【実施例】
【0110】
以下、具体的な実施例を示すことにより、この実施の形態のコーティング組成物200の防汚性、親水性、密着性の詳細な実験結果および特性を説明する。なお、以下に示す実施例が、この実施の形態の範囲を限定するものではない。コーティングして表面にコーティング膜103を形成する試験対象としては、一般に使用されるPS(ポリスチレン)とABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)を使用した。
【0111】
実施例1〜7.
実施例1〜7では、純水に平均粒径9nmのシリカ微粒子101を分散したコロイダルシリカ(触媒化成工業株式会社製、pH10)と、平均粒径250nmのフッ素樹脂粒子102を純水に分散したPTFEディスパージョン(旭硝子株式会社製、pH10)とを撹拌混合した後、非イオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエステル)をさらに加えて撹拌混合することにより、表1に示す組成を有するコーティング組成物を調合した。コーティング組成物中の非イオン系界面活性剤の含有量は、0.05重量%であった。これらで試験片の表面をコーティングした。また、最適なシリカ微粒子101とフッ素樹脂粒子102の重量比を見つけるために、シリカ微粒子101とフッ素樹脂粒子102の重量比を30:70〜100:0の範囲で変化させた。
【0112】
比較例1〜3.
比較例1では、コーティング無しのPSであり、シリカもフッ素も含まない。比較例2では、PSに親水塗料として広く用いられる有機系のPVC(ポリビニルアルコール)をコーティングしたものであり、シリカもフッ素も含まない。比較例3では実施例6と同様の重量比でありながら、シリカ微粒子101のコーティング組成物に対する重量比を高めて、すなわち微粒子の濃度を高くしてコーティング組成物200を調合した。
図17に詳細を示す。
【0113】
各例のコーティング組成物200を試験片に塗布し、静置乾燥にて試験片にコーティング膜103を形成し、形成されたコーティング膜103の性状、初期接触角θおよび防汚性能をそれぞれ評価した。ここで、コーティング膜103の性状は、目視観察により評価した。接触角θは、接触角計(協和界面化学株式会社製DM100)により測定した。防汚性能は、親水性汚損物質105である砂塵の固着性、疎水性汚損物質106であるカーボン粉塵の固着性を評価した。
【0114】
親水性汚損物質105の固着性評価は、1〜3μmを中心粒径とするJIS関東ローム粉塵をエアーでコーティング表面(コーティング膜103)に吹き付けることにより、赤色の関東ローム粉塵の固着による着色を目視観察にて五段階評価した。この評価において、関東ローム粉塵の固着がほとんどないものを1とし、関東ローム粉塵の固着が多いものを5と表記する。また、疎水性汚損物質106の固着性評価は、油系のカーボンブラックをエアーでコーティング表面(コーティング膜103)に吹き付けることにより、黒色のカーボンブラックの固着による着色を目視観察にて五段階評価した。この評価において、カーボンブラックの固着がほとんどないものを1とし、カーボンブラックの固着が多いものを5と表記する。その評価結果を
図18に示す。
【0115】
図18に示す実験結果から、実施例1〜7のコーティング組成物200により形成されたコーティング膜103は、いずれも親水性、疎水性の両方の汚損物質に対して優れた防汚性能を示し、シリカ微粒子101とフッ素樹脂粒子102との含有量(重量比率)を調整することにより、形成されるコーティング膜103の巨視的な特性(親水性または疎水性)を調整することができた。
【0116】
本実施の形態のコーティング膜103は連続してつながった親水性のシリカ膜104がベースになっているため、接触角は総じて低い値を示しているが、ミクロ領域(微視的)では、親水性と疎水性が交互にナノレベルで連続して配置される。また、シリカの割合を多くした場合は疎水性汚損物質106の付着を抑制することができ、フッ素の割合を多くした場合は親水性汚損物質105の付着を抑制できることができる。
【0117】
ただし、フッ素樹脂粒子102の重量比が高い実施例1(シリカ微粒子101の重量:フッ素樹脂粒子102の重量=30:70)では、疎水性汚損物質106に対する防汚性能がやや劣る傾向があることがわかる。また、シリカ微粒子101のみで形成した実施例7(シリカ微粒子101の重量:フッ素樹脂粒子102の重量=100:0)では、フッ素樹脂粒子102による微小凹凸が無いために付着面積が広く、全体としての防汚効果はかなり限定されてしまう。
【0118】
実施例1〜7のコーティング組成物200では、厚さが均一で薄いコーティング膜103を形成することができた。電子顕微鏡画像からコーティング厚みは100nm程度の薄膜であり、透明な膜を形成できた。実施例6と比較例3を比べれば、同じシリカ微粒子101とフッ素樹脂粒子102の重量比であっても膜の性状は変化することがわかる。シリカ微粒子101の含有量(濃度)が高い(5重量%を超える)場合には、形成されるコーティング膜103は、厚さが不均一で白濁してクラックが入りやすく好ましくない。
【0119】
親水性と疎水性の両方の汚損物質に対して防汚性能を両立するものとして、シリカ微粒子101に対するフッ素樹脂粒子102の重量比率が、50:50〜85:15である実施例2、3、4、5が特に好ましい。更に詳細には重量比率が75:25である実施例4が最も好ましく、親水性・疎水性の両方の粒子の汚損から効果的に被コーティング物107(被コーティング樹脂)を守れる。シリカ微粒子101とフッ素樹脂粒子102との含有量(重量比率)を調整することにより、防汚特性の制御が容易である。
【0120】
一方、比較例1の従来からコーティング無しのPS樹脂では、いずれの汚れも明白に付着して汚損され易い事が示された。絶対値での防汚効果を知るために別途光を透過するPETフィルムに関東ローム砂塵とカーボンブラックを吹き付けて、光透過度から評価を行った。その結果、実施例の4(シリカ微粒子101とフッ素樹脂粒子102との重量比75:25)は、従来のコーティングを施さないPS樹脂である比較例1に比べて、親水性・疎水性の両性ともに約1/10〜1/20程度に付着量を抑制できる。また、一般的な親水塗料であるPVCコーティングを施した比較例2に比べて、親水性・疎水性の両性ともに約1/5〜1/10程度に付着量を抑制できる。
【0121】
加えて、比較例1のPS樹脂の表面抵抗(体積抵抗率)は約10
16Ω・cmと高い値を示すのに対して、実施例1〜7のコーティングの表面抵抗は約10
12Ω・cmと低い値を示すため、表面の静電気力が従来のPS樹脂に比べて低くなり、それだけ付着した汚れは剥がれやすい。これは、本実施の形態のコーティングが巨視的には親水性を示すため、表面のOH基によりイオン伝導が促されて電気が通りやすくなるためである。
【0122】
また、疎水性粒子の代表としてカーボンブラックを用いたが、その他の疎水性物質である油煙の影響を確認した。焼肉から発する油煙および0.1〜1mmに分布した繊維状ホコリを被コーティング物107(被コーティング樹脂)の前面風速を1m/sに設定して20cm角の風洞に設置した実施例4のコーティング樹脂および比較例1の従来のPS樹脂に通して油煙および繊維ホコリの付着具合を目視ならびに顕微鏡にて観察した。その結果、実施例4では明白にホコリの付着量が少なく、油煙の付着が抑制されたことが示された。これは、疎水性粒子の付着面積が少ない効果に加えて、膜が低密度なために例え油煙が付着してもコーティング内部に吸収されるので表面に油煙が残らないためである。また、時間が経過するとホコリ・砂塵が剥がれ落ちる効果も確認された。一方、比較例1〜3の従来例では、表面に油煙付着が明白に確認され、時間が経ってもホコリは剥がれ難かった。
【0123】
以下、親水性について述べる。
図18から、比較例1に示すコーティングを施さないPS樹脂の静的接触角が80度であるのに対して、実施例3〜7のコーティングを施したPS樹脂の静的接触角は10〜20度程度であった。接触角が低いことによって、水滴を押し広げて、水滴の成長と落下を抑制して、すばやく乾燥できる。水分の乾燥速度は、周囲の空気温度および気流速度などが同一であれば、気中との接触面積(=水滴の表面積)に従うことは公知であり、親水性をもつコーティング表面上では水分と空気の接触面積は大きくなり乾きやすい。
【0124】
実際に、水平に置いた試験片状で20μLの水滴を落としたところ、実施例4のコーティングを施したPS樹脂は水滴が瞬時につぶれて広がったが、比較例1に示すコーティングを施さないPS樹脂は撥水性であるため水滴はつぶれなかった。更に、別の親水性コーティングと比較するために、一般に広く使用されるPVC(ポリビニルアルコール)をコーティングしたPS樹脂である比較例2を用いて同様の試験を行ったが、つぶれて広がるまでの時間が長かった。この挙動を高速度カメラにより撮影した結果を
図19に示す。落とした水滴がつぶれて初期接触角θに到達するまでの時間を測定すると、PVCをコーティングした比較例2が約1秒程度かかるのに比べて、実施例4のコーティングを施したPS樹脂は2桁速い0.01秒であり、瞬時に付着した水滴が広がる良好な親水性を示した。親水ではない樹脂はもちろんのこと、一般的な親水材料であるPVCコーティングと比べても、シリカ微粒子101を用いた本実施の形態のコーティングは、水分の成長を抑制して、水滴落下を抑制する効果を持つ。
【0125】
以下、密着性について述べる。密着性の評価は、作成した試験片を水濡れさせたティッシュにより約1kg/cm
2での圧着往復を行い、剥離するまでの回数から評価した。約1kg/cm
2は消しゴムで強く擦る程度である。コーティング溶液には過酸化物112またはラジカル発生材111を添加した実施例4の配合溶液を使用し、コーティングを施した後、60度18時間環境下にて乾燥させた。ラジカル発生材111として、BPO(ベンゾイルパーオキサイド)、AVCA(4,4−Azobis(4−cyanovaleric Acid))、過酸化物112として、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸ナトリウム、過酸化水素を用いた。被コーティング物107(被コーティング樹脂)あるPS樹脂(ポリスチレン)に対する密着性を
図20に、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン)に対する密着性を
図21に示す。
【0126】
その結果、被コーティング物107(被コーティング樹脂)である下地がPS樹脂(ポリスチレン)の場合には、熱ラジカルであるAVAC、BPOの効果は少量であったが、過酸化物112である過硫酸アンモニウム(APS)をコーティング液濃度添加したものは、10倍以上の耐拭き取り回数を示した。図示はしていないが、下地がPP樹脂(ポリプロピレン)の場合にもPS樹脂と同様の傾向が見られた。また、過硫酸ナトリウム、過酸化水素の場合にも同様の密着度改善効果が見られた。添加濃度としては、0.05%〜5%で効果が確認された。
【0127】
また、下地がABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン)の場合には、過酸化物112である過硫酸アンモニウム(APS)の効果は少量であり、AVCAでは均一性なく密着性が悪化したが、非水溶性の熱ラジカルであるBPOを添加したものは、5倍〜7倍の耐拭き取り回数を示した。
【0128】
コーティング後、60℃18時間環境下においた場合に効果が高いが、室温レベルの20℃18時間放置であっても3倍程度の密着性の向上が認められた。コーティング溶液にラジカル発生材や過酸化物112を添加することによって、撥水性の高い樹脂上であってもはじかれにくくなり、塗布しやすくなる。ラジカル発生材111や過酸化物112が熱分解や時間に連れて自己分解するにつれて、特に下地の被コーティング物107(被コーティング樹脂)とシリカ膜104の界面近傍で、フッ素樹脂分散液(ディスパージョンとも呼ぶ)に含まれていたモノマー成分や界面活性剤が反応起点となって、シリカの凝集形態変化や下地の被コーティング物107(被コーティング樹脂)とシリカ膜104の接着効果を及ぼし、密着性を上げることができる。これらは、樹脂分散液と反応材料(ラジカル発生材111または過酸化物112)のどちらかがなくても成立しないことから考えて、分散液中の成分と反応材料が効果に寄与していると判断できる。
【0129】
以上説明してきたように、本実施の形態は、シリカ微粒子101と、フッ素樹脂粒子102と、を含有し、コーティング膜103が、シリカ微粒子101から成るシリカ膜104中にフッ素樹脂粒子102がシリカ膜104の表面から部分的に露出するように点在して成り、シリカ膜104の露出面積がフッ素樹脂粒子102の露出面積よりも大きいものであり、分解作用のある反応型ラジカル発生剤を添加したコーティング組成物200を備えたことを特徴とする。
【0130】
それにより、親水性汚損物質105と疎水性汚損物質106の両方に対して優れた防汚性能を発揮するとともに、親水性効果による水押し広げ効果、水滴成長速度の抑制効果、乾燥促進効果に優れ、さらに大掛かりな設備を要せず低コストにて密着性を向上して剥がれることなく、長期間に渡って露付き防止と汚れ付着防止を同時に提供する効果を有する。
【0131】
以上のように、実施の形態1のコーティング組成物は、樹脂製部品に施すコーティング組成物であって、
樹脂製部品の表面にコーティング膜を形成し、シリカ微粒子と、フッ素樹脂粒子とを含有し、コーティング膜が、シリカ微粒子から成るシリカ膜中にフッ素樹脂粒子がシリカ膜の表面から部分的に露出するように点在して成り、シリカ膜の露出面積がフッ素樹脂粒子の露出面積よりも大きいものである。
コーティング膜を形成するための水を含むコーティング溶液は、原料として、少なくとも、塗布後の乾燥工程において樹脂製部品とシリカ膜の界面近傍での反応起点となるフッ素樹脂分散液と、過酸化物またはラジカル発生材とを含むことを特徴とする。
【0132】
フッ素樹脂分散液は、フッ素樹脂粒子が界面活性剤を利用して水に分散されたものであって、コーティング溶液の状態では、少なくとも、フッ素樹脂粒子と、界面活性剤とを含んでフッ素樹脂粒子の表面が疎水性が低い状態となっていて、かつ、乾燥されてコーティング膜となった状態では、フッ素樹脂粒子の表面が疎水性を示すことを特徴とする。
【0133】
樹脂製部品は、ポリカーボネート、アクリル、ポリスチレン、ポリプロピレンなどを材料として構成され、過酸化物は、過硫酸アンモニウムまたは過硫酸ナトリウムまたは過酸化水素の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0134】
樹脂製部品は、アクリロニトリルブタジエンスチレンまたはアクリロニトリルスチレンまたはアクリロニトリルスチレンにガラスを材料として構成され、ラジカル発生材は、ベンゾイルパーオキサイドであることを特徴とする。
なお、前述のとおり、コーティング組成物200は有機溶剤を含まないので、照明装置のカバーに多様されるポリカーボネート(PC)が被コーティング物である場合に、好適であるが、表面劣化や割れを発生させない条件を選択することによって、有機溶剤を含むコーティング組成物を採用することも可能である。ポリカーボネート(PC)に有機溶剤を含むコーティング組成物を敷設する場合には、エタノール、メタノール、エチレングリコール、グリセリンなどを有機溶剤として用いることができる。この際、有機溶剤の添加量は、コーティング組成物の10質量%程度以下であることが好ましい。コーティング組成物に有機溶剤を添加することによって、被コーティング物に対するコーティング組成物の均一な塗布が容易になる。コーティング膜103が安定して均一に形成されることによって膜表面の意匠性が向上するとともに、均一な光学特性を得ることができる。
【0135】
<照明装置への適用>
前述したように、コーティング組成物200は、防汚性能に優れているので、樹脂製部品に対するホコリ、粉塵、砂塵、油煙、カーボン、煤、煙草のヤニなどの様々な汚れ(親水性汚損物質105や疎水性汚損物質106)の固着を防止することができる。
また、コーティング組成物200は、初期の親水性および長期の親水持続性に優れるため、高い親水性、排水性の効果も得られる。
【0136】
一般に、照明装置1000は、LEDなどの光源、光源を覆う光透過部品と、光反射部品と、放熱部品などを備える。エネルギー効率を考えれば、光透過部品の可視光透過率と、光反射部品の可視光反射率と、放熱部品の放熱効率とは高い方が望ましい。したがって、光透過部品と光反射部品と放熱部品とに何らかのコーティング膜を施してこれらの効率を減少させることは好ましくない。しかし、例外として、拡散機能を得るために敷設される拡散膜が挙げられるが、光透過部品に拡散膜を施せば、拡散膜により可視光透過率は減少する。
【0137】
本実施の形態は、光透過部品または光反射部品または放熱部品などの光学機能部品に対して、光学機能部品の機能を損なわず、光学機能部品の機能に適合したコーティング膜103を形成して、光学機能部品の光学機能とコーティング膜103の防汚性、親水性の機能との両方を提供するものである。
【0138】
<コーティング膜103の機能>
コーティング組成物200により形成されたコーティング膜103は、防汚性、親水性、光透過性、光拡散性、光反射性、および低摩擦性のうちのいずれかの機能を有する。
コーティング膜103が、防汚性、親水性、光透過性の機能を有することについては、既に説明した。
以下、光拡散性、光反射性、および低摩擦性について説明する。
【0139】
<コーティング膜103の光拡散性>
コーティング膜103は、光拡散性の機能を有する。
コーティング膜103は、前述したとおり、平均粒径が15nm以下のシリカ微粒子101であれば、コーティング膜103により反射する光の散乱が小さくなる。このため、コーティング膜103の透明性が向上し、光拡散機能が減少する。
逆に、平均粒径が15nm超のシリカ微粒子101であれば、コーティング膜103により反射する光の散乱が大きくなるため、光拡散機能が増加する。平均粒径が15nm超のシリカ微粒子101を用いることにより、コーティング膜103を拡散膜として使用することができる。
また、平均粒径が15nm以下のシリカ微粒子101に、15nm超のシリカ微粒子101を添加して、コーティング膜103を拡散膜として使用することができる。
あるいは、コーティング組成物200に、平均粒径が0.05〜20μm(50〜20000nm)のシリカを添加して、コーティング膜103を拡散膜として形成してもよい。
あるいは、コーティング組成物200に、チタニア、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛のうち、少なくとも1つを添加して、コーティング膜103を拡散膜として形成してもよい。
なお、コーティング膜103に含まれるシリカ微粒子101の平均粒径が15nm以下である場合には、光散乱が抑制されるので透明性の高い膜となる。このコーティング膜103が透光性のカバー1230に施されることによって、照明装置1000の点灯時における光の透過率を向上させることができる。
また、コーティング膜103の膜厚を適度に調整することで、表面の反射を抑えることができる。コーティング膜103の表面の光反射が抑えられることで、照明装置1000の非点灯時における意匠性を向上させることができる。
コーティング膜103の膜厚は、平均膜厚として50nm以上250nm未満の範囲であることが好ましい。コーティング膜103の膜厚が50nm未満の場合は、反射防止効果を得にくく、また、フッ素樹脂粒子が脱落しやすくなり、防汚性が十分に発揮できなくなるおそれがあり好ましくない。コーティング膜103の膜厚が250nm以上の場合は、反射防止効果が得にくく、膜中などにクラックが発生しやすくなるので、白濁したり剥離しやすくなったりするおそれがあり好ましくない。
同じ理由により、コーティング膜103の膜厚は、平均膜厚として80nm以上200nm未満がさらに好ましい。
【0140】
<コーティング膜103の光反射性>
コーティング膜103は、光反射性の機能を有する。
【0141】
平均粒径が15nm以下のシリカ微粒子101であれば、コーティング膜103により反射する光の散乱が小さくなるため、コーティング膜103の透明性が向上する。逆に、平均粒径が15nm超のシリカ微粒子101であれば、コーティング膜103による光の反射が多くなる。平均粒径が15nm超のシリカ微粒子101を用いることにより、コーティング膜103を反射膜として使用することができる。
【0142】
また、シリカ微粒子の平均粒径が、4〜15nmの範囲内であり、フッ素樹脂微粒子の平均粒径が、50〜500nmの範囲内であるコーティング膜103のシリカ膜の可視光透過率は、フッ素樹脂微粒子の可視光透過率より大きい。
すなわち、コーティング膜103は、カバー1230の表面に敷設された状態で、シリカ膜の可視光透過率がフッ素樹脂粒子の可視光透過率よりも大きい。
コーティング膜103は、カバー1230の表面に敷設された状態で、フッ素樹脂粒子の可視光反射率がシリカ膜の可視光反射率よりも大きい。
【0143】
<コーティング膜103の低摩擦性>
コーティング膜103は、低摩擦性の機能を有する。
シリカ膜から一部が露出したフッ素樹脂粒子によってコーティング膜103の摩擦係数が減少し、コーティング膜103が敷設された光学機能部品の接触抵抗が抑制されに滑りやすくなる。フッ素樹脂粒子の含有量により、摩擦係数は変化する。
【0144】
<コーティング膜103の機能の組み合わせ>
コーティング組成物200により形成されたコーティング膜103は、防汚性、親水性、光透過性、光拡散性、光反射性、および低摩擦性のうちのいずれか複数の機能を有することが好ましい。
具体的ないくつかの組み合わせの例は、以下のとおりである。
光透過部品に形成するコーティング膜103は、防汚性と、透過性との機能を有することが好ましい。
光透過部品で光拡散をする場合は、光透過部品に形成するコーティング膜103は、光拡散性の機能を有することが好ましい。
光拡散部品に形成するコーティング膜103は、防汚性と、透過性と、光拡散性の機能を有することが好ましい。
光反射部品に形成するコーティング膜103は、防汚性と、光反射性との機能を有することが好ましい。
光反射部品で光拡散をする場合は、光反射部品に形成するコーティング膜103は、光拡散性の機能を有することが好ましい。
放熱部品に形成するコーティング膜103は、防汚性と、低摩擦性との機能を有することが好ましい。低摩擦性を有していれば、受傷および火傷の可能性が減少する。
人間または他の部品と接触する部品に形成するコーティング膜103は、防汚性と、低摩擦性との機能を有することが好ましい。
外郭を形成する器具本体に形成するコーティング膜103は、防汚性と、親水性との機能を有することが好ましい。高い親水性を有していれば、水滴成長を抑制できて水滴の飛散を防止でき、空気に触れる表面積が広がり乾燥する速度も向上する。従って、表面に水分が存在する時間が短くなり、カビの繁殖も抑制できる。
【0145】
<コーティング膜103の機能の適合的選択>
また、光学機能部品の機能に応じて、コーティング組成物200の組成を変え、光学機能部品に適合したコーティング膜103を形成するのがよい。
一つの照明装置の複数の光学機能部品にコーティング膜103が形成される場合、これらのコーティング膜103はすべて同一のコーティング膜103である必要はなく、むしろ、光学機能部品の機能に応じたコーティング膜103とすることが好ましい。
具体的ないくつかの例は、以下のとおりである。
光透過部品に形成するコーティング膜103は、他の光学機能部品より透過性の機能を高めることが好ましい。
光反射部品に形成するコーティング膜103は、他の光学機能部品より反射性の機能を高めることが好ましい。
放熱部品に形成するコーティング膜103は、他の光学機能部品より低摩擦性との機能を高めることが好ましい。
人間または他の部品と接触する部品に形成するコーティング膜103は、他の光学機能部品より低摩擦性の機能を高めることが好ましい。
外郭を形成する器具本体に形成するコーティング膜103は、他の光学機能部品より親水性の機能を高めることが好ましい。
【0146】
<コーティング膜103>
図7から
図10に示すように、コーティング膜103は、光学機能部品であるカバー1230の表面に敷設されている。すなわち、コーティング膜103は、主部1231、カバー側壁部1232、および、傾斜部1232−1に形成されている。コーティング膜103は、シリカ微粒子およびフッ素樹脂粒子を含むコーティング組成物200により形成された薄膜状のコーティング膜である。
【0147】
コーティング組成物200は、平均粒径が15nm以下のシリカ微粒子101を用いる。平均粒径が15nm以下のシリカ微粒子101であれば、コーティング膜103により反射する光の散乱が小さくなるため、コーティング膜103の透明性が向上し、カバー1230の光の透過特性の変化を抑え、カバー1230の色調や風合いも損なわないようにすることができる。
【0148】
カバー1230の光の透過特性の変化を抑えるため、コーティング組成物200の分散液に使用される水は、2価以上のイオン性不純物が200ppm以下であることが望ましく、より望ましくは50ppm以下である。2価以上のイオン性不純物が多くなると、シリカ微粒子101やフッ素樹脂粒子102が凝集して沈殿したり、形成されるコーティング膜103の透明性が低下したりする恐れが生じる。
【0149】
また、コーティング組成物200には、形成されるコーティング膜103の透明性の向上の目的でカップリング剤やシラン化合物を添加するのが好ましい。
【0150】
図18に示すように、実施例1から7のコーティング組成物200の中では、実施例5を除く実施例のコーティング膜103は透明膜であるから、カバー1230の光の透過特性の変化させることがない。
シリカ微粒子101の含有量(濃度)が高い(5重量%を超える)場合には、形成されるコーティング膜103は、厚さが不均一で白濁してクラックが入りやすく好ましくない。
【0151】
ラジカル発生材や過酸化物112は密着性を増加せせるために添加するが、照明装置は、可動部がなく、静止して使用されるため、密着性をさほど向上させる必要がない。したがって、コーティング組成物200にラジカル発生材または過酸化物112はなくてもよい。
【0152】
<カバー1230の製造方法>
図22、
図23を参照して、光学機能部品であるカバー1230の製造方法について説明する。特に、光学機能部品の表面に敷設されるコーティング組成物によるコーティング膜の敷設方法について説明する。
図22は、実施の形態1に係るカバーの製造工程を示すフローチャートである。
(1)成形工程S10
成形工程S10では、
図23に示すように、光学機能部品が複数連結された連結部品1950を製造する。
ここでは、カバー1230を長手方向Xに2個連結した連結部品1950を製造する。連結部品1950の両端には作業用の作業保持部1910を設けておく。連結部品1950の長さは、カバー1230の長さ×2個+作業保持部1910の長さ×2となる。
(2)塗布工程S11
塗布工程S11では、連結部品1950の表面にコーティング膜103を形成するためのコーティング溶液を塗布する。
ここでは、作業保持部1910を保持することにより連結部品1950に対して、コーティング溶液を塗布する。作業保持部1910にも、コーティング溶液を塗布するが、作業保持部1910の保持されている部分には、コーティング溶液を塗布することができない。
コーティング溶液を塗布後、乾燥させ、コーティング膜103を形成する。
(3)切断工程S12
切断工程S12では、コーティング膜103を形成した連結部品1950を切断して、光学機能部品を作成する。
ここでは、コーティング膜103を形成した連結部品1950の両端にある作業保持部1910を切り落とし、さらに、カバー1230の長さに切断することで、複数個のカバー1230を得る。作業保持部1910は切り落としてしまうので、カバー1230の長手方向における両端までコーティング膜103が形成されている。
【0153】
このように、光学機能部品としてのカバー1230に、シリカ微粒子およびフッ素樹脂粒子を含むコーティング組成物200によるコーティング膜103を形成し、光学機能部品としてのカバー1230を用いて照明装置を製造することができる。
光学機能部品は、カバー1230に限られず、各部品の機能に適合したコーティング膜103が形成された複数種類の光学機能部品を用いて照明装置を製造することができる。
なお、成形工程S10は、押出成形によって光学機能部品を連続的に成形する工程としてもよい。また、塗布工程S11は、押出成形によって押し出された光学機能部品に連続的に塗布して乾燥する工程としてもよい。そして、切断工程S12は、コーティング膜103が形成された光学機能部品をカバー1230の長さに順次切断する工程としてもよい。このような工程とすることで、作業保持部1910を設ける必要がなくなり、材料コスト低減と省資源化の効果を奏する。
【0154】
<コーティング溶液の塗布方法>
コーティング溶液の塗布方法として、以下の方法がある。
【0155】
1.スプレーにより塗布
スプレーにより塗布は、表面に凹凸が残りやすいので、外観が悪くなる場合がある。
スプレーにより塗布は、コーティング溶液の液量を調整する。
2.スポンジにより塗布
図23に示すように、光学機能部品としてのカバー1230の表面を包むような凹部を有するスポンジ1900を作成し、スポンジ1900にコーティング組成物200によるコーティング溶液を含浸させる。その後、凹部にカバー1230を嵌め込んで、スポンジ1900全体に圧力をかけて、カバー1230の表面にコーティング膜103を形成する。
スポンジ1900による塗布は、塗むらが生じることがある。または、膜厚が不均一になりやすい。
スポンジ1900による塗布は、スポンジと光学機能部品との接触圧および接触時間を調整する。
なお、スポンジ1900以外に、ハケ、布、不織布、紙などを用いてコーティング溶液を塗布してもよい。スポンジ1900、ハケ、布、不織布、紙などを用いてコーティング溶液を塗布する場合は、塗布によりコーティング組成物200の液膜が被コーティング物品表面を覆い、過剰なコーティング組成物200が液だれを起こさないようにする。気流で除去する場合には、余剰液の流れや余剰液の液滴飛散により塗むらが生じる恐れがあるが、スポンジ1900、ハケ、布、不織布、紙などを用いてコーティング溶液を塗布する方法では、余剰液の流れや余剰液の液滴飛散による塗むらを回避できる。
3.浸漬により塗布
複雑な形状の光学機能部品の全面に対して、塗布することができる。
逆に、表面だけ、あるいは、裏面だけのような一部分への塗布は難しい。
4.かけ塗りにより塗布
筒状部品の内周面に塗布することができる。
【0156】
以上のように、コーティング溶液の塗布方法には一長一短があり、光学機能部品の機能、形状、塗布場所に応じて、適切な塗布方法を選択する。
塗布作業をする際には、光学機能部品を保持する必要があり、光学機能部品を保持する作業保持部が必要である。作業保持部にはコーティング溶液が塗布されなくてもよく、コーティング溶液の乾燥後に、作業保持部は切り落とされ捨てられる。
【0157】
<保護膜との併用>
コーティング膜103を保護膜と併用してもよい。
【0158】
図24は、カバー1230と保護膜1970とコーティング膜103との断面模式図である。
【0159】
カバー1230の表面には、表面傷1957が存在する。この表面傷1957は、カバー1230の外観に筋や線をとなって視覚的に現れ、膜肌の美観を損なう原因となる。
【0160】
保護膜1970は、金属酸化物Xから構成されている。
金属酸化物Xは、例えば、平均粒子径が0.05〜0.3μm(50〜300nm)の微粒子シリカである。
保護膜1970の厚さは、例えば、0.5〜5.0μmである。
【0161】
保護膜1970は、例えば、水または水とポリエチレンオキサイドとの混合液などの液に微粒シリカなどの金属酸化物Xを分散させて懸濁液を作製し、懸濁液をカバー1230の表面に流しカバー1230に懸濁液を塗布し、温風エアーで懸濁液を乾燥させて形成される。
【0162】
保護膜1970は、以下の機能を有する。
1.表面傷1957への金属酸化物Xの充填
保護膜1970は、カバー1230の内周にある表面傷1957に入り込み、表面傷1957を外部なら見えないようにする。このためカバー1230の美的外観が向上する。
表面傷1957があると光屈折率が変わる問題、もしくは、表面の細かい傷により、液の流れが不規則となることにより塗りムラとなる問題があった。金属酸化物Xが表面傷1957に充填されることにより、外観から表面傷1957による膜肌の荒れをなくすことができ、美観が向上する。
2.光の拡散
保護膜1970の金属酸化物Xにより、光を拡散する。
3.密着性の向上
光学機能部品は、樹脂であることが望ましいが、ガラス、金属、その他の樹脂以外の光学機能部品でもよく、樹脂以外の光学機能部品には、保護膜1970により密着性を増加せることが望ましい。保護膜1970の組成物は、ガラス、金属、その他の材料により変更することが望ましい。
【0163】
<蛍光体との併用>
コーティング組成物200に蛍光体を混ぜてコーティング膜103を形成してもよい。
青色LEDチップと黄色蛍光体とによって白色光を放出することができるが、コーティング組成物200に黄色蛍光体を混ぜて、カバー1230にコーティング膜103を形成すれば、青色LEDチップにより白色光を放出することができる。
同様に、コーティング組成物200に、赤色蛍光体および緑色蛍光体を含有させて、カバー1230にコーティング膜103を形成し、青色LEDチップと組み合わせることによりに白色光を放出することができる。
同様に、コーティング組成物200に、青色蛍光体粒子、緑色蛍光体粒子および赤色蛍光体粒子を含有させて、カバー1230にコーティング膜103を形成し、紫外光を放出する紫外LEDチップと組み合わせることによりに白色光を放出することができる。
【0164】
<特徴的構成>
この実施の形態のコーティング組成物200は、シリカ微粒子およびフッ素樹脂粒子を含み、光学機能部品の表面に敷設されたコーティング組成物である。コーティング組成物200は、フッ素樹脂粒子が、シリカ微粒子から成るシリカ膜の表面から部分的に露出するように点在した状態で、薄膜状のコーティング膜103として敷設されている。
【0165】
コーティング膜103は、光学機能部品の表面に敷設された状態で、シリカ膜の露出面積がフッ素樹脂粒子の露出面積よりも大きい。
【0166】
コーティング膜103は、光学機能部品の表面に塗布されたコーティング溶液が乾燥固化した状態で光学機能部品の表面に薄膜状に敷設されている。
【0167】
コーティング溶液は、水を含んでなる。
【0168】
コーティング溶液は、乾燥固化において樹脂製部品とシリカ膜の界面近傍での反応起点となるフッ素樹脂分散液、および、過酸化物またはラジカル発生材のいずれかを含む。
【0169】
コーティング膜103は、光学機能部品の表面に敷設された状態で、シリカ膜の可視光透過率がフッ素樹脂粒子の可視光透過率よりも大きい。
【0170】
コーティング膜は、光学機能部品の表面に敷設された状態で、フッ素樹脂粒子の可視光反射率がシリカ膜の可視光反射率よりも大きい。
【0171】
本実施の形態の照明装置は、光源と、光源を覆う光学機能部品であって、前述したコーティング組成物200が薄膜状のコーティング膜103として表面に敷設された透光性のカバー1230とを備える。
【0172】
<効果>
前述のように、本実施の形態において、樹脂製部品であり光学機能部品であるカバー1230に、シリカ膜の露出面積がフッ素樹脂粒子の露出面積よりも大きいものであるコーティング組成物を備えたことにより、カバー1230が長時間使用された場合におけるカバー1230の表面への汚れ付着防止を実現できる。これによって、長期にわたってカバー1230は清潔な状態が維持されるとともに、長期にわたってカバー1230の可視光透過率が維持され光束の低下を防ぐことができる。
【0173】
図25は、実施の形態1に係るコーティング組成物200の効果を示す図である。
図25に示すとおり、被コーティング物であるカバーに従来用いられてきた防汚用塗料組成物を備えた場合を基準とした比較実験において、本実施の形態におけるコーティング組成物200を備えたカバーは、汚れの付着率が概ね1/5以下に抑制されることが確認されている。ここで、実験および評価は、ホコリ、粉塵、砂塵、油煙、カーボン、煤、煙草のヤニなど、照明装置の使用環境を勘案して選択した汚れをカバーの表面に付着させ、汚れを付着させる前の光学特性と汚れを付着させた後の光学特性との差を汚れの付着率として定義して評価している。光学特性は、例えば光束値である。
そして、汚れの付着率の抑制効果は、従来用いられてきた防汚用塗料組成物を備えたカバーを透過する光束値を測定して得られる(従来の)汚れの付着率を基準として、本実施の形態におけるコーティング組成物を備えたカバーを透過する光束値を測定して得られる(本実施の形態の)汚れの付着率の差分、比率などで定義している。つまり、汚れの付着率の抑制効果は、本実施の形態における照明装置が長期にわたって良好な光学特性(光束値)を維持できることを意味する。
【0174】
カバー1230は、汚れの付着率が大幅に抑制されるので、カバー1230を備えた照明装置はカバー1230を清掃する頻度が減る。これによって、光学機能部品であり意匠部品であるカバー1230の表面にキズを付けたりコーティング組成物を剥離させたりするおそれが減る。
【0175】
カバー1230は、汚れの付着率が大幅に抑制されるので、カバー1230を備えた照明装置はカバー1230を清掃する頻度が減る。これによって、ホコリ、粉塵、砂塵、油煙、カーボン、煤、煙草のヤニなどが浮遊する環境で長期間使用してもメンテナンスの手間が軽減できる。
【0176】
実施の形態2.
この実施の形態では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
この実施の形態では、コーティング組成物200をカバー1230の裏面へ敷設した態様を説明する。
図26に示すように、コーティング膜103は、光学機能部品であるカバー1230の裏面に敷設されている。すなわち、コーティング膜103は、上側支持部1233と下側支持部1234の裏側に形成されている。
上側支持部1233の裏面と下側支持部1234の裏面は、光源が配置される基台1220と当接する面である。
上側支持部1233および下側支持部1234の材料は遮光性と高反射性を有する材料であるから、コーティング膜103は、透明である必要はない。
【0177】
<特徴的構成>
この実施の形態の照明装置は、光源が配置される基台1220と、光源を覆うとともに基台1220に当接した状態で取り付けられた光学機能部品である透光性のカバー1230を備える。カバー1230の基台1220に当接する面は、前述したコーティング組成物200が薄膜状のコーティング膜103として敷設されている。
【0178】
<効果>
カバー1230は、シリカ膜から一部が露出したフッ素樹脂粒子によってコーティング膜103が敷設された裏面の摩擦係数が減少し、コーティング膜103が敷設されたカバー1230の裏面と基台1220との接触抵抗が抑制され相互に滑りやすくなる。このためきしみ音が発生するおそれが減る。
なお、カバー1230の基台1220に当接する面に敷設されるコーティング膜103は、摩擦抵抗をより小さくするために、実施の形態1と異なる態様を選択することができる。例えば、フッ素樹脂粒子の平均粒径(平均粒子径)あるいはシリカ微粒子とフッ素樹脂粒子との重量比などが変更されてもよく、また、フッ素樹脂粒子に代わる粒子を使用してもよい。
【0179】
実施の形態3.
この実施の形態では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
この実施の形態では、コーティング組成物を灯具(光源ユニット)の反射面へ敷設した態様を説明する。
図27に示すように、コーティング膜103は、光学機能部品であるカバー1230の下側支持部1234の表面と発光素子基板1210の表面とに敷設されている。上側支持部1233および下側支持部1234の材料は遮光性と高反射性を有する材料であり、下側支持部1234の表面と発光素子基板1210の表面とは、反射面1990である。
また、コーティング膜103を基台1220の表面に敷設して、コーティング膜103を光源ユニットの光学機能部品のすべての反射面へ敷設してもよい。
基台1220の表面に敷設するコーティング膜103は、基台1220の表面全体に敷設してもよいし、露出して反射面となる表面の一部分にのみ敷設してもよい。
さらに、コーティング膜103が形成された反射シートを、発光素子基板1210の表面あるいは基台1220の表面に配置してもよい。
【0180】
<特徴的構成>
この実施の形態の照明装置は、光源から出射された光を照射空間側に反射させる反射面1990を有する光学機能部品であるカバー1230の下側支持部1234と発光素子基板1210と基台1220とを備える。下側支持部1234と発光素子基板1210と基台1220との反射面には、前述したコーティング組成物200が薄膜状のコーティング膜103として敷設されている。
【0181】
<効果>
コーティング膜103は、長期間にわたって光源ユニットの反射面の防汚効果が持続させる効果を奏する。このため、長期間にわたって反射面の反射率が安定し、灯具から外側への光の取り出し効率が安定する。
【0182】
実施の形態4.
この実施の形態では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
この実施の形態では、コーティング組成物を照明器具(器具本体)のあらゆる反射面へ敷設した態様を説明する。
図28に示すように、コーティング膜103は、光学機能部品である器具本体1100の表面に敷設されている。すなわち、コーティング膜103は、凹部1111と傾斜部1114−1と傾斜部1114−2の表面に敷設されている。器具本体1100の表面は、反射面1990である。
【0183】
<特徴的構成>
この実施の形態の照明装置は、光源から出射された光を照射空間側に反射させる反射面1990を有する光学機能部品である器具本体1100を有する。器具本体1100の反射面1990には、前述したコーティング組成物200が薄膜状のコーティング膜103として敷設されている。
<効果>
コーティング膜103は、長期間にわたって反射面1990の防汚効果が持続する。このため、灯具から照射された光を照射空間側へ反射させる反射効率が安定する。
【0184】
実施の形態5.
この実施の形態では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
この実施の形態では、コーティング組成物200を敷設した直管LEDランプの態様を説明する。
図29の照明装置2000は、直管LEDランプ2010と、直管LEDランプ2010をソケット2020で取り付けた器具本体2040とを備える。器具本体2040は、傾斜反射面2001と水平反射面2002とを有する。
直管LEDランプ2010の内部には、ヒートシンク2100と、基板2200と、LED2300とが収納されている。
図29に示すように、コーティング膜103は、光学機能部品である器具本体2040の表面に敷設されている。すなわち、コーティング膜103は、傾斜反射面2001と水平反射面2002との表面に敷設されている。
また、コーティング膜103は、直管LEDランプ2010の表面に敷設されている。
また、コーティング膜103は、ヒートシンク2100の表面と、基板2200の表面とに敷設されている。
【0185】
<特徴的構成>
この実施の形態の照明装置は、灯具(直管LEDランプ2010)と照明器具(器具本体2040)とのあらゆる反射面に、前述したコーティング組成物200が薄膜状のコーティング膜103として敷設されている。
【0186】
<効果>
コーティング膜103は、長期間にわたって反射面の防汚効果が持続する。このため、灯具から照射された光を照射空間側へ反射させる反射効率が安定する。
【0187】
実施の形態6.
この実施の形態では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
この実施の形態では、コーティング組成物を敷設可能な電球形LEDランプの態様を説明する。
【0188】
図30は、本実施の形態に係る電球形LEDランプ3100を、埋め込みタイプの照明器具3200に装着した照明装置3000を示す図である。
本実施の形態では、電球形LEDランプ3100を埋め込みタイプの照明器具3200に装着した照明装置3000について説明する。
【0189】
照明器具3200は、天井面3600などの取付部に設けられた取付孔3700に取り付けられる。
照明器具3200は、リフレクタや化粧フレームなどを備える器具本体3305、ソケット3201を備える。
電球形LEDランプ3100は灯具であり、照明器具3200のソケット3201に装着される。
電球形LEDランプ3100は、球状または半球状のカバー3035と筒状の筒部3037とを有する。
【0190】
図30に示すように、コーティング膜103は、光学機能部品である電球形LEDランプ3100の表面に敷設されている。すなわち、コーティング膜103は、カバー3035と筒部3037の表面に敷設されている。
また、コーティング膜103は、器具本体3305の内表面と外表面とに敷設されている。器具本体3305の内表面は反射面である。
また、コーティング膜103は、平面カバー3400の外表面に敷設されている。
【0191】
<特徴的構成>
この実施の形態の照明装置は、灯具(電球形LEDランプ3100)と照明器具(器具本体3305)との照射側にあるあらゆる面に、前述したコーティング組成物200が薄膜状のコーティング膜103として敷設されている。
【0192】
<効果>
コーティング膜103は、長期間にわたって反射面の防汚効果が持続する。このため、灯具から照射された光を照射空間側へ反射させる反射効率が安定する。
【0193】
実施の形態7.
この実施の形態では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
この実施の形態では、コーティング組成物を敷設した天井埋め込み型の照明装置の一例であるダウンライトの態様を説明する。
図31および
図32を参照して、本実施の形態に係る装置である照明装置4000の構成を説明する。
【0194】
照明装置4000は、光源ユニット4200と、光源ユニット4200に点灯電力を供給する照明用の電源ユニット4300とを備える。
【0195】
光源ユニット4200は、発光素子4211を搭載した光源基板4210と、板状部材4220と、絶縁シート4230と、開口部4241を有する反射板4240と、拡散板4250とを有する。
【0196】
電源ユニット4300は、電源基板4310と、出力電線4320と、筐体4330と、蓋体4340と、端子台4350と、入力電線4360と、収容体4370と、筒状のヒートシンク4390とを備える。
【0197】
本実施の形態において、照明装置4000は、天井に埋め込んで使用されるダウンライト型の照明装置である。そのため、照明装置4000は、さらに、環状の枠4400と、複数の板バネ4500とを備える。
【0198】
図31、
図32に示すように、コーティング膜103は、光学機能部品である枠4400の表面に敷設されている。すなわち、コーティング膜103は、鍔部4410と反射板4420の表面に敷設されている。
また、コーティング膜103は、光源基板4210と反射板4240と拡散板4250との表面に敷設されている。
コーティング膜103は、ヒートシンク4390に敷設されている。
【0199】
<特徴的構成>
この実施の形態の照明装置は、照明器具の照射側にあるあらゆる面に、前述したコーティング組成物200が薄膜状のコーティング膜103として敷設されている。
【0200】
<効果>
コーティング膜103は、長期間にわたって反射面の防汚効果が持続する。このため、灯具から照射された光を照射空間側へ反射させる反射効率が安定する。
また、長期間にわたってヒートシンク4390の防汚効果が持続する。このため、光源から空間への放熱が安定する。
【0201】
実施の形態8.
この実施の形態では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
この実施の形態では、コーティング組成物を敷設した高天井型の照明装置の態様を説明する。
【0202】
図33は、照明装置5000の斜視図である。
図34は、光源部5100の分解斜視図である。
本実施の形態に係る照明装置5000は、高天井用途に使用されるHID(High Intensity Discharge lamp)形LEDランプであり、光源部5100と放熱部5200と接続部5300と配線部5400と固定部5500を有する。
【0203】
光源部5100は、光源を有する光源ユニットである。
光源部5100は、光源基板5150を有する。光源部5100は、少なくとも一つ以上の光源素子5140を有しており、光源基板5150には、複数の光源素子5140が配列されて固定されている。
光源部5100は、光源基板を覆うカバー5110と、反射板5120と、カバー5110と反射板5120とを固定するカバー止め5130とを有する。
光源部5100は、光源基板5150の中央を受熱体5260に固定するスタビライザ5160を有する。
光源基板5150は、反射板5120と受熱体5260の間に挟まれた状態で受熱体5260に固定されている。
また、光源基板5150は、スタビライザ5160と受熱体5260の間に挟まれた状態で受熱体5260に固定されている。
光源基板5150は、ネジまたはボルトなどの金属部品を用いて受熱体5260に固定されていない。
【0204】
図34に示すように、固定部5500は、光源部5100と接続部5300とを固定している。
固定部5500は、複数の板状のアーム5580から構成される。
アーム5580は、ヒートシンクでもあり、光源部5100と接続部5300との間に配置されている。
複数のアーム5580は、受熱体5260と接続部5300とに固定されている。
アーム5580は、4個存在しており、90度間隔で、十字型に配置されている。
【0205】
図34に示すように、放熱部5200は、放熱するためのヒートシンクであり、光源部5100の背後に配置されている。
放熱部5200は、受熱体5260と、複数の放熱片5270と、複数のアーム5580から構成される。
受熱体5260は、光源部5100が取り付けられ光源部5100の動作熱を受け渡す部品である。
放熱片5270は、放熱体である板状の放熱フィンである。
アーム5580は、受熱体5260と接続部5300とを接続した金属板である。
アーム5580は、放熱片5270を兼ねており、受熱体5260から接続部5300にかけて延設されている。
受熱体5260は、表面に光源部5100を固定しており、複数の放熱片5270は、受熱体5260の裏面に固定されている。
【0206】
図34に示すように、接続部5300は、照明器具の口金ソケットに接続され、電源に接続される部分である。
接続部5300は、口金5305とホルダ5390とを有する。
口金5305は、口金ソケットに螺着固定される。
ホルダ5390は、口金5305を保持するとともに、アーム5580を固定する。
【0207】
図34に示すように、コーティング膜103は、光学機能部品であるカバー5110と反射板5120とに敷設されている。
また、コーティング膜103は、複数の放熱片5270と複数のアーム5580の表面に敷設されている。
また、コーティング膜103は、光源基板5150とスタビライザ5160との表面に敷設されている。
【0208】
<特徴的構成>
この実施の形態の照明装置は、HID形LEDランプの光学機能部品の反射面と放熱面とに、前述したコーティング組成物200が薄膜状のコーティング膜103として敷設されている。
【0209】
<効果>
コーティング膜103は、長期間にわたって反射面の防汚効果が持続する。このため、灯具から照射された光を照射空間側へ反射させる反射効率が安定する。
また、長期間にわたって放熱部5200の放熱フィンの防汚効果が持続する。このため、光源から空間への放熱が安定する。
また、アーム5580と放熱片5270とは、板金を打ち抜いて製造されるものであるが、アーム5580と放熱片5270との全体にコーティング膜103を形成することにより、アーム5580と放熱片5270とのエッジをコーティング膜103で覆うことができ、アーム5580と放熱片5270とによる受傷を防止することができる。
また、コーティング膜103によりアーム5580と放熱片5270との表面に凹凸ができ、表面積が増加するので、放熱効果が向上する。アーム5580と放熱片5270との表面の凹凸により、やけどの可能性が減少する。
【0210】
実施の形態9.
この実施の形態では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
この実施の形態では、コーティング組成物を敷設した筒型の照明装置の態様を説明する。
【0211】
図35、
図36に示すように、照明装置6000は、光源ユニット6010と、光源ユニット6010を支持固定する支持ユニット6020とを有する。
【0212】
<<光源ユニット6010>>
光源ユニット6010は、本体部6100と、発光部6120と、カバー6130とを有する。
また、光源ユニット6010は、第1端部蓋6140と、第2端部蓋6150とを有する。
【0213】
<本体部6100>
本体部6100は、筒形に形成されており、アルミニウムを使用し、押出し成形によって一体製造され、ヒートシンクとして機能する。
本体部6100は、外周側表面に外周面6110を有し、内周側表面に内周面6103を有する。
本体部6100には、外周面6110に前記発光部6120が配置される取付部6102と、取付部6102に対向した内周面6103に発光部6120が発する動作熱を放散させる熱放散部6105とが形成されている。
【0214】
本体部6100は、熱伝達経路あるいは熱伝達部となる筒部6101を有する。筒部6101は十六角柱で、中心軸Oと直交する断面における外接円の径寸法が均一の管体である。
筒部6101は、外周面6110に取付部6102を有する。取付部6102は、発光部6120が配置される取付面として機能する。
筒部6101は、内周面6103に熱放散部6105を有する。熱放散部6105は、内周面6103から突設された突設部であり、熱放散部6105は、複数の放熱フィン6108からなる。
筒部6101には、筒端部として端部6104がある。
熱放散部6105である複数の放熱フィン6108は、本体部6100の内周面6103から本体部6100の内部空間側に立設されており、本体部6100の中心軸方向における一方の端部6104から他方の端部6104に渡って立設されている。複数の放熱フィン6108は、本体部6100の厚さ寸法以上の高さで立設され、本体部6100と一体的に形成されている。
【0215】
本体部6100の内部には、内部空間6107が形成されている。内部空間6107は、熱交換部として機能し、空気の流路となる。内部空間6107は、筒部6101の内側の空間全体をいう。中心軸Oと直交する断面において、内部空間6107の径寸法は筒部6101の内径寸法と同じ大きさである。
【0216】
内部空間6107の中央には、通気空間6109が存在する。本実施の形態における通気空間6109は、内部空間6107の中央にあり、熱放散部6105が形成されていない筒状の空間であり、中心軸Oの方向への通気に対して障害物が全くない空間をいう。通気空間6109は内部空間6107の一部であり、通気空間6109を他の空間から区画する境界物あるいは隔壁は存在しない。
【0217】
<発光部6120>
発光部6120は、発光素子6121と基板6122とを有する。
発光素子6121の好適な具体例は、固体発光素子、発光ダイオード素子、有機EL素子、レーザダイオード素子である。
基板6122は、リジット基板でもよいし、フレキシブル基板でもよい。基板6122の好適な具体例は、アルミニウム基材の基板であるが、基材として他の材質が選択されてもよい。
【0218】
<カバー6130>
カバー6130は、発光素子6121を覆うように、かつ、発光素子6121と離間して本体部6100の外側に配置されている。カバー6130の中心軸と本体部6100の中心軸とは、同じ中心軸Oに配置されている。
【0219】
カバー6130は、中心軸Oと直交する断面における直径が均一の管体であり、パイプ形状の透光性の筒管である。カバー6130の好適な具体例は、ガラス管、樹脂管であるが、他の材質が選択されて形成されてもよい。
カバー6130は、管体の主部となる透光部6131を有する。
カバー6130は、外周面6132と、内周面6133と、筒端部に端部6134を有する。
発光素子6121が実装された基板6122とカバー6130との間には、筒状の点灯空間6137が形成されている。
カバー6130は、基板6122および本体部6100の外周面6110と干渉しなければ、中心軸Oと直交する断面の形状は限定されない。また、カバー6130は、基板6122および本体部6100の外周面6110と干渉しなければ、中心軸Oの方向において部分的に断面形状または寸法が異なる態様であってもよい。
【0220】
<第1端部蓋6140>
第1端部蓋6140は、本体部6100(筒部6101)の一端部およびカバーの一端部6134を覆うように本体部6100に取り付けられている。
第1端部蓋6140は、本体部6100(筒部6101)とカバー6130との一端部を覆う蓋であり、第1キャップとして機能する。
第1端部蓋6140の好適な具体例は、アルミニウムであるが、他の材質が選択されてよい。
第2端部蓋6150も、第1端部蓋6140と同じ構成を有する。
<<支持ユニット6020>>
支持ユニット6020は、発光素子6121を点灯させる点灯電力を外部から受電する受電端6200が取り付けられており、受電端6200から発光素子6121が実装された基板6122に点灯電力を伝達する配線部材を配置する配線経路が形成されている。
支持ユニット6020は、受電端6200と、支持体6210と、連結部6230と、第2ガスケット6250とを有する。
【0221】
<支持体6210>
支持体6210は、絶縁部であり、樹脂材料を用いて製造される。
支持体6210は、筒形状の支持筒部6212を有する。
支持筒部6212の第1端部6216は、口金側端部であり、口金筐体6201が嵌めこまれる羅合部6211を有する。
支持筒部6212の第2端部6217は、連結部側端部であり、支持鍔部6213を有する。支持鍔部6213は、環状形状をしており、連結部6230を連結する連結部取付部として機能する。
支持鍔部6213は、90度間隔で配置された4個のネジ孔6214を有する。ネジ孔6214には、連結部6230を取り付けるためのネジ6260がねじ込まれる。
【0222】
<連結部6230>
連結部6230は、光源ユニット6010と支持ユニット6020とを両端部に連結して固定する。
連結部6230は、放熱板6240を兼ねた突設部6235を有し、光源ユニット6010からの熱を吸収して熱放散経路として機能し、突設空間6249に放熱する。
【0223】
連結部6230の第1端部6238は、支持体側端部であり、連結筒部6231を有する。連結筒部6231には、支持体6210を覆う蓋6247があり、蓋6247の中央に配線部材6030を通す配線穴6248がある。
連結筒部6231の蓋6247の周囲には連結鍔部6232が形成されている。連結鍔部6232は、支持体6210と連結される支持体取付部として機能する。
【0224】
連結部6230の第2端部6239は、光源ユニット側端部であり、光源ユニット6010と連結される円環部6233を有する。
円環部6233は、光源ユニット支持部として機能する。
円環部6233は、90度間隔で配置された4個のネジ孔6234を有する。ネジ孔6234には、支持ユニット6020を光源ユニット6010に取り付けるためのネジがねじ込まれる。
【0225】
円環部6233は、第2端部蓋6150に対応した形状をしている。
円環部6233には、十字形状の4個のブリッジがある。ブリッジは、円環部6141の中央を横切っており、円環部6233の中央に4個の扇形状の通気口6246を形成している。
【0226】
図35、
図36に示すように、コーティング膜103は、光学機能部品であるカバー6130に敷設されている。
また、コーティング膜103は、第1端部蓋6140と第2端部蓋6150と連結部6230の表面に敷設されている。
また、コーティング膜103は、基板6122と、筒部6101の熱放散部6105との表面に敷設されている。
【0227】
<特徴的構成>
この実施の形態の照明装置は、筒形LEDランプの光学機能部品の表面に、前述したコーティング組成物200が薄膜状のコーティング膜103として敷設されている。
【0228】
<効果>
コーティング膜103は、長期間にわたって表面の防汚効果が持続する。このため、灯具から照射された光を照射空間側へ反射させる反射効率が安定する。
また、長期間にわたって熱放散部6105の防汚効果が持続する。このため、光源から空間への放熱が安定する。
【0229】
***その他***
以上、本発明に係るコーティング組成物、灯具および照明装置について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0230】
例えば、上記の実施の形態において、LEDユニットは、パッケージ化された面実装型(SMD型)のLED素子を用いたLEDユニットである場合について説明したが、これに限らない。LEDユニットは、複数のLEDチップが基板上に直接実装され、複数のLEDチップを蛍光体含有樹脂によって一括して封止した構成であるCOB(Chip On Board)型のLEDユニットであってもよい。
【0231】
また、LEDユニットは、青色LEDチップと黄色蛍光体とによって白色光を放出するが、これに限られない。例えば、赤色蛍光体および緑色蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂を用いて、これと青色LEDチップと組み合わせることによりに白色光を放出するように構成してもよい。また、青色以外の色を発光するLEDチップを用いてもよく、例えば、青色LEDチップが放出する青色光よりも短波長である紫外光を放出する紫外LEDチップを用いて、主に紫外光により励起されて青色光、赤色光および緑色光を放出する青色蛍光体粒子、緑色蛍光体粒子および赤色蛍光体粒子によって白色光を放出するように構成してもよい。
【0232】
そして、上記の実施の形態において、発光素子としてLEDを例示して説明したが、固体レーザ(Solid State Laser)、半導体レーザ(Semiconductor Laser)、有機EL(ElectroLuminescence)または無機ELなどの発光素子を用いてもよい。
発光素子311の数は、複数に限らず、1つであってもよい。
【0233】
さらに、上記の実施の形態において、カバーの材料は、樹脂に限らず、ガラス材であってもよい。また、カバーの少なくとも一部に光を出射可能な透光性の領域があればよいため、出射可能な領域の材料を透光樹脂、出射不可能な領域の材料を白色高反射樹脂としてもよい。
【0234】
以上、本発明の態様について説明したが、実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。すなわち、各実施の形態に対して当業者が想到する変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0235】
また、複数の実施の形態について説明したが、これらの実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つを部分的に実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。