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特開2017-207126自在継手ヨークおよびインターミディエイトシャフト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-207126(P2017-207126A)
(43)【公開日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】自在継手ヨークおよびインターミディエイトシャフト
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/26 20060101AFI20171027BHJP
   F16D 1/08 20060101ALI20171027BHJP
   B62D 1/20 20060101ALI20171027BHJP
【FI】
   F16D3/26 X
   F16D1/08
   B62D1/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-99785(P2016-99785)
(22)【出願日】2016年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 直貴
(72)【発明者】
【氏名】中山 一紀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 充宏
(72)【発明者】
【氏名】小山 剛司
(72)【発明者】
【氏名】柴田 延言
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DC39
(57)【要約】
【課題】大きな折れ角においても相手側ヨークに対する干渉を抑制できる自在継手ヨークを提供する。
【解決手段】第1ヨーク51が、第1方向Z1(軸方向)に延びる筒状部60と、フランジ64と、フランジ64から延びる一対のアーム65とを含む。アーム65の先端部65bに十字軸用の支持孔68が形成される。アーム65は、第2方向Z2に対向する内側面66を含む。第1方向Z1及び第2方向Z2と直交する第3方向Z3から見て、内側面66が、第1逃げ部81と第2逃げ部82とを含む。第1逃げ部81は、支持孔68の開口縁部70a側の始端81Sからアーム65の基端部65a側の終端81Eに向かうにしたがって一対のアーム65の内側面66間の間隔を拡大させる。第2逃げ部82は、終端81Eとフランジ64の端面64aとをR状に接続する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト結合用の筒状部と、
前記筒状部の一端から第1方向としての筒状部の軸方向に延びるスリットと、
前記筒状部の他端から前記筒状部の径方向外方へ延びるフランジと、
前記フランジから前記筒状部とは反対側に延設され、相手側ヨークとは十字軸を介して揺動可能に連結される一対のアームと、を備え、
前記一対のアームは、前記第1方向とは直交する第2方向に対向する内側面と前記内側面の反対側の外側面とを含む板状をなし、
各前記アームは、前記フランジに接続された基端部と、先端部と、を含み、
各前記アームの前記先端部には、前記十字軸の対応する軸部を軸受を介して支持する貫通孔からなる支持孔が形成され、
各前記アームの前記支持孔は、前記第2方向に延びる中心軸線を有し、
前記第1方向および前記第2方向の双方と直交する第3方向から見て、各前記アームの前記内側面は、前記支持孔の開口縁部側の始端から前記基端部側の終端に向かうにしたがって前記一対のアームの内側面間の間隔を拡大させるように逃げる第1逃げ部と、前記終端と前記フランジの端面とを接続するR状の第2逃げ部と、を含む自在継手ヨーク。
【請求項2】
請求項1において、前記第3方向から見て、各前記アームの前記外側面は、前記第1逃げ部および前記第2逃げ部の裏側で外側へ張り出す張り出し部を含む自在継手ヨーク。
【請求項3】
請求項1または2において、前記第1逃げ部および前記第2逃げ部は、鍛造肌、鋳肌、または樹脂成形面の何れか一つにより形成されている自在継手ヨーク。
【請求項4】
伸縮可能な中間シャフトと、前記中間シャフトの軸方向の一対の端部にそれぞれ設けられた一対の自在継手と、を備えるインターミディエイトシャフトであって、
各前記自在継手は、対応するシャフトが結合される筒状部を有する第1ヨークと、前記中間シャフトの対応する端部が結合された第2ヨークと、前記第1ヨークと前記第2ヨークとを連結する十字軸と、を含み、
前記一対の自在継手の少なくとも一方の第1ヨークが、請求項1から3の何れか一項に記載の自在継手ヨークにより形成されたインターミディエイトシャフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自在継手ヨークおよびインターミディエイトシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車では、ステアリングホイールに連結されたステアリングシャフトと、ステアリングギヤシャフトとしての例えばピニオンシャフトとが、インターミディエイトシャフトを介して連結されている。
通例、インターミディエイトシャフトは、伸縮可能な中間シャフトの両端に、それぞれ自在継手を設けている。
【0003】
インターミディエイトシャフトは、車両衝突時に収縮する機能を果たす。このため、自在継手の折れ角(自在継手が接続する一対のシャフトの中心軸線間の交差角)として、通常作動時よりも大きな折れ角(例えば60度程度)が必要とされる。
自在継手の一対の腕部(アーム)同士の干渉を抑制する技術として、特許文献1では、ヨークの腕部の先端寄り部分で軸受カップを嵌合する円孔の近傍部分が、互いに対向する面を円筒状の凹面とした断面円弧状の円弧部であり、腕部の中間部が互いに平行な平坦部である自在継手ヨークが提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、結合腕(アーム)の外周面側先端縁部の周方向両側に、結合腕の外周よりも窪んだ凹部を鍛造型により形成する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−205547号公報
【特許文献2】実用新案登録第2553096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、インターミディエイトシャフトをサブアセンブリとして、車体の組立ラインに供給するときに、一方の自在継手の一方のヨークを支持し、残りの部分を吊り下げた状態で供給することが考えられている。その場合、自在継手の折れ角として、例えば90°というような大きな折れ角が必要となる。
これに対して、特許文献1,2のようなアームの先端部の形状の改良のみでは、対処できない。また、折れ角が大きい場合にアームの基端部に近い部分の内側面で干渉が発生することも確認されている。
【0007】
本発明の目的は、大きな折れ角においても相手側のヨークに対する干渉を抑制することができる自在継手ヨークおよびインターミディエイトシャフトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、シャフト結合用の筒状部(60)と、前記筒状部の一端(60a)から第1方向(Z1)としての筒状部の軸方向に延びるスリット(61)と、前記筒状部の他端(60b)から前記筒状部の径方向外方(R1)へ延びるフランジ(64)と、前記フランジから前記筒状部とは反対側に延設され、相手側ヨーク(52)とは十字軸(53)を介して揺動可能に連結される一対のアーム(65)と、を備え、前記一対のアームは、前記第1方向とは直交する第2方向(Z2)に対向する内側面(66)と前記内側面の反対側の外側面(67)とを含む板状をなし、各前記アームは、前記フランジに接続された基端部(65a)と、先端部(65b)と、を含み、各前記アームの前記先端部には、前記十字軸の対応する軸部を軸受(54)を介して支持する貫通孔からなる支持孔(68)が形成され、各前記アームの前記支持孔は、前記第2方向に延びる中心軸線(C2)を有し、前記第1方向および前記第2方向の双方と直交する第3方向(Z3)から見て、各前記アームの前記内側面は、前記支持孔の開口縁部(70a)側の始端(81S)から前記基端部側の終端(81E)に向かうにしたがって前記一対のアームの内側面間の間隔を拡大させるように逃げる第1逃げ部(81)と、前記終端と前記フランジ(64)の端面(64a)とを接続するR状の第2逃げ部(82)と、を含む自在継手ヨーク(51)を提供する。
【0009】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2のように、前記第3方向から見て、各前記アームの前記外側面は、前記第1逃げ部および前記第2逃げ部の裏側で外側へ張り出す張り出し部(83)を含んでいてもよい。
【0010】
請求項3のように、前記第1逃げ部および前記第2逃げ部は、鍛造肌、鋳肌、または樹脂成形面の何れか一つにより形成されていてもよい。
請求項4の発明は、伸縮可能な中間シャフト(20)と、前記中間シャフトの軸方向(Y)の一対の端部(20a,20b)にそれぞれ設けられた一対の自在継手(30,40)と、を備えるインターミディエイトシャフト(6)であって、各前記自在継手は、対応するシャフト(5,7)が結合される筒状部を有する第1ヨーク(51)と、前記中間シャフトの対応する端部が結合された第2ヨーク(52)と、前記第1ヨークと前記第2ヨークとを連結する十字軸(53)と、を含み、前記一対の自在継手の少なくとも一方の第1ヨークが、請求項1から3の何れか一項に記載の自在継手ヨークにより形成されたインターミディエイトシャフトを提供する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、一対のアームのそれぞれの内側面に、支持孔の開口縁部側の始端からアームの基端部側の終端に向かうにしたがって一対のアームの内側面間の間隔を拡げるように逃げる第1逃げ部と、第1逃げ部の終端とフランジの端面とを接続するR状の第2逃げ部とが設けられる。これにより、一対のアームの内側面間の空間が、フランジ側に向かって末広がり状に拡げられる。このため、大きな折れ角(例えば90°)が要求される自在継手に用いられるときに、前記一対のアームと相手側のヨークのアームとの干渉を抑制することができる。
【0012】
請求項2の発明では、アームの内側面の両逃げ部の裏側で外側面に張り出し部が設けられる。これにより、アームの肉厚の減少が抑制されて強度が確保される。
請求項3の発明では、両逃げ部の機械加工が不要であり、製造コストを安くすることができる。
請求項4の発明では、インターミディエイトシャフトにおいて大きな折れ角を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の自在継手ヨークを含むインターミディエイトシャフトが適用されたステアリング装置の概略図である。
図2】インターミディエイトシャフトの一部破断側面図である。
図3】自在継手ヨークとしての第1ヨークの概略斜視図である。
図4】(a)は第1ヨークの概略正面図であり、(b)は(a)のIVb−IVb断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明の一実施形態の自在継手ヨークを含むインターミディエイトシャフト6が適用されたステアリング装置1の概略図である。
図1に示すように、ステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2と、操舵部材2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4とを備える。
【0015】
また、ステアリング装置1は、操舵部材2が一端に一体回転可能に連結されたステアリングシャフト5と、インターミディエイトシャフト6とを備える。
転舵機構4は、例えばラックアンドピニオン機構により構成されている。転舵機構4は、ピニオンシャフト7と、ラックシャフト8とを含む。ピニオンシャフトのピニオン7aがラックシャフト8のラック8aと噛み合わされている。
【0016】
ラックシャフト8は、車体に固定されるラックハウジング9内に、図示しない複数の軸受を介して軸方向Xに移動可能に支持されている。ラックシャフト8の両端部はラックハウジング9の両側へ突出し、各端部にはそれぞれタイロッド10が結合されている。各タイロッド10は、図示しないナックルアームを介して対応する転舵輪3に連結されている。
【0017】
インターミディエイトシャフト6は、ステアリングシャフト5とピニオンシャフト7との間に介在し、ステアリングシャフト5とピニオンシャフト7とを連結している。
操舵部材2が操作されてステアリングシャフト5が回転されると、その回転がインターミディエイトシャフト6を介してピニオンシャフト7に伝達され、ピニオン7aおよびラック8aによって自動車の左右方向に沿うラックシャフト8の軸方向Xの運動に変換されて転舵輪3の転舵が達成される。
【0018】
インターミディエイトシャフト6は、伸縮可能な中間シャフト20と、中間シャフト20の軸方向Yの第1端部20aに設けられた第1自在継手30と、中間シャフト20の軸方向Yの第2端部20bに設けられた第2自在継手40とを備える。
図2は、インターミディエイトシャフト6の一部破断概略側面図である。図2に示すように、中間シャフト20は、例えばロアーシャフトである内軸21と、例えばアッパーシャフトである筒状の外軸22とを備えている。内軸21の外周に雄スプライン21aが形成され、外軸22の内周に雄スプライン21aと嵌合する雌スプライン22aが形成されている。内軸21と外軸22とが、スプライン嵌合されることで軸方向Yに相対摺動可能とされ、これにより、中間シャフト20が軸方向Yに伸縮可能とされている。
【0019】
第1自在継手30および第2自在継手40のそれぞれは、対応するシャフト(ステアリングシャフト5,ピニオンシャフト7)が結合されて締付ボルト55により固定される第1ヨーク51と、中間シャフト20の対応する端部20a,20bが結合された第2ヨーク52と、第1ヨーク51と第2ヨーク52とを連結する十字軸53とを含む。
第1ヨーク51は、一対のアーム65を含む。また、第2ヨーク52は一対のアーム52a(図2では一方のアーム52aのみを示す)を含む。
【0020】
十字軸53の各軸部(図示せず)は、それぞれ軸受54を介して、対応するヨーク51,52の対応するアーム65,52aに回転可能に支持されている。
第1自在継手30および第2自在継手40は共通の構成であるので、第1自在継手30の第1ヨーク51に則して説明する。
図3は第1ヨーク51の概略斜視図である。図4(a)は、第1ヨーク51の概略正面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb−IVb断面図である。
【0021】
図3図4(a)および図4(b)に示すように、第1ヨーク51は、中心軸線C1を有するシャフト結合用の筒状部60を備えている。
筒状部60は、当該筒状部60の軸方向Z1(以下、第1方向Z1とも言う)に関する一端60aおよび他端60bを有している。筒状部60は、第1方向Z1に貫通している。筒状部60の内周面60cには、ステアリングシャフト5の端部の外周の雄セレーション(図示せず)と嵌合する雌セレーション(図示せず)が形成されている。
【0022】
筒状部60は、筒状部60の一端60aから第1方向Z1に平行に延びるスリット61を有している。筒状部60には、スリット61を挟んで互いに対向する一対の締付部62,63が設けられている。一対の締付部62,63は、第1方向Z1と平行に且つ筒状部60の径方向R1の外向きに延びている。
一方の締付部62にはボルト挿通孔62aが形成され、他方の締付部63には、ねじ孔63aが形成されている。ボルト挿通孔62aおよびねじ孔63aは、共通の中心軸線C3を有している。
【0023】
図2に示される締付ボルト55が、図4(b)に示されるボルト挿通孔62aを挿通してねじ孔63aにねじ込まれることで、一対の締付部62,62を介して筒状部60が縮径され、筒状部60内に挿入されたステアリングシャフト5が締付固定される。
図3および図4(a)に示すように、第1ヨーク51は、筒状部60の他端60bから筒状部60の径方向R1の外向きに且つ第1方向Z1と直交する方向に延びる環状のフランジ64を有している。第1ヨーク51は、フランジ64から筒状部60とは反対側に延設された一対のアーム65を有している。
【0024】
一対のアーム65とフランジ64と筒状部60とは、単一の材料、例えば、鋼により一体に形成されている。これにより、第1ヨーク51が構成されている。第1ヨーク51は、鍛造品からなる。
一対のアーム65は、第1方向Z1に平行な板状をなす。一対のアーム65は、第1方向Z1に直交する第2方向Z2に、互いに対向して離隔している。一対のアーム65は、互いに同じ形状に形成されている。一対のアーム65は、第2方向Z2に対向する内側面66と、内側面66の反対側の外側面67とを含む。各アーム65は、フランジ64側の基端部65aと、基端部65aの反対側の先端部65bとを有している。
【0025】
一対のアーム65は、図2で示される相手側ヨークとしての第2ヨーク52と十字軸53を介して揺動可能に連結される。各アーム65には、十字軸53の対応する軸部(図示せず)を軸受54を介して支持する貫通孔からなる支持孔68(図3も参照)が形成されている。
図3および図4(a)に示すように、支持孔68は、アーム65の先端部65bに形成されている。支持孔68は、第2方向Z2に延びる中心軸線C2を有している。一対のアーム65の支持孔68は、同心に配置されている。支持孔68は、内側面66に開口70を形成している。内側面66において開口70を環状に取り囲む開口縁部70aのうち、先端側65b部分には、円弧状の逃げ凹部71が形成されている。
【0026】
図4(a)は第1方向Z1および第2方向Z2の双方と直交する第3方向Z3から見た第1ヨーク51の正面図に相当する。
図4(a)に示すように、第3方向Z3[図4(a)の紙面と直交する方向]から見て、各アーム65の内側面66は、第1逃げ部81と、第2逃げ部82とを含む(図3も参照)。
【0027】
第1逃げ部81は、支持孔68の開口縁部70a側の始端81Sからアーム65の基端部65a側の終端81Eに向かうにしたがって、第2方向Z2に関して一対のアーム65の内側面66間の間隔を拡大させるように逃げる。
具体的には、一対のアーム65の第1逃げ部81は、第1方向Z1に対し互いに逆向きに傾斜する傾斜面により形成されている。
【0028】
各第1逃げ部81の最大逃げ量(終端81Eでの逃げ量)をΔBとすると、一対のアーム65の第1逃げ部81の終端81E間の間隔B2は、一対のアーム65の第1逃げ部81の始端81S間の間隔B1よりも、2×ΔBだけ大きい(B2=B1+2×ΔB)。
すなわち、各アーム65に第1逃げ部81を設けることで、一対のアーム65の内側面66間の空間が、フランジ64側に向かって末広がり状に拡げられる。
【0029】
このため、多大な折れ角(90°)のときに、当該第1逃げ部81と、図2に示される相手側ヨークである第2ヨーク52の各アーム52aの側縁部52bとの干渉が抑制される。ここで、第2方向Z2に関する各第1逃げ部81の最大逃げ量ΔBは、鍛造ばらつきやパーティングラインの大きさからも決めることができる。最大逃げ量ΔBは、例えば、0.2mm〜4mmの範囲に設定される。
【0030】
もともと、支持孔68の中心軸線C2の方向(アーム65の対向方向である第2方向Z2)に関して、軸受54の嵌合位置が、組み付け誤差により、ばらつく傾向にあり、これに伴って相手側の第2ヨーク52の各アーム52aの位置も第2方向Z2にばらつく場合がある。その場合にも、第1逃げ部81を設けることで、相手側の第2ヨーク52のアーム52aの側縁部52bが第1ヨーク51の内側面66に対して干渉することを抑制することができる。
【0031】
図4(a)に示すように、第2逃げ部82は、第1逃げ部81の終端81Eとフランジ64の端面64aとを接続するR状の面取り形状の凹湾曲面に形成されている。
R状の第2逃げ部82は、最大逃げ量ΔBで逃がされた第1逃げ部81と接続されるため、当該第2逃げ部82と、図2に示される相手側ヨークである第2ヨーク52の各アーム52aの先端R状縁部52cとの間隔が拡げられて、多大な折れ角(90°)のときに、第2逃げ部82と先端R状縁部52cとの干渉が抑制される。このため、先端R状縁部52cは、鍛造肌のままでよく、機械加工が不要となる。
【0032】
図4(a)に示すように、第1方向Z1に関して支持孔68の中心軸線C2と筒状部60の一端60aの端面との距離Lを一定とする条件で、第2逃げ部82を設けない場合を仮定する。その仮定の場合、相手側ヨークである第2ヨーク52の各アーム52aの先端R状縁部52cとの干渉を避けるために、第1方向Z1に関する中心軸線C2とフランジ64の端面64aとの距離Aを増加させる必要がある。しかし、距離Aを増加させると、その距離Aの増加分だけ、第1方向Z1に関してフランジ64の端面64aとボルト挿通孔62aとの距離Hを減少させることになり、強度が低下するおそれがある。
【0033】
これに対して、本実施形態では、第2逃げ部82を設けることで、図2に示すように、第2逃げ部82と第2ヨークの各アーム52aの先端R状縁部52cとの間隔が拡げられる。このため、図4(a)において、距離Lを一定とする条件で、距離Aを増大させる必要がないので、距離Hを確保することができ、小型であっても強度を確保することができる。
【0034】
また、R状の第2逃げ部82は、その曲率半径rを過度に小さくせずとも、相手側の第2ヨーク52の先端R状縁部52cに対する干渉を抑制することができる。具体的には、第2逃げ部82の曲率半径rは、熱鍛造で、例えば、5〜8mmの範囲に設定され、鍛造型の型寿命を長くすることができる。
第1逃げ部81および第2逃げ部82は、鍛造肌、乃至、それに代わるものにより形成されている。すなわち、第1逃げ部81および第2逃げ部82は、型形成部であり、機械加工部ではない。
【0035】
また、第3方向Z3から見て、各アーム65の外側面67は、第1逃げ部81および第2逃げ部82の裏側で外側へ凸湾曲状に張り出す張り出し部83を含む。
本実施形態の自在継手ヨークである第1ヨーク51によれば、一対のアーム65のそれぞれの内側面66に、支持孔68の開口縁部70a側の始端81Sからアーム65の基端部65a側の終端81Eに向かうにしたがって、一対のアーム65の内側面66間の間隔を拡大させるように逃げる第1逃げ部81と、第1逃げ部81の終端81Eとフランジ64の端面64aとを接続するR状の第2逃げ部82とが設けられる。
【0036】
両逃げ部81,82を設けることにより、図4(a)に示すように、一対のアーム65の内側面66間の空間が、フランジ64側に向かって末広がり状に拡げられる。このため、大きな折れ角(例えば90°)が要求される自在継手に用いられるときに、一対のアーム65と相手側のヨーク(第2ヨーク52)のアーム52aとの干渉を抑制することができる。
【0037】
また、各アーム65の内側面66の両逃げ部81,82の裏側で外側面67に張り出し部83が設けられる。これにより、各アーム65の内側面66に両逃げ部81,82を設けるに拘らず、図4(a)に示すように、各アーム65の肉厚t1の減少が抑制されて各アーム65の強度が確保される。
また、両逃げ部81,82が、鍛造肌からなるので、両逃げ部81,82、の機械加工が不要であり、製造コストを安くすることができる。
【0038】
また、両逃げ部81,82が設けられた第1ヨーク51を含むことで、インターミディエイトシャフト6において大きな折れ角を実現することができる。
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば使用条件から強度上、問題ない場合には、外側面67の張り出し部83を廃止し、第1方向Z1に平行な外側面67を平坦面で形成してもよい。
【0039】
また、両逃げ部81,82は、鍛造肌でなく、鋳肌で形成されてもよいし、例えばCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の樹脂成形面で形成されてもよい。何れの場合にも機械加工が不要となり、製造コストを安くすることができる。
また、本発明の自在継手ヨークとしての第1ヨークは、第1自在継手30および第2自在継手40の何れか一方のみに適用されてもよい。
【0040】
その他、本発明は特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0041】
1…ステアリング装置、2…操舵部材、4…転舵機構、5…ステアリングシャフト、6…インターミディエイトシャフト、7…ピニオンシャフト、20…中間シャフト、20a…第1端部、20b…第2端部、21…内軸、22…外軸、30…第1自在継手、40…第2自在継手、51…第1ヨーク(自在継手ヨーク)、52…第2ヨーク、53…十字軸、54…軸受、55…締付ボルト、60…筒状部、60a…一端、60b…他端、61…スリット、62,63…締付部、64…フランジ、64a…端面、65…アーム、65a…基端部、65b…先端部、66…内側面、67…外側面、68…支持孔、70…開口、70a…開口縁部、81…第1逃げ部、81S…始端、81E…終端、82…第2逃げ部、83…張り出し部、B1,B2…間隔、C1…(筒状部の)中心軸線、C2…(支持孔の)中心軸線、C3…(ボルト挿通孔の)中心軸線、R1…(筒状部の)径方向、Z1…第1方向(筒状部の軸方向)、Z2…第2方向、Z3…第3方向、ΔB…最大逃げ量、r…(第2逃げ部の)曲率半径
図1
図2
図3
図4