【実施例1】
【0037】
上記考察に基づいた実施例について説明する。
図6は、実施例1に係るフィルタを示す回路図である。フィルタ100において、入力インピーダンス変換部40、ラダー回路30および出力インピーダンス変換部42が直列に接続されている。入力端子Tinの入力インピーダンスはZinであり、出力端子Toutの出力インピーダンスはZoutである。入力インピーダンスZinおよび出力インピーダンスZoutは周波数に依存するが、特に限定しない場合、通過帯域の中心周波数foにおける入力インピーダンスZinおよび出力インピーダンスZoutを意味するものとする。ラダー回路30の特性インピーダンスはZoである。すなわち、ノードN1からN4における特性インピーダンスはZoである。
【0038】
入力インピーダンス変換部40は、入力インピーダンスZinを特性インピーダンスZoに変換する。入力インピーダンス変換部40は、入力端子Tinと端子T1との間に直列に接続されたインダクタLinと、端子T1とグランドとの間に接続されたキャパシタC1と、を備える。出力インピーダンス変換部42は特性インピーダンスZoを出力インピーダンスZoutに変換する。出力インピーダンス変換部42は、端子T2と出力端子Toutとの間に直列に接続されたインダクタLoutと、端子T2とグランドとの間に接続されたキャパシタC2と、を備える。
【0039】
キャパシタC1およびC2は、例えば弾性波共振器である。キャパシタC1およびC2に用いる弾性波共振器の共振周波数frはラダー回路30の通過帯域から異ならせる。これにより、弾性波共振器をキャパシタとして用いることができる。例えばラダー回路30の通過帯域の中心周波数foのとき、共振周波数frをfo/2以下または2×fo以上とする。
【0040】
キャパシタC1およびC2に用いる弾性波共振器は、直列共振器S1からS4および並列共振器P1からP4が設けられた基板44と同じ基板上に設けられている。弾性表面波フィルタの場合、基板44は
図1(a)および
図1(b)の圧電基板10である。バルク波フィルタの場合、基板44は
図2(a)および
図2(b)の基板20である。キャパシタC1およびC2の静電容量は式1または式2を用い設定できる。
【0041】
目標のフィルタ特性を設定すると、mBVDモデルを用い自動的に各共振器の設計値(
図3の等価回路の各値)を最適化する自動最適化ソフトを用い、フィルタの各共振器を最適設計した。ラダー回路30の通過帯域の中心周波数を2000MHz、通過帯域を1970MHzから2030MHzの60MHz、阻止域を2050MHzから2110MHzとした。最適化のための目標となる挿入損失ILを−1.0dB、阻止域の帯域外抑圧ATTを−58dBとした。比較例では、入力インピーダンス変換部40および出力インピーダンス変換部42を設けないラダー回路30について最適設計した。
【0042】
比較例1として、端子T1の入力インピーダンスZin、端子T2の出力インピーダンスZoutおよび特性インピーダンスZoを全て150Ωとし、最適設計した。また、比較例2として、Zin、ZoutおよびZoを全て50Ωとして最適設計した。比較例1および比較例2のフィルタの通過特性(S21)およびVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)をシミュレーションした。
【0043】
図7(a)および
図7(b)は、比較例1に係るフィルタの通過特性およびVSWRを示す図である。
図7(a)に示すように、通過帯域の低周波数端、中心周波数および高周波数端における挿入損失はそれぞれ−1.573dB、−1.103dBおよび−1.66dBである。阻止域において最も悪い帯域外抑圧は2110MHzにおいて−51.64dBである。
図7(b)に示すように、通過帯域内の入力側のVSWR(破線)の最悪値は1.7、通過帯域内の出力側のVSWR(実線)の最悪値は1.66である。
【0044】
図8(a)および
図8(b)は、比較例2に係るフィルタの通過特性およびVSWRを示す図である。
図8(a)に示すように、通過帯域の低周波数端、中心周波数および高周波数端における挿入損失はそれぞれ−2.017dB、−1.364dBおよび−2.211dBである。阻止域において最も悪い帯域外抑圧は2110MHzにおいて−53.26dBである。
図8(b)に示すように、通過帯域内の入力側のVSWR(破線)の最悪値は1.78、通過帯域内の出力側のVSWR(実線)の最悪値は1.74である。
【0045】
比較例1では、特性インピーダンスZoを高くすることで、比較例2に比べ挿入損失が改善している。通過帯域の低周波数端と高周波数端との平均で比較すると、比較例1は比較例2に比べ0.5dB改善している。これは、比較例1では、特性インピーダンスZoを高くすることで、電流値Iが減少し、抵抗に起因した挿入損失が減少したためである。
【0046】
次に、実施例1として、入力インピーダンスZinおよび出力インピーダンスZoutを50Ω、ラダー回路30の特性インピーダンスZoを150Ωとし、最適設計した。入力インピーダンス変換部40のインダクタLinのインダクタンスを5nH、Q値を50とした。出力インピーダンス変換部42のインダクタLoutのインダクタンスを6nH、Q値を50とした。キャパシタC1およびC2のキャパシタンスを0.7pFとした。キャパシタC1およびC2は、ラダー回路30内の直列共振器および並列共振器と同様の弾性波共振器であり、Q値を直列共振器および並列共振器と同程度、共振周波数を通過帯域の1/2(1000MHz)とした。
【0047】
図9(a)および
図9(b)は、実施例1に係るフィルタの通過特性およびVSWRを示す図である。
図9(a)に示すように、通過帯域の低周波数端、中心周波数および高周波数端における挿入損失はそれぞれ−1.955dB、−1.493dBおよび−2.235dBである。阻止域において最も悪い帯域外抑圧は2110MHzにおいて−52.71dBである。
図9(b)に示すように、通過帯域内の入力側のVSWR(破線)の最悪値は1.519、通過帯域内の出力側のVSWR(実線)の最悪値は1.592である。
【0048】
実施例1では、比較例2と比較し、通過帯域の低周波数端と高周波数端との挿入損失の平均は0.02dBしか改善していない。これは、比較例1に入力インピーダンス変換部40および出力インピーダンス変換部42の挿入損失が加わったためである。帯域外抑圧は比較例2とほとんど変わらず、VSWRは比較例2に比較し若干改善した。このように、挿入損失、帯域外抑圧およびVSWRの観点からは、実施例1のメリットはあまりない。
【0049】
実施例1と比較例2において、入力端子Tinに26dBmの信号を入力したときの直列共振器S3を流れる電流の最大振幅値(波高値)を電流値Iとしてシミュレーションした。
【0050】
図10(a)および
図10(b)は、それぞれ実施例1および比較例2における周波数に対する電流値Iを示す図である。
図10(a)に示すように、実施例1では、通過帯域の低周波数端および高周波数端における電流値Iはそれぞれ0.1054Aおよび0.04994Aである。
図10(b)に示すように、比較例2では、通過帯域の低周波数端および高周波数端における電流値Iはそれぞれ0.14154Aおよび0.07892Aである。実施例1を比較例2と比較すると、低周波数端では、電流値Iが約74%となっている。電力に比例するI
2では約55%となっている。高周波数端では、電流値Iが約63%、I
2が約40%となっている。送信フィルタにおいて耐電力が最も弱いのは弾性表面波フィルタおよびバルク波フィルタとも高周波数端であることが知られている(例えば1998 IEEE Ultrasonics Symposium Proceedings, pp17-29, 1998)。実施例1を送信フィルタに適用すると、耐電力性能が比較例2に対し1/0.4=2.5倍改善する。
【0051】
同様にシミュレーションをラダー回路30の特性インピーダンスを変えて行なった。
図11は、比較例2と実施例1のシミュレーション結果を示す図である。比較例2は入力インピーダンス変換部40および出力インピーダンス変換部42を備えていない。実施例1の入力インピーダンスZinおよび出力インピーダンスZoutは50Ωである。入力インピーダンス変換部40は、入力インピーダンスZinである50Ωを特性インピーダンスZoに変換し、出力インピーダンス変換部42は、特性インピーダンスZoを出力インピーダンスZoutである50Ωに変換する。目標Zo´は、通過帯域の中心周波数foにおける目標とする特性インピーダンスZoである。最適設計したフィルタについて通過特性等をシミュレーションした。
【0052】
実施例1の挿入損失ILはいずれの目標Zo´でも比較例2とあまり変わらない。これは、Q値が50のインダクタLinおよびLoutを用いるため、入力インピーダンス変換部40および出力インピーダンス変換部42により挿入損失が劣化したためである。実施例1の阻止域における帯域外抑圧ATTはいずれの目標Zo´においても比較例2と同程度である。実施例1の電流値Iは目標Zo´が大きくなると小さくなる。比較例2で規格化したI
2は目標Zo´が大きくなると小さくなる。目標Zo´を100Ω以上とすると、I
2は比較例2の半分以下となる。これにより、耐電力性能は比較例2の2倍以上となる。最適化した特性インピーダンスZoは、通過帯域の低周波数端(1970MHz)、中心周波数(2000MHz)および高周波数端(2030MHz)において、目標Zo´にほぼ比例して大きくなっている。目標Zo´が200Ωにおける中心周波数の特性インピーダンスZoはこの関係から若干ずれているが、これは最適化の問題と考えられる。目標Zo´が200Ωの場合も最適化した特性インピーダンスZoの通過帯域全体の平均としてはほぼ目標Zo´に比例した関係となっているため、大きな問題ではないと考えられる。
【0053】
実施例1において、ラダー回路30の特性インピーダンスを設定する方法について説明する。直列共振器と並列共振器が1ずつの基本区間において、直列共振器の静電容量Cos、並列共振器の静電容量Copとする。このとき、特性インピーダンスZoと、通過帯域の中心周波数foとは以下の関係となることが知られている(例えば特開平6−69750号公報)。
Zo
2=1/((2πfo)
2(Cos×Cop)) (式5)
例えばZoを3倍にするためには、CosおよびCopを各々約1/3とする。
【0054】
基本区間31が複数の場合は複雑になる。そこで、各基本区間31のCopおよびCosを用い特性インピーダンスZoを簡単に表す方法を検討した。
図12は、実施例1における各共振器の静電容量を示す図である。
図12に示すように、1つの直列腕32には1つの直列腕共振器Rs1からRs4が接続され、1つの並列腕34には1つの並列腕共振器Rp1からRp4が接続されているとする。1つの直列腕32に複数の直列共振器が接続されている場合、1つの直列腕共振器が分割されていることに相当する。よって、1つの直列腕32内の複数の直列共振器を合成して1つの直列腕共振器Rs1からRs4とする。1つの並列腕34に複数の並列共振器が接続されている場合も同様に、合成して1つの並列腕共振器Rp1からRp4とする。
【0055】
直列腕共振器Rs1からRs4はそれぞれ静電容量Cos1からCos4を有している。並列腕共振器Rp1からRp4はそれぞれ静電容量Cop1からCop4を有している。隣接する直列腕共振器Rs1からRs4と並列腕共振器Rp1からRp4の静電容量の積を端子T1側から順にCos1×Cop1、Cop1×Cos2、Cos2×Cop2、Cop2×Cos3、Cos3×Cop3、Cop3×Cos4、およびCos4×Cop4とする。隣接する直列腕共振器Rs1からRs4と並列腕共振器Rp1からRp4との静電容量積の平均値(すなわち上記7つの静電容量積の総和/7)を(Cos×Cop)aveとする。
【0056】
直列腕共振器をN個、並列腕共振器をM個とする。ただしNとMとは、M=N−1、M=NまたはM+1の関係にある。ここで
図12のM=Nの場合を例に説明すると、直列腕共振器Rs1、Rs2・・・Rsi・・・Rsnの静電容量Cos1、Cos2・・・Cosi・・・Cosnおよび並列腕共振器Rp1、Rp2・・・Rpi・・・Rpnの静電容量Cop1、Cop2・・・Copi・・・Copnとする。このとき、静電容量積は、(Cosi×Copi+Copi×Cos(i+1))をi=1からN−1まで合計し、さらにCosn×Copnを加えた値となる。静電容量積の平均(Cos×Cop)aveは静電容量積を2N−1で除した値となる。M=N−1またはM=N+1の場合も同様に計算する。
【0057】
ラダー回路30の特性インピーダンスZoが全てのノードN1からN4で目標の特性インピーダンスとなるように、最適設計した。
図13(a)から
図14(b)は、それぞれ特性インピーダンスZoが50Ω、100Ω、150Ωおよび200Ωのときの各共振器の静電容量および静電容量積を示す図である。
図13(a)に示すように、特性インピーダンスZoが50Ωのとき、中心周波数を2000MHzとしたとき、式5から求められるCos×Copは2.533pF
2である。(Cos×Cop)aveは、2.3213pF
2である。(Cos×Cop)ave/(Cos×Cop)は0.91である。
【0058】
図13(b)に示すように、特性インピーダンスZoが100Ωのとき、Cos×Cop=0.6333pF
2、(Cos×Cop)ave=0.5975pF
2である。(Cos×Cop)ave/(Cos×Cop)は0.94である。
図14(a)に示すように、特性インピーダンスZoが150Ωのとき、Cos×Cop=0.2814F
2、(Cos×Cop)ave=0.2975pF
2である。Cos×Cop)ave/(Cos×Cop)は1.06である。
図14(b)に示すように、特性インピーダンスZoが200Ωのとき、Cos×Cop=0.1583F
2、(Cos×Cop)ave=0.1595pF
2である。(Cos×Cop)ave/(Cos×Cop)は1.01である。
【0059】
このように、(Cos×Cop)aveは式5で算出したCos×Copの±10%の範囲内である。したがって、特性インピーダンスZoとして100Ω以上を実現するための(Cos×Cop)aveは、式5のCos×Copを(Cos×Cop)aveに代え、以下となる。
Zo
2=1/((2πfo)
2(Cos×Cop)ave)≧100
2 (式6)
静電容量の単位をpF、中心周波数foの単位をGHzとし、(Cos×Cop)aveに1±0.1の誤差があるとすると、以下となる。
(Cos×Cop)ave)≦2.533(1±0.1)/fo
2 (式7)
誤差として1+0.1とすると、以下となる。
(Cos×Cop)ave)≦2.7863/fo
2 (式8)
以上のように、特性インピーダンスZoが100Ω以上となる直列腕共振器Rs1からRs4および並列腕共振器Rp1からRp4の静電容量の関係は式8となる。
【0060】
図12では、1つの直列腕32に1つの直列腕共振器Rs1からRs4が設けられ、1つの並列腕34に1つの並列腕共振器Rp1からRp4が設けられている場合を説明した。直列腕共振器Rs1からRs4および並列腕共振器Rp1からRp4の少なくとも1つが複数に分割されている場合がある。
図15(a)は、分割前の直列腕共振器または並列腕共振器を示す回路図、
図15(b)は、1つの直列腕共振器または並列腕共振器が直列分割された回路図、
図15(c)は、1つの直列腕共振器または並列腕共振器が並列分割された回路図である。
図15(a)に示すように、端子T03とT04との間が1つの直列腕32の場合、端子T03とT04との間に1つの直列腕共振器Rs0が接続されている。端子T03とT04との間が並列腕34の場合、端子T03とT04との間に1つの並列腕共振器Rp0が接続されている。
【0061】
図15(b)に示すように、端子T03と端子T04との間において、1つの直列腕共振器Rs0または並列腕共振器Rp0が共振器Ra、Rb,RcからRnに直列に分割されている。共振器Ra、Rb,RcからRnの静電容量をそれぞれCoa、Cob、CocからConとする。このとき、直列分割された共振器Ra、Rb,RcからRnを合成した直列腕共振器Rs0または並列腕共振器Rp0の静電容量Co=1/(1/Coa+1/Cob+1/Coc+・・・+1/Con)となる。
【0062】
図15(c)に示すように、端子T03とT04との間において、直列腕共振器Rs0または並列腕共振器Rp0が共振器Ra、Rb,RcからRnに並列に分割されている。このとき、並列分割された共振器Ra、Rb,RcからRnを合成した直列腕共振器Rs0または並列腕共振器Rp0の静電容量Co=Coa+Cob+Coc+・・・+Conとなる。直列腕共振器Rs0および並列腕共振器Rp0が分割されている場合、以上のようにして直列腕共振器Rs0および並列腕共振器Rp0の静電容量を算出することができる。
【0063】
実施例1によれば、
図6のように、ラダー回路30は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に直列に接続された1または複数の直列共振器S1からS4(直列弾性波共振器)と、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に並列に接続された1または複数の並列共振器P1からP4(並列弾性波共振器)と、を備えている。
図11のように、ラダー回路30の通過帯域における特性インピーダンスZoは、入力端子Tinの通過帯域における入力インピーダンスZinおよび出力端子Toutの通過帯域における出力インピーダンスZoutより高い。これにより、電流値I
2を抑制できる。よって、フィルタ100の耐電力性能および/または線形性を向上できる。
【0064】
耐電力性能および/または線形性を向上させるためには、特性インピーダンスZoは、入力インピーダンスZinおよび出力インピーダンスZoutの少なくとも一方より高ければよい。
【0065】
耐電力性能および/または線形性を向上させるためには、ラダー回路30の端子T1とT2との間の経路の少なくとも一部の特性インピーダンスZoが入力インピーダンスZinおよび出力インピーダンスZoutの少なくとも一方より高ければよい。耐電力性能および/または線形性をより向上させるためには、ラダー回路30内の経路のいずれの箇所においても特性インピーダンスZoは出力インピーダンスZoutおよび入力インピーダンスZinの少なくとも一方より高いことが好ましい。
【0066】
また、
図11のように、電流値I
2を比較例2に対し1/2以下とするため、少なくとも一部の特性インピーダンスZoが入力インピーダンスZinおよび出力インピーダンスZoutの少なくとも一方の2倍以上であることが好ましい。また、ラダー回路30内の経路のいずれの箇所においても特性インピーダンスZoが入力インピーダンスZinおよび出力インピーダンスZoutの少なくとも一方の2倍以上であることがより好ましい。ラダー回路30内の経路のいずれの箇所においても特性インピーダンスZoが入力インピーダンスZinおよび出力インピーダンスZoutの2倍以上であることがさらに好ましい。特性インピーダンスZoは入力インピーダンスZinおよび/または出力インピーダンスZoutの2.5倍以上がより好ましく、3倍以上がさらに好ましい。
【0067】
入力インピーダンスZinおよび出力インピーダンスZoutの少なくとも一方が実質的に50Ωのとき、少なくとも一部の特性インピーダンスZoが100Ω以上であることが好ましく、ラダー回路30内のいずれの箇所においても特性インピーダンスZoが100Ω以上であることがより好ましい。特性インピーダンスZoが125Ω以上であることがより好ましく、150Ω以上であることがさらに好ましい。
【0068】
図15(a)から
図15(c)において説明したように、1つの直列腕32に1つの直列腕共振器Rs0が接続されるように1または複数の直列弾性波共振器を合成し、1つの並列腕34に1つの並列腕共振器Rp0が接続されるように1または複数の並列弾性波共振器を合成する。
図12のように、全ての隣接する直列腕共振器Rs1からRs4と並列腕共振器Rp1からRp4の静電容量の積の平均を(Cos×Cop)ave[pF]、フィルタ100の通過帯域の中心周波数をfo[GHz]としたとき、(Cos×Cop)ave≦2.7863/fo
2であることが好ましい。これにより、特性インピーダンスZoを100Ω以上とすることができる。特性インピーダンスZoを125Ω以上とするためには、(Cos×Cop)ave≦1.7832/fo
2であり、特性インピーダンスZoを150Ω以上とするためには、(Cos×Cop)ave≦1.2384/fo
2である。
【0069】
入力インピーダンス変換部40は入力インピーダンスZinをラダー回路30の特性インピーダンスZoに変換する。これにより、入力端子Tinとラダー回路30とのインピーダンスを整合することができる。出力インピーダンス変換部42はラダー回路30の特性インピーダンスZoを出力インピーダンスZoutに変換する。これにより、ラダー回路30と出力端子Toutとのインピーダンスを整合することができる。