【解決手段】電子部品1は、一方表面2aおよび他方表面2bを有するインターポーザ2を含む。インターポーザ2の一方表面2aには、平面視螺旋状の第1コイル導体膜8が形成されている。インターポーザ2の一方表面2aには、チップ21が接合されている。チップ21は、平面視螺旋状の第2コイル導体膜23が形成された実装面22aを備えている。チップ21は、第2コイル導体膜23が第1コイル導体膜8に対向するように、実装面22aをインターポーザ2の一方表面2a側に向けた状態で当該インターポーザ2に接合されている。
前記第1コイル導体膜と前記第2コイル導体膜との間の距離が、前記基板の前記高域部と前記チップの前記実装面との間の距離よりも大きい、請求項5に記載の電子部品。
前記基板の一方表面には、前記基板の他方表面側に向かって窪んだ第1凹部と、前記第1凹部の底部からさらに前記基板の他方表面側に向かって窪んだ第2凹部とによって、前記第2凹部の底部である低域部と、前記第1凹部の底部である中域部と、前記第1凹部の周囲領域である高域部とが形成されており、
前記第1コイル導体膜は、前記低域部に形成されており、
前記チップは、前記第2凹部を覆うように前記中域部に接合されており、
前記第1コイル導体膜および前記第2コイル導体膜は、平面視で前記第2凹部の内側で対向している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子部品。
前記第1コイル導体膜と前記第2コイル導体膜との間の距離が、前記基板の前記中域部と前記チップの前記実装面との間の距離よりも大きい、請求項10に記載の電子部品。
前記第1コイル導体膜形成工程に先立って、前記基板の一方表面を前記基板の他方表面側に向かって選択的に掘り下げることにより、前記基板の他方表面側に向かって窪んだ凹部を前記基板の一方表面に形成する工程をさらに含み、
前記第1コイル導体膜形成工程は、前記凹部内に前記第1コイル導体膜を形成する工程を含み、
前記チップ接合工程は、前記凹部を覆うように前記チップを前記基板に接合する工程を含む、請求項22または23に記載の電子部品の製造方法。
前記第1コイル導体膜形成工程に先立って、前記基板の一方表面を前記基板の他方表面側に向かって選択的に掘り下げることにより、前記基板の他方表面側に向かって窪んだ第1凹部と、前記第1凹部の底部からさらに前記基板の他方表面側に向かって窪んだ第2凹部とを前記基板の一方表面に形成する工程とをさらに含み、
前記第1コイル導体膜形成工程は、前記第2凹部内に前記第1コイル導体膜を形成する工程を含み、
前記チップ接合工程は、前記第2凹部を覆うように前記チップを前記基板に接合する工程を含む、請求項22または23に記載の電子部品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子部品1を示す斜視図である。
図2は、
図1の電子部品1を示す平面図である。
図3は、
図2のIII-III線に沿う縦断面図である。
図4は、
図2のIV-IV線に沿う縦断面図である。
【0014】
図1〜
図4を参照して、電子部品1は、本発明の基板の一例としてのインターポーザ2を含む。本実施形態では、インターポーザ2は、不純物無添加のシリコンによって形成されており、これによって高抵抗基板とされている。なお、シリコン製のインターポーザ2に代えて、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の有機系の絶縁材料製のインターポーザ2が採用されてもよいし、ガラス(SiO
2)等の無機系の絶縁材料製のインターポーザ2が採用されてもよい。
【0015】
インターポーザ2は、平面視長方形状に形成されており、一方表面2aと、その反対側の他方表面2bと、一方表面2aおよび他方表面2bを接続する側面2cとを有している。インターポーザ2の一方表面2aには、他方表面2b側に向かって窪んだ凹部3が形成されており、インターポーザ2の他方表面2bは平坦面とされている。凹部3は、インターポーザ2の一方表面2aの長手方向の中央部に、当該インターポーザ2の周縁から間隔を空けた位置に形成されている。凹部3は、本実施形態では、各辺がインターポーザ2の各辺と平行な平面視四角形状とされている。
【0016】
インターポーザ2の一方表面2aには、凹部3によって、当該凹部3の底部である低域部4と、凹部3の周囲領域である高域部5とが形成されている。低域部4は、各辺がインターポーザ2の各辺と平行な平面視四角形状とされている。高域部5は、凹部3を取り囲む平面視四角環状とされている。低域部4と高域部5との間には、それらを接続する接続部6が形成されている。凹部3は、その開口幅が一方表面2a側から他方表面2b側に向かって徐々に狭まる断面視テーパ状に形成されている。これにより、接続部6は、低域部4から高域部5に向かうに従って凹部3の横断面積が徐々に大きくなる傾斜面とされている。
【0017】
インターポーザ2の一方表面2aには、その全域を被覆するように表面絶縁膜7が形成されている。表面絶縁膜7は、窒化膜(SiN膜)であってもよいし、酸化膜(SiO
2膜)であってもよい。この表面絶縁膜7上には、たとえばCuを含む平面視螺旋状の第1コイル導体膜8が形成されている。
第1コイル導体膜8は、インターポーザ2の低域部4に配置されている。より具体的には、インターポーザ2の低域部4には、高域部5に向かって突出した台地状(凸状)の第1絶縁膜9が形成されており、この第1絶縁膜9の上面に第1コイル導体膜8が配置されている。なお、第1絶縁膜9は、酸化シリコン(SiO
2)、窒化シリコン(SiN)等の無機系の絶縁材料により形成されていてもよいし、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の有機系の絶縁材料により形成されていてもよい。
【0018】
第1絶縁膜9は、インターポーザ2の各辺に平行な平面視四角形状に形成されている。第1絶縁膜9の上面は、インターポーザ2の高域部5よりも低域部4側に位置しており、第1コイル導体膜8は、その全体が第1絶縁膜9の上面とインターポーザ2の高域部5との間の領域に位置するように第1絶縁膜9の上面に配置されている。したがって、第1コイル導体膜8は、第1絶縁膜9と共に凹部3内に収容されている。第1コイル導体膜8は、平面視螺旋状に複数回巻回された構成を有しており、螺旋の最も内側に位置する第1内側末端8aと、螺旋の最も外側に位置する第1外側末端8bとを含む。
【0019】
図3および
図4を参照して、第1コイル導体膜8の第1内側末端8aと対向する表面絶縁膜7上には、第1パッド10が配置されている。第1コイル導体膜8の第1内側末端8aは、第1絶縁膜9に形成された第1ビア11を介して第1パッド10に電気的に接続されている。第1ビア11は、第1絶縁膜9に形成されたビアホール12に導電体13が埋設された構成を有している。ビアホール12に埋設された導電体13は、第1コイル導体膜8の第1内側末端8aの一部であってもよい。
【0020】
第1コイル導体膜8の第1外側末端8bと対向する表面絶縁膜7上には、第2パッド14が配置されている。第1コイル導体膜8の第1外側末端8bは、第1絶縁膜9に形成された第2ビア15を介して第2パッド14に電気的に接続されている。第2ビア15は、第1絶縁膜9に形成されたビアホール16に導電体17が埋設された構成を有している。ビアホール16に埋設された導電体17は、第1コイル導体膜8の第1外側末端8bの一部であってもよい。
【0021】
インターポーザ2の一方表面2aには、凹部3を覆うようにチップ21が接合されている。以下、
図5を併せて参照して、チップ21の具体的な構成について説明する。
図5は、
図1のチップ21の底面図を示す図である。
図1〜
図5を参照して、チップ21は、略直方体形状とされたシリコン製のチップ本体22を含む。なお、チップ21は、シリコン製のチップ本体22に代えて、絶縁材料製(たとえばガラス製やセラミック製)のチップ本体22を含んでいてもよい。チップ本体22は、たとえばCuを含む平面視螺旋状の第2コイル導体膜23が形成された実装面22aと、その反対側の裏面22bと、実装面22aおよび裏面22bを接続する側面22cとを有している。チップ21は、第2コイル導体膜23が間隔を空けて第1コイル導体膜8に対向するように、実装面22aをインターポーザ2の一方表面2a側に向けた状態でインターポーザ2に接合されている。
【0022】
チップ21の実装面22aには、その全域を被覆するようにチップ側絶縁膜24が形成されている。なお、絶縁材料製のチップ本体22が採用される場合には、チップ側絶縁膜24を除くことができる。実装面22aとは反対側のチップ側絶縁膜24上に、第2コイル導体膜23が形成されている。より具体的には、チップ側絶縁膜24には、チップ21の実装面22aからインターポーザ2側に向かって突出した台地状(凸状)の第2絶縁膜25がチップ側絶縁膜24上に形成されており、この第2絶縁膜25の上面に第2コイル導体膜23が配置されている。
【0023】
第2絶縁膜25の上面は、平面視においてインターポーザ2に形成された凹部3の開口面積よりも小さい表面積を有している。第2絶縁膜25は、凹部3と対向する状態では、凹部3の周縁に取り囲まれた領域内にその全域が位置するように配置されている。本実施形態では、第2絶縁膜25は、チップ本体22の各辺に平行な平面視四角形状に形成されている。なお、第2絶縁膜25は、酸化シリコン(SiO
2)、窒化シリコン(SiN)等の無機系の絶縁材料により形成されていてもよいし、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の有機系の絶縁材料により形成されていてもよい。
【0024】
第2コイル導体膜23は、前記第1コイル導体膜8とは異なる巻回数で平面視螺旋状に複数回巻回された構成を有しており、螺旋の最も内側に位置する第2内側末端23aと、螺旋の最も外側に位置する第2外側末端23bとを含む。
図3および
図4を参照して、第2コイル導体膜23の第2内側末端23aと対向するチップ側絶縁膜24上には、第1チップ側パッド26が配置されている。
【0025】
第2コイル導体膜23の第2内側末端23aは、第2絶縁膜25に形成された第1チップ側ビア27を介して第1チップ側パッド26に電気的に接続されている。第1チップ側ビア27は、第2絶縁膜25に形成されたビアホール28に導電体29が埋設された構成を有している。ビアホール28に埋設された導電体29は、第2コイル導体膜23の第2内側末端23aの一部であってもよい。
【0026】
第2コイル導体膜23の第2外側末端23bと対向するチップ側絶縁膜24上には、第2チップ側パッド30が配置されている。第2コイル導体膜23の第2外側末端23bは、第2絶縁膜25に形成された第2チップ側ビア31を介して第2チップ側パッド30に電気的に接続されている。第2チップ側ビア31は、第2絶縁膜25に形成されたビアホール32に導電体33が埋設された構成を有している。ビアホール32に埋設された導電体33は、第2コイル導体膜23の第2外側末端23bの一部であってもよい。
【0027】
図5を参照して、チップ21の実装面22a上には、第3チップ側パッド34と、第4チップ側パッド35と、複数個(本実施形態では4個)のチップ側ダミーパッド36とが配置されている。チップ21の長手方向の一端部側に、3個のチップ側ダミーパッド36がチップ21の短手方向に沿って間隔を空けて配置されている。チップ21の長手方向の他端部側に、第3チップ側パッド34、第4チップ側パッド35および1個のチップ側ダミーパッド36が短手方向に沿って間隔を空けて配置されている。
【0028】
第3チップ側パッド34は、第1チップ側配線ライン37を介して第1チップ側パッド26に電気的に接続されている。第4チップ側パッド35は、第2チップ側配線ライン38を介して第2チップ側パッド30に電気的に接続されている。複数個のチップ側ダミーパッド36は、電気的に浮遊状態とされている。第3チップ側パッド34、第4チップ側パッド35および複数個のチップ側ダミーパッド36は、いずれも平面視四角形状に形成されている。
【0029】
図3〜
図6を参照して、第3チップ側パッド34、第4チップ側パッド35および複数個のチップ側ダミーパッド36の各上面には、チップ21の実装面22aからインターポーザ2側に向かって立設された実装用電極39が配置されている。実装用電極39は、ブロック状、ピラー状または柱状とされている。
図1および
図2を再度参照して、インターポーザ2の高域部5には、第3パッド40、第4パッド41および複数個のダミーパッド42が配置されている。第3パッド40、第4パッド41および複数個のダミーパッド42は、本実施形態では、いずれも平面視四角形状に形成されている。
【0030】
第3パッド40は、第3チップ側パッド34と対向する位置に配置されており、当該第3チップ側パッド34に電気的に接続される。第4パッド41は、第4チップ側パッド35と対向する位置に配置されており、当該第4チップ側パッド35に電気的に接続される。複数個のダミーパッド42は、複数個のチップ側ダミーパッド36と対向する位置に配置されており、チップ側ダミーパッド36に電気的に接続される。複数個のダミーパッド42は、電気的に浮遊状態とされている。
【0031】
図3および
図4を参照して、第3パッド40、第4パッド41および複数個のダミーパッド42の各上面には、インターポーザ2の一方表面2aからチップ21の実装面22a側に向かって立設された接続用電極43が配置されている。接続用電極43は、ブロック状、ピラー状または柱状とされている。
チップ21は、第3チップ側パッド34、第4チップ側パッド35および複数個のチップ側ダミーパッド36の各上面に設けられた実装用電極39と、第3パッド40、第4パッド41および複数個のダミーパッド42の各上面に設けられた接続用電極43とが導電性接合材44を介して接合されることによって、インターポーザ2の一方表面2aに接合されている。
【0032】
このようにして、チップ21は、インターポーザ2の凹部3を覆うように高域部5に接合されている。チップ21は、実装用電極39および接続用電極43によって、チップ本体22がインターポーザ2の高域部5から浮いた状態でインターポーザ2の高域部5に接合されており、チップ本体22の実装面22aとインターポーザ2の高域部5との間に所定高さの空間Aが設定されている。
【0033】
チップ21がインターポーザ2に接合された状態において、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間の距離は、チップ21の実装面22aとインターポーザ2の高域部5との間の距離よりも大きくされている。より具体的には、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間の距離は、チップ21の実装面22aに形成されたチップ側絶縁膜24の上面と、インターポーザ2の高域部5に形成された表面絶縁膜7の上面との間の距離よりも大きくされている。
【0034】
第2コイル導体膜23は、高域部5よりも上方に配置されていてもよいし、低域部4と高域部5との間の高さ位置に配置されていてもよい。第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間の距離は、第1絶縁膜9および第2絶縁膜25の各厚さを調整することにより調整可能である。凹部3内で互いに対向する第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23とによって変圧器45が構成されている。つまり、変圧器45は、平面視においてインターポーザ2の凹部3の周縁により取り囲まれた領域内に位置していると共に、当該インターポーザ2の凹部3内に収容されている。
【0035】
図1〜
図3を参照して、インターポーザ2の高域部5には、たとえばCuを含む複数個(本実施形態では4個)の外部端子46が配置されている。各外部端子46は、ブロック状、ピラー状または柱状とされており、インターポーザ2の一方表面2aから上方に向かって立設するように配置されている。各外部端子46は、インターポーザ2の一方表面2a側に位置する一端面46aと、その反対側に位置し実装面とされる他端面46bと、一端面46aおよび他端面46bを接続する側面46cとを有している。
【0036】
複数個の外部端子46には、インターポーザ2の長手方向の一端側に配置され、所定の引き回し配線を介して第1コイル導体膜8に電気的に接続される複数個(本実施形態では一対)の第1外部端子46Aと、インターポーザ2の長手方向の他端側に配置され、所定の引き回し配線を介して第2コイル導体膜23に電気的に接続される複数個(本実施形態では一対)の第2外部端子46Bとが含まれる。
【0037】
複数個の第1外部端子46Aは、インターポーザ2の長手方向の一端部側に設けられており、インターポーザ2の短手方向に沿って間隔を空けて配置されている。一方の第1外部端子46Aの直下の表面絶縁膜7上には、第1配線ライン47を介して第1パッド10と電気的に接続される第5パッド48が配置されている。第1ビア11、第1パッド10、第1配線ライン47および第5パッド48を結ぶラインが、一方の第1外部端子46Aと第1コイル導体膜8の第1内側末端8aとを電気的に接続させるための引き回し配線とされている。
【0038】
他方の第1外部端子46Aの直下の表面絶縁膜7上には、第2配線ライン49を介して第2パッド14と電気的に接続される第6パッド50が配置されている。第2ビア15、第2パッド14、第2配線ライン49および第6パッド50を結ぶラインが、他方の第1外部端子46Aと第1コイル導体膜8の第1外側末端8bとを電気的に接続させるための引き回し配線とされている。このようにして、一対の第1外部端子46Aが第1コイル導体膜8に電気的に接続されている。
【0039】
一方、複数個の第2外部端子46Bは、インターポーザ2の長手方向の一端部側に設けられており、インターポーザ2の短手方向に沿って間隔を空けて配置されている。一方の第2外部端子46Bの直下の表面絶縁膜7上には、第3配線ライン51を介して第3パッド40と電気的に接続される第7パッド52が配置されている。第1チップ側ビア27、第1チップ側パッド26、第1チップ側配線ライン37、第3チップ側パッド34、第3パッド40、第3配線ライン51および第7パッド52を結ぶラインが、一方の第2外部端子46Bと第2コイル導体膜23の第2内側末端23aとを電気的に接続させるための引き回し配線とされている。
【0040】
他方の第2外部端子46Bの直下の表面絶縁膜7上には、第4配線ライン53を介して第4パッド41と電気的に接続される第8パッド54が配置されている。第2チップ側ビア31、第2チップ側パッド30、第2チップ側配線ライン38、第4チップ側パッド35、第4パッド41、第4配線ライン53および第8パッド54を結ぶラインが、一方の第2外部端子46Bと第2コイル導体膜23の第2外側末端23bとを電気的に接続させるための引き回し配線とされている。このようにして、一対の第2外部端子46Bが第2コイル導体膜23に電気的に接続されている。
【0041】
図3および
図4を参照して、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間には、絶縁体としての封止樹脂55が配置されている。封止樹脂55は、チップ21の外面全域に加えて、外部端子46の他端面46bを露出させるように当該外部端子46の側面46cを封止している。第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間に配置された封止樹脂55の厚さは、チップ21の実装面22aとインターポーザ2の高域部5との間に配置された封止樹脂55の厚さよりも大きい。
【0042】
封止樹脂55は、インターポーザ2の一方表面2a側に位置する表面55aと、インターポーザ2の側面2c側に位置する側面55bとを有している。各外部端子46の他端面46bは、封止樹脂55の表面55aと段差なく繋がっている。各外部端子46の他端面46bおよび封止樹脂55の表面55aは、インターポーザ2の他方表面2bと平行な一つの平坦面を形成している。封止樹脂55の側面55bは、インターポーザ2の側面2cと段差なく繋がっている。
【0043】
外部端子46の他端面46bには、外部導電体膜56が形成されている。外部導電体膜56は、外部端子46の他端面46b側からこの順に積層されたNi層、Pd層およびAu層を含む積層構造を有している。外部導電体膜56は、外部端子46の他端面46bの全域を被覆しており、その一部が封止樹脂55の表面55aにオーバラップしている。
図6を参照して、ダミーパッド42、第1〜第8パッド10,14,40,41,48,50,52,54、第1〜第4配線ライン47,49,51,53、チップ側ダミーパッド36、第1〜第4チップ側パッド26,30,34,35、第1〜第2チップ側配線ライン37,38、実装用電極39および接続用電極43の各構成について補足する。
【0044】
図6は、
図4に示される一点鎖線VIで囲まれた部分の拡大断面図である。なお、
図6では、第4パッド41の構成のみが示されているが、ダミーパッド42、第1〜第8パッド10,14,40,41,48,50,52,54および第1〜第4配線ライン47,49,51,53の各構成は略同様であるので、これらを纏めて「インターポーザ側配線57」と称して説明する。また、
図6では、第3チップ側パッド34の構成のみが示されているが、チップ側ダミーパッド36、第1〜第4チップ側パッド26,30,34,35および第1〜第2チップ側配線ライン37,38の各構成は略同様であるので、これらを纏めて「チップ側配線58」と称して説明する。
【0045】
図6を参照して、インターポーザ側配線57は、インターポーザ2の一方表面2a側からこの順に積層されたシード層59とめっき層60とを含む積層構造を有している。シード層59は、インターポーザ2側からこの順に積層されたTi層とCu層とを含む積層構造を有していてもよい。めっき層60は、Cuを含む単層構造を有していてもよい。
同様に、チップ側配線58は、いずれも、チップ21の実装面22a側からこの順に積層されたシード層63とめっき層64とを含む積層構造を有している。シード層63は、実装面22a側からこの順に積層されたTi層とCu層とを含む積層構造を有していてもよい。めっき層64は、Cuを含む単層構造を有していてもよい。
【0046】
実装用電極39は、チップ本体22の実装面22a側からこの順に積層されたCuを含む本体部67と、Niを含むバリア層68とを含む積層構造を有している。バリア層68は、本実施形態では、本体部67側からこの順に積層されたNi層、Pd層およびAu層を含む積層構造を有している。実装用電極39は、高さT
1と幅W
1との比で定義されるアスペクト比R
1(=T
1/W
1)が1以下(R
1≦1)とされている。アスペクト比R
1が1以下(R
1≦1)とされることにより、実装用電極39をバランスよく第3チップ側パッド34、第4チップ側パッド35および複数個のチップ側ダミーパッド36の各上面に形成できる。
【0047】
接続用電極43は、インターポーザ2の一方表面2a側からこの順に積層されたCuを含む本体部69と、Niを含むバリア層70とを含む積層構造を有している。接続用電極43は、高さT
2と幅W
2との比で定義されるアスペクト比R
2(=T
2/W
2)が1以下(R
2≦1)とされている。アスペクト比R
2が1以下(R
2≦1)とされることにより、接続用電極43をバランスよく第3パッド40、第4パッド41および複数個のダミーパッド42の各上面に形成できる。
【0048】
本実施形態では、導電性接合材44として半田が採用されており、実装用電極39のバリア層68および接続用電極43のバリア層70によって、実装用電極39の本体部67および接続用電極43の本体部69への半田の拡散が抑制されている。なお、実装用電極39の本体部67と接続用電極43の本体部69と直接接合された形態が採用されてもよい。実装用電極39の本体部67と接続用電極43の本体部69とは、たとえば公知の超音波接合法によって接合させることができる。
【0049】
図7は、
図1の電子部品1が適用された変圧回路モジュール81を示す図である。
図7を参照して、変圧回路モジュール81は、電子部品1と、電子部品1に電気的に接続された低電圧素子の一例としての信号送信用素子82と、電子部品1に電気的に接続された高電圧素子の一例としての信号受信用素子83とを含む。
電子部品1では、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23とが互いに絶縁状態を保ちつつインターポーザ2側とチップ21側とに作り分けられており、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との磁気結合によって一つの変圧器45が構成されている。したがって、変圧回路モジュール81は、信号送信用素子82および信号受信用素子83が変圧器45を介して直流絶縁され、かつ、交流接続された構成とされている。
【0050】
信号送信用素子82の表面には、一対の入力端子84と一対の出力端子85とを含む複数個の端子86が設けられている。信号送信用素子82は、一対の出力端子85が導線87を介して一対の第1外部端子46Aに接続されることによって、電子部品1に電気的に接続されている。信号送信用素子82は、一対の第1外部端子46Aを介して、変圧器45(第1コイル導体膜8)に所定の信号を送信する。本実施形態では、信号送信用素子82の一対の入力端子84にグランド電位を基準電圧とした5Vの制御電圧が印加されており、これによって、信号送信用素子82は、グランド電位を基準電圧とした5Vの制御電圧で制御されている。信号送信用素子82は、たとえば変圧器45に電圧を供給するためのコントローラICである。
【0051】
一方、信号受信用素子83の表面には、一対の入力端子88と一対の出力端子89とを含む複数個の端子90が設けられている。信号受信用素子83は、一対の入力端子88が導線91を介して一対の第2外部端子46Bに接続されることによって、電子部品1に電気的に接続されている。信号受信用素子83は、一対の第2外部端子46Bを介して変圧器45(第2コイル導体膜23)からの信号(昇圧された電圧)を受信する。
【0052】
信号受信用素子83の一対の出力端子89には、たとえば負荷としてSiC−MOSFET(図示せず)が接続されている。本実施形態では、信号受信用素子83の図示しない所定の端子には、3750Vを基準電位とした15Vの制御電圧が印加されており、これによって、信号受信用素子83は、3750Vを基準電位とした15Vの制御電圧で制御されている。また、SiC−MOSFETは、3750Vを基準電位として制御されている。信号受信用素子83は、たとえば昇圧後の電圧に基づいてSiC−MOSFETを駆動するためのドライバICである。
【0053】
この変圧回路モジュール81において、信号送信用素子82は、所定のスイッチング動作を実行することにより周期的な昇圧前パルス電圧PV
1を生成し、変圧器45に与える。本実施形態では、5Vの昇圧前パルス電圧PV
1が変圧器45に与えられる。
変圧器45に昇圧前パルス電圧PV
1が与えられると、電磁誘導により第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との変圧比(巻線比)に応じた分だけ、昇圧前パルス電圧PV
1の電圧値が昇圧される。これにより、変圧器45から昇圧後パルス電圧PV
2が出力される。本実施形態では、変圧器45から3750Vの昇圧後パルス電圧PV
2が出力される。変圧器45から出力された昇圧後パルス電圧PV
2は、信号受信用素子83に与えられる。
【0054】
信号受信用素子83は、変圧器45から与えられた昇圧後パルス電圧PV
2に15Vを加算した3765Vの制御パルス電圧PV
3を生成し、SiC−MOSFETに与える。そして、SiC−MOSFETは、制御パルス電圧PV
3と基準電位との電位差である15Vで制御される。
なお、
図7では、電子部品1が、第1コイル導体膜8に昇圧前パルス電圧PV
1が入力され、第2コイル導体膜23から昇圧後パルス電圧PV
2が出力される変圧器45を有する例について説明した。しかし、電子部品1は、第2コイル導体膜23に昇圧前パルス電圧PV
1が入力され、第1コイル導体膜8から昇圧後パルス電圧PV
2が出力される変圧器45を有する構成とされてもよい。
【0055】
以上、本実施形態に係る電子部品1によれば、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23とが互いに絶縁状態を保ちつつインターポーザ2側とチップ21側とに作り分けられており、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との磁気結合によって一つの変圧器45が構成されている。
より具体的には、第1コイル導体膜8は、インターポーザ2の一方表面2aに形成されており、第2コイル導体膜23は、インターポーザ2とは別体とされたチップ21の実装面22aに形成されている。つまり、本実施形態に係る電子部品1は、インターポーザ2の一方表面2aに形成された第1コイル導体膜8とチップ21の実装面22aに形成された第2コイル導体膜23とが対向するように、チップ21がインターポーザ2に接合された比較的シンプルな構成とされている。
【0056】
これにより、層間絶縁膜を積層する工程を複数回に亘って繰り返し実行しつつ、その途中で二つのコイル導体膜を形成する工程を実行する必要がなくなるので、製造時の時間と手間を削減できる。よって、コストの低減を図ることができる電子部品1を提供できる。また、層間絶縁膜によるインターポーザ2の反りの発生を回避できる。
しかも、本実施形態に係る電子部品1では、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23とがインターポーザ2側とチップ21側とに作り分けられているから、仮にインターポーザ2の反りが発生したとしても、当該反りの影響が第1コイル導体膜8および第2コイル導体膜23の両方に及ぶのを効果的に抑制できる構成とされている。これにより、信頼性を向上できる電子部品1を提供できる。
【0057】
また、本実施形態に係る電子部品1では、インターポーザ2の一方表面2aには、インターポーザ2の他方表面2b側に向かって窪んだ凹部3によって、低域部4と高域部5とが形成されている。そして、第1コイル導体膜8は、低域部4に形成されており、チップ21は、凹部3を覆うように高域部5に接合されている。これにより、凹部3内で第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23とを対向させることができるから、この凹部3の深さに応じた分だけ、電子部品1の低背化を図ることが可能となる。よって、比較的シンプルな構成を維持しつつ、シュリンク化を図ることができる電子部品1を提供できる。
【0058】
また、本実施形態に係る電子部品1によれば、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間に絶縁体としての封止樹脂55が配置されているため、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間の絶縁性を良好に確保できると同時に、絶縁耐圧を良好に高めることができる。特に、本実施形態では、インターポーザ2に形成された凹部3によって、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間の距離が、チップ21の実装面22aとインターポーザ2の高域部5との間の距離よりも大きくされている。
【0059】
これにより、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間に、チップ21の実装面22aとインターポーザ2の高域部5との間に配置された封止樹脂55の厚さよりも大きい厚さの封止樹脂55を配置できるから、絶縁耐圧を効果的に高めることができる。しかも、チップ21の外面全域が、封止樹脂55によって被覆されているから、チップ21に対して良好な保護を提供できる。加えて、インターポーザ2の一方表面2a側に封止樹脂55を流し込むだけでこれらの特徴を得ることができるから、このような観点からも、製造時の時間と手間を削減できる。
【0060】
また、本実施形態に係る電子部品1では、接続用電極43に加えて実装用電極39によって、チップ21とインターポーザ2の一方表面2aとの間に封止樹脂55を充填させるのに十分な高さの空間Aが設定されている。したがって、当該空間Aから凹部3を満たすように封止樹脂55を流し込むことができる。これによって、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23とを良好に封止樹脂55によって封止できる。
【0061】
たとえば、封止樹脂55による封止が不適切であると、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間の領域にボイド(空孔)が形成される虞がある。このボイド内には、水分が貯留されることが知られており、金属材料がボイドと接すると、当該金属材料が水分により腐食される虞がある。
この点、本実施形態に係る電子部品1では、チップ21の実装面22aとインターポーザ2の一方表面2aとの間に封止樹脂55を充填させるのに十分な高さの空間Aが設定されているから、凹部3内に封止樹脂55を良好に流し込むことができる。これにより、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23とを良好に封止樹脂55によって封止できるから、ボイド(空孔)内に貯留された水分を原因とする第1コイル導体膜8および第2コイル導体膜23の腐食を良好に抑制できる。
【0062】
次に、
図8を参照して、電子部品1の製造方法について説明する。
図8は、
図1の電子部品1の製造方法を説明するためのフローチャートである。
電子部品1を製造するにあたり、まず、一方表面2aおよび他方表面2bを有するインターポーザ2が準備される(ステップS1)。本実施形態ではシリコン製のインターポーザ2が準備される。次に、たとえばマスクを介するエッチングにより、インターポーザ2の一方表面2aが他方表面2b側に向かって選択的に掘り下げられる。これにより、インターポーザ2の一方表面2aに、凹部3による低域部4と高域部5とが形成される。次に、たとえばCVD法または熱酸化処理によって、インターポーザ2の一方表面2aに表面絶縁膜7(本実施形態ではSiO
2膜)が形成される(ステップS2)。
【0063】
次に、表面絶縁膜7上に、インターポーザ側配線57が選択的に形成される(ステップS3)。インターポーザ側配線57を形成する工程では、まず、たとえばスパッタ法により、インターポーザ2の一方表面2aにTiおよびCuが順に堆積されて、Ti膜およびCu膜を含むシード層59が形成される。次に、たとえばマスクを介するエッチングにより、シード層59の不要な部分が選択的に除去されて、シード層59がインターポーザ側配線57に対応するパターンとされる。
【0064】
次に、シード層59の平面形状に整合する平面形状の開口を有するマスクが表面絶縁膜7上に形成される。次に、たとえば電界めっき法により、開口から露出するシード層59上にCuが堆積されてめっき層60が形成される。これにより、インターポーザ側配線57が形成される。その後、マスクが除去される。
次に、インターポーザ2の低域部4に有機系の絶縁材料または無機系の絶縁材料からなる第1絶縁膜9が形成される(ステップS4)。有機系の絶縁材料からなる第1絶縁膜9を形成する工程では、たとえば、インターポーザ2の一方表面2aの全域を被覆する感光性のポリイミド樹脂が塗布される。次に、ポリイミド樹脂の一部がインターポーザ2の低域部4に残存するように選択的に露光および現像される。これにより、所定形状の第1絶縁膜9が形成される。また、この露光および現像工程では、第1パッド10の上面を選択的に露出させる第1ビア11用のビアホール12と、第2パッド14の上面を選択的に露出させる第2ビア15用のビアホール16とが第1絶縁膜9に形成される。
【0065】
一方、無機系の絶縁材料からなる第1絶縁膜9を形成する工程では、まず、たとえばCVD法によって酸化シリコン(SiO
2)または窒化シリコン(SiN)がインターポーザ2の一方表面2aに堆積されて絶縁膜が形成される。次に、たとえばマスクを介するエッチングにより、絶縁膜の一部がインターポーザ2の低域部4に残存するように選択的に除去される。また、この工程では、第1パッド10の上面を選択的に露出させる第1ビア11用のビアホール12と、第2パッド14の上面を選択的に露出させる第2ビア15用のビアホール16とが第1絶縁膜9に形成される。
【0066】
次に、第1絶縁膜9上に、平面視螺旋状の第1コイル導体膜8が形成される(ステップS5)。第1コイル導体膜8を形成する工程では、まず、たとえばスパッタ法によってCuが第1絶縁膜9上に堆積されて第1コイル導体膜8となる導体膜が形成される。次に、たとえばマスクを介するエッチングにより、導体膜の不要な部分が除去されて、導体膜が平面視螺旋形状にパターニングされる。これにより、平面視螺旋状の第1コイル導体膜8が第1絶縁膜9上に形成される。
【0067】
平面視螺旋状の第1コイル導体膜8は、電界めっき法によっても形成される。この工程では、まず、たとえばスパッタ法により、第1絶縁膜9上にTiおよびCuが順に堆積されてシード層が形成される。次に、たとえばマスクを介するエッチングにより、シード層の不要な部分が選択的に除去されて、平面視螺旋形状にパターニングされる。次に、シード層の平面形状に整合する平面形状の開口を有するマスクが第1絶縁膜9上に形成される。次に、たとえば電界めっき法により、開口から露出するシード層上にCuがめっき成長される。これにより、平面視螺旋状の第1コイル導体膜8が形成される。
【0068】
次に、第3パッド40、第4パッド41およびダミーパッド42の各上面に接続用電極43が形成される(ステップS6)。接続用電極43を形成する工程では、まず、第3パッド40、第4パッド41およびダミーパッド42の各上面を選択的に露出させる開口を有するマスクが、表面絶縁膜7上に形成される。次に、たとえば電界めっき法により、マスクの開口から露出する第3パッド40、第4パッド41およびダミーパッド42の各上面にCuおよびNiが順にめっき成長される。これにより、Cuを含む本体部69と、Niを含むバリア層70とを含む積層構造を有する接続用電極43が形成される。その後、マスクが除去される。
【0069】
次に、第5〜第8パッド48,50,52,54の各上面に外部端子46が形成される(ステップS7)。外部端子46を形成する工程では、まず、第5〜第8パッド48,50,52,54の各上面を選択的に露出させる開口を有するマスクが形成される。次に、たとえば電界めっき法により、マスクの開口から露出する第5〜第8パッド48,50,52,54の各上面にCuがめっき成長される。これにより、ブロック状、ピラー状または柱状の外部端子46が形成される。その後、マスクが除去される。
【0070】
次に、チップ21がインターポーザ2に実装される(ステップS8)。チップ21は、前述の通り、平面視螺旋状の第2コイル導体膜23および複数個の実装用電極39が形成された実装面22aを備えている。チップ21は、第2コイル導体膜23が第1コイル導体膜8に対向するように、実装面22aをインターポーザ2の一方表面2a側に向けた状態で、インターポーザ2に接合される。より具体的には、チップ21は、実装用電極39と接続用電極43とが導電性接合材44を介して接合されることによって、インターポーザ2に接合される。
【0071】
なお、チップ21の第2絶縁膜25および第2コイル導体膜23は、チップ21の実装面22aにチップ側絶縁膜24を形成した後、インターポーザ2における第1絶縁膜9の形成工程(ステップS4)および第1コイル導体膜8の形成工程(ステップS5)と同様の工程を経て形成されるので、説明を省略する。
次に、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間を封止する封止樹脂55が形成される(ステップS9)。封止樹脂55を形成する工程では、まず、凹部3を満たし、チップ21の外面全域に加えて外部端子46の外面全域を被覆するようにインターポーザ2の一方表面2aに封止樹脂55が流し込まれる。次に、各外部端子46の他端面46bが露出するまで封止樹脂55の表面55aが研削される(ステップS10)。
【0072】
次に、各外部端子46の他端面46bを被覆する外部導電体膜56が形成される(ステップS11)。外部導電体膜56を形成する工程では、まず、各外部端子46の他端面46bを選択的に露出させる開口を有するマスクが封止樹脂55の表面55a上に形成される。次に、たとえば電界めっき法により、マスクの開口から露出する各外部端子46の他端面46b側から順に、Ni、PdおよびAuがめっき成長させられる。これにより、Ni層、Pd層およびAu層を含み、各外部端子46の他端面46bを被覆する外部導電体膜56が形成される。その後、マスクは除去される。このようにして、電子部品1が製造される。
【0073】
<第2実施形態>
図9は、本発明の第2実施形態に係る電子部品101を示す平面図である。
図10は、
図9のX-X線に沿う縦断面図である。
図11は、
図9のXI-XI線に沿う縦断面図である。
図9〜
図11において、前述の第1実施形態において示された構成と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0074】
本実施形態に係るインターポーザ2の一方表面2aには、前述の凹部3に代えて、インターポーザ2の他方表面2b側に向かって窪んだ第1凹部102と、第1凹部102の底部からさらにインターポーザ2の他方表面2b側に向かって窪んだ第2凹部103とが形成されている。
第1凹部102は、インターポーザ2の一方表面2aの中央部に、当該インターポーザ2の周縁から間隔を空けた位置に形成されている。第1凹部102は、本実施形態では、各辺がインターポーザ2の各辺と平行な平面視四角形状とされている。第2凹部103は、第1凹部102の底部の中央部に、当該第1凹部102の底部の周縁から間隔を空けた位置に形成されている。第2凹部103は、本実施形態では、各辺がインターポーザ2の各辺と平行な平面視四角形状とされている。
【0075】
インターポーザ2の一方表面2aには、第1凹部102および第2凹部103によって、第2凹部103の底部である低域部104と、第1凹部102の底部である中域部105と、第1凹部102の周囲領域である高域部106とが形成されている。低域部104は、各辺がインターポーザ2の各辺と平行な平面視四角形状とされている。中域部105は、第2凹部103を取り囲む平面視四角環状とされている。高域部106は、第1凹部102を取り囲む平面視四角環状とされている。
【0076】
低域部104と中域部105との間には、それらを接続する第1接続部107が形成されている。第2凹部103は、その開口幅が一方表面2a側から他方表面2b側に向かって徐々に狭まる断面視テーパ状に形成されている。これにより、第1接続部107は、低域部104から中域部105に向かうに従って第2凹部103の横断面積が徐々に大きくなる傾斜面とされている。
【0077】
同様に、中域部105と高域部106との間には、それらを接続する第2接続部108が形成されている。第1凹部102は、その開口幅が一方表面2a側から他方表面2b側に向かって徐々に狭まる断面視テーパ状に形成されている。これにより、第2接続部108は、中域部105から高域部106に向かうに従って第1凹部102の横断面積が徐々に大きくなる傾斜面とされている。
【0078】
このような構成において、前述の第1絶縁膜9および第1コイル導体膜8は、インターポーザ2の低域部104に配置されている。一方、前述のチップ21は、本実施形態では、インターポーザ2の第2凹部103を覆うようにインターポーザ2の中域部105に接合されている。これにより、チップ21が、インターポーザ2の第1凹部102の内側に収容配置され、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23とが、インターポーザ2の第2凹部103の内側で対向する構成とされている。
【0079】
チップ21の第2絶縁膜25の上面は、平面視においてインターポーザ2に形成された第2凹部103の開口面積よりも小さい表面積を有しており、第2凹部103と対向する状態では、当該第2凹部103の周縁に取り囲まれた領域内にその全域が位置する大きさとされている。なお、チップ21の裏面22bは、インターポーザ2の高域部106よりも上方に位置していてもよいし、インターポーザ2の高域部106と中域部105との間の高さ位置に位置していてもよい。
【0080】
第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間の距離は、チップ21の実装面22aとインターポーザ2の中域部105との間の距離よりも大きくされている。第2コイル導体膜23は、中域部105よりも上方に配置されていてもよいし、低域部104と中域部105との間の高さ位置に配置されていてもよい。第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間の距離は、第1絶縁膜9および第2絶縁膜25の各厚さを調整することにより調整可能である。
【0081】
前述の封止樹脂55は、第1凹部102および第2凹部103を埋めるようにインターポーザ2の一方表面2aの全域を封止している。第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間に配置された封止樹脂55の厚さは、チップ21の実装面22aとインターポーザ2の中域部105との間に配置された封止樹脂55の厚さよりも大きい。なお、チップ21は、実装用電極39および接続用電極43によって、チップ本体22がインターポーザ2の中域部105から浮いた状態で当該中域部105に接合されている。前述の空間Aは、チップ本体22の実装面22aとインターポーザ2の中域部105との間に設定されている。
【0082】
このような電子部品101は、
図8で示した工程を次のように変更することで製造できる。すなわち、前述のインターポーザ2を準備する工程(ステップS1)において、インターポーザ2の一方表面2aをインターポーザ2の他方表面2b側に向かって選択的に掘り下げることにより、インターポーザ2の他方表面2b側に向かって窪んだ第1凹部102と、第1凹部102の底部からさらにインターポーザ2の他方表面2b側に向かって窪んだ第2凹部103とをインターポーザ2の一方表面2aを形成する工程を実行する。たとえば、マスクを介するエッチングにより第1凹部102を形成した後、別のマスクを介するエッチングにより、第1凹部102の底部に第1凹部102よりも幅狭の第2凹部103を形成する工程を実行すればよい。
【0083】
また、第1コイル導体膜8を形成する工程(ステップS5)において、第2凹部103内に第1コイル導体膜8を形成する工程を実行する。そして、チップ実装工程(ステップS8)において、第2凹部103を覆うようにチップ21をインターポーザ2の中域部105に接合する工程を実行する。このようにして、電子部品101を製造できる。
以上、本実施形態の電子部品101によっても、前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、これに加えて、本実施形態の電子部品101によれば、第2コイル導体膜23が第2凹部103内に収容配置され、チップ21が第1凹部102内に収容配置された構成とされているので、低背化によるシュリンク化を良好に図ることができる電子部品101を提供できる。むろん、前述の変圧回路モジュール81は、前述の電子部品1に代えて本実施形態の電子部品101を含む構成とされてもよい。
【0084】
<第3実施形態>
図12は、本発明の第3実施形態に係る電子部品121を示す平面図である。
図13は、
図12のXIII-XIII線に沿う縦断面図である。
図14は、
図12のXIV-XIV線に沿う縦断面図である。
図12〜
図14において前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0085】
図12〜
図14を参照して、本実施形態に係る電子部品121は、前述のチップ21に加えて、前述の信号送信用素子82と、前述の信号受信用素子83とが、前述のインターポーザ2に接合された複合型の電子部品である。本実施形態に係るインターポーザ2の一方表面2aには、前述の凹部3に代えて、インターポーザ2の他方表面2b側に向かって窪んだ第1凹部122と、第1凹部122の底部からさらにインターポーザ2の他方表面2b側に向かって窪んだ第2凹部123とが形成されている。
【0086】
第1凹部122は、インターポーザ2の一方表面2aの中央部に、当該インターポーザ2の周縁から間隔を空けた位置に形成されている。第1凹部122は、本実施形態では、各辺がインターポーザ2の各辺と平行な平面視長方形状とされている。第2凹部123は、第1凹部122の底部の中央部に、当該第1凹部122の底部の周縁から間隔を空けた位置に形成されている。第2凹部123は、本実施形態では、各辺がインターポーザ2の各辺と平行な平面視長方形状とされている。
【0087】
インターポーザ2の一方表面2aには、第1凹部122および第2凹部123によって、第2凹部123の底部である低域部124と、第1凹部122の底部である中域部125と、第1凹部122の周囲領域である高域部126とが形成されている。低域部124は、各辺がインターポーザ2の各辺と平行な平面視長方形状とされている。中域部125は、第2凹部123を取り囲むように長手に延びる平面視長方形環状とされている。高域部126は、第1凹部122を取り囲むように長手に延びる平面視長方形環状とされている。
【0088】
中域部125は、インターポーザ2の長手方向に延びる一対の長手領域125aと、インターポーザ2の短手方向に延びる一対の短手領域125bとを含む。同様に、高域部126は、インターポーザ2の長手方向に延びる一対の長手領域126aと、インターポーザ2の短手方向に延びる一対の短手領域126bとを含む。
低域部124と中域部125との間には、それらを接続する第1接続部127が形成されている。第2凹部123は、その開口幅が一方表面2a側から他方表面2b側に向かって徐々に狭まる断面視テーパ状に形成されている。これにより、第1接続部127は、低域部124から中域部125に向かうに従って第2凹部123の横断面積が徐々に大きくなる傾斜面とされている。
【0089】
同様に、中域部125と高域部126との間には、それらを接続する第2接続部128が形成されている。第1凹部122は、その開口幅が一方表面2a側から他方表面2b側に向かって徐々に狭まる断面視テーパ状に形成されている。これにより、第2接続部128は、中域部125から高域部126に向かうに従って第1凹部122の横断面積が徐々に大きくなる傾斜面とされている。
【0090】
このような構成において、前述の第1絶縁膜9および第1コイル導体膜8は、インターポーザ2の低域部124に配置されている。一方、前述のチップ21は、本実施形態では、インターポーザ2の第2凹部123を覆うようにインターポーザ2の中域部125に接合されている。チップ21は、インターポーザ2の中域部125の一対の長手領域125aに架設されるように、当該中域部125に接合されている。これにより、チップ21が、インターポーザ2の第1凹部122の内側に収容配置され、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23とが、インターポーザ2の第2凹部123の内側で対向する構成とされている。
【0091】
チップ21の第2絶縁膜25の上面は、平面視においてインターポーザ2に形成された第2凹部123の開口面積よりも小さい表面積を有しており、第2凹部123と対向する状態では、当該第2凹部123の周縁に取り囲まれた領域内にその全域が位置している。なお、チップ21の裏面22bは、インターポーザ2の高域部126よりも上方に配置されていてもよいし、インターポーザ2の高域部126と中域部125との間の高さ位置に配置されていてもよい。
【0092】
第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間の距離は、チップ21の実装面22aとインターポーザ2の中域部125との間の距離よりも大きくされている。第2コイル導体膜23は、中域部125よりも上方に配置されていてもよいし、低域部124と中域部125との間の高さ位置に配置されていてもよい。第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間の距離は、第1絶縁膜9および第2絶縁膜25の各厚さを調整することにより調整可能である。
【0093】
なお、チップ21は、実装用電極39および接続用電極43によって、チップ本体22がインターポーザ2の中域部125から浮いた状態で当該中域部125に接合されている。前述の空間Aは、チップ本体22の実装面22aとインターポーザ2の中域部125との間に設定されている。前述の第3パッド40、第4パッド41および複数個のダミーパッド42は、インターポーザ2の中域部125に配置されている。チップ21は、前述の第1実施形態と同様の接合形態で、これら第3パッド40、第4パッド41および複数個のダミーパッド42に接合されている。
【0094】
本実施形態では、前述の信号送信用素子82および前述の信号受信用素子83がインターポーザ2の高域部126に接合されている。信号送信用素子82は、インターポーザ2の一方の端部側に配置されており、信号受信用素子83は、インターポーザ2の他方の端部側に配置されている。これによって、信号送信用素子82および信号受信用素子83が、平面視において第1コイル導体膜8および第2コイル導体膜23を挟み込むように配置されている。以下、信号送信用素子82および信号受信用素子83の配置等について、順に具体的に説明する。
【0095】
信号送信用素子82は、インターポーザ2の一方の端部側において、第1凹部122を覆うように高域部126の一対の長手領域126aおよび一方の短手領域126bに架設されている。信号送信用素子82は、本実施形態では、第1凹部122に加えて第2凹部123を覆っており、平面視において少なくとも一部が中域部125に対向し、かつ、第1コイル導体膜8および第2コイル導体膜23と重ならないように配置されている。
【0096】
本実施形態では、信号送信用素子82は、平面視でチップ21と重ならないように配置されている。このようにして、信号送信用素子82は、第2コイル導体膜23との間の最短距離を避けつつ、第2コイル導体膜23と近接配置された構成とされている。これにより、信号送信用素子82と第2コイル導体膜23との間の絶縁耐圧を向上しつつ、電子部品121のシュリンク化が図られている。
【0097】
信号送信用素子82は、前述の一対の入力端子84と一対の出力端子85とを含む複数個の端子86を選択的に備えた表面82aと、その反対の裏面82bと、表面82aおよび裏面82bを接続する側面82cとを有している。信号送信用素子82は、この表面82aをインターポーザ2の一方表面2aに対向させた状態で当該インターポーザ2に接合されている。より具体的には、インターポーザ2の高域部126における信号送信用素子82の複数個の端子と対応する位置には、複数個の第1素子用パッド129が配置されており、複数個の端子86と複数個の第1素子用パッド129とが接合されることにより、信号送信用素子82がインターポーザ2に接合されている。
【0098】
複数個の第1素子用パッド129のうち、信号送信用素子82の一方の出力端子85に接合された第1素子用パッド129は、第1配線ライン130を介して第1パッド10に電気的に接続されている。また、複数個の第1素子用パッド129のうち、信号送信用素子82の他方の出力端子85に接合された第1素子用パッド129は、第2配線ライン131を介して第2パッド14に電気的に接続されている。
【0099】
なお、本実施形態では、複数個の第1素子用パッド129の各上面に前述の接続用電極43が配置されており、信号送信用素子82の各端子は、導電性接合材44を介して接続用電極43に接合されている。このようにして、信号送信用素子82は、第1配線ライン130および第2配線ライン131を介して第1コイル導体膜8の第1内側末端8aおよび第1外側末端8bに電気的に接続されている。
【0100】
一方、信号受信用素子83は、インターポーザ2の他方の端部側において、第1凹部122を覆うように高域部126の一対の長手領域126aおよび他方の短手領域126bに架設されている。信号受信用素子83は、本実施形態では、第1凹部122に加えて第2凹部123を覆っており、平面視において少なくとも一部が中域部125に対向し、かつ、第1コイル導体膜8および第2コイル導体膜23と重ならないように配置されている。
【0101】
本実施形態では、信号受信用素子83は、平面視でチップ21と重ならないように配置されている。このようにして、信号受信用素子83は、第2コイル導体膜23との間の最短距離を避けつつ、第2コイル導体膜23と近接配置された構成とされている。これにより、信号受信用素子83と第2コイル導体膜23との間の絶縁耐圧を向上しつつ、電子部品121のシュリンク化が図られている。
【0102】
信号受信用素子83は、前述の一対の入力端子88と一対の出力端子89とを含む複数個の端子90を選択的に備えた表面83aと、その反対の裏面83bと、表面83aおよび裏面83bを接続する側面83cとを有している。信号受信用素子83は、この表面83aをインターポーザ2の一方表面2aに対向させた状態で当該インターポーザ2に接合されている。より具体的には、インターポーザ2の高域部126における信号受信用素子83の複数個の端子90と対応する位置には、複数個の第2素子用パッド132が配置されており、複数個の端子90と複数個の第2素子用パッド132とが接合されることにより、信号受信用素子83がインターポーザ2に接合されている。
【0103】
複数個の第2素子用パッド132のうち、信号受信用素子83の一方の入力端子88に接合された第2素子用パッド132は、第3配線ライン133を介して第3パッド40に電気的に接続されている。また、複数個の第2素子用パッド132のうち、信号受信用素子83の他方の入力端子88に接合された第2素子用パッド132は、第4配線ライン134を介して第4パッド41に電気的に接続されている。
【0104】
なお、本実施形態では、複数個の第2素子用パッド132の各上面に前述の接続用電極43が配置されており、信号受信用素子83の各端子90は、導電性接合材44を介して接続用電極43に接合されている。これにより、信号受信用素子83は、第3配線ライン133および第4配線ライン134を介して第2コイル導体膜23の第2内側末端23aおよび第2外側末端23bに電気的に接続されている。
【0105】
インターポーザ2の高域部126には、複数個(本実施形態では14個)の外部端子46が配置されている。複数個の外部端子46には、インターポーザ2の長手方向の一端側に配置され、信号送信用素子82に電気的に接続される複数個(本実施形態では7個)の第1外部端子135Aと、インターポーザ2の長手方向の他端側に配置され、信号受信用素子83に電気的に接続される複数個(本実施形態では7個)の第2外部端子135Bとが含まれる。
【0106】
複数個の第1外部端子135Aは、インターポーザ2の長手方向の一端部側に設けられており、インターポーザ2の短手方向に沿って間隔を空けて配置されている。各第1外部端子135Aの直下の表面絶縁膜7上には、第5配線ライン136を介して第1素子用パッド129と選択的に電気的に接続される第1外部端子用パッド137が配置されている。
【0107】
このようにして、複数個の第1外部端子135Aが信号送信用素子82に選択的に電気的に接続されている。なお、第1外部端子135Aには、信号送信用素子82を駆動させるための基準電圧(=グランド電位)や制御電圧(=5V)を当該信号送信用素子82に提供する外部端子が含まれる。複数個の第1外部端子135Aのうちの幾つかは、電気的に浮遊状態とされた未使用外部端子であってもよい。
【0108】
一方、複数個の第2外部端子135Bは、インターポーザ2の長手方向の他端部側に設けられており、インターポーザ2の短手方向に沿って間隔を空けて配置されている。各第2外部端子135Bの直下の表面絶縁膜7上には、第6配線ライン138を介して第2素子用パッド132と選択的に電気的に接続される第2外部端子用パッド139が配置されている。
【0109】
このようにして、複数個の第2外部端子135Bが信号受信用素子83に選択的に電気的に接続されている。なお、第2外部端子135Bには、変圧器45からの信号を出力するための外部端子や、信号受信用素子83を駆動させるための基準電圧(=3750V)や制御電圧(=15V)を当該信号受信用素子83に提供する外部端子が含まれる。複数個の第2外部端子135Bのうちの幾つかは、電気的に浮遊状態とされた未使用外部端子であってもよい。
【0110】
前述の封止樹脂55は、第1凹部122および第2凹部123を埋めるようにインターポーザ2の一方表面2aの全域を封止しており、チップ21の外面全域に加えて、信号送信用素子82の外面全域および信号受信用素子83の外面全域を被覆している。また、封止樹脂55は、外部端子46の他端面46bを露出させるように当該外部端子46の側面46cを封止している。第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23との間に配置された封止樹脂55の厚さは、チップ21の実装面22aとインターポーザ2の中域部125との間に配置された封止樹脂55の厚さよりも大きい。
【0111】
以上、本実施形態に係る電子部品121によっても、前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態に係る電子部品121によれば、第1コイル導体膜8と第2コイル導体膜23とによって構成される変圧器45の上方に、信号送信用素子82および信号受信用素子83が積層配置された構造の複合型の電子部品121を提供できる。したがって、複数個の外部端子46を実装基板に実装するという一度の工程で、変圧器45、信号送信用素子82および信号受信用素子83を含む変圧回路を3D実装により構成できる。
【0112】
これにより、変圧器45、信号送信用素子82および信号受信用素子83を含む変圧回路を実装基板に高密度に実装できるから、変圧器45、信号送信用素子82および信号受信用素子83を個別的に実装基板に実装する場合に比べて、実装面積を効果的に削減できる。また、これによって、実装基板の小型化を図ることも可能となる。
また、本実施形態に係る電子部品121によれば、信号送信用素子82は、平面視において少なくとも一部が中域部125に対向し、かつ、第1コイル導体膜8および第2コイル導体膜23と重ならないように配置されている。これにより、信号送信用素子82を、第1コイル導体膜8および第2コイル導体膜23との間の最短距離を避けつつ、それらと近接配置させることができるから、信号送信用素子82と第1コイル導体膜8との間および信号送信用素子82と第2コイル導体膜23との間の絶縁耐圧を向上しつつ、電子部品121のシュリンク化を図ることができる。
【0113】
同様に、本実施形態に係る電子部品121によれば、信号受信用素子83は、平面視において少なくとも一部が中域部125に対向し、かつ、第1コイル導体膜8および第2コイル導体膜23と重ならないように配置されている。これにより、信号受信用素子83を、第1コイル導体膜8および第2コイル導体膜23との間の最短距離を避けつつ、それらと近接配置させることができるから、信号受信用素子83と第1コイル導体膜8との間および信号受信用素子83と第2コイル導体膜23との間の絶縁耐圧を向上しつつ、電子部品121のシュリンク化を図ることができる。
【0114】
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の第3実施形態では、信号送信用素子82および信号受信用素子83の両方がインターポーザ2に接合された例について説明した。しかし、電子部品121は、信号送信用素子82および信号受信用素子83のいずれか一方のみを含む構成とされてもよい。
【0115】
また、前述の第3実施形態では、信号送信用素子82が第1コイル導体膜8に電気的に接続され、信号受信用素子83が第2コイル導体膜23に電気的に接続された例について説明した。しかし、これら信号送信用素子82および信号受信用素子83の接続形態が逆形態とされて、信号受信用素子83が第1コイル導体膜8に電気的に接続され、信号送信用素子82が第2コイル導体膜23に電気的に接続された構成が採用されてもよい。
【0116】
また、前述の第3実施形態では、信号送信用素子82および信号受信用素子83がインターポーザ2の高域部126に接合された例について説明した。しかし、チップ21に加えて、信号送信用素子82および信号受信用素子83が、インターポーザ2の中域部125に接合された形態が採用されてもよい。このような構成によれば、電子部品121のさらなるシュリンク化を図ることができる。
【0117】
また、前述の第3実施形態では、平面視においてチップ21を挟み込むように信号送信用素子82および信号受信用素子83が配置された例について説明した。しかし、信号送信用素子82を挟み込むようにチップ21および信号受信用素子83が配置された構成が採用されていてもよいし、信号受信用素子83を挟み込むようにチップ21および信号送信用素子82が配置された構成が採用されていてもよい。
【0118】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。