(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-203388(P2017-203388A)
(43)【公開日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】ジーゼルエンジンに使用される液体燃料軽減装置
(51)【国際特許分類】
F02B 43/10 20060101AFI20171020BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20171020BHJP
F23K 5/10 20060101ALI20171020BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20171020BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20171020BHJP
C25B 15/02 20060101ALI20171020BHJP
C25B 1/04 20060101ALI20171020BHJP
【FI】
F02B43/10 B
F23K5/00 303
F23K5/10
F02M37/00 341D
F02M21/02 301A
C25B15/02 302
C25B1/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-94191(P2016-94191)
(22)【出願日】2016年5月9日
(71)【出願人】
【識別番号】516136273
【氏名又は名称】大河 義夫
(71)【出願人】
【識別番号】516136284
【氏名又は名称】大河 辰夫
(71)【出願人】
【識別番号】516136309
【氏名又は名称】大河 孝夫
(71)【出願人】
【識別番号】516136310
【氏名又は名称】大河 誉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121795
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴亀 國康
(72)【発明者】
【氏名】大河 義夫
(72)【発明者】
【氏名】大河 辰夫
(72)【発明者】
【氏名】大河 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】大河 誉夫
【テーマコード(参考)】
3K068
4K021
【Fターム(参考)】
3K068AA11
3K068AB04
3K068BB01
3K068BB02
3K068BB12
3K068CA01
3K068CA04
3K068CB01
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC01
4K021CA05
4K021CA08
4K021CA09
4K021CA13
4K021CA15
4K021DC05
(57)【要約】
【課題】低圧の酸水素ガスをジーゼルエンジンの液体燃料に混流させることができ、簡単な構造で経済性に優れた液体燃料軽減装置及びこれを効果的に使用する液体燃料軽減方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る液体燃料低減装置は、ジーゼルエンジンに用いる液体燃料に酸水素ガスを混流させてその液体燃料の消費を抑える液体燃料低減装置であって、前記酸水素ガスを発生する酸水素発生装置と、発生した酸水素ガスの圧力を調整する圧力調整弁及び流量を調整する流量調整弁と、逆流防止弁とを有し、前記酸水素ガスは、圧力が50kPa以下の所定圧に調整されて前記液体燃料に混流されるようになっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジーゼルエンジンに用いる液体燃料に酸水素ガスを混流させてその液体燃料の消費を抑える液体燃料低減装置であって、
前記酸水素ガスを発生する酸水素発生装置と、発生した酸水素ガスの圧力を調整する圧力調整弁及び流量を調整する流量調整弁と、逆流防止弁とを有し、
前記酸水素ガスは、圧力が50kPa以下の所定圧に調整されて前記液体燃料に混流される液体燃料低減装置。
【請求項2】
酸水素ガスは、圧力が30kPa以下、流量が0.2〜0.3l/minに調整されて液体燃料に混流されることを特徴とする請求項1に記載の液体燃料低減装置。
【請求項3】
逆流防止弁は液体燃料の燃料配管に開口しており、その逆流防止弁の上流側に逆火防止弁が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体燃料低減装置。
【請求項4】
酸水素発生装置は、酸水素ガスを発生させる電解槽と、これに連通して発生した酸水素ガスを捕集するとともにその電解槽に純水を供給する水槽とを有し、
前記水槽は、その上部に対向する左右の側壁から中心方向に向けて同等の傾斜角度で下降する違い棚様の遮閉板を有し、その遮閉板は前記側壁に沿って、前記電解槽から浮遊する酸水素ガスの気泡が通り抜ける細孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体燃料低減装置。
【請求項5】
ジーゼルエンジンに用いる液体燃料に圧力が30kPa以下の酸水素ガスを混流させてその液体燃料の消費を抑える液体燃料低減装置であって、
前記液体燃料が供給される燃料配管に接合して使用され、酸水素発生装置により発生させた酸水素ガスをリリーフ弁、可変絞り弁及び逆止め弁を介して前記液体燃料に混流させる液体燃料低減装置。
【請求項6】
ジーゼルエンジンに用いる液体燃料に酸水素ガスを混流させてその液体燃料の消費を抑える液体燃料低減方法であって、
以下の(1)、(2)の運転条件で、前記液体燃料に混流させる酸水素ガスの混流量を変えてジーゼルエンジンの無負荷運転をしたとき、消費される液体燃料が次第に増加し始める混流量を前記ジーゼルエンジンに混流させる酸水素ガスの混流量とする液体燃料低減方法。
(1)液体燃料に混流させる酸水素ガスの圧力は30kPa以下
(2)所定時間一定回転数でジーゼルエンジンの無負荷運転
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジーゼルエンジンの燃料として使用される液体燃料に酸水素ガス(HHOガス)を混流させる液体燃料削減装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジン、ジーゼルエンジンなどの内燃機関には、その燃料としてガソリン、軽油などの液体燃料が使用されている。この内燃機関の燃焼効率の向上、あるいは排気ガス中の二酸化炭素や窒素酸化物の低減のため、液体燃料に空気、水素あるいは酸水素ガスなどの気体を混合し生成された気液混合燃料を使用する提案がなされている。なかでも液体燃料に酸水素ガスを混合した気液混合燃料は、燃焼効率を向上させることができ、また水の電気分解により発生した酸水素ガスを直接的にエンジンに供給できる利点を有す。
【0003】
かかる酸水素ガスの気液混合燃料を供給する装置として、特許文献1に、軽油、重油あるいはガソリン等が貯留された燃料タンクから送られる液体燃料を所定の圧力に加圧する液体ポンプと、酸素を含有する気体を所定の圧力に圧縮する気体圧縮機と、加圧された前記液体燃料中に圧縮された前記気体の微細気泡を混合して気液混合燃料を生成する気液混合器と、前記気液混合燃料の所定以上の圧力を開放するために前記燃料タンクの内部に設置された圧力開放器と、前記気液混合燃料を内燃機関や燃焼装置に供給するための送出部を前記気液混合器に設け気液混合燃料製造装置が提案されている。この気液混合燃料製造装置は、液体燃料に微細な酸水素ガスを大量に混合させることができ、例えば、ジーゼルエンジンの燃費を40%以上向上させることができるとされる。
【0004】
特許文献2に、内燃機関の運転状況と共にオルターネータの負荷状況に応じて、エアクリーナとスロットルバルブ間のインテークパイプに適量の酸水素ガスを供給する車両用燃費改善方式が提案されている。この車両用燃費改善方式によれば、エンジンの排気量と運転モードに適した酸水素ガスを供給することができるので燃焼効率が高いとされる。
【0005】
特許文献3に、HHOガスを発生させる電気分解装置と、該電気分解装置に水を供給する水タンクと、前記電気分解装置の反応速度を制御する処理回路と、発生させた酸水素ガスのガス安定化装置とからなるHHOガス供給装置が提案されている。このHHOガス供給装置によれば、例えば、5トンクラスの(排気量7000cc程度)の小型漁船用ディーゼルエンジンを搭載した刺網漁船に、HHOガスを800〜1000cc/min発生させた航行試験において、約23%の軽油を削減できたとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-234654号公報
【特許文献2】特開2013-108162号公報
【特許文献3】特開2014-129805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
水の電気分解により得られる酸水素ガスを液体燃料に混合して気液混合燃料を生成し、これを内燃機関の燃料として使用する方法は、危険性のあるガスを高圧ガス容器等に搭載・貯留する必要がない点で優れる。そして、特許文献1に記載の気液混合燃料製造装置においては、液体燃料に混合される酸水素ガスは0.5MPa程度に圧縮して使用されが、酸水素ガスの圧力が1MPa未満であるから高圧ガス保安法の適用は受けない。しかしながら、この気液混合燃料製造装置は気体圧縮機を要するという問題がある。安全性や経済性の観点からは気体圧縮機などを要しない装置が好ましい。
【0008】
特許文献1に記載の気液混合燃料製造装置においては、液体燃料への酸水素ガスの混合率を高めるために種々の手段を要し、特許文献2に記載の車両用燃費改善方式又は特許文献3に記載のHHOガス供給装置は、内燃機関の運転状況に応じて酸水素ガスを供給するために種々の手段を要する。このため、これらの酸水素供給装置は、装置全体が複雑になり、その規模が大きくなっている。この一方、さらに燃焼効率が優れるとともに、簡単な構造で経済性に優れた液体燃料に酸水素ガスを混流させる供給装置が求められている。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、低圧の酸水素ガスをジーゼルエンジンの液体燃料に混流させることができ、簡単な構造で経済性に優れた液体燃料軽減装置を提供することを目的とする。そして、この液体燃料軽減装置を使用して経済的な運転を行う液体燃料軽減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者等は、ジーゼルエンジンの燃料タンクから流出する液体燃料に低圧の酸水素ガスを混流させると酸水素ガスが吸引されて液体燃料に均一に混合すること、また、ジーゼルエンジンの回転数に応じて酸水素ガスの流量を調整してもその効果が必ずしも得られないことの知見を得て本発明をなした。
【0011】
本発明に係る液体燃料低減装置は、ジーゼルエンジンに用いる液体燃料に酸水素ガスを混流させてその液体燃料の消費を抑える液体燃料低減装置であって、前記酸水素ガスを発生する酸水素発生装置と、発生した酸水素ガスの圧力を調整する圧力調整弁及び流量を調整する流量調整弁と、逆流防止弁とを有し、前記酸水素ガスは、圧力が50kPa以下の所定圧に調整されて前記液体燃料に混流されるようになっている。
【0012】
上記発明において、酸水素ガスは、圧力が30kPa以下、流量が0.2〜0.3l/minに調整されて液体燃料に混流されるようになっているのがよい。
【0013】
逆流防止弁は液体燃料の燃料配管に開口しており、その逆流防止弁の上流側に逆火防止弁が設けられているのがよい。
【0014】
酸水素発生装置は、酸水素ガスを発生させる電解槽と、これに連通して発生した酸水素ガスを捕集するとともにその電解槽に純水を供給する水槽とを有し、前記水槽は、その上部に対向する左右の側壁から中心方向に向けて同等の傾斜角度で下降する違い棚様の遮閉板を有し、その遮閉板は前記側壁に沿って、前記電解槽から浮遊する酸水素ガスの気泡が通り抜ける細孔が設けられているものとすることができる。
【0015】
また、本発明に係る液体燃料低減装置は、ジーゼルエンジンに用いる液体燃料に圧力が30kPa以下の酸水素ガスを混流させてその液体燃料の消費を抑える液体燃料低減装置であって、前記液体燃料が供給される燃料配管に接合して使用され、酸水素発生装置により発生させた酸水素ガスをリリーフ弁、可変絞り弁及び逆止め弁を介して前記液体燃料に混流させるものとすることができる。
【0016】
また、本発明に係る液体燃料低減方法は、ジーゼルエンジンに用いる液体燃料に酸水素ガスを混流させてその液体燃料の消費を抑える液体燃料低減方法であって、以下の(1)、(2)の運転条件で、前記液体燃料に混流させる酸水素ガスの混流量を変えてジーゼルエンジンの無負荷運転をしたとき、消費される液体燃料が次第に増加し始める混流量を前記ジーゼルエンジンに混流させる酸水素ガスの混流量とする液体燃料低減方法である。すなわち、(1)液体燃料に混流させる酸水素ガスの圧力は30kPa以下とし、(2)所定時間一定回転数でジーゼルエンジンの無負荷運転を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、50kpa(0.05PMPa)以下の低圧の酸水素ガスを取り扱うので高圧ガス保安法の適用を受ける必要がない。そして、本発明に係る液体燃料低減装置は、簡単な構造で経済性に優れている。また、本発明に係る液体燃料低減方法は、液体燃料に混流させる酸水素ガスの量を、ジーゼルエンジンを暖機運転させたときに好適な酸水素ガスの流量に設定することにより液体燃料を効率的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る液体燃料低減装置の構成を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明に係る液体燃料低減装置は、ジーゼルエンジンに用いる液体燃料に酸水素ガスを混流させてその液体燃料の消費を抑える液体燃料低減装置である。この液体燃料低減装置は、酸水素ガスを発生する酸水素発生装置と、発生した酸水素ガスの圧力を調整する圧力調整弁及び流量を調整する流量調整弁と、逆流防止弁とを有しており、前記酸水素ガスは、圧力が50kPa以下の所定圧に調整されて前記液体燃料に混流されるようになっている。すなわち、本発明は、ジーゼルエンジンに好適に使用することができ、液体燃料に混流させる酸水素ガスの圧力が50kPa以下に規定されていることに特徴を有する。
【0020】
本発明に係る液体燃料低減装置は、酸水素ガスの圧力が50kPa以下、すなわち、50kPaを越えないように酸水素ガスの圧力を調整することができれば足り、酸水素ガスの圧力を調整する圧力調整弁はリリーフ弁で足りる。また、以下に説明するように、本発明に係る液体燃料低減装置は、ジーゼルエンジンの暖機運転(無負荷運転)時に好適な酸水素ガスを液体燃料に混流させるのが好ましく、その流量は多いほど液体燃料を削減することができる。しかしながら、過大な量の酸水素ガスは、ジーゼルエンジンの回転がむらになり、エンジンストップをも生じ、酸水素ガスが無駄に排気されるという問題を生じる。また、液体燃料の低減効率が低下するという問題がある。このため、本発明に係る液体燃料低減装置には酸水素ガスの流量を調整する流量調整弁が設けられる。
【0021】
本発明に係る液体燃料低減装置の実施例を
図1に示す。この液体燃料低減装置10は、酸水素発生装置11により発生した酸水素ガスの圧力が50kPaを越えないように調整するリリーフ弁13を有し、酸水素ガスの流量を調整する流量調整弁として可変絞り弁15を有する。なお本液体燃料低減装置は、ジーゼルエンジンが特定されれば、そのジーゼルエンジンの暖機運転に最適な酸水素ガスの流量がほぼ特定されるので、流量調整弁として絞り弁を使用することも可能である。
【0022】
本液体燃料低減装置10は、燃料配管25に接合して使用され、燃料タンク20から流出する液体燃料に酸水素ガスを混流させるようになっており、液体燃料が液体燃料低減装置10に流入しないように逆止め弁17が設けられている。逆止め弁17は、燃料配管25に開口するように設けられるのがよく、逆止め弁17の開口部に液体燃料や水分が付着しにくいように逆止め弁17は燃料配管25から起立するように配設するのがよい。
【0023】
また、本液体燃料低減装置10は、酸水素ガスに混流する水分を除去するためのフィルタ14を設けるのがよく、また酸水素ガスの発火を防止するための逆火防止弁16を設けるのがよい。
【0024】
酸水素発生装置11は、
図2に示すように、酸水素ガスを発生させる電解槽111と、これに連通して発生した酸水素ガスを捕集するとともにその電解槽111に純水を供給する水槽115とを有している。電解槽111は、電極112を有し、電解液で満たされている。水槽115は、純水で満たされている。なお、本液体燃料低減装置10は、燃料タンク20に接合された燃料配管25に酸水素ガスを混流させるようになっており、例えば、ジーゼルトラックに装着することを考慮すると、かさばる酸水素発生装置11は、電解槽111と水槽115に分離可能になっているのがよい。
【0025】
水槽115は、その上部に対向する右の側壁115a、左の側壁115bから中心方向に向けて同等の傾斜角度で下降する違い棚様の遮閉板116A、116Bを有し、遮閉板116Aは側壁115aに沿って細孔117を有し、遮閉板116Bは側壁115bに沿って細孔117を有している。このため、純水の水槽115への注水を効率よく行うことができる。また、電解槽111で発生した酸水素ガスは配管114A中を浮遊して水槽115内に入り、純水中を通って遮閉板116A、116Bに至る。そして、酸水素ガスは遮閉板116A、116Bに沿って側壁115a、側壁115bの方向に浮遊し細孔117を通過する。酸水素ガスはこの細孔117を通ることにより微細化される。その細孔117を通過した酸水素ガスは水槽115の上部の純水中を通った後、
図1に示す混流用の酸水素ガスに供される。水槽115に貯留された純水は、配管114Bを通って電解槽111に供給されるようになっている。電解槽111の端子113に車載されたバッテリー等からの電力を供給することにより水の電気分解が行われる。なお、遮閉板116A、116Bの上部に網目が3mm程度のステンレス網を設けることができる。この場合は、酸水素ガスの気泡微細化が促進される。
【0026】
本液体燃料低減装置は、液体燃料として軽油を使用するジーゼルエンジンを搭載する車両や船に好適に使用することができる。しかしながら、重油を使用するジーゼルエンジンにも使用することができる。また、本液体燃料低減装置はボイラーに使用することができる。
【0027】
上記液体燃料低減装置は、以下に説明する液体燃料低減方法の実施に好適に使用することができる。すなわち、この液体燃料低減方法は、以下の(1)、(2)の運転条件で液体燃料に混流させる酸水素ガスの混流量を変えてジーゼルエンジンの無負荷運転を行い、そのときに消費される液体燃料を測定する。そして、測定した液体燃料の消費量が次第に増加し始める混流量をそのジーゼルエンジンに混流させる酸水素ガスの混流量とする液体燃料低減方法である。上記運転条件は、(1)液体燃料に混流させる酸水素ガスの圧力は30kPa以下とし、(2)所定時間一定回転数でジーゼルエンジンの無負荷運転を行うことである。
【0028】
上記運転条件において、所定時間一定回転数の無負荷運転とは、例えば、60分、600rpmの無負荷運転である。所定時間は、30分以上行えばよく、60分程度が好ましい。回転数は、600〜1800rpmの回転数でよいが、600rpmの回転数でよい。液体燃料に混流させる酸水素ガスの流量は、0.15〜0.8 l/minの数段階(例えば、0.150、0.250、0.300、0.500 l/min)に変えて行うのでよい。ジーゼルトラックの場合は、一般的に、0.250 l/min前後の流量のときに液体燃料の消費量が最も少なくなる傾向がある。
【0029】
表1は、ジーゼルエンジンに混流させる酸水素ガスの流量(HHO混流量)、エンジン回転数を種々に変えて無負荷運転を行ったときの軽油の消費量を測定した結果を示す。試験条件は、以下に説明する実施例の場合と同じである。表1によると、No.1の試験結果が最も軽油の消費量が少なく、酸水素ガスの軽油への混流効果が最も大きいことが示されている。そして、No.2又はNo.3の試験結果が示すように、エンジン回転数が高くなると酸水素ガスの軽油への混流効果が若干低下することが示されている。しかしながら、No.4の試験結果が示すように、酸水素ガスの混流量が多いと、軽油の消費量の低減効果が少ないばかりでなく、酸水素ガスが無駄に消費されていることが示されている。また、No.1とNo.2の試験結果を比較すると、軽油消費量はエンジン回転数と運転時間に比例するとみなしてもよいことが分かる。なお、酸水素ガスの混流量は、0.250 l/minのときに軽油消費量が最も少なく、0.200 l/minの場合の軽油消費量は0.250 l/minの場合と同等かやや増加する傾向にあった。一方、酸水素ガスの混流量を0.300 l/min、0.500 l/minと増加すると、軽油消費量は次第に増加した。すなわち、酸水素ガスの混流量の増大とともに軽油消費量が増大する傾向を示す。本液体燃料低減方法は、例えば、0.250 l/min又は0.300 l/minを、そのジーゼルエンジンに混流させる酸水素ガスの混流量とする。
【0031】
表2は、無負荷運転と走行運転を行ったときの軽油消費量(単位はl)を調べた結果を示す。表2において、無負荷運転の軽油消費量は表1のNo.3とNo.4の試験結果を用いた。走行運転の結果は、同一の運転手が同一のコース(走行距離35.30km、山道のある県道)を走行したときの軽油消費量である。表2によると、酸水素ガスの混流量が0.250 l/min、0.500 l/minのときの、エンジン回転数1800rpmの無負荷運転時の軽油消費量と走行運転時の軽油消費量の傾向はよく一致している。すなわち、無負荷運転時の軽油消費量から走行運転時の軽油消費量か推測可能であることが分かる。
【実施例1】
【0033】
図1に示す構成の液体燃料低減装置をジーゼルダンプトラック(5トン車、5200cc)に装着して無負荷一定回転数の運転(無負荷試験)を行ったときと、走行運転を行ったときの軽油消費量(発明例)を、通常のジーゼルダンプトラックのそれらの場合の軽油消費量(比較例)と比較する効果確認試験を行った。酸水素ガスの圧力調整は30kPa設定のリリーフバルブにより行った。酸水素ガスの流量調整はヤマト産業株式会社製フロート式流量計と可変絞り弁を使用して行った。酸水素ガスは、燃料パイプの燃料タンクより20cmの位置から0.250 l/minを軽油に混流させた。無負荷試験のエンジン回転数は、600rpm、1800rpmであった。なお、発明例と比較例の試験条件は同じであり、発明例は表1(No.1、No.2)又は表2(0.250 l/min混流量)の試験結果を用いた。走行運転における比較例は2回試験(5.1 l、4.0 l)の平均値である。低減率は、(比較例−発明例)/比較例(%)より求めた。本液体燃料低減装置の酸水素発生装置の発生酸水素ガスの圧力は、50kPaを越えることはなく、ほぼ安定したガス圧は30〜35kPaであった。
【0034】
表3によると、例えば、回転数600rpmの無負荷運転において軽油消費量は、発明例の場合に1.5 l、比較例の場合に2.7 l、軽油低減率が44%である。表3によると、本発明によりジーゼルエンジンの軽油消費量を約半分にできることが分かる。また、本液体燃料低減装置は、一定の運転条件で稼働するジーゼルエンジンに好適であることが示されており、発電機などに使用されるジーゼルエンジンに好適であることが推測される。
【0035】
【表3】
【符号の説明】
【0036】
10 液体燃料低減装置
11 酸水素発生装置
13 リリーフ弁
14 フィルタ
15 可変絞り弁
16 逆火防止弁
17 逆止め弁
20 燃料タンク
25 燃料配管
111 電解槽
112 電極
113 端子
114、114A、114B 配管
115 水槽
116、116A、116B 遮閉板
117 細孔
【手続補正書】
【提出日】2017年8月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジーゼルエンジンに用いる液体燃料に酸水素ガスを混流させてその液体燃料の消費を抑える液体燃料低減装置であって、
前記酸水素ガスを発生する酸水素発生装置と、発生した酸水素ガスの圧力を調整する圧力調整弁及び流量を調整する流量調整弁と、逆流防止弁とを有し、
前記酸水素ガスは、圧力が50kPa以下の所定圧に調整されて前記液体燃料に混流される液体燃料低減装置。
【請求項2】
酸水素ガスは、圧力が30kPa以下、流量が0.2〜0.3l/minに調整されて液体燃料に混流されることを特徴とする請求項1に記載の液体燃料低減装置。
【請求項3】
逆流防止弁は液体燃料の燃料配管に開口しており、その逆流防止弁の上流側に逆火防止弁が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体燃料低減装置。
【請求項4】
酸水素発生装置は、酸水素ガスを発生させる電解槽と、これに連通して発生した酸水素ガスを捕集するとともにその電解槽に純水を供給する水槽とを有し、
前記水槽は、その上部に対向する左右の側壁から中心方向に向けて同等の傾斜角度で下降する違い棚様の遮閉板を有し、その遮閉板は前記側壁に沿って、前記電解槽から浮遊する酸水素ガスの気泡が通り抜ける細孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体燃料低減装置。
【請求項5】
ジーゼルエンジンに用いる液体燃料に圧力が30kPa以下の酸水素ガスを混流させてその液体燃料の消費を抑える液体燃料低減装置であって、
前記液体燃料が供給される燃料配管に接合して使用され、酸水素発生装置により発生させた酸水素ガスをリリーフ弁、可変絞り弁及び逆止め弁を介して前記液体燃料に混流させる液体燃料低減装置。
【請求項6】
ジーゼルエンジンに用いる液体燃料に酸水素ガスを混流させてその液体燃料の消費を抑える液体燃料低減方法であって、
以下の(1)、(2)の運転条件で、前記液体燃料に混流させる酸水素ガスの混流量を段階的に増加させてジーゼルエンジンの無負荷運転をしたとき、消費される液体燃料が次第に増加し始めるときの混流量を、その液体燃料に混流させる酸水素ガスの混流量とする液体燃料低減方法。
(1)液体燃料に混流させる酸水素ガスの圧力は30kPa以下
(2)所定時間一定回転数でジーゼルエンジンの無負荷運転