特開2017-206919(P2017-206919A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-206919シリンダ錠の保護装置及びその組み付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-206919(P2017-206919A)
(43)【公開日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】シリンダ錠の保護装置及びその組み付け方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 15/00 20060101AFI20171027BHJP
   E05B 17/18 20060101ALI20171027BHJP
   E05B 35/12 20060101ALI20171027BHJP
   B62H 5/08 20060101ALI20171027BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20171027BHJP
   E05B 47/00 20060101ALN20171027BHJP
【FI】
   E05B15/00 B
   E05B17/18 G
   E05B35/12 C
   B62H5/08
   B62J23/00 F
   E05B47/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-101754(P2016-101754)
(22)【出願日】2016年5月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】松山 和揮
(57)【要約】
【課題】シャッターの組み付け時の作業性を向上させることができるシリンダ錠の保護装置及びその組み付け方法を提供する。
【解決手段】閉塞位置と開放位置との間で移動可能とされたシャッター2と、シャッター2を開放位置から閉塞位置まで付勢する捩りバネ3と、閉塞位置にあるシャッター2をロックするマグネット錠4と、開放位置にあるシャッター2を係止し得る係止部5aaと、ハウジング1から突出した操作部5bとを具備し、操作部5bを押圧操作することにより係止部5aaによるシャッター2の係止を解除し得る押しボタン5とを具備し、シリンダ錠Sを保護し得るシリンダ錠の保護装置において、シャッター2は、捩りバネ3の一端3aを引っ掛け得る引っ掛け部2cを有するとともに、引っ掛け部2cにて捩りバネ3の一端3aを引っ掛けた状態で開放位置まで移動可能とされたものである。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が具備するシリンダ錠のキー孔の上方に設けられるハウジングと、
該ハウジング内において前記キー孔を閉塞させる閉塞位置と当該キー孔を開放させる開放位置との間で移動可能とされたシャッターと、
一端が前記シャッターに取り付けられるとともに他端が前記ハウジングに取り付けられ、前記シャッターを前記開放位置から前記閉塞位置まで付勢する付勢手段と、
前記閉塞位置にある前記シャッターをロックするロック手段と、
前記開放位置にある前記シャッターを係止し得る係止部と、前記ハウジングから突出した操作部とを具備し、当該操作部を押圧操作することにより前記係止部による前記シャッターの係止を解除し得る操作手段と、
を具備し、前記シリンダ錠を保護し得るシリンダ錠の保護装置において、
前記シャッターは、前記付勢手段の一端を引っ掛け得る引っ掛け部を有するとともに、当該引っ掛け部にて前記付勢手段の一端を引っ掛けた状態で前記開放位置まで移動可能とされたことを特徴とするシリンダ錠の保護装置。
【請求項2】
前記シャッターは、回動軸を中心に回動して前記閉塞位置と開放位置との間を移動し得るとともに、前記付勢手段は、前記シャッターの回動軸に設けられた捩りバネから成ることを特徴とする請求項1記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項3】
前記引っ掛け部は、前記シャッターに一体形成されたL字状のフック形状から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項4】
車両が具備するシリンダ錠のキー孔の上方に設けられるハウジングと、
該ハウジング内において前記キー孔を閉塞させる閉塞位置と当該キー孔を開放させる開放位置との間で移動可能とされたシャッターと、
一端が前記シャッターに取り付けられるとともに他端が前記ハウジングに取り付けられ、前記シャッターを前記開放位置から前記閉塞位置まで付勢する付勢手段と、
前記閉塞位置にある前記シャッターをロックするロック手段と、
前記開放位置にある前記シャッターを係止し得る係止部と、前記ハウジングから突出した操作部とを具備し、当該操作部を押圧操作することにより前記係止部による前記シャッターの係止を解除し得る操作手段と、
を具備し、前記シリンダ錠を保護し得るシリンダ錠の保護装置の組み付け方法において、
前記シャッターは、前記付勢手段の一端を引っ掛け得る引っ掛け部を有するとともに、前記シャッターに対して当該引っ掛け部にて前記付勢手段の一端を引っ掛けた状態とし、その引っ掛け状態を維持しつつ前記シャッターを前記開放位置まで移動して組み付けることを特徴とするシリンダ錠の保護装置の組み付け方法。
【請求項5】
前記シャッターは、回動軸を中心に回動して前記閉塞位置と開放位置との間を移動し得るとともに、前記付勢手段は、前記シャッターの回動軸に設けられた捩りバネから成ることを特徴とする請求項4記載のシリンダ錠の保護装置の組み付け方法。
【請求項6】
前記引っ掛け部は、前記シャッターに一体形成されたL字状のフック形状から成ることを特徴とする請求項4又は請求項5記載のシリンダ錠の保護装置の組み付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車等の車両に装備されるシリンダ錠の破壊等を防止し得るシリンダ錠の保護装置及びその組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第三者によるはさみやドライバ等のキー孔への差し込みで二輪車等のシリンダ錠がいたずらされて破壊されるのを防止するために、例えば特許文献1で開示されたシリンダ錠の保護装置が提案されている。かかる保護装置は、キー孔を閉状態とする閉塞位置から当該キー孔を開状態とする開放位置まで回動可能なシャッターと、該シャッターを開放位置から閉塞位置に付勢する捩りコイルバネと、開放位置のシャッターを係止する押しボタンと、シャッターを閉塞位置に保持することによりキー孔を閉塞して施錠するマグネット錠と、磁石の磁気によってマグネット錠を解錠するマグネットキーとを具備していた。
【0003】
上記保護装置によれば、押しボタン(操作手段)を押圧操作すれば、捩りコイルバネの付勢力でシャッターが閉塞位置まで回動してキー孔を閉塞状態とし、マグネット錠(ロック手段)にて当該閉塞状態が保持されるとともに、マグネットキーにてマグネット錠を解錠しつつシャッターを開放位置まで回動させることにより、キー孔を開放させてイグニッションキーを挿通可能な状態とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−203666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、シャッターが閉塞位置にあるとマグネット錠によってロックされてしまうので、車両の組み立て工場に納品する際、シャッターを開放位置に保持しておく必要がある。その場合、捩りバネ及びシャッターをそれぞれハウジングに組み付けた後、自然長の状態となっている捩りバネの一端をシャッターの取付部位まで折り曲げて取り付け、その状態のままシャッターを開放位置まで移動してハウジングに組み付ける必要があるので、開放位置に至るまでに捩りバネの一端が外れてしまう虞があり、組み付け時の作業性が悪化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、シャッターの組み付け時の作業性を向上させることができるシリンダ錠の保護装置及びその組み付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、車両が具備するシリンダ錠のキー孔の上方に設けられるハウジングと、該ハウジング内において前記キー孔を閉塞させる閉塞位置と当該キー孔を開放させる開放位置との間で移動可能とされたシャッターと、一端が前記シャッターに取り付けられるとともに他端が前記ハウジングに取り付けられ、前記シャッターを前記開放位置から前記閉塞位置まで付勢する付勢手段と、前記閉塞位置にある前記シャッターをロックするロック手段と、前記開放位置にある前記シャッターを係止し得る係止部と、前記ハウジングから突出した操作部とを具備し、当該操作部を押圧操作することにより前記係止部による前記シャッターの係止を解除し得る操作手段とを具備し、前記シリンダ錠を保護し得るシリンダ錠の保護装置において、前記シャッターは、前記付勢手段の一端を引っ掛け得る引っ掛け部を有するとともに、当該引っ掛け部にて前記付勢手段の一端を引っ掛けた状態で前記開放位置まで移動可能とされたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシリンダ錠の保護装置において、前記シャッターは、回動軸を中心に回動して前記閉塞位置と開放位置との間を移動し得るとともに、前記付勢手段は、前記シャッターの回動軸に設けられた捩りバネから成ることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のシリンダ錠の保護装置において、前記引っ掛け部は、前記シャッターに一体形成されたL字状のフック形状から成ることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、車両が具備するシリンダ錠のキー孔の上方に設けられるハウジングと、該ハウジング内において前記キー孔を閉塞させる閉塞位置と当該キー孔を開放させる開放位置との間で移動可能とされたシャッターと、一端が前記シャッターに取り付けられるとともに他端が前記ハウジングに取り付けられ、前記シャッターを前記開放位置から前記閉塞位置まで付勢する付勢手段と、前記閉塞位置にある前記シャッターをロックするロック手段と、前記開放位置にある前記シャッターを係止し得る係止部と、前記ハウジングから突出した操作部とを具備し、当該操作部を押圧操作することにより前記係止部による前記シャッターの係止を解除し得る操作手段とを具備し、前記シリンダ錠を保護し得るシリンダ錠の保護装置の組み付け方法において、前記シャッターは、前記付勢手段の一端を引っ掛け得る引っ掛け部を有するとともに、前記シャッターに対して当該引っ掛け部にて前記付勢手段の一端を引っ掛けた状態とし、その引っ掛け状態を維持しつつ前記シャッターを前記開放位置まで移動して組み付けることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のシリンダ錠の保護装置の組み付け方法において、前記シャッターは、回動軸を中心に回動して前記閉塞位置と開放位置との間を移動し得るとともに、前記付勢手段は、前記シャッターの回動軸に設けられた捩りバネから成ることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5記載のシリンダ錠の保護装置の組み付け方法において、前記引っ掛け部は、前記シャッターに一体形成されたL字状のフック形状から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、4の発明によれば、シャッターは、付勢手段の一端を引っ掛け得る引っ掛け部を有するとともに、当該引っ掛け部にて付勢手段の一端を引っ掛けた状態で開放位置まで移動可能とされたので、シャッターの組み付け時の作業性を向上させることができる。
【0014】
請求項2、5の発明によれば、シャッターは、回動軸を中心に回動して閉塞位置と開放位置との間を移動し得るとともに、付勢手段は、シャッターの回動軸に設けられた捩りバネから成るので、簡易な構成で容易にシャッターを組み付けることができる。
【0015】
請求項3、6の発明によれば、引っ掛け部は、シャッターに一体形成されたL字状のフック形状から成るので、組み付け時に容易且つ確実に捩りバネの一端を引っ掛けることができ、シャッターの組み付け時の作業性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るシリンダ錠の保護装置の外観を示す3面図
図2】同シリンダ錠の保護装置(シャッターが開放位置)を示す平面図及びA−A断面図
図3】同シリンダ錠の保護装置の内部構成(シャッターが開放位置)を示す平面図及び正面図
図4】同シリンダ錠の保護装置の内部構成(シャッターが開放位置)を示す斜視図
図5】同シリンダ錠の保護装置(シャッターが閉塞位置)を示す平面図及びB−B断面図
図6】同シリンダ錠の保護装置の内部構成(シャッターが閉塞位置)を示す平面図及び正面図
図7】同シリンダ錠の保護装置の内部構成(シャッターが閉塞位置)を示す斜視図
図8】同シリンダ錠の保護装置の内部構成(ハウジングのケースに捩りバネを取り付けた状態)を示す3面図
図9】同シリンダ錠の保護装置の内部構成(ハウジングのケースに捩りバネを取り付けた状態)を示す斜視図
図10】同シリンダ錠の保護装置におけるマグネット錠が一体形成されたシャッターを示す5面図
図11】同シリンダ錠の保護装置におけるマグネット錠が一体形成されたシャッターを示す斜視図
図12】同シリンダ錠の保護装置における押しボタンを示す5面図
図13】同シリンダ錠の保護装置における押しボタンを示す斜視図
図14】同シリンダ錠の保護装置におけるマグネットキーによるマグネット錠の解錠方法を示す模式図
図15】同シリンダ錠の保護装置(シャッターの組み付け過程)を示す平面図及びC−C断面図
図16】同シリンダ錠の保護装置(シャッターの組み付け過程)を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るシリンダ錠の保護装置は、二輪車が具備するシリンダ錠のキー孔上方に設けられ、該キー孔を外側から開閉可能とすることによりシリンダ錠を保護し得るもので、図1図7に示すように、ケース1a及びカバー1bで構成されるハウジング1と、シャッター2と、付勢手段としての捩りバネ3と、ロック手段としてのマグネット錠4と、解錠手段としてのマグネットキーMK(図14参照)と、操作手段としての押しボタン5とから主に構成されている。
【0018】
ケース1aは、ダイカスト成形品等から成るものであり、図8、9に示すように、車両のシリンダ錠S(図2、5等参照)を挿通し、そのキー孔Saを上方に臨ませ得る挿通孔1aaと、マグネット錠用凸部1abと、シャッター2が閉塞位置より更に回動してしまうのを規制するためのストッパ部1acと、押しボタン5を組み付けるための挿入凹部1adと、シャッター2を摺動させる摺動レール部1aeと、シャッター2の回動時における引っ掛け部2cの移動軌跡に形成された溝部1afとを有して構成されている。
【0019】
マグネット錠用凸部1abは、マグネット錠4の一部を構成するもので、図14に示すように、その端面においてスプリングsを介してマグネットMaを収容する収容穴bが複数形成されるとともに、外周面にシャッター2に形成された円環状部4bを嵌入させて回動自在とし得るよう構成されている。なお、図14中符号aは、シャッター2の円環状部4bとマグネット錠用凸部1abとの間をシールするOリングを示している。
【0020】
カバー1bは、所定のダイカスト成形品から成り、ケース1aの上面側を覆って該ケース1aとの間に形成される内部空間にシャッター2等シリンダ錠の保護装置の構成部品を収容するためのもので、挿通孔1aaと対応した位置に形成されてイグニッションキー(不図示)をキー孔Saに挿通させ得る孔1baと、押しボタン5の操作部5bを挿通させ得る孔1bbと、シャッター2に形成された嵌合部4aを挿通させ得る孔1bcとが形成されている。これにより、押しボタン5の操作部5bがカバー1bの上面側から突出した状態で組み付けられるとともに、キー孔Saを臨ませる孔1baを挟んで両側に押しボタン5とマグネット錠4(ロック手段)とが位置することとなる。なお、カバー1bの上面は、押しボタン5の操作部5bを除き略平坦に形成されている。
【0021】
シャッター2は、ハウジング1内においてキー孔Saを閉塞させる閉塞位置(図5〜7参照)と当該キー孔Saを開放させる開放位置(図2〜4参照)との間で移動可能とされたもので、本実施形態においては、マグネット錠用凸部1abを中心として開放位置と閉塞位置との間を回動可能とされている。また、本実施形態に係るシャッター2は、マグネット錠4の一部を構成する嵌合部4a及びマグネット錠用凸部1abに嵌入可能な円環状部4bが一体形成されている。
【0022】
円環状部4bには、複数の凹部4baが形成されており、シャッター2が閉塞位置にあるとき、凹部4baとマグネット錠用凸部1abに形成された収容穴bとの位置が合致するよう設定されている。さらに、本実施形態に係るシャッター2は、図10、11に示すように、閉塞位置にあるときキー孔Saを覆う閉塞部2aと、押しボタン5の係止部5aaにて係止可能な被係止部2bと、引っ掛け部2c(後で詳述する)とを有して構成されている。
【0023】
捩りバネ3(付勢手段)は、シャッターを開放位置から閉塞位置まで付勢するもので、図8、9に示すように、コイル部3cを有し、一端3aがシャッター2(具体的には引っ掛け部2c)に取り付けられるとともに他端3bがハウジング1に取り付けられた所謂トーションバネから成る。本実施形態に係る捩りバネ3は、そのコイル部3cをマグネット錠用凸部1ab(シャッター2の回動軸)に挿通させて組み付けられている。
【0024】
マグネット錠4(ロック手段)は、閉塞位置にあるシャッター2をロック(開放位置への回動を規制)するもので、ハウジング1のケース1aに形成されたマグネット錠用凸部1abと、シャッター2に形成された嵌合部4a及び円環状部4bと、マグネットMaとを有して構成されている。そして、シャッター2が閉塞位置にあるとき、マグネット錠用凸部1abに形成された収容穴bとシャッター2に形成された凹部4baとが合致するよう設定されており、スプリングsで付勢されたマグネットMaが凹部4baに入り込むことによって、シャッター2を係止してロックし得るよう構成されているのである。
【0025】
一方、マグネットキーMK(解錠手段)は、マグネット錠4によるロックを解除し、シャッター2を閉塞位置から開放位置まで移動させるためのもので、例えば二輪車のイグニッションキーの把持部(樹脂製の部位)に一体形成された部位から成る。かかるマグネットキーMKの先端には、図14(b)に示すように、マグネットMaに対応する位置にマグネットMbが複数埋設されており、このマグネットMbは、マグネットキーMKがシャッター2に形成された嵌合部4aに嵌合された状態で、マグネットMaの上面側の極と異なる極が対向するように配設されている。
【0026】
これにより、シャッター2がロックされた状態においてマグネットキーMKを嵌合部4aに差し込むと、マグネットMaとマグネットキーMK内のマグネットMbとの反発力により、マグネットMaがスプリングsの付勢力に抗して下降し、ロックが解除(マグネット錠4が解錠)されるのである。この状態のままマグネットキーMKを回転させれば、嵌合部4aの嵌合でシャッター2が連れ回されて閉塞位置から開放位置まで回動し得るよう構成されている。
【0027】
押しボタン5(操作手段)は、図12、13に示すように、開放位置にあるシャッター2を係止し得る係止部5aaと、ハウジング1におけるカバー1bの表面から突出して組み付けられる操作部5bとを具備し、当該操作部5bを押圧操作することにより係止部5aaによるシャッター2との係止を解除し得るものである。具体的には、押しボタン5は、側方に突出した突出部5aが形成されており、その突出部5aの端面が係止部5aaを構成するとともに、上面が被押圧部5abを構成している。また、押しボタン5の内部には、スプリングd(図2、5参照)を収容するための収容凹部5cが形成されており、かかるスプリングdによって押しボタン5が上方に向かって付勢されつつ組み付けられるようになっている。
【0028】
しかるに、シャッター2が開放位置にあるとき、図2〜4に示すように、押しボタン5の係止部5aaがシャッター2の被係止部2bと当接して係止することにより、捩りバネ3の付勢力に抗してシャッター2を開放位置に保持させることができる。そして、押しボタン5の操作部5bを押圧操作すると、スプリングdの付勢力に抗して下降するので、係止部5aaによる被係止部2bの係止が解かれ、捩りバネ3の付勢力によってシャッター2が開放位置から閉塞位置に回動するようになっている。しかして、シャッター2がマグネット錠4によりロックされるとともに、閉塞部2aがキー孔Saを覆うこととなるので、第三者によるキー孔Saに対するいたずら等を防止することができる。
【0029】
ここで、本実施形態に係るシャッター2は、閉塞位置にあるとき、操作部5bが押圧操作された状態に維持するための押圧部2dを有している。かかる押圧部2dは、シャッター2の被係止部2bから弧状に続く周縁部位であって押しボタン5の被押圧部5abに対応する位置に形成されている。すなわち、押しボタン5は、シャッター2が閉塞位置にあるとき、図5に示すように、被押圧部5ab(図12、13参照)がシャッター2の押圧部2dにて下方(操作部5bの操作方向)に押圧されることにより操作部5bが押圧操作された状態(ハウジング1におけるカバー1bの表面からの突出寸法Tb)に維持されるのである。
【0030】
なお、操作部5bは、シャッター2が開放位置にあるとき、図2に示すように、ハウジング1におけるカバー1bの表面からの突出寸法がTaとされるとともに、シャッター2が閉塞位置にあるとき、被押圧部5abが押圧部2dに押圧されて操作部5bが押圧操作された状態に維持されるので、図5に示すように、ハウジング1におけるカバー1bの表面からの突出寸法がTb(<Ta)とされている。
【0031】
さらに、本実施形態に係る押圧部2dは、シャッター2が閉塞位置から開放位置に達するまでの間に亘って被押圧部5abを押圧するよう構成されている。すなわち、押圧部2dは、シャッター2の被係止部2bから所定範囲に亘って連続して形成されており、シャッター2が閉塞位置から回動し、開放位置に達するまでの間、継続して被押圧部5abが下方に押圧されるので、操作部5bが押圧操作された状態に維持され続けるのである。なお、シャッター2が開放位置に達すると、上述のように、係止部5aaがシャッター2の被係止部2bを係止するので、押しボタン5がスプリングdの付勢力にて上昇して操作部5bが操作前の突出状態となる。
【0032】
また、本実施形態に係るシャッター2は、捩りバネ3(付勢手段)の一端3aを引っ掛け得る引っ掛け部2cを有するとともに、当該引っ掛け部2cにて捩りバネ3の一端3aを引っ掛けた状態で開放位置まで移動可能とされている。かかる引っ掛け部2cは、図10、11に示すように、シャッターに一体形成されたL字状のフック形状から成り、シャッターの閉塞部2a等に対して略直交方向に延びた延設部2caと、該延設部2caの突端部にて当該延設部2caに対して略直交方向に突出した爪部2cbとを有して構成されている。
【0033】
そして、押しボタン5を挿入凹部1adに挿入させるとともに、マグネット錠用凸部1abに捩りバネ3を組み付けた後(このとき、他端3bをハウジング1の所定位置に固定されている)、図15、16に示すように、自然長の状態の捩りバネ3の一端3aを引っ掛け部2cにて引っ掛けつつ円環状部4bをマグネット錠用凸部1ab上に配置する。このとき、捩りバネ3は、自然長の状態(捩られていない状態)となっているため、シャッター2は、同図に示すように、その移動範囲を越えた位置となっている。
【0034】
かかる状態よりマグネット錠用凸部1abを中心としてシャッター2を図15中矢印方向に回動させることにより、捩りバネ3の一端3aの引っ掛け状態を維持しつつシャッター2を開放位置まで移動して組み付けることができる。シャッター2が開放位置まで移動すると、押しボタン5の係止部5aaがシャッター2の被係止部2bを係止するので、その状態にて車両の組み立て工場等に搬送することができる。
【0035】
このように、本実施形態に係る引っ掛け部2cは、延設部2ca及び爪部2cbから成るので、捩りバネ3の一端3aを容易且つ確実に引っ掛けることができ、シャッター2を回動させても、その引っ掛けた状態を確実に保持することができる。また、シャッター2が開放位置と閉塞位置との間を回動する際、引っ掛け部2cは、円弧状に形成された溝部1af内に沿って移動することとなり、ケース1aとの干渉が回避されている。
【0036】
しかして、上記の如きシリンダ錠の保護装置を車両に組み付けた状態において、シャッター2が開放位置にあるとき、キー孔Saが上方に臨んでいるので、イグニッションキー(不図示)を挿通し車両のエンジン始動操作が可能とされるとともに、車両のエンジン停止後、イグニッションキーをキー孔Saから抜き、押しボタン5の操作部5bを押圧操作することにより、係止部5aaと被係止部2bとの係止が解かれてシャッター2を閉塞位置まで回動させることができる。
【0037】
上記実施形態によれば、シャッター2は、閉塞位置にあるとき、操作部5bが押圧操作された状態に維持するための押圧部2dを有するので、シャッター2を閉塞位置から開放位置まで移動する際の操作性を向上させつつ当該シャッター2又は押しボタン5の摩耗を抑制することができる。さらに、シャッター2が閉塞位置にあるとき、操作部5bのハウジング1に対する突出寸法が小さくなるので、防犯性を向上させることができるとともに、シャッター2が開放位置にあるとき、操作部5bのハウジング1に対する突出寸法が大きくなるので、押圧操作時の操作性を向上させることができる。
【0038】
また、本実施形態に係る押しボタン5は、被押圧部5abを有して構成され、シャッター2が閉塞位置にあるとき、当該被押圧部5abがシャッター2の押圧部2dにて押圧されることにより操作部5bが押圧操作された状態に維持されるので、シャッター2が閉塞位置にあるときの操作部5bの状態をより確実に維持させることができる。さらに、本実施形態に係る押圧部2dは、シャッター2が閉塞位置から開放位置に達するまでの間に亘って被押圧部5abを押圧するので、シャッター2を開放位置まで移動させる過程において押しボタン5が移動してしまうのを確実に防止することができ、シャッター2を閉塞位置から開放位置まで移動する際の操作性をより向上させることができる。
【0039】
特に、本実施形態に係るシャッター2は、捩りバネ3(付勢手段)の一端3aを引っ掛け得る引っ掛け部2cを有するとともに、当該引っ掛け部2cにて捩りバネ3の一端3aを引っ掛けた状態で開放位置まで移動可能とされたので、シャッター2の組み付け時の作業性を向上させることができる。また、同シャッター2は、回動軸(マグネット錠用凸部1ab)を中心に回動して閉塞位置と開放位置との間を移動し得るとともに、付勢手段は、シャッター2の回動軸(マグネット錠用凸部1ab)に設けられた捩りバネ3から成るので、簡易な構成で容易にシャッター2を組み付けることができる。さらに、同引っ掛け部2cは、シャッター2に一体形成されたL字状のフック形状から成るので、組み付け時に容易且つ確実に捩りバネ3の一端3aを引っ掛けることができ、シャッター2の組み付け時の作業性をより向上させることができる。
【0040】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、捩りバネ3に代えて、シャッター2を開放位置から閉塞位置まで付勢し得る他の形態の付勢手段としてもよく、マグネット錠4に代えて、閉塞位置にあるシャッター2をロックし得る他の形態のロック手段としてもよい。また、本実施形態に係るシャッター2においては、閉塞位置にあるとき、操作部5bが押圧操作された状態に維持するための押圧部2dを有しているが、当該押圧部2dを有さないものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
シャッターは、付勢手段の一端を引っ掛け得る引っ掛け部を有するとともに、当該引っ掛け部にて付勢手段の一端を引っ掛けた状態で開放位置まで移動可能とされたシリンダ錠の保護装置及びその組み付け方法であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ハウジング
1a ケース
1aa 挿通孔
1ab マグネット錠用凸部
1ac ストッパ部
1ad 挿入凹部
1ae 摺動レール部
1af 溝部
1b カバー
1ba 孔
1bb 孔
1bc 孔
2 シャッター
2a 閉塞部
2b 被係止部
2c 引っ掛け部
2ca 延設部
2cb 爪部
2d 押圧部
3 捩りバネ(付勢手段)
3a 一端
3b 他端
3c コイル部
4 マグネット錠(ロック手段)
4a 嵌合部
4b 円環状部
5 押しボタン(操作手段)
5a 突出部
5aa 係止部
5ab 被押圧部
5b 操作部
5c 収容凹部
MK マグネットキー(解錠手段)
S シリンダ錠
Sa キー孔
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