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特開2017-205017空気調和機のモータ制御装置及び空気調和機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-205017(P2017-205017A)
(43)【公開日】2017年11月16日
(54)【発明の名称】空気調和機のモータ制御装置及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
   H02P 21/00 20160101AFI20171020BHJP
   H02P 21/24 20160101ALI20171020BHJP
【FI】
   H02P21/00
   H02P21/24
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-163457(P2017-163457)
(22)【出願日】2017年8月28日
(62)【分割の表示】特願2011-290131(P2011-290131)の分割
【原出願日】2011年12月28日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】蟹江 徹雄
(72)【発明者】
【氏名】角藤 清隆
(72)【発明者】
【氏名】清水 健志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA06
5H505DD08
5H505EE41
5H505EE49
5H505GG02
5H505HA07
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ16
5H505JJ17
5H505JJ24
5H505LL14
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL41
(57)【要約】
【課題】モータ定数を用いることなく、簡単な演算式によりd軸電流指令値を生成することのできるモータ制御装置及び空気調和機を提供することを目的とする。
【解決手段】インバータ制御装置10は、d軸電流指令を生成するd軸電流指令生成部14を有している。d軸電流指令生成部14は、回転数指令と推定回転数との偏差に対して積分制御を行って第1のd軸電流指令を生成する第1処理部21と、予め設定されている所定の値である第2のd軸電流指令を生成する第2処理部22と、弱め界磁制御領域である場合に、第1のd軸電流指令を選択し、弱め界磁制御領域でない場合に、第2のd軸電流指令を選択する選択部23とを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を3相交流電圧に変換してモータに出力するインバータと、前記インバータを制御するインバータ制御手段とを備え、d軸電流に負の電流を流すことにより、弱め界磁制御を行うモータ制御装置であって、
前記インバータ制御手段は、d軸電流指令を生成するd軸電流指令生成手段を有し、
前記d軸電流指令生成手段は、
前記モータの回転数指令と前記モータの推定回転数との偏差に対して積分制御を行って第1のd軸電流指令を生成する第1処理手段と、
予め設定されている所定の値である第2のd軸電流指令を生成する第2処理手段と、
前記弱め界磁制御領域である場合に、前記第1のd軸電流指令を選択し、前記弱め界磁制御領域でない場合に、前記第2のd軸電流指令を選択する選択手段と
を具備するモータ制御装置。
【請求項2】
前記第1処理手段は、回転数指令と推定回転数との偏差に対して比例積分制御を行って前記第1のd軸電流指令を生成する請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記モータの線間電圧指令が、前記インバータに入力される直流電圧に基づいて決定される前記インバータの最大出力電圧を超える場合に、弱め界磁制御領域であると判断する請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記インバータ制御手段は、
前記モータの回転数指令と前記モータの推定回転数との偏差をゼロに近付けるようなq軸電流指令を生成するq軸電流指令生成手段と、
前記d軸電流指令と前記q軸電流指令とに基づいて、2相電圧指令を生成する電圧指令生成手段と、
前記2相電圧指令に基づいて、前記インバータへ出力するゲート駆動信号を生成するゲート駆動信号生成手段と、
前記モータ電流に基づいて得られた2相電流と、前記電圧指令生成手段により生成された2相電圧指令とを用いて、前記推定回転数を算出するモータ回転数推定手段と
を具備する請求項1から請求項3のいずれかに記載のモータ制御装置。
【請求項5】
電圧利用率を1以上とする過変調制御が実施されている場合において、
前記モータ回転数推定手段は、前記ゲート駆動信号生成手段で生成されるゲート駆動信号に基づく3相電圧指令から得られる2相電圧指令と、前記2相電流とを用いて、前記推定回転数を算出する請求項4に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記第2のd軸電流指令はゼロである請求項1から請求項5のいずれかに記載のモータ制御装置。
【請求項7】
前記第2処理手段は、前記モータの特性から得られる最小電流制御曲線を用いて、第2のd軸電流指令を生成する請求項1から請求項5のいずれかに記載のモータ制御装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のモータ制御装置と、
前記モータ制御装置によって駆動制御される圧縮機モータと
を具備する空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置及び空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
永久磁石式同期モータでは、回転数に応じて誘起電圧が上昇するため、インバータの出力可能な最大出力電圧を超える高速回転領域では、d軸電流に負の電流を流すことによってモータの端子電圧を抑制する弱め界磁制御が多く用いられている。
【0003】
従来、永久磁石式同期モータの弱め界磁制御として、例えば、特許文献1、特許文献2に開示される方法が知られている。
特許文献1には、電圧センサによりインバータの直流電圧を検出し、モータの誘起電圧がインバータ直流電圧を超えないように、d軸電流を制御する方法が開示されている。より具体的には、インバータに入力される直流電圧、モータトルク、及びモータ回転速度の関係に基づいてd軸電流指令を生成し、このd軸電流指令にd軸電流を追従させる制御が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−278982号公報
【特許文献2】国際公開第2005/093943号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の弱め界磁制御のd軸電流指令は、特許文献1に開示されているように、平方根や除算を含む複雑な計算式で構成されており、更に、モータ定数を利用したものとなっていた。このため、インバータの直流電圧が変動した場合などには、常にこれらの複雑な計算をリアルタイムで実施する必要があり、安価なマイコンでは演算処理が追い付かない。
更に、モータ定数は、モータの負荷状態や温度によって変化することから、これらの影響でd軸電流指令に誤差が発生し、弱め界磁制御が十分に行われないおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、モータ定数を用いることなく、簡単な演算式によりd軸電流指令を生成することのできるモータ制御装置及び空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、直流電圧を3相交流電圧に変換してモータに出力するインバータと、前記インバータを制御するインバータ制御手段とを備え、d軸電流に負の電流を流すことにより、弱め界磁制御を行うモータ制御装置であって、前記インバータ制御手段は、d軸電流指令を生成するd軸電流指令生成手段を有し、前記d軸電流指令生成手段は、前記モータの回転数指令と前記モータの推定回転数との偏差に対して積分制御を行って第1のd軸電流指令を生成する第1処理手段と、予め設定されている所定の値である第2のd軸電流指令を生成する第2処理手段と、前記弱め界磁制御領域である場合に、前記第1のd軸電流指令を選択し、前記弱め界磁制御領域でない場合に、前記第2のd軸電流指令を選択する選択手段とを具備するモータ制御装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、弱め界磁制御領域においては、モータの回転数指令とモータの推定回転数との偏差に対して積分制御を行うことによりd軸電流指令を生成するので、弱め界磁制御におけるd軸電流指令の演算処理を大幅に低減することが可能となる。この結果、インバータ制御手段として安価なマイコンを用いることが可能となり、コスト削減を図ることができる。また、回転数偏差に基づいて直接的にd軸電流指令を算出していることから、回転数変動の早いものに対する効果的な応答が期待できる。
【0009】
上記モータ制御装置において、前記第1処理手段は、回転数指令と推定回転数との偏差に対して比例積分制御を行って前記第1のd軸電流指令を生成することとしてもよい。
【0010】
このように、積分制御に加えて、比例制御を取り入れることにより、精度の向上を図ることが可能となる。
【0011】
上記モータ制御装置において、前記選択手段は、前記モータの線間電圧指令が、前記インバータに入力される直流電圧に基づいて決定される前記インバータの最大出力電圧を超える場合に、弱め界磁制御領域であると判断することとしてもよい。
【0012】
上記モータの線間電圧指令は、実際にセンサにより測定される実測値を利用したものでもよいし、インバータへ与えられるゲート駆動信号を生成するのに用いられる2相電圧指令または3相電圧指令を用いて推定される推定線間電圧指令であってもよい。
【0013】
上記モータ制御装置において、前記インバータ制御手段は、前記モータの回転数指令と前記モータの推定回転数との偏差をゼロに近付けるようなq軸電流指令を生成するq軸電流指令生成手段と、前記d軸電流指令と前記q軸電流指令とに基づいて、2相電圧指令を生成する電圧指令生成手段と、前記2相電圧指令に基づいて、前記インバータへ出力するゲート駆動信号を生成するゲート駆動信号生成手段と、モータ電流に基づいて得られた2相電流と、前記電圧指令生成手段により生成された2相電圧指令とを用いて、前記推定回転数を算出するモータ回転数推定手段とを具備することとしてもよい。
【0014】
このような構成によれば、d軸電流指令生成手段によって生成されたd軸電流指令と、q軸電流指令生成手段によって生成されたq軸電流指令とを用いて、d軸電圧指令及びq軸電圧指令からなる2相電圧指令が電圧指令生成手段によって生成され、この2相電圧指令に基づいて、インバータへ出力するゲート駆動信号がゲート駆動信号生成手段により生成される。また、電圧指令生成手段によって生成された2相電圧指令は、2相電流とともにモータ回転数推定手段に入力され、これら情報に基づいてモータの推定回転数が算出される。モータ回転数推定手段によって算出された推定回転数は、d軸電流指令生成手段及びq軸電流指令生成手段に与えられ、この推定回転数を用いてd軸電流指令、q軸電流指令が生成される。
【0015】
上記モータ制御装置において、電圧利用率を1以上とする過変調制御が実施されている場合において、前記モータ回転数推定手段は、前記ゲート駆動信号生成手段で生成されるゲート駆動信号に基づく3相電圧指令から得られる2相電圧指令と、前記2相電流とを用いて、前記推定回転数を算出することとしてもよい。
【0016】
このような構成によれば、モータ回転数推定手段には、電圧指令生成手段によって生成された2相電圧指令に代えて、ゲート駆動信号生成手段で生成されるゲート駆動信号に基づく3相電圧指令から得られる2相電圧指令が入力される。これにより、モータ回転数推定手段によるモータ回転数の推定精度を向上させることができる。
【0017】
上記モータ制御装置において、前記第2のd軸電流指令は、例えば、ゼロである。
【0018】
第2のd軸電流指令をゼロとすることで、通常運転時、換言すると、弱め界磁制御領域でない運転領域におけるd軸電流指令を容易に生成することができる。
【0019】
上記モータ制御装置において、前記第2処理手段は、前記モータの特性から得られる最小電流制御曲線を用いて、第2のd軸電流指令を生成することとしてもよい。
【0020】
最小電流制御曲線に基づいて第2のd軸電流指令を決定することで、通常運転時、換言すると、弱め界磁制御領域でない運転領域において、高効率な運転を実現することが可能となる。
【0021】
本発明は、上記いずれかのモータ制御装置と、前記モータ制御装置によって駆動制御される圧縮機モータとを具備する空気調和機を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、モータ定数を用いることなく、簡単な演算式によりd軸電流指令を生成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係るモータ制御装置の構成を概略的に示した図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るモータ制御装置において、回転数指令が変化したときのd軸電流指令の変化を説明するためのタイミングチャートである。
図3】本発明の第1実施形態に係るモータ制御装置において、モータトルクが変化したときのd軸電流指令の変化を説明するためのタイミングチャートである。
図4】本発明の第1実施形態に係るモータ制御装置において、インバータの入力直流電圧が変化したときのd軸電流指令の変化を説明するためのタイミングチャートである。
図5】最小電流制御曲線の一例を示した図である。
図6】過変調制御を実施している場合に、PWM制御部に入力される電圧指令とモータ相電圧とを比較して示した図である。
図7】通常のPWM制御を実施している場合に、PWM制御部に入力される電圧指令とモータ相電圧とを比較して示した図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るモータ制御装置の構成を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るモータ制御装置及び空気調和機の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るモータ制御装置の構成を概略的に示した図である。図1に示すように、モータ制御装置1は、交流電源からの交流電力を直流電力に変換するコンバータ2と、コンバータ2から出力される直流電力を三相交流電力に変換してモータ4に出力するインバータ3と、インバータ3を制御するインバータ制御装置10とを備えている。
【0026】
インバータ3は、各相に対応して設けられた上側アームのスイッチング素子と下側アームのスイッチング素子とを備えており、これらのスイッチング素子がインバータ制御装置10から与えられるゲート駆動信号Sによりオンオフ制御されることにより、モータ4に供給されるU相、V相、W相のモータ電圧が制御される。
モータ4は、例えば、空気調和機の圧縮機の駆動源として用いられる永久磁石型同期モータである。
【0027】
また、モータ制御装置1は、モータ4に流れるモータ電流(U相、V相、W相の電流)を測定する電流センサ5、インバータ3の入力直流電圧Vdcを測定する電圧センサ6を備えている。なお、モータ電流については、2相を検出し、残りの1相については検出した2相から演算により求めることとしてもよい。また、このような測定方法に代えて、直流母線Lにシャント抵抗を設けることにより、3相モータ電流を測定することとしてもよい。このように、3相モータ電流の取得方法については特に限定されない。
【0028】
電流センサ5により検出された3相のモータ電流は、A/D変換部7によって、電圧センサ6により検出された入力直流電圧VdcはA/D変換部8によって、それぞれデジタル信号に変換され、インバータ制御装置10に出力される。
【0029】
インバータ制御装置10は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)であり、以下に説明する各部の処理を実現するためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を有している。CPUがこの記録媒体に記録されたプログラムをRAM等の主記憶装置に読み出して実行することにより、以下のような各部における処理が実現される。コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。
【0030】
インバータ制御装置10は、モータ4の回転数を上位の制御装置(図示略)から与えられるモータ回転数指令に一致させるようなゲート駆動信号Sを相毎に生成し、これらをインバータ3の各相に対応するスイッチング素子に与えることでインバータ3を制御し、所望の3相交流電圧をモータ4に供給する。
【0031】
具体的には、インバータ制御装置3は、3相/2相変換部11、速度・位置推定部(モータ回転数推定手段)12、q軸電流指令生成部(q軸電流指令生成手段)13、d軸電流指令生成部(d軸電流指令生成手段)14、電流PI制御部(電圧指令生成手段)15、2相/3相変換部16、及びPWM制御部(ゲート駆動信号生成手段)17を備えている。
【0032】
3相/2相変換部11は、A/D変換部7から出力された3相のモータ電流を2相電流、すなわち、q軸電流及びd軸電流に変換し、速度・位置推定部12に出力する。
速度・位置推定部12は、3相/2相変換部11からのq軸電流及びd軸電流と、一つ前のクロックサイクルにおいて電流PI制御部15で算出された2相電圧指令、すなわち、q軸電圧指令vq及びd軸電圧指令vdとを用いて、モータの推定位置θes及びモータの推定回転数ωesを算出する。
モータの推定回転数ωesは、q軸電流指令生成部13及びd軸電流指令生成部14に出力される。
【0033】
q軸電流指令生成部13は、負荷のトルク成分に相当するq軸電流指令を生成するものであり、上位の制御装置、例えば、空気調和機を制御する上位制御装置から与えられる回転数指令ωと速度・位置推定部12からの推定回転数ωesとの偏差Δωがゼロに近づくようなq軸電流指令iqを生成する。
具体的には、回転数指令ωと推定回転数ωesとの偏差に対して積分制御(I制御)を行うことにより、q軸電流指令iqを生成する。ここで、q軸電流指令生成部13は、リミッタ機能を有しており、q軸電流指令iqが予め設定されている上限値を超えないように調整する。
【0034】
d軸電流指令生成部14は、励磁電流成分に相当するd軸電流指令を生成するものであり、第1処理部21と、第2処理部22と、選択部23とを備えている。
第1処理部21は、回転数指令ωと推定回転数ωesとの偏差Δωに対して積分制御を行うことにより、第1のd軸電流指令を生成する。ここで、第1のd軸電流指令idは負の値であり、偏差Δωが大きくなるほど負の方向に値が増加する。
また、第1処理部21は、上記q軸電流指令生成部13と同様にリミッタ機能を有しており、d軸電流指令idが予め設定されている上限値を超えないように調整する。
【0035】
第2処理部22は、予め設定されている所定の値である第2のd軸電流指令を生成する。ここでは、第2のd軸電流指令は、ゼロに設定されている。
選択部23は、モータ4の線間電圧指令が、インバータ3の入力直流電圧Vdcに基づいて決定されるインバータ3の最大出力電圧を超える場合に、弱め界磁制御領域であると判断し、第1のd軸電流指令を選択する。また、弱め界磁電流領域でないと判断した場合には、第2のd軸電流指令、すなわち、ゼロを選択する。
【0036】
上記モータ4の線間電圧指令は、実際にセンサにより測定される実測値を利用したものでもよいし、電流PI制御部15によって生成された一つ前のクロックサイクルにおける2相電圧指令を用いて推定される推定線間電圧指令であってもよい。
例えば、選択部23は、以下の(1)式の条件を満たす場合に、第1のd軸電流指令を選択し、以下の条件を満たさない場合に、第2のd軸電流指令を選択する。
【0037】
Vmax2=(Vdc/2)<va=vq*2+vd*2 (1)
【0038】
上記(1)式において、Vmax2はインバータ3の最大出力電圧に相当する値の2乗、vaはモータの線間電圧の2乗に相当する値である。
ここで、モータの線間電圧指令とインバータに入力される直流電圧に基づいて決定されるインバータの最大出力電圧とを2乗の値で比較しているのは、平方根の計算を不要としてマイコンの演算負荷が大きくならないようにする為である。
このようにして選択部23によって選択されたd軸電流指令idは、電流PI制御部15に出力される。
【0039】
電流PI制御部15には、q軸電流指令生成部からq軸電流指令iqが、d軸電流指令生成部14からd軸電流指令idが、3相/2相変換部11からq軸電流iq及びd軸電流idが、更に、速度・位置推定部12からモータ4の推定位置θesが入力される。
【0040】
電流PI制御部15は、q軸電流指令iqとq軸電流iqとの偏差及びd軸電流指令idとd軸電流idとの偏差を算出し、これらの偏差が0に近づくようなq軸電圧指令vq及びd軸電圧指令vdを生成する。具体的には、それぞれの偏差に対して比例積分制御(PI制御)を行い、更に、この際に、モータの推定位置θesが参照されることにより、q軸電圧指令vq及びd軸電圧指令vdを算出し、2相/3相変換部16に出力する。ここで、d軸電圧指令vdにはリミッタを設けず、q軸電圧指令vqにはVdc/√2でリミッタをかけている。
【0041】
2相/3相変換部16は、速度・位置推定部12によって推定されたモータ位置θesを参照することにより、q軸電圧指令vq及びd軸電圧指令vdを3相電圧指令vu,vv,vwに変換し、PWM制御部17に出力する。
PWM制御部17には、3相電圧指令vu,vv,vwとA/D変換部8からの入力直流電圧Vdcとが入力される。PWM制御部17は、所定のキャリア周波数の三角波を生成し、この三角波と3相電圧指令vu,vv,vwとをそれぞれ比較し、さらに入力直流電圧Vdcを用いて、PWMパルスのデューティ幅を補正することで、各相に対応するゲート駆動信号Sを生成し、インバータ3に出力する(例えば、図7参照)。
【0042】
次に、上記構成を備えるモータ制御装置1の動作について図2を参照して説明する。
例えば、図2の時刻t1からt3の期間において、例えば、モータ制御装置1が適用されている空気調和機の設定温度が変更されることにより、上位装置からの回転数指令ωが徐々に増加すると、回転数指令ωと推定回転数ωesとに偏差が生じ、この偏差に応じたq軸電流指令iqがq軸電流生成部13によって生成され、電流PI制御部15に出力される。
【0043】
他方、d軸電流指令生成部14では、モータ4の線間電圧指令とインバータ出力最大電圧とが比較され、現在の運転状態が弱め界磁制御領域であるか否かが判断される。この結果、時刻t2までの期間においては、弱め界磁制御領域ではないと判定され、第2処理部22によって生成された第2のd軸電流指令id=0が選択部23によって選択され、電流PI制御部15に出力される。
【0044】
これにより、電流PI制御部15では、q軸電流指令iq及びd軸電流指令id=0に基づく2相電圧指令vq,vdが生成され、この2相電圧指令vq,vdに基づくPWM信号(ゲート駆動信号)がPWM制御部17によって生成されて、インバータ3に与えられる。
このような制御が行われることにより、推定回転数(モータ回転数)ωesは回転数指令に追従して徐々に増加する。
【0045】
そして、図2の時刻t2において、回転数が高速領域に入り、モータ4の線間電圧指令がインバータ3の出力最大電圧を超えると、d軸電流指令生成部14の選択部23により、現在の運転状態が弱め界磁制御領域であると判断される。これにより、d軸電流指令生成部14からは第1のd軸電流指令idが出力されることとなる。これにより、d軸電流指令idは、負の方向に徐々に増加することとなる(図2の時刻t2からt3参照)。
【0046】
そして、図2の時刻t3において、回転数指令ωが一定となり、推定回転数ωesが回転数指令ωに一致すると、回転数指令ωと推定回転数ωesとの偏差がゼロとなる。これにより、d軸電流指令idは、回転数指令ωが変化するまで、時刻t3のときの値が保持されることとなる(図2の時刻t3からt4参照)。
【0047】
続いて、図2の時刻t4から時刻t6の期間において、例えば、空気調和機の設定温度が変更されることにより、上位装置からの回転数指令ωが徐々に減少すると、回転数指令ωと推定回転数ωesとに偏差が生じ、この偏差に応じたq軸電流指令iqがq軸電流生成部13によって生成される。なお、今回は、回転数指令ωが減少する方向に変化しているため、これに伴い、q軸電流指令iqは徐々に減少する。
同様に、d軸電流指令生成部14では、偏差Δωに応じてd軸電流指令idが生成される。この結果、d軸電流指令idは徐々にゼロに近づく方向に変化する。
【0048】
このような電流指令が生成されることにより、推定回転数ωesは回転数指令ωに追従して徐々に減少することとなる。
そして、図2の時刻t5において、モータ4の線間電圧指令がインバータ3の出力最大電圧以下となると、d軸電流指令生成部14からはゼロである第2のd軸電流指令idが出力されることとなる。これにより、時刻t5からt6の期間においては、q軸電流指令iqに基づいて電圧指令が生成されることとなる。
【0049】
また、図3に示すようにインバータ3の入力直流電圧Vdcが変化した場合、図4に示すように、モータトルクτが変化した場合も、上記と同様に、それらの変動に伴う推定回転数ωesの変化と回転数指令ωとの偏差Δωに応じてq軸電流指令iq及び第1のd軸電流指令idが生成される。このとき、入力直流電圧Vdcの変化、モータトルクτの変化に伴い、弱め界磁制御領域となった場合には、d軸電流指令生成部14から第1のd軸電流指令idが出力されることにより、図3図4にそれぞれ示すように、d軸電流指令idが負の方向に変化することとなる。
【0050】
以上、説明してきたように、本実施形態に係るモータ制御装置1及び空気調和機によれば、負荷のトルク成分に相当するq軸電流の制御だけでは、モータ回転数を回転数指令ωに追従させることができない高速回転領域において、回転数指令ωと推定回転数ωesとの偏差Δωに対して積分制御を行うことによりd軸電流指令idを生成する。これにより、回転数指令ωと推定回転数ωesとの偏差Δωが大きいほど、d軸電流指令idを負の方向に増加させることができる。d軸電流指令idが負の方向に増加すれば、弱め界磁の効果が高まり、誘起電圧を抑制することができ、モータ回転数を上昇させることができる。このように、d軸電流指令idを負の方向に増加させるという作用により、高速回転領域においても回転数指令ωにモータ回転数を追従させることが可能となる。
【0051】
本実施形態に係るモータ制御装置1によれば、モータ回転数を直接的に用い、かつ、積分制御という簡易な演算手法により、d軸電流指令idを生成する。したがって、上述した特許文献1に開示されている場合と比較して、演算処理を大幅に軽減することができる。これにより、モータ制御装置1として安価なマイコンを利用することが可能となり、コスト低減が期待できる。
【0052】
本実施形態に係るモータ制御装置1は、d軸電流指令の演算処理を簡素化したため、モータ回転数の追従性という点において、特許文献1に開示されているモータ制御手法よりも劣る。しかしながら、空気調和機等の制御においては、回転数の追従が多少遅れても、ユーザの使用感に影響が及ぶことはなく、上記のごとくd軸電流指令の演算処理を簡素化したとしても、十分な精度を補償することができる。このように、本発明のモータ制御装置1は、精度よりもコストダウンが重視される機器に適用されて好適なものである。
【0053】
なお、本実施形態では、d軸電流指令生成部14において、第2のd軸電流指令をゼロに設定したが、第2のd軸電流指令は、ゼロでなく他の値に設定されていてもよい。また、第2のd軸電流指令は、固定値のほか、図5に示すように、モータの特性から一義的に決められる最小電流制御曲線に基づいて設定されることとしてもよい。この場合、第2処理部22は、q軸電流指令生成部13によって生成されるq軸電流指令iqに応じたd軸電流指令idを最小電流制御曲線から取得することにより、第2のd軸電流指令idを加算する。
【0054】
また、本実施形態では、q軸電流指令iqの生成及びd軸電流指令idの生成において、積分制御を用いていたが、これに代えて、積分比例制御(PI制御)を採用することとしてもよい。このように比例制御を加えることで、精度を高めることができる。
【0055】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係るモータ制御装置及び空気調和機について説明する。モータ制御の一つとして、過変調制御が知られている。過変調制御は、電圧利用率を1以上とする制御方法であり、近年、一般的に知られる制御手法である。
ここで、電圧利用率は、以下の(2)式で求められる。
【0056】
電圧利用率=線間電圧指令実効値/(直流電圧/√2) (2)
【0057】
ところで、三角波・正弦波比較を用いたPWM波形生成手法では、過変調制御を実施している場合、2相/3相変換部16からPWM制御部17に入力される3相電流指令と、PWM制御部17からインバータ3に出力されるゲート駆動信号Sに基づいて生成される3相電圧指令、換言すると、モータ4の各相電圧とが一致しないこととなる。
【0058】
図6にそれぞれの波形を比較して説明する。図6(a)における正弦波、及び、図6(b)における破線は、2相/3相変換部16からPWM制御部17に入力される3相電流指令を示しており、図6(b)における実線は、PWM制御部17からインバータ3に出力されるゲート駆動信号Sに基づいて生成される3相電圧指令、すなわちモータ4の各相電圧を示している。
【0059】
過変調制御が行われていない領域、例えば、通常のPWM制御が実施されている場合には、図7に示すように、2相/3相変換部16からPWM制御部17に入力される3相電流指令(図7(a)参照)と、PWM制御部17からインバータ3に出力されるゲート駆動信号Sに基づいて生成される3相電圧指令(図7(b)参照)、換言すると、モータ4の各相電圧とは一致する。
したがって、過変調制御を想定していなかった上述した第1実施形態では、モータ4の各相電圧に相当する信号として、電流PI制御部15から出力される2相電圧指令vq,vdを速度・位置推定部12に入力させ、この2相電圧指令vq,vdをモータ4の各相電圧に相当する電圧とみなして取り扱うことで、モータ回転数やモータ位置を推定していた。
【0060】
これに対し、過変調制御を想定している本実施形態では、電流PI制御部15からの2相電圧指令vq,vdをモータ4の各相電圧に相当する電圧として入力してしまうと、図6(b)に示したように、両者の電圧に誤差が生じてしまうことから、モータ回転数や位置の推定精度が低下する。
【0061】
そこで、本実施形態に係るモータ制御装置1´では、図8に示すように、電流PI制御部15から出力される2相電圧指令vq,vdに代えて、PWM制御部17から出力される信号を速度・位置推定部12に入力することとしている。
具体的には、PWM制御部17において生成された各相に対応するゲート駆動信号Sから各相の3相電圧信号を推定し、この3相電圧信号を3相/2相変換部18に出力する。3相/2相変換部18は、3相電圧信号を2相電圧信号に変換し、速度・位置推定部12に出力する。
【0062】
以上本実施形態に係るモータ制御装置1´によれば、PWM制御部17から出力されるゲート駆動信号Sに基づく3相交流電圧の信号を3相/2相変換して速度・位置推定部12に与える。これにより、過変調制御が行われている期間においても、実際のモータ電圧との誤差を軽減することができ、モータ回転数及び位置の推定誤差の増大を抑制することが可能となる。
【0063】
本実施形態に係るモータ制御装置1´のように、過変調制御及び弱め界磁制御の両方を行う場合、過変調制御が実施される回転数領域と、弱め界磁制御が行われる領域とがオーバーラップする。しかしながら、2つの制御が同時に実施される回転数領域においても、過変調制御と弱め界磁制御とが干渉することなく、安定した制御を実現することができる。すなわち、電圧利用率が1を超えた領域における非線形性から、先に過変調制御の効果が現れ、その後、モータ電圧が飽和し始めると、d軸電流指令の負側への増大効果が現れることとなり、過変調制御から弱め界磁制御への移行がスムーズに実施されることとなる。
【0064】
なお、過変調制御が行われていない期間においては、上記第1実施形態のように、電流PI制御部15からの2相電圧指令を速度・位置推定部12に供給することとしてもよいし、過変調制御のときと同様に、PWM制御部17からの3相電圧指令を3相/2相変換したものを速度・位置推定部12に出力することとしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1、1´ モータ制御装置
3 インバータ
4 モータ
10、10´ インバータ制御装置
11、18 3相/2相変換部
12 速度・位置推定部
13 q軸電流指令生成部
14 d軸電流指令生成部
15 電流PI制御部
16 2相/3相変換部
17 PWM制御部
21 第1処理部
22 第2処理部
23 選択部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2017年9月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を3相交流電圧に変換して圧縮機モータに出力するインバータと、前記インバータを制御するインバータ制御手段とを備え、d軸電流に第1のd軸電流指令による負の電流を流すことにより、弱め界磁制御を行う空気調和機のモータ制御装置であって、
前記インバータ制御手段は、d軸電流指令を生成するd軸電流指令生成手段を有し、
前記d軸電流指令生成手段は、
前記圧縮機モータの回転数指令と前記圧縮機モータの推定回転数との偏差に対して積分制御を行って前記第1のd軸電流指令を生成する第1処理手段と、
ゼロである第2のd軸電流指令を生成する第2処理手段と、
前記圧縮機モータの線間電圧指令が、前記インバータに入力される直流電圧に基づいて決定される前記インバータの最大出力電圧を超える場合に、弱め界磁制御領域であると判断し、前記圧縮機モータの線間電圧指令が、前記インバータに入力される直流電圧に基づいて決定される前記インバータの最大出力電圧以下の場合に、弱め界磁制御領域でないと判断し、前記弱め界磁制御領域である場合に、前記第1のd軸電流指令を選択し、前記弱め界磁制御領域でない場合に、前記第2のd軸電流指令を選択する選択手段と
を具備する空気調和機のモータ制御装置。
【請求項2】
前記第1処理手段は、回転数指令と推定回転数との偏差に対して比例積分制御を行って前記第1のd軸電流指令を生成する請求項1に記載の空気調和機のモータ制御装置。
【請求項3】
前記インバータ制御手段は、
前記圧縮機モータの回転数指令と前記圧縮機モータの推定回転数との偏差をゼロに近付けるようなq軸電流指令を生成するq軸電流指令生成手段と、
前記d軸電流指令と前記q軸電流指令とに基づいて、2相電圧指令を生成する電圧指令生成手段と、
前記2相電圧指令に基づいて、前記インバータへ出力するゲート駆動信号を生成するゲート駆動信号生成手段と、
前記圧縮機モータに流れる電流に基づいて得られた2相電流と、前記電圧指令生成手段により生成された2相電圧指令とを用いて、前記推定回転数を算出するモータ回転数推定手段と
を具備する請求項1又は請求項に記載の空気調和機のモータ制御装置。
【請求項4】
電圧利用率を1以上とする過変調制御が実施されている場合において、
前記モータ回転数推定手段は、前記ゲート駆動信号生成手段で生成されるゲート駆動信号に基づく3相電圧指令から得られる2相電圧指令と、前記2相電流とを用いて、前記推定回転数を算出する請求項に記載の空気調和機のモータ制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれかに記載の空気調和機のモータ制御装置と、
前記モータ制御装置によって駆動制御される圧縮機モータと
を具備する空気調和機。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、直流電圧を3相交流電圧に変換して圧縮機モータに出力するインバータと、前記インバータを制御するインバータ制御手段とを備え、d軸電流に第1のd軸電流指令による負の電流を流すことにより、弱め界磁制御を行う空気調和機のモータ制御装置であって、前記インバータ制御手段は、d軸電流指令を生成するd軸電流指令生成手段を有し、前記d軸電流指令生成手段は、前記圧縮機モータの回転数指令と前記圧縮機モータの推定回転数との偏差に対して積分制御を行って前記第1のd軸電流指令を生成する第1処理手段と、ゼロである第2のd軸電流指令を生成する第2処理手段と、前記圧縮機モータの線間電圧指令が、前記インバータに入力される直流電圧に基づいて決定される前記インバータの最大出力電圧を超える場合に、弱め界磁制御領域であると判断し、前記圧縮機モータの線間電圧指令が、前記インバータに入力される直流電圧に基づいて決定される前記インバータの最大出力電圧以下の場合に、弱め界磁制御領域でないと判断し、前記弱め界磁制御領域である場合に、前記第1のd軸電流指令を選択し、前記弱め界磁制御領域でない場合に、前記第2のd軸電流指令を選択する選択手段とを具備する空気調和機のモータ制御装置を提供する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明によれば、弱め界磁制御領域においては、圧縮機モータの回転数指令と圧縮機モータの推定回転数との偏差に対して積分制御を行うことによりd軸電流指令を生成するので、弱め界磁制御におけるd軸電流指令の演算処理を大幅に低減することが可能となる。この結果、インバータ制御手段として安価なマイコンを用いることが可能となり、コスト削減を図ることができる。また、回転数偏差に基づいて直接的にd軸電流指令を算出していることから、回転数変動の早いものに対する効果的な応答が期待できる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記空気調和機のモータ制御装置において、前記第1処理手段は、回転数指令と推定回転数との偏差に対して比例積分制御を行って前記第1のd軸電流指令を生成することとしてもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
上記空気調和機のモータ制御装置において、前記選択手段は、前記圧縮機モータの線間電圧指令が、前記インバータに入力される直流電圧に基づいて決定される前記インバータの最大出力電圧を超える場合に、弱め界磁制御領域であると判断することとしてもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
上記圧縮機モータの線間電圧指令は、実際にセンサにより測定される実測値を利用したものでもよいし、インバータへ与えられるゲート駆動信号を生成するのに用いられる2相電圧指令または3相電圧指令を用いて推定される推定線間電圧指令であってもよい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
上記空気調和機のモータ制御装置において、前記インバータ制御手段は、前記圧縮機モータの回転数指令と前記圧縮機モータの推定回転数との偏差をゼロに近付けるようなq軸電流指令を生成するq軸電流指令生成手段と、前記d軸電流指令と前記q軸電流指令とに基づいて、2相電圧指令を生成する電圧指令生成手段と、前記2相電圧指令に基づいて、前記インバータへ出力するゲート駆動信号を生成するゲート駆動信号生成手段と、前記圧縮機モータに流れる電流に基づいて得られた2相電流と、前記電圧指令生成手段により生成された2相電圧指令とを用いて、前記推定回転数を算出するモータ回転数推定手段とを具備することとしてもよい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
上記空気調和機のモータ制御装置において、電圧利用率を1以上とする過変調制御が実施されている場合において、前記モータ回転数推定手段は、前記ゲート駆動信号生成手段で生成されるゲート駆動信号に基づく3相電圧指令から得られる2相電圧指令と、前記2相電流とを用いて、前記推定回転数を算出することとしてもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
参考例としての上記空気調和機のモータ制御装置において、前記第2のd軸電流指令は、例えば、ゼロである。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
参考例としての上記空気調和機のモータ制御装置において、前記第2処理手段は、前記モータの特性から得られる最小電流制御曲線を用いて、第2のd軸電流指令を生成することとしてもよい。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明は、上記いずれかの空気調和機のモータ制御装置と、前記モータ制御装置によって駆動制御される圧縮機モータとを具備する空気調和機を提供する。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
具体的には、インバータ3は、3相/2相変換部11、速度・位置推定部(モータ回転数推定手段)12、q軸電流指令生成部(q軸電流指令生成手段)13、d軸電流指令生成部(d軸電流指令生成手段)14、電流PI制御部(電圧指令生成手段)15、2相/3相変換部16、及びPWM制御部(ゲート駆動信号生成手段)17を備えている。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
電流PI制御部15には、q軸電流指令生成部13からq軸電流指令iqが、d軸電流指令生成部14からd軸電流指令idが、3相/2相変換部11からq軸電流iq及びd軸電流idが、更に、速度・位置推定部12からモータ4の推定位置θesが入力される。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
次に、上記構成を備えるモータ制御装置1の動作について図2を参照して説明する。
例えば、図2の時刻t1からt3の期間において、例えば、モータ制御装置1が適用されている空気調和機の設定温度が変更されることにより、上位装置からの回転数指令ωが徐々に増加すると、回転数指令ωと推定回転数ωesとに偏差が生じ、この偏差に応じたq軸電流指令iqがq軸電流指令生成部13によって生成され、電流PI制御部15に出力される。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
続いて、図2の時刻t4から時刻t6の期間において、例えば、空気調和機の設定温度が変更されることにより、上位装置からの回転数指令ωが徐々に減少すると、回転数指令ωと推定回転数ωesとに偏差が生じ、この偏差に応じたq軸電流指令iqがq軸電流指令生成部13によって生成される。なお、今回は、回転数指令ωが減少する方向に変化しているため、これに伴い、q軸電流指令iqは徐々に減少する。
同様に、d軸電流指令生成部14では、偏差Δωに応じてd軸電流指令idが生成される。この結果、d軸電流指令idは徐々にゼロに近づく方向に変化する。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
なお、本実施形態では、d軸電流指令生成部14において、第2のd軸電流指令をゼロに設定したが、参考例として、第2のd軸電流指令は、ゼロでなく他の値に設定されていてもよい。また参考例として、第2のd軸電流指令は、固定値のほか、図5に示すように、モータの特性から一義的に決められる最小電流制御曲線に基づいて設定されることとしてもよい。この場合、第2処理部22は、q軸電流指令生成部13によって生成されるq軸電流指令iqに応じたd軸電流指令idを最小電流制御曲線から取得することにより、第2のd軸電流指令idを加算する。