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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-207183(P2017-207183A)
(43)【公開日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】流量制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/02 20060101AFI20171027BHJP
   F16K 1/52 20060101ALI20171027BHJP
【FI】
   F16K27/02
   F16K1/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-101555(P2016-101555)
(22)【出願日】2016年5月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】古居 聖浩
【テーマコード(参考)】
3H051
3H052
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB02
3H051CC11
3H051EE02
3H052AA01
3H052BA26
3H052CA01
3H052CC03
3H052DA01
3H052EA01
(57)【要約】
【課題】カバー部材における流路形成部材に対しての操作部材の回転方向及びバルブハウジングの軸方向での位置決めを確保しつつも、流路形成部材及びカバー部材の中心軸線が互いに一致するように流路形成部材とカバー部材とを組み付けることができる流量制御弁を提供すること。
【解決手段】挿入部20は、挿入部20の外周面20aに形成される凹凸部21と、挿入部20の外周面20aに形成され、凸部21aの頂部の外面よりも凹む溝部22と、仮想円上に位置する外周面23aを有する円筒部23とを備えている。カバー部材13は、凹凸部21に圧入される被圧入部31と、溝部22に係止される被係止部32と、円筒部23の外周面23aに挿入部20の周方向に連続して接触する接触部33とを有する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のバルブハウジングと、前記バルブハウジングの軸方向へ移動することにより流路の開度を調節する柱状の弁体と、前記弁体と一体的に回転する操作部材と、を備え、前記バルブハウジングは、前記流路が形成された金属製である筒状の流路形成部材と、前記流路形成部材に対して前記軸方向で組み付けられる樹脂製である筒状のカバー部材と、を有し、前記流路形成部材は、前記カバー部材の内側に挿入される筒状の挿入部を有し、
前記挿入部は、前記挿入部の外周面に形成されるとともに前記挿入部の周方向に配置される凸部及び凹部を有する凹凸部と、前記挿入部の外周面に形成され、前記凸部の頂部の外面よりも凹む溝部と、前記流路形成部材の中心軸線を中心とした仮想円であって、前記凹凸部における前記挿入部の径方向の最も外側の部位を通過する前記仮想円上に位置する外周面、又は前記仮想円よりも前記径方向の外側に位置する外周面を有する円筒部と、を備え、
前記カバー部材は、前記凹凸部に圧入される被圧入部と、前記溝部に係止される被係止部と、前記円筒部の外周面に前記周方向に連続して接触する接触部と、を有することを特徴とする流量制御弁。
【請求項2】
前記凹凸部は、前記凸部及び前記凹部を複数有し、
前記複数の凸部の頂部の外面は、前記仮想円上に位置していることを特徴とする請求項1に記載の流量制御弁。
【請求項3】
前記溝部は、前記周方向の全周に亘って連続して延びていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流量制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路の流量を制御する流量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
筒状のバルブハウジングと、バルブハウジングの軸方向へ移動することにより流路の開度を調節する柱状の弁体(ニードル弁体)と、弁体と一体的に回転する操作部材と、弁体の回転数を示す表示部を有する表示リングとを備えた流量制御弁が、例えば特許文献1に開示されている。バルブハウジングは、流路が形成された筒状の流路形成部材と、流路形成部材に対してバルブハウジングの軸方向で組み付けられるとともに表示リングを収容する筒状のカバー部材とを有している。カバー部材は、表示部を外部へ臨ませる表示窓を有している。弁体は、カバー部材及び流路形成部材に挿通されている。そして、操作部材を操作して、弁体をバルブハウジングの軸方向へ移動させることにより、流路の開度が調節され、流路の流量が制御される。この流量制御弁は、表示窓から表示部が外部に臨んでおり、表示部が示す弁体の回転数に基づき、流路の開度が計数化される。これにより、流路の開度が把握可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5350941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カバー部材が流路形成部材に対して操作部材の回転方向で位置決めされた状態でカバー部材と流路形成部材とが互いに組み付けられていないと、カバー部材に操作部材の回転方向への力が作用したときに、カバー部材が流路形成部材に対して回転してしまう。また、カバー部材が流路形成部材に対してバルブハウジングの軸方向で位置決めされた状態でカバー部材と流路形成部材とが互いに組み付けられていないと、カバー部材に、バルブハウジングの軸方向において流路形成部材に対して離間する方向への力が作用したときに、カバー部材が流路形成部材に対して離間して、流路形成部材から外れてしまう。さらには、流路形成部材及びカバー部材の中心軸線が互いに一致するように流路形成部材とカバー部材とが互いに組み付けられていないと、弁体がバルブハウジングの軸方向へ移動し難くなってしまう。
【0005】
本発明の目的は、カバー部材における流路形成部材に対しての操作部材の回転方向及びバルブハウジングの軸方向での位置決めを確保しつつも、流路形成部材及びカバー部材の中心軸線が互いに一致するように流路形成部材とカバー部材とを組み付けることができる流量制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する流量制御弁は、筒状のバルブハウジングと、前記バルブハウジングの軸方向へ移動することにより流路の開度を調節する柱状の弁体と、前記弁体と一体的に回転する操作部材と、を備え、前記バルブハウジングは、前記流路が形成された金属製である筒状の流路形成部材と、前記流路形成部材に対して前記軸方向で組み付けられる樹脂製である筒状のカバー部材と、を有し、前記流路形成部材は、前記カバー部材の内側に挿入される筒状の挿入部を有し、前記挿入部は、前記挿入部の外周面に形成されるとともに前記挿入部の周方向に配置される凸部及び凹部を有する凹凸部と、前記挿入部の外周面に形成され、前記凸部の頂部の外面よりも凹む溝部と、前記流路形成部材の中心軸線を中心とした仮想円であって、前記凹凸部における前記挿入部の径方向の最も外側の部位を通過する前記仮想円上に位置する外周面、又は前記仮想円よりも前記径方向の外側に位置する外周面を有する円筒部と、を備え、前記カバー部材は、前記凹凸部に圧入される被圧入部と、前記溝部に係止される被係止部と、前記円筒部の外周面に前記周方向に連続して接触する接触部と、を有する。
【0007】
上記流量制御弁において、前記凹凸部は、前記凸部及び前記凹部を複数有し、前記複数の凸部の頂部の外面は、前記仮想円上に位置していることが好ましい。
上記流量制御弁において、前記溝部は、前記周方向の全周に亘って連続して延びていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、カバー部材における流路形成部材に対しての操作部材の回転方向及びバルブハウジングの軸方向での位置決めを確保しつつも、流路形成部材及びカバー部材の中心軸線が互いに一致するように流路形成部材とカバー部材とを組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)及び(b)は実施形態における流量制御弁を示す斜視図。
図2】流量制御弁の縦断面図。
図3】流量制御弁の一部を拡大した縦断面図。
図4】流量制御弁の分解斜視図。
図5】流量制御弁の一部を破断した断面斜視図。
図6】流量制御弁の一部を破断した断面図。
図7】操作部材の斜視図。
図8】流量制御弁の一部を破断した縦断面図。
図9】流路形成部材の一部を拡大して示す斜視図。
図10】流路形成部材の平面図。
図11】挿入部の周囲を拡大して示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、流量制御弁を具体化した一実施形態を図1図11にしたがって説明する。
図1(a)及び(b)に示すように、流量制御弁10のバルブハウジング11は筒状である。バルブハウジング11は、金属製である筒状の流路形成部材12と、樹脂製である筒状のカバー部材13とを有している。カバー部材13は、流路形成部材12に対してバルブハウジング11の軸方向で組み付けられている。よって、流路形成部材12及びカバー部材13は、それぞれの軸方向が一致した状態で一体に組み付けられている。
【0011】
図2に示すように、流路形成部材12には、流体としてのエアが導入される流路12aが形成されている。流路12aは、流路形成部材12におけるカバー部材13とは反対側の端面に開口するとともに、流路形成部材12の軸方向に沿って延びている。
【0012】
流路形成部材12の内部には、流路12aに連通する弁孔12bが形成されている。さらに、流路形成部材12には、流路12a及び弁孔12bを通過したエアが導出される導出孔12cが形成されている。導出孔12cの一端は、流路形成部材12の外周面に向けて開口するとともに他端は弁孔12bに連通している。
【0013】
流路形成部材12の外周面には、継手14が取り付けられている。継手14には、導出孔12cの一端に連通する通路14aが形成されている。そして、流路12aから供給されたエアは、弁孔12b、導出孔12c及び通路14aを介して流体圧機器(図示せず)に供給される。
【0014】
流路形成部材12は、カバー部材13の内側に挿入される円筒状の挿入部20を有している。挿入部20内には、ナット15が収容されている。ナット15には雌ねじ孔15aが形成されている。
【0015】
バルブハウジング11内には、金属製である柱状の弁体16(ニードル弁体)が収容されている。弁体16の中心軸線L1が延びる方向(弁体16の軸方向)の一端部は、円錐形状の弁部16aとなっている。弁部16aの先端部は、弁孔12b内に挿入可能になっている。流路形成部材12内における流路12a側と挿入部20側との間は、弁体16の外周面に装着される円環状のシール部材16sによってシールされている。
【0016】
図3に示すように、弁体16は、ナット15の雌ねじ孔15aに螺合可能な円柱状の螺子部16bを有する。さらに、弁体16の軸方向の他端部は、螺子部16bから延設された柱状の軸部16eとなっている。軸部16eは、一対の平面部16fを有する二面幅形状になっている。
【0017】
カバー部材13内には、筒状のスライドギア17が収容されている。スライドギア17は、スライドギア17の中心軸線が弁体16の中心軸線L1と一致するようにカバー部材13内に配置されている。
【0018】
スライドギア17には、一対の平面部17aを有する二面幅形状の挿通孔17hが形成されている。挿通孔17hは、スライドギア17の中心軸線が延びる方向(スライドギア17の軸方向)に沿って延びている。弁体16の軸部16eは、挿通孔17hに挿通されている。軸部16eの各平面部16fは、挿通孔17hの各平面部17aにそれぞれ対面している。
【0019】
カバー部材13における流路形成部材12とは反対側の端部には、樹脂製の操作部材18が回転可能に取り付けられている。操作部材18は、有蓋円筒状の蓋部18aと、蓋部18aの内面の中央部から突設された柱状の挿通部18bとを有している。挿通部18bは、カバー部材13における流路形成部材12とは反対側の端部に形成された孔13aを介してカバー部材13内に挿通され、スライドギア17内に挿通されている。操作部材18は、カバー部材13に対してバルブハウジング11の軸方向に移動可能になっている。
【0020】
挿通部18bには、一対の平面部18cを有する二面幅形状の挿通孔18hが形成されている。挿通孔18h内には、軸部16eが挿通されている。軸部16eの各平面部16fは、挿通孔18hの各平面部18cにそれぞれ対面している。
【0021】
操作部材18を回転操作すると、挿通孔18hの各平面部18c及び軸部16eの各平面部16fを介して弁体16が一体的に回転し、弁体16の回転に伴って、軸部16eの各平面部16f及び挿通孔17hの各平面部17aを介してスライドギア17が弁体16と一体的に回転する。
【0022】
弁体16が正方向へ回転すると、螺子部16bが雌ねじ孔15aに対して螺退して、弁体16が、バルブハウジング11の軸方向に沿って操作部材18に向けて移動する。これにより、弁部16aが流路12aに対して離間して、弁部16aの弁孔12bに入り込む量が少なくなり、流路12aから弁孔12bに流れ込むエアの流量が増大する。よって、流路12aから弁孔12b、導出孔12c及び通路14aを介して流体圧機器に供給されるエアの流量が増大する。
【0023】
一方、弁体16が正方向とは逆方向へ回転すると、螺子部16bが雌ねじ孔15aに対して螺進して、弁体16が、バルブハウジング11の軸方向に沿って操作部材18から離れる方向へ移動する。これにより、弁部16aが流路12aに対して接近して、弁部16aの弁孔12bに入り込む量が多くなり、流路12aから弁孔12bに流れ込むエアの流量が減少する。よって、流路12aから弁孔12b、導出孔12c及び通路14aを介して流体圧機器に供給されるエアの流量が減少する。よって、弁体16は、バルブハウジング11の軸方向へ移動することにより流路12aの開度を調節する。
【0024】
カバー部材13内におけるスライドギア17の周囲には、筒状の表示リング19が回転可能に支持されている。表示リング19は、表示リング19の中心軸線が弁体16の中心軸線L1と一致するようにカバー部材13内に配置されている。表示リング19の内側には、スライドギア17をカバー部材13における孔13a周りの内端面13eに向けて付勢する第1付勢ばね17fが配置されている。
【0025】
図4に示すように、表示リング19は、弁体16の回転数を示す表示部としての第1目盛り19a及び第2目盛り19bを有する。表示リング19の外周面には、数字「0」〜「10」が、第1目盛り19aとして、表示リング19の周方向に並んで印字されている。また、表示リング19の外周面において、第1目盛り19aに対して表示リング19の軸方向にずれた位置には、数字「0」〜「10」が、第2目盛り19bとして、表示リング19の周方向に並んで印字されている。表示リング19における軸方向端部には、円環状のギア部19cが設けられている。ギア部19cは、表示リング19の周方向に沿って凹凸が連続する三角波形状である。
【0026】
図1(a)に示すように、カバー部材13には、第1目盛り19aをカバー部材13の外部へ臨ませる第1表示窓131が形成されている。図1(b)に示すように、カバー部材13には、第2目盛り19bをカバー部材13の外部へ臨ませる第2表示窓132が形成されている。第1表示窓131及び第2表示窓132は、カバー部材13の周方向において180度離れた位置であって且つ、カバー部材13の軸方向においてずれた位置に配置されている。
【0027】
図5に示すように、カバー部材13の軸方向において、カバー部材13の内面における表示リング19のギア部19cと対向する部位には、ギア部19cと係合可能な円環状の係合部13bが形成されている。係合部13bは、カバー部材13の内面におけるギア部19cと対向する部位においてカバー部材13の周方向に沿って凹凸が連続する三角波形状である。
【0028】
図3に示すように、ナット15と表示リング19との間に、表示リング19を係合部13bに向けて付勢する第2付勢ばね19fが介在されている。そして、第2付勢ばね19fの付勢力によって表示リング19が係合部13bに向けて付勢されて、ギア部19cと係合部13bとが係合した状態では、表示リング19の回転が規制されている。
【0029】
図4に示すように、スライドギア17の外周面には、噛合部171及び切換部172が二つずつ突設されている。二つの噛合部171及び切換部172は、スライドギア17の外周面において、スライドギア17の周方向における180度間隔となる二箇所に配置されている。噛合部171と切換部172とは、スライドギア17の周方向において互いに90度ずつずれた位置に配置されている。噛合部171及び切換部172は、スライドギア17の軸方向において互いに反対方向に先細っている。図5に示すように、噛合部171は、ギア部19cに対して弁体16の中心軸線L1に沿った方向において対向配置されている。
【0030】
図6に示すように、カバー部材13の内周面には、一対の動作規制部13fが、カバー部材13の周方向において互いに間隔を置いて突設されている。一対の動作規制部13fは、カバー部材13の軸方向において、表示リング19よりも操作部材18寄りに配置されている。さらに、一対の動作規制部13fにおける表示リング19側の部位は、係合部13bの一部を形成している。一対の動作規制部13fは、噛合部171と摺接可能である。
【0031】
さらに、カバー部材13の内周面には、カバー部材13の軸方向に沿って延びる切換ギア部13kが突設されている。切換ギア部13kは、カバー部材13の軸方向において、一対の動作規制部13fよりも操作部材18寄りに配置されている。切換ギア部13kは、切換部172と摺接可能である。
【0032】
図7に示すように、操作部材18の蓋部18aの内底面における挿通部18bの周囲には、回転係止部18fが突設されている。回転係止部18fは、挿通部18bの周方向に沿って凹凸が連続する三角波形状である。また、操作部材18の蓋部18aは、蓋部18aの内底面の周縁部から挿通部18bに沿って延びる四つの軸係止部18gが設けられている。四つの軸係止部18gは、蓋部18aの内底面の周縁部において、操作部材18の回転方向における90度間隔となる四箇所に配置されている。四つの軸係止部18gは、蓋部18aの内底面側の端部(基端部)を基点として挿通部18bに対して接離する方向へ弾性変形可能になっている。各軸係止部18gの先端は鉤状になっている。
【0033】
図4に示すように、カバー部材13の孔13aの内周面には、回転係止部18fが係止可能な回転被係止部13gが形成されている。また、カバー部材13における流路形成部材12とは反対側の端部の外周面には、四つの軸係止部18gが係止可能な第1軸被係止部13c及び第2軸被係止部13dが形成されている。第1軸被係止部13c及び第2軸被係止部13dは、カバー部材13の外周面において、カバー部材13の周方向の全周に亘って連続して延びる溝である。第1軸被係止部13c及び第2軸被係止部13dは、カバー部材13の軸方向に並んで配置されており、第1軸被係止部13cは、第2軸被係止部13dよりも流路形成部材12寄りに配置されている。
【0034】
図3に示すように、四つの軸係止部18gが、第1軸被係止部13cに係止されている状態では、回転係止部18fが、回転被係止部13gに係止されており、操作部材18の回転が規制された状態になっている。また、四つの軸係止部18gが、第1軸被係止部13cに係止されていることにより、操作部材18が、バルブハウジング11の軸方向で位置決めされている。
【0035】
図8に示すように、四つの軸係止部18gが、第2軸被係止部13dに係止されている状態では、回転係止部18fが、回転被係止部13gに係止されておらず、操作部材18の回転が許容された状態になっている。また、四つの軸係止部18gが、第2軸被係止部13dに係止されていることにより、操作部材18が、バルブハウジング11の軸方向で位置決めされている。
【0036】
四つの軸係止部18gが、第1軸被係止部13cに係止されている状態から、操作部材18を、バルブハウジング11の軸方向において流路形成部材12から離れる方向へ移動させると、四つの軸係止部18gが挿通部18bから離れる方向へ弾性変形する。そして、カバー部材13の外周面における第1軸被係止部13cと第2軸被係止部13dとの間の段差部D1を、四つの軸係止部18gの先端部が乗り越えて、四つの軸係止部18gが弾性変形する前の状態に復帰して第2軸被係止部13dに係止するようになっている。
【0037】
四つの軸係止部18gが、第2軸被係止部13dに係止されている状態から、操作部材18を、バルブハウジング11の軸方向において流路形成部材12に近づく方向へ移動させると、四つの軸係止部18gが挿通部18bから離れる方向へ弾性変形する。そして、カバー部材13の外周面における第1軸被係止部13cと第2軸被係止部13dとの間の段差部D1を、四つの軸係止部18gの先端部が乗り越えて、四つの軸係止部18gが弾性変形する前の状態に復帰して第1軸被係止部13cに係止するようになっている。
【0038】
操作部材18は、バルブハウジング11の軸方向への移動に伴い、軸係止部18gが第1軸被係止部13cに係止されて回転係止部18fが回転被係止部13gに係止されているロック位置と、軸係止部18gが第2軸被係止部13dに係止されて回転係止部18fが回転被係止部13gに係止されていないアンロック位置とに切り換え可能である。
【0039】
操作部材18がアンロック位置に切り換えられている状態において、操作部材18が回転操作されると、弁体16が一体的に回転し、弁体16の回転に伴ってスライドギア17が弁体16と一体的に回転する。スライドギア17の回転運動により、切換部172が切換ギア部13kに当接する。さらに、スライドギア17の回転運動により、切換部172が切換ギア部13kに摺接しながらスライドギア17が移動することで、スライドギア17が、切換ギア部13kに案内されて、回転運動を維持しつつも、第1付勢ばね17fの付勢力に抗して弁体16の軸方向へナット15に向けて直線運動する。
【0040】
スライドギア17が、回転運動を維持しつつも弁体16の軸方向へナット15に向けて直線運動すると、噛合部171がギア部19cと噛合する。スライドギア17が、回転運動を維持しつつも弁体16の軸方向へナット15に向けてさらに直線運動すると、噛合部171が、ギア部19cと噛み合った状態で表示リング19を押圧する。すると、表示リング19は、第2付勢ばね19fの付勢力に抗して、ギア部19cが係合部13bに対して離間する方向へ移動する。
【0041】
ギア部19cと係合部13bとの係合が解除されると、スライドギア17の回転運動が噛合部171及びギア部19cを介して表示リング19に伝達され、表示リング19が回転運動する。さらに、スライドギア17が回転運動すると、噛合部171が、一方の動作規制部13fに当接する。さらに、スライドギア17が第1付勢ばね17fの付勢力によって弾かれるようにして、弁体16の軸方向へカバー部材13における孔13a周りの内端面13eに向けて一気に押し上げられるように直線運動する。そして、スライドギア17の回転運動により、噛合部171が一方の動作規制部13fに摺接しながらスライドギア17が移動する。
【0042】
スライドギア17は、回転運動を維持しつつも、第1付勢ばね17fの付勢力によって、切換部172が切換ギア部13kに摺接しながら移動する。また、表示リング19は、回転運動を維持しつつも、第2付勢ばね19fの付勢力によって係合部13bに向けて直線運動する。表示リング19が、第2付勢ばね19fの付勢力によって係合部13bに向けて直線運動し、ギア部19cが係合部13bに係合されると、表示リング19の回転が規制される。
【0043】
これにより、第1表示窓131内には、操作部材18の回転操作が行われる前の第1目盛り19aの値から0.5加算された値に相当する部位が示され、操作部材18の回転量が表示されるとともに、この回転量に基づく流路12aの開度が計数化される。また、第2表示窓132には、操作部材18の回転操作が行われる前の第2目盛り19bの値から0.5加算された値に相当する部位が、第2表示窓132内に示され、操作部材18の回転量が表示されるとともに、この回転量に基づく流路12aの開度が計数化される。第1表示窓131及び第2表示窓132には同じ値に相当する部位の第1目盛り19a及び第2目盛り19bが表示されるようになっている。本実施形態では、操作部材18の1回転内での表示リング19の回転動作回数が2回となっている。
【0044】
図9に示すように、挿入部20は、挿入部20の外周面20aに形成されるとともに挿入部20の周方向に配置される凸部21a及び凹部21bを有する凹凸部21を備えている。凹凸部21は、挿入部20の外周面20aに対してローレット加工を施すことにより形成されており、凸部21a及び凹部21bを挿入部20の周方向に複数有する。複数の凸部21a及び複数の凹部21bは、挿入部20の周方向において互いに交互に並んで配置されている。
【0045】
挿入部20は、挿入部20の外周面20aに形成され、凸部21aの頂部の外面211aよりも凹む溝部22を備えている。溝部22はV字状であり、挿入部20の周方向の全周に亘って連続して延びている。溝部22は、挿入部20の外周面20aに凹凸部21を形成した後に、凹凸部21に重なるように挿入部20に対して形成されている。このため、凹凸部21は、その一部が、バルブハウジング11の軸方向において溝部22を挟んで両側に配置されている。
【0046】
図10に示すように、挿入部20は、円筒部23を備えている。円筒部23は、流路形成部材12の中心軸線L2を中心とした仮想円R1上に位置する外周面23aを有する。本実施形態において、仮想円R1は、凹凸部21における挿入部20の径方向の最も外側の部位である複数の凸部21aの頂部の外面211aを通過する円である。よって、複数の凸部21aの頂部の外面211aは、流路形成部材12の中心軸線L2を中心とした仮想円R1上に位置しており、弧状に湾曲している。
【0047】
図9に示すように、円筒部23は、バルブハウジング11の軸方向において、凹凸部21よりもカバー部材13とは反対側に配置されている。円筒部23の外周面23aは、バルブハウジング11の軸方向において溝部22に対してカバー部材13とは反対側に位置する凹凸部21の一部の、凸部21aの頂部の外面211aに連続している。
【0048】
図11に示すように、カバー部材13における流路形成部材12側の開口13hの内径は、仮想円R1の外径よりも小さく、挿入部20は、カバー部材13の開口13hに対して強制的に挿入される。
【0049】
カバー部材13は、凹凸部21に圧入される被圧入部31を有する。挿入部20をカバー部材13の開口13hに対して強制的に挿入することで、被圧入部31の一部には、凹凸部21の各凸部21aが食い込んでおり、被圧入部31の一部は凹凸部21の各凹部21bに入り込んでいる。これにより、カバー部材13における流路形成部材12に対しての操作部材18の回転方向での位置決めが確保されている。
【0050】
カバー部材13は、溝部22に係止される被係止部32を有する。被係止部32は、挿入部20がカバー部材13の開口13hに対して強制的に挿入されて、カバー部材13の開口13h側が強制的に押し広げられ、その後、カバー部材13が元の形状に戻ろうとする際に、溝部22に食い込んだカバー部材13の一部である。被係止部32が溝部22に係止されていることにより、カバー部材13における流路形成部材12に対してのバルブハウジング11の軸方向での位置決めが確保されている。
【0051】
カバー部材13は、円筒部23の外周面23aに挿入部20の周方向に連続して接触する接触部33を有する。接触部33は、挿入部20がカバー部材13の開口13hに対して強制的に挿入されて、カバー部材13の開口13h側が強制的に押し広げられ、その後、カバー部材13が元の形状に戻ろうとする際に、円筒部23の外周面23aに接触するカバー部材13の一部である。接触部33が円筒部23の外周面23aに接触していることにより、流路形成部材12の中心軸線L2及びカバー部材13の中心軸線L3が互いに一致するように流路形成部材12とカバー部材13とが組み付けられている。
【0052】
次に、本実施形態の作用について説明する。
ところで、流路12aの開度を一定に保ちたいときには、操作部材18が回転してしまうことを規制するために、操作部材18をロック位置に切り換えておく。このとき、操作部材18を回転させようとすると、回転係止部18f及び回転被係止部13gを介してカバー部材13に回転方向への力が作用してしまう。しかし、被圧入部31が凹凸部21に圧入されていることにより、カバー部材13における流路形成部材12に対しての操作部材18の回転方向での位置決めが確保されているため、カバー部材13が流路形成部材12に対して回転してしまうことが規制されている。
【0053】
また、操作部材18をロック位置からアンロック位置へ切り換える際には、操作部材18を、バルブハウジング11の軸方向において流路形成部材12から離れる方向へ移動させるときに、カバー部材13の外周面における第1軸被係止部13cと第2軸被係止部13dとの間の段差部D1を、四つの軸係止部18gの先端部が乗り越えようとする。このときに、カバー部材13には、バルブハウジング11の軸方向において流路形成部材12から離れる方向へ力が作用する。しかし、被係止部32が溝部22に係止されていることにより、カバー部材13における流路形成部材12に対してのバルブハウジング11の軸方向での位置決めが確保されているため、カバー部材13が流路形成部材12に対して離間して、流路形成部材12から外れてしまうことが規制されている。
【0054】
また、カバー部材13には、スライドギア17を介して第1付勢ばね17fの付勢力がバルブハウジング11の軸方向において流路形成部材12から離れる方向へ作用している。さらに、カバー部材13には、表示リング19を介して第2付勢ばね19fの付勢力がバルブハウジング11の軸方向において流路形成部材12から離れる方向へ作用している。しかし、被係止部32が溝部22に係止されていることにより、カバー部材13における流路形成部材12に対してのバルブハウジング11の軸方向での位置決めが確保されているため、カバー部材13が流路形成部材12に対して離間して、流路形成部材12から外れてしまうことが規制されている。
【0055】
さらには、接触部33が円筒部23の外周面23aに接触していることにより、流路形成部材12の中心軸線L2及びカバー部材13の中心軸線L3が互いに一致するように流路形成部材12とカバー部材13とが組み付けられているため、弁体16がバルブハウジング11の軸方向へ移動し難くなってしまうことが防止されている。
【0056】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)挿入部20は、挿入部20の外周面20aに形成されるとともに挿入部20の周方向に配置される凸部21a及び凹部21bを有する凹凸部21と、挿入部20の外周面20aに形成され、凸部21aの頂部の外面211aよりも凹む溝部22と、仮想円R1上に位置する外周面23aを有する円筒部23とを備えている。カバー部材13は、凹凸部21に圧入される被圧入部31と、溝部22に係止される被係止部32と、円筒部23の外周面23aに挿入部20の周方向に連続して接触する接触部33とを有する。被圧入部31が凹凸部21に圧入されていることにより、カバー部材13における流路形成部材12に対しての操作部材18の回転方向での位置決めが確保される。被係止部32が溝部22に係止されていることにより、カバー部材13における流路形成部材12に対してのバルブハウジング11の軸方向での位置決めが確保される。接触部33が円筒部23の外周面23aに接触していることにより、流路形成部材12の中心軸線L2及びカバー部材13の中心軸線L3が互いに一致するように流路形成部材12とカバー部材13とが組み付けられる。以上のことから、カバー部材13における流路形成部材12に対しての操作部材18の回転方向及びバルブハウジング11の軸方向での位置決めを確保しつつも、流路形成部材12及びカバー部材13の中心軸線L2,L3が互いに一致するように流路形成部材12とカバー部材13とを組み付けることができる。
【0057】
(2)複数の凸部21aの頂部の外面211aが、仮想円R1上に位置している。これによれば、複数の凸部21aの頂部の外面211aがカバー部材13に接触することにより、流路形成部材12の中心軸線L2及びカバー部材13の中心軸線L3を互いに一致させ易くすることができる。よって、流路形成部材12及びカバー部材13の中心軸線L2,L3が互いに一致するように流路形成部材12とカバー部材13とを組み付け易くすることができる。
【0058】
(3)溝部22は、挿入部20の周方向の全周に亘って連続して延びている。これによれば、溝部22が、挿入部20の外周面20aに対して、挿入部20の周方向の一部に配置されている場合に比べて、被係止部32における溝部22に対する係止部分が多くなるため、カバー部材13における流路形成部材12に対してのバルブハウジング11の軸方向での位置決めを強固なものとすることができる。
【0059】
(4)挿入部20をカバー部材13の開口13hに挿入するだけで、流路形成部材12とカバー部材13とを組み付けることができるため、流路形成部材12とカバー部材13との周方向での組み付け位置の制約を無くすことができる。
【0060】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 実施形態において、円筒部23の外周面23aが、仮想円R1よりも挿入部20の径方向の外側に位置していてもよい。
【0061】
・ 実施形態において、凹凸部21は、挿入部20の外周面20aに対して、凸部21a及び凹部21bが一つずつ挿入部20の周方向に配置されているものであってもよい。
・ 実施形態において、溝部22が、挿入部20の外周面20aに対して、挿入部20の周方向の一部に配置されていてもよい。
【0062】
・ 実施形態において、挿入部20の外周面20aに対してセレーション加工を施すことにより凹凸部21を形成してもよい。
・ 実施形態において、溝部22の形状は特に限定されるものではなく、例えばU字状であってもよい。
【0063】
・ 実施形態において、溝部22が、バルブハウジング11の軸方向において凹凸部21から離れた位置に配置されていてもよい。
・ 実施形態において、溝部22が、バルブハウジング11の軸方向において、凹凸部21よりもカバー部材13側に配置されていてもよい。
【0064】
・ 実施形態において、円筒部23の外周面23aが、バルブハウジング11の軸方向において溝部22に対してカバー部材13とは反対側に位置する凹凸部21の一部の、凸部21aの頂部の外面211aに連続しておらず、円筒部23が凹凸部21からバルブハウジング11の軸方向において離れた位置に配置されていてもよい。
【0065】
・ 実施形態において、円筒部23が、バルブハウジング11の軸方向において、凹凸部21よりもカバー部材13側に配置されていてもよい。
・ 実施形態において、凸部21aの頂部の外面211aが、流路形成部材12の中心軸線L2を中心とした仮想円R1上に位置していなくてもよい。
【0066】
・ 実施形態において、凸部21aの頂部の外面211aが弧状に湾曲していなくてもよく、例えば、凸部21aの頂部が尖っていてもよい。
・ 実施形態において、流体として、液体の流量を制御する流量制御弁10であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
R1…仮想円、10…流量制御弁、11…バルブハウジング、12…流路形成部材、12a…流路、13…カバー部材、16…弁体、18…操作部材、20…挿入部、20a…外周面、21…凹凸部、21a…凸部、21b…凹部、22…溝部、23…円筒部、23a…外周面、31…被圧入部、32…被係止部、33…接触部、211a…外面。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図10
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