【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
{実施例1}
<光学活性基を有する2置換アセチレン(1P)の調製>
2置換アセチレンとして下記化学式(1p)を下記反応スキーム(3)に従って合成した。
【化12】
(式中、Etはエチル基を示す。)
【0052】
((R)―1−(2−ブトキシ)−4−ヨードベンゼン(a3)の合成)
反応容器内に ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(61.1ml)、THF(100ml)を仕込んだ。THF(300ml)にPPh
3(30.5g、116mmol)、p−ヨードフェノール(25.5g、116mmol)、(S)−2−ブタノール(8.60g、116mmol)を溶解させ、0℃、アルゴン中で滴下した後、室温、N
2下で2日間撹拌した。反応終了後、 ロータリーエバポレーターで 溶媒THFを留去し、減圧乾燥した。残留物をジエチルエーテルで溶解し、溶液を減圧濾過した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、減圧乾燥してガム状の黄色粘稠物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー (hexane/chloroform = 10/1)で精製し、無色透明液体(13.98g、50.6mmol)を得た(収率44%)。
(同定データ)
1H NMR (400MHz,CDCl
3): d 0.95 (t, J = 7.6 Hz, 3H, CH
3), 1.26 (d, J =6.0Hz,3H, CH
3), 1.56-1.73 (m, 2H, CH
2),4.19-4.26 (m, 1H,CH), 6.64-7.53(m, 4H).
【0053】
(トリメチルシリル−4−((R)―2−ブトキシ)フェニルアセチレン(a4)の合成)
反応容器に、(R)−1−(2−ブトキシ)−4−ヨードベンゼン(a3)(13.98g、50.6mmol)、Pd(PPh
3)
2Cl
2(3.58g、5.10mmol)、PPh
3(5.36g、20.4mmol)を仕込み, THF (170ml、22.3mmol)、Et
3N(63.8ml、23.8mmol)、トリエチルシリルアセチレン(8.63ml、61.0mmol)をアルゴン下で加え、50℃で3h撹拌した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、THFに溶解させ濾過した後, 再度溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/chloroform= 5/1)で精製し, 黄色液体 (8.05g、32.6mmol)が得られた(収率65%)。
(同定データ)
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): d 0.22 (s, 9H, TMS), 0.95 (t,J=7.6 Hz, 3H, CH
3), 1.27 (d, J = 6.0 Hz, 3H, CH
3),1.54-1.78 (m, 2H,CH
2), 4.25-4.32 (m,1H, CH), 6.79-7.38(m, 4H)
【0054】
(クロロ−4−((R)−2−ブトキシ)フェニルアセチレン(1p)の合成)
反応容器内に、トリメチルシリル−4−((R)―2−ブトキシ)フェニルアセチレン(a4)(8.05g、32.6mmol)、 炭酸カリウム(4.57g、32.6mmol)を仕込み、四塩化炭素(100ml)を加えた。さらに、テトラブチルアンモニウムフロライドのTHF溶液(1.0M、18.7ml、66.0mmol)を加え数分撹拌した後、25°Cで15時間撹拌した。反応終了後、Et
2O(110ml)を加え、NaClを用いて塩析することにより分液した。有機層にMgSO
4を加えて数分脱水させた後、MgSO
4を濾別し, ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し, 減圧乾燥した。生成した液体を1.20g計り取り、分取HPLCを用いて精製し, 茶色液体 (0.873g、4.06mmol)として得た(収率73%)。
(同定データ)
[a]
D = 19.7 ° (c=0.1 g/dL, THF). IR (cm
-1): 832, 1249,2221, 2878, 2936, 2974.
1HNMR (400 MHz, CDCl
3): d 0.95(t, J = 7.6 Hz, 3H, CH
3),1.27 (d, J = 6.4 Hz,3H,
CH
3),1.55-1.78 (m, 2H, CH
2),4.25-4.32 (m, 1H, CH), 6.78-7.35 (m, 4H).
13CNMR (100 MHz, CDCl
3):9.84, 19.2, 29.2, 66.2, 75.4, 76.8, 77.1,77.4, 115.8, 133.5, 158.6. Elem. Anal.Calcd for C
12H
13OCl,C: 69.07%; H 6.28%. Found C: 67.95%,H 6.20%.
【0055】
{実施例2}
<光学活性基を有する2置換アセチレン(1m)の調製>
光学活性基を有する2置換アセチレン(1m)を下記反応スキーム(4)に従って合成した。
【化13】
(式中、Etはエチル基を示す。)
(クロロ−4−((R)−2−ブトキシ)フェニルアセチレン(1m)の合成)
(R)―1−(2−ブトキシ)−4−ヨードベンゼン(a3)の合成において、p−ヨードフェノール(a1)に代えて、m−ヨードフェノール(b1)を用いた以外は、クロロ−4−((R)−2−ブトキシ)フェニルアセチレン(1p)の合成と同様にして、クロロ−4−((R)−2−ブトキシ)フェニルアセチレン(1m)を合成した。
(同定データ)
[a]
D = 42.2 °(0.1g/ dL, THF). IR (cm
-1): 686, 785, 1286,1596, 2217, 1878,1935,2972.
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) d0.96 (t, J = 8.0 Hz, 3H,CH3), 1.28 (d, J= 6.0 Hz, 3H, CH
3), 1.60-1.75 (m, 2H, CH2),4.23-4.32 (m, 1H, CH),6.85-7.24(m, 4H, Ar),
13CNMR (100 MHz, CDCl
3)10.0, 19.5, 29.5, 67.9, 75.0, 76.8, 77.3,77.7,117.1,119.0, 123.2, 124.3, 129.5,158.2. Elem. Anal. Calcdfor C
12H
13OCl, C: 69.07%; H: 6.28%.Found C: 67.95%, H6.20%.
【0056】
{実施例3}
(光学活性基を有する2置換アセチレン(2p)の合成)
光学活性基を有する2置換アセチレン(2p)を下記反応スキーム(5)に従って合成した。
【化14】
(式中、Phはフェニル基を示す。)
(クロロ−4−((S)−1−フェニルエトキシ)フェニルアセチレン(2p)の合成)
(R)―1−(2−ブトキシ)−4−ヨードベンゼン(a3)の合成において、(S)−2−ブタノール(a2)に代えて、(R)−1−フェニルエタノール(c2)を用いた以外は、クロロ−4−((R)−2−ブトキシ)フェニルアセチレン(1p)の合成と同様にして、クロロ−4−((S)−1−フェニルエトキシ)フェニルアセチレン(2p)を合成した。
(同定データ)
[a]
D = 2.92 ° (c=0.1g/dL, THF).
1H NMR(400 MHz, acetone-d
6): d 7.46-7.22(Ar, 5H), 6.94-6.86 (Ar, 2H), 5.00 (q, 1H, J = 6.3 Hz),1.58 (d, 3H, J = 6.3Hz).
13C
NMR (100 MHz, acetone-d
6): d159.4, 143.8,134.0, 129.4, 128.3, 126.4, 116.9, 114.3, 76.4, 70.2, 66.4, 24.6.IR (KBr): 2985.2, 2975.8, 2927.0, 1604.4, 1508.3,1287.8,1241.3, 1180.0, 1078.0,835.7, 763.1, 699.4. Elem. Anal. Calcdfor C
14H
9OCl, C:73.53%; H 3.93%. Found C: 72.33%, H4.02%. MS (EI): m/z 256, 258 (M
+),256:258 = 3:1.
【0057】
{実施例4}
<置換ポリアセチレン(Poly(1p))の調製>
【化15】
反応容器内でクロロ−4−((R)−2−ブトキシ)フェニルアセチレン(1p) (234mg、1.12mmol)をトルエン (0.280ml)に溶解させた。 [(t−Bu
3P)PdMeCl](16.0mg、0.04mmol)とトリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf、14.0mg、0.05mmol)を別の容器で混合し、トルエン(0.560ml)で溶解させた。その後, 二つの溶液を混合し, アルゴン下で80℃、20h撹拌した。反応後、酢酸(0.1ml)加えて30分撹拌し反応を停止させた。その後, 少量のCH
2Cl
2に溶解させたのちに、MeOH (200ml)に滴下し,生じた沈殿物を減圧で濾別した後にTHF(50ml)を加え、THF可溶部と不溶部に分離し、得られた固体をTHF不溶部として回収した。THF可溶部は溶液を回収したのちにロータリーエバポレーターで溶媒を留去し, 再び少量のCH
2Cl
2に溶解させ、MeOH(200ml)に投入し、生じた沈殿物を減圧濾過にて回収し、置換ポリアセチレン(Poly(1p))を得た。
(同定データ)
Poly(1p): IR (cm
-1): 803, 1098, 1247,1507,1605, 2965, 3434.
1H NMR (400 MHz,CDCl
3): d 0.08(s),1.57 (s).
【0058】
{実施例5}
<置換ポリアセチレン(Poly(1m))の調製>
【化16】
クロロ−4−((R)−2−ブトキシ)フェニルアセチレン(1p)に代えて、クロロ−4−((R)−2−ブトキシ)フェニルアセチレン(1m)を用いた以外は実施例4と同様にして反応を行い、置換ポリアセチレン(Poly(1m))を得た。
(同定データ)
Poly(1m): IR (cm
-1): 796, 1216, 1595,2968,3434.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): d 1.50 (br), 3.50(s).
【0059】
{実施例6}
<置換ポリアセチレン(Poly(2p))の調製>
【化17】
クロロ−4−((R)−2−ブトキシ)フェニルアセチレン(1p)に代えて、クロロ−4−((S)−1−フェニルエトキシ)フェニルアセチレン(2p)を用いた以外は実施例4と同様にして反応を行い、置換ポリアセチレン(Poly(2p))を得た。
(同定データ)
Poly(2p): IR (cm
-1): 699, 1241, 1507,1604,2927, 2925, 3438.
1H NMR (400 MHz,CDCl
3): d 1.24(br), 1.60 (br), 3.48 (s).
【0060】
<数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の評価>
実施例で得られた置換ポリアセチレンについて、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)を求めた。その結果を表1に示す。
なお、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の評価は、SEC (ShodexGPC KD-G × 2, Shodex TSK-GELa-M C0053 × 2,JASCOCO-965, JASCO UV-2075 Plus, JASCORI-930, JASCO PU-980, JASCO DG-980-50, 10 mMDMF 溶液, ポリスチレン換算)により行った。
【0061】
【表1】
【0062】
<光学的性質の評価>
実施例4、5及び6で得られた置換ポリアセチレンをDMFに溶解し比旋光度とUV−visスペクトルを測定した。なお、DMF中の置換ポリアセチレンのモノマー単位の濃度は0.04mMとした。
実施例4、5及び6で得られた置換ポリアセチレンのCDスペクトルとUV−visスペクトルを
図1に示す。
図1の結果から、実施例5で得られた350nm付近に主鎖の吸収領域にCDピークを示したことから、キラルな二次構造を形成しているものと考えられる。