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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-2037(P2017-2037A)
(43)【公開日】2017年1月5日
(54)【発明の名称】タウリン含有組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20161209BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20161209BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20161209BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20161209BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20161209BHJP
【FI】
   A61K8/46
   A61K8/73
   A61K8/34
   A61K8/81
   A61Q19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-113171(P2016-113171)
(22)【出願日】2016年6月7日
(31)【優先権主張番号】特願2015-118839(P2015-118839)
(32)【優先日】2015年6月12日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】白水 健太
(72)【発明者】
【氏名】箱田 優也
(72)【発明者】
【氏名】椿 典子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD202
4C083AD212
4C083AD261
4C083AD271
4C083AD272
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD311
4C083AD312
4C083AD332
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD432
4C083CC02
4C083EE01
4C083EE07
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】
経時的に安定で、保湿性を相乗的に向上させた皮膚用組成物を提供すること。
【解決手段】
(A)タウリン又はその誘導体に、(B)一般式(I)で表されるモノマー単独の重合体、及び/又は一般式(I)で表されるモノマーと一般式(II)で表されるモノマーの共重合体と、(C)セルロース又はその誘導体、シロキクラゲ多糖体、ジェランガム、イノシトール、ソルビトール、又はキシリトールを含有する皮膚用組成物。
本発明により、経時的な色の変化やにおいの変化を生じず、保湿性の高い優れたタウリン含有皮膚用組成物を提供することが可能となった。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)タウリン又はその誘導体と、
(B)一般式(I)で表されるモノマー単独の重合体、及び/又は一般式(I)で表されるモノマーと一般式(II)で表されるモノマーの共重合体と、
【化1】
[式中、n1は2〜4の整数、Rは水素原子又はメチル基、Rは、−(RO)n2−R−で表される基(Rは炭素数1〜4のアルキレン基、n2は0〜5の整数を示す)、及びR〜Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
【化2】
[式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。]
(C)セルロース又はその誘導体、シロキクラゲ多糖体、ジェランガム、イノシトール、ソルビトール、及びキシリトールからなる群から選ばれる少なくとも1種の糖類、
とを含有することを特徴とする皮膚用組成物。
【請求項2】
(B)成分が、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、又は2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体である請求項1に記載の皮膚用組成物。
【請求項3】
(C)セルロース又はその誘導体が、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースCa、カルボキシメチルセルロースNa、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸Naからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の皮膚用組成物。
【請求項4】
保湿用である、請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタウリン又はその誘導体を含有する皮膚用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タウリン(2−アミノエタンスルホン酸)は、分子量125.15の単純な化学構造をもつ含硫アミノ酸で、タンパク質を構成するアミノ酸とは異なり、ビタミン類やホルモンのような作用、さらには脳神経系、循環系、肝胆系をはじめとした様々な薬理作用を示すことが知られているが、近年皮膚の保湿性にとって重要な役割を担っていることが分かってきた。具体的には、ヒアルロン酸の産生促進(特許文献1)やセラミド発現促進(非特許文献1)が報告されている。タウリンの保湿効果は、角層内部での水分保持にとどまらず、表皮の浸透圧変動に伴う水分蒸散量を抑制することにより乾燥から肌を保護していることも報告されている(非特許文献2)。
また、タウリンと他の特定の化合物とを組合わせて配合することで、皮膚への保湿作用が向上することも知られている。例えば、ムコ多糖や生薬と組合わせることで皮膚の保湿性が向上すること(特許文献2、特許文献3)、イノシトール、ベタイン、及びトレハロースと組合せることで熱ショックタンパク質コード遺伝子の発現が促進し、皮膚の保湿を回復、維持、増強すること(特許文献4)が報告されている。
しかし、タウリンのようなアミノ基を有する化合物は反応性が高く、例えば還元糖との間にメイラード反応が起きることで経時的な色の変化やにおいが生成する(非特許文献3)ため、製剤中に配合される成分によって、製剤の経時的安定性に課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−250934
【特許文献2】特開平5−310549
【特許文献3】特開平5−310548
【特許文献4】特開2010−150258
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】B. Anderheggen, et al., J. Cosmet. Sci., 57, 1, 1-10, 2006
【非特許文献2】H. Miyamoto, et al., Fragr. J., 38, 3, 15-21, 2010
【非特許文献3】奥村烝司ら, 澱粉科学, 38, 1, 81-92, 1991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は保湿性を相乗的に向上させたタウリン含有皮膚用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、タウリン又はその誘導体に、一般式(I)で表されるモノマー単独の重合体、及び/又は一般式(I)で表されるモノマーと一般式(II)で表されるモノマーの共重合体と、特定の糖類を組合わせると、保湿性が相乗的に向上され、経時的な色の変化やにおいの変化を生じないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)(A)タウリン又はその誘導体と、
(B)一般式(I)で表されるモノマー単独の重合体、及び/又は一般式(I)で表されるモノマーと一般式(II)で表されるモノマーの共重合体と、
【0008】
【化1】
【0009】
[式中、n1は2〜4の整数、Rは水素原子又はメチル基、Rは、−(RO)n2−R−で表される基(Rは炭素数1〜4のアルキレン基、n2は0〜5の整数を示す)、及びR〜Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
【0010】
【化2】
【0011】
[式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。]
(C)セルロース又はその誘導体、シロキクラゲ多糖体、ジェランガム、イノシトール、ソルビトール、及びキシリトールからなる群から選ばれる少なくとも1種の糖類、
とを含有することを特徴とする皮膚用組成物、
(2)(B)成分が、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、又は2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体である(1)に記載の皮膚用組成物、
(3)(C)セルロース又はその誘導体が、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースCa、カルボキシメチルセルロースNa、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸Naからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載の皮膚用組成物、
(4)保湿用である、(1)〜(3)のいずれかに記載の皮膚用組成物、
である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、保湿性が相乗的に向上されたタウリン含有皮膚用組成物を提供することが可能となった。また、本発明により、経時的な色の変化やにおいの変化を生じない、優れたタウリン含有皮膚用組成物を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1〜6及び比較例2〜5について、試験例1に基づき算出した保水率を示した図である。
図2】比較例2、実施例7〜9、比較例7〜10について、試験例1に基づき算出した保水率を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、(A)タウリン又はその誘導体、(B)一般式(I)で表されるモノマー単独の重合体、及び/又は一般式(I)で表されるモノマーと一般式(II)で表されるモノマーの共重合体、及び(C)特定の糖類を含有する皮膚用組成物である。
【0015】
本発明に使用するタウリンは、従来から医薬品、医薬部外品、化粧品に使用されているもので特に限定されるものではなく、合成品、天然物からの抽出物のいずれをも含む。また、本発明のタウリンの誘導体には、ヒポタウリンやチオタウリン、ココイルタウリン、ココイルメチルタウリン、ステアロイルメチルタウリン、タウリンジチオオクタナミド、パルミトイルメチルタウリン、ミリストイルメチルタウリン、メチルタウリン、ラウリン酸タウリン、ラウロイルタウリン、ラウロイルメチルタウリン、オレオイルメチルタウリン、カプロイルメチルタウリン並びにこれらの塩類も包含される。本発明のタウリン又はその誘導体のうち、好ましいのはタウリンである。タウリン又はその誘導体の配合量は、本発明の組成物中0.01質量%〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜5質量%である。0.01質量%以下では効果が期待できない場合があり、10質量%以上では溶解度の観点から製剤化が困難となる場合があるためである。
【0016】
本発明に使用する(B)成分である一般式(I)で表されるモノマー単独の重合体、及び/又は一般式(I)で表されるモノマーと一般式(II)で表されるモノマーの共重合体としては、例えば2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体などを挙げることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を用いても良い。本発明に使用するB)成分の配合量は、本発明の組成物中0.0005質量%〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01質量%〜5質量%である。0.0005質量%以下では効果が期待できない場合があり、10質量%以上では溶解度の観点から製剤化が困難となる場合があるためである。
【0017】
一般的に、糖類には、単糖、数個の単糖がグリコシド結合により1分子となったオリゴ糖、多数の単糖がグリコシド結合により1分子となった多糖類、糖のカルボニル基が還元されて水酸基になることにより得られる糖アルコール等がある。本発明で使用する特定の糖類とは、セルロース又はその誘導体、シロキクラゲ多糖体、ジェランガム、イノシトール、キシリトール、ソルビトールを意味する。これらは単独で用いても良く、2種以上を用いても良い。
【0018】
本発明のセルロース又はその誘導体の例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースCa、カルボキシメチルセルロースNa、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸Na等が挙げられる。本発明のシロキクラゲ多糖体は、シロキクラゲ科シロキクラゲ(Tremella fuciformis Berk.)の子実体から、水あるいは水と水溶性溶媒の混合物で抽出したものを使用することができる。市販品であれば、例えば日本精化株式会社から販売されているTremoist−TP(商品名)やTremoist−SL(商品名)を用いることができる。
【0019】
本発明の特定の糖類の配合量は、本発明の組成物中0.001質量%〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.01質量%〜1質量%である。0.001質量%以下では効果が期待できない場合があり、5質量%以上では溶解度の観点から製剤化が困難となる場合があるためである。特定の糖類のうち、セルロース又はその誘導体、シロキクラゲ多糖体、又はジェランガムを配合する場合、製剤中0.1質量%以上が特に好ましく、イノシトール、ソルビトール、又はキシリトールを配合する場合、製剤中1質量%以上が特に好ましい。
【0020】
本発明の組成物のpHは特に限定されないが、pH4〜11が好ましく、pH5〜10がより好ましい。pH4未満の強酸性あるいはpH11より高い強アルカリ性においては、皮膚への安全性の観点から製剤化が困難となる場合がある。
【0021】
本発明の組成物の剤型は特に限定されないが、例えば、液剤、ローション剤、乳剤、クリーム剤、水性ゲル剤、軟膏剤、エアゾール剤が挙げられる。これら製剤は、常法により調製可能である。また、本願発明の組成物は、パック剤、日焼けローション、日焼け止めローション、日焼けクリーム、日焼け止めクリーム等としても使用可能である。
【0022】
液剤、ローション剤は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を水、エタノール、多価アルコール又はこれらの混液に溶解・分散させて調製することができる。また、このような液剤と適当な液化ガス(液化石油ガス、ジメチルエーテルなど)をアルミ製耐圧容器に入れてエアゾール剤を調製することもできる。また、このような液剤に適当なゲル化剤を配合して水性ゲル剤を調製することも可能である。
【0023】
クリーム剤、乳剤は、水に(A)成分、(B)成分、(C)成分、界面活性剤及び水溶性の成分を溶かし、加熱して水相とし、別に油性成分及び界面活性剤などを加熱して油相とする。油相と水相を合わせ、乳化・冷却し、製剤を得ることができる。HLBの高い界面活性剤を用いればO/Wクリーム剤、乳剤が調製できるし、HLBの低い界面活性剤を用いればW/Oクリーム剤、乳剤が調製できる。
【0024】
軟膏剤は、(A)成分、(B)成分、(C)成分を加熱したワセリン、ミツロウ及びステアリルアルコールなどの油性成分に加え、混合・冷却することで油脂性軟膏を調製することができる。また、(A)成分、(B)成分、(C)成分を加熱したマクロゴール4000に加え、混合・冷却し水溶性軟膏を得ることができる。
【0025】
本発明の組成物には、上記の他にタール系色素、酸化鉄等の着色顔料、防腐剤、シリコン油、植物油、低級アルコール類、高級脂肪酸、テルペン類、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、天然系界面活性剤、顔料、抗酸化剤、無機塩類、有機酸及びその塩、有機アミン類及びその塩、キレート剤、増粘剤、中和剤、紫外線吸収剤、多価アルコール、各種アミノ酸、ビタミン誘導体等を適宜配合することができる。
【0026】
本発明の組成物を収納する保存容器は、一般的に医薬品、医薬部外品、化粧品に使用されているものであれば特に限定されるものではないが、PET、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルミ、アルミラミネート、ポリ塩化ビニル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレンなどの材質が特に好ましい。
【実施例】
【0027】
以下に、実施例、比較例及び試験例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、数値は全て質量%を意味するものとする。
【0028】
表1、表2に示す処方に従い、各成分を混合し、本発明の組成物を調製した。
なお、タウリンのようなアミノ基を有する化合物は、還元糖との間にメイラード反応が起きることで経時的に色やにおいが生成することが知られており、水溶液中に水酸化物イオンが存在すると反応が加速する。組成物の色の変化やにおいが生じるか短期間で確認するため、実施例2〜9、比較例1〜11には水溶液中で乖離して水酸化物イオンを生成する水酸化ナトリウムを加えた。各組成物のpHはpHメーター(HM−30R/東亜ディーケーケー(株))を使用し、条件の選定は、本機の取扱説明書に準拠し、25℃におけるpHを測定した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
(試験例)
試験例1 保水性試験
実施例1〜9及び比較例1〜10の組成物20mgを直径8mmのペーパーディスク(アドバンテック製)に滴下し、滴下直後及び25℃15分間静置後の重量を測定した。滴下直後の重量を100%として15分後の組成物の残存率を求め、比較例1の残存率を100%としたときの各組成物の残存率をペーパーディスク上の保水率として算出した。試験例1の結果を図1図2に示す。
【0032】
試験例2 外観・性状確認試験
実施例1〜9及び比較例4〜11の組成物の調製直後、及び65℃にて1週間保管後の外観・性状(色・におい)を試験者3名にて確認した。試験例2の結果を表3、表4に示した。なお表中の○はにおいが認められなかったこと、△はにおいがわずかに認められたこと、×はにおいが認められたことを示す。また、色の変化は目視により確認した。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
図1図2に示したように、タウリンに2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、及びセルロース又はその誘導体、シロキクラゲ多糖体、ジェランガム、イノシトール、キシリトール、又はソルビトールを両方とも配合した組成物(実施例1〜9)は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、イノシトール、キシリトール、ソルビトールの片方を配合した組成物(比較例2〜3、比較例7〜9)に比べて顕著に高い保水率を示すことがわかった。また、保湿素材として知られるヒアルロン酸ナトリウム又は加水分解コラーゲンを配合した比較例4〜5と比較して、保水率が顕著に高かった。また、トレハロースを配合した比較例10と比較して、保水率が顕著に高かった。
本結果から、これらの組成物を皮膚に使用した場合、組成物が長時間水分を保持することで、皮膚の潤いを長時間保つことができるため、皮膚の保湿効果が期待できると考えられる。
【0036】
また、表3、表4に示したように、実施例1〜9の組成物は、色の変化は生じず、においも感じられなかったが、一般的に保湿素材として知られているヒアルロン酸やキサンタンガム、加水分解コラーゲン、N−アセチルグルコサミンを配合した組成物(比較例4〜6、比較例11)は、65℃1週間後に着色あるいはにおいを生じており、医薬品や化粧品への応用を考えた際に使用上問題があることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明により、経時的に安定で、保湿性を相乗的に向上させた皮膚用組成物を提供することが可能となった。よって、より商品価値の高いタウリン又はその誘導体を含有した製剤の市販を通じて医薬品、化粧品産業等の発展が期待される。
図1
図2