【解決手段】本システムは、排気後処理装置を組み込むことができる。排気後処理装置は、選択的触媒還元を使用して、エンジンの排気から一定の排出物を除去することができる。尿素溶液が、排気排出物の中に挿入されてよく、尿素溶液は、アンモニアに分解されて、排出物の中のNOxを還元するための還元剤になる。エンジンは制御器で管理されてよく、排気後処理装置は別の制御器で管理されてよい。これらの制御器は縦続接続されてよく、またはエンジン性能と排出物削減との階層制御または協調制御を提供する第3の制御器で管理されてよい。実際のエンジンと選択的触媒還元の後処理装置との協調制御のためのシステムを設計および構築することにおいて支援するために、エンジンおよび排気後処理装置がモデル化されてよい。制御器は、予測モデル制御器であってよい。
【発明を実施するための形態】
【0004】
多くの地理的地域における、かつ多くの用途に対する現行の排出物規制法(emissions legislation)によって、多くのディーゼルエンジンは、排気管からのNOx排出物を著
しく制限する必要がある。選択的触媒還元(SCR)は、触媒化学反応のためにアンモニアに分解しうる尿素溶液を排気流に積極的に噴霧するNOx後処理装置を伴うことができる。しかし、NOx排出物および車両の燃費の観点から、達成可能な最大性能を獲得するために、制御戦略が連係される必要がある。
【0005】
本手法は、エンジンとSCR装置との制御を連係させることができる。これら2つのサブコンポーネントの協調制御が、著しく削減されたNOx排出物をもたらして、厳しい大気清浄化規制(clean air regulation)のみならず改良された車両燃料効率をも満足することができる。
【0006】
エンジンおよび後処理機構の2つの装置が独立に制御される場合は、エンジン制御システムは、単純かつ全体的に常時、エンジンを出るNOxを可能な限り削減しようとする可能性がある。このことは、多くの場合、すす排出物(soot emission)および燃料効率に
関して必ずしも最適ではない大量の排気ガス再循環によってなされる可能性がある。全体的な最適化の観点から、多くの場合、エンジン制御システムは、後処理機構に依存してNOx排出物を削減することが考えられうる。そうではなく、エンジン制御システムは、後処理温度を制御してその効率を最大化すべきである。このことは、実質的には協調制御によってのみ達成されうる。
【0007】
本手法は、モデリングおよび制御の技術を使用することができる。最初に、エンジンおよび後処理サブシステムのモデルが生成されてよい。エンジンおよび排気後処理サブシステムのモデルは、実際のエンジンおよび排気後処理サブシステムを追跡する(track)こ
とができる。これらのモデルから、1つまたは複数の多変数制御器が組み立てられうる。多変数制御器は、協調的なエンジン−SCR制御システム全体に固有の相互作用に対処することができる。
【0008】
本明細書では、エンジンおよび排気後処理サブシステムのモデルを実際のサブシステムとして取り扱うことができる。
一連の
図1〜
図4は、エンジンおよび排出制御手法について、本システムの例を示す
図5および
図6につながる基本的要素のいくつかを表示する。
図1は、基本的なエンジンプラントモデルシステム10の図である。入力12(W
eng)は、検出されたエンジン速度、燃料供給率(fueling rate)、温度および大気圧などの周囲条件、他を組み込むことができる。入力13(u
eng)は、エンジンにおけるアクチュエータへの信号(例えば、可変形状タービン(variable geometry turbine)(VGT)、排気ガス再循環(EG
R)、スロットル、燃料噴射仕様(fuel injection specifications)、可変弁駆動(variable valve actuation)、他)を組み込んでよい。「u
eng」は、1つまたは複数の
エンジンアクチュエータとしてみなされてよい。ターボ過給器(turbocharger)を有するディーゼルエンジンなど、エンジンプラントモデルを表すブロック(G
eng)11が存在してよい。出力14は、エンジンのSFC(例えば、グラム/キロワット時を単位とする燃料消費率(specific fuel consumption))に基づいてよい。出力15は、エンジン
のPM(粒子状物質(particulate matter))出力を示してよく、出力17は、エンジンのNOx
eng(すなわち、窒素酸化物)出力を示してよい。NOxは、百万分の一で測定されてよい。
【0009】
図2は、制御を有するがSCRを持たない基本的エンジン構成18の図である。G
eng11から、埋込型コンピュータを表すK
engブロック21へのフィードバック19(y
eng)(エンジンセンサ)が存在してよい。y
eng19は、MAP、EGR流、温度、NOx排出物、他のためのセンサからの信号を組み込んでよい。K
eng制御器21は、1つまたは複数の制御アルゴリズムを組み込んでよい。信号19は、エンジンでの測定値を表してよい。「y
eng」は、エンジンセンサとみなされてよい。制御の目標は、所望の給気圧(boost pressure)、新鮮な空気流量および/または質量空気流量(mass air flow)、EGR流、他を追跡することなどのエンジンの特定の目標を達成し、かつS
FC、PMおよびNOx、ならびに他の項目の間でトレードオフをもたらすための役割を間接的に果たすために、種々のアクチュエータを制御することであり得る。多くの場合、制御の目標は、PMおよびNOxに対する法的規制が満足されるようにSFCを最小化することであってよい。u
eng13(エンジンアクチュエータ)は、K
eng制御器21からG
engブロック11までのアクチュエータ信号を組み込んでよい。
【0010】
図3は、組み合わされたエンジンおよびSCRプラントシステム23の図である。SCR後処理装置24を基本的エンジンプラントモデル11に追加することで、エンジン出力のNOx成分が、アンモニア成分(NH3)を加えることによって変更されうる。エンジン(G
eng)ブロック11へのW
eng入力12およびu
eng入力13が存在してよい。性能は、部分的に、G
engブロック11からのSFC14およびPM15によって特徴付けられてよい。NOx
eng、T
exh(排気温度)、およびm
exh(排気質量(exhaust mass))を表すかまたは示す信号17が、G
engブロック11からSCR後処理(G
scr)装置24まで進んでよい。T
exhは、排気が装置24に入る前に決定されてよい。システム23は、u
urea入力信号25をG
scr装置ブロック24に供給することができる。「u
urea」は、尿素溶液投与アクチュエータとみなされてよい
。ブロック24は、NOx
scrの出力26およびNH3
scrの出力27を有することができる。出力26および27は、排気のNOx排出物に関連する法的要求事項を満足するために必要な、システムの項目である。
【0011】
時定数が、ブロック11におけるエンジンおよびブロック24におけるSCR装置に関連する可能性がある。ブロック11の時定数は、変更されたブロック11への入力に対して、その入力に対するシステムの応答の安定状態に対する一定量(例えば63%)になるのに必要な時間の長さ(例えば、約1〜2秒)であってよい。ブロック24の時定数は、排気の変化をもたらす入力の変化によって引き起こされた温度変化に起因して、後処理装置が必要とする時間の長さ(例えば、約20〜30秒)であってよい。
【0012】
SCR装置に関連して、触媒が、装置の一部(普通はウォッシュコート(wash coat)
に含まれる)であってよい。排気ガスに噴射される物はアンモニアに分解される尿素溶液であってよく、アンモニアは、種々の化学反応(例えば、NOx還元)のための還元剤として使用される。アンモニアは、触媒(例えば、白金−ゼオライトタイプの触媒)において吸収される。
【0013】
図4は、
図2のシステム18の部分および
図3のシステム24の部分を有し、G
scrブロック24すなわち後処理機構24からK
scrすなわち制御器ブロック31までのy
scr信号29(SCRセンサ)と、制御器ブロック31から、後処理機構24の中でエンジン排気17に噴射される尿素溶液の量を制御するためのG
scrブロック24に入力されるu
urea信号25とを有する、G
scrブロック24のフィードバックループの中に、K
scrブロック31を付加的に有する、非協調的なエンジンおよびSCR制御システム28の図である。「y
scr」は、SCRセンサとみなされてよい。そのようなSCRセンサは、上流のNOx(エンジンを出るNOx)、下流のNOx(排気管を出るNOx)、下流のNH3、上流/下流の温度、排気流量、他のためのものであってよい。SCR制御のための技術は、G
scr24すなわちSCR装置24に入る排気17の状態の情報y
scr29に基づいてK
scr31に実行させることができる。装置24に入る排気の状態は、NOx、T
exhおよび/またはm
exhのうちの何らかの組合せであってよい。SCR装置24を離れる排気の状態は、NOxおよび/またはNH3の何らかの組合せであってよい。
【0014】
「組み合わされたエンジン−SCRプラント」を見ると、集中型MIMO制御器が、可能性のある選択肢であるように思われる。しかし、帯域幅(すなわち、G
engブロック11およびG
scrブロック24の時定数)における劇的な差が困難な課題であり、そのことが、分離構造がより実際的でありえることを示唆する。概して、SCR装置24は、エンジンを出るNOxを減少させることができ、そのことが、エンジン制御器K
eng21において、他の項目を最適化する可能性が余分に存在することを意味することができる。ここで、より良いSFCを達成するためにNOx
engより高くさせるステップ、またはその反対のステップが存在する場合に、トレードオフが行われてよい。
【0015】
SCR装置24の性能は、尿素溶液投与によって調節されてよく、同様に、SCR装置の状態(温度およびNH3の範囲(coverage))に影響を与えるNOx
eng(排気ガスのNOx濃度)、T
exh(排気ガスの温度)、およびm
exh(排気ガスの質量流量)の特性によっても調節されてよい。同じく、エンジン変数が、20〜30秒のG
scr、すなわちSCR24の時定数よりずっと速く変化する、エンジン速度と燃料、周囲の条件、ならびにエンジンアクチュエータの関数として変化してよい。NOx
eng、T
exh、およびm
exhのSCR関連変数を管理することに加えて、SFCおよびPMなどのエンジン性能因子を操作するために、u
engに関連するアクチュエータは、エンジン機能を調節する役割を果たすことができる。
【0016】
それゆえ、NOx
eng、T
exh、m
exhは、エンジン−SCRシステム28の全体的な性能を高めるために、尿素溶液投与と連係されてよいが、制御のどの側面に重点を置くべきかを、注意深く考慮する必要があるように思われる。すなわち、SCR24の動的な要求、およびG
eng11すなわちエンジンプラントモデル11のエンジンアクチュエータが、同様に、エンジン性能を達成する必要があるという事実を考慮すると、NOx
eng、T
exh、およびm
exhを所望の設定点に非常に長い時間、保持することが可能であることは、必ずしも期待できない。
【0017】
図5は、検討される縦続接続された協調制御を有するシステム34の図である。縦続接続する制御器31および21は、システムの制御戦略の一部であってよい。監視用制御器(supervisory controller)が制御器31に内在してよい。W
eng信号12が、K
scr制御器ブロック31およびG
engエンジンブロック11に入ってよい。r
eng信号36が、K
scrブロック31からK
engブロック21に進んでよい。エンジンアクチュエータのためのu
eng信号13が、K
engブロック21からG
engエンジンブロック11に進んでよい。エンジンセンサからの信号y
eng19が、G
engエンジンブロック11からK
engブロック21にフィードバックされた情報を有してよい。出力のSFC信号14およびPM信号15が、G
engエンジンブロック11から出力されてよい。直接または間接に測定されたNOx
eng、T
exh、m
exh信号17が、G
engエンジンブロック11からG
scrブロック24まで進んでよい。K
scrブロック31が、SCR装置であるG
scrブロック24内に噴射される尿素溶液の量を示すための出力信号であるu
urea25信号(アクチュエータ)を供給することができる。W
eng12で示される、エンジンの設定点、入力パラメータ、速度、燃料、他を修正するために、G
scrブロック24は、G
scrブロック24に関するSCRセンサ情報を有するy
scr信号29を、K
scrブロック31にフィードバックすることができる。SCR装置(G
scrブロック24)は、NOx
scr信号26およびNH3
scr信号27を出力することができる。
【0018】
r
eng信号36は、エンジン制御器(K
eng)21に対する設定点および入力パラメータに関連してよい。SCR制御器(K
scr)31は、NOx
eng、T
exh、m
exh信号17を介してSCR24制御において支援するように作動するために、r
eng信号36を使用することができる。
【0019】
K
engブロック21および/またはK
scrブロック31は、それぞれ、モデル予測制御(MPC)の制御器を表すことができる。K
scrブロック31がMPC制御器を表すものと仮定すると、例えばPM、SFCおよびNOx
engに対する要求事項など、エンジン制御の目標が考慮されるように、r
eng信号36に対する制約が与えられてよい。本構造34は、K
scrブロック31の遅い過渡応答を高めるために、r
eng信号36を使用することを可能にする。
【0020】
図6は、階層的協調制御システム38の図である。W
eng信号12が、Kブロック39およびG
engブロック11に入ってよい。r
eng信号36が、Kブロック39からK
engブロック21に進んでよい。u
eng信号13が、K
engブロック21からG
engブロック11に進んでよい。y
eng信号19が、G
engブロック11からK
engブロック21にフィードバックされてよい。エンジンの出力が、G
engブロック11からの出力としてSFC14およびPM信号15を含んでよい。NOx
eng、T
exh、m
exh信号17が、G
engブロック11からG
scrブロック24に進んでよい。r
scr信号41が、Kブロック39からK
scrブロック31に進んでよい。u
urea信号25が、K
scrブロック31からG
scrブロック24に進んでよい。SCR装置であるG
scrブロック24からの出力が、NOx
scr信号26およびNH3
sc
r信号27を含んでよい。
【0021】
図6のシステム38に対する制御戦略が、G
scr24に専用の制御器K
scr31を有する階層構造を有してよい。ここで、Kブロック39は、所定の目標、すなわちNOx
scr、NH3
scr、PM、SFC、他に対する要求事項が達成されるように、局所制御器K
eng21およびK
scr31のための設定点W
eng、r
eng、r
scr、他を操作する、監視用の制御器または調整器(coordinator)であってよい。Kブロック3
9、K
engブロック21および/またはK
scrブロック31が、それぞれ、MPC制御器を表してよい。
【0022】
モデル予測制御(MPC)は、多くの産業用制御用途に首尾よく適用されているように見える制御手法である。いくつかの制御変数を駆動するために、動的に対等のいくつかのアクチュエータを必要とする用途に対して、MPCが適切であるように見える。そのようなシステムは、多変数として知られている場合がある。MPCは、一制御ループの中の種々の信号に対する制約を、体系的に含むことができるように見える。制約された多変数の動的システムを体系的なやり方で取り扱う能力が、MPCの知名度を高める主要な要因でありうる。
【0023】
MPCは、制御された技術または工程の将来の挙動を予測するために、制御されたシステムの動的モデルを使用することができる。この予測に基づきかつ定義された最適性規準に基づいて、MPCは、制約された最適化問題を解くことによって最適制御信号を計算することができる。この最適化問題は、外乱を排除するため、かつ一定程度のロバスト性を確保するために、各サンプリング期間において解かれるべきである。そのような最適化問題の一例が、式(1)である。
【0024】
Uopt=arg min J(U,x,p) s.t. g(U,x,p)<=0
(1)
式(1)において、Uoptは最適制御信号の軌跡であり、J(U,x,p)はMPCのコスト関数であり、g(U,x,p)はMPCの制約を表し、Uは最適化変数であり、xは制御システムの内部状態であってよく、pは種々のパラメータを表してよい。コスト関数J(U,x,p)は、種々のペナルティの加重和、例えば予測区間(prediction horizon)にわたる追従誤差(tracking error)の二乗された第2のノルム(squared 2nd norm)の和、アクチュエータ運動の二乗された第2のノルムの和、他であってよい。制約g(U,x,p)は、アクチュエータに対する制限、および予測区間にわたる種々の制御変数に対する制限を含んでよい。
【0025】
解法(solver)の効率は、(計算環境の性能と相まって)高速サンプリング周期を有する用途、例えば自動車用途の範囲を制限する主要な要因であるように見える。高速MPCのための解法の最近の発展は、比較的高速の自動車システム、例えば本明細書で簡潔に説明されるようなエンジンの空気経路制御または排出物制御に対して、MPC技術の適用を可能にする。高速MPCに対する適切な解法は、パラメトリック最適化問題(1)のオンライン解(on-line solution)または陽解(explicit solution)に基づくことができる
。最良効率を達成するために、MPCのための解法は、標準でよく、MPCのために直接適合されてよく、または特定のMPCの用途のために直接適合されてよい。オンライン解法(on-line solver)は、有効制約集合(active set)(標準方式(standard formulation)、射影勾配(gradient projection)、他)、内点(interior point)、他に基づい
てよい。陽解は、多様性手法(multi-parametric approach)、主双対実行可能性手法(primal-dual feasibility approach)、他に基づいてよい。
【0026】
非協調的なMPC制御が、
図4に示される制御構造(ブロックすなわちシステム28)
によって例示される。制御器21および31の一方または両方が、MPCとして実施されてよい。エンジン空気経路制御器K
eng21の目的は、選択された制御変数が、すべての所与の制約が満足されながら、それらの設定点を追従することを確保することである。制御変数19(エンジンセンサ)は、例えば、以下の集合、すなわち、給気圧、排気ガス再循環流、ラムダセンサ、排気マニフォルド圧、総エンジン空気量、ターボ過給器速度、他、からの任意の組合せであってよい。エンジンアクチュエータ13は、排気ガス再循環弁、ターボ過給器クチュエータ、ウェイストゲート弁(wastegate valve)、スロットル
弁、噴射開始(start of injection)、他を含んでよい。考慮される制約は、例えば、アクチュエータ位置の上限および下限、ラムダセンサに対する制限、ターボ過給器速度に対する制限、他であってよい。制御器K
scr31に対する目的は、排気管排出物を制御することである。K
scr31に対して操作される変数は、エンジン排気ガス流に噴射される尿素溶液25の量であってよい。制御変数29(SCRセンサ)は、排気管排出物、すなわちNOx濃度26、ならびにPMおよび未反応アンモニア(ammonia slip)27であってよい。
【0027】
縦続接続された協調的なMPC制御が、
図5に示される構造すなわちシステム34に例示される。この構造は、SCRシステム24が、エンジン空気経路よりずっと遅いという事実を反映してよい。それゆえ、2つのMPC制御器21および31を縦続接続構造34の中に構成することは有利でありうる。エンジン制御器(K
eng)21は、エンジン空気経路の基本的安定性を確保するように構成されてよい。従って、制御器21の付加的自由度は、下流のSCR装置24が効率的に働くことができるように、エンジン排気ガス特性に影響を与えるために使用されてよい。K
eng制御器21の制御変数(y
eng)19(エンジンセンサ)は、非協調の場合の制御変数と同じであってよいが、SCR装置動作に直接関連し、かつエンジンアクチュエータによって影響されうる他の制御変数17(後処理センサ)、すなわちNOx濃度および排気ガス温度を加ええることが有利でありうる。SCR制御器(K
scr)31が、K
eng制御器21の調整器として構成されてよい。K
scr制御器31は、K
eng制御器21より遅くてよく、SCR装置24の効率的な動作(NOx変換)を確保するように、K
eng制御器21に対する設定点36を供給することができる。K
scr制御器31の制御変数(y
scr)29(SCRセンサ)は、非協調な場合における制御変数と同じ、すなわちNOx濃度26および未反応アンモニア27であってよい。操作される変数は、噴射される尿素溶液25の量であるばかりでなく、K
eng制御器21に対する設定点36の選択された部分集合、例えばエンジン排気NOx濃度17の設定点およびエンジン排気ガス温度17の設定点であってよい。
【0028】
構成、構造またはシステム38が、
図6に示される。制御構造38は、非協調的なMPC制御と、縦続接続された協調制御とを組み合わせることができる。2つの局所的制御器K
eng21およびK
scr31が存在してよい。制御器K
eng21およびK
scr31は、中央調整器すなわち制御器K39によって連係されてよい。制御器21、31、および39のうちの1つ、2つ、または3つが、MPC制御器であってよい。K
eng制御器21の制御すなわちアクチュエータ(u
eng)13および制御変数(y
eng)19(エンジンセンサ)は、縦続接続された協調的なMPC制御におけるアクチュエータおよび制御変数と同じであってよい。制御されたy
eng信号19(エンジンセンサ)に対するr
eng設定点36が、制御器すなわち調整器K39によって計算されてよい。操作される制御器K
scr31の変数は、噴射される尿素溶液(u
urea)25の量であってよい。K
scr制御器31の制御変数(y
scr)29(SCRセンサ)は、NOx排出物26および未反応NH3 27であってよい。制御変数29に対する設定点(r
scr)41は、調整器K39によって計算されてよい。調整器K39は、動作コストを最小化しながらエンジンおよびSCR装置の両方の総合効率が最大化されるように構成されてよい。
【0029】
要点が、
図1〜
図6を考慮して言及される。選択的触媒還元制御システムは、ディーゼルエンジンまたはエンジンのモデル、エンジンに接続するための選択的触媒還元の排気後処理機構、エンジン制御器、ならびに選択的触媒還元の排気後処理機構およびエンジン制御器に接続された選択的触媒還元制御器を組み込んでよい。エンジン制御器および選択的触媒還元制御器は、エンジンからの排気排出物の中の汚染物質の量を制御するために、エンジンと、選択的触媒還元の排気後処理機構との協調制御を提供することができる。本明細書で言及される項目が、モデル化されてよい。
【0030】
エンジン制御器および選択的触媒還元制御器が、排気排出物の中の汚染物質の選択的触媒還元を最適化するために、エンジンと選択的触媒還元の排気後処理機構との協調制御を提供することができ、それにより、燃料消費率および/または粒子状物質排出が削減される。エンジン制御器および選択的触媒還元制御器は、モデル予測制御器であってよい。
【0031】
選択的触媒還元の排気後処理機構は、排気排出物の中の汚染物質の選択的触媒還元のために、排気排出物の中に触媒を供給することができる。汚染物質は、NOxを有してよい。選択的触媒還元は、排気排出物の中のNOxを削減するステップを組み込むことができる。
【0032】
排気排出物の中に噴射されるアンモニアに分解される尿素溶液の量は、選択的触媒還元制御器からの信号によって決定されて得る。信号は、排気排出物の中の汚染物質に関する情報に従って、尿素溶液の量を決定することができる。汚染物質に関する情報は、排気排出物の中のNOxの大きさの示度を有することができる。
【0033】
出力信号が、選択的触媒還元制御器によってエンジン制御器に供給されてよい。出力信号は、排気に関する情報を示すためであってよい。排気に関する情報は、排気排出物の中のNOxの量、排気質量、および/または排気温度を示すステップを組み込むことができる。
【0034】
選択的触媒還元のための手法は、ディーゼルエンジンおよび関連する構成要素の第1のモデルと、ディーゼルエンジンの第1のモデルの排気に連結された排気後処理装置の第2のモデルと、ディーゼルエンジンの第1のモデルに接続されたエンジン制御器と、排気後処理装置の第2のモデルに接続された選択的触媒還元制御器とを設けるステップを組み込むことができる。また、本手法はまた、第1のモデルの排気の中の汚染物質を削減するために、第2のモデルによって提供される選択的触媒還元により排気を処理するステップをシミュレーションするステップと、燃料効率を高めるための第1のモデルの動作をシミュレーションするステップと、汚染物質の削減および燃料効率の向上を可能にするために、第1および第2のモデルを、それぞれ、第1および第2の制御器と連係させるステップとを組み込むことができる。制御器は、モデル予測制御器であってよい。
【0035】
汚染物質の選択的触媒還元は、所定の量の尿素溶液を排気の中に噴射するステップを組み込むことができる。所定の量の尿素溶液は、NOxなどの汚染物質の削減と、高められたエンジンの燃料効率とを可能にするために、第1および第2のモデルと選択的触媒還元との協調制御によって決定されてよい。
【0036】
本手法は、尿素溶液から分解されたアンモニアによるNOxの量の削減に関する情報を取得するステップをさらに組み込むことができる。排気に供給される尿素溶液の量は、尿素溶液から分解されるアンモニアによるNOxの還元に関する情報に従って規定されてよい。
【0037】
エンジン排出物削減システムは、排気後処理装置と、排気後処理装置に接続されるシス
テム制御器とを組み込むことができる。排気後処理装置は、ディーゼルエンジンの排気に接続するためのカップリングを組み込むことができる。システム制御器が、エンジンおよび排気後処理装置に接続されてよい。システム制御器は、エンジンからの汚染排出物の選択的触媒還元をもたらすために、エンジンと排気後処理装置との制御を連係させることができる。
【0038】
システム制御器は、監視用制御器と、監視用制御器およびエンジンに接続されたエンジン制御器と、監視用制御器および排気後処理装置に接続された選択的触媒還元制御器とを組み込むことができる。システム制御器は、高められたエンジンの燃料効率をさらに提供するために、エンジンと排気後処理装置との制御を連係させることができる。汚染排出物は、NOxを有してよい。選択的触媒還元は、尿素溶液を排出物に付加することによってNOxを中和させることができる。
【0039】
制御器は、モデル予測制御器であってよい。選択的触媒還元制御器は、汚染排出物に供給される尿素溶液の量を示す信号を供給することができる。その量の尿素溶液をエンジンの汚染排出物排気の中に放出する(release)ために、信号が排気後処理装置に伝達され
てよい。排気後処理装置から下流の排気出力(exhaust output)において、排気の中に放出される尿素溶液の量が、排気の中のNOxおよびNH3の量と、排出物に関する適用可能な規制によって排気の中に許容されるNOxおよびNH3の量とを示す選択的触媒還元制御器からの信号によって決定されてよい。
【0040】
本明細書において、事柄のいくつかは、仮説的または予測的な性質のものであってよいが、別の方法または時制で記述されうる。
本システムおよび/または本手法が、少なくとも1つの例示的な例に関して説明されたが、多くの変形形態および改変形態が、本明細書を読むと当業者には明らかとなろう。それゆえ、添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような変形形態および改変形態を含むために、関連技術を考慮して可能な限り広く解釈されることが意図される。