【解決手段】第1端子の第1接触部は、挿入凸部の挿入方向に向けて直線的に延出する直線部と、直線部の終端部とを含み、第2端子の第1接触部は、挿入凸部の挿入方向に向けて直線的に延出する直線部と、直線部の終端部とを含み、挿入凹部に挿入凸部が挿入され、第1コネクタと第2コネクタとが完全嵌合状態になると、第2端子の第1接触部の直線部の終端部は、第1端子の第1接触部の直線部の終端部以上に、挿入凸部の挿入方向手前側に位置する。
前記第1端子の第1接触部は略J字状の形状を有し、前記第1接触部の直線部の終端部は、自由端であり、前記完全嵌合状態において、前記第2端子の第1接触部に接触していない請求項1に記載のコネクタ。
前記第1端子の第1接触部は、前記直線部における終端部と反対側の端部に接続された湾曲部を含み、前記第1ハウジングは、前記湾曲部に当接又は近接する庇部を含む請求項1又は2に記載のコネクタ。
前記第1端子は、前記挿入凹部の底部に配設され、前記第1接触部と第2接触部とを接続する第1接続部を含み、前記第2端子は、前記挿入凸部の先端部に配設され、前記第1接触部と第2接触部とを接続する第2接続部を含み、前記完全嵌合状態において、前記第1接続部と第2接続部とは離間している請求項1〜3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は本実施の形態における第1コネクタの斜視図であり嵌合面側から観た斜視図である。
【0019】
図において、1は本実施の形態におけるコネクタであって、一対の基板対基板コネクタの一方としての第1コネクタである。該第1コネクタ1は、実装部材としての図示されない基板である第1基板の表面に実装される表面実装型のコネクタであって、後述される相手方コネクタとしての第2コネクタ101と互いに嵌合される。また、該第2コネクタ101は一対の基板対基板コネクタの他方であり、実装部材としての図示されない基板である第2基板の表面に実装される表面実装型のコネクタである。
【0020】
なお、本実施の形態における第1コネクタ1及び第2コネクタ101は、好適には、基板としての第1基板及び第2基板を電気的に接続するために使用するものであるが、他の部材を電気的に接続するためにも使用することができる。前記第1基板及び第2基板は、例えば、電子機器等に使用されるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)、フレキシブル回路基板(FPC:Flexible Printed Circuit)等であるが、いかなる種類の基板であってもよい。
【0021】
また、本実施の形態において、第1コネクタ1及び第2コネクタ101の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記第1コネクタ1及び第2コネクタ101の各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0022】
そして、前記第1コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成されたコネクタ本体としての第1ハウジング11を有する。該第1ハウジング11は、図に示されるように、概略直方体である概略長方形の厚板状の形状を備え、第2コネクタ101が嵌入される側、すなわち、嵌合面側(
図1における上側)には、周囲が囲まれた概略長方形の凹部12が形成されている。前記第1コネクタ1は、例えば、縦約7.0〔mm〕、横約2.5〔mm〕及び厚さ約0.6〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。そして、前記凹部12内には島部としての第1凸部13が第1ハウジング11と一体的に形成され、また、前記第1凸部13の両側には該第1凸部13と平行に延在する側壁部14が第1ハウジング11と一体的に形成されている。
【0023】
この場合、前記第1凸部13及び側壁部14は、凹部12の底面から上方に向けて突出し、第1ハウジング11の長手方向に延在する。これにより、前記第1凸部13の両側には、凹部12の一部として、第1ハウジング11の長手方向に延在する細長い凹部である挿入凹部としての凹溝部12aが形成される。なお、図に示される例において、前記第1凸部13は単数であるが、複数であってもよく、その数はいくつであってもよい。また、前記第1凸部13は、例えば、幅約0.4〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。
【0024】
ここで、前記第1凸部13の両側の側面には凹溝状の第1端子収容内側キャビティ15aが形成されている。また、前記側壁部14の内側の側面には凹溝状の第1端子収容外側キャビティ15bが形成されている。そして、前記第1端子収容内側キャビティ15aと第1端子収容外側キャビティ15bとは、凹溝部12aの底面において連結され互いに一体化しているので、第1端子収容内側キャビティ15aと第1端子収容外側キャビティ15bとを統合的に説明する場合には、第1端子収容キャビティ15として説明する。
【0025】
該第1端子収容キャビティ15は、第1凸部13の両側に、例えば、約0.2〔mm〕のピッチで10個ずつ形成されている。そして、第1端子収容キャビティ15の各々に収容される第1端子61も、第1凸部13の両側に、例えば、約0.2〔mm〕のピッチで10個ずつ配設されている。なお、前記第1端子収容キャビティ15のピッチ及び数は適宜変更することができる。
【0026】
前記第1端子61は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、後述される被保持部63と、該被保持部63の下端に接続されたテール部62と、前記被保持部63の上端に接続された上側接続部67と、該上側接続部67の内方端に接続され、凹溝部12aにおける側壁部14側の側面に配設された第2接触部66と、該第2接触部66の下端に接続され、凹溝部12aの底部に配設された後述される第1接続部としての下側接続部64と、該下側接続部64の内方端に接続された後述される内側接続部68と、該内側接続部68の上端に接続され、凹溝部12aにおける第1凸部13側の側面に配設された第1接触部65とを備える。
【0027】
前記被保持部63は、上下方向、すなわち、第1ハウジング11の厚さ方向に延在し、前記第1端子収容外側キャビティ15bに嵌入されて保持される部分である。また、前記テール部62は、被保持部63に対して曲げて接続され、左右方向、すなわち、第1ハウジング11の幅方向に外方を向いて延出し、第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。なお、前記導電トレースは、典型的には、信号ラインである。さらに、前記上側接続部67は、被保持部63に対して曲げて接続され、第1ハウジング11の幅方向に内方を向いて延出する。
【0028】
前記第2接触部66は、上側接続部67に対して曲げて接続され、第1ハウジング11の厚さ方向に延在する部分である。また、前記下側接続部64は、前記第2接触部66の下端に接続され、第1ハウジング11の幅方向に内方を向いて延出する。さらに、前記内側接続部68は、下側接続部64に対して曲げて接続され、第1ハウジング11の厚さ方向に延在する部分である。そして、前記内側接続部68の自由端、すなわち、前記内方の上端近傍には、J字状に曲げられ、かつ、第1ハウジング11の幅方向に外方を向いて膨出する湾曲した第1接触部65が形成されている。
【0029】
前記第1端子61は、実装面側(
図1における下側)から、第1端子収容キャビティ15内に嵌入され、被保持部63が側壁部14の内側の側面に形成された第1端子収容外側キャビティ15bの側壁によって両側から挟持されることにより、第1ハウジング11に固定される。この状態、すなわち、第1端子61が第1ハウジング11に装填された状態において、前記第1接触部65と第2接触部66とは、凹溝部12aの左右両側に位置し、互いに向合っている。
【0030】
なお、第1端子61は、金属板に加工を施すことによって一体的に形成された部材であるので、ある程度の弾性を備える。そして、その形状から明らかなように、互いに向合う第1接触部65と第2接触部66との間隔は、弾性的に変化可能である。すなわち、第1接触部65と第2接触部66との間に第2コネクタ101が備える後述される第2端子161が挿入されると、それにより、第1接触部65と第2接触部66との間隔は弾性的に伸長する。
【0031】
また、前記第1ハウジング11の長手方向両端には嵌合ガイド部としての第1突出端部21が各々配設されている。各第1突出端部21には、前記凹部12の一部として嵌合凹部22が形成されている。該嵌合凹部22は、略長方形の凹部であり、各凹溝部12aの長手方向両端に接続されている。そして、前記嵌合凹部22内には、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合された状態において、該第2コネクタ101が備える後述される第2突出端部122が挿入される。
【0032】
さらに、前記第1突出端部21は、側壁部14の長手方向両端から第1ハウジング11の長手方向に延出する側壁延長部21cと、第1ハウジング11の幅方向に延在し、両端が側壁延長部21cに接続された端壁部21bとを備える。各第1突出端部21において、端壁部21bとその両端に接続された側壁延長部21cとは、連続したコ字状の側壁を形成し、略長方形の嵌合凹部22の三方を画定する。
【0033】
そして、前記第1突出端部21には、補強金具としての第1補強金具51が取付けられる。該第1補強金具51は、第1突出端部21に形成された第1金具保持凹部26内に収容されて保持される。本実施の形態において、第1補強金具51は、金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、第1ハウジング11の幅方向に延在する細長い帯状の本体部としての第1本体部52と、該第1本体部52の左右両端に接続された細長い帯状の接続腕部53と、該接続腕部53の上端に接続された側方ガイド部54と、同じく接続腕部53の上端に接続された接触腕部55と、前記第1本体部52の下端に接続された基板接続部56とを備える。
【0034】
前記接続腕部53は、上下方向及び横方向に弾性的に変位可能な部分である。また、一対の基板接続部56は、その基端が前記第1本体部52と同一面上に延在するとともに、その自由端が第1ハウジング11の長手方向外側を向くように湾曲した帯状の板部材である。そして、前記基板接続部56の自由端の下端は、第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。なお、前記導電トレースは、典型的には、電力ラインである。
【0035】
また、前記側方ガイド部54及び接触腕部55は、
図1に示すような第1補強金具51が第1突出端部21に取付けられた状態において、側壁延長部21cの上面及び内壁面を覆うように形成された部材である。そして、前記側方ガイド部54及び接触腕部55は、基端が接続腕部53の上端に接続され、先端が下方を向いて延出する。
【0036】
図に示される例において、第1本体部52の頂点及び側方ガイド部54の頂点は、側壁部14の上面14a及び第1凸部13の上面13aよりも高い位置にあるので、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合する際に、第2コネクタ101の第2突出端部122が最初に側壁部14及び第1凸部13に当接してしまうことはない。したがって、側壁部14及び第1凸部13が損傷を受けたり、破損したりしてしまうことがない。
【0037】
次に、第2コネクタ101の構成について説明する。
【0038】
図2は本実施の形態における第2コネクタの斜視図であり嵌合面側から観た斜視図である。
【0039】
第2コネクタ101は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された相手方コネクタ本体としての第2ハウジング111を有する。該第2ハウジング111は、図に示されるように、概略直方体である概略長方形の厚板状の形状を備え、例えば、縦約5.0〔mm〕、横約1.5〔mm〕及び厚さ約0.5〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。そして、第2ハウジング111の第1コネクタ1に嵌入される側、すなわち、嵌合面側(図における上側)には、第2ハウジング111の長手方向に延在する細長い凹溝部113と、該凹溝部113の外側を画定するとともに、第2ハウジング111の長手方向に延在する細長い凸部である挿入凸部としての第2凸部112とが一体的に形成されている。該第2凸部112は、凹溝部113の両側に沿って、かつ、第2ハウジング111の両側に沿って形成されている。また、各第2凸部112には、相手方端子としての第2端子161が配設されている。
【0040】
図に示されるように、凹溝部113は、第2基板に実装される側、すなわち、実装面(図における下面)側が底部によって閉止されている。なお、図に示される例において、前記第2凸部112は2本であるが、単数であってもよく、その数はいくつであってもよい。また、前記凹溝部113は、例えば、幅約0.7〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。
【0041】
前記第2端子161は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、後述される本体部163と、該本体部163の外方端に接続されたテール部162と、前記本体部163の内方端に接続され、第2凸部112の内側面に配設された第1接触部165と、該第1接触部165の上端に接続され、第2凸部112の先端部に配設された第2接続部としての接続部164と、該接続部164の外方端に接続され、第2凸部112の外側面に配設された第2接触部166とを備える。
【0042】
そして、前記本体部163は、第2ハウジング111に周囲の少なくとも一部を囲まれて保持される部分である。また、前記テール部162は、本体部163の左右方向、すなわち、第2ハウジング111の幅方向の外側端に接続され、第2ハウジング111の外方を向いて延出し、第2基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。なお、前記導電トレースは、典型的には、信号ラインである。
【0043】
さらに、前記第1接触部165は、本体部163に対して曲げて接続され、上下方向、すなわち、第2ハウジング111の厚さ方向に延在する平板状の部分である。そして、前記接続部164は、第1接触部165に対して曲げて接続され、第2ハウジング111の幅方向に外方を向いて延出する。また、前記第2接触部166は、接続部164の外方端に、下方に向けて曲げて接続され、下方に延出する部分である。
【0044】
前記第2端子161はオーバーモールド成形乃至インサート成形によって第2ハウジング111と一体化される。すなわち、第2ハウジング111は、第2端子161をあらかじめ内部にセットした金型のキャビティ内に樹脂を充填することによって成形される。これにより、第2端子161は、少なくとも一部が第2ハウジング111内に埋没し、第1接触部165、接続部164及び第2接触部166の表面が第2凸部112の各側面及び嵌合面に露出した状態で、第2ハウジング111に一体的に取付けられる。この場合、前記第2端子161は、例えば、約0.2〔mm〕のピッチで左右に10個ずつ配設されている。なお、第2端子161のピッチ及び数は適宜変更することができる。
【0045】
そして、前記第2ハウジング111の長手方向両端には相手方嵌合ガイド部としての第2突出端部122が各々配設されている。該第2突出端部122は、第2ハウジング111の幅方向に延在し、両端が各第2凸部112の長手方向両端に接続された肉厚の部材であり、その上面は略長方形の形状を備える。そして、前記第2突出端部122は、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合された状態において、前記第1コネクタ1が備える第1突出端部21の嵌合凹部22に挿入される。
【0046】
また、前記第2突出端部122には、相手方補強金具としての第2補強金具151が取付けられる。該第2補強金具151は、第2突出端部122における第2ハウジング111の外面に沿って配設され、その保持用突出片158の先端が第2凸部112の長手方向両端近傍の内側の側面内に収容されて保持される。
【0047】
本実施の形態における第2補強金具151は、金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、第2ハウジング111の幅方向に延在する第2本体部152と、該第2本体部152の上端に接続された中央覆部157と、該中央覆部157の左右両端に接続された側方覆部154と、該側方覆部154の一側縁に接続された保持用突出片158と、前記側方覆部154の他側縁に接続された接触側板部155と、該接触側板部155の下端に接続された基板接続部156とを備える。
【0048】
前記中央覆部157は、図に示されるような第2補強金具151が第2突出端部122に取付けられた状態において、該第2突出端部122の上面の大半を覆う程度の形状及び大きさに形成された部材である。
【0049】
また、前記側方覆部154は、中央覆部157の左右両端から第2ハウジング111の長手方向に延出し、第2凸部112の長手方向両端近傍の上面を覆う部材である。そして、前記接触側板部155は、第2凸部112の長手方向両端近傍の外側の側面を覆う部材である。なお、側方覆部154とその両側縁に接続された保持用突出片158及び接触側板部155とは、連続したU字状の形状を備え、第2凸部112の長手方向両端近傍において、前記第2凸部112の内側の側面、第2凸部112の上面及び第2凸部112の外側の側面に連続して跨るようにして形成されている。
【0050】
さらに、前記基板接続部156は、第2ハウジング111の外方を向いて延出し、第2基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。前記導電トレースは、典型的には、電力ラインである。
【0051】
次に、前記構成の第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合させる動作について説明する。
【0052】
図3は本実施の形態におけるコネクタの嵌合工程での第1コネクタと第2コネクタとの位置関係を示す斜視図、
図4は本実施の形態におけるコネクタの嵌合工程が完了した状態を示す図である。
【0053】
ここで、第1コネクタ1は、第1端子61のテール部62が図示されない第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続されるとともに、第1補強金具51の基板接続部56が第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続されることにより、第1基板に表面実装されているものとする。なお、前記第1端子61のテール部62が接続される接続パッドに連結された導電トレースは、信号ラインであり、前記第1補強金具51の基板接続部56が接続される接続パッドに連結された導電トレースは電力ラインであるものとする。
【0054】
同様に、第2コネクタ101は、第2端子161のテール部162が図示されない第2基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続されるとともに、第2補強金具151の基板接続部156が第2基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続されることにより、第2基板に表面実装されているものとする。なお、前記第2端子161のテール部162が接続される接続パッドに連結された導電トレースは、信号ラインであり、前記第2補強金具151の基板接続部156が接続される接続パッドに連結された導電トレースは、電力ラインであるものとする。
【0055】
まず、オペレータは、
図3に示されるように、第1コネクタ1の第1ハウジング11の嵌合面と第2コネクタ101の第2ハウジング111の嵌合面とを対向させた状態とし、第2コネクタ101の第2凸部112の位置が第1コネクタ1の対応する凹溝部12aの位置と合致し、第2コネクタ101の第2突出端部122の位置が第1コネクタ1の対応する嵌合凹部22の位置と合致すると、第1コネクタ1と第2コネクタ101との位置合せが完了する。
【0056】
この状態で、第1コネクタ1及び/又は第2コネクタ101を相手側に接近する方向、すなわち、嵌合方向に移動させると、第2コネクタ101の第2凸部112及び第2突出端部122が第1コネクタ1の凹溝部12a及び嵌合凹部22内に挿入される。これにより、
図4に示されるように、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了すると、第1端子61と第2端子161とが導通した状態となる。
【0057】
次に、前記第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了した状態における第1端子61と第2端子161との関係について詳細に説明する。
【0058】
図5は本実施の形態におけるコネクタの嵌合が完了した状態を示す断面図であって
図4におけるA−A矢視断面を示す図である。
【0059】
第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了した状態、すなわち、完全嵌合状態(嵌合完了状態)においては、各第1端子61とそれに対応する第2端子161とは、
図5に示されるような関係となる。具体的には、各第1端子61の第1接触部65と第2接触部66との間に第2コネクタ101の第2端子161が挿入され、第1端子61の第1接触部65と第2端子161の第1接触部165とが接触し、第1端子61の第2接触部66と第2端子161の第2接触部166とが接触する。その結果、第1端子61のテール部62が接続された第1基板上の接続パッドに連結された導電トレースと、第2端子161のテール部162が接続された第2基板上の接続パッドに連結された導電トレースとが導通する。
【0060】
前述のように、第2端子161においては、本体部163やその他の部分の少なくとも一部が第2ハウジング111に埋没して一体的に取付けられているので、第1接触部165と第2接触部166との間隔は実質的に不変である。一方、第1端子61においては、被保持部63が第1ハウジング11に保持されて固定されているものの、その他の部分は、第1ハウジング11に固定されていない。そして、第1接触部65と第2接触部66とは、弾性変形可能な下側接続部64及び内側接続部68によって相互に連結されているので、その間隔は弾性的に伸長する。したがって、第2端子161は、第1接触部165及び第2接触部166が、第1端子61の第1接触部65及び第2接触部66によって両側から弾性的に挟持された状態となるので、第1端子61の第1接触部65と第2端子161の第1接触部165との接触、及び、第1端子61の第2接触部66と第2端子161の第2接触部166との接触は、確実に維持される。
【0061】
図に示される例において、前記第1端子61の第1接触部65は、側面視において、略J字状の全体形状を備える部分であり、一端が内側接続部68の上端に接続された略U字状の湾曲部65aと、該湾曲部65aの他端に接続され、下方向(第2凸部112の挿入方向)に向けて直線的に延出する直線部65bと、該直線部65bの終端部である下端部65cとを含んでいる。前記湾曲部65aは、180度以上に湾曲している。また、前記直線部65bの少なくとも第2端子161の第1接触部165に対向する面は、側面視において、直線である。該直線は、第2コネクタ101との嵌合方向(第2凸部112の挿入方向)、すなわち、第1ハウジング11の厚さ方向に対して傾斜している。具体的には、下端部65cに近付くほど、第1ハウジング11の幅方向中心に近付くように、傾斜している。
【0062】
また、第1凸部13は、略T字状の断面形状を備え、第1ハウジング11の幅方向中心から幅方向外側に向かって延出する左右一対の庇部13bを備える。該庇部13bは、第1凸部13の両側の側面に形成された第1端子収容内側キャビティ15aの上側(嵌合面側)の少なくとも一部を覆う部材である。そして、庇部13bの下面は、第1端子収容内側キャビティ15a内に収容された第1接触部65の湾曲部65aの上面に当接又は近接した状態となっている。したがって、第1接触部65の上方への変位は庇部13bによって阻止され、第1接触部65が第1端子収容内側キャビティ15a内から上方に抜出ることが防止される。なお、必要がなければ、前記庇部13bを省略することもできる。
【0063】
図に示される例において、前記第2端子161の第1接触部165は、一端が本体部163に接続された湾曲部165aと、該湾曲部165aの他端に接続され、下方に向けて直線的に延出する直線部165bと、該直線部165bの終端部である下端部165cとを含んでいる。そして、前記直線部165bは、その少なくとも第1端子61の第1接触部65に対向する面が、側面視において、直線である。該直線は、第1コネクタ1との嵌合方向、すなわち、第2ハウジング111の厚さ方向に平行である。したがって、第1コネクタ1と第2コネクタ101との完全嵌合状態において、第1端子61の第1接触部65の直線部65bは、下端部65cに近付くほど、第2端子161の第1接触部165から離れるように、該第1接触部165に対して傾斜している。
【0064】
また、微細に視ると、第2端子161の第1接触部165と接続部164との接続部分の外面には遷移面部168が存在し、該遷移面部168は斜面乃至湾曲面となっている。すなわち、側面視において、直線である第1接触部165の直線部165bと、該直線部165bに対して直交する直線である接続部164とは、直角の頂点において接続されるのではなく、傾斜した直線乃至曲線である遷移面部168を介して接続されている。したがって、直線部165bの終端部である下端部165cは、接続部164との境界でなく、遷移面部168との境界である。
【0065】
本実施の形態において、完全嵌合状態では、第2端子161の第1接触部165の下端部165cの位置は、第1端子61の第1接触部65の下端部65cの位置より下(第2凸部112の挿入方向前方)でなく、該下端部65cの位置以上に上方にある。すなわち、第2端子161の第1接触部165の下端部165cは、第1端子61の第1接触部65の直線部65bの下端部65c以上に、第2凸部112の挿入方向手前側に位置する。また、完全嵌合状態では、第2端子161の接続部164の下面と第1端子61の下側接続部64の上面との間には間隙が存在する。すなわち、第2端子161の接続部164と第1端子61の下側接続部64とは、接触しておらず、離間している。
【0066】
次に、前記構成の第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合を解除させる動作について説明する。ここでは、嵌合を解除する際に、嵌合面同士が斜めになるように、第2コネクタ101を第1コネクタ1に対して幅方向、すなわち、左右に傾斜させて互いを引離す操作、いわゆる斜め抜去、が行われる場合について説明する。
【0067】
図6は本実施の形態におけるコネクタの斜め抜去が行われるときの状態を示す図であって
図5における左側の第1端子及び第2端子を示す図である。なお、図において、(a)は完全嵌合状態の第1端子及び第2端子を示す図、(b)は斜め抜去が開始されたときの第1端子及び第2端子を示す図である。
【0068】
第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合を解除させる場合、各々の嵌合面が互いに平行な状態を維持したままで、第1コネクタ1及び/又は第2コネクタ101を相手側から引離す、すなわち、抜去方向に移動させるのが本来の動作である。しかしながら、第1コネクタ1及び第2コネクタ101のサイズがオペレータの手指等に比較して極めて小さいこと、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が実装されている第1基板及び第2基板の表面積が第1コネクタ1及び第2コネクタ101の実装面の面積よりも極めて広いので第1コネクタ1及び第2コネクタ101の目視が困難であること等の理由により、各々の嵌合面が互いに平行な状態を維持したままで、第1コネクタ1及び/又は第2コネクタ101を抜去方向に移動させることは、オペレータにとって困難である。そのため、往々にして、斜め抜去が行われる。
【0069】
ここでは、
図5に示される例において、第1コネクタ1に対して、第2コネクタ101を反時計回り方向に傾斜させた姿勢、すなわち、第2コネクタ101の右端を左端より上方に引上げた姿勢として、第2コネクタ101を第1コネクタ1から引抜くような斜め抜去が行われものとして、説明する。
【0070】
完全嵌合状態から、前記斜め抜去が行われると、
図5における左側に位置する第1端子61及び第2端子161の姿勢は、
図6(a)に示される例から
図6(b)に示される例のように変化する。すなわち、第2端子161は、第1端子61に対して、反時計回り方向に回転する。そのため、完全嵌合状態において、
図6(a)に示されるように、第1端子61の第1接触部65の直線部65bから離間していた第2端子161の第1接触部165の直線部165bにおける下端部165c近傍の部分は、
図6(b)に示されるように、第1端子61の第1接触部65の直線部65bに当接する。
【0071】
前述のように、完全嵌合状態において、第2端子161の第1接触部165の下端部165cは、第1端子61の第1接触部65の下端部65cと等しい位置か、又は、それより上方に位置する。したがって、
図6(a)に示されるような状態から、第2端子161が第1端子61に対して反時計回り方向に回転しても、第2端子161の第1接触部165は、第1端子61の第1接触部65における下端部65cに当接することなく、該下端部65cより上方に位置する直線部65bに当接する。そして、第2端子161が第1端子61に対して反時計回り方向に更に回転すると、第2端子161の第1接触部165は、第1端子61の第1接触部65の直線部65bに摺接しつつ、該直線部65bに沿って上方に移動する。
【0072】
このように、斜め抜去が行われて第2端子161が第1端子61に対して反時計回り方向に回転しても、第2端子161の第1接触部165が、第1端子61の第1接触部65の直線部65bに摺接しつつ、該直線部65bに沿ってスムーズに上方に移動するので、第1端子61の第1接触部65は、上向きの大きな力を第2端子161の第1接触部165から受けることがない。したがって、第1端子61の第1接触部65は、捲上がってしまうことがない。
【0073】
仮に、完全嵌合状態において、第2端子161の第1接触部165の下端部165cが、第1端子61の第1接触部65の下端部65cより下方に位置すると、斜め抜去が行われて第2端子161が第1端子61に対して反時計回り方向に回転した場合、第2端子161の第1接触部165が第1端子61の第1接触部65に当接した際に、該第1接触部65の直線部65bに沿ってスムーズに上方に移動することができず、該直線部65bを上向きに押上げることとなる。そのため、第1端子61の第1接触部65は、上向きの大きな力を第2端子161の第1接触部165から受け、捲上がってしまう。
【0074】
これに対して、本実施の形態においては、斜め抜去が行われて第2端子161が第1端子61に対して反時計回り方向に回転しても第2端子161の第1接触部165は、第1端子61の第1接触部65の直線部65bに沿ってスムーズに上方に移動するので、第1端子61の第1接触部65が、上向きの大きな力をうけることがない。したがって、第1端子61の第1接触部65は、捲上がってしまうことがない。また、第1端子61の第1接触部65の湾曲部65aの上方に庇部13bが存在するので、第1端子61の第1接触部65が、第2端子161の第1接触部165から上向きの力を多少受けても、上方への変位が庇部13bによって阻止される。したがって、第1端子61の第1接触部65の捲上がりが、より効果的に防止される。
【0075】
このように、本実施の形態において、コネクタは、第1端子61と、第1端子61が配設された凹溝部12aが形成された第1ハウジング11とを含む第1コネクタ1と、第1端子61と接触する第2端子161と、第2端子161が配設され、凹溝部12aに挿入される第2凸部112が形成された第2ハウジング111とを含む第2コネクタ101とを備える。そして、第1端子61は、凹溝部12aの一方の側面に配設された第1接触部65と、凹溝部12aの他方の側面に配設された第2接触部66とを含み、第1接触部65は、第2凸部112の挿入方向に向けて直線的に延出する直線部65bと、直線部65bの下端部65cとを含み、第2端子161は、第2凸部112の一方の側面に配設され、第1端子61の第1接触部65と接触する第1接触部165と、第2凸部112の他方の側面に配設され、第1端子61の第2接触部66と接触する第2接触部166とを含み、第1接触部165は、第2凸部112の挿入方向に向けて直線的に延出する直線部165bと、直線部165bの下端部165cとを含み、凹溝部12aに第2凸部112が挿入され、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが完全嵌合状態になると、第2端子161の第1接触部165の直線部165bの下端部165cは、第1端子61の第1接触部65の直線部65bの下端部65c以上に、第2凸部112の挿入方向手前側に位置する。
【0076】
これにより、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合を解除させる作業中に斜め抜去が行われ、第2端子161が第1端子61に対して回転しても、第2端子161の第1接触部165が、第1端子61の第1接触部65の直線部65bに摺接しつつ、該直線部65bに沿ってスムーズに上方に移動する。したがって、第1端子61の第1接触部65は、上向きの大きな力を第2端子161の第1接触部165から受けることがなく、捲上がってしまうことがない。
【0077】
また、第1端子61の第1接触部65は略J字状の形状を有し、第1接触部65の直線部65bの下端部65cは、自由端であり、完全嵌合状態において、第2端子161の第1接触部165に接触していない。
【0078】
さらに、第1端子61の第1接触部65は、直線部65bにおける下端部65cと反対側の端部に接続された湾曲部65aを含み、第1ハウジング11は、湾曲部65aに当接又は近接する庇部13bを含む。これにより、第1端子61の第1接触部65が、第2端子161の第1接触部165から上向きの力を多少受けても、上方への変位が庇部13bによって阻止されるので、第1端子61の第1接触部65の捲上がりが、より効果的に防止される。
【0079】
さらに、第1端子61は、凹溝部12aの底部に配設され、第1接触部65と第2接触部66とを接続する下側接続部64を含み、第2端子161は、第2凸部112の先端部に配設され、第1接触部165と第2接触部166とを接続する接続部164を含み、完全嵌合状態において、下側接続部64と接続部164とは離間している。
【0080】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。