【解決手段】連結棒594は、差込孔5922内において第3のカム部材56の軸部563とによりその容積が変化可能なオイルタンク5940が形成されている。第1の端部5941は、軸線方向のオイルタンク5940に向かって径小に縮む環状の円錐面5941aが形成されている。連結棒594の第1の端部5941の周面とニードルベアリング592の差込孔5922とで形成された径方向の隙間が、第1の端部5941に向かって幅広になっているので、オイルタンク5940の容積の変化、油室501、502の容積の変化による油圧が働くことによって、回動速度を抑えることができる。
前記連結軸は、前記軸線方向に沿って前記連結筒の前記軸線方向の一端側に差し込まれて装着され、前記第3のカム部材の前記軸部が連動可能に連結される前記軸線方向の第1の端部を有し、
前記スリーブユニットは、更に、前記トリガーモジュールとして用いられ、前記軸線方向に沿って前記連結筒の前記軸線方向の他端側に差し込まれて装着された装着シャフトと、トルクスプリングと、を有し、
前記トルクスプリングは、前記連結軸を取り囲むと共に前記装着シャフト及び前記連結軸と連結されるように、前記連結筒内に設けられ、
前記トルクスプリングは、前記外部駆動力による連動によりねじられて蓄積される弾性付勢力を有し、前記外部駆動力が解消されると、蓄積された前記弾性付勢力が前記トリガーとして前記連結軸の回動で前記第3のカム部材が回動連動される復元トルクとして用いられる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のトルクヒンジ。
前記油圧式スリーブユニットは、更に、前記連結チューブの前記軸線方向の一端に設けられた固定スリーブと、前記連結チューブの前記軸線方向の他端に設けられたキャップ部材と、前記第2のカム部材及び前記第3のカム部材の間に設けられた弾性部材と、を有する、
ことを特徴とする、請求項6に記載のトルクヒンジ。
前記第1のカム部材と前記第3のカム部材の前記軸部との間、前記第2のカム部材と前記プランジャーとの間、及び、前記キャップ部材と前記第3のカム部材の前記軸部との間には、それぞれ、2つのパッキンと2つの前記パッキンの間に挟まれる”O”リングとが設けられ、
前記キャップ部材と前記第3のカム部材との間には、2つのパッキン部材と、2つの前記パッキン部材間に挟まれる”O”リングと、が設けられている、
ことを特徴とする、請求項9に記載のトルクヒンジ。
前記第3のカム部材は、更に、前記軸線方向に沿って延伸されると共に前記第1の油室と前記第2の油室とに連通されるように形成された油路と、前記通路を介して前記第2の油室と連通するように前記通路を取り囲む内周面に前記軸線方向沿いに延伸されて設けられた窪みと、を有し、
前記ニードルベアリングユニットは、前記軸線方向に沿って前記固定スリーブに挿通されると共に前記第2のカム部材を貫通して設けられたプランジャーと、前記軸線方向沿いに往復動可能に前記プランジャーに差し込まれて連結されている第1のニードルベアリングと、前記第1のニードルベアリングの前記軸線方向の端部が挿入されて連結された第2のニードルベアリングと、前記第2のニードルベアリングの前記軸線方向の端部に挿入されて連結されるピン部材と、前記第3のカム部材の前記軸部と連結されるボルトと、を有し、
前記オイルパスが前記第1のニードルベアリングと前記窪みとの間で前記油路を介して前記第1の油室と前記第2の油室に連通するように形成されている、
ことを特徴とする、請求項7に記載のトルクヒンジ。
前記油圧式スリーブユニットは、前記油圧式モジュール及び前記第3のカム部材の間に前記第3のカム部材と連結可能に設けられたブロック部材と、前記ブロック部材を常に前記第3のカム部材に向けて移動させるバイアスを付与する付勢力を有する弾性部材と、を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のトルクヒンジ。
前記第1のスリーブユニットは、更に、前記装着シャフト及び前記連結軸の間に常に前記連結軸によって押し付けられるように前記装着シャフトに装着されている第1のコイルばねを有し、
前記第1の連結筒は、前記軸線を取り囲んで前記連結軸を取り付ける取付空間を形成した内周面に前記軸線方向に凹凸状に切り欠いて形成された第1の凹凸面を有し、
前記連結軸は、更に、前記軸線方向に沿って前記第1の連結筒に差し込む第1の端部と反対側の第2の端部を有し、
前記装着シャフトは、その軸線方向の一端側に前記連結軸の前記第2の端部が差し込まれて装着される装着孔が前記軸線を取り囲んで延伸されるように形成され、その軸線方向の他端側に、前記第1の凹凸面に対応して係合されるように凹凸状に切り欠いて形成された第2の凹凸面を有し、
前記第1のコイルばねは、前記装着孔に設けられている、
ことを特徴とする、請求項20又は21に記載のトルクヒンジ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るトルクヒンジのいくつかの実施形態について図面を参照して説明する。なお、同一構成及び機能を有する構成要素については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0011】
(第1の実施例)
図3は、本発明に係るトルクヒンジの第1の実施例を示している。トルクヒンジ100は、二つの対象物21、22(例えば
図18参照)が相対的に開閉可能になるよう用いられるものであり、ウィング機構3と、第1のスリーブユニット4と、第1の油圧式スリーブユニット5とを備えている。
【0012】
ウィング機構3は、二つの対象物21、22が相対的に回動されるように連結された第1のウィングプレートユニット31を有する。第1のウィングプレートユニット31は、二つの対象物21、22のいずれかの対応する側縁のそれぞれに対応して連結された第1のウィングプレート311、第2のウィングプレート312と、第1のウィングプレート311、第2のウィングプレート312の対応する側縁が隣接して連結されるように設けられた連結機構と、を有する。連結機構は、第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312とが軸線Xを中心として角運動して相対的に接近・離反するように第1のウィングプレート311及び第2のウィングプレート312と連結されたものであって、第1のウィングプレート311の側縁に平行する軸線Xに沿う方向である軸線方向に沿って第1のウィングプレート311と連結された複数の第1のスリーブ313と、第2のウィングプレート312の軸線方向側縁と連結された複数の第2のスリーブ314と、を有する。複数の第1のスリーブ313と複数の第2のスリーブ314とは、交錯して同軸状に並ぶように設けられている。
【0013】
複数の第1のスリーブ313はそれぞれ、例えば
図3、
図11に示されているように、軸線Xを取り囲んで取付空間を形成した第1の管壁を有し、第1の管壁の取付空間側の第1の内壁面のそれぞれから対向してつば状に突き出るように形成された2つの制限端面3131、3131と、軸線方向の両端側のそれぞれの第1の管壁にそれぞれ対向するように対応する第1の管壁を軸線方向と直角に貫通して形成された複数の第1のねじ孔3132、3132、3133、3133を有する。
【0014】
複数の第2のスリーブ314はそれぞれ、例えば
図3、
図11に示されているように、軸線Xを取り囲んで取付空間を形成した第2の管壁を有し、その中の一つの第2の管壁の取付空間側の第2の内壁面に対向するように切り欠いて2つの縦溝3141、3141が軸線方向に沿って延伸されるように形成されている。
【0015】
第1のスリーブユニット4は、例えば
図3〜
図5、
図11に示されているように、軸線Xを取り囲んで取付空間を形成しており、第1のスリーブ313の回動に連動可能に第1のスリーブ313に差し込まれて連結されるように設けられた第1の連結筒41と、第2のスリーブ314の回動に連動可能に第1の連結筒41の軸線方向の一端41aに挿入して設けられた連結軸42と、第1の連結筒41又は連結軸42の連動運動によってトリガーを発生するトリガーモジュールとして用いられ、軸線方向に沿って第1の連結筒41の軸線方向の他端41bに挿入して装着された装着シャフト43と、トルクスプリング44と、第1のコイルばね45と、2つのねじ付のボルト46とを備えている。
【0016】
第1の連結筒41は、軸線Xを取り囲んで取付空間を形成した筒壁を有し、筒壁の取付空間と逆の外周面に第1のスリーブ313の2つの制限端面3131が装着されて定位されるように軸線方向に沿って延伸されるように形成された2つの定位溝411、411と、筒壁の取付空間側の内周面に軸線Xを取り囲むように突き出て形成されたブロック412と、ブロック412の一端41a側の面に凹凸状に切り欠いて形成された第1の凹凸面412aと、定位溝411において第1のスリーブ313の第1のねじ孔3132に対応して筒壁に軸線方向と直角に貫通して設けられた第2のねじ孔413と、を有する。
【0017】
連結軸42は、軸線方向に延伸される軸体を有し、軸体の軸線方向の両端が径幅違いに形成された径大の第1の端部421と径小の第2の端部422と、第1の端部421に第1の油圧式スリーブユニット5が有する後述の第3のカム部材56が挿入連結されるよう第1の端部421の端面から窪んで軸線Xを中心として取り囲むように多辺形状に画成されたプラグ孔423と、第2のスリーブ314の縦溝3141に対応して当て止めて係合されるように第1の端部421の外周面から突き出て形成された2つの凸部424と、を有する。凸部424はトルクスプリング44の一つの端部442が装着される装着孔が形成されている。凸部424が軸線方向に延伸する縦溝3141に当て止めて装着されることによって、連結軸42が第2のスリーブ314の回転に連動して軸線方向に移動可能であると共に軸線X周りに回転しないようにすることができる。
【0018】
装着シャフト43は、
図4に示されるように、軸線方向に延伸されるシャフト体を有し、シャフト体の軸線方向の第1の端部43aとその反対の第2の端部43bと、第1の端部43a及び第2の端部43bの間に第1の端部43a及び第2の端部43bよりも径大に形成された凸環部43cと、を有する。第1の端部43aは、第1のコイルばね45と連結軸42の第2の端部422とが差し込んで装着される装着孔431が軸線Xを取り囲んで延伸されるように第1の端部43aの端面に窪んで設けられている。凸環部43cはその第2の端部43b側の端面に第1の凹凸面412aに対応して係合されるように凹凸状に切り欠いて形成された第2の凹凸面432と、その外周面から切り欠いてトルクスプリング44が差し込んで装着されるように形成された装着溝433と、を有する。第2の端部43bは、その外周面から軸線方向と直角に窪む凹部434と、その外端面から軸線方向に窪む操作孔435と、が設けられている。
【0019】
トルクスプリング44は、装着シャフト43の第1の端部43aと連結軸42の第2の端部422とを取り囲むように第1の連結筒41の取付空間に取り付けられ、装着シャフト43の装着溝433に装着定位される一つの端部441と、連結軸42の凸部424に装着定位される他の一つの端部442と、を有する。
【0020】
第1のコイルばね45は、装着シャフト43及び連結軸42の間に常に連結軸42の第2の端部422によって押し付けられるように装着シャフト43の装着孔431に装着されている。
【0021】
2つのボルト46は、各ボルト46が対応の第1のねじ孔3132と第2のねじ孔413とに挿入されるように第1のねじ孔3132と第2のねじ孔413にそれぞれ螺着されて、例えば
図11に示されたように凹部434にまで挿入されるように設けられている。
【0022】
これによって、ボルト46によって第1の連結筒41と装着シャフト43とが脱離不能に連結されるので、操作孔435に例えばハンドツールを差し込んで装着シャフト43を回す時、装着シャフト43が第1の連結筒41に対して凹部434内で周方向の所定角度範囲だけ回動可能であるように制限されると共に、第1の凹凸面412aと第2の凹凸面432が所定の位置に係合されて定位される。装着シャフト43の所定角度範囲だけの回動により定位されることができるので、トルクスプリング44の捻りによるトルクをコントロールすることができる。トルクスプリング44の捻りを調節することにより、二つの対象物21、22が閉状態になる動作が滑らかに行われるようにすることができる。
【0023】
第1の油圧式スリーブユニット5は、
図6〜
図11に示されているように、連結チューブ51と、連結チューブ51の両端に設けられた固定スリーブ53とキャップ部材52と、連結チューブ51内に設けられた第1のカム部材54と第2のカム部材55と第3のカム部材56と、チェックバルブユニット57と、弾性部材58と、第1のニードルベアリングユニット59と、を有する。
【0024】
連結チューブ51は、第1の連結筒41と軸線方向の反対側に第1のスリーブ313、第2のスリーブ314に連動可能に第1のスリーブ313、第2のスリーブ314に差し込まれて設けられており、軸線Xを取り囲んで取付空間を形成するチューブ体を有し、チューブ体は、2つの制限端面3131、3131に対応して摺接させる案内溝511、511がチューブ体の取付空間の反対側の外壁面に窪んで軸線方向に延伸されるように形成されている。案内溝511、511には、連結チューブ51の第1の端部51a(図面の下方)側の第1のスリーブ313の2つの第1のねじ孔3133、3133に対応してチューブ体を軸線方向と直角に貫通して形成された対向する2つの第3のねじ孔514、514を有する。チューブ体の取付空間側の内壁面の軸線方向の両端側にはそれぞれねじ溝が設けられており、両端側のねじ溝のそれぞれにおいて2つの第1の縦溝513、513、2つの第2の縦溝512、512が軸線方向に延伸されるように対応して形成されている。
【0025】
固定スリーブ53とキャップ部材52とは、縦溝513、513、512、512に対応して連結チューブ51の両端に螺着されるねじが設けられている。
キャップ部材52は、連結チューブ51の第2の端部51b(図示における上端)を封するように設けられたキャップ体521を有し、キャップ体521の外周面にはねじが形成されている。キャップ体521と第3のカム部材56との間には、2つのパッキン部材522と、2つのパッキン部材522間に挟まれる”O”リング523とを設けている。
【0026】
連結チューブ51内において、第3のカム部材56が第1のカム部材54と第2のカム部材55との間で移動される。また、第3のカム部材56と第1のカム部材54とにより第1の油室501が、第3のカム部材56と第2のカム部材55とにより第2の油室502がそれぞれ形成されている。第1の油室501と第2の油室502とは、複数のパッキン部材522や”O”リング523等のシール部材により気密に且つ所定の液圧に保持される。
【0027】
第1のカム部材54は、連結チューブ51内の第2の端部51b側に装着されており、軸線Xを取り囲む中空部を画成した第1のカム壁を有する。第1のカム壁は、軸線方向の第1の端部54aと第2の端部54bとを有する。第1のカム部材54の第1の端部54aは、第1の端部54aから第2の端部54bに向かうと共に軸線Xと直角の径方向の一側から他側に向かって第2の端部54bに近づくように傾斜する傾斜端面541と、2つの第2の縦溝512、512に対応して摺接・係合させるようにその外周面から突き出る2つのブロック542、542と、が設けられている。
【0028】
第2のカム部材55は、第1のカム部材54に対向するように連結チューブ51内の第1の端部51a側に装着されており、軸線Xを取り囲む中空部を画成した第2のカム壁を有する。第2のカム壁は、軸線方向の第1の端部55aと第2の端部55bとを有する。第2のカム部材55の第2の端部55bは、第2の端部55bから第1の端部55aに向かうと共に軸線Xと直角の径方向の一側から他側に向かって第1の端部55aに近づくように傾斜する傾斜端面551と、2つの第1の縦溝513、513に対応して摺接・係合させるようにその外周面から突き出る2つのブロック552、552と、が設けられている。
【0029】
第3のカム部材56は、第1のカム部材54及びチェックバルブユニット57の間で軸線方向に摺動可能に、第1のカム部材54及び第2のカム部材55の間に連結チューブ51内に装着されており、軸線Xを取り囲む中空部を画成した第3のカム壁を有する。第3のカム壁は、軸線方向の第1の端部56aと第2の端部56bとを有する。第3のカム部材56の第1の端部56aは、第2のカム部材55の傾斜端面551と突き当たるように第1の端部56aから第2の端部56bに向かうと共に軸線Xと直角の径方向の一側から他側に向かって第2の端部56bに近づくように傾斜する第1の接合端面562が設けられている。第3のカム部材56の第2の端部56bは、第1のカム部材54の傾斜端面541と突き当たるように第2の端部56bから第1の端部56aに向かうと共に軸線Xと直角の径方向の一側から他側に向かって第1の端部56aに近づくように傾斜する第2の接合端面561が設けられている。
【0030】
第3のカム部材56の第2の端部56bは、軸部563が第1の端部56aよりも径小であると共に第1のカム部材54を軸線方向に貫通するように突き出て設けられている。軸部563の突き出た端部563aは、その横断面が多辺形例えば4辺形状に形成されている。
【0031】
第3のカム部材56は、中空部として軸線Xを取り囲むように第1の端部56a側の第1の開口5641と第2の端部56b側の第2の開口5642(
図9)とを有する通路564を画成している。軸部563の第2の端部56b寄りに径方向に貫通すると共に第1の油室501と連通する通孔565が形成されている。第3のカム部材56の軸部563の突き出された端部563aが連結軸42の移動と連動可能にプラグ孔423に挿入されて連結されている。第3のカム部材56の突き出された端部563aの通路564を取り囲む内周面にはねじ部5643が形成されている。
【0032】
チェックバルブユニット57は、油圧緩衝効果を発生させる油圧式モジュールの一部としても用いられ、
図7および
図11に示されているように、第1のニードルベアリングユニット59におけるニードルベアリング592が挿通されるように、連結チューブ51内に第3のカム部材56及び第1のニードルベアリングユニット59の間に設けられており、軸線Xを取り囲む取付空間を画成する周壁部を有するバルブボディ571と、バルブボディ571の周壁部に軸線方向に貫通すると共に軸線Xに対して並列するように第2の油室502に連通して設けられた2つの油路572、572と、2つの油路572、572のそれぞれを封するように油路572のそれぞれに取り付けられている例えば球形状の2つのシール部材573と、バルブボディ571内においてシール部材573及び押え部材579a、579bの間で常にシール部材573を第1の油室501に向かって付勢させる弾性付勢力を有するばね574と、を有する。バルブボディ571の周壁部は、この例では、取付空間として軸線方向の両端が中間よりも径小の勾配穴575が形成されるようにその軸線方向の両端部の径方向の肉厚が該両端部の間の中間部よりも厚肉であるように設けられている。
【0033】
弾性部材58は、例えば所定の付勢力を有するコイルスプリングを使い、第2のカム部材55及び第3のカム部材56の間に設けられている。
【0034】
第1のニードルベアリングユニット59は、油圧式モジュールとして用いられるものであり、連結チューブ51内を軸線方向に貫通すると共に固定スリーブ53とキャップ部材52とによって固定されるように設けられており、
図7および
図8に示される如く、この例では、プランジャー591と、ニードルベアリング592と、コイルばね593と、連結棒594と、スロットルスリーブ595と、シールリング596と、固定部材としてのボルト597と、を有する。
【0035】
プランジャー591は、固定スリーブ53に挿通されて定位されると共に第2のカム部材55内を軸線方向に貫通するように設けられており、軸線方向の一端部591aと他端部591bとを有する。軸線方向の一端部591aは、その端面から窪む横断面が六角形状の穴5911が形成され、その外周面に軸線方向と直角に突き出た凸環部5913が形成されている。軸線方向の他端部591bは、ニードルベアリング592が挿入される挿入孔5912(
図9参照)が形成されている。
【0036】
固定スリーブ53は、2つの第3のねじ孔514に対応する2つの横穴531とプランジャー591が軸線方向に挿通される貫通孔532とが設けられている。固定スリーブ53の貫通孔532にプランジャー591が挿入されて位置決めされるように、貫通孔532を取り囲む内周壁の一部が凸環部5913と軸線方向に対向される肩面5321を有するように内側に突き出して形成されている。凸環部5913と肩面5321との間に”O”リング506が設けられている。
【0037】
なお、パッキン505、パッキン部材522、”O”リング506、”O”リング523等は、液体や気体の外部への漏れや水や埃などの内部への侵入を防ぐシール部品であり、本発明では径幅に応じて呼び名で区別されるだけである。例えば、パッキン505はパッキン部材522よりも径小であり、”O”リング506は、”O”リング523よりも径小であるシール部材である。
【0038】
ニードルベアリング592は、スロットルスリーブ595及び第3のカム部材56の軸部563内を貫通すると共にプランジャー591に挿通して定位されるように軸線方向に沿って回動可能に設けられており、油圧緩衝効果を発生させる油圧式モジュールの一部としても用いられ、図示の如く、回動可能にプランジャー591の他端部591bの挿入孔5912に差し込まれて連結された第1の端部5921と、第1の端部5921と反対側の第2の端部5923と、第2の端部5923に連結棒594が差し込まれるように第2の端部5923から第1の端部5921側に向かって窪んで軸線方向に延伸されるように形成された差込孔5922と、第1の端部5921及び第2の端部5923の間の外周面から径方向に切り欠いて形成された段面5924と、段面5924及び第2の端部5923の間に所定の軸線方向間隔をおいて径方向に貫通して差込孔5922と連通するように形成された第1の横孔5925と2つの第2の横孔5926、5926とを有する。そして、ニードルベアリング592の第1の横孔5925と第2の横孔5926とを挟む軸線方向の両端側の外周面は、第3のカム部材56の軸部563と気密に接触することにより作動油が軸線方向に沿って直線状に通過することが不能となるように形成された2つの当て止め環面部5927、5927を有する。
図14に示されているように、第1の横孔5925は第2の横孔5926、5926よりも第1のカム部材54に近づいて形成されている(即ち、第1の横孔5925と第1のカム部材54との距離は、第2の横孔5926、5926と第1のカム部材54との距離より近い)。
【0039】
コイルばね593は、第3のカム部材56の軸部563内において連結棒594を取り囲むように設けられ、ニードルベアリング592と軸部563の内端面との間で両者に押し当たる付勢力で両者に接触している。
【0040】
連結棒594は、例えば、
図7、
図9、
図11、
図12に示されているように、コイルばね593によって取り囲まれるようにコイルばね593及び第3のカム部材56の軸部563を貫通すると共にニードルベアリング592の軸線方向の他端部5923の差込孔5922に挿入されて連結された差込体Iを有する。連結棒594は、この例では、差込孔5922内において第3のカム部材56の軸部563が軸線方向に上下移動(
図12参照)することによりその容積が変化可能なオイルタンク5940が形成されている。差込体Iは、差込孔5922内に差し込まれる第1の端部5941と、コイルばね593を貫通する第2の端部5942と、を有する。第1の端部5941は、軸線方向のオイルタンク5940に向かって径小に縮む環状の円錐面5941aが形成されている。第2の端部5942は、第3のカム部材56のねじ部5643と螺結されるためのねじ部5943と、連結棒594を第3のカム部材56に挿入するための例えば六角形の端穴5943aと、が設けられている。
【0041】
連結棒594及び第3のカム部材56の軸部563によりオイルタンク5940が形成されているため、差込孔5922内において第3のカム部材56の軸部563が軸線方向に上下移動してオイルタンク5940の容積が変化すると共に、第1の油室501と第2の油室502の容積も変化し、また連結棒594の第1の端部5941の周面とニードルベアリング592の差込孔5922とで形成された径方向の隙間が第1の端部5941に向かって幅広になっているので、第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312との相対的な可動により、オイルタンク5940の容積の変化、油室501、502の容積の変化による油圧が働くことによって、回動速度を抑えることができる。従って、第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312とが連結された対象物21、22のいずれかが取り付け基礎や壁や、通行者と衝突しないようにすることができ(いわゆるバックチェック(back check)機能)、人身事故や壁・ドアの損傷を防ぐことができる。
【0042】
スロットルスリーブ595は、バルブボディ571との隙間がニードルベアリング592とバルブボディ571との隙間よりも小であると共に、プランジャー591の挿入孔5912の孔口周縁の端面及びニードルベアリング592の段面5924の間に抵触されるように、ニードルベアリング592が挿入されて装着されており、段面5924と当接する円環状頭部5951を有する。スロットルスリーブ595の円環状頭部5951が段面5924に当接するまでスロットルスリーブ595の一部が勾配穴575に挿入された時、スロットルスリーブ595の円環状頭部5951によって勾配穴575における隙間が狭まり、作動油が通過する速度が遅くなり、オイルタンク5940による油圧が変動しないため、回動速度が減速されながら閉閉を行うことができる(例えば
図11参照)。スロットルスリーブ595の円環状頭部5951が勾配穴575から脱離されると、勾配穴575における第1の端部5921との隙間が大きくなるため、油圧による働きが解消され(いわゆるラッチフォース(latch force)機能)、速やかに開閉することができる。
【0043】
シールリング596は、通路564において第3のカム部材56の軸部563の突き出された端部563a及びボルト597の間に気密に設けられている。
【0044】
ボルト597は、第2の開口5642側から窪んで例えば横断面が六角形に形成された挿入穴5971と、第3のカム部材56のねじ部5643と螺合されるねじ部5972と、が設けられている。
【0045】
シールリング596は、第3のカム部材56のねじ部5643が連結棒594の第2の端部5942のねじ部5943及びボルト597のねじ部5972と螺合されると、第3のカム部材56の端部563a及びボルト597の第2の開口5642側を気密に塞ぐように設けられている。
【0046】
この例では、ブッシュ503が、固定スリーブ53の横穴531を貫通して対応する第1のねじ孔3133(
図3、
図11参照)に設けられ、ボルト504が、固定スリーブ53の横穴531を貫通して対応する第1のねじ孔3133及び連結チューブ51の第3のねじ孔514に螺合されるように設けられている。このように、ボルト504が第1のねじ孔3133及び連結チューブ51の第3のねじ孔514に螺合されると、ブッシュ503がボルト504によって押し付けられてプランジャー591に当接されることによって、プランジャー591が固定スリーブ53に対して安定して定位されることができる。このようにすると、プランジャー591が第1のスリーブ313に対して脱離せずに安定して軸線方向沿いに往復移動可能になる。
【0047】
第1のカム部材54と第3のカム部材56の軸部563との間、第2のカム部材55と第1のニードルベアリングユニット59のプランジャー591との間、及び、キャップ部材52と第3のカム部材56の軸部563との間には、それぞれ、2つのパッキン505、505と、2つのパッキン505、505の間に挟まれる”O”リング506と、が設けられている。
【0048】
連結チューブ51と第3のカム部材56との間には、2つのパッキン部材522、522と2つのパッキン部材522、522に挟まれる”O”リング523とが設けられている。
【0049】
また、連結チューブ51と第2のカム部材55との間、及び、連結チューブ51と第1のカム部材54との間には、”O”リング523が気密に設けられている。また、キャップ部材52と連結チューブ51との間にもシール部材525が設けられている。
【0050】
第1の油圧式スリーブユニット5を取り付ける時、
図7に示されているように、チェックバルブユニット57が第3のカム部材56の第1の開口5641側の通路564に取り付けられ、連結棒594がシールリング596と軸部563とを貫通し、ボルト597によって第3のカム部材56と螺合されて定位される。これによって連結棒594は、シールリング596によって気密にされると共に軸部563に対して安定して軸線方向沿いに往復移動されるようになる。このように、第3のカム部材56、チェックバルブユニット57及び連結棒594が一体状に組み立てられる。その後、連結チューブ51に第1のカム部材54が差し込まれ、キャップ部材52が蓋されるように設けられ、また、一体状になった第3のカム部材56、チェックバルブユニット57及び連結棒594及び弾性部材58、第2のカム部材55等が装着され、固定スリーブ53によって蓋されて定位される。
【0051】
図8に示されているように、プランジャー591がニードルベアリング592及びコイルばね593と共に一体状に組立てられ、連結チューブ51に装着され、連結棒594が通路564にてニードルベアリング592の一部とコイルばね593とに貫通して設けられている。プランジャー591にニードルベアリング592が差し込まれ、弾性部材58が周設されている。このようにすると、プランジャー591と固定スリーブ53との相対的な軸線方向の移動によって、ニードルベアリング592が連結棒594に対して軸線方向に変位されることができる。
【0052】
図9〜
図11に示されているように、通路564の第1の開口5641からの軸線方向の経路、即ち、ニードルベアリング592及び第3のカム部材56の間を経て通路564を介して第1の油室501及び第2の油室502に連通するオイルパスが形成される。より詳しくは、ニードルベアリング592及びスロットルスリーブ595とバルブボディ571との隙間と、第1の横孔5925又は第2の横孔5926、オイルタンク5940、ニードルベアリング592の差込孔5922と連結棒594との隙間から第3のカム部材56の通孔565に至るオイルパスが画成される。当該オイルパスは、第1の油室501と第2の油室502に作動油が供給されると共にチェックバルブユニット57の油路572に連通されるように形成されている。なお、必要に応じて第1の横孔5925と第2の横孔5926は、それぞれ一つだけ設けられてもよく、2つ以上設けられてもよく、上記例に挙げられた個数に制限されない。
【0053】
外部に露出されたプランジャー591の穴5911に例えばツールを挿入してプランジャー591を回すと、プランジャー591が軸線方向に進退する。連結棒594が第3のカム部材56に対して位置決めされた状態で、ニードルベアリング592はプランジャー591の移動に連動されると、第3のカム部材56の通路564にて図面の上方或いは下方に移動されることによって、オイルタンク5940の容積が変化する。
【0054】
次に、以上のように構成されたトルクヒンジ100の動作及び作用について添付図面を参照して説明する。
【0055】
図3、
図11〜
図13に示されているように、連結棒594の第1の端部5941の環状の円錐面5941aが第1の横孔5925側に臨むように連結棒594が移動されると、オイルパスが閉塞されず第1の油室501と第2の油室502に連通される。具体的には、二つの対象物21、22が相対的に回動された時、第1のウィングプレート311及び第2のウィングプレート312の夾角が0度から90度(
図12)になるように、第1のウィングプレート311が軸線Xを中心として回動される場合、第1のスリーブ313は、制限端面3131及び定位溝411、案内溝511による定位・案内によって、第1のスリーブユニット4の第1の連結筒41と第1の油圧式スリーブユニット5の連結チューブ51が軸線Xを中心として同期に回動駆動される。
【0056】
図4、
図11〜
図13に示されているように、第1の連結筒41が回動されている時、ブロック412の第1の凹凸面412aと装着シャフト43の第2の凹凸面432とが係合されることにより、装着シャフト43を同期に回動させ、トルクスプリング44の端部441が装着溝433の案内によって弾性付勢力を蓄積するように回動される。そして、連結軸42の凸部424と第2のスリーブ314の縦溝3141とが動かされずに係合されると、トルクスプリング44の他の端部442が不動に定位されるので、トルクスプリング44は、第1のウィングプレート311及び第2のウィングプレート312の夾角を90度から0度にする(即ち復帰させる)復帰力によって、二つの対象物21、22が相対的に回動されて閉じる復帰トルクを与える。
【0057】
また、
図6、
図11〜
図13に示されているように、連結チューブ51が回動された時には、第1と第2の縦溝513、512にブロック552、542がそれぞれ係合されることによって第1のカム部材54と第2のカム部材55とが同期に連動して回動され、第2のカム部材55の傾斜端面551によって第3のカム部材56の第1の接合端面562が当接されて押し上げられる。これによって第3のカム部材56を回動させるトルクが発生する。第3のカム部材56が回動されると、第2の接合端面561が例えば
図12の上方に向かって移動され、第1のカム部材54の傾斜端面541に突き当たる。このように第3のカム部材56の軸部563と連結軸42の第1の端部421とが連動され移動され、第1の油室501の容積が縮減される。
【0058】
第1の油室501の容積が縮減されると、第1の油室501の作動油は、オイルパス、即ち第3のカム部材56の通孔565、ニードルベアリング592の差込孔5922及び第1の横孔5925を介してオイルタンク5940に流入し、そして、作動油が第2の横孔5926、通路564を介して第2の油室502に流入すると共に油路572にも流入する。油路572に流入した作動油によって、シール部材573が押し付けられ、ばね574が圧縮されると、油路572が開放され、作動油が第2の油室502に流入する。また、連結棒594が軸棒563の移動に連動されて図面の上方に動かされると、オイルタンク5940が拡大され、連結棒594の第1の端部5941の円錐面5941aの差込孔5922における隙間が大きくなるので、作動油のオイルパスを介した第2の油室502への流入がより多く且つ速くなる。これによって油圧による緩衝効果が得られる。
【0059】
以上により、二つの対象物21、22における一方が可動対象物として押圧されて、例えば可動対象物と連結された第1のウィングプレート311の、例えば二つの対象物21、22における他の一方である固定対象物に連結された第2のウィングプレート312に対する夾角が0度である閉状態(例えば
図10)からほぼ90度となる開状態にするように、第1のウィングプレート311が第2のウィングプレート312に対して回動された場合には、連結棒594の第1の端部5941の円錐面5941aの差込孔5922における隙間が大きくないため、第1の油室501における作動油はゆっくりとオイルタンク5940に流入する。そして第1のウィングプレート311が大きく回動されると、第1のウィングプレート311の固定対象物と連結された第2のウィングプレート312に対する夾角が大きくなるので、連結棒594の第1の端部5941の円錐面5941aの差込孔5922における隙間も大きくなり、作動油が多く流入するようになる。これによって、第1のウィングプレート311を回動駆動させる際の抵抗が比較的小さく、従って速やかに開状態にすることができる。
【0060】
図11、
図12、
図14に示されるように、回動対象物に対する押圧が解消されると、トルクスプリング44に蓄積された付勢力がトリガーとして連結軸42に付与されることにより、連結軸42が駆動される。連結軸42の駆動により第3のカム部材56が逆回転されるように連動され、第3のカム部材56が弾性部材58の付勢力に抗して例えば
図11の下方の第2のカム部材55に向かって移動される。これによって第2の油室502の容積が縮減される。
【0061】
第2の油室502の容積が縮減されると、第2の油室502における作動油によってシール部材573が押し付けられ、油路572が閉塞される。すると、作動油が通路564、第2の横孔5926、オイルタンク5940、ニードルベアリング592と連結棒594との隙間、第1の横孔5925から第3のカム部材56の通孔565に至るオイルパスを介して第1の油室501に流入する。そして、
図14に示されたように連結棒594が第3のカム部材56の軸部563の移動に連動されて下方に動かされる。こうすると、連結棒594の第1の端部5941の円錐面5941aの差込孔5922における隙間が小さくなり、作動油の第1の油室501への流入が更に緩慢になる。このように、油圧による緩衝効果が得られる。
【0062】
そして、第1のウィングプレート311が90度から0度になるように回動されると、スロットルスリーブ595の一部がバルブボディ571内に移動されるので、作動油の第2の油室502から通路564への流入量が制限される。これにより第1のウィングプレート311の回動が制動され、ゆっくりと閉状態にすることができる。また、閉状態となる0度に近づくにつれて速度をより遅らせる遅延効果を有する。
【0063】
以上の説明により、本発明に係るトルクヒンジ100は、速やかに開状態にすると共に、ゆっくりと閉状態にする効果が得られる。
【0064】
なお、上記では、第1のウィングプレート311が押圧されて回動される場合について説明したが、これに制限されない。第2のウィングプレート312が押圧されて第1のウィングプレート311に対する夾角が0度から90度となるように軸線Xを中心として回動された場合、縦溝3141に凸部424が係合されると、連結軸42が第2のスリーブ314の回転に連動して軸線X周りに回転不能であると共に軸線方向に移動されることによって、トルクスプリング44の他の一つの端部442が連動されて回動される。これによって復元するトルクが蓄積されると共に、第3のカム部材56が連動して同期的に回動される。こうなると、第1のウィングプレート311が押圧されて回動される場合についての説明と同様な効果が得られることは当業者にとって言うまでもない。つまり、取り付けの順番や方向性を考慮せずに、第1のウィングプレート311が固定対象物に、第2のウィングプレート312が可動対象物にそれぞれ連結されても、あるいは第2のウィングプレート312が固定対象物に、第1のウィングプレート311が可動対象物にそれぞれ連結されてもよい。
【0065】
また、
図10に示すように、2つの対象物21、22の間に一つのトルクヒンジ100が取り付けられた形態について説明したが、これに制限されず、
図15に示すように、必要に応じて3つのトルクヒンジ100、200、300を取り付けてもよい。
【0066】
また、トルクスプリング44の弾性復元力を増やしたり減らしたりすることによりトルクを適切に調節したい場合、ハンドツール(図示せず)を、例えば
図11に示された、第1の連結筒41から装着シャフト43の外部に露出された操作孔435に挿入して回す。装着シャフト43の回動により、トルクスプリング44が連動して所定の角度位置に回ると、ブロック412の第1の凹凸面412aに第2の凹凸面432が対応して係合され、第1のコイルばね45による押し付けにより定位される。このように適切な角度位置に調節することにより、トルクの大きさを設定することができる。トルクの大きさをコントロールすることにより、閉状態にする力を調節することができる。一例として、トルクスプリング44の復帰力が50Kg以上であれば、第1のウィングプレート311及び第2のウィングプレート312による夾角を90度の開状態から0度の閉状態にする閉扉操作を安定して滑らかに行うことができる。
【0067】
そして、例えばツール(図示せず)を、外部に露出されたプランジャー591の穴5911に挿入してプランジャー591を回すことによってプランジャー591が軸線方向に沿って進退する。ニードルベアリング592はプランジャー591の移動に連動され、第3のカム部材56の軸部563に対して軸線方向に移動される。このように、連結棒594の円錐面5941aの差込孔5922との隙間、スロットルスリーブ595とバルブボディ571との隙間が変わると共に、オイルタンク5940の容積が変化され、第1の油室501と第2の油室502における作動油の量をコントロールすることができる。従って、二つの対象物21、22の開閉を行う速度を調節することができる。
【0068】
そして、
図9、
図15〜17に示されているように、第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312との夾角が0度の場合に、プランジャー591の凸環部5913が”O”リング506を介して固定スリーブ53の肩面5321と突き当たるほどの限界位置(
図16)になるまでプランジャー591が回されると、ニードルベアリング592が連動され、第3のカム部材56の通路564に移動されると共に、コイルばね593が圧縮される。スロットルスリーブ595がプランジャー591の移動に連動してバルブボディ571内に入る。この際、連結棒594の第1の端部5941の円錐面5941aの差込孔5922における隙間が非常に狭いため、作動油の流入が遅くなり第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312を回動させるために要る力が大きくなる。また、第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312との夾角が90度の場合にも、プランジャー591が同様に限界位置に回されると第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312を回動させるために要る力が大きくなる。このように、メンテナンス等の状況に応じて、閉状態又は開状態に保持することができる。その一方、レンチ等のツールをプランジャー591の穴5911に挿入してプランジャー591を最も緩められた状態になるように回すと、オイルパスが広がり作業油の流入が容易になるため、第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312を回動させるために要る力が比較的小さくなり、容易に開閉することができる。このように、プランジャー591の締緩状態を適切にすることにより、連結棒594の第1の端部5941の円錐面5941aの差込孔5922における隙間を調節してオイルタンク5940の容積を適切に変化させ、作動油の流入をコントロールすることができる。従って、第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312の回動速度を必要に応じてコントロールすることができる。
【0069】
以上のように、外部駆動力により、例えば閉状態の二つの対象物21、22を相対的に回動させ、第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312とにおける一方が他方に対して回動連動された時、第1の連結筒41と連結チューブ51とが回動せず、連結軸42が第3のカム部材56の軸部563の回動に連動された場合、又は、連結軸42と軸部563とが回動せず、第1の連結筒41と連結チューブ51とが回動された場合、トリガーモジュールとしての装着シャフト43がトリガーを発生し、また、第3のカム部材56の第2の接合端面561の第1のカム部材54の傾斜端面541に対する押動によって油圧式モジュールとしてのチェックバルブユニット57が油圧緩衝効果を発生する。そして、トリガー及び油圧緩衝効果が機能して第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312とが相対的に回動連動され、二つの対象物21、22を開状態から閉状態にすることができる。
【0070】
(第2の実施例)
図19、
図20は、本発明に係るトルクヒンジの第2の実施例を示す。第2の実施例に係るトルクヒンジは、ウィング機構3と、第1の油圧式スリーブユニット5と、第2のスリーブユニット6とを備えている。この実施例に係るトルクヒンジは、第1の実施例とほぼ同様な構成を有するが、第1の実施例における第1のスリーブユニット4と異なる第2のスリーブユニット6を有する。
【0071】
第2のスリーブユニット6は、第1のスリーブ313、第2のスリーブ314に連動可能に差し込まれて設けられており、図示の如く、軸線Xを取り囲んで取付空間を形成するように第1のスリーブ313と同期に回動する第2の連結筒61と、トリガーモジュールとして用いられ、軸線方向に沿って第2の連結筒61に差し込まれて設けられたブレーキばねユニット62と、差し込まれた第3のカム部材56の軸部563と共に装着されて連動可能であると共にブレーキばねユニット62に押圧付勢されるように設けられた装着スリーブ63と、第2の連結筒61と連動されると共に装着スリーブ63と接触するように設けられた摩擦部材64と、軸線方向に沿って第2の連結筒61と螺合されると共にブレーキばねユニット62を圧縮可能に設けられたブレーキ調節部材65と、2つのブッシュ66と、ブッシュ66を介して軸線方向と直角にブレーキ調節部材65に対向するように設けられた2つのボルト67と、連結シャフト68と、を有する。
【0072】
第2の連結筒61は、軸線Xを取り囲んで取付空間を形成した筒壁を有し、筒壁の軸線Xの一端部61aに軸線Xと直角に貫通して第1のねじ孔3132に対応してブッシュ66を装着するための第4のねじ孔611が設けられ、その筒壁の外周面の端縁から突き出てつば状に形成された突縁部612が設けられ、その筒壁の内周面にブレーキ調節部材65に対応して螺合されるねじ613が設けられている。第4のねじ孔611の内周面にねじが形成されている。そして、ブレーキ調節部材65にはねじ613と螺合するねじが形成されている。
【0073】
ブレーキばねユニット62及びブレーキ調節部材65の間には中空部を有する仕切り管621と中央穴を有する係止片622とが配置されている。
【0074】
装着スリーブ63と、摩擦部材64とは、軸線Xに延伸される中心孔を有するものであり、それぞれの間に軸線方向の隙間が形成されるようにブレーキばねユニット62と共に第2の連結筒61の軸線Xの他端部61bの取付空間に挿入されて設けられている。装着スリーブ63と摩擦部材64との軸線方向の隙間は、閉状態にする速度をコントロールするために用いられる。
【0075】
摩擦部材64は、軸線Xに対して対向して第2の連結筒61に定位される二つの定位耳部641(
図23参照)が形成されている。
【0076】
ボルト67は、対応する第1のねじ孔3132と第4のねじ孔611に螺入され、第4のねじ孔611内に装着されたブッシュ66を介してブレーキ調節部材65に突き当たって固定されるように設けられている。このように、ブレーキ調節部材65は、ボルト67による固定により、第2の連結筒61に対して安定して位置決めされることができ、不意の外力が加わっても簡単には脱離しないようにすることができる。
【0077】
連結シャフト68は、その軸線Xの一端側から、装着スリーブ63、摩擦部材64及びブレーキばねユニット62に軸線Xに沿う方向である軸線方向に沿って差し込まれるように、装着スリーブ63と摩擦部材64と共に軸線方向に移動可能に装着されている。この例では、連結シャフト68の軸線Xの他端に軸線方向に窪む装着穴681が形成されている。この装着穴681には、第3のカム部材56の軸部563が挿入されて設けられている。このように、連結シャフト68は第3のカム部材56及び装着スリーブ63と連動すると共に、第2のスリーブ314の縦溝3141と嵌合されて同期に動くようになる。
【0078】
このように、第1のウィングプレートユニット31、第1の油圧式スリーブユニット5及び第2のスリーブユニット6により構成されたトルクヒンジは、第1の油圧式スリーブユニット5によって速やかに開状態にすることができる。そして、第3のカム部材56の軸部563及び装着スリーブ63、摩擦部材64の間の摩擦で、第3のカム部材56の回動を減速する減速力(retarding force)をトリガーとして生成することができる。従って、開閉の速度をコントロールすることができる。
【0079】
また、ハンドツールを用いてブレーキ調節部材65と第2の連結筒61との螺合の深さを変化させることによって、ブレーキばねユニット62の装着スリーブ63に当接するトリガー弾力を変えることができる。これによって、装着スリーブ63及び摩擦部材64間の接触時の摩擦抵抗力を調節することができるので、第1のウィングプレート311又は第2のウィングプレート312の閉状態にするための回動速度を定めることができる。
【0080】
(第3の実施例)
図21、
図22は、本発明に係るトルクヒンジの第3の実施例を示す。第3の実施例に係るトルクヒンジは、第1の実施例と概ね同様な構成を有するが、第1の実施例と異なる点は、2つの第1のスリーブユニット4を有する他、ウィング機構3は第1のウィングプレートユニット31の外に第2のウィングプレートユニット32を有するところにある。言い換えれば、この実施例では、トルクヒンジ100を備えると共に、第2のウィングプレートユニット32と2つの第1のスリーブユニット4とにより構成される他のトルクヒンジ200を更に備える。
【0081】
第2のウィングプレートユニット32はほぼ第1のウィングプレートユニット31の構成と同様に、二つの対象物21、22のいずれかの対応する側縁のそれぞれに対応して連結された第1のウィングプレート321、第2のウィングプレート322と、第1のウィングプレート321、第2のウィングプレート322の対応する側縁が隣接して連結されるように設けられた第2の連結機構と、を有する。第2の連結機構は、第1のウィングプレート321、第2のウィングプレート322を連結してそれらが軸線Xを中心として角運動して相対的に接近・離反するよう第1のウィングプレート321、第2のウィングプレート322の運動に連動可能にそれぞれ連結されるものであって、第1のウィングプレート321の側縁に平行する軸線Xに沿う方向である軸線方向に沿って第1のウィングプレート321と連結された複数の第1のスリーブ323と、第2のウィングプレート322の軸線方向側縁と連結された複数の第2のスリーブ324と、を有する。複数の第1のスリーブ323と複数の第2のスリーブ324とは、交錯して同軸状に並ぶように設けられている。
【0082】
2つの第1のスリーブユニット4は、第1の実施例のスリーブユニットとほぼ同様に、軸線Xを取り囲んで取付空間を形成するように第1のスリーブ323と第2のスリーブ324とにそれぞれ連動可能に差し込まれて設けられている。2つの第1のスリーブユニット4における一方の第1のスリーブユニット4(
図21、下方)の第1の連結筒41は、第1のスリーブ323と同期に回動可能に設けられ、軸線方向に移動可能であると共に軸線X周りに回転しない。該一方の第1のスリーブユニット4の連結軸42の第1の端部421は、突部421Aが突き出て設けられている。2つの第1のスリーブユニット4における他方の第1のスリーブユニット4(
図21、上方)の第1の連結筒41は第2のスリーブ324の回転に連動可能に設けられ、軸線方向に移動可能であると共に軸線X周りに回転しない。該他方の第1のスリーブユニット4の連結軸42の第1の端部421は、突部421Aに対応する凹部421Bが嵌入されるように窪んで設けられている。トルクスプリング44、44はそれぞれ、その一端部441が装着シャフト43に、その他端部442が連結軸42にそれぞれ装着定位されることによって、軸線Xを取り囲む周方向に捻り回動することができる。
【0083】
第1のウィングプレート321と第2のウィングプレート322とが相対的に接近・離反するように軸線Xを中心として回動されると、第1のウィングプレート321或いは第2のウィングプレート322は第1のスリーブ323が同期に駆動させる相対の第1の連結筒41を介すると共に、第2のスリーブ324の同期的な駆動による連動された連結軸42を介して、2つのトルクスプリング44が連動して回されることにより、トルクスプリング44が1つだけの場合と比べて2倍の復帰トルクを蓄積することができるので、閉状態にする時、2倍の復帰トルクで速やかに行うことができる。
【0084】
一例としては、トルクスプリング44の復帰トルクを50kgとした場合、外力が解除されて50kg+50kgの復帰トルクで速やかに閉状態にすることができる。これは、比較的重厚なドアに適用される。
【0085】
なお、第3の実施例に係るトルクヒンジ200は、場合によって第1の実施例又は第2の実施例に係るトルクヒンジ100と組み合わせて用いられることができることは、当業者にとって言うまでもないだろう。
【0086】
(第4の実施例)
図23、
図24は、本発明に係るトルクヒンジの第4の実施例を示す。第4の実施例に係るトルクヒンジは、概ね上記の実施例とほぼ同様な構成を有するが、第1の実施例と異なる点は、第3の実施例でのものと同様の他の第1のスリーブユニット4を有する他、第2のスリーブユニット6を有し、ウィング機構3は、更に第3のウィングプレートユニット33を有するところにある。言い換えれば、この実施例では、第1のスリーブユニット4と第2のスリーブユニット6と第3のウィングプレートユニット33とにより構成されるトルクヒンジ300を更に有する。
【0087】
第3のウィングプレートユニット33は、第1のウィングプレートユニット31又は第2のウィングプレートユニット32の構成とほぼ同じであり、二つの対象物21、22のいずれかの対応する側縁のそれぞれに対応して連結された第1のウィングプレート331、第2のウィングプレート332と、第1のウィングプレート331、第2のウィングプレート332の対応する側縁が隣接して連結されるように設けられた第3の連結機構と、を有する。第3の連結機構は、第1のウィングプレート331、第2のウィングプレート332を連結してそれらが軸線Xを中心として角運動して相対的に接近・離反することができるようにするものであって、第1のウィングプレート331の側縁に平行する軸線Xに沿う方向である軸線方向に沿って第1のウィングプレート331と連結された複数の第1のスリーブ333と、第2のウィングプレート332の軸線方向側縁と連結された複数の第2のスリーブ334と、を有する。複数の第1のスリーブ333と複数の第2のスリーブ334とは、交錯して同軸状に並ぶように設けられている。
【0088】
第1のスリーブ333は、上記の実施例における第1のスリーブ313、323と同様に第2の連結筒61及びブレーキ調節部材65に対応して第1のねじ孔3331が設けられている。
【0089】
第1のスリーブユニット4は、軸線Xを取り囲んで取付空間を形成するように第1のスリーブ333、第2のスリーブ334に連動可能に差し込まれて設けられている。第1の連結筒41が第1のスリーブ333と同期に回動可能に設けられている。連結軸42は第2のスリーブ334の回転に連動して軸線方向に移動可能であると共に軸線X周りに回転しないように設けられている。
【0090】
第2のスリーブユニット6は、第1のスリーブ333、第2のスリーブ334に連動可能に差し込まれて設けられており、図示の如く、第2の連結筒61が軸線Xを取り囲んで取付空間を形成するように第1のスリーブ333と同期に回動する。
【0091】
第2の連結筒61は、第1のねじ孔3331に対応して第4のねじ孔611が設けられている。
【0092】
ブッシュ66が、第1のねじ孔3331を介して第4のねじ孔611に設けられている。
【0093】
ボルト67が、対応する第1のねじ孔3331と、第4のねじ孔611に螺入され、第4のねじ孔611内に装着されたブッシュ66を介してブレーキ調節部材65に突き当たって固定されるように設けられている。このように、ブレーキ調節部材65は、ボルト67による固定により、第2の連結筒61に対して安定して位置決めされることができ、不意の外力が加わっても簡単には脱離しないようにすることができる。
【0094】
連結シャフト68は、その一端が、ブレーキばねユニット62、装着スリーブ63及び摩擦部材64に軸線Xに沿う方向である軸線方向に沿って差し込まれて、装着スリーブ63と摩擦部材64と共に軸線方向に移動可能に装着され、その他端が連結軸42の第1の端部421に挿入連結されることにより連結軸42と連動可能になる。
【0095】
第1のウィングプレート331と第2のウィングプレート332とが軸線Xを軸として角運動して相対的に接近・離反するように回動されると、第1のウィングプレート331或いは第2のウィングプレート332は、第1のスリーブ333が同期に駆動させる相対の第1の連結筒41及び第2の連結筒61を介する一方、第2のスリーブ334の同期的な駆動による連動された連結軸42を介すると共に、連結軸42及び連結シャフト68の連結により、連結軸42と連結シャフト68が同期に回動される。これによって、トルクスプリング44が連動して回されながら復帰トルクを蓄積することができるので、閉状態にする時、その復帰トルクで速やかに行うことができる。そして、連結軸42が軸線X回りの時計回り或いは反時計回りに回動される時には、連結シャフト68と装着スリーブ63、摩擦部材64との間の摩擦で連結軸42の回動を減速する減速力(retarding force)をトリガーとして生成することができる。従って、開閉の速度をコントロールすることができる。
【0096】
(第5の実施例)
図25〜
図28は、本発明に係るトルクヒンジの第5の実施例を示す。第5の実施例に係るトルクヒンジは、概ね上記の実施例とほぼ同様な構成を有するが、第1の油圧式スリーブユニット5が、第1のニードルベアリングユニット59に代わって、第2のニードルベアリングユニット7を含む点で異なる。
【0097】
第3のカム部材56は、更に、軸線方向に沿って延伸されると共に第1の油室501と第2の油室502とに連通されるように形成された油路566と、通路564を介して第2の油室502と連通するように通路564を取り囲む内周面に軸線方向沿いに延伸されて設けられた窪み567と、を有する。通孔565としては、第1の油室501と通路564との間に連通されるように軸部563に径方向に貫通して2つ設けられている。
【0098】
チェックバルブユニット57は、油路566を開放可能に閉塞するように設けられた例えば扁平十字形状のシール部材576と、環状のリング部材577と、その一部が開口を有するUの字形状の留め部材578と、を有し、リング部材577と留め部材578とによりシール部材576を位置決めさせるものであって、シール部材576が第3のカム部材56及びリング部材577の間に軸線方向沿いに移動可能になっている。この例では、シール部材576は、扁平状に限らず、ブロック形状、プラグ形状又はボール形状等であってもよい。
【0099】
弾性部材58は、必要に応じて軸線方向に2つ以上設けられてもよく、例えば第3のカム部材56の移動がより順調に行われるために、第2のカム部材55及び第3のカム部材56の間に設けられる外、第1のカム部材54及び第3のカム部材56の間に設けられる。
【0100】
第2のニードルベアリングユニット7は、軸線方向に沿って固定スリーブ53、第2のカム部材55、第3のカム部材56及びチェックバルブユニット57を貫通して設けられており、
図25、
図26のように、プランジャー71と、第1のニードルベアリング72と、第2のニードルベアリング73と、ピン部材74と、ボルト75と、を有する。
【0101】
プランジャー71は、軸線方向に沿って固定スリーブ53に挿通されて螺合されると共に第2のカム部材55を貫通するように設けられており、軸線方向の一端部71aと他端部71bとを有する。軸線方向の一端部71aは、その端面から窪む横断面が六角形状の穴711が形成され、その外周面に軸線方向と直角に突き出た凸環部713が形成されている。軸線方向の他端部71bは、第1のニードルベアリング72が挿入される挿入孔712が形成されている。
【0102】
第1のニードルベアリング72は、軸線方向沿いに往復動可能にプランジャー71の挿入孔712に差し込まれて連結されている。第1のニードルベアリング72のプランジャー71と連結された一端と反対側の他端の外周面にはねじが形成されている。第1のニードルベアリング72の他端が第2のニードルベアリング73の一端に挿入されて螺結されている。
【0103】
第2のニードルベアリング73は、軸線方向の両端部73a、73bがそれぞれの端面から窪んで軸線方向に延伸される縦穴が形成され、これらの両端部73a、73bの間の中央部73cが両端部73a、73bよりも径小になっている。第2のニードルベアリング73の両端部73a、73bの縦穴のそれぞれの内周面にねじが形成されており、第1のニードルベアリング72の他端が挿入されて螺結されている。
【0104】
ピン部材74は、その軸線方向の一端にねじが形成され、その他端がねじ付一端よりも径大になっているボルト形状のものであり、そのねじ付一端が第2のニードルベアリング73の他端部73bの縦穴に挿入されて螺結される。
【0105】
ボルト75は、その軸線方向の一端部にねじが形成されており、第3のカム部材56の軸部563の他端に挿入されてねじ部5643と螺結される。
【0106】
第3のカム部材56の通路564において、第1のニードルベアリング72と第2のニードルベアリング73との間、及び第2のニードルベアリング73とピン部材74との間には、”O”リング77と”O”リング77を取り挟むパッキン76とが気密に設けられている。第1のニードルベアリング72と第3のカム部材56の窪み567との間には油路566を介して第1の油室501と第2の油室502に連通するオイルパスが形成される。
【0107】
上記のように構成されたトルクヒンジを用いると、第1のウィングプレート311及び第2のウィングプレート312による夾角が0度から90度になるように開状態に回動される場合、第2のカム部材55の傾斜端面551によって第3のカム部材56の第1の接合端面562が当接されて押し上げられる。これによって第3のカム部材56を回動させるトルクが発生する。第3のカム部材56が回動されると、第2の接合端面561が例えば
図12の上方に向かって移動され、第1のカム部材54の傾斜端面541に突き当たる。このように第3のカム部材56の軸部563と連結軸42の第1の端部421とが連動され軸線方向に移動され、第1の油室501の容積が縮減される。この時、
図28に示されているように、窪み567と通孔565との一部に”O”リング77及びパッキン76、76が臨むように移動され、作動油が通過可能なオイルパスを形成するようになる。そして、第3のカム部材56が第1のカム部材54に向かって移動され、第1のニードルベアリング72の一部の外周面が通孔565に臨むように移動されると、窪み567及び通孔565の間が遮断される。そして、第1の油室501における作動油が油路566に流入し、シール部材576が押圧され、作動油が速やかに第2の油室502に流入する(
図27)。従って、速やかに開状態にすることができる。
【0108】
その一方、例えば外部の力が解消すると連結軸42の駆動により第3のカム部材56が逆回転されるので、第3のカム部材56が弾性部材58の付勢力に抗して第2のカム部材55に向かって移動される。これによって第2の油室502の容積が縮減される。そして、第2の油室502の作動油によってシール部材576が押されて油路566が遮断される。窪み567と通孔565との一部に”O”リング77及びパッキン76、76が臨むように第3のカム部材56が第2のカム部材55に向かって移動されると、窪み567と通孔565とが連通されてオイルパスになり、作動油が窪み567と通孔565とによるオイルパス及び通路564を介して少しずつ第1の油室501に流入する。これにより油圧による緩衝効果が得られる。従って、閉状態になる0度に近づくにつれて速度をより遅らせる遅延効果が生じる。
【0109】
なお、開状態から閉状態になる間に回動不能な状態になった場合、プランジャー591と固定スリーブ53の螺合の深さに応じて、第2のニードルベアリングユニット7が第3のカム部材56の通路564に軸線方向に移動されて変位されることにより、第2のニードルベアリングユニット7の軸部563に対する位置を変化させることができる。従って、窪み567と通孔565との一部に”O”リング77及びパッキン76、76が臨むように構成されることができ、窪み567と通孔565とで連通路を形成するようにすることができる。
【0110】
(第6の実施例)
図29〜
図33は、本発明に係るトルクヒンジの第6の実施例を示す。第6の実施例に係るトルクヒンジは、概ね上記の実施例とほぼ同様な構成を有するが、第1のウィングプレートユニット31、第2のスリーブユニット6及び第2の油圧式スリーブユニット8を含む点で異なる。
【0111】
第2の油圧式スリーブユニット8は、連結チューブ81と、第1のカム部材82と、油圧式モジュール83と、第3のカム部材84と、ブロック部材85と、弾性部材86と、キャップ部材87と、パッド部材88と、を有する。
【0112】
連結チューブ81は、第1のスリーブ313、第2のスリーブ314に連動可能に差し込まれて設けられており、軸線Xを取り囲んで取付空間を形成するチューブ体を有し、チューブ体は、2つの制限端面3131、3131が対応して摺接させる案内溝811、811がチューブ体の取付空間の反対側の外壁面に窪んで軸線方向に延伸されるように形成されている。案内溝811、811には、軸線方向の一端(図面の下方)側の第1のスリーブ313の2つの第1のねじ孔3133、3133に対応してチューブ体を軸線方向と直角に貫通して形成された対向する2つの第5のねじ孔814、814を有し、軸線方向の他端側に第5のねじ孔814と対応せずに互いに対向するようにチューブ体を軸線方向と直角に貫通する第6のねじ孔815、815が形成されている。連結チューブ81の他端側は、その端面から切り欠くと共にその内周面に窪む且つ対向する係止凹部816、816が形成されている。連結チューブ81の一端の内周面は、ねじ部812が形成され、該一端の外端縁はつば状に突き出る係止フランジ813が設けられている。
【0113】
第1のカム部材82は、軸線Xを取り囲む中空部を画成した第1のカム壁を有し、連結チューブ81の軸線方向の他端側から装着されている。第1のカム壁は、軸線方向の第1の端部82aと第2の端部82bとを有する。第1のカム部材82の第1の端部82aは、第1の端部82aから第2の端部82bに向かうと共に軸線Xと直角の径方向の一側から他側に向かって第2の端部82bに近づくように傾斜する傾斜端面821と、係止凹部816、816に対応してその外周面から突き出る2つの係止ブロック823、823と、が設けられている。
【0114】
油圧式モジュール83は、油圧緩衝効果を発生するオイルキャビティが画成されており、第3のカム部材84及びキャップ部材87の間に連結チューブ81内に装着されるモジュールボディ831を有し、該モジュールボディ831は軸線方向の一端部831aと他端部831bと、一端部831aから他端部831bに延伸されるねじ部831cと、を有する。モジュールボディ831の一端部831aは、キャップ部材87に覆われて蓋をされるようにその一端面から突き出された中空部付の連動筒部832が設けられている。また、他端部831bには他端部831bから突き出された突柱8311が設けられている。連動筒部832の内周面には断面が六角形状のねじ穴が設けられ、該ねじ穴にねじ付ボルト833が螺合されるように設けられている。ねじ付ボルト833は、後述するように緩衝効果を調節するためのものである。
【0115】
第3のカム部材84は、第1のカム部材82と油圧式モジュール83との間に摺動可能に装着されており、軸線方向の一端部84aと、該一端部84aよりも径小な他端部84bと、を有し、その一端部84aの内側にブロック部材85を嵌め込む装着孔844がその径幅が階段状になるよう設けられている。該一端部84aの他端部84bとの段部は、傾斜端面821と対向して接触するように径方向の一側から他側に傾斜する接合端面841が形成されている。他端部84bは、第1のカム部材82の中空部を挿通して連結シャフト68の装着穴681に挿入される軸棒842が突き出て設けられている。
【0116】
ブロック部材85は、第3のカム部材84及び油圧式モジュール83の間に設けられ、その一端部851側から他端側にその一端部から径小に突き出た突出部852が設けられ、その全体の縦断面が凸の字形状に形成され、第3のカム部材84及び油圧式モジュール83の突柱8311の間に第3のカム部材84の装着孔844に挿入して定位される。
【0117】
弾性部材86は、例えばコイルばねを用い、第3のカム部材84の装着孔844内にブロック部材85の径大部を取り囲むように設けられており、ブロック部材85と突柱8311とが常に所定の軸線方向距離だけ離れるように第3のカム部材84を常に第1のカム部材82に向けて移動させるバイアスを付与する付勢力を有する。
【0118】
キャップ部材87は、連結チューブ81の一端に装着されるようになっている。この例では、キャップ部材87の外周面は、連結チューブ81の一端の内周面に設けられたねじ部812と対応して螺結されるねじ部871が設けられている。
【0119】
パッド部材88は、突柱8311が貫通されるようにモジュールボディ831の他端面と弾性部材86との間に配置されている。
【0120】
ねじ付ボルト833の連動筒部832に対する螺合深さによって、ブロック部材85と突柱8311との取付間隔を設定することができる。これによって油圧による緩衝効果を変化させることができる。
【0121】
このように構成されたトルクヒンジを用いると、第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312とにおける一方が他方に対して回動された時、例えば第1のスリーブ313と第2の連結筒61とが回動せず、連結シャフト68が第3のカム部材84の軸棒842の回動に連動された場合、又は、連結シャフト68と軸棒842とが回動せず、連結チューブ81と第2の連結筒61の回動により第1のカム部材82が連動して回動された場合、ブレーキばねユニット62の装着スリーブ63に当接するトリガー弾力、及び接合端面841と傾斜端面821との押し付けにより、弾性部材86が圧縮されると共に、ブロック部材85と突柱8311とが押し付けられることにより、油圧による緩衝作用を発生することができる。
【0122】
また、本例に係るトルクヒンジが組み立てられた後、連動筒部832に例えば六角レンチ等のハンドツールをかけて回すと、モジュールボディ831が連動して軸線方向に沿って移動され、ブロック部材85との間の間隔を調節することができる。これによって、例えば
図31と
図33とに示されているように、第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312との夾角が90度の開状態にされた後に90度以下の所定角度になったところで、突柱8311が当接され、油圧緩衝効果が作用し得る形態、又は、
図31、
図32に示されているように、例えば、第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312との夾角が0度に近づいた閉状態になる直前になったところで、突柱8311が当接され、油圧緩衝効果が作用し得る形態、又は、
図33に示されているように、第1のウィングプレート311と第2のウィングプレート312との夾角が90度の開状態から閉状態にするよう動かされてすぐに突柱8311が当接され、油圧緩衝効果が作用し得る形態等のように設定されることが可能である。
【0123】
また、例えば六角レンチ等のハンドツールを用いてねじ付ボルト833の連動筒部832に対する螺合深さを調節することにより、油圧式モジュール83のオイルキャビティを調節することができる。これによって緩衝作用で開閉する速度を変化させることができる。
【0124】
更に、第1のカム部材82の傾斜端面821と第3のカム部材84の接合端面841との接合勾配を変化することによって、開状態から閉状態にする時の開閉速度も、閉状態から開状態にする時の開閉速度も変化させることができる。
【0125】
(第7の実施例)
図34は、本発明に係るトルクヒンジの第7の実施例を示す。第7の実施例に係るトルクヒンジは、概ね上記の実施例とほぼ同様な構成を有するが、第3のカム部材84の軸棒842の長さが違う点で異なる。このように、第3のカム部材84の軸棒842の長さを変化すると、
図29〜
図33における第2のスリーブユニット6に代わって第1のスリーブユニット4を用いること可能となる。その他の構成や作用は上記の実施例と同様である。
【0126】
以上のように構成されたトルクヒンジによる利点を、以下に帰納する。
(一) 本発明に係るトルクヒンジは、モジュール化構成であるため、第1のスリーブユニット4、第2のスリーブユニット6、第1の油圧式スリーブユニット5又は第2の油圧式スリーブユニット8等を、必要に応じて予め組立てておくと、必要な組立て品をウィング機構3に装着して組立てを行うことができ、製造が便利になる。
(二) 第1のカム部材の傾斜端面(541、551、821)と、対応する第3のカム部材の接合端面(561、562、842)とによる押し付け、及び連結軸42又は連結シャフト68との連動関係、そしてウィング機構3とにより液圧系、機械系の相互作用等により、ウィング機構3は取り付け時の向きを無視して組立てることができる。これによって、第1のスリーブ313(323、333)を回転軸とした時も、或いは第2のスリーブ314(324、334)を回転軸とした時も、第1のスリーブユニット4、第1の油圧式スリーブユニット5、第2のスリーブユニット6、第2の油圧式スリーブユニット8はそれぞれ所定の同じ向き沿いの運動をすることができるため、従来からの、左側から開扉する場合、反時計回りのトルクユニット、右側から開扉する場合、時計回りのトルクユニットをそれぞれ使わなければならない問題点を解消することができる。製造する時も便利である。
(三) 第1のニードルベアリングユニット59又は第2のニードルベアリングユニット7によるオイルパスとの関係により、第2の油室502の第1の油室501への流入速度を調節することができるので、速やかに又は緩やかに開閉することが可能になる。
(四) ウィング機構3の両端側に取り付けられたプランジャー591、装着シャフト43、ブレーキ調節部材65、ねじ付ボルト833、連動筒部832等を回すことにより、閉扉速度を調節することができ、閉扉を順調に行うことができる。そして、本発明に係るトルクヒンジは、環境条件や開閉条件、扉の使用材料に応じて機械系構成、機械・油圧構成、油圧系構成、ダブル蓄積式トルク構成等に組合せることができる。
【0127】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。