【解決手段】サーバ20によりトレーサビリティ情報がアップロードされる公開サイトにより、米穀類を特定する情報および流通過程における各処理状態に関する情報が、当該米穀類を入れた販売用米穀袋(小分け袋B2)に付される情報コードC2の読取結果を利用して閲覧可能に公開情報として公開される。そして、公開情報には、米穀類の米加工処理前に測定された工場入荷時質量(米加工前質量)と当該米穀類の米加工処理後に測定された米加工後質量との双方が含まれる。
前記小分け時に余った米穀類を入れた米穀袋に対して、他の米穀類を入れた米穀袋と区別可能に情報コードが付されることを特徴とする請求項3に記載の米穀類の流通管理システム。
前記小分け用の情報コードは、前記小分け前の前記米穀類の質量と前記小分け後の個々の前記米穀類の質量とから求められる小分け数に応じた数だけ生成されることを特徴とする請求項3または4に記載の米穀類の流通管理システム。
前記公開情報には、生産者に関する情報、生産者から出荷される米穀類に関する情報、前記米加工処理に関与した作業者に関する情報、前記米加工処理に関する日時情報、前記米加工処理に関する検査結果、前記米加工処理を行った米加工機を特定する情報、小分けされた米穀類に関する情報、流通経路に関する情報、出荷先情報および出荷までの間で前記情報コードが読み取られた位置を特定する位置情報の少なくともいずれか1つが含まれることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の米穀類の流通管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の米穀類の流通管理システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る流通管理システム10は、米穀類の生産者による生産地Saでの生産過程、生産地Saから出荷された米穀類を加工工場Sbにて加工する加工過程、加工工場Sbから出荷された加工後の米穀類を販売店Scにて販売する販売過程等の各流通過程において、米穀袋に付される情報コード等を利用して各流通過程での米穀類を管理して各処理状態等を公開するシステムである。この流通管理システム10は、本発明に係る米穀類のトレーサビリティに関するサービスを提供するサービス業者等によって運用される。
【0018】
図1に示すように、流通管理システム10は、生産地Saにて生産者が利用する情報端末30(以下、生産者用端末30aともいう)や加工工場Pにて作業者が利用する情報端末30(以下、加工者用端末30bともいう)等から取得した情報を利用して、消費者等(例えば、販売店Scにて米穀類を購入する購入者)が利用する情報端末30(以下、ユーザ用端末30cともいう)に対して閲覧可能に所定の情報を公開するクラウドサーバとして機能するサーバ20を備えている。特に、本実施形態では、米穀類を入れた米穀袋に付される情報コードを利用することで、その米穀袋に入れられた米穀類を特定する情報および流通過程における各処理状態等に関する情報が、トレーサビリティ情報(公開情報)として、インターネット上に公開された所定のウェブサイト(以下、公開サイトともいう)を利用して閲覧可能に公開される。
【0019】
サーバ20は、例えばコンピュータとして構成され、上記サービス業者等によって管理されている。このサーバ20は、
図2に示すように、CPU等からなる制御部21、液晶モニタ等として構成される表示部22、マウスやキーボード等として構成される操作部23、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部24、通信部25などを備えている。通信部25は、インターネットN等の所定のネットワークを介して情報端末30や後述する質量計40等の外部機器と通信可能な通信インタフェースとして構成されており、制御部21により制御されて、上記公開サイトへのトレーサビリティ情報のアップロード等を行うように機能する。
【0020】
本実施形態では、米穀類が入れられている米穀袋ごとに他の米穀袋の米穀類と区別するための固有の番号として出荷コードが用意されており、この出荷コードを基準に対応する米穀袋の米穀類について各流通過程(以下、トレースポイントともいう)での処理状態等に関する情報を記録するためのデータベースが、記憶部24に構築されている。制御部21は、後述するように1または2以上の生産者用端末30aや加工者用端末30bから取得した情報をもとに行われる更新処理により、上記データベースを更新するように機能する。そして、このデータベースに記録される情報のうちトレーサビリティ情報として公開すべき情報が、上記公開サイトを利用してユーザ用端末30c等にて閲覧可能となっている。なお、公開サイト(所定のウェブサイト)、上記データベースを管理するサーバ20は、「公開部」の一例に相当し得る。
【0021】
次に、情報端末30の構成について、
図3を参照して説明する。
情報端末30は、例えば、携帯電話やスマートフォンのように、カメラ機能や表示機能、無線通信機能等を有する携帯型の情報処理端末として構成されるものである。この情報端末30は、
図3に示すように、CPUからなる制御部31、受光センサ(例えば、C−MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成される撮像部32、液晶表示器などからなる表示部33、各種操作キーやタッチパネル等(図示略)によって構成される操作部34、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部35、通信部36などを備えている。
【0022】
制御部31は、記憶部35に記憶される所定のプログラムを実行することで、撮像部32により撮像された情報コード等を公知のデコード方法によりデコードし、そのデコード結果を利用した処理(後述する生産出荷処理、工場入荷処理、加工作業処理、工場出荷処理等)を行うように機能する。通信部36は、制御部31により制御されて、インターネットN等の所定のネットワークを介してサーバ20の外部機器と通信し、質量計40等の外部機器と直接通信するための通信インタフェースとして構成される。
【0023】
次に、米穀類を加工処理する加工工場Sbの設備構成等について、
図4を参照して詳述する。
本実施形態では、
図4に示すように、米穀類として米を想定し、生産地Saから入荷した生産出荷用の米穀袋(以下、単に、米穀袋B1ともいう)に入れられた玄米を加工工場Sbにて精米処理する米加工処理がなされる場合を想定している。加工工場Sbには、精米機や色彩選別機、金属探知機等の各種米加工機が配備されており、生産地Saから入荷した玄米について、石抜き処理および色彩選別機による変色した玄米等の異物の除去処理を終えた後、精米機にて精米処理を行う。そして、精米処理された精米について、色彩選別機による変色した白米等の異物の除去処理および金属探知機による異物探知処理等を終えた後、必要に応じて低温倉庫等で保管された後に、予定される販売店Scに出荷される。なお、各米加工機間における米穀類の搬送には、例えば、エア搬送等を採用することができる。
【0024】
また、加工工場Sbでは、米穀類の質量を自動的に測定する質量計40が複数用意されており、各質量計40は、その測定結果を所定のタイミングにて情報端末30等の外部機器に対して無線送信可能に構成されている。各質量計40のうち、工場入荷場所に配置される質量計(以下、質量計40aともいう)は、生産地Saから入荷した米穀類の質量を自動的に測定するために使用される。また、また、各質量計40のうち、米加工機に設置される質量計(以下、質量計40bともいう)は、当該米加工機により精米処理等された精米の質量を自動的に測定するために使用される。また、各質量計40のうち、小分け場所に配置される質量計(以下、質量計40cともいう)は、精米処理後に小分けされた精米ごとに質量を自動的に測定するために使用される。なお、本実施形態では、米穀類の質量測定に関して、その測定時には、米穀類を入れた米穀袋の質量は除かれるように測定されるものとする。
【0025】
次に、生産地Saから出荷された玄米が加工工場Sbでの加工処理等を経て精米として販売店Scにて販売されるまでの間での各トレースポイントにおけるトレーサビリティ情報の取得および公開について、
図5〜
図15を参照して説明する。
本実施形態では、
図5に示すように、出荷コードを基準とするトレーサビリティ情報として、米穀類情報、生産出荷情報、工場入荷情報、米加工情報、小分け情報および工場出荷情報が用意されている。
【0026】
具体的には、米穀類情報として、米穀類のランク、食味値、生産者名、生産年、生産地(場所)、品種、栽培方法、節減対象農薬および化学肥料が用意されている。また、生産出荷情報として、生産出荷日時、生産出荷時質量および生産出荷作業者名が用意されている。また、工場入荷情報として、加工工場名、工場入荷日時、工場入荷時質量、検査結果、平均精米歩留り、米加工後質量想定値および工場入荷作業者名が用意されている。また、米加工情報として、加工日時、米加工後質量、実精米歩留りおよび加工作業者名が用意されている。また、小分け情報として、指定小分質量、出荷小分数想定値、小分後質量、小分作業者名が用意されている。また、工場出荷情報として、工場出荷日時、出荷先、工場出荷作業者名が用意されている。
【0027】
そして、本実施形態では、上記出荷コードとして、米穀類情報、生産出荷情報、工場入荷情報および米加工情報において基準となる生産出荷コードと、小分け情報および工場出荷情報において基準となる工場出荷コード(小分けコード)とが用意されている。生産出荷コードは、
図6に示すように、生産地Saから出荷される生産出荷用の米穀袋B1に付される情報コードC1に記録されており、工場出荷コードは、小分けされた米穀類が入れられる小分け袋B2に付される情報コードC2に記録されている。このため、トレーサビリティ情報として、1つの生産出荷コードに対して小分け数分の工場出荷コードが関連付けられることとなる。なお、情報コードC1および情報コードC2は、
図6にて模式的に例示するように、例えば、QRコード(登録商標)として生成されてもよいし、バーコード等の一次元コードやデータマトリックスコード、マキシコード等の他の二次元コードとして生成されてもよい。また、情報コードC2は、工場出荷コードに加えて、上記公開サイトにアクセスするためのアドレス情報(URL情報)が記録されるように生成されてもよい。
【0028】
次に、生産地Saにおいて玄米(米穀類)を出荷する際の各工程について、
図7に示すフローチャートを参照して説明する。
生産出荷作業者は、出荷作業に際して、上記生産出荷コードを含めた情報を記録した情報コードC1が付された米穀袋B1を予め必要数用意し、収穫した玄米を各米穀袋B1にそれぞれ所定量入れる。なお、この生産出荷コードは、同日に出荷される同じ玄米を入れた米穀袋B1には関連性を持たせるため連番となるように設定することができる。
【0029】
そして、各米穀袋B1に玄米を所定量入れ終えた後、生産出荷作業者は、生産出荷用のアプリケーションプログラムを起動させることで制御部31にて生産出荷処理が開始された生産者用端末30aを用いて以下の様に生産出荷時に必要な情報を取得する。まず、生産出荷作業者は、出荷作業開始時に、上記生産者用端末30aを用いて加工工場Sbに出荷する玄米に関する情報、具体的には上記米穀類情報(米穀類のランク、食味値、生産者名、生産年、生産地、品種、栽培方法、節減対象農薬および化学肥料)等が予め記録された情報コードと、生産出荷作業者を特定するための情報コードとを撮像部32により撮像して読み取る。これにより、上記米穀類情報と生産出荷日時および生産出荷作業者名とが生産者用端末30aにより出荷共通情報として取得される(
図7のS101)。なお、生産出荷日時は、上記2つの情報コードが読み取れた日時に等しくなるように設定される。
【0030】
次に、生産出荷作業者は、米穀袋B1に入れられた玄米の質量を所定の質量計にて測定してその測定結果を生産出荷時質量として操作部34の操作等に応じて入力する(S103)。続いて、生産出荷作業者は、質量を測定した米穀袋B1に付された情報コードC1を撮像部32により撮像する。これにより撮像された情報コードC1が読み取られて生産出荷コードが取得される(S105)。そして、生産出荷作業者は、米穀袋B1の質量の測定および情報コードC1の読み取りを繰り返し(S107でNo)、全ての米穀袋B1の質量の測定および情報コードC1の読み取りが終了すると、操作部34に対して終了操作する(S107でYes)。これにより、上述した米穀類情報および生産出荷情報(生産出荷日時、生産出荷時質量および生産出荷作業者名)が各生産出荷コードに関連付けられて生産者用端末30aにより取得される。
【0031】
このように取得された情報は、生産者用端末30aにより、所定のタイミングにてサーバ20に対して送信される(S109)。これにより、サーバ20では、生産地Saの生産者用端末30aから、トレーサビリティ情報として各生産出荷コードに関連付けられた米穀類情報および生産出荷情報を取得することができる。なお、生産地Saにおいて上述した質量計40を導入することで、この質量計40を用いて測定した米穀袋B1の質量を生産者用端末30aに対して自動的に順次送信するように構成されてもよい。
【0032】
そして、生産出荷作業者は、上述のようなサーバ20への情報の送信を確認した後、各米穀袋B1を加工工場Sbに出荷するための積荷作業等を行う。
【0033】
次に、加工工場Sbにおいて入荷した玄米(米穀類)について加工処理する際の各工程について、
図8に示すフローチャートを参照して説明する。
工場入荷作業者は、工場入荷用のアプリケーションプログラムを起動させることで制御部31にて工場入荷処理が開始された加工者用端末30bを用いて以下の様に工場入荷時に必要な情報を取得する。まず、工場入荷作業者は、入荷作業開始時に、上記加工者用端末30bを用いて加工工場名および工場入荷作業者を特定するための情報コードを撮像部32により撮像して読み取る。これにより、上記加工工場名および工場入荷作業者名と工場入荷日時とが入荷共通情報として加工者用端末30bにより取得される(
図8のS201)。なお、工場入荷日時は、上記情報コードが読み取れた日時に等しくなるように設定される。
【0034】
次に、工場入荷作業者は、品質検査を終えた米穀袋B1ごとに、質量計40aを用いてその米穀袋B1に入れられた玄米の質量を測定する。これにより、質量計40aから受信した測定結果に基づいて、米穀袋B1に入れられた玄米の質量が工場入荷時質量として加工者用端末30bにより取得される(S203)。なお、この工場入荷時質量を取得した時刻が、良好として検査された検査結果の検査時刻として取得される。続いて、工場入荷作業者は、質量を測定した玄米が入れられた米穀袋B1に付された情報コードC1を撮像部32により撮像する。これにより、撮像された情報コードC1が読み取られて生産出荷コードが取得され(S205)、その取得された生産出荷コードに対して質量計40aから受信した工場入荷時質量が自動的に関連付けられる。なお、工場入荷時質量は、「米加工前質量」の一例に相当し得る。
【0035】
そして、工場入荷作業者は、米穀袋B1に入れられた玄米の質量の測定および情報コードC1の読み取りを繰り返し(S207でNo)、全ての米穀袋B1に入れられた玄米の質量の測定および情報コードC1の読み取りが終了すると、操作部34に対して終了操作する(S207でYes)。これにより、上述した加工工場名、工場入荷作業者名および工場入荷日時と、生産出荷コードごとの工場入荷時質量および検査結果とを含めた工場入荷情報が各生産出荷コードに関連付けられて加工者用端末30bにより取得される。なお、上記工場入荷情報に含まれる平均精米歩留りおよび米加工後質量想定値は、玄米(米穀類)の品種やその玄米を加工する加工機等によって予め設定される数値であってもよいし、その都度、操作部34の操作等に応じて入力される数値であってもよい。
【0036】
このように取得された情報は、加工者用端末30bにより、所定のタイミングにてサーバ20に対して送信される(S209)。これにより、サーバ20では、加工工場Sbの加工者用端末30bから、トレーサビリティ情報として各生産出荷コードに関連付けられた工場入荷情報を取得することができる。
【0037】
そして、工場入荷作業者は、上述のようなサーバ20への情報の送信を確認した後、各米穀袋B1を所定の保管場所等に一時保管する。
【0038】
次に、加工工場Sbにおいて入荷した玄米(米穀類)を加工処理等する際の各工程について、
図9に示すフローチャートを参照して説明する。
加工作業者は、予定される加工日になると、上述のように一時保管されていた各米穀袋B1を米加工機の投入口付近まで搬送した後、加工作業用のアプリケーションプログラムを起動させることで制御部31にて加工作業処理が開始された加工者用端末30bを用いて以下の様に加工作業時に必要な情報を取得する。まず、加工作業者は、加工作業開始時に、上記加工者用端末30bを用いて加工作業者を特定するための情報コードを撮像部32により撮像して読み取る。これにより、上記加工作業者名と加工日時とが加工作業共通情報として加工者用端末30bにより取得される(
図9のS301)。なお、加工日時は、上記情報コードが読み取れた日時に等しくなるように設定される。
【0039】
次に、加工作業者は、米穀袋B1に付された情報コードC1を撮像部32により撮像することで、撮像された情報コードC1が読み取られて生産出荷コードが取得されると(S303)、その情報コードC1を撮像した米穀袋B1の玄米を米加工機の投入口から投入する。投入された玄米は、上記米加工機により、石抜き処理および変色した玄米等の異物の除去処理がなされた後、精米処理がなされる。そして、精米処理された精米は、上記米加工機により、変色した白米等の異物の除去処理および金属性の異物に関する探知処理等がなされる。そして、上記米加工機に設置される質量計40bにより上記米加工機による米加工処理を終えた精米の質量が測定される。これにより、質量計40bから受信した測定結果に基づいて、米穀袋B1に入れられた玄米から得られた精米の質量が米加工後質量として加工者用端末30bにより取得される(S305)。
【0040】
そして、加工作業者は、小分作業者として、上記米加工機による米加工処理を終えた精米を、情報コードC2が付された小分け袋B2を用いて小分けする。この小分け袋B2は、販売店Scに出荷する際の販売用米穀袋として利用可能な袋であって、指定された指定小分質量および出荷小分数想定値等や工場出荷コードに基づいて、予め用意されているものである。すなわち、小分け用の情報コードC2は、小分け前の米穀類の質量と小分け後の個々の米穀類の質量(指定小分質量)とから求められる小分け数(出荷小分数想定値)に応じた数だけ生成される。例えば、出荷小分数想定値が「5」であれば、5つの情報コードC2が生成され、各情報コードC2をそれぞれ付した小分け袋B2が計5つ用意される。
【0041】
小分作業者(加工作業者)は、質量計40cを用いて1つの小分け袋B2に入れられた精米の質量を測定する。これにより、質量計40cから受信した測定結果に基づいて、小分け袋B2に入れられた精米の質量が小分後質量として加工者用端末30bにより取得される(S307)。続いて、小分作業者は、質量を測定した精米が入れられた小分け袋B2に付された情報コードC2を撮像部32により撮像する。これにより、撮像された情報コードC2が読み取られて工場出荷コードが取得され(S309)、その取得された工場出荷コードに対して質量計40cから受信した小分後質量が自動的に関連付けられる。
【0042】
そして、小分作業者は、小分け袋B2に入れられた精米の質量の測定および情報コードC2の読み取りを繰り返し(S311でNo)、全ての小分け袋B2に入れられた精米の質量の測定および情報コードC2の読み取りが終了すると、操作部34に対して終了操作する(S311でYes)。これにより、上述した米加工情報(加工日時、米加工後質量、実精米歩留りおよび加工作業者名)が生産出荷コードに関連付けられ、小分け情報(指定小分質量、出荷小分数想定値、小分後質量、小分作業者名)が生産出荷コードおよび各工場出荷コードの双方に関連付けられて加工者用端末30bにより取得される。なお、実精米歩留りは、玄米から実際に精米処理した精米の米歩留りであって、米加工後質量を工場入荷時質量(米加工前質量)にて除算することで自動的に計算される値である。
【0043】
このように取得された情報は、加工者用端末30bにより、所定のタイミングにてサーバ20に対して送信される(S313)。なお、サーバ20への送信は、1つの米穀袋B1について作業するごとに行われてもよいし、所定数の米穀袋B1について作業するごとに行われてもよい。これにより、サーバ20では、加工工場Sbの加工者用端末30bから、トレーサビリティ情報として生産出荷コードに関連付けられた米加工情報や生産出荷コードおよび各工場出荷コードの双方に関連付けられた小分け情報を取得することができる。
【0044】
そして、小分作業者は、上述のようなサーバ20への情報の送信を確認した後、各小分け袋B2を出荷用の保管場所等に一時保管する。
【0045】
次に、加工工場Sbにおいて小分けした精米を出荷する際の各工程について、
図10に示すフローチャートを参照して説明する。
工場出荷作業者は、上述のように一時保管されていた各小分け袋B2を出荷作業場まで搬送した後、工場出荷作業用のアプリケーションプログラムを起動させることで制御部31にて工場出荷処理が開始された加工者用端末30bを用いて以下の様に工場出荷作業時に必要な情報を取得する。まず、工場出荷作業者は、工場出荷作業開始時に、上記加工者用端末30bを用いて工場出荷作業者を特定するための情報コードと出荷先を特定するための情報コードとを撮像部32により撮像して読み取る。これにより、工場出荷日時、出荷先および工場出荷作業者名が上記工場出荷情報として加工者用端末30bにより取得される(
図10のS401)。なお、工場出荷日時は、上記2つの情報コードが読み取れた日時に等しくなるように設定される。
【0046】
続いて、工場出荷作業者は、各小分け袋B2に付された情報コードC2を撮像部32により順次撮像する。これにより撮像された情報コードC2が読み取られて工場出荷コードが取得される(S403)。そして、同じ出荷先となる全ての小分け袋B2の情報コードC2の読み取りが終了すると、操作部34に対して終了操作する(S405でYes)。これにより、上述した工場出荷情報が各工場出荷コードに関連付けられて加工者用端末30bにより取得される。
【0047】
このように取得された情報は、加工者用端末30bにより、所定のタイミングにてサーバ20に対して送信される(S407)。なお、サーバ20への送信は、1つの小分け袋B2について作業するごとに行われてもよいし、所定数の小分け袋B2について作業するごとに行われてもよい。これにより、サーバ20では、加工工場Sbの加工者用端末30bから、トレーサビリティ情報として各工場出荷コードに関連付けられた工場出荷情報を取得することができる。
【0048】
そして、工場出荷作業者は、上述のようなサーバ20への情報の送信を確認した後、各小分け袋B2を販売店Scに出荷するための積荷作業等を行う。
【0049】
次に、上述のように生産者用端末30aや加工者用端末30bから情報を取得したサーバ20において、トレーサビリティ情報を公開するための処理について、
図11〜
図13を参照して説明する。
サーバ20は、上述のように生産者用端末30aや加工者用端末30bから情報を取得すると、制御部21にて行われる更新処理により、記憶部24のデータベースを順次更新する。
【0050】
具体的には、例えば、生産出荷コード「C103−15061」を記録した情報コードC1が付された米穀袋B1の玄米(米穀類)について生産地Saにて出荷作業等がなされたことで、生産者用端末30aから上記各情報を受信した場合には、
図11に例示するように、上記生産出荷コードに対応するトレーサビリティ情報として、米穀類情報および生産出荷情報に対応する各情報が記憶部24に記憶されるようにデータベースが更新される。そして、上記生産出荷コードが記録された情報コードC1が付された米穀袋B1の玄米について加工工場Sbにて加工作業等がなされたことで、加工者用端末30bから上記各情報を受信した場合には、
図11に例示するように、上記生産出荷コードに対応するトレーサビリティ情報として、工場入荷情報および米加工情報に対応する各情報が記憶部24に記憶されるようにデータベースが更新される。このとき、生産出荷コード「C103−15061」を記録した情報コードC1が付された米穀袋B1の玄米を精米して小分けした場合には、
図12に例示するように、上記生産出荷コードに関連付けられる5つの工場出荷コード「01−150015−01」〜「01−150015−05」に対応するトレーサビリティ情報として、小分け情報および工場出荷情報に対応する各情報が、記憶部24に記憶されるようにデータベースが更新される。
【0051】
また、例えば、生産出荷コード「F112−15042」を記録した情報コードC1が付された米穀袋B1の玄米(米穀類)について生産地Saにて出荷作業等がなされたことで、生産者用端末30aから上記各情報を受信した場合には、
図13に例示するように、上記生産出荷コードに対応するトレーサビリティ情報として、米穀類情報および生産出荷情報に対応する各情報が記憶部24に記憶されるようにデータベースが更新される。そして、上記生産出荷コードが記録された情報コードC1が付された米穀袋B1の玄米について加工工場Sbにて加工作業等がなされたことで、加工者用端末30bから上記各情報を受信した場合には、
図13に例示するように、上記生産出荷コードに対応するトレーサビリティ情報として、工場入荷情報および米加工情報に対応する各情報が記憶部24に記憶されるようにデータベースが更新される。このとき、生産出荷コード「F112−15042」に関連付けられる複数の工場出荷コードに対応するトレーサビリティ情報として、小分け情報および工場出荷情報に対応する各情報が、記憶部24に記憶されるようにデータベースが更新される。
【0052】
そして、制御部21は、記憶部24に記憶される情報のうち公開するトレーサビリティ情報等を、工場出荷コードを基準として所定のタイミングにて上記公開サイトにアップロードする。
【0053】
これにより、消費者等は、閲覧用のアプリケーションプログラムを起動させたユーザ用端末30cを利用して、販売店Scに陳列されている販売用米穀袋(小分け袋B2)に付された情報コードC2を撮像することで読み取った工場出荷コードをもとに、上記公開サイトにアクセスすることで、その販売用米穀袋に入れられた精米(米穀類)に関する情報を容易に閲覧することができる。
【0054】
例えば、ユーザ用端末30cにより販売用米穀袋に付された情報コードC2から工場出荷コード「01−150015−01」が読み取られた場合には、
図14に例示するように、ユーザ用端末30cの表示部33に各トレーサビリティ情報等が表示される。なお、
図14の破線領域33aは、あるスクロール位置における表示部33での表示状態を示しており、スクロール操作に応じて表示部33での表示状態が
図14の上下方向に沿い変化する。また、このスクロール表示状態では、生産者に関する情報や米加工に関するトレーサビリティ情報のうちの主要な情報が表示されており、他の詳細なトレーサビリティ情報を表示させるための「さらに詳しく」というタップ用の選択手段が用意されている。
【0055】
例えば、
図14に例示する表示状態において、項目:「生産者」における「さらに詳しく」(
図14の符号33b参照)を選択すると、
図15に例示するように、他の詳細なトレーサビリティ情報として、生産者名、生産出荷時質量および生産出荷作業者名が表示部33に表示される。また、例えば、
図14に例示する表示状態において、項目:「精米所」における「さらに詳しく」(
図14の符号33c参照)を選択すると、
図16に例示するように、他の詳細なトレーサビリティ情報として、工場入荷時質量、工場入荷作業者名、加工日時、米加工後質量、実精米歩留り、加工作業者名、小分後質量、小分作業者名および工場出荷作業者名が表示部33に表示される。
【0056】
このように、消費者等は、ユーザ用端末30cを利用して販売用米穀袋に付された情報コードC2を撮像することで、その販売用米穀袋に入れられた精米(米穀類)に関するトレーサビリティ情報について、主要な情報だけでなく他の詳細な情報までも閲覧することができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る流通管理システム10では、サーバ20によりトレーサビリティ情報がアップロードされる公開サイトにより、米穀類を特定する情報および流通過程における各処理状態に関する情報が、当該米穀類を入れた販売用米穀袋(小分け袋B2)に付される情報コードC2の読取結果を利用して閲覧可能に公開情報として公開される。そして、公開情報には、米穀類の米加工処理前に測定された工場入荷時質量(米加工前質量)と当該米穀類の米加工処理後に測定された米加工後質量との双方が含まれる。
【0058】
これにより、米穀類の販売用米穀袋に付される情報コードC2を読み取った消費者等は、その米穀類に関して工場入荷時質量および米加工後質量の双方を閲覧することで、米穀類の水増しや抜き取りがないことを容易に確認することができる。したがって、流通される米穀類に関して公開される情報の信頼性を向上させることができる。なお、公開情報には、米加工前質量および米加工後質量のそれぞれの数値が含まれることに限らず、米加工前質量および米加工後質量の双方に関する情報として、例えば、米加工前質量および米加工後質量の差分が含まれてもよい。また、公開情報には、米加工前質量および米加工後質量の双方に関する情報として、例えば、これら米加工前質量および米加工後質量に基づいて作成された、質量に関して不正されていないことを示す不正判定結果が含まれてもよい。
【0059】
特に、工場入荷時質量は、米加工処理を行う米加工機に投入される前の米穀類の質量に基づいて質量計40aにより自動的に測定され、米加工後質量は、米加工機により米加工処理がなされた米穀類の質量に基づいて質量計40bにより自動的に測定される。これにより、工場入荷時質量および米加工後質量の信憑性が増すので、流通される米穀類に関して公開される情報の信頼性をさらに向上させることができる。
【0060】
また、生産者から米加工処理を行う工場に出荷される米穀類の米穀袋B1ごとに、他の米穀袋の米穀類と区別するための固有の番号として生産出荷コードを記録した情報コードC1が付される。また、情報コードC1を付した米穀袋B1の米穀類が米加工処理後に複数の小分け袋B2に小分けされる際に、小分け袋B2ごとに、他の小分け袋および米穀袋と区別可能に小分け用の情報コードC2が付される。そして、トレーサビリティ情報(公開情報)には、小分け前の米穀袋B1に付された情報コードC1に記録される生産出荷コード(固有の番号)に基づいて特定される米穀類の情報が含まれる。
【0061】
これにより、生産者から出荷された米穀類が複数の小分け袋に小分け(分割)される場合でも、小分け袋B2に付された小分け用の情報コードC2を読み取ることで、その小分け袋B2に小分けされた米穀類がどの米穀類から小分けされたものか容易に把握できる。その結果、米穀類を小分けした場合でも公開される情報の信頼性を向上させることができる。
【0062】
また、小分け用の情報コードC2は、小分け前の米穀類の質量と小分け後の個々の米穀類の質量(指定小分質量)とから求められる小分け数(出荷小分数想定値)に応じた数だけ生成される。このため、小分け用の情報コードC2が生成される数だけしか小分け用の情報コードC2を付した小分け袋B2を用意できないので、米穀類の水増しや抜き取りにより小分け数を変えることができない。これにより、小分けされた米穀類の信憑性が増すので、流通される米穀類に関して公開される情報の信頼性をさらに向上させることができる。
【0063】
また、トレーサビリティ情報(公開情報)には、米加工処理による米穀類の実質米歩留りが含まれる。実質米歩留りは、工場入荷時質量(米加工前質量)および米加工後質量から自動的に計算される値であるため、工場入荷時質量および米加工後質量に加えて実質米歩留りを公開することで、工場入荷時質量および米加工後質量だけでなく実質米歩留りに関してもその数値を改竄し難くなる。これにより、流通される米穀類に関して公開される情報の信頼性をさらに向上させることができる。
【0064】
なお、トレーサビリティ情報(公開情報)には、
図5等にて例示する米穀類情報、生産出荷情報、工場入荷情報、米加工情報、小分け情報および工場出荷情報を含めて、生産者に関する情報、生産者から出荷される米穀類に関する情報、米加工処理に関与した作業者に関する情報、米加工処理に関する日時情報、米加工処理に関する検査結果、米加工処理を行った米加工機を特定する情報、小分けされた米穀類に関する情報、流通経路に関する情報、出荷先情報および出荷までの間で情報コードが読み取られた位置を特定する位置情報、節減対策、農薬などの情報の少なくともいずれか1つが含まれてもよい。これにより、より詳細な情報が閲覧可能となることから閲覧される情報の信憑性が増すので、流通される米穀類に関して公開される情報の信頼性をさらに向上させることができる。また、流通経路の情報を生産者の出荷段階まで遡及し閲覧可能となることから、流通される米穀類の品質に関する瑕疵の原因追跡の精度をさらに向上させることができる。なお、上記情報コードが読み取られた位置を特定する位置情報は、例えば、情報端末30が有するGPS機能等を用いて、全地球測位システムで測定される情報端末30の位置に関する情報に基づいて求めることができる。
【0065】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る流通管理システムについて、
図17〜
図20を参照して説明する。
本第2実施形態に係る流通管理システム10は、小分け時に余った米穀類を適正に販売するために情報コードを別途用意する点が、上記第1実施形態に係る流通管理システムと異なる。したがって、第1実施形態の流通管理システムと実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
本実施形態では、上述したように精米処理後にその精米を小分けする小分け作業の際に、小分け袋B2の規定量に達しない余りが生じた場合、
図17に例示するように、一旦、残余用袋B3に入れた後、別の小分け時に生じた余りの精米と混合させて、規定量の小分け袋B2に入れて出荷する。残余用袋B3には、残余用の情報コードC3が付されている。この情報コードC3は、情報コードC1や情報コードC2と区別可能な情報コードであって、小分け用の情報コードC2に記録された工場出荷コード等の情報に関連付けられる残余コードが記録されるように生成される。
【0067】
以下、米穀類情報および生産出荷情報が一致する余りの精米、すなわち、同じブランドとなる余りの精米を混合する場合と、米穀類情報および生産出荷情報が異なる余りの精米を混合してブレンド米とする場合とについて説明する。
まず、米穀類情報および生産出荷情報が同じ精米を混合する際に、余った精米を残余用袋B3に入れるまでの作業等について、
図18に示すフローチャートを参照して説明する。
【0068】
小分作業者(加工作業者)は、上記第1実施形態と同様に、全ての小分け袋B2に入れられた精米の質量の測定および情報コードC2の読み取りが終了したことで終了操作した後(
図18のS311でYes)、余りの精米を残余用袋B3に入れる際、その残余用袋B3に付された情報コードC3を撮像部32により撮像する。このため、撮像された情報コードC3が読み取られて残余コードが取得される(S312)。これにより、米加工情報が生産出荷コードに関連付けられ、小分け情報が生産出荷コードおよび各工場出荷コードの双方に関連付けられるとともに、残余コードが生産出荷コードに関連付けられて、加工者用端末30bにより取得される。このように取得された情報は、加工者用端末30bにより、所定のタイミングにてサーバ20に対して送信される(S313)。これにより、サーバ20では、加工工場Sbの加工者用端末30bから、米加工情報および小分け情報に加えて、生産出荷コードに関連付けられた残余コードを取得することができる。
【0069】
そして、小分作業者は、上述のようなサーバ20への情報の送信を確認した後、各小分け袋B2を出荷用の保管場所等に一時保管し、一方、残余用袋B3を別の場所に保管する。
【0070】
次に、複数の残余用袋B3に入れられた精米を混合する際の作業等について、
図19に示すフローチャートを参照して説明する。
米穀類情報および生産出荷情報が一致することから同じブランドとなる各残余用袋B3に入れられた余りの精米の合計量が小分け袋B2の規定量に達すると、混合作業者(加工作業者)は、混合作業用のアプリケーションプログラムを起動させることで制御部31にて混合作業処理が開始された加工者用端末30bを用いて以下の様に混合作業時に必要な情報を取得する。
【0071】
まず、混合作業者は、混合作業開始時に、上記加工者用端末30bを用いて混合作業者を特定するための情報コードを撮像部32により撮像して読み取る。これにより、混合作業者名と混合日時とが混合作業共通情報として加工者用端末30bにより取得される(
図19のS501)。なお、混合日時は、上記情報コードが読み取れた日時に等しくなるように設定される。
【0072】
そして、混合作業者は、混合した精米を入れる小分け袋B2に付された情報コードC2を撮像部32により撮像する。これにより、撮像された情報コードC2が読み取られて工場出荷コードが取得される(S503)。続いて、混合作業者は、1つ目の残余用袋B3に付された情報コードC3を撮像部32により撮像し、この残余用袋B3から小分け袋B2に入れた精米の質量を質量計40cを用いて測定する。これにより、撮像された情報コードC3が読み取られて残余コードが取得されるとともに(S505)、質量計40cから受信した測定結果に基づいて残余用袋B3から小分け袋B2に入れた精米の質量が取得され(S507)、取得した残余コードに対して測定した精米の質量が自動的に関連付けられる。
【0073】
そして、混合作業者は、他の残余用袋B3の情報コードC3の読み取りおよび精米の質量の測定を繰り返し(S509でNo)、小分け袋B2にて混合された精米の質量が規定量に達すると、操作部34に対して終了操作する(S509でYes)。これにより、ステップS503にて読み取った工場出荷コードに関して、残余コードごとの質量比、すなわち、混合した残余用袋B3ごとの生産出荷コードおよびその質量比が関連付けられて加工者用端末30bにより取得される。
【0074】
このように取得された情報は、加工者用端末30bにより、所定のタイミングにてサーバ20に対して送信される(S511)。これにより、サーバ20では、同じブランドを混合させた小分け袋B2に関して、工場出荷コードおよび残余コードを基準に、混合前の精米に関する生産出荷コードとその質量比を取得することができ、このように取得した情報に基づいて制御部21にて行われる更新処理により記憶部24のデータベースが順次更新される。
【0075】
サーバ20では、残余用袋B3を混合させて袋詰めした小分け袋B2に記録する情報として、混合した其々の残余用袋B3の工場出荷情報や米加工情報の数値データが個別に記録されるようにしてもよい。
また、サーバ20では、工場出荷情報や米加工情報の数値データが、質量比に応じた平均値として更新されるようにしてもよい。例えば、工場入荷時質量が「31.1」となる残余用袋B3の精米と工場入荷時質量が「31.4」となる残余用袋B3の精米とを質量比2:1で混合させた場合には、その工場出荷コードに関して工場入荷時質量が「31.2」となる。なお、工場出荷情報や米加工情報の日付情報は、いずれか1つの日付、例えば、最も質量が多くなる残余コードに関連する生産出荷コードの対応する日付に一致させることができる。
【0076】
このようにしても、消費者等は、ユーザ用端末30cを利用して、同じブランド米を混合した販売用米穀袋(小分け袋B2)に付された情報コードC2を撮像することで読み取った工場出荷コードをもとに、上記公開サイトにアクセスすることで、その販売用米穀袋に入れられた精米(米穀類)に関する情報を容易に閲覧することができる。特に、同じブランド米を混合している場合でも、より正確なトレーサビリティ情報を閲覧可能とすることができる。
【0077】
次に、米穀類情報および生産出荷情報が異なる精米を混合してブレンド米とする際の作業等について以下に説明する。なお、混合作業者が行う作業は、同じブランド米を混合する場合と同じであるため、作業自体の詳細説明は一部省略する。
【0078】
混合作業者は、上述のように各残余用袋B3の情報コードC3の読み取りおよび精米の質量の測定を繰り返すことで、小分け袋B2にて混合された精米の質量が規定量に達すると、操作部34に対して終了操作する(S509でYes)。これにより、ステップS503にて読み取った工場出荷コードに関して、混合した残余用袋B3ごとの生産出荷コードおよび質量比が関連付けられて加工者用端末30bにより取得されて、サーバ20に送信される(S511)。
【0079】
そして、サーバ20では、米穀類情報および生産出荷情報が異なる精米を混合させたブレンド米の小分け袋B2に関して、工場出荷コードおよび残余コードを基準に、混合前の精米に関する生産出荷コードとその質量比が取得されて、記憶部24のデータベースが順次更新される。このため、サーバ20のデータベースでは、ブレンド米用の工場出荷コードには、ブレンドした精米の全ての生産出荷コードとこの生産出荷コードに対応する質量比が関連付けられている。
【0080】
例えば、生産出荷コード「C103−15061」が関連付けられる残余コードを記録した情報コードC3が付された残余用袋B3の精米と、生産出荷コード「F108−15022」が関連付けられる残余コードを記録した情報コードC3が付された残余用袋B3の精米とが、工場出荷コードが「01−159006」となる小分け袋B2にて質量比2:1で混合される場合には、
図20に例示するような情報がデータベースにて関連付けられる。すなわち、ブレンド米を含めた混合米には、1つの工場出荷コードに対して複数の生産出荷コードが質量比とともに関連付けられる。これに対して、上記第1実施形態のような精米が混合されない小分け袋B2の工場出荷コードには、
図12に例示するように、1つの生産出荷コードが関連付けられる。
【0081】
このため、消費者等は、ユーザ用端末30cを利用して、ブレンド米を入れた販売用米穀袋(小分け袋B2)に付された情報コードC2を撮像することで読み取った工場出荷コードをもとに、上記公開サイトにアクセスすることで、その販売用米穀袋に入れられた精米(米穀類)に関する情報を容易に閲覧することができる。すなわち、消費者等は、そのブレンド米に関して、どの品種をブレンドしているかだけでなく、より正確なトレーサビリティ情報として、ブレンド比率や混合前の精米の詳細情報も閲覧できるので、ブレンド米の信頼性を向上させることができる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態に係る流通管理システム10では、小分け時に余った精米(米穀類)を入れた残余用袋B3に対して、他の精米(米穀類)を入れた小分け袋B2と区別可能に残余コードを記録した情報コードC3が付される。これにより、小分け時に精米(米穀類)が余った場合でも、その余った精米(米穀類)を管理することが可能となる。その結果、余った精米を混合する場合には情報コードC3を読み取るようにしているので、余った精米(米穀類)を用いた水増しが抑制されて、余った精米(米穀類)を用いて水増しが行われていないことを容易に示すことができることから、公開される情報の信頼性を向上させることができる。
【0083】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明は、玄米から精米を加工して出荷する流通過程でのトレーサビリティ情報を公開するサービスに利用されることに限らず、例えば、加工工場Sbから玄米を出荷する流通過程でのトレーサビリティ情報を公開するサービスに利用されてもよいし、麦、粟、稗などの他の米穀類を出荷する流通過程でのトレーサビリティ情報を公開するサービスに利用されてもよい。このような場合でも、米穀類の米加工処理前に測定された工場入荷時質量(米加工前質量)と当該米穀類の米加工処理後に測定された米加工後質量との双方を公開することで、流通される米穀類に関して公開される情報の信頼性を向上させることができる。
【0084】
(2)上記各実施形態では、米穀袋B1や小分け袋B2、残余用袋B3は、例えば、ポリエチレンフィルム製の袋として構成されるが、これに限らず、通気性かつ防水性を有する袋から構成されてもよい。また、本発明では、米穀類を収容可能であって情報コードを付すことが可能なものであれば、例えば、金属製の容器等であっても本願発明における袋として採用することができる。
【0085】
(3)
図21に例示するように、米加工処理前に計測処理を追加して、玄米(米穀類)の投入(時間)・計測(時間/質量)時の情報を、直接または加工者用端末30b等を介してサーバ20に送信してもよい。また、他の情報も、直接または加工者用端末30b等を介してサーバ20に送信してもよい。