特開2017-206372(P2017-206372A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-206372粒状体用分配装置及び粒状体用分配方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-206372(P2017-206372A)
(43)【公開日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】粒状体用分配装置及び粒状体用分配方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/40 20060101AFI20171027BHJP
【FI】
   B65G65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-101050(P2016-101050)
(22)【出願日】2016年5月20日
(71)【出願人】
【識別番号】595171967
【氏名又は名称】山口技商株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆
【テーマコード(参考)】
3F075
【Fターム(参考)】
3F075AA08
3F075BA01
3F075BB05
3F075CA04
3F075CA06
3F075CA09
3F075CD12
3F075DA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高さが抑えられて、設置箇所が制限されにくい粒状体用分配装置を提供する。
【解決手段】粒状体用分配装置を、移送対象物50を受け入れるための受入口10aを上部に有するホッパー10を備えたものとし、ホッパー10における各側面部を、その上端部における点Pを中心としてその下端側が外方に回動して開くように支持された扉体11によって形成した。各扉体11は、その下側になるに連れてホッパー10の中心に近くなるように傾斜される。この粒状体用分配装置では、全ての扉体11を閉じると、ホッパー10内に受け入れられた移送対象物50がホッパー10内に貯留される一方、いずれかの扉体11を開くと、その箇所からホッパー10内の移送対象物50がホッパー10の下方へと落下する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送対象物である粒状体の移送先を切り替えるための粒状体用分配装置であって、
移送対象物を受け入れるための受入口を上部に有するホッパーを備え、
ホッパーにおける各側面部が、その下側になるに連れてホッパーの中心に近くなるように傾斜して形成されるとともに、その上端部を中心としてその下端側が外方に回動して開くように支持された扉体によって形成され、
全ての扉体を閉じると、ホッパー内に受け入れられた移送対象物がホッパー内に貯留される一方、
いずれかの扉体を開くと、その箇所からホッパー内の移送対象物がホッパーの下方へと落下するようにした
ことを特徴とする粒状体用分配装置。
【請求項2】
扉体の開閉を行うための扉体開閉手段が、扉体ごとに設けられ、
それぞれの扉体開閉手段が、
その基端側の点Pをホッパー又はその周辺部材における不動箇所に対して回動可能な状態で支持された第一回動アームと、
その基端側の点Pを第一回動アームの先端側に対して回動可能な状態で支持され、その先端側の点Pを扉体に対して回動可能な状態で支持された第二回動アームと、
その下端側を第一回動アームの中途部分に対して連結された昇降部材と、
昇降部材を昇降させるための昇降駆動装置と、
で構成されて、
昇降部材を上昇させると、扉体が開くようにする一方、
昇降部材を下降させると、扉体が閉じるようにするとともに、
扉体を完全に閉じたときに、点Pと点Pを結ぶ線分Pよりも下側に点Pが位置するようにしたことによって、閉じた扉体にロックがかかるようにした
請求項1記載の粒状体用分配装置。
【請求項3】
ホッパーの内底部に、各扉体に向かって気体を噴射可能なノズルが設けられ、
複数のノズルのうち、開かれた一の扉体に対向する他の扉体に向けられたノズルから気体を噴射し、当該気体が前記他の扉体に反射されて前記一の扉体側に吹き抜けるようにすることによって、ホッパー内に残留する移送対象物のパージを行うことができるようにした
請求項1又は2記載の粒状体用分配装置。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載の粒状体用分配装置を用いて移送対象物の移送先の切り替えを行うことを特徴とする粒状体用分配方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移送対象物である粒状体の移送先を切り替えるための粒状体用分配装置と、これを用いて移送対象物の移送先の切り替えを行う粒状体用分配方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
分配装置(ディストリビュータ)は、製造工場において原料の移送先を切り替えるため等に用いられている。例えば、飼料は、小麦や大豆やトウモロコシ等、粒状を為す複数種類の原料を配合することによって製造されるところ、飼料製造工場では、原料を搬入するコンベア等の搬入装置が原料の種類ごとに設けられていることは少なく、通常は、各原料に共通の搬入装置によって原料を搬入し、搬入装置よりも後段に設けた分配装置によって、原料の移送先(サイロ等)を切り替えるようになっている。
【0003】
分配装置は、移送対象物の性状等に応じて、様々な種類のものが提案されている。例えば、上記の小麦等、粒状を為す移送対象物の移送先を切り替える粒状体用分配装置としては、移送対象物を受け入れるための上側開口(受入口)と移送対象物を送出するための下側開口(送出口)とが水平方向に偏心して設けられた1本のシュートを受入口の中心を通る鉛直線回りに旋回させる構造(以下においては、「シュート旋回構造」と呼ぶことがある。)のものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
シュート旋回構造を有する粒状体用分配装置においては、シュート(特許文献1の第2図における「シューター1」を参照)の上側に、移送対象物をシュートの受入口(同図における「搬入口2」を参照)に導入するためのホッパー(同図における「ホッパー3」を参照)が配され、シュートの下側に、互いに異なる移送先に接続された複数の移送路におけるそれぞれの導入口(同図における「分配開口部8」を参照)が同一円周上に配される。これにより、シュートの旋回角度(向き)を切り替えることによって、シュートの送出口(特許文献1の第2図における「供給口4」を参照)が接続する導入口を切り替えることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−122728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、シュート旋回構造を有する粒状体用分配装置は、それを設置するスペースに高さを要し、それを設置できる箇所が制限されるという欠点を有していた。というのも、シュート旋回構造を有する粒状体用分配装置においては、ホッパーの下側にシュートを設ける必要があることに加えて、移送対象物は、シュート内を重力によって滑り落ちるため、シュートの傾斜を緩やかにすると、シュート内に移送対象物が引っ掛かるおそれがあるところ、これを防ぐためには、シュートの傾斜をある程度強くする必要があったからである。シュートの傾斜を強くすると、当然ながら、シュートの高さは増大する。また、シュート旋回構造を有する粒状体用分配装置は、シュートの旋回に大きな動力を要し、動力機構が大掛かりなものとなりやすいという欠点も有していた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、高さが抑えられて、設置箇所が制限されにくい粒状体用分配装置を提供するものである。また、シュートを旋回させる必要がなく、大掛かりな動力機構を要しない粒状体用分配装置を提供することも本発明の目的である。加えて、本発明の粒状体用分配装置を用いて移送対象物の移送先の切り替えを行う粒状体用分配方法を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、
移送対象物である粒状体(小さな粒状体(粉状体)も含む。)の移送先を切り替えるための粒状体用分配装置であって、
移送対象物を受け入れるための受入口を上部に有するホッパーを備え、
ホッパーにおける各側面部が、その下側になるに連れてホッパーの中心に近くなるように傾斜して形成されるとともに、その上端部を中心としてその下端側が外方に回動して開くように支持された扉体によって形成され、
全ての扉体を閉じると、ホッパー内に受け入れられた移送対象物がホッパー内に貯留される一方、
いずれかの扉体を開くと、その箇所からホッパー内の移送対象物がホッパーの下方へと落下するようにした
ことを特徴とする粒状体用分配装置
を提供することによって解決される。
【0009】
本発明の粒状体用分配装置におけるそれぞれの扉体の下方には、通常、移送対象物を目的の移送先へと送出する移送路の導入口が配される。一の扉体の下方に配された導入口と、他の扉体の下方に配された導入口とは、通常、互いに独立した移送路(移送先の異なる移送路)のものとされる。本発明の粒状体用分配装置は、ホッパーの側面部を形成する扉体を開くと、その開いた扉体の下方へと移送対象物が落下するようになっており、開く扉体を切り替えることによって、移送対象物の移送先(移送対象物が導入される移送路)を切り替えることができるようになっている。このように、本発明の粒状体用分配装置では、ホッパー自体が分配機能を奏するようになっているため、旋回するシュート等を設ける必要がない。したがって、本発明の粒状体用分配装置は、高さを抑えることができ、設置箇所が制限されにくいものとなっている。加えて、シュート等を旋回させる大掛かりな動力機構を設ける必要もないものとなっている。
【0010】
本発明の粒状体用分配装置において、各扉体の開閉は、人手により行うようにしてもよいが、扉体の開閉を行うための扉体開閉手段を、扉体ごとに設け、各扉体の開閉を機械的に行うようにすると好ましい。この場合、それぞれの扉体開閉手段の具体的な構成は、特に限定されないが、以下のようにすると好ましい。
【0011】
すなわち、
それぞれの扉体開閉手段を、
その基端側の点Pをホッパー又はその周辺部材における不動箇所に対して回動可能な状態で支持された第一回動アームと、
その基端側の点Pを第一回動アームの先端側に対して回動可能な状態で支持され、その先端側の点Pを扉体に対して回動可能な状態で支持された第二回動アームと、
その下端側を第一回動アームの中途部分に対して連結された昇降部材と、
昇降部材を昇降させるための昇降駆動装置と、
で構成し、
昇降部材を上昇させると、扉体が開くようにする一方、
昇降部材を下降させると、扉体が閉じるようにするとともに、
扉体を完全に閉じたときに、点Pと点Pを結ぶ線分Pよりも下側に点Pが位置するようにしたことによって、閉じた扉体にロックがかかるようにする
と好ましい。
【0012】
これにより、昇降駆動装置による昇降部材の下降が終了した後に、閉じられた扉体とホッパー本体との間に隙間が形成されないようにし、ホッパー内の移送対象物が意図しない移送路の導入口へと漏れて落下しないようにすることが可能になる。すなわち、昇降駆動装置としては、通常、エアシリンダや油圧シリンダ等の流体圧シリンダが用いられるところ、これらの流体圧シリンダに流体圧が加えられなくなった状態であっても、第一回動アームや第二回動アームによる突っ張りの力を、扉体を閉じる向き(扉体の開放に抗う向き)に作用させることが可能になり、閉じられた扉体を閉方向に押し付けた状態とすることができる。
【0013】
本発明の粒状体用分配装置においては、ホッパーの内底部に、各扉体に向かって気体を噴射可能なノズルを設け、複数のノズルのうち、開かれた一の扉体に対向する他の扉体に向けられたノズルから気体を噴射し、当該気体が前記他の扉体に反射されて前記一の扉体側に吹き抜けるようにすることによって、ホッパー内に残留する移送対象物のパージを行うことができるようにすることも好ましい。これにより、一の移送対象物の分配を完了した後のホッパー内に、当該一の移送対象物が残留しないようにして、当該一の移送対象物が、その後にホッパー内に受け入れられた他の移送対象物に混入するのを防ぐことが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によって、高さが抑えられて、設置箇所が制限されにくい粒状体用分配装置を提供することが可能になる。また、シュートを旋回させる必要がなく、大掛かりな動力機構を要しない粒状体用分配装置を提供することも可能になる。加えて、本発明の粒状体用分配装置を用いて移送対象物の移送先の切り替えを行う粒状体用分配方法を提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】全ての扉体が閉じられた状態の粒状体用分配装置を示した断面図である。
図2】一の扉体が開かれた状態の粒状体用分配装置を示した断面図である。
図3】全ての扉体が閉じられた状態の粒状体用分配装置を上方から見た平面図である。
図4】粒状体用分配装置におけるパージ手段を示したシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の粒状体用分配装置の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、全ての扉体11が閉じられた状態の粒状体用分配装置を示した断面図である。図2は、一の扉体11aが開かれた状態の粒状体用分配装置を示した断面図である。図3は、全ての扉体11が閉じられた状態の粒状体用分配装置を上方から見た平面図である。図4は、粒状体用分配装置におけるパージ手段40を示したシステム図である。図1及び図2は、粒状体用分配装置を図3におけるA−A面に相当する平面で切断した状態を示した断面図となっている。図3では、図1及び図2における天板部32等の一部の部材を省略して描いている。
【0017】
本発明の粒状体用分配装置は、移送対象物である粒状体の移送先を切り替えるためのものとなっている。本実施態様において、粒状体用分配装置は、図1に示すように、移送対象物50を受け入れるための受入口10aを上部に有するホッパー10を備えたものとなっている。ホッパー10の受入口10aの上方には、コンベア等の搬入装置60が設けられ、搬入装置60により搬入されてきた移送対象物50がホッパー10の受入口10aに受け入れられるようになっている。ホッパー10は、下側になるにつれて断面積が狭くなるように漏斗状に形成されており、ホッパー10における各側面部は、その下側になるに連れてホッパー10の中心に近くなるように傾斜した状態となっている。このため、受入口10aに投入された移送対象物50は、ホッパー10の底部付近へと滑り落ちるようになっている。
【0018】
また、ホッパー10の各側面部は、その上端部における点Pを中心としてその下端側が外方に回動(図2における矢印δを参照)して開くように支持された扉体11によって形成されている。扉体11は、1つのホッパー10につき、2枚以上設けられる。それぞれの扉体11の下方には、移送対象物50を目的の移送先へと送出する移送路70の導入口70aが配される。それぞれの移送路70は、タンクやサイロ等の目的の移送先へと接続される。一の扉体11(第一の扉体11a)の下方に配された導入口70aと、他の扉体11(第二の扉体11b)の下方に配された導入口70aは、移送先の異なる移送路70のものとなっている。このため、図1に示すように、全ての扉体11を閉じると、ホッパー10内に受け入れられた移送対象物50は、ホッパー50内に貯留される一方、図2に示すように、いずれかの扉体11を開くと、ホッパー10内に受け入れられた移送対象物50は、開かれた扉体11の下方に位置する導入口70aへと落下(図2における矢印γを参照)するようになっている。すなわち、開く扉体11を切り替えることによって、移送対象物50の移送先を切り替えることができるようになっている。
【0019】
1つのホッパー10に設ける扉体11の具体的な枚数は、粒状体用分配装置の仕様(分配数等)やホッパー10の形態によっても異なり、特に限定されない。しかし、扉体11の枚数は、通常、粒状体用分配装置による分配数に一致するため、扉体11の枚数が少ないと、粒状体用分配装置の分配数を確保できなくなる。このため、扉体11の枚数は、3枚以上とすると好ましく、4枚以上とするとより好ましい。一方、扉体11の枚数を多くしすぎると、ホッパー10における、1枚の扉体11によって塞がれる開口部の面積が狭くなり、ホッパー10内から移送対象物が送出されにくくなる虞がある。このため、扉体11の枚数は、10枚以下とすると好ましく、8枚以下とするとより好ましい。本実施態様においては、ホッパー10を、逆二等辺三角形状(底辺が上側になる二等辺三角形状)の4つの側面を有する逆四角錐状(底面が上側になる四角錐状)に形成しており、図3に示すように、ホッパー10には、二等辺三角形状を為す4枚の扉体11(第一の扉体11a、第二の扉体11b、第三の扉体11c及び第四の扉体11d)を設けている。
【0020】
粒状体分配装置10において、ホッパー10は、各側面部における少なくとも下部が上記の扉体11によって形成されたものであれば、その具体的な構造は、特に限定されない。しかし、本実施態様においては、図1及び図2に示すように、ホッパー10の各側面部における略全体を扉体11によって形成している。このため、ホッパー10における、扉体11を開くことによって開放される開口部の面積を広く確保し、ホッパー10内に受け入れられた移送対象物50がホッパー10から送出されやすくすることが可能となっている。本実施態様において、ホッパー10を逆四角錐状に形成したことについては、既に述べた通りである。この点、本実施態様においては、図3に示すように、その逆四角錐の各側辺(斜め上下方向に延びる辺)に相当する部分に沿って計4本の縦フレーム12を配するとともに、その逆四角錐の各底辺(水平方向に延びる辺)に沿って計4本の横フレーム13を配しており、隣り合う一対の縦フレーム12と1本の横フレーム13との間に形成される三角形状の開口部が、それぞれの扉体11によって塞がれるようにしている。
【0021】
それぞれの扉体11は、人手によって開閉するようにしてもよいが、本実施態様においては、図3に示すように、扉体11ごとに計4組の扉体開閉手段20を設けており、扉体11を機械的に開閉することができるようにしている。一の扉体11に設けられた扉体開閉手段20と、他の扉体11に設けられた扉体開閉手段20は、互いに独立して制御することができるようになっており、それぞれの扉体11の開閉を独立して制御することが可能となっている。扉体開閉手段20の具体的な構造は、扉体11を開閉できるものであれば、特に限定されない。本実施態様においては、それぞれの扉体開閉手段20を、第一回動アーム21と、第二回動アーム22と、昇降部材23と、昇降駆動装置24とで構成している。
【0022】
図1及び図2に示すように、第一回動アーム21及び第二回動アーム22は、棒状部材によって形成されている。第一回動アーム21の基端部における点Pは、ホッパー10の周辺部材における不動箇所(本実施態様においては、粒状体用分配装置のケーシング30における側板部31の上部付近)に対して回動可能な状態で支持されている。また、第二回動アーム22の基端部における点Pは、第一回動アーム21の先端側に対して回動可能な状態で連結されており、第二回動アーム22の先端部における点Pは、扉体11の外面から外方に突出して設けられた突片部に対して回動可能な状態で連結されている。さらに、昇降部材23は、その下端部から側方に突出して断面鍵状の軸部23aが設けられており、この軸部23aを第一回動アーム21の中途部分に設けられた長孔21aに挿通して連結されている。さらにまた、昇降駆動装置24は、昇降部材23を昇降させるためのものとなっており、粒状態様分配装置のケーシング30における天板部32に固定されている。昇降駆動装置24は、昇降動作を行うことができるものであれば、特に限定されないが、通常、エアシリンダや油圧シリンダ等の流体圧シリンダが用いられる。本実施態様においても、エアシリンダを昇降駆動装置24として用いている。上記の昇降部材は、このエアシリンダの出力軸(ピストン)の下端部に固定されている。
【0023】
この扉体開閉機構20では、昇降駆動装置24によって昇降部材23を上昇させると、図2に示すように、第一回動アーム21の中途部分における点Qが昇降部材23によって押し上げられて、扉体11が、その上端部における点Pを中心として開方向(同図における矢印δを参照)に回動する一方、昇降駆動装置24によって昇降部材23を下降させると、図1に示すように、第一回動アーム21の中途部分における点Qが昇降部材23によって押し下げられて、扉体11が、その上端部における点Pを中心として閉方向に回動するようになっている。本実施態様においては、図1に示すように、扉体11を完全に閉じたときに、点Pと点Pを結ぶ線分Pよりも下側に点Pが位置するようにしており、閉じた扉体11にロックがかかるようになっている。すなわち、エアシリンダ(昇降駆動装置24)に空気圧が加えられなくなった状態であっても、第一回動アーム21や第二回動アーム22による突っ張りの力を、扉体11を閉じる向きに作用させ、閉じられた扉体11を閉方向に押し付けた状態とすることができるようになっている。このため、昇降駆動装置24による昇降部材23の下降が終了した後に、閉じられた扉体11の内面とホッパー本体(ホッパー10の縦フレーム12)の外面との間に隙間が形成されないようにし、ホッパー10内の移送対象物50が意図しない移送路70の導入口70aへと漏れて落下しないようにすることが可能となっている。
【0024】
ところで、本実施態様の粒状体用分配装置においては、図1及び図2に示すように、ホッパー10内に残留する移送対象物50をパージするためのパージ手段40を設けている。具体的には、ホッパー10の内底部に、各扉体11に向かって気体を噴射可能なノズル41を設けている。これらのノズル41は、図4に示すように、切換弁42を介して気体供給源43に接続されている。切換弁42は、ノズル41ごとに独立して設けられている。すなわち、それぞれのノズル41からの気体の噴射は、ノズル41ごとに独立して制御することができるようになっている。気体供給源43としては、エアコンプレッサー等の気体加圧装置等が例示される。
【0025】
このパージ手段40を設けたことによって、複数のノズル41のうち、図2に示すように、開かれた一の扉体(第一の扉体11a)に対向する他の扉体(第二の扉体11b)に向けられたノズル41から気体を噴射し、当該気体が前記他の扉体(第二の扉体11b)に反射されて前記一の扉体(第一の扉体11a)側に吹き抜けるようにする(同図における矢印εを参照)ことによって、ホッパー10内に残留する移送対象物50のパージを行うことができるようになっている。したがって、ある種類の移送対象物50の分配を完了した後のホッパー10内に、当該ある種類の移送対象物50が残留しないようにし、当該ある種類の移送対象物が、その後にホッパー50内に受け入れられる他の移送対象物に混入するのを防ぐことができるようになっている。
【0026】
上述した本実施態様の粒状体用分配装置は、移送対象物50を4方向に分配することが可能なものとなっている。粒状体用分配装置を多段に設けると、さらに多方向に分配させることも可能である。例えば、一の粒状体用分配装置の下方に配された複数本の移送路70のうち、1本の移送路70に、他の粒状体用分配を1つ配置すれば、7方向に分配させることが可能であり、一の粒状体用分配装置の下方に配された複数本の移送路70の全てに、他の粒状体用分配装置を1つずつ配置すれば、16方向に分配させることが可能である。粒状体用分配装置で移送する移送対象物50は、粒状体(小さい粒状体(粉状体)を含む。)であれば、特に限定されない。本実施態様の粒状体用分配装置は、小麦や大豆やトウモロコシ等の穀類を好適に分配することができ、飼料製造工場等において好適に用いることができるものではあるが、他の用途においても好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0027】
10 ホッパー
10a 受入口
11 扉体
11a 第一の扉体
11b 第二の扉体
11c 第三の扉体
11d 第四の扉体
12 縦フレーム
13 横フレーム
20 扉体開閉手段20
21 第一回動アーム
21a 長孔
22 第二回動アーム
23 昇降部材
23a 軸部
24 昇降駆動装置
30 ケーシング
31 側板部
32 天板部
40 パージ手段
41 ノズル
42 切換弁
43 気体供給源
50 移送対象物
60 搬入装置
70 移送路
70a 導入口
扉体の回動中心
第一回動アームの基端側の回動中心
第二回動アームの基端側の回動中心
第二回動アームの先端側の回動中心
第一回動アームの中途部分の押下点
第一回動アームの中途部分の押上点
α 移送対象物の搬入方向
β 全ての扉体が閉じている状態における移送対象物の落下方向
γ 一の扉体が開いている状態における移送対象物の落下方向
δ 扉体の開放方向
ε パージ気体の流れ
図1
図2
図3
図4