特開2017-207014(P2017-207014A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-207014(P2017-207014A)
(43)【公開日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】オイルフィラーキャップ
(51)【国際特許分類】
   F01M 11/04 20060101AFI20171027BHJP
【FI】
   F01M11/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-100074(P2016-100074)
(22)【出願日】2016年5月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】吉原 昭
(72)【発明者】
【氏名】小山 和明
(72)【発明者】
【氏名】岡本 雄弥
【テーマコード(参考)】
3G015
【Fターム(参考)】
3G015BD10
3G015BD23
3G015BJ04
3G015CA05
3G015DA04
3G015EA03
(57)【要約】
【課題】極低温環境下におけるシリンダヘッドカバーからのオイルしみ出しを抑制する。
【解決手段】オイルフィラーキャップ40Aは、オイル注入口38に着脱可能に設けられ、キャップ本体42と、開放弁44とを備えている。キャップ本体42の鍔部5206がシール部材49の上面に弾接し、開放弁44の弁部5202がシール部材49の内周部4902に弾接した状態で通気孔4202の閉塞状態が形成され、この閉塞状態はばね部材54の弾性力により維持されている。シリンダヘッドカバー18内の圧力が所定値を超えると、弁体52がばね部材54の弾性力および弁部5202とシール部材49の内周部4902との摩擦力に抗して、上方へ直線移動し通気孔4202を開放させて圧力をシリンダヘッドカバー18外へ逃がす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッドカバーのオイル注入口に着脱可能に取着されるオイルフィラーキャップであって、
前記オイルフィラーキャップは、シリンダヘッドカバー内の圧力が所定値を超えた場合に前記圧力を逃がす開放弁を備える、
ことを特徴とするオイルフィラーキャップ。
【請求項2】
前記オイルフィラーキャップは、前記オイル注入口に対して着脱され前記開放弁により開閉される通気孔が形成されたキャップ本体を有し、
前記通気孔が開口する前記キャップ本体の上面に、前記開口の周囲全周を囲む環状壁が突出形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のオイルフィラーキャップ。
【請求項3】
前記開放弁は、前記通気孔を開閉する弁体を含んで構成され、
前記開放弁に、前記通気孔を開放する開放状態で、前記前記弁体の軸心を前記通気孔の軸心に対して所定の寸法の範囲内に収める案内部が設けられている、
ことを特徴とする請求項2記載のオイルフィラーキャップ。
【請求項4】
前記通気孔は、前記開放弁によりシール部材を介して開閉され前記通気孔の軸心方向に沿った長さを有する開閉用内周部を有し、
前記開放弁は、前記開閉用内周部に弾接することで前記通気孔の閉塞状態を形成する弁体と、前記閉塞状態を維持する方向に前記弁体を付勢するばね部材とを含んで構成され、
前記通気孔を開放する開放状態は、前記弁体が前記閉塞状態から前記開閉用内周部の軸心方向に沿った前記シール部材の厚さよりも大きい寸法の変位量で変位することで形成される、
ことを特徴とする請求項2記載のオイルフィラーキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルフィラーキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの燃焼室からクランクケース内に漏れ出るブローバイガスの大気への漏出を抑制し大気汚染を防止するため、ブローバイガスを吸気系に還流させるブローバイガス還流装置が提案されている。
特許文献1のブローバイガス還流装置は、クランクケース内に漏れ出たブローバイガスをインテークマニホールドのサージタンクに導くPCV(Positive Crankcase Ventilation)通路と、クランクケース内部とシリンダヘッドカバー内部とを連通する内部通路と、新気を吸気通路からシリンダヘッドカバー内部に導くブリーザ通路とが設けられ、PCV通路の上流端には、逆止弁としてのPCVバルブが設けられている。
そして、吸気通路からブリーザ通路、シリンダヘッドカバー内部、内部通路を経てクランクケース内部に導かれた新気によりクランクケース内部のブローバイガスがPCV通路を経てサージタンクに導かれ、吸気と共に燃焼室に供給される。この際、PCVバルブはブローバイガスのクランクケース内部への逆流を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−234813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、気温が極低温(例えば−40℃程度)になる寒冷地においては、吸気系に極低温の新気が流通することから、PCV通路を介して極低温の新気によりPCVバルブが冷却され、ブローバイガスに含まれる水分が凍結してPCVバルブが閉塞する場合がある。
PCVバルブが閉塞されると、ブローバイガスは、前記の内部通路を介してシリンダヘッドカバー内部に逆流し、さらにブローバイガスはブリーザ通路を介して吸気通路に逆流する。
このとき、吸気通路に接続されているブリーザ通路も極低温の新気により冷却されていることから、ブリーザ通路内でブローバイガスに含まれる水分が凍結してブリーザ通路も閉塞する場合がある。
このようにPCVバルブおよびブリーザ通路の双方が閉塞されると、シリンダヘッドカバー内部のブローバイガスの圧力が上昇する。そして、ブローバイガスがシリンダヘッドカバーとシリンダヘッドとの間のガスケットの部分から外部に漏れ出し、その際にブローバイガスに含まれるオイルミストがガスケットの部分から外部にしみ出すといったことが懸念される。
本発明は、シリンダヘッドカバーのオイル注入口に着脱可能に取着されるオイルフィラーキャップに着目してなされたものであり、極低温環境下におけるシリンダヘッドカバーからのオイルしみ出しを抑制する上で有利なオイルフィラーキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、シリンダヘッドカバーのオイル注入口に着脱可能に取着されるオイルフィラーキャップであって、前記オイルフィラーキャップは、シリンダヘッドカバー内の圧力が所定値を超えた場合に前記圧力を逃がす開放弁を備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記オイルフィラーキャップは、前記オイル注入口に対して着脱され前記開放弁により開閉される通気孔が形成されたキャップ本体を有し、前記通気孔が開口する前記キャップ本体の上面に、前記開口の周囲全周を囲む環状壁が突出形成されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記開放弁は、前記通気孔を開閉する弁体を含んで構成され、前記開放弁に、前記通気孔を開放する開放状態で、前記前記弁体の軸心を前記通気孔の軸心に対して所定の寸法の範囲内に収める案内部が設けられていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記通気孔は、前記開放弁によりシール部材を介して開閉され前記通気孔の軸心方向に沿った長さを有する開閉用内周部を有し、前記開放弁は、前記開閉用内周部に弾接することで前記通気孔の閉塞状態を形成する弁体と、前記閉塞状態を維持する方向に前記弁体を付勢するばね部材とを含んで構成され、前記通気孔を開放する開放状態は、前記弁体が前記閉塞状態から前記開閉用内周部の軸心方向に沿った前記シール部材の厚さよりも大きい寸法の変位量で変位することで形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、寒冷地において、極低温となった新気によりブローバイガスに含まれる水分が凍結し、シリンダヘッドカバー内部の圧力が上昇する。そして、シリンダヘッドカバー内部の圧力が所定値を越えた場合、その圧力は、開放弁により逃される。これによりブローバイガスがシリンダヘッドカバーとシリンダヘッドとの間のガスケットの部分から外部に漏れ出すことが抑制され、寒冷地において、ブローバイガスに含まれるオイルミストがシリンダヘッドカバーから外部にしみ出すことを抑制する上で有利となる。
しかも、オイルフィラーキャップを利用し、オイルフィラーキャップに開放弁を設けるといった簡単な構成により上記の効果を達成でき、シリンダヘッドカバーに開放弁を設ける場合に比べ大幅なコストダウンを図る上で有利となる。
また、寒冷地仕様車に対してオイルフィラーキャップのみを交換すればよく、寒冷地仕様車に対して簡単に対処する上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、通気孔の開放状態でブローバイガスに含まれるオイルミストがキャップ本体に付着した場合であっても、それらオイルミストを環状壁の内側に留めることができ、シリンダヘッドカバーのオイルミストによる汚染を防止する上で有利となる。
請求項3記載の発明によれば、シリンダヘッドカバー内の圧力を逃がした後で開放弁を閉塞状態に戻す場合、弁部をシール部材の内周部に押し込めばよく、弁体を通気孔の閉塞状態に簡単に戻す上で有利となる。
請求項4記載の発明によれば、走行時の車両の振動が弁体に伝達されても、通気孔が開放されることはなく、ブローバイガスの不要な排出を抑制する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態に係るオイルフィラーキャップが適用されたエンジンの構成を示す説明図である。
図2】第1の実施の形態に係るオイルフィラーキャップの断面図であり、(A)は弁部の閉塞状態を示し、(B)弁部の開放状態を示す。
図3図2(A)のAA線断面図である。
図4】ストッパを除く弁体の斜視図である。
図5】第2の実施の形態に係るオイルフィラーキャップの断面図であり、(A)は弁部の閉塞状態を示し、(B)弁部の開放状態を示す。
図6】第3の実施の形態に係るオイルフィラーキャップの断面図であり、(A)は弁部の閉塞状態を示し、(B)弁部の開放状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
エネルギーとして化石燃料を用いるエンジン車、あるいは、ハイブリッド車の車両に化石燃料を使用するエンジンが搭載されている。
図1に示すように、エンジン10は、燃焼室を形成するシリンダヘッド12と、ピストンを収容するシリンダ室を形成するシリンダブロック14と、クランク軸を収容するクランク室を形成するクランクケース16と、シリンダヘッド12に取り付けられるシリンダヘッドカバー18とを含んで構成されている。
シリンダヘッド12には、吸気管20と排気管22とが連結され、吸気管20には、エアクリーナ24と、スロットルバルブ26と、インテークマニホールド28とが設けられ、インテークマニホールド28はサージタンク30を備えている。
また、本実施の形態では、シリンダヘッドカバー18の内部のブローバイガスをサージタンクに導くPCV(Positive Crankcase Ventilation)通路32が設けられ、PCV通路32とシリンダヘッドカバー18との接続部にはPCVバルブ34が設けられている。
また、シリンダヘッドカバー18の内部とクランクケース16の内部とを連通する内部通路17が形成されている。
また、スロットルバルブ26の上流の吸気管20の箇所とシリンダヘッドカバー18の内部とを連通し、新気をシリンダヘッドカバー18内に導きシリンダヘッドカバー18内のブローバイガスをサージタンク30に導くブリーザ通路36が設けられている。
【0009】
図2(A)に示すように、シリンダヘッドカバー18は、上方を向いた上面部1802を有し、上面部1802にはエンジン10にオイルを注入するオイル注入口38が設けられている。この場合、上方を向いたとは、鉛直方向の上方のみならず、鉛直方向上方からある角度で傾斜した範囲を含む。また、オイル注入口38の軸心は、鉛直方向に延在し、あるいは、鉛直方向からある角度で傾斜した範囲内で上下方向に延在している。
オイル注入口38は、上面部1802から上方に膨出する環状のボス部3802を有し、ボス部3802の中央にシリンダヘッドカバー18の内部に貫通する貫通孔3804が設けられ、貫通孔3804の上部に大径部3806が設けられ、また、大径部3806に続く貫通孔3804の箇所に雌ねじ3808が形成されている。
【0010】
オイルフィラーキャップ40Aは、オイル注入口38に着脱可能に設けられている。
オイルフィラーキャップ40Aがオイル注入口38に取着された状態で、オイルフィラーキャップ40Aの軸心は、オイル注入口38の軸心と同様に、鉛直方向に延在し、あるいは、鉛直方向からある角度で傾斜した範囲内で上下方向に延在している。
オイルフィラーキャップ40Aは、キャップ本体42と、開放弁44とを備えている。
キャップ本体42は、筒部46と、操作用把持部48とを有している。
筒部46は、オイル注入口38の雌ねじ3808に係脱可能に結合される結合部としての雄ねじ4602が形成されている。
筒部46の上部の環状溝4602にOリング47が装着され、オイルフィラーキャップ40Aが上面部1802に気密に取着される。
操作用把持部48は、筒部46の端部に設けられオイルフィラーキャップ40Aをオイル注入口38に対して装脱するために使用される箇所である。本実施の形態では、操作用把持部48を正転させることでオイルフィラーキャップ40Aがオイル注入口38に結合され、逆転させることでオイルフィラーキャップ40Aがオイル注入口38から取り外される。
【0011】
操作用把持部48は、オイルフィラーキャップ40Aがオイル注入口38に取着された状態で上方を向く上面4802を有している。この場合、上方を向くとは、鉛直方向の上方のみならず、鉛直方向上方からある角度で傾斜した範囲を含む。また、上面4802は、平面で形成されていてもよく、曲面で形成されていてもよい。
上面4802の中央には、キャップ本体42を貫通する通気孔4202が開口している。
また、上面4802には、通気孔4202と同軸上で通気孔4202の周囲にシール部材装着用凹部4804が環状に形成され、シール部材装着用凹部4804に環状のシール部材49が装着されている。
また、シール部材装着用凹部4804の周囲の上面4802には、シール部材装着用凹部4804の全周にわたりシール部材装着用凹部4804の周囲全周を囲む環状壁4806が突出形成されている。
本実施の形態では、シール部材装着用凹部4804の内周面と環状壁4806の内周面とは、同一の円筒面で形成されている。
シール部材装着用凹部4804の底面は、シール部材装着用凹部4804の内周面から突設された環状壁4808で形成され、環状壁4806の内周部には、下方に突出するばね部材係止用の係止壁4810が環状に形成されている。
キャップ本体42を貫通する通気孔4202は、シール部材49の内周部4902の内側空間と、環状壁4806の内周部の内側空間と、筒部46の内側空間とにより形成され、オイルフィラーキャップ40Aがオイル注入口38に取着された状態で、シリンダヘッドカバー18の内部とシリンダヘッドカバー18の外部とを連通するように設けられている。本実施の形態では、開放弁44によりシール部材49を介して開閉され通気孔4202の軸心方向に沿った長さを有する開閉用内周部が、シール部材49の内周部で構成されている。
【0012】
開放弁44は、弁体52と、ばね部材54とを含んで構成されている。
図2(A)、図3図4に示すように、弁体52は、弁部5202と、軸部5204と、鍔部5206と、ストッパ5208とを備えている。
弁部5202は、シール部材49の内周部4902に弾接し通気孔4202を閉塞した閉塞状態を形成すると共に弁体52がシール部材49の軸心方向に直線移動することで通気孔4202を開放した開放状態を形成する箇所であり、円柱状に形成されている。
弁体52の軸方向に沿った弁部5202の長さは、シール部材49の内周部4902の厚さと同一に形成されている。
したがって、図2(B)に示すように、通気孔4202を開放する開放状態は、弁体52が閉塞状態からシール部材49の内周部4902の厚さよりも大きい寸法の変位量で変位することで形成される。言い換えると、通気孔4202を開放する開放状態は、弁体52が閉塞状態から開閉用内周部の軸心方向に沿ったシール部材49の厚さよりも大きい寸法の変位量で変位することで形成される。
【0013】
軸部5204は、図2(B)に示すように、弁部5202の軸心方向の一端に設けられ開放状態でシール部材49の内周部4902の内側に位置する箇所である。
軸部5204の外周面はシール部材49の内周部4902に弁体52の軸心方向への移動を可能した状態で接触する寸法で形成されている。
また、図2(B)、図3図4に示すように、軸部5204の外周面に、軸方向に延在し通気孔4202の開放状態でシリンダヘッドカバー18の内部と外部とを連通する溝5210が軸部5204の周方向に間隔をおいて複数形成されている。
本実施の形態では、軸部5204が、通気孔4202の開放状態で、弁体52の軸心をシール部材49の軸心に対して所定の寸法の範囲内に収める案内部53Aを構成している。
鍔部5206は、図2(A)に示すように、弁部5202の軸心方向の他端に設けられ、通気孔4202の閉塞状態でシール部材49の上面に当接し、閉塞状態から弁体52のシリンダヘッドカバー18の内部への移動を阻止する箇所であり、閉塞状態を形成する弁体52の閉塞位置を決定する箇所である。
【0014】
ストッパ5208は、軸部5204の端部に設けられ、閉塞状態から開放状態方向への弁体52の移動時に、弁体52の通気孔4202からの抜落を阻止する箇所である。
本実施の形態では、ストッパ5208は軸部5204にねじ結合により着脱可能に結合され、ストッパ5208は小径部5208Aと大径部5208Bとを有している。
ばね部材54は、コイルスプリングにより構成され、軸部5204の半径方向外側で環状壁4808とストッパ5208の大径部5208Bとの間に配置されている。
図2(A)に示すように、鍔部5206がシール部材49の上面に弾接し、弁部5202がシール部材49の内周部4902に弾接した状態で通気孔4202の閉塞状態が形成され、この閉塞状態はばね部材54の弾性力により維持されている。
ばね部材54は、シリンダヘッドカバー18内の圧力が所定値を超えた場合に弁体52の上方への移動を許容し通気孔4202を閉塞状態から開放状態とし、シリンダヘッドカバー18内の圧力をシリンダヘッドカバー18外に逃がすことができる強さで形成されている。
なお、通気孔4202の開放状態は、図2(B)に示すように、弁部5202がシール部材49の上面よりも上方に変位することで形成される。通気孔4202の開放状態で、シリンダヘッドカバー18内のブローバイガスは、筒部46の内部、ストッパ5208の外周面と筒部46の内周面との間、溝部5210を通り、オイルフィラーキャップ40Aの外側空間に逃される。
ばね部材54の半径方向の位置は、ばね部材係止用の係止壁4810とストッパ5208の小径部5208Aの外周面とにより維持される。
【0015】
本実施の形態では、非寒冷地においては、クランクケース16内に漏れ出たブローバイガスは、内部通路17を経てシリンダヘッドカバー18内部に至る。
一方、吸気通路20からブリーザ通路36を経てシリンダヘッドカバー18内部に新気が導かれるため、この新気によりシリンダヘッドカバー18内部のブローバイガスはPCVバルブ34、PCV通路32を経てサージタンク30に導かれ、吸気と共に燃焼室に供給される。
これにより、ブローバイガスの大気への漏出が抑制され、大気汚染の防止が図られる。
【0016】
一方、寒冷地においては、極低温となった新気が吸気通路を流れることによってPCVバルブ34が冷却され、ブローバイガスに含まれる水分が凍結することでPCVバルブ34が閉塞される。
クランクケース16から内部通路17を経てシリンダヘッドカバー18内部に導かれたブローバイガスは、PCVバルブ34が閉塞されているため、行き場所がなくブリーザ通路36に逆流する。
ここで、ブリーザ通路36は、極低温となった新気が流れることで冷却されているため、ブリーザ通路36を逆流するブローバイガスに含まれる水分が凍結し、ブリーザ通路36も閉塞される。
これにより、シリンダヘッドカバー18内部において、クランクケース16から内部通路17を経てシリンダヘッドカバー18内部に導かれたブローバイガスの圧力が上昇する。
そして、その圧力が所定値を超えた場合、弁体52がばね部材54の弾性力および弁部5202とシール部材49の内周部4902との摩擦力に抗して、上方へ直線移動し通気孔4202を開放させてシリンダヘッドカバー18内の圧力をシリンダヘッドカバー18外へ逃がす。
これにより、PCVバルブ34およびブリーザ通路36の双方が閉塞されても、ブローバイガスがシリンダヘッドカバー18とシリンダヘッド12との間のガスケットの部分から外部に漏れ出すことが抑制される。
したがって、寒冷地において、ブローバイガスに含まれるオイルミストがシリンダヘッドカバー18から外部にしみ出すことを抑制する上で有利となる。
【0017】
しかも、オイルフィラーキャップ40Aを利用し、オイルフィラーキャップ40Aに開放弁44を設けるといった簡単な構成により上記の効果を達成できる。したがって、シリンダヘッドカバー18に何ら設計変更を要することがないので、シリンダヘッドカバー18に開放弁44を設ける場合に比べ大幅なコストダウンを図る上で有利となる。
また、寒冷地仕様車に対してオイルフィラーキャップ40Aのみを交換すればよく、寒冷地仕様車に対して簡単に対処する上で有利となる。
また、開放弁44に何らかの不具合いが生じた場合、オイルフィラーキャップ40Aのみを交換すればよく、開放弁44をシリンダヘッドカバー18に設ける場合に比べ、その修理を簡単に行なう上で有利となる。
【0018】
また、操作用把持部48の上面4802に、通気孔4202の開口の周囲全周を囲む環状壁4806が突出形成されているので、通気孔4202の開放状態でブローバイガスに含まれるオイルミストが鍔部5206やシール部材49の上面に付着した場合であっても、それらオイルミストを環状壁4806の内側に留めることができ、シリンダヘッドカバー18のオイルミストによる汚染を防止する上で有利となる。
一般にオイル注入口38はシリンダヘッドカバー18の上面に設けられ、オイルフィラーキャップ40Aはその軸心が上下方向に向けられている。したがって、操作用把持部48の上面4802も上方に向き、オイルミストを環状壁4806の内側に留めることができ、シリンダヘッドカバー18のオイルミストによる汚染を防止する上で有利となる。
【0019】
また、開放弁44に、通気孔4202を開放する開放状態で、弁体52の軸心を通気孔4202の軸心に対して所定の寸法の範囲内に収める案内部53Aを設けたので、シリンダヘッドカバー18内の圧力を逃がした後で開放弁44を閉塞状態に戻す場合、弁部5202をシール部材49の内周部4902に押し込めばよく、弁体52を通気孔4202の閉塞状態に簡単に戻す上で有利となる。
また、通気孔の閉塞状態を維持する方向に弁体52を付勢するばね部材54が設けられ、通気孔4202の開放状態は、弁体52が閉塞状態からシール部材49の内周部4902の厚さよりも大きい寸法の変位量で変位することで形成される。
そのため、走行時の車両の振動が弁体52に伝達されても、通気孔4202が開放されることはなく、ブローバイガスの不要な排出を抑制する上で有利となる。
【0020】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について図5(A)、(B)を参照して説明する。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様な箇所、部材に同一の符号を付しその説明を省略、簡略して第1の実施の形態と異なった箇所を重点的に説明する。
第2の実施の形態では、案内部の構成が第1の実施の形態と異なっている。
すなわち、弁体52の軸部5204は、第1の実施の形態の軸部5204よりも小径で、溝5210の無い円筒面で形成されている。
また、ストッパ5208は、第1の実施の形態と同一形状の小径部5208Aと、第1の実施の形態よりも外径の大きい大径部5208Cを有している。
大径部5208Cの外径は、大径部5208Cの外周面が筒部46の内周面に近接する寸法で形成され、大径部5208Cは、通気孔4202を開放する開放状態で弁体52の軸心を通気孔4202の軸心に対して所定の寸法の範囲内に収める案内部53Bを構成している。
ばね部材54は、第1の実施の形態と同様に、コイルスプリングにより構成され、軸部5204の半径方向外側で係止壁4810とストッパ5208の大径部5208Cとの間に配置されている。
第2の実施の形態によれば、通気孔4202を開放する開放状態で、大径部5208Cの外周面が筒部46の内周面に近接し、弁体52の軸心を通気孔4202の軸心に対して所定の寸法の範囲内に収めるので、シリンダヘッドカバー18内の圧力を逃がした後で開放弁44を閉塞状態に戻す場合、弁部5202をシール部材49の内周部4902に押し込めばよく、弁体52を通気孔4202の閉塞状態に簡単に戻す上で有利となる。
【0021】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について図6(A)、(B)を参照して説明する。
第3の実施の形態は第2の実施の形態の変形例であり、第2の実施の形態と同様な箇所、部材に同一の符号を付しその説明を省略、簡略して第2の実施の形態と異なった箇所を重点的に説明する。
第3の実施の形態では、シール部材をキャップ本体42側ではなく、開放弁44側に設けたものである。
すなわち、キャップ本体42の環状壁4806と同軸上で環状壁4806の半径方向内側に内側環状壁60が設けられ、環状壁4806の下端と内側環状壁60の下端は、ばね部材係止用の環状壁4808で連結されている。本実施の形態では、開放弁44によりシール部材62を介して開閉され通気孔4202の軸心方向に沿った長さを有する開閉用内周部が、内側環状壁60の内周部で構成されている。
【0022】
開放弁44は、弁体52と、ばね部材54とを含んで構成され、弁体52は、弁部5202と、軸部5204と、鍔部5206と、ストッパ5208とを備えている。
ばね部材54、軸部5204、鍔部5206、ストッパ5208の構成は第2の実施の形態と同様であり、第3の実施の形態では、弁部5202の外周部にシール部材62としてOリングが装着されている。
弁部5202に装着されたシール部材62は、図6(A)に示すように、内側環状壁60の内周面に弾接し通気孔4202を閉塞した閉塞状態を形成すると共に、図6(B)に示すように、弁体52が内側環状壁60の軸心方向に直線移動しシール部材62が内側環状壁60の上方に離れることで通気孔4202を開放した開放状態を形成する。言い換えると、通気孔4202を開放する開放状態は、弁体52が閉塞状態から開閉用内周部の軸心方向に沿ったシール部材62の厚さよりも大きい寸法の変位量で変位することで形成される。
このような第3の実施の形態によっても、第2の実施の形態と同様な効果が奏される。
【符号の説明】
【0023】
18 シリンダヘッドカバー
38 オイル注入口
40A、40B オイルフィラーキャップ
42 キャップ本体
4202 通気孔
44 開放弁
4806 環状壁
49 シール部材
4902 内周部
52 弁体
5204 軸部
5208C 大径部
53A、53B 案内部
54 ばね部材
62 シール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6