焼成カルシウム溶液取出パイプ
105ph電極ハウジング
106水流調整板
107粒状焼成カルシウム投入口
108PH電極
109水導入パイプ
110エジェクター
111白濁水溶液取出口
112圧力計
113水溶液取出口
114粒状カルシウム溶剤確認窓
115水量調整バルブ
116突起物
117粒状カルシウム溶解タンク返却パイプ
118水導入分岐パイプ
119円錐状突起物
120高速流量ノズル
121エアーベント
122不溶解カルシウム回収パイプ
123カルシウムミキシングパイプ