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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-206468(P2017-206468A)
(43)【公開日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】リソソーム活性促進剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/185 20060101AFI20171027BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20171027BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20171027BHJP
   A61K 8/97 20170101ALI20171027BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20171027BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20171027BHJP
   A61K 36/8994 20060101ALI20171027BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20171027BHJP
   A23L 33/105 20160101ALN20171027BHJP
【FI】
   A61K36/185
   A61P17/00
   A61P43/00 111
   A61K8/97
   A61Q19/00
   A61P17/16
   A61P43/00 107
   A61K36/8994
   A61Q19/02
   A23L33/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-100490(P2016-100490)
(22)【出願日】2016年5月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】原田 靖子
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】坂田 綾
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD48
4B018MD51
4B018ME14
4B018MF01
4C083AA111
4C083AA112
4C083CC01
4C083CC02
4C083EE12
4C083EE16
4C083FF01
4C088AB25
4C088AB77
4C088AC04
4C088BA08
4C088BA10
4C088CA03
4C088CA06
4C088MA52
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZB22
4C088ZC02
(57)【要約】
【課題】新規なリソソーム活性促進剤を提供する。
【解決手段】イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物の抽出物及び/又はカバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物の抽出物からなる、リソソーム活性促進剤。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物の抽出物及び/又はカバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物の抽出物からなる、リソソーム活性促進剤。
【請求項2】
イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物の抽出物及びカバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物の抽出物の混合物からなる、請求項1に記載のリソソーム活性促進剤。
【請求項3】
イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物が、ハトムギ(Coix lacryma-jobi var. ma-yuen)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリソソーム活性促進剤。
【請求項4】
カバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物が、シラカバ(Betula platyphylla)であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載のリソソーム活性促進剤。
【請求項5】
ヒアルロン酸の産生促進のために用いられることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のリソソーム活性促進剤。
【請求項6】
外用剤又は経口剤である、請求項1〜5の何れかに記載のリソソーム活性促進剤。
【請求項7】
リソソーム活性を指標とすることを特徴とする、ヒアルロン酸産生促進作用を有する成分のスクリーニング方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソソーム活性促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
リソソームは、真核生物が持つ細胞小器官の一つであり、内部に加水分解酵素を持つ細胞内消化の場である。エンドサイトーシスやオートファジーによって膜内に取り込まれた生体高分子はリソソームにおいて分解され、分解物のうち有用なものは、細胞質に吸収され再利用され、不用物はエキソサイトーシスによって細胞外に廃棄されるか、残余小体として細胞内に留まる。
【0003】
リソソームの活性は種々の疾患に関わっていることが知られている。代表的な疾患としては、リソソーム蓄積症が知られている。リソソーム蓄積症は、多くの場合リソソーム内で働く加水分解酵素の欠損または変異によって当該酵素の基質が分解されずに沈着物として細胞内に蓄積することによって発症する。リソソーム蓄積症には、広範な臨床的不均一性および生物学的多様性があり、脂質蓄積症、ムコ多糖症、ムコ脂質症、および糖タンパク質蓄積症が含まれる(特許文献1及び2参照)。
【0004】
他方、ケラチノサイト内におけるリソソーム活性を向上させメラノソームタンパク質の分解を促進することにより美白効果が得られることが知られている(特許文献3、非特許文献1及び2)。
【0005】
また、リソソーム内酵素であるカテプシンB1、Dがコラーゲンを分解すること(非特許文献3)、ヒアルロン酸がリソソーム内に取り込まれ分解されること(非特許文献4)、若年者の皮膚と比較し、高齢者の皮膚では断片化されたコラーゲン量が有意に多いこと(非特許文献5)が知られている。
【0006】
ところで、ヒアルロン酸は皮膚の真皮に多く存在するムコ多糖で、皮膚の保湿や弾力性に寄与する。そして、その量は加齢とともに減少することが知られており、従来、ヒアルロン酸の産生を促進する素材は、抗老化や保湿を目的とした化粧料等に利用されてきた。
例えばシスタス、茶、ナタネ、およびソバの花粉または花粉荷の抽出物にはヒアルロン酸の産生促進効果があることが知られ、抗老化皮膚外用剤に使用できることが知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2014−517015号公報
【特許文献2】特表2014−523881号公報
【特許文献3】特開2015−10071号公報
【特許文献4】特開2008−133270号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】富士フイルム株式会社、“シミの原因となるメラニン色素が表皮細胞内で分解される現象を実証 美白有用成分「AMA(エーエムエー)」にメラニン色素分解促進効果を確認”、[online]、2013年11月28日、[平成28年3月24日検索]、インターネット〈URL:http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0831.html〉
【非特許文献2】富士フイルム株式会社、“タンパク質分解酵素「カテプシンV」がシミの原因となるメラニン色素を含むメラノソームの分解に関与することを発見 米ぬか脂質に含有される「オリザノール」が、メラノソームの分解を促すことを確認”、[online]、2015年11月5日、[平成28年3月24日検索]、インターネット〈URL:http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1020.html〉
【非特許文献3】Biochem. J. (1974) 137, 387-398
【非特許文献4】Matrix Biol. 2002 Jan;21(1):15-23.
【非特許文献5】The Journal of Investigative Dermatology vol. 120, No. 5 may 2003.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したようにリソソームは種々の疾患に関連しており、その活性を向上させ得る成分の開発が望まれている。そこで、本発明は、新規なリソソーム活性促進剤を提供することを第1の課題とする。
【0010】
また、上述の通り加齢に伴いヒアルロン酸は減少することが知られており、ヒアルロン酸の産生を促進する成分の開発が望まれている。そこで、本発明は新規なヒアルロン酸産生促進剤を提供することを第2の課題とする。
【0011】
また、ヒアルロン酸産生促進作用を有する成分の新規のスクリーニング方法を提供することを第3の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは鋭意研究努力の結果、イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物の抽出物、カバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物の抽出物、及びこれらの混合物に、リソソームの活性を向上させる作用があることを見出した。
本発明者らは、以上の知見に基づいて、本発明を完成させた。
【0013】
前記第1の課題を解決する本発明は、イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物の抽出物及び/又はカバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物の抽出物からなるリソソーム活性促進剤である。
本発明のリソソーム活性促進剤は、リソソームの活性低下に起因する疾患の治療若しくは予防や、リソソームの活性に関連する生体機能の向上に有用である。
【0014】
本発明の酵素活性化剤の好ましい形態では、イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物の抽出物及びカバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物の抽出物の混合物からなる。
このような形態の本発明によれば、上記2種の植物抽出物の相乗効果によって、より優れたリソソーム活性促進効果が得られる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物は、ハトムギ(Coix lacryma-jobi var. ma-yuen)であり、カバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物は、シラカバ(Betula platyphylla)である。
【0016】
本発明のリソソーム活性促進剤は、ヒアルロン酸産生促進作用に優れる。そのため、本発明のリソソーム活性促進剤はヒアルロン酸の産生促進のために用いることができる。
【0017】
本発明のリソソーム活性促進剤は外用剤又は経口剤の形態とすることが好ましい。
【0018】
また、本発明者らは鋭意研究努力の結果、イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物の抽出物及びカバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物の抽出物の混合物に、ヒアルロン酸の産生を促進する作用があることを見出した。
本発明者らは、以上の知見に基づいて、本発明を完成させた。
【0019】
前記第2の課題を解決する本発明は、イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物の抽出物及び/又はカバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物の抽出物からなるヒアルロン酸産生促進剤である。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤の好ましい形態は、上述のリソソーム活性促進剤に係る発明と同様である。
【0020】
また、前記第3の課題を解決する本発明は、リソソーム活性を指標とすることを特徴とする、ヒアルロン酸産生促進作用を有する成分のスクリーニング方法である。
本発明によれば、ヒアルロン酸の産生量を直接測定せずとも、リソソームの活性を測定することによりヒアルロン酸産生促進作用を有する成分をスクリーニングすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のリソソーム活性促進剤は、リソソームの活性を向上させる作用に優れる。
また、本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、ヒアルロン酸の産生を促進する効果に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】試験例1の結果を表す棒グラフである。線維芽細胞の培養液にハトムギ抽出物、シラカバ抽出物又はこれらの混合物を添加したときのリソソーム活性を表す。
図2】試験例2の結果を表す棒グラフである。表皮細胞の培養液にハトムギ抽出物とシラカバ抽出物の混合物を添加したときのリソソーム活性を表す。
図3】試験例2の結果を表す棒グラフである。線維芽細胞の培養液にハトムギ抽出物とシラカバ抽出物の混合物を添加したときのリソソーム活性を表す。
図4】試験例3の結果を表す棒グラフである。表皮細胞の培養液にハトムギ抽出物、シラカバ抽出物又はこれらの混合物を添加して一晩培養した後のヒアルロン酸合成酵素の遺伝子発現量を表す。比較例として、表皮細胞の培養液にゲンチアナ、ゲンチアナとハトムギの混合物、ゲンチアナとシラカバの混合物を添加した。
図5】試験例3の結果を表す棒グラフである。線維芽細胞の培養液にハトムギ抽出物、シラカバ抽出物又はこれらの混合物を添加して一晩培養した後のヒアルロン酸合成酵素の遺伝子発現量を表す。
図6】試験例4の結果を表す棒グラフである。表皮細胞の培養液にリソソーム活性阻害剤であるLeupeptin, Pepstatinの混合物を添加して培養した後のヒアルロン酸の産生量を表す。
図7】試験例4の結果を表す棒グラフである。線維芽細胞の培養液にリソソーム活性阻害剤であるLeupeptin, Pepstatinの混合物を添加して培養した後のヒアルロン酸の産生量を表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<1>リソソーム活性促進剤
本発明のリソソーム活性促進剤は、イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物の抽出物及び/又はカバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物の抽出物からなる。
【0024】
本発明で用いるイネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物としては、例えばジュズダマ(Coix lachryma-jobi L.)、及びその変種であるオニジュズダマ(Coix lachryma-jobi var.maxima Makino)、ナガミノジュズダマ(Coix lachryma-jobi var.stenocarpa Stapf.)、ジュズダマの栽培変種であるハトムギ(Coix lachryma-jobi var.ma-yuen)などが挙げられるが、ハトムギ(Coix lacryma-jobi var. ma-yuen)が特に好ましく挙げられる。
ジュズダマ属に属する植物の抽出物を得る際の抽出部位は、特に限定されず、全草若しくは葉、茎、根、花、種子から選ばれる1種又は2種以上を用いて、抽出物を得ることができる。このなかでも、特に種子から得られる抽出物が好ましい。
【0025】
本発明で用いるカバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物としては、例えば、シラカバ(Betula platyphylla)、北米産シラカバ(Betula lenta)、ヨーロッパシラカバ(Betula pendula)等が挙げられるが、シラカバ(Betula platyphylla)が特に好ましく挙げられる。
カバノキ属に属する植物の抽出物を得る際の抽出部位は、特に限定されず、植物の葉、樹皮、木部から選ばれる1種又は2種以上を用いて、抽出物を得ることができる。このなかでも、特に樹皮から得られる抽出物が好ましい。
【0026】
本発明における前記の植物の抽出物は、日本において自生又は生育された植物、漢方生薬原料などとして販売される日本産のものを用い抽出物を作製することも出来るし、丸善株式会社などの植物抽出物を扱う会社より販売されている市販の抽出物を購入し、使用することも出来る。
【0027】
抽出に際し、植物体、地上部、木幹部、根茎部又は種子は予め、粉砕或いは細切して抽出効率を向上させるように加工することが好ましい。抽出物は、植物体、地上部、木幹部、根茎部もしくは種子またはその乾燥物1質量に対して、溶媒を1〜30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬する。浸漬後は、室温まで冷却し、所望により不溶物を除去した後、溶媒を減圧濃縮するなどにより除去することができる。その後、シリカゲルやイオン交換樹脂を充填したカラムクロマトグラフィ−などで分画精製し、所望の抽出物を得ることができる。
【0028】
抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましく、水、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、ブタノ−ルなどのアルコ−ル類、1,3−ブタンジオ−ル、ポリプロピレングリコ−ルなどの多価アルコ−ル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフランなどのエ−テル類から選択される1種乃至は2種以上が好適に例示出来る。
【0029】
本発明のリソソーム活性促進剤は、イネ科ジュズダマ属に属する植物の抽出物と、カバノキ科カバノキ属に属する植物の抽出物の混合物を含む形態とすることが好ましい。このような実施の形態とすることによって、2種の植物の抽出物の相乗効果によって、より優れたリソソーム活性促進作用を得ることができる。
この場合、リソソーム活性促進剤におけるイネ科ジュズダマ属に属する植物とカバノキ科カバノキ属に属する植物の抽出物の乾燥質量比は、好ましくは1000:1〜1:1000、より好ましくは100:1〜1:100、さらに好ましくは20:1〜1:20、さらに好ましくは10:1〜1:10である。
【0030】
本発明のリソソーム活性促進剤は外用剤又は経口剤の形態とすることが好ましい。
外用剤としては化粧料、医薬部外品、医薬品などが好適に例示でき、本発明の効果を損ねない限度において、通常使用される任意成分を含有することもできる。このような任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、2,4−ヘキサンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤;桂皮酸系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0031】
経口剤としては、例えば、菓子やパン、麺などの一般食品、ドリンク製剤、カプセル剤や錠剤の形態をとる健康増進の目的を有する食品群(例えば、特定保健用食品等)、顆粒剤、粉末剤、カプセル剤や、錠剤の形態をとる経口投与医薬品等が例示できる。
経口剤の形態とする場合においては、許容される任意成分を含有することができる。この様な任意成分としては、食品であれば、塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、酢等の調味成分、着色成分、フレーバー等の矯臭成分、増粘剤、乳化・分散剤、保存料、安定剤、各種ビタミン類等が好適に例示でき、健康増進の目的を有する食品群や医薬品であれば、結晶セルロース、乳糖等の賦形剤、アラビヤガムやヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤、クロスカルメロースナトリウム、デンプン等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、矯味、矯臭剤、着色剤、各種ビタミン類等が好ましく例示できる。これらを常法に従って処理することにより、本発明の経口投与組成物を製造することができる。
【0032】
経口剤における前記植物の抽出物の総含有量は、固形分として、0.05〜100質量%、より好ましくは30〜80質量%とすることができる。
また、固形分として前記植物の抽出物を1日あたり10〜1000mgを1回又は数回に分けて飲用する形態とすることが好ましい。
【0033】
本発明のリソソーム活性促進剤は、リソソーム活性の低下により引き起こされる種々の疾患の治療又は予防のために用いることができる。このような疾患としては、脂質蓄積症、ムコ多糖症、ムコ脂質症及び糖タンパク質蓄積症を含むリソソーム蓄積症が挙げられ、さらに具体的には、アクチベーター欠損症/GM2ガングリオシドーシス、α−マンノシドーシス、アスパルチルグルコサミン尿症、コレステロールエステル蓄積症、慢性ヘキソサミニダーゼA欠乏症、シスチン症、ダノン病、ファブリー病、ファーバー病、フコシドーシス、ガラクトシアリドーシス、ゴーシェ病(例えば、I型、II型、III型)、GM1ガングリオシドーシス(例えば、乳児性、後期乳児性/若年性、成人性/慢性)、I細胞病/ムコリピドーシスII、乳児性遊離シアル酸蓄積症/ISSD、若年性ヘキソサミニダーゼA欠乏症、クラッベ病(例えば、乳児性発症、遅延性発症)、異染性白質ジストロフィー、ムコ多糖症疾患、偽性ハーラーポリジストロフィー/ムコリピドーシスIIIA(例えば、MPSIハーラー症候群、MPSIシャイエ症候群、MPS Iハーラー・シャイエ症候群、MPS IIハンター症候群、サンフィリッポ症候群A型/MPS III A、サンフィリッポ症候群B型/MPS III B、サンフィリッポ症候群C型/MPS III C、サンフィリッポ症候群D型/MPS III D、モルキオA型/MPS IVA、モルキオB型/MPS IVB、MPS IXヒアルロニダーゼ欠損症、MPS VIマロトー・ラミー、MPS VIIスライ症候群、ムコリピドーシスI/シアリドーシス、ムコリピドーシスIIIC、ムコリピドーシスIV型)、多種スルファターゼ欠損症、ニーマン・ピック病(例えば、A型、B型、C型)、神経セロイドリポフスチン症(例えば、CLN6病−非定型後期乳児性、遅発変異型、早期若年性、バッテン・シュピールマイアー・フォークト/若年性NCL/CLN3病、後期乳児性CLN5のフィンランド変異型、ヤンスキー・ビールショースキー病/後期乳児性CLN2/TPP1病、クッフス/成人発症NCL/CLN4病、北部型癲癇(Northern Epilepsy)/後期乳児性CLN8の変異型、サンタボーリ・ハルシア(Santavuori−Haltia)/乳児性CLN1/PTT病、β−マンノシドーシス)、ポンペ病/糖原蓄積症II型、濃化異骨症、サンドホフ病/GM2ガングリオシドーシス(例えば、成人性発症、乳児性、若年性)、シンドラー病、サラ病/シアル酸蓄積症、テイ・サックス病/GM2ガングリオシドーシスまたはウォルマン病等が挙げられる。
【0034】
本発明のリソソーム活性促進剤は皮膚の美白のために用いることができる。
また、高齢者の皮膚においては断片化したコラーゲン量が有意に多いことが知られており、リソソームはこの断片化コラーゲンの分解能を持つことが知られている。ヒアルロン酸については、本来非常に代謝が速い物質であるが、リソソームによる分解機能が加齢によって停滞することで、ヒアルロン酸代謝能が低下する。したがって、リソソームの活性を向上させることにより、加齢によって蓄積した断片化コラーゲンと、加齢によって代謝能の低下したヒアルロン酸の代謝を正常化することができる。
すなわち本発明のリソソーム活性促進剤は、抗老化のために用いることができる。
【0035】
<2>ヒアルロン酸産生促進剤
本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、イネ科(Poaceae)ジュズダマ属(Coix)に属する植物の抽出物及び/又はカバノキ科(Betulaceae)カバノキ属(Betula)に属する植物の抽出物からなり、その実施の形態は上述のリソソーム活性促進剤に係る発明の実施の形態と同様である。
また、本発明のヒアルロン酸産生促進剤は肌の弾力性、保湿性の向上、抗老化のために用いることができる。
【0036】
<3>スクリーニング方法
本発明はリソソーム活性を指標とすることを特徴とする、ヒアルロン酸産生促進作用を有する成分のスクリーニング方法にも関する。
リソソームの活性はヒアルロン酸の産生量と正の相関関係にある。したがって、被験試料に細胞を曝露することによってリソソームの活性が向上すれば、当該被験試料はヒアルロン酸の産生向上作用を有するものと判断することができる。
【0037】
本発明のスクリーニング方法には、実験動物を用いてもよいが、培養細胞を用いることが好ましい。具体的には培地に被験試料を添加した後の培養細胞におけるリソソーム活性を測定するような実施の形態とすることが好ましい。
【0038】
培養細胞としては細胞株を用いてもよく、また、初代培養細胞を用いてもよい。
細胞の種類も特に限定されないが、表皮細胞及び線維芽細胞を用いることが好ましい。
【0039】
リソソーム活性の測定方法は特に限定されず、市販のキットを用いてもよい。市販のキットとしては、Cell NavigatorTM Lysosome Staining Kit(AAT Bioquest社)等を例示することができる。
【実施例】
【0040】
<植物の抽出物>
実施例で用いるハトムギ抽出物は以下の方法で調製した。すなわち、市販のイネ科ジュズダマ属ハトムギの種皮を除いた種子(ヨクイニン)2Kgを9リットルのメタノ−ル中、2時間加熱還流抽出を2回行い、濾過後、2回分の濾液をあわせたものを、濃縮、乾燥し、ヨクイニンメタノ−ル抽出物を得た。
一方、実施例で用いるシラカバ抽出物は市販品(バーチエキストラクト:丸善製薬製)を用意した。
【0041】
<試験例1>
正常ヒト真皮線維芽細胞を5.0×10cells/wellで96穴プレートに播種し、37℃、5%CO環境下で細胞が付着するまで培養した。細胞を播種したプレートのそれぞれのウェルに、図1及び表1に示す最終濃度及び組み合わせで植物の抽出物を添加した。コントロールには溶媒のみ添加した。その後、リソソーム染色液(Cell NavigatorTM Lysosome Staining Kit(AAT Bioquest社)と、核染色液(Hoechst)によってそれぞれリソソームと核を蛍光標識し、蛍光強度を測定した。リソソームの蛍光強度をHoechstの蛍光強度(細胞数)で割った値を細胞あたりのリソソーム量とし、コントロールにおけるリソソーム量を1としたときの相対値として算出した。結果を図1及び表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
図1及び表1に示すようにハトムギ抽出物またはシラカバ抽出物を培地に添加した培養細胞におけるリソソームの蛍光強度は、コントロールに比べて有意に高い。この結果は、ハトムギ抽出物及びシラカバ抽出物にはリソソームの活性を促進する作用があることを示している。
また、ハトムギ抽出物とシラカバ抽出物の混合物を培地に添加した培養細胞のリソソームの蛍光強度は、それぞれの抽出物を単独で培地に添加した場合と比較して有意に高い(図1及び表1)。2種の抽出物の混合物の培地における最終濃度は、それぞれの抽出物を単独で培地に添加したときと比較して低いことを考慮すると、この結果は、ハトムギ抽出物とシラカバ抽出物がリソソーム活性の促進作用において相乗効果を示すということを表している。
【0044】
<試験例2>
正常ヒト表皮角化細胞及び正常ヒト真皮線維芽細胞を用いて、図2、3及び表2、3に示す最終濃度及び組み合わせにおける、抽出物によるリソソームの活性促進効果を試験例1と同様の方法により測定した。結果を図2、3及び表2、3に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
図2、3及び表2、3に示す通り、試験例1の結果と同様に、ハトムギ抽出物及びシラカバ抽出物の混合物にはリソソームの活性を促進する作用がある。
【0048】
<試験例3>
正常ヒト表皮角化細胞及び正常ヒト真皮線維芽細胞を5×10cells/wellで24穴プレートに播種し、37℃、5%CO環境下で細胞が付着するまで培養した。細胞を播種したプレートのそれぞれのウェルに図4、5及び表4、5に示す最終濃度及び組み合わせで植物の抽出物を添加した。コントロールには培地のみ添加した。37℃、5%CO環境下で一晩培養した後、RLT Buffer(RNeasy Mini Kit、QIAGEN社)を350μlずつ添加し培養細胞を回収し、RNeasy Mini Kitを用いてRNAを抽出した。抽出したRNAをSuperScript VILO cDNA Synthesis Kitを用いて逆転写してcDNAを合成し、QuantiFast SYBR Green PCR Kit を用いてリアルタイムqPCRにより、表皮細胞、線維芽細胞におけるヒアルロン酸合成酵素の遺伝子発現量を解析した。コントロールにおけるヒアルロン酸合成酵素の発現量を1としたときの相対値を算出した。結果を表4、5及び図4、5に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
表4、5及び図4、5に示すように、ハトムギ抽出物またはシラカバ抽出物を培地に添加した培養細胞におけるヒアルロン酸合成酵素の遺伝子発現量は、コントロールに比べて有意に高い。この結果は、ハトムギ抽出物及びシラカバ抽出物にはヒアルロン酸の産生能を向上させる作用があることを示している。
また、抽出物を培地に添加してから一晩培養後におけるヒアルロン酸合成酵素の遺伝子発現量の結果を見ると、それぞれの抽出物を単独で培地に加えたときのコントロールに対する発現量はシラカバ抽出物が一番高く、次いでゲンチアナ抽出物が高いが、これらの混合物を培地に加えたときの上昇率よりも、ハトムギ抽出物とシラカバ抽出物の混合物を培地に加えたときの上昇率の方が顕著に高い。この結果は、ハトムギ抽出物とシラカバ抽出物は、ヒアルロン酸産生能の向上作用において顕著な相乗効果を示すということを表している。
【0052】
<試験例4>
正常ヒト表皮角化細胞及び正常ヒト真皮線維芽細胞を5×10cells/wellで24穴プレートに播種し、37℃、5%CO環境下で細胞が付着するまで培養した。細胞を播種したプレートのそれぞれのウェルにリソソーム活性阻害剤であるLeupeptin, Pepstatinの混合物を培地における最終濃度が100uMとなるように添加した。コントロールには培地のみ添加した。37℃、5%CO環境下で24時間培養した後、試験例3と同様の方法により、表皮細胞、線維芽細胞におけるヒアルロン酸の産生量を解析した。コントロールにおけるヒアルロン酸の産生量を1としたときのヒアルロン酸の産生量を算出した。結果を表6、7及び図6、7に示す。
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】
表6、7及び図6、7に示す通り、リソソームの活性を阻害することによって表皮細胞及び線維芽細胞におけるヒアルロン酸産生量が低下することがわかった。この結果は、リソソーム活性がヒアルロン酸の産生量に影響を与えることを示唆している。
【0056】
試験例3と試験例4の結果を合わせると、ハトムギ抽出物及びシラカバ抽出物は、リソソーム活性を向上させることによってヒアルロン酸の産生能を向上させる作用があることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、化粧料やサプリメントに応用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7