約10wt%〜約35wt%のパルボシクリブ、約5wt%〜約25wt%のコハク酸、リンゴ酸および酒石酸からなる群から選択される水溶性酸、ならびに薬学的に許容できる担体を含む固形剤形。
希釈剤が、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、炭酸マグネシウム、第二リン酸カルシウムおよび第三リン酸カルシウムからなる群から選択される、請求項3に記載の固形剤形。
薬学的に許容できる担体が、少なくとも1種の滑沢剤を含み、滑沢剤が固形剤形の約0.5wt%〜約10wt%を占める、請求項1から4のいずれか一項に記載の固形剤形。
滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、およびフマル酸ステアリルナトリウムからなる群から選択される、請求項5に記載の固形剤形。
薬学的に許容できる担体が、少なくとも1種の崩壊剤を含み、崩壊剤が固形剤形の約5wt%〜約10wt%を占める、請求項1から6のいずれか一項に記載の固形剤形。
剤形を、標準USP2回転パドル装置中でパドルを50rpmで回転させながら37℃で10mM pH5.5の酢酸緩衝液500mLを含む試験媒体に加えた場合:(a)15分で35%以上のパルボシクリブ;(b)30分で45%以上のパルボシクリブ;(c)60分で55%以上;または(d)(a)、(b)および(c)の2つ以上が溶解する、請求項1から11のいずれか一項に記載の固形剤形。
剤形を、標準USP2回転パドル装置中でパドルを50rpmで回転させながら37℃で50mM pH6.5のリン酸緩衝液500mLおよび0.1M NaClを含む試験媒体に加えた場合:(a)15分で40%以上のパルボシクリブ;(b)30分で35%以上のパルボシクリブ;(c)60分で25%以上のパルボシクリブ;または(d)(a)、(b)および(c)の2つ以上が溶解する、請求項1から11のいずれか一項に記載の固形剤形。
剤形の:(a)対象への単回経口用量の投与後の血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)の平均摂食/絶食比が、約0.8〜約1.25であり;(b)対象への単回経口用量の投与後の最大血漿濃度(Cmax)の平均摂食/絶食比が、約0.8〜約1.25であり;または(c)(a)と(b)の両方である、請求項1から11のいずれか一項に記載の固形剤形。
剤形が:(a)対象への単回経口用量の投与後の当量のパルボシクリブを含有する制御即時放出(IR)経口カプセル剤に対する平均絶食AUCの80%〜125%の範囲の平均絶食AUCをもたらし;(b)対象への単回経口用量の投与後の当量のパルボシクリブを含有する制御即時放出(IR)経口カプセル剤に対する平均絶食Cmaxの80%〜125%の範囲の平均絶食Cmaxをもたらし;または(c)(a)と(b)の両方をもたらす、請求項1から11のいずれか一項に記載の固形剤形。
剤形が:(a)対象への単回経口用量の投与後のプロトンポンプ阻害剤(PPI)の不在下での平均AUCの80%〜125%の範囲のPPIの存在下での平均AUC;(b)対象への単回経口用量の投与後のプロトンポンプ阻害剤(PPI)の不在下での平均Cmaxの80%〜125%の範囲のPPIの存在下での平均Cmax;または(c)(a)と(b)の両方をもたらす、請求項1から11のいずれか一項に記載の固形剤形。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、本発明の好ましい実施形態および本明細書に含まれている実施例の以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。本明細書で使用されている専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定するものではないことを理解されたい。本明細書で具体的に定義されない限り、本明細書で使用された専門用語は、関連技術分野で知られているようなその従来の意味が与えられるべきであることがさらに理解されたい。
【0036】
本明細書では、特に指示がない限り、単数形「a」、「an」、および「the」には、複数形の引用(plural references)が含まれる。例えば、「an」賦形剤には、1種または複数の賦形剤が含まれる。
【0037】
用語「約」は、当業者から見ると、平均値の許容可能な標準誤差の範囲内に入る値を有することを意味する。しばしば、用語「約」は、それが言及する値または範囲の±15%、好ましくは±10%、より好ましくは±5%を意味する。例えば、「約10wt%」は、10wt%±1.5wt%、好ましくは10wt%±1wt%、より好ましくは10wt%±0.5wt%を意味する。
【0038】
本明細書において特に指示がない限り、パルボシクリブは、6−アセチル−8−シクロペンチル−5−メチル−2−(5−ピペラジン−1−イル−ピリジン−2−イルアミノ)−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オンの遊離塩基形態を表し、結晶形もしくは非晶形、または非晶形と結晶形の混合物で存在することができる。
【0039】
経口投与した薬物の吸収は、薬物が胃腸(GI)管を通過する間にpHの変化によって影響を受けることがある。吸収は、GI管に沿って異なる位置、例えば、頬内面(cheek lining)、または胃、十二指腸、空腸、回腸または結腸で起こり得る。pHは、吸収の各部位で異なり、胃のpH(pH1〜3.5)は、小腸のpH(pH4.5〜8)と著しく異なる。pH依存性溶解度を有する薬物は、薬物がGI管を通過する間に溶液から沈殿する可能性があり、用量または患者の間の吸収の程度および/または速度における患者間または患者内のばらつきをもたらす。
【0040】
GI管のpHはまた、患者または対象が摂食または絶食状態にあるかどうかに基づいて異なっていてよい。一般に、薬物の胃部滞留時間は、絶食状態にあるよりも食物の存在下でより長い。薬物の生物学的利用能が、GI管中での食物の存在または不在によって著しく影響を受ける場合、薬物は「食事の影響」を示すと言われている。胃内容排出の速度もまた、GI管に沿った異なる部位での吸収に利用可能な溶液中の薬物の濃度に影響し得る。
【0041】
ある特定の医薬品の同時投与、ならびに無塩酸症などの病状もまた、GI管のpHに影響を与え得る。プロトンポンプ阻害剤(PPI)またはH2受容体拮抗薬などの酸還元剤の使用は、比較的高い胃のpHをもたらすことができ、それによって胃の中でpH依存性溶解度を有する薬物の溶解が部分的にのみもたらされ得る。溶解していない薬物のさらなる溶解は、腸上部のより高いpH環境での低い溶解度によって阻害され得る。これは、pH依存性溶解度を有する薬物の不均一な溶解をもたらす可能性があり、薬物−薬物相互作用のリスクを増大させ、吸収の減少および治療利益の減少を潜在的に招く。
【0042】
健康なボランティアの研究は、パルボシクリブ治療(遊離塩基カプセル剤として125mgを1日1回投与した)による曝露が、摂食(AUCinf、23%〜27%;Cmax、21%〜24%)対絶食(AUCinf、39%;Cmax、73%)対象でわずかに増大し、PKのばらつきが摂食状態で大幅に減少したことを示した。Ruiz−Garciaら、Annals of Oncology(2014)25(増補4):iv146〜iv164、10、1093/annonc/mdu331。摂食状態で観察された患者間のばらつきの減少のために、商用のパルボシクリブの遊離塩基カプセル剤は、食物と一緒に摂取することがU.S.添付文書で推奨されている。
【0043】
錠剤または他の固形剤形に化合物を製剤化する場合、通常直面するものよりも高い温度および相対湿度レベルで貯蔵安定な製剤を開発することが望ましい。錠剤がすぐに溶解し、薬物が吸収され得るように、速い溶解のような、製剤の他の望ましい特性も求めることができる。したがって、良好な貯蔵安定性および速い溶解が、とりわけ、本発明のための望ましい特徴として求められた特質である。
【0044】
薬物溶解は、全身吸収の速度に影響を与える重要な因子を表す。種々のin vitroでの方法は、医薬製剤の溶解特性を評価するために開発され、溶解試験は時々、薬物の生物学的利用能の直接評価のための代理として使用される。例えば、Emmanuelら、Pharmaceutics(2010)、2:351〜363、およびその中で引用されている参考文献を参照のこと。溶解試験は、薬物製品(すなわち、錠剤またはカプセル剤)から放出され、定義された期間にわたって制御された試験条件下で溶解媒体中に溶解したAPIのパーセント値を測定する。沈下条件を維持するために、溶解媒体中の薬物の飽和溶解度は、薬物濃度の少なくとも3倍であるべきである。低溶解度化合物では、溶解は時々、非沈下条件下で決定され得る。溶解は、APIの特性(例えば、粒径、結晶形、かさ密度)、薬物製品の組成(例えば、薬物添加、賦形剤)、製造プロセス(例えば、圧縮力)および貯蔵条件(例えば、温度、湿度)下での安定性によって影響を受ける。
【0045】
促進老化条件下で固形剤形の化学的貯蔵安定性を評価する方法は、文献に記載されている。例えば、S.T.Colgan、T.J.Watson、R.D.Whipple、R.Nosal、J.V.Beaman、D.De Antonis、「The Application of Science and Risk Based Concepts to Drug Substance Stability Strategies」J.Pharm.Innov.7:205〜2013(2012);Waterman KC、Carella AJ、Gumkowski MJら、Improved protocol and data analysis for accelerated shelf−life estimation of solid dosage forms. Pharm Res 2007;24(4):780〜90;およびS.T.Colgan、R.J.Timpano、D.Diaz、M.Roberts、R.Weaver、K.Ryan、K.Fields、G.Scrivens、「Opportunities for Lean Stability Strategies」J.Pharm.Innov.9:259〜271(2014)を参照のこと。
【0046】
本発明の固形剤形では、パルボシクリブのピペラジニル部分と水溶性酸の酸付加物の形成は、貯蔵安定性を評価するためにモニターする重要な分解物である。
【0047】
本明細書でさらに説明しているように、本発明は、パルボシクリブ、水溶性酸、および薬学的に許容できる担体を含む固形剤形、ならびにそれらの生成および使用のための方法を提供する。
【0048】
固形剤形には、即時放出錠剤およびカプセル剤、制御放出(CR)錠剤およびカプセル剤、速溶解剤形、咀嚼剤形、サッシェなどが含まれるが、それだけには限定されない。本発明の剤形は、単層または二層錠剤を含む錠剤の形態であることが好ましい。
【0049】
本発明の「固形剤形」は、ヒトへの経口投与に安全な薬学的に許容できる固形剤形であり、その場合、剤形中の全ての賦形剤は、経口製剤で使用するのに薬学的に許容でき、言い換えればヒトの摂食に安全である。頻繁な実施形態では、固形剤形は、錠剤である。
【0050】
本明細書では、用語「単位用量」または「単位投与量」は、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の有効成分を含有する物理的に不連続な単位を意味する。単位用量または単位投与量は、本明細書で「単位剤形」と称されている錠剤、カプセル剤、サッシェなどの形態であってよい。
【0051】
本明細書では、用語「絶食した」は、以下のように:少なくとも10時間(すなわち、≧10時間)の終夜の絶食(ここで、0カロリー摂取が生じている)の後に定義される投薬状態と定義される。対象は、剤形を水240mLと一緒に投与することができる。投与後少なくとも4時間は食物を許可するべきではない。水は、薬物投与の前後1時間を除いて望みどおりに許可され得る。
【0052】
本明細書では、用語「摂食した」は、以下のように:少なくとも10時間の終夜の絶食(ここで、0カロリー摂取が生じている)の後に、対象は次いで推奨される食事を開始することが定義される投薬状態と定義される。対象は、この食事を30分以内に食べなければならない;しかしながら、薬物製品は、食事を開始してから30分後に投与すべきである。薬物製品は、水240mLと一緒に投与することができる。投与後少なくとも4時間は食物を許可するべきではない。水は、薬物投与の前後1時間を除いて望みどおりに許可され得る。
【0053】
摂食/絶食比を評価するために、単回経口用量のパルボシクリブを:高脂肪、高カロリーの食事(タンパク質、炭水化物、および脂肪からそれぞれ150、250、および500〜600カロリーで約800〜1000カロリー)の30分後;低脂肪、低カロリーの食事(タンパク質、炭水化物、および脂肪からそれぞれ120、250、および28〜35カロリーで約400〜500カロリー)の30分後;または中脂肪およびカロリー分の食事(15%タンパク質、50%炭水化物、および35%脂肪からなる約500〜700カロリー)の食事間(1時間後/2時間前)に投与することができる。
【0054】
高脂肪および高カロリーの食事は、摂食条件下で試験食として使用することができる。高脂肪試験食の例は、バターで炒めた卵2個、ベーコン2切れ、バターを塗ったトースト2枚、ハッシュブラウンポテト4オンスおよび全乳8オンスとなる。
【0055】
血漿濃度対時間曲線下平均面積(AUC)の計算は、医薬分野ではよく知られている手順であり、例えば、Welling、「Pharamacokinetics Processes and Mathematics」ACS Monograph 185(1986)に記載されている。本明細書では、AUCは、時間ゼロから1回投与後の無限時間まで外挿した濃度−時間曲線下面積または時間ゼロから定常状態/複数回投与後の投与間隔の終了時までの濃度−時間曲線下面積を含む。
【0056】
さらに、C
max、C
min,ss、T
max、および消失半減期(t1/2)の計算もまた、当業者に既知であり、例えば、Shargel、Wu−Pong、およびYu、Applied Biopharmaceutics and Pharmacokinetics(2005)に記載されている。
【0057】
平均摂食/絶食比を決定するために、摂食状態におけるパルボシクリブの血漿濃度対時間曲線下平均面積(例えばAUC
0〜inf)対絶食状態におけるパルボシクリブの血漿濃度対時間曲線下平均面積(例えばAUC
0〜inf)の個々の比を最初に計算し、次いで対応する個々の比を一緒に平均する。このようにして、決定されるのは、それぞれの対応する個々の比の平均値である。
【0058】
プロトンポンプ阻害剤(PPI)は、胃酸の生成を低下させ、それによって胃のpHが変更される、よく知られているクラスの薬物である。代表的なPPIには、例えば、ラベプラゾール、オメプラゾール(S−およびB−形態、NaおよびMg塩を含む)、ランソプラゾール、パントプラゾール、エソメプラゾールなどが含まれる。
【0059】
本明細書では、用語「制御即時放出(IR)経口カプセル剤」は、実施例11に記載された商用のパルボシクリブのIRカプセル製剤を意味する。この製剤は、イセチオン酸塩製剤(ISE)および水溶性酸を欠くがそれ以外は実施例1の製剤と実質的に同じである遊離塩基錠剤剤形と共に、対照として本明細書において参照することができる。
【0060】
「溶解試験1」は、パルボシクリブの剤形の以下の試験を意味する。溶解試験は、米国薬局方(USP)溶解試験711章、装置2に記載された標準USP2回転パドル装置で実施される。パドルは、50rpmで回転させ、剤形を37℃で500mLの10mM pH5.5酢酸緩衝液に加える。試験開始後の適切な時点(例えば、装置への剤形の挿入)で、試験媒体からのろ過したアリコート(通常1.5mL)を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によってパルボシクリブについて分析する。溶解の結果は、時間に対する溶解試験したパルボシクリブの全用量のパーセントとして報告している。
【0061】
「溶解試験2」は、パルボシクリブの剤形の以下の試験を意味する。溶解試験は、米国薬局方(USP)溶解試験711章、装置2に記載された標準USP2回転パドル装置で実施される。パドルは、50rpmで回転させ、剤形を37℃で500mLの50mM pH6.5リン酸緩衝液と0.1M NaClに加える。試験開始後の適切な時点(例えば、装置への剤形の挿入)で、試験媒体からのろ過したアリコート(通常1.5mL)を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によってパルボシクリブについて分析する。溶解の結果は、時間に対する溶解試験したパルボシクリブの全用量のパーセントとして報告している。
【0062】
用語「乾式造粒」は、バルク活性生成物と少なくとも1種の賦形剤をブレンドするプロセスを表す。次いでブレンドを圧縮(compress)し、またはコンパクト化(compact)し、圧縮された物質または「コンパクト(compact)」を形成する。この物質は、乾式造粒した粒子に破砕、磨砕または切削することによって、ばらばらに砕いて顆粒を形成することができる。場合により、粒子をさらに加工してもよい。破砕、磨砕、または切削プロセスは、粉砕または当業者に既知の他の操作によって成し遂げられるような、圧縮された物質のサイズを小さくする操作を含む。
【0063】
本明細書で使用される用語「水溶性」は、組成物中に存在する酸に関して、25℃で水に少なくとも0.2重量%の溶解度を有する酸を意味する。水溶性酸は、有機または無機酸であってよく、薬物中に存在する塩基性基の最も高いpKaよりも低い、少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つ)のpK単位である、少なくとも1つのpKa値を有する有機酸であることが好ましい。約4.1および7.3のpKa値を有するパルボシクリブの場合、酸は、好ましくは6.3未満のpKaを有しており、より好ましくは5.3未満のpKaを有している。水溶性有機酸には、例えば、C
2〜C
8またはC
2〜C
6脂肪族モノまたはポリ−カルボン酸、好ましくはC
4〜C
6脂肪族モノまたはポリ−カルボン酸が含まれる。特に好ましいのは、飽和または不飽和であってよいC
4〜C
6ジカルボン酸である。
【0064】
本発明の固形剤形は、単一の水溶性酸を含んでいてもよく、または2つ以上のそのような酸の組合せを含んでいてもよい。本発明の選択された実施形態では、水溶性酸は、コハク酸、リンゴ酸および酒石酸からなる群から選択される。本発明のある特定の好ましい実施形態では、水溶性酸は、コハク酸である。
【0065】
水溶性酸は、造粒前に薬物と合わせてもよく、または顆粒外賦形剤と一緒に剤形中に組み込んでもよい。二層錠剤では、水溶性酸は、別々の酸層中に組み込まれて、パルボシクリブを含有する活性層中に存在していてよく、または水溶性酸(同じでも異なっていてもよい)は、活性層と酸層のどちらにも組み込まれていてよい。
【0066】
特定の理論に拘泥するものではないが、薬物と密着している固形剤形中の酸の存在は、パルボシクリブと酸の間の相互作用によって可溶化を増大させると考えられている。本発明の固形剤形は、したがって、水溶性酸を欠くパルボシクリブ製剤の投与と比較して、対象への経口投与後の溶液中の薬物の局所濃度の増大をもたらす。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された実施形態のいずれかの固形剤形で、溶解試験1(pH5.5酢酸緩衝液、37℃)の条件下で:(a)15分で35%以上のパルボシクリブ;(b)30分で45%以上のパルボシクリブ;(c)60分で55%以上;または(d)(a)、(b)および(c)の2つ以上が溶解する。
【0068】
さらなる実施形態では、溶解試験1の条件下の本発明の固形剤形で:(a)15分で25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%以上、または50%超のパルボシクリブが溶解し;(b)30分で35%、40%、45%、50%、55%、もしくは60%以上、または60%超のパルボシクリブが溶解し;かつ/または(c)60分で45%、50%、55%、60%、65%、もしくは70%以上または70%超のパルボシクリブが溶解する。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された実施形態のいずれかの固形剤形で、溶解試験2(pH6.5リン酸緩衝液および0.1M NaCl、37℃)の非沈下条件下で:(a)15分で40%以上のパルボシクリブ;(b)30分で35%以上のパルボシクリブ;(c)60分で25%以上のパルボシクリブ;または(d)(a)、(b)および(c)の2つ以上が溶解する。
【0070】
他の実施形態では、本明細書に記載された実施形態のいずれかの固形剤形で、溶解試験2(pH6.5リン酸緩衝液および0.1M NaCl、37℃)の非沈下条件下で:(a)15分で15%以上のパルボシクリブ;(b)30分で20%以上のパルボシクリブ;(c)60分で25%以上のパルボシクリブ;または(d)(a)、(b)および(c)の2つ以上が溶解する。
【0071】
溶解試験2下の他の実施形態では:(a)15分で10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%以上、または50%超のパルボシクリブが溶解し;(b)30分で15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%以上、または50%超のパルボシクリブが溶解し;かつ/または(c)60分で15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%以上、または40%超のパルボシクリブが溶解する。
【0072】
溶解試験2下のさらなる実施形態では:(a)15分で30%、35%、40%、45%、もしくは50%以上、または50%超のパルボシクリブが溶解し;(b)30分で25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%以上、または50%超のパルボシクリブが溶解し;かつ/または(c)60分で15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%以上、または40%超のパルボシクリブが溶解する。
【0073】
いくつかの実施形態では、本発明は、パルボシクリブ、水溶性酸、および薬学的に許容できる担体を含む固形剤形を提供し、ここで、この剤形は:(a)約0.8〜約1.25である、対象への単回経口用量の投与後の血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)の平均摂食/絶食比;(b)約0.8〜約1.25である、対象への単回経口用量の投与後の最大血漿濃度(C
max)の平均摂食/絶食比;または(c)(a)と(b)の両方をもたらす。
【0074】
いくつかの実施形態では、本発明は、パルボシクリブ、水溶性酸、および薬学的に許容できる担体を含む固形剤形を提供し、ここで、この剤形は:(a)対象への単回経口用量の投与後の当量のパルボシクリブを含有する制御即時放出(IR)経口カプセル剤に対する平均絶食AUCの80%〜125%の範囲の平均絶食AUC;(b)対象への単回経口用量の投与後の当量のパルボシクリブを含有する制御即時放出(IR)経口カプセル剤に対する平均絶食C
maxの80%〜125%の範囲の平均絶食C
max;または(c)(a)と(b)の両方をもたらす。
【0075】
さらなる実施形態では、本発明は、パルボシクリブ、水溶性酸、および薬学的に許容できる担体を含む固形剤形を提供し、ここで、この剤形は:(a)対象への単回経口用量の投与後のプロトンポンプ阻害剤(PPI)の不在下での平均AUCの80%〜125%の範囲のPPI、好ましくはラベプラゾールの存在下での平均AUC;(b)対象への単回経口用量の投与後のプロトンポンプ阻害剤(PPI)の不在下での平均C
maxの80%〜125%の範囲のPPI、好ましくはラベプラゾールの存在下での平均C
max;または(c)(a)と(b)の両方をもたらす。
【0076】
他の実施形態では、本発明は、パルボシクリブ、水溶性酸、および薬学的に許容できる担体を含む固形剤形を提供し、ここで、この剤形は、30℃および75%相対湿度(RH)で96日間貯蔵後に0.4重量%、0.35重量%、0.3重量%、0.25重量%、0.2重量%、0.15重量%または0.1重量%未満の酸付加物を示す。
【0077】
さらに他の実施形態では、本発明は、パルボシクリブ、水溶性酸、および薬学的に許容できる担体を含む固形剤形を提供し、ここで、この剤形は:30℃および75%RHで2年間貯蔵後に1.5重量%、1.4重量%、1.3重量%、1.2重量%、1.1重量%、1.0重量%、0.9重量%、0.8重量%、0.7重量%、0.6重量%、0.5重量%、0.4重量%または0.3重量%未満の酸付加物を示す。
【0078】
本発明のそれぞれの態様および実施形態のいくつかの実施形態では、水溶性酸は、コハク酸、リンゴ酸および酒石酸からなる群から選択される。本明細書におけるそれぞれの態様および実施形態の特定の実施形態では、水溶性酸は、コハク酸である。他の実施形態では、水溶性酸は、リンゴ酸である。さらなる実施形態では、水溶性酸は、酒石酸である。
【0079】
本発明のそれぞれの態様のいくつかの実施形態では、水溶性酸は、剤形の約5重量%〜約40重量%を占める。特定の実施形態では、水溶性酸は、剤形の約5重量%〜約25重量%を占める。いくつかの実施形態では、水溶性酸は、剤形の約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%または40%を占める。
【0080】
本発明のそれぞれの態様のいくつかの実施形態では、パルボシクリブは、剤形の約10重量%〜約35重量%を占める。特定の実施形態では、パルボシクリブは、剤形の約20重量%を占める。いくつかの実施形態では、パルボシクリブは、剤形の約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%または50重量%を占める。
【0081】
本明細書におけるそれぞれの態様および実施形態の頻繁な実施形態では、固形剤形は、錠剤、好ましくは乾式造粒によって形成された錠剤である。いくつかのこのような実施形態では、錠剤は、二層錠剤である。特定の実施形態では、二層錠剤は:(a)パルボシクリブおよび薬学的に許容できる担体を含む活性層;と(b)水溶性酸および薬学的に許容できる担体を含む酸層を含む。いくつかの実施形態では、二層錠剤は:(a)パルボシクリブ、水溶性酸、および薬学的に許容できる担体を含む活性層;と(b)水溶性酸および薬学的に許容できる担体を含む酸層を含み、ここで、活性層中の水溶性酸は、酸層中の水溶性酸と同じまたは異なっていてもよい。特定の実施形態では、活性層中の水溶性酸は、コハク酸であり、酸層中の水溶性酸は、酒石酸である。
【0082】
別の態様では、本発明は、治療有効量の、本明細書に記載された態様および実施形態のいずれかの固形剤形を、それを必要とする対象に投与することを含む、癌を治療する方法を提供する。特定の実施形態では、癌は、乳癌である。いくつかのこのような実施形態では、乳癌は、ホルモン−受容体陽性(HR+)乳癌である。いくつかのこのような実施形態では、乳癌は、エストロゲン−受容体陽性(ER+)乳癌である。いくつかのこのような実施形態では、乳癌は、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER−)乳癌である。他のこのような実施形態では、乳癌は、ヒト上皮成長因子受容体2陽性(HER+)乳癌である。さらなる実施形態では、乳癌は、進行性または転移性乳癌であり、HR+、HER2−またはER+、HER2−として特徴づけることができる。
【0083】
パルボシクリブは、単独でまたは他の薬物、特にアロマターゼ阻害剤、例えば、レトロゾール、フルベストラントまたはエキセメスタンと併せて投与することができ、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤に関連した製剤として投与することになる。用語「賦形剤」は、パルボシクリブまたはその塩以外の任意の成分を説明している。
【0084】
パルボシクリブは、経口投与することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に入るように、嚥下を含んでいてよく、または頬もしくは舌下投与は、化合物が口から直接血流に入ることによって利用してもよい。
【0085】
治療有効量の本発明の剤形は、そのような治療を必要とする対象に投与することができる。用語「治療有効量」は、本明細書では、治療される障害の1種または複数の症状をある程度まで軽減する、投与される化合物の量を意味する。癌の治療に関して、治療有効量は、(1)腫瘍のサイズを減少させ、(2)腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度まで遅らせ、好ましくは阻止し)、(3)腫瘍増殖もしくは腫瘍侵襲性をある程度まで阻害し(すなわち、ある程度まで遅らせ、好ましくは阻止し)、かつ/または(4)癌に関連する1種もしくは複数の徴候もしくは症状をある程度まで軽減する(または、好ましくは、除去する)効果を有する量を意味する。
【0086】
本明細書では、「対象」は、ヒトまたは動物対象を意味する。ある特定の好ましい実施形態では、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、病態に苦しんでいる患者である。他の実施形態では、対象は、健康なボランティアであってよい。
【0087】
用語「治療すること(treating)」は、本明細書では、特に指示がない限り、このような用語が適用される障害もしくは状態、またはこのような障害もしくは状態の1種もしくは複数の症状の進行の逆転、緩和、阻害、または予防を表す。用語「治療(treatment)」は、本明細書では、特に指示がない限り、直ぐ上で定義した治療する行為を意味する。用語「治療すること(treating)」はまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント治療を含む。パルボシクリブは、単独で、またはレトロゾール、フルベストラントもしくはエキセメスタンなどのアロマターゼ阻害剤と併せて投与することができる。
【0088】
本明細書では「癌」は、任意の悪性および/または侵襲性増殖あるいは異常な細胞増殖が原因である腫瘍を意味する。本明細書では「癌」は、それらを形成する細胞の種類の名前をとった充実性腫瘍(例えば、乳癌)、および血液、骨髄、またはリンパ系の癌を意味する。充実性腫瘍の例には、肉腫および癌腫が含まれるが、それだけには限定されない。血液の癌の例には、白血病、リンパ腫および骨髄腫が含まれるが、それだけには限定されない。用語「癌」には、体内の特定部位で生じる原発性癌、それが始まった場所から体の他の部分に広がった転移性癌、寛解後の元の原発性癌からの再発、および後者のものとは異なるタイプの以前の癌の病歴をもつ人の新しい原発性癌である第二の原発性癌が含まれるが、それだけには限定されない。
【0089】
より具体的には、本発明に関連する癌の例には、とりわけ、乳癌が含まれ、アロマターゼ阻害剤と併せることが好ましい。例えば、癌は、ホルモン受容体陽性(HR+)乳癌、特にエストロゲン受容体陽性(ER+)乳癌であってよい。いくつかの実施形態では、前記ER+乳癌は、ヒト上皮成長因子2(HER2)−陰性である。さらなる実施形態では、癌は、ER+、HER2−進行性転移性乳癌であり、ここで、転移性疾患の治療のために薬物をアロマターゼ阻害剤と併せて投与する。
【0090】
経口投与に適した製剤には、錠剤、カプセル剤、散剤、ロゼンジ(液体充填を含む)、サッシェなどの固形製剤が含まれる。本発明の好ましい態様では、本明細書で提供されている固形剤形は、錠剤である。いくつかのこのような実施形態では、錠剤は、フィルムコーティングされている。他のこのような実施形態では、錠剤は、二層錠剤である。
【0091】
錠剤剤形の場合、用量に応じて、パルボシクリブは、剤形の1wt%〜80wt%、典型的には剤形の5wt%〜60wt%、より典型的には約10wt%〜約35wt%、またはさらにより典型的には約15wt%〜約25wt%を構成することができる。特定の実施形態では、パルボシクリブは、重量で剤形の約20wt%を占める。
【0092】
本発明の固形剤形では、担体は、例えば、希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、潤滑剤および界面活性剤を含む、種々の薬学的に許容できる賦形剤を含むことができる。製剤はまた、防腐剤、酸化防止剤、香味料および着色剤などの賦形剤、ならびに当技術分野で既知の他の賦形剤も含むことができる。
【0093】
錠剤などの固形剤形は、典型的には、希釈剤、例えば、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、圧縮糖、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デンプン、アルファ化デンプン、デキストレート(dextrates)、デキストラン、デキストリン、デキストロース、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ポロキサマー、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびその混合物を含有する。異なるタイプの微結晶性セルロースは、本明細書に記載された製剤に使用するのに適し得る。微結晶性セルロースの例には、Avicel(登録商標)タイプ:PH101、PH102、PH103、PH105、PH112、PH113、PH200、PH301、およびケイ化微結晶性セルロース(SMCC)などの他のタイプの微結晶性セルロースが含まれる。いくつかの実施形態では、希釈剤は、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、炭酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、またはその混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、希釈剤は、微結晶性セルロースを含む。ある特定の実施形態では、希釈剤は、1種または複数のタイプの微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH105、Avicel(登録商標)PH200またはそれらの混合物を含む。いくつかのこのような実施形態では、希釈剤は、ラクトース一水和物を除く。他のこのような実施形態では、希釈剤は、微結晶性セルロースを含み、ラクトース一水和物をさらに含む。希釈剤はしばしば、固形剤形の約25wt%〜約75wt%、好ましくは剤形の約50wt%〜約75wt%を占める。
【0094】
固形剤形はしばしば、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが含まれる。いくつかの実施形態では、崩壊剤は、クロスポビドンである。任意のグレードのクロスポビドンを使用することができ;例えばCL、CL−SFおよびXLグレードのクロスポビドンが、本明細書に記載された製剤を使用するのに適している。具体例には、Kollidon、Kollidon CL(登録商標)、Kollidon CL−M(登録商標)、Polyplasdone XL(登録商標)、Polyplasdone XL−10(登録商標)、およびPolyplasdone INF−10(登録商標)が含まれる。いくつかの実施形態では、担体は、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムおよびデンプングリコール酸ナトリウムからなる群から選択される、少なくとも1種の崩壊剤を含む。特定の実施形態では、崩壊剤は、クロスポビドンである。崩壊剤はしばしば、剤形の約1wt%〜約25wt%、好ましくは約5wt%〜約20wt%、より好ましくは約5wt%〜約10wt%を占める。
【0095】
結合剤は、錠剤製剤に凝集性を付与するために使用することができる。適当な結合剤には、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。いくつかの実施形態では、結合剤は、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される。特定の実施形態では、結合剤は、微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH105である。存在する場合、結合剤は、剤形の約0wt%〜約15wt%、または約0.2wt%〜約10wt%を占めていてもよい。いくつかの実施形態では、結合剤は、剤形の約5wt%〜約10wt%を含む。特定の実施形態では、結合剤は、剤形の約10wt%を占める。
【0096】
固形剤形はしばしば、1種または複数の滑沢剤を含有する。滑沢剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物、またはこれらの2種以上の混合物が含まれる。いくつかの実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムおよび/またはフマル酸ステアリルナトリウムである。いくつかの実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。いくつかのこのような実施形態では、固形剤形は、顆粒内および顆粒外ステアリン酸マグネシウムを含む錠剤である。他の実施形態では、固形剤形は、顆粒内ステアリン酸マグネシウムおよび顆粒外フマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤である。存在する場合、滑沢剤はしばしば、剤形の約0.25wt%〜約10wt%、好ましくは約0.5wt%〜約6wt%を占める。
【0097】
錠剤はまた、潤滑剤、例えば二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク、ならびに凝集シリケートおよび水和シリカなどの他の形態の二酸化ケイ素も含むことができる。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、二酸化ケイ素である。存在する場合、潤滑剤は、錠剤の約0wt%〜約10wt%、好ましくは約0.2wt%〜約5wt%、または約0.5wt%〜約2wt%を占めていてよい。
【0098】
錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤を含んでいてもよい。存在する場合、界面活性剤は、錠剤の0wt%〜10wt%、または好ましくは0.2wt%〜5wt%を占めていてよい。
【0099】
一般に本発明の固形剤形は、薬化学において通常の方法に基づいて調製される。選択された賦形剤は、顆粒外もしくは顆粒内コンパートメントのいずれかまたは両方の中にAPIと一緒に組み込むことができる。
【0100】
例示的な錠剤製剤は、約10wt%〜約35wt%パルボシクリブ、典型的には約15wt%〜約25wt%パルボシクリブ;約5wt%〜約15wt%水溶性酸;約25wt%〜約75wt%希釈剤;約5wt%〜約10wt%崩壊剤;約0.5wt%〜約6wt%滑沢剤;任意選択により約0wt%〜約5wt%潤滑剤、および約0wt%〜約15wt%結合剤を含有する。
【0101】
さらに例示的な錠剤製剤は、約20wt%パルボシクリブ;約10wt%水溶性酸、好ましくはコハク酸;約50wt%〜約75wt%希釈剤、好ましくは微結晶性セルロース;約5wt%〜約10wt%崩壊剤、好ましくはクロスポビドン;約0.5wt%〜約6wt%滑沢剤、好ましくはステアリン酸マグネシウムもしくはフマル酸ステアリルナトリウム、または両方;任意選択により約0wt%〜約5wt%潤滑剤;任意選択により約0wt%〜約15wt%結合剤を含有する。存在する場合、潤滑剤は、二酸化ケイ素であることが好ましく、結合剤は、乾燥結合剤として適切なタイプ(例えば、Avicel(登録商標)PH105)の微結晶性セルロースであることが好ましい。
【0102】
経口投与のための固形製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的、およびプログラム放出が含まれる。調節放出製剤の概要については、米国特許第6,106,864号を参照のこと。
【0103】
固形状錠剤の形態の医薬品は通常、最終製品を構成する物質を所望の錠剤形態に圧縮することによって製造される。このような物質は、医薬品有効成分ならびに製造プロセスの最中およびその後に製品に必要または有用な特性を付与する薬学的に不活性な賦形剤を含んでいてよい。錠剤の硬度、または引張り強度は、錠剤の成分の凝集性の尺度として使用することができる。錠剤が十分な凝集特性を有していない場合、錠剤は、取扱い時にばらばらになる可能性がある。最終製剤は、1つまたは複数の層を含んでいてよく、コーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。
【0104】
当技術分野で既知のように、造粒は、例えば流動性を改善するために粒径を増大させることによって、製剤の取扱特性および製造特性を改善するのに使用されるプロセスである。造粒は、実質的に、その結晶質または非晶質特徴などの薬物の物理的形態を変えることはない。錠剤剤形を調製するために種々のプロセスが当業者によって使用されている。このようなプロセスの例には、乾式造粒、湿式造粒、流動床造粒および直接圧縮が含まれる。使用される方法の種類は、製剤中の医薬品有効成分の物理的特徴、使用される賦形剤の種類および最終製品の所望の物理的特徴などの要因によって決まり得る。これらのプロセスはどれも剤形の成分の混合を伴うステップを含む。本発明のある特定の実施形態では、乾式造粒が好ましい。
【0105】
均一および一貫した最終製品を得るために、剤形の成分の多少の混合が通常必要である。しかしながら、湿式および乾式造粒による医薬錠剤の調製において、圧縮前の成分の混合の程度および強さは、製剤の圧縮性および凝集性の損失に関連しており、錠剤硬度の低減をもたらすことが判明している。
【0106】
例えば、乾式造粒法においてローラーコンパクションを使用した場合、同様の結果を観察することができる。ローラーコンパクションは、その後圧縮して錠剤にされる顆粒を形成するための方法として利用することができる。ローラーコンパクションは、その後の剤形の圧縮性および凝集性を低下させることができる。
【0107】
乾式造粒は、コンパクションステップによって顆粒物を形成するプロセスであり、その後には、簡単に加工できる粒子にコンパクトを分粒する。それは、流動特性の改善および/または製剤の緻密化のためにしばしば使用され、製錠、カプセル化および粉末充填などのさらなる製造プロセスを容易にすることができる。コンパクトは、通常有効成分および滑沢剤を含めた他の賦形剤を含有する粉末ブレンドから直接作製される。
【0108】
乾式造粒技術の使用は、より短い加工時間と費用上の利点のため、湿式造粒法にとって好ましい可能性がある。しかしながら、乾式造粒は一般に、薬物または有効成分が薬学的に許容できる顆粒および錠剤などの剤形を形成するのに適した物理的特徴を有している状況に限定される。
【0109】
少なくとも1種の賦形剤を製剤に加えることは、一般に必要とされており、最終製品の錠剤サイズの増大に寄与することになる。適切な剤形として機能するように錠剤サイズがある特定のパラメーターの範囲内でなければならないので、成形性を高めるために賦形剤の量の増大に適応して制限を超えて錠剤サイズを大きくすることは、実用的ではない。その結果、乾式造粒を実用的にするのに十分なレベルの賦形剤に製剤が適応できるように、製造業者はしばしば、圧縮錠剤1個当たり低用量の有効成分を含有する製剤に乾式造粒法を使用することが限定されている。
【0110】
医薬剤形の開発において、いくつかの異なる目的のバランスをとることが重要である。医薬剤形をできるだけ経済的に調製することが重要である。いくつかの加工ステップを含む簡単な生成方法を有することが望ましいであろう。剤形はまた、その中に含有されている活性化合物を患者が最適に利用できるようにすべきである。さらに、剤形は、飲み込むことが容易であるべきである。より小さい剤形が患者により良く受け入れられており、患者の服薬遵守が向上する。
【0111】
最終医薬組成物は、単位剤形(例えば、錠剤またはカプセル剤)に加工し、次いで配布用に包装する。加工ステップは、特定の単位剤形に応じて異なることになる。例えば、錠剤は一般に、所望の形状に圧力下で圧縮し、カプセル剤は、簡単な充填操作を用いる。当業者は、種々の単位剤形の製造に使用する手順をよく分かっている。
【0112】
錠剤は通常、錠剤プレス上で打錠すべき物質に圧力を加えることによって形成される。製剤は、金型キャビティへの物質の正確な容量供給のための良好な流動特性ならびに錠剤を形成するのに適した圧縮性、成形性、および抜出し特性を有していなければならない。
【0113】
いくつかの錠剤プレスがあり、それぞれの生産性は異なるが、基本機能と操作は類似している。全て錠剤製剤を金型キャビティ内で、2つのスチール製パンチ、下側のパンチと上側のパンチの間にかけられた圧力によって圧縮する。錠剤プレスは通常、製剤を保持および供給するためのホッパー、金型キャビティに製剤を供給するための供給機構、パンチおよび金型の配置のための設備、ならびにロータリー式錠剤プレス内にパンチの動きを誘導するためのカムトラックを有するように設計される。2種類の錠剤プレスは、シングルステーションまたはシングルパンチプレスおよびマルチステーションロータリー式プレスである。いくつかの錠剤プレスは、他よりも長い休止時間を提供し、結合の増大が生じる。他のプレスは、予備圧縮を提供することができる。
【0114】
湿式造粒法はまた、医薬組成物の顆粒を調製するために利用することもできる。湿式造粒法は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、19th Edition 1995に記載されている。これらおよび他の方法は一般に、当業者に既知である。湿式造粒を利用する場合、揮発可能な薬剤(volatilizable agent)は、成分を混合する前、最中または後だが、顆粒の形成より前に混合物中に組み込むことができる。例えば、固体の揮発可能な薬剤は、結合剤溶液を加える前、最中または後に混合物の粉末とブレンドすることができる。他の固形剤形は、回転床造粒または噴霧乾燥分散(SDD)を含めた技術を用いて調製することができる。
【0115】
本発明を、以下の非限定的な実施例において例示する。
【実施例】
【0116】
(実施例1)
遊離塩基+コハク酸
コハク酸を用いて乾式造粒した遊離塩基形態のAPI(パルボシクリブ)を含む錠剤を、以下の手順を使用して調製した。錠剤は、表1の組成を有していた。
【0117】
【表1】
【0118】
微結晶性セルロース(アビセル PH105)をブレンダー(ビンブレンダーまたは同等物)に加え、低速で約25回転混合した(12rpmで2分)。APIをブレンダーに加え、ラクトース一水和物の一部でAPI容器をすすぎ、混ぜ込んで混合した。バッチ量のコハク酸、ラクトース一水和物、クロスポビドン、およびコロイド状二酸化ケイ素をブレンダーに加え、それを低速で約180回転混合した(12rpmで15分)。
【0119】
ミルおよびバッグを、バッチ量の50%の微結晶性セルロース(アビセル PH102)でプレコーティングした。ブレンドを上からミルに通した。ミルを、微結晶性セルロース(アビセル PH102)の残りの部分で洗い流し、粉砕した物質をバッグからブレンダー(ビンブレンダーまたは同等物)に移し、低速で約180回転混合した(12rpmで15分)。顆粒内ステアリン酸マグネシウムを、適切なサイズのスクリーンに通して篩にかけ、前のステップからのブレンダーに加えた。混合物を低速で約60回転混合した(12rpmで5分)。微粒子を分離または再生利用しないで、ブレンドをローラーコンパクト化した(Gerteis Minipactorまたは同等物)。インラインミリングを利用しなかった場合、ローラーコンパクト化したブレンドを、スクリーンサイズが050Gで速度がそれぞれ1000または700rpmの、1601インペラーを備えたComil U5またはU10に通した。
【0120】
顆粒外クロスポビドンを前のステップからブレンダーに加えた。混合物を低速で約180回転混合した(12rpmで15分)。顆粒外ステアリン酸マグネシウムを適切なサイズのスクリーンに通して篩にかけた。それを前のステップからブレンダーに加え、約60回転混合した(12rpmで5分)。
【0121】
錠剤を形成するために、単一ステーションプレス(Korsch XP 1または同等物)または回転式プレスを使用した。
【0122】
(実施例2)
二層錠剤製剤
活性層および酸層を含有する二層錠剤を調製した。活性層は、実施例1からの顆粒ブレンドで構成されていた。
【0123】
活性層および酸層は、表2の組成を有していた。
【0124】
【表2】
【0125】
適切なサイズの容器中に微結晶性セルロース、酒石酸およびクロスポビドンを組み合わせることによって酸層ブレンドを形成した。組合せを約120回転ブレンドし、次いでスクリーンサイズが018Rで速度がそれぞれ1000rpmまたは700rpmの、1601インペラーを備えたComil U5またはU10に通した。
【0126】
粉砕した物質をブレンダーに移し、次いで成分を約120回転ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムを適切なサイズのスクリーン(1mMスクリーン、US Sieve #20)に通して篩にかけ、次いでブレンダーに加え、約50回転ブレンドした。
【0127】
二層錠剤を、Korsch XP1などの適当な回転式二層錠剤プレスを使用する以下の手順を使用して形成した。活性層顆粒(実施例1に概説された手順に基づいて形成した)を、目標の活性層重量である625mgおよび推奨された活性層厚さである6.66mmまで圧縮した。酸層ブレンドを加え、酸層および活性層を所望の充填重量である985mgまで圧縮した。
【0128】
(実施例3)
流動床造粒
流動床コーター(MP−1ボウルを備えたNiro MP−2流動床コーター、トップスプレー造粒をセットアップ)を、吸気露点(12℃)および生成物ボウル温度が目標に安定するまで(45℃以上)以下の条件を使用して予熱した。スプレーノズルは、0.8mm液体チップをもつSchlick 970であり、ノズルからボウル底までの距離が33cmであった。
【0129】
流動床造粒を形成するために、コハク酸を最初に乳鉢と乳棒を使用して手で粉砕した。定期的に、粉砕した粉末を#60メッシュスクリーン上に置き、手で振盪させて物質を回収容器中に通過させた。スクリーン上に保持された物質を乳鉢に戻し、粉砕にかけられていない物質をもっと加えた。必要量がスクリーンを通過するまで粉砕を続けた。
【0130】
コハク酸に加えて、必要量の以下の乾燥床成分をそれぞれ個々に#30メッシュに通して個々の回収容器にスクリーニングした。
【0131】
【表3】
【0132】
適切なサイズの容器に水を加えることによって結合剤懸濁液を形成した。次いでマンニトールおよびヒドロキシプロピルセルロースを容器に加えた。溶液を最低2時間混合し、見た目には凝集していなかった。
【0133】
次いでAPIを溶液にゆっくり加えて、結合剤懸濁液を形成した。それが使用されるまで、結合剤懸濁液を処理中に撹拌した。結合剤懸濁液は、表4の以下の成分を含有していた。
【0134】
【表4】
【0135】
流動床の生成物ボウル温度が安定化した後、次いで乾燥床物質を、次の、マンニトール、微結晶性セルロース、コハク酸、およびクロスポビドンの順序で流動床に入れた。
【0136】
次いで流動床造粒を、29〜31℃の床温度、12〜30g/分のスプレー速度、70〜115CMH(m
3/h)の空気流および1.1バールの微粒化圧力で開始して、流動床造粒を行った。
【0137】
(実施例4)
流動床造粒錠剤
錠剤は、以下の手順を使用して、実施例3の流動床造粒(FBG)から形成した。最初に、造粒は、018Rのスクリーンサイズおよび1500rpmの速度で、1601インペラーを備えたComil U5に顆粒を通過させることによって乾式整粒(dry-sized)した。顆粒を、視覚的評価によってできるだけ均一にComilに供給した(2kg造粒で20〜25分)。粉砕した顆粒を、#60メッシュスクリーンに通過させ、スクリーンを通過する物質をバッグに捕集し、取っておいた。#60メッシュスクリーン上に保持された物質は、Comilで2度目の粉砕をした。粉砕した顆粒を、#60メッシュスクリーンに通過させ、物質をバッグに捕集した。2度目の通過後に#60メッシュスクリーン上に保持された物質は、全てが通過するまでスパチュラ/スクレーパーを使用して優しく押してスクリーンに通した。物質をバッグに加えた。
【0138】
FBG錠剤のための最終錠剤ブレンドを表5に示す:
【0139】
【表5】
【0140】
顆粒外成分の調整重量は、必要に応じて、前のステップからの粉砕された顆粒の全重量に対して計算された。
【0141】
コハク酸を、手で少ないアリコートに粉砕した(乳鉢と乳棒を用いて)。粉砕された物質の量が十分であったことを保証するために、十分な量を使用した。粉砕された物質を、#60メッシュスクリーンに通過させ、新しいバッグ中に捕集した。スクリーン上で保持された任意の物質を、次のアリコートと共に乳鉢に戻した。粉砕されたコハク酸の必要量を再分割した。
【0142】
次に、微結晶性セルロースおよびクロスポビドンを、#30メッシュスクリーンに通過させ、ブレンダーに加えた。粉砕されたコハク酸および乾式整粒した流動床顆粒、適切なサイズのブレンダーに加えた。かさ密度は、0.39g/ccであった。混合物を16rpmで11.25分間(180回転)ブレンドした。
【0143】
次に、ステアリン酸マグネシウムを、適切なサイズのボトル中に、前のステップからのブレンドの3〜10倍(体積、視覚的な見積もり)と合わせた。混合物を、手で約30秒間優しく振盪することによって混合し、次いで30−メッシュスクリーンに通過させた。内容物をブレンダーに加え、および16rpmで3.75分間(60回転)ブレンドした。
【0144】
バッチは、Korsch XM12などの適当な錠剤プレスを使用して、目標仕様まで圧縮した。
【0145】
(実施例5)
噴霧乾燥分散物
3.25wt%HPMC E3を90/10 メタノール/水(w/w)の溶媒ブレンド中に溶解させて、3.25wt%HPMC溶液を形成することによって、ヒプロメロース(HPMC E3 Prem)の溶液を調製した。十分量のパルボシクリブ(API)をこの溶液に加えて、以下の組成:1.75wt%API、3.25wt%ヒプロメロース、85.5wt%メタノール、および9.5wt%水の噴霧懸濁液を形成した。次いで懸濁液を連続的に撹拌して、APIが懸濁液タンク中に沈降しないようにした。
【0146】
加熱した乾燥ガス(窒素)を使用して1850g/分の流量および130℃の入口乾燥ガス温度で噴霧乾燥機を予熱した。予熱した後、90/10(w/w)メタノール/水ブレンドを、定常状態の熱力学的条件が達成されるまで噴霧した。噴霧乾燥機が定常状態に達した後、噴霧懸濁液を次いで130g/分の供給量、130℃の溶液温度、および250psiの圧力で、フラッシュ微粒化を介して噴霧乾燥機に導入した。ノズルの汚損を防止するために、ノズルの周囲に60psiの圧力で二次窒素ガス流を使用した。噴霧乾燥機の出口において45℃の温度で粒子を捕集した。
【0147】
回収後、最低6時間40℃/15%相対湿度で運転した対流棚型乾燥機中に粒子を配置した。これは、粒子中の残留溶媒を0.3wt%以下(残留メタノール)まで減らした。
【0148】
二次乾燥粒子の粒径は、0.5〜1.0バールの低分散圧力を使用して、マサチューセッツ州FraminghamのMalvern Instruments Ltd.から入手可能なMalvern粒径分析装置によって測定し、ここで、D(4,3)は、体積平均直径であり;DV
10は、粒子を含有する全体積の10%を構成する直径であり;DV
50は、粒子を含有する全体積の50%を構成する直径であり;およびDV
90は、粒子を含有する全体積の90%を構成する直径である。粒径を表6に示す:
【0149】
【表6】
【0150】
粒子のスパン(DV
90−DV
10)/DV
50は、1.96であった。粒子のかさ比容積は、5.6cc/gであったが、タップ比容積は、3.0cc/gであった。
【0151】
示差走査熱分析(DSC)によって測定した粒子のガラス転移温度(Tg)は、相対湿度5%未満で測定して117.5℃であった。粉末X線回折(PXRD)は、結晶化度が検出可能ではなく、APIが非晶質であることを示した。走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定された粒子の形態は、粒子が完全な球体および崩壊した球体を有していることを示した。
【0152】
(実施例6)
比較噴霧乾燥分散物錠剤
水溶性酸を欠く錠剤を、以下の手順を使用して実施例5の噴霧乾燥分散物(SDD)から形成した。半量の微結晶性セルロースをブレンダー(ビンブレンダーまたは同等物)に加え、低速で約25回転混合した(12rpmで2分)。SDDをブレンダーに加えた。ブレンダーを塩化ナトリウムの一部ですすぎ、混合した。
【0153】
バッチ量の塩化ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、およびコロイド状二酸化ケイ素を加え、低速で約180回転混合した(12rpmで15分)。最終ブレンドを表7に示す。
【0154】
【表7】
【0155】
ミルおよびバッグを、微結晶性セルロースの量の25wt%でプレコーティングした。スクリーンサイズが032Rで速度が1000rpmの、1601インペラーを備えたComil U5を使用して、ブレンドを上記のステップからミルに通した。ミルを、微結晶性セルロースの残りのバッチ部分で洗い流し、粉砕した物質をバッグからブレンダー(ビンブレンダーまたは同等物)に移し、低速で約180回転混合した(12rpmで15分)。
【0156】
顆粒内ステアリン酸マグネシウムを、適切なサイズのスクリーンに通して篩にかけ、前のステップからのブレンダーに加え、次いで低速で約60回転混合した(12rpmで5分)。
【0157】
Korsch XP 1または同等物を使用してブレンドを圧縮した。
【0158】
スクリーンサイズが050Gで速度が1000rpmの、1601インペラーを備えたComil U5を使用して、圧縮したブレンドをミルに通過させた。
【0159】
造粒をバッグからブレンダー(ビンブレンダーまたは同等物)に移した。顆粒外コロイド状二酸化ケイ素の量を計算し、前のステップからのブレンダーに加え、次いで約180回転混合した(12rpmで15分)。必要な顆粒外ステアリン酸マグネシウムの量を計算し、適切なサイズのスクリーンに通して篩にかけ、前のステップからのブレンダーに加え、次いで約60回転混合した(12rpmで5分)。
【0160】
単一ステーションプレス(Korsch XP 1または同等物)を使用して錠剤を圧縮した。
【0161】
(実施例7)
噴霧乾燥分散物錠剤
錠剤を、以下の手順を使用して実施例5のSDDから形成した。半量の微結晶性セルロースを、ブレンダー(ビンブレンダーまたは同等物)に加え、低速で約25回転混合した(12rpmで2分)。SDDをブレンダーに加え、ブレンダーを塩化ナトリウムの一部ですすぎ、混合した。バッチ量のコハク酸、塩化ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、およびコロイド状二酸化ケイ素を加え、低速で約180回転混合した(12rpmで15分)。ブレンドの最終組成を表8に示す。
【0162】
【表8】
【0163】
ミルおよびバッグを、微結晶性セルロースの量の25wt%でプレコーティングした。スクリーンサイズが018Rで速度が1000rpmの、1601インペラーを備えたComil U5を使用して、ブレンドを上記のステップからミルに通した。ミルを、微結晶性セルロースの残りのバッチ部分で洗い流し、粉砕した物質をバッグからブレンダー(ビンブレンダーまたは同等物)に移し、低速で約180回転混合した(12rpmで15分)。
【0164】
顆粒内ステアリン酸マグネシウムを、適切なサイズのスクリーンに通して篩にかけ、前のステップからのブレンダーに加え、次いで低速で約60回転混合した(12rpmで5分)。
【0165】
Korsch XP 1または同等物を使用してブレンドを圧縮した。
【0166】
スクリーンサイズが050Gで速度が1000rpmの、1601インペラーを備えたComil U5を使用して、圧縮したブレンドをミルに通過させた。必要な顆粒外ステアリン酸マグネシウムの量を計算し、適切なサイズのスクリーンに通して篩にかけ、前のステップからのブレンダーに加えた。混合物を約60回転混合した(12rpmで5分)。
【0167】
単一ステーションプレス(Korsch XP 1または同等物)を使用して錠剤を圧縮した。
【0168】
(実施例8)
pH5.5における溶解試験1
遊離塩基形態のパルボシクリブ(API)、水溶性酸、微結晶性セルロース(アビセル PH102)、ラクトース一水和物(Fast Flo 316)、クロスポビドン(コリドン CL)、およびステアリン酸マグネシウムを含む試験錠剤製剤を溶解試験のために調製した。以下の酸:リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、トシル酸、安息香酸およびベンゼンスルホン酸の試験錠剤を、実施例1に記載された乾式造粒(DG)法を使用して調製した。直接圧縮(DC)(乾式造粒なし)によってリンゴ酸およびクエン酸の試験錠剤を調製した。
【0169】
USP2装置中でパドルを50rpmで回転させながら、pH5.5および37℃の温度の10mM酢酸ナトリウム緩衝液500mL中で錠剤を溶解試験した。各取り出し点で、試料6mLを捕集し、10μm全流量式フィルターを通過させた。367nmのUV波長においてオフラインで分析を行った。
【0170】
水溶性酸を欠くブレンドを使用して、パルボシクリブイセチオン酸塩(ISE)カプセル剤および実施例1の乾式造粒法を使用して調製した遊離塩基API錠剤の比較溶解データを作成した。コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、フマル酸および酒石酸を含む錠剤の溶解試験の結果を
図1に示す。コハク酸、リンゴ酸および酒石酸を含む錠剤は、
図2に示す通り30分で薬物の50%超が溶解したように、優れた溶解性能を示した。
【0171】
(実施例9)
製剤の化学的安定性
実施例8で調製した試験錠剤を、70℃/75%RHで8日間貯蔵した。錠剤を砕き、以下のようにして、高速液体クロマトグラフィー(HLPC)法を使用して不純物について分析した:Waters CSH C18、2.1×100mm、1.7μmカラム;移動相(勾配溶離)A:0.03%トリフルオロ酢酸、およびB:アセトニトリル中0.03%トリフルオロ酢酸;カラム温度45℃;流量0.5mL/分;234nmでUV検出;注入量2μL;および実行時間10.72分。結果を表9にまとめて示す。
【0172】
【表9】
【0173】
リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、トシル酸、酒石酸およびベンゼンスルホン酸を含む錠剤は、70℃/75%RHで8日間貯蔵した後、許容可能な全不純物を有していた。優れた溶解および安定性実験に基づいて、コハク酸、リンゴ酸および酒石酸を含む製剤をさらなる開発のために選択した。
【0174】
(実施例10)
非沈下溶解試験2
製剤をスクリーニングするために、非沈下in vitro溶解法を開発した。この方法では、37℃の温度で、50rpmで回転させながら、50mMリン酸緩衝液+0.1M NaCl(pH6.5)500mLを含む、USP2(パドル)装置中に錠剤を置いた。試料を定期的に捕集し、10μmフィルターに通してろ過した。367nmのUVにおいてオフラインでAPIの濃度を測定した。実施例1(FB+コハク酸、錠剤)、実施例2(FB+コハク酸、二層錠剤)、実施例4(FB+コハク酸、FBG錠剤)、実施例6(SDD、錠剤)および実施例7(SDD+コハク酸、錠剤)で調製した錠剤について溶解データを作成した。溶解プロファイルを
図3に示す。表10の製剤を有する商用のパルボシクリブの遊離塩基カプセル剤(遊離塩基カプセル剤)についての溶解データも示す:
【0175】
【表10】
【0176】
図3に示すとおり、実施例1、2および4の剤形を非沈下溶解条件にかけると、(a)15分で40%以上のパルボシクリブ;(b)30分で35%以上パルボシクリブ;(c)60分で25%以上のパルボシクリブ;または(d)(a)、(b)および(c)の2つ以上が溶解する。
【0177】
(実施例11)
商用の遊離塩基カプセル剤による薬物暴露レベル
無作為化、単回用量、非盲検、4系列、4期クロスオーバー研究を健康なボランティアで行った。二十八(28)人の対象は、それぞれが4つの異なる条件または治療下でパルボシクリブ125mgの単回用量を受けた(終夜絶食[A]、投薬前に高脂肪食[B]、投薬前に低脂肪食[C]、および投薬前1時間および投薬後2時間に中脂肪食[D])。
【0178】
1期から4期に使用した治療系列を表11に示す。研究期間の間に少なくとも10日のウォッシュアウト期間があった。治療投与後、対象は、144時間のPKサンプリングを受けた。薬物動態パラメーター値を表12に示している。
【0179】
【表11】
【0180】
【表12】
【0181】
パルボシクリブ125mg商用カプセル製剤は、3つの摂食条件下での曝露レベルに比べて絶食条件下で投与した場合、より低いAUCおよびCmaxを示した。したがって、商用カプセル剤を食物と一緒に投与することが推奨された。
【0182】
(実施例12)
パルボシクリブの生物学的利用能に対する制酸剤の効果
本研究の目的は、絶食条件下で与えられたパルボシクリブの単回経口125mgの商用カプセル剤の薬物動態(PK)に対する、プロトンポンプ阻害剤(PPI、特にラベプラゾール)の複数回投与の治療によって達成された胃のpH上昇の潜在的な効果を調べることであった。
【0183】
結果を下記の表13にまとめて示す。パルボシクリブ125mgの商用カプセル製剤は、パルボシクリブ単独の投与に比べてラベプラゾールの存在下で投与した場合、著しくより低いAUCおよびCmaxを示した。
【0184】
【表13】
【0185】
(実施例13)
試験製剤の生物学的利用能に対する制酸剤の効果
絶食条件下でのパルボシクリブ単独の投与に比べて、ラベプラゾールの存在下でのパルボシクリブの6つの実験製剤の125mg錠剤(単回用量)の生物学的利用能に対する制酸剤治療の効果を見積もるために、健康なボランティアのクロスオーバー、非盲検、非無作為化、薬物動態研究を実施した。表14(A)〜(F)は、コホート1〜6、それぞれ、実施例1;実施例6;実施例7;実施例2;実施例4;および125mgパルボシクリブ経口溶液の結果を示す。
【0186】
【表14-1】
【0187】
【表14-2】
【0188】
(実施例14)
加速安定性試験
実施例1の錠剤(乾式造粒+コハク酸)を、以下の条件を用いて加速安定性に配置した。以下に挙げた条件で錠剤をビーカー中に入れた。オーブン制御または飽和塩溶液のいずれかによって湿度制御を達成した。以下の表15に示すとおり、試料を定期的に条件から取り出した。試料(曝露していない対照を含む)を分析まで冷蔵庫に保管した。
【0189】
以下の飽和塩溶液は、指定相対湿度を維持した:酢酸カリウムによって22%RH制御;30°および40℃の条件で臭化ナトリウムによって50%RH制御;ならびに湿度制御オーブンによって75%RH。
【0190】
【表15】
【0191】
分解物は:
【0192】
【化2】
の構造を有するAPIのスクシニル付加物である。
【0193】
100mLメスフラスコに各錠剤を加え、撹拌子および溶解溶媒約100mL(水1440mL:アセトニトリル400mL:1N HCl 160mL;0.1N HCl:アセトニトリル80:20)を加えることによって試料を調製した。フラスコを撹拌プレート上に置き、試料を、使用に適した最高撹拌速度で1時間撹拌した。次いでアリコートを取り出し、3000rpmで5分間、ポリプロピレンチューブ中で遠心分離した。上清を、溶解溶媒で1:5に希釈し、分析のためにHPLCバイアル中に試料を採取した。各錠剤は、API 125mgを含有しており、最終溶液濃度が0.25mg/mLになる。以下のHPLC法を用いて試料を分析した。結果は、上記表15に提示しており、優れた長期安定性を示す。
【0194】
溶解溶媒(希釈剤):
水1440mL:アセトニトリル400mL:1N HCl 160mL///(0.1N HCl:アセトニトリル80:20)
移動相:
移動相A:0.03%トリフルオロ酢酸(水2000mLにトリフルオロ酢酸0.6mL)
移動相B:アセトニトリル中0.03%トリフルオロ酢酸(アセトニトリル2000mLにトリフルオロ酢酸0.6mL)
0.5mL/分
勾配
初期 88%A 12%B
0.22分 88%A 12%B
8.72分 15%A 85%B
8.82分 88%A 12%B
10.72分 合計実行時間
234nm、面積%対パルボシクリブ(主要バンド)
試料の注入2μL(以下で指示されるように調製した)。試料チャンバーを5℃で維持した。
【0195】
試料調製
100mLメスフラスコに各錠剤を加え、撹拌子および溶解溶媒約100mLを加えることによって試料を調製した。フラスコを撹拌プレート上に置き、試料を、使用に適した最高撹拌速度で1時間撹拌した。次いでアリコートを取り出し、3000rpmで5分間、ポリプロピレンチューブ中で遠心分離した。上清を、溶解溶媒で1:5に希釈し、分析のためにHPLCバイアル中に試料を採取した。各錠剤は、パルボシクリブ125mgを含有しており、最終溶液濃度が0.25mg/mLになる。
【0196】
さらに、実施例4の錠剤(流動床造粒+コハク酸)を同様に分析した。結果は、以下の表16に提示しており、分解物濃度が長期安定性に不適格であったことを示す。
【0197】
【表16】
【0198】
(実施例15)
長期貯蔵安定性
実施例1の錠剤を、熱誘導シールを使用してボトル中に乾燥剤キャニスターと一緒に包装した。25℃/60%RHで1年間貯蔵した後、錠剤のスクシニル付加物レベルは、0.05%未満であった。実施例4の錠剤を、熱誘導シールを使用してHDPEボトル中に乾燥剤キャニスターと一緒に包装した。25℃/60%RHで6カ月間貯蔵した後、錠剤のスクシニル付加物レベルは、0.23%であった。
【0199】
(実施例16)
フィルムコーティングされた錠剤製剤
表17は、最適化された製剤A1、A2およびBを説明しており、固形剤形の商品化のために許容可能な製造性能を示した。以下の手順を用いて錠剤を形成した。微結晶性セルロースPH102、コロイド状二酸化ケイ素、顆粒内クロスポビドンCL、およびAPIを一緒にブレンドし、均質化のためにComilに通した。顆粒内ステアリン酸マグネシウムをブレンドした。ローラーコンパクションおよび顆粒ミリングを用いて混合物を乾式造粒した。
【0200】
篩にかけたコハク酸、微結晶性セルロースPH−200、および顆粒外クロスポビドン(CLまたはCL−SFグレード)を顆粒にブレンドした。顆粒外ステアリン酸マグネシウムまたはフマル酸ステアリルナトリウムを、製錠滑沢剤として最終ブレンドに混入した。予備圧縮を含むロータリー式錠剤プレスを使用して錠剤を形成した。製剤A2は、外部滑沢システム(ELS)を使用して、錠剤パンチの先端に直接ごくわずかな量の滑沢剤を適用した。
【0201】
オパドライピンク(03K140024)と精製水を固形分12%w/wで用いて2〜4%の重量増加まで錠剤をフィルムコーティングした。
【0202】
【表17】
【0203】
(実施例17)
滑沢剤レベルの最適化
表17に示すとおり、異なるレベルの顆粒内および顆粒外ステアリン酸マグネシウム滑沢剤を用いて、実施例16の製剤A2で説明したように製剤を調製した。表18で報告したように、各製剤について、硬度(錠剤破断力、USP<1217>)、破砕性(USP<1216>100回転の場合)、拡張破砕性(USP<1216>375回転の場合)、およびパンチスティッキング(punch sticking)(Hutchins、MacDonald、Mullarney、Assessing Tablet−Sticking Propensity、Pharmaceutical Technology、Volume 36、Issue 1、2012)を測定した。縮小した試料サイズをUSP法に使用した。
【0204】
顆粒内および顆粒外滑沢剤レベルのどちらも下げることは、著しく錠剤硬度を増大させ、破砕性を低減させた。錠剤スティッキングは、顆粒内滑沢剤レベルよりも顆粒外滑沢剤レベルにより影響されやすかった。スティッキングは、顆粒外ステアリン酸マグネシウムレベルを上げることによって著しく低減した。異なる顆粒内ステアリン酸マグネシウムレベルでは、ぎざぎざのある(knurled)/滑らかなローラースティッキングに差は認められなかった。表18に示すとおり、顆粒内/顆粒外滑沢剤の比率を1wt%/0wt%〜0.33wt%/0.5wt%に低減すると、製剤A2の錠剤に良好な錠剤強度、破砕性の低減、およびスティッキングの低減がもたらされた。約5wt%フマル酸ステアリルナトリウムまたは2wt%微細グレードステアリン酸塩(CaSt 2249)の滑沢剤レベルは、パンチスティッキングおよび錠剤欠陥を軽減した。
【0205】
【表18】
【0206】
(実施例18)
錠剤硬度および破砕性の最適化
酸の添加、ラクトース一水和物の添加、乾燥結合剤の添加(コリドン SF、アビセル PH105、クルーセル EXF)の順序の変更、および微結晶性セルロースの顆粒内と顆粒外の比の変更を加えて、実施例16の製剤A2で一般に説明したように製剤を調製した。これらの異なる製剤の特性:初期ブレンドのかさ密度(USP<616>)、ローラーコンパクト化リボン引張り強度(Zinchuk AV、Mullarney MP、Hancock BC.Simulation of roller compaction using a laboratory scale compaction simulator.Int J Pharm. 2004 Jan 28;269(2):403〜15.)、パンチスティッキング(Hutchins、MacDonald、Mullarney、Assessing Tablet−Sticking Propensity、Pharmaceutical Technology、Volume 36、Issue 1、2012)、錠剤硬度(錠剤破断力、USP<1217>)、破砕性(USP<1216>375回転の場合)、および崩壊時間(USP<701>)を測定した。縮小した試料サイズをUSP法に使用した。
【0207】
ラクトースを含まない製剤は、より高い錠剤硬度およびより低い破砕性を示した。その上、SF(超微細)グレードのコリドンの添加は、錠剤硬度を増加させながら崩壊時間を減少させるのに役立った。顆粒外への酸の添加は、より短い崩壊時間を得るのに好ましいことが判明した。
【0208】
製剤からのラクトースの除去は、急速な崩壊を維持した破砕性が低減した錠剤をもたらした。乾燥結合剤の包含は、破砕性の低減にさらなる利益をもたらさなかったが、わずかにスティッキングを低減させた。しかしながら、結合剤の包含は、場合によっては崩壊/膨潤に悪影響を与え得る。
【0209】
【表19】
【0210】
(実施例19)
製剤A1、A2およびBのin vitro溶解
最適化された製剤A1、A2およびBのin vitro溶解を、実施例10に記載された非沈下条件(pH6.5、50mMリン酸緩衝液、0.1M NaCl)下で溶解試験2を使用して決定した。これらの製剤の溶解プロファイルを、実施例1〜7に基づいて調製した錠剤と比較した。実施例1の錠剤は、絶食状態のヒトボランティアにおいてプロトンポンプ阻害剤との薬物−薬物相互作用を示さず、最低目標溶解プロファイルに設定した。比較の溶解データを
図4に示す。製剤A1、A2およびBは全て、商用の遊離塩基カプセル剤(実施例10に記載されているように調製)と表20の製剤を有する初期開発で使用したパルボシクリブイセチオン酸塩(ISE)カプセル剤のどちらよりも優れていた。10分後、製剤A1、A2およびBは全て、実施例1〜7の錠剤よりも優れており、したがって固形剤形溶解目標を満たした。
【0211】
【表20】
【0212】
(実施例20)
コハク酸の粒径分布の影響
スクシニル付加物の形成速度に対するコハク酸の粒径分布の影響は、そのままの酸(1mm直径までの広い粒径分布)および酸を3種の篩にかけた分級物(three sieve cuts)について評価した。そのより大きい比表面積がより高頻度で酸と遊離塩基APIの接触を可能にするために、より小さい酸の粒径は、より大きな割合の不純物形成をもたらした。したがって、化学的安定性を改善するために、薬物製品製剤において約100ミクロンよりも大きい粒径の酸が好ましかった。
【0213】
【表21】
【0214】
(実施例21)
物理的安定性分析
製剤の物理的安定性を判定するために定量ラマン分光法を開発した。ラマン法は、Kaiser Optical Systems PhATプローブを使用し、API、APIコハク酸塩複合体および賦形剤から調製した較正標準のセットを使用して定量モデルを構築した。30〜50℃で最高75%RHまで、最長1カ月まで錠剤を貯蔵した後、製剤中のAPIコハク酸塩複合体の量を決定することによって、製剤A1およびBの相対安定性を評価した。
【0215】
製剤Bは、製剤A1に比べてコハク酸塩複合体へのより低い転化率を示した。転化量は時間が経つにつれて増大し、より高い温度および湿度での貯蔵条件によって促進された。
【0216】
製剤A1およびBのための種々の温度および湿度条件下で形成されたAPIコハク酸塩複合体の量を、時間の関数として表22に示し、ここで、「LOD」は、検出限界を意味し、「LOQ」は、定量限界を意味する。
【0217】
【表22】
【0218】
開放条件下でのプロトタイプのコーティングしていない錠剤製剤A1の物理的安定性を評価した。錠剤を高い温度および湿度にさらした。ラマン分光法を使用してストレスをかけた試料におけるコハク酸塩複合体への転化率を観察した。
【0219】
製剤A1およびBの化学純度を、40℃/75%RHで1カ月貯蔵した後に比較した。表23に示すとおり、製剤Bは、製剤A1と比べて、全不純物形成が著しく少ない程度であることを示した。
【0220】
【表23】
【0221】
これらのデータに基づいて、湿度(%RH)は、遊離塩基からコハク酸塩複合体へのAPI転化速度に対して著しい影響があることが決定した。温度の増大も複合体への転化に影響を与えたが、湿度よりも効果が弱かった。
【0222】
金属箔で包装する前に60%RH中であらかじめ平衡化させた錠剤は、急速なコハク酸塩複合体形成を示した。9週間の安定性データは、薬物製品中でのパルボシクリブコハク酸塩複合体の形成を最小限にするためには、錠剤中の水分活性の制御が必要とされることを示した。製剤B(滑沢剤として顆粒外フマル酸ステアリルナトリウムを含有する)は、高湿度(75%RH)の条件下で製剤A1(顆粒外滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを組み込む)と比較してより低いコハク酸塩複合体転化率を示した。