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特開2017-207430温度センサの遮光装置及びその成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-207430(P2017-207430A)
(43)【公開日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】温度センサの遮光装置及びその成形方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/08 20060101AFI20171027BHJP
   A01G 9/24 20060101ALI20171027BHJP
【FI】
   G01K1/08 Z
   A01G9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-101468(P2016-101468)
(22)【出願日】2016年5月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000221568
【氏名又は名称】東都興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正人
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029NA18
2B029SF10
(57)【要約】
【課題】 部品点数が少なく、構造が簡単であり、重量が軽く、格納時や搬送時にコンパクトにできて格納スペースや搬送用の箱を小さくでき、加工性、作業性を向上できる温度センサの遮光装置および成形方法を提供することである。
【解決手段】 傘Pが紙又は合成樹脂製の半円状シートの両端部に互いに対向して形成されている係合部Kで着脱自在に結合された裁頭円錐状の傘本体1と、傘本体1の上端に形成されている開口部2と、開口部2の口縁近傍から傘本体1の上方に起立する支持片3と、支持片3に穿設されている二つ以上の孔A1、A2、A3とを備え、信号線Rを各孔A1、A2、A3に交互に通過させて当該信号線Rを支持片3で保持させながら温度センサQを開口部2から傘本体1内に吊り下げていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線(R)の先端に接続されている温度センサ(Q)の外側に配置されている傘(P)で上記温度センサ(Q)に対する直射日光を遮断する温度センサの遮光装置において、
上記傘(P)が紙又は合成樹脂製の半円状シートの両端部に互いに対向して形成されている係合部(K)で着脱自在に結合された裁頭円錐状の傘本体(1)と、上記傘本体(1)の上端に形成されている開口部(2)と、上記開口部(2)の口縁近傍から上記傘本体(1)の上方に起立する支持片(3)と、上記支持片(3)に穿設されている二つ以上の孔(A1、A2、A3)とを備え、上記信号線(R)を上記各孔(A1、A2、A3)に交互に通過させて当該信号線(R)を上記支持片(3)で保持させながら上記温度センサ(Q)を上記開口部(2)から上記傘本体(1)内に吊り下げていることを特徴とする温度センサの遮光装置。
【請求項2】
傘本体1の胴部にU字状、又はコ字状の切り込み(4)で形成された舌片(5)が切起されて通気口(6)が形成されている請求項1に記載の温度センサの遮光装置。
【請求項3】
信号線(R)の先端に接続されている温度センサ(Q)の外側に配置されている傘(P)で上記温度センサ(Q)に対する直射日光を遮断する温度センサの遮光装置の成形方法において、
直線状の端部(9)と、この端部(9)の反対側に形成されている円弧上の外縁(10)とを備えた半円状の傘本体(1)と、上記端部(9)の中央に形成した湾曲面(7)と、上記端部(9)のうち上記湾曲面(7)より上側の上側端部(9a)と下側の下側端部(9b)にそれぞれ形成した複数のV溝と複数の爪とからなる一対の上側係止部(K1)及び下側係止部(K2)と、上側端部(9a)から外方に延びながら上記湾曲面(7)に対向する湾曲片(8)と、上記湾曲片(8)から斜め上方に延びる支持片(3)と、上記支持片(3)に形成した二つ以上の孔(A1、A2、A3)と、を備えた紙又は合成樹脂製のシートからなる母材を用意し、
上記上側端部(9a)と下側端部(9b)同士を回転して丸めながら近づけ、同時に湾曲片(8)も回転させ、この湾曲片(8)を傘本体(1)の下面に重ねながら湾曲面(7)と湾曲片(8)の内周(8a)とで開口部(2)を形成する第1の工程と、
上側係止部(K1)の各V溝(d、c、b、a)を対応する下側係止部(K2)の各V溝(e、f、g、h)に順次係合させて上記母材を裁頭円錐体状に成形する第2の工程と、
支持片(3)を曲げて上記の工程で成形されている開口部(2)から外方に引き上げる第3の工程と、
引き上げた支持片(3)の孔(A1、A2、A3)に交互に信号線(R)を差し込んで支持させながら温度センサ(Q)を下方に吊り下げる第4の工程とからなることを特徴とする温度センサの遮光装置の成型方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビニールハウス等の温室における室温を検出する温度センサが直射日光を受けるのを防止する温度センサの遮光装置及びその成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来、植物の育成用のビニールハウス、ガラスハウス等の温室では、植物の育成に適する室温を一定に保っておくことが必要である。
【0003】
この為、従来の温室ではハウスの屋根、側壁等に換気装置を設け、室温が基準の温度より高くなると換気装置を開いて外気を導入し、温度が低くなると換気装置を閉じようにしているのが普通である。
【0004】
このような換気装置としては、例えば特許文献1(特開2013−34443号公報)、特許文献2(特開2002−305990号公報)、特許文献3(特開2001−120081号公報)に示すようなものが開発され、実施されている。
【0005】
例えば、特許文献1に示す換気装置はハウスの側壁に形成した開口を開閉する開閉シートと、この開閉シートを巻き取り、巻き戻す巻上げ軸と、この巻上げ軸を回転する駆動機と、この駆動機を軸方向に沿って案内するガイド柱とからなるものである。
【0006】
さらに、上記駆動機は駆動機本体と、制御盤で操作することが可能な電動モータを内蔵し、制御盤はハウス内に配置した温度センサと信号線を介して接続されている。
【0007】
そして、温度センサによりハウス内の温度が所定の温度より高くなったことが検知された場合には制御盤により電動モータを駆動させて巻上げ軸を回動させながら開閉シートを巻き上げて開口を所定量解放させる。
【0008】
他方、ハウス内の室温が設定値より低くなったことを温度が検知した場合には電動モータを逆方向に駆動して巻上げ軸を巻き取り方向に回転しながら開閉シートを巻き取り、開口を閉じるようにしている。
【0009】
一方、上記の温度センサはハウス内の所定位置に吊り下げておくと、太陽からの直射日光が透明な屋根側や側面側の透明シートや透明ガラスを通過して直接温度センサに照射される場合があり、この場合は温度センサが加熱され、設定通りの室温を検知できなくなり、その結果、換気装置を開きっぱなしにして室温を設定通りに維持できず、植物の育成を阻害する恐れがある。
【0010】
この為、従来は、例えば、図13に示すような温度センサの遮光装置が開発されている。
【0011】
即ち、この温度センサの遮光装置は図13(A)、(B)、(C)に示すように温度センサQと、温度センサQの外側に挿入して取付けた金属製の円錐状傘本体101と、温度センサQと傘本体101とを連結する取付部材104とからなるものである。
【0012】
取付部材104は温度センサQの基端と信号線Rを結合する筒体102と、温度センサQの基端側に一体に設けたフランジQ1と、温度センサ側の螺子103に螺合したナット103とで構成され、フランジQ1とナット103とで傘本体101の上端側水平部を挟持したものである。
【0013】
この温度センサの遮光装置によれば、傘本体101が温度センサQの外側にこれを覆うように配置されているから直射日光が直接温度センサQに直接照射されるのが防止され、加熱されることがない。
【0014】
その為、温度センサQが、温室内の室温を適正に検知でき、換気装置による換気を正確に行うことがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
特許文献1(特開2013−34443号公報 図1、段落0020、0032参照)
特許文献2(特開2002−305990号公報 図4、段落0016参照)
特許文献3(特開2001−120081号公報 図8、段落0030参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記図13(A)、(B)、(C)に示す従来の温度センサの遮光装置では、次のような改善すべき問題点がある。
【0017】
第1に傘本体101と温度センサQとは筒体102と、温度センサQの基端側に一体に設けたフランジQと、温度センサ側の螺子103に螺合したナット103とで構成された取付部材104で結合されているから、この取付部材104は傘本体101と別々に成形させる必要があり、構造が複雑で部品点数が多くなり、その都度着脱操作が必要であるから、加工性、組付けの操作性、経済性において不利である。
【0018】
第2に傘本体101が金属製であるから直射日光が照射された時加熱されやすく、この熱が温度センサQに放熱されて温度センサQの検知機能を損ねるおそれがある。
【0019】
第3に傘本体1が裁頭円錐体状に成形され、しかもこの素材が金属であることから重量が重く、コンパクトに折り畳められないので倉庫に多数格納する場合や、製造現場から使用現場に多数搬送する場合に嵩張り、大きな格納用の収容スペースや、搬送用の大きな箱が必要となり、格納作業と搬送作業も困難である。
【0020】
そこで、本発明の目的は、部品点数が少なく、構造が簡単であり、重量が軽く、格納時や搬送時にコンパクトにできて格納スペースや搬送用の箱を小さくでき、加工性、作業性を向上できる温度センサの遮光装置および成形方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決する温度センサの遮光装置の手段は、信号線の先端に接続されている温度センサの外側に配置されている傘で上記温度センサに対する直射日光を遮断する温度センサの遮光装置において、
上記傘が紙又は合成樹脂製の半円状シートの両端部に互いに対向して形成されている係合部で着脱自在に結合された裁頭円錐状の傘本体と、上記傘本体の上端に形成されている開口部と、上記開口部の口縁近傍から上記傘本体の上方に起立する支持片と、上記支持片に穿設されている二つ以上の孔とを備え、上記信号線を上記各孔を交互に通過させて当該信号線を上記支持片で保持させながら上記温度センサを上記開口部から上記傘本体内に吊り下げていることを特徴とする。
【0022】
同じく、温度センサの遮光装置の成形方法は、信号線の先端に接続されている温度センサの外側に配置されている傘で上記温度センサに対する直射日光を遮断する温度センサの遮光装置の成形方法において、
直線状の端部と、この端部の反対側に形成されている円弧上の外縁とを備えた半円状の傘本体と、上記端部の中央に形成した湾曲面と、上記端部のうち上記湾曲面より上側の上側端部と下側の下側端部にそれぞれ形成した複数のV溝と複数の爪とからなる一対の上側係止部及び下側係止部と、上側端部から外方に延びながら上記湾曲面に対向する湾曲片と、上記湾曲片から斜め上方に延びる支持片と、上記支持片に形成した二つ以上の孔と、を備えた紙又は合成樹脂製のシートからなる母材を用意し、
上記上側端部と下側端部同士を回転して丸めながら近づけながら同時に湾曲片も回転させ、この湾曲片を傘本体の下面に重ねながら湾曲面と湾曲片の内周とで開口部を形成する第1の工程と、
上側係止部の各V溝を対応する下側係止部の各V溝に順次係合させて上記母材を裁頭円錐体状に成形する第2の工程と、
支持片を曲げて上記の工程で成形されている開口部から外方に引き上げる第3の工程と、
引き上げた支持片の孔に交互に信号線を差し込んで支持させながら温度センサを下方に吊り下げる第4の工程とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
A) 請求項1、2の発明によれば、傘が傘本体と、傘本体の上方に起立する支持片とを備えているからこの支持片を利用して傘本体を温度センサと信号線に取付けでき、別部材からなる取付具が不要となり、部品点数が少なく、構造が簡単となり、加工性、組付け性、経済性が向上する。
B)同じく、傘本体が紙又は合成樹脂製のシートで成形されているから軽量であり、金属性の傘に比べて直射日光の照射を受けても加熱される度合いが少なく、温度センサの検知機能を低下するのを防止できる。
C) 同じく、傘が両端部に互いに対向して形成されている係合部で着脱自在に結合されているから、この係合部を結合させる前又は結合を解除した時傘本体はシート状となるから、この傘を多数コンパクトに重ねることが出来、その結果狭い格納スペース内であっても多数格納で、また、製造現場から使用現場である温室まで搬送する場合であっても収容スペースの小さい箱を利用でき、格納、搬送作業の向上を図れる。
D)請求項2の発明によれば、切り込みで形成された舌片を切起して通気口を形成して確保することにより、傘本体内を通気させて傘本体内の温度上昇を防止することが出来る。その結果温度センサの誤作動を防止できる。
E)請求項3の発明によれば、紙又は合成樹脂製のシートを係合部でその都度係合させるだけで裁頭円錐体状の傘本体が成形され、この作業は温室等の使用現場で素人でも成形できるから加工性、作業性、経済性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施の形態に係る温度センサの遮光装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る温度センサの遮光装置に使用する傘本体の半円状シートからなる母材を展開した状態を示す平面図である。
図3図2に示すシートからなる母材の両端部を回転させながら互いに近づけて傘本体を成形させる工程の初期の状態を示す斜視図である。
図4】シートからなる母材における上側端部の最初の内端側V溝に下側の端部の最初の内端側V溝を係合させている状態を示す斜視図である。
図5】上側端部の最後の外端側V溝に下側端部の最後の外端側V溝を係合させている状態を示す斜視図である。
図6】V溝と爪とからなる係合部を介して結合してシートからなる母材を裁頭円錐状の傘本体に成形した状態の斜視図である。
図7図5に示す傘本体を下から見た斜視図である。
図8】支持片を下から上方に向けて開口部を貫通させている状態を示す傘本体の下から見た斜視図である。
図9】支持片の上段の孔に温度センサを挿入している状態を示す傘本体の上から見た斜視図である。
図10】支持片の上段の孔と中段の孔にそれぞれ信号線と温度センサを挿入している状態を示す傘本体の上から見た斜視図である。
図11】支持片の上段の孔と中段の孔と下段の孔にそれぞれ信号線と温度センサを挿入している状態を示す傘本体の上から見た斜視図である。
図12】支持片の上段の孔と中段の孔と下段の孔にそれぞれ信号線と温度センサを挿入し、且つ切欠き片を押し開いている状態を示す傘本体の上から見た斜視図である。
図13】(A)は従来の温度センサの遮光装置の上から見た斜視図である。
【0025】
(B)は同じく下から見た斜視図である。
【0026】
(C)は同じく一部切欠き縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の一実施の形態に係る温度センサの遮光装置とその成形方法について、図1図128を参照しながら説明する。
【0028】
本発明は、ビニールハウス等の温室における室温を検出する温度センサが直射日光を受けるのを防止する温度センサの遮光装置及びその成形方法に関する。
【0029】
温度センサは公知のように、ビニールハウス、ガラスハウス等の温室の室内に設置され、ハウス内の温度を検知して換気装置側の制御盤に信号線を介して検知信号を送るようになっている。
【0030】
そして、ハウス内の温度が所定の温度より高くなったことが検知された場合には制御盤により電動モータを駆動させて、例えば、換気装置たる巻上げ軸を回動させながらこの巻上げ軸に巻き付けた開閉シートを巻き上げてハウスの屋根又は側面に形成した開口を所定量解放させる。
【0031】
他方、ハウス内の室温が設定値より低くなったことを温度センサが検知した場合には電動モータを逆方向に駆動して巻上げ軸を巻き取り方向に回転しながら開閉シートを巻き取り、開口を閉じるようにしている。
【0032】
この場合、太陽からの直射日光が透明な屋根側や側面側の透明シートや透明ガラスを通過して直接温度センサに照射される場合があり、この場合は温度センサが加熱され、設定通りの室温を検知できなくなり、その結果、換気装置を開きっぱなしにして室温を設定通りに維持できず、植物の育成を阻害する恐れがある。
【0033】
本発明はこの温度センサが直射日光にさらされないようにした温度センサの遮光装置とその成形方法に特徴がある。
【0034】
本発明の一実施の形態に係る温度センサの遮光装置が図1に示されている。
【0035】
この温度センサの遮光装置Pは、信号線Rの先端に接続されている温度センサQの外側に配置されている傘Pで上記温度センサQに対する直射日光を遮断するものである。
【0036】
傘Pは紙又は合成樹脂製の半円状シートの両端部が互いに対向して形成されている係合部Kで着脱自在に係合された裁頭円錐状の傘本体1と、傘本体1の上端に形成されている開口部2と、この開口部2の口縁近傍から傘本体1の上方に起立する支持片3と、この支持片3に穿設されている二つ以上、例えば、三つの孔A1、孔A2、孔A3とを備えている。
【0037】
そして、信号線Rを各孔A1、A2、A3を交互に通過させて信号線Rを支持片3で保持させながら温度センサQを開口部2から傘本体1内に吊り下げている。
【0038】
この為、温度センサQの外周側に傘本体1が配置されているので、ビニールハウスの透明シートやガラスハウスの透明ガラスを通過した直射日光は傘本体1で遮られて温度センサQに直接照射されず、温度センサQは太陽熱で加熱されず、温室内の室温を適正に検知できる。
【0039】
傘本体1は予め白色のシートで成形させ、或いは外周に白色の塗装を施すことによりこの傘本体1の太陽光線による加熱を防止して傘本体1から熱が温度センサQに伝播するのを防止しておいても良い。
【0040】
また、傘本体1の胴部にU字状、又はコ字状の切り込み4で形成された舌片5を切起して通気口6を形成しておくことにより、傘本体1内を通気させて傘本体1内の温度上昇を防止することが出来る。
【0041】
図1の温度センサの遮光装置によれば、傘本体1の上方に起立する支持片3を備えているからこの支持片3を利用して傘本体1を温度センサQと信号線Rに取付けできるので別部材からなる従来の温度センサの遮光装置に比べて取付具が不要となり、部品点数が少なく、構造が簡単となり、加工性、組付け性、経済性が向上する。
【0042】
また、傘本体1が紙又は合成樹脂製のシートで成形されているから軽量であり、金属性の傘に比べて直射日光の照射を受けても加熱される度合いが少なく、温度センサQの検知機能を低下するのを防止できる。
【0043】
さらに、傘Pが両端部に互いに対向して形成されている係合部Kで着脱自在に結合されているから、この係合部Kを結合させる前又は結合を解除した時傘本体1はシート状の母材となるから、この傘Pを母材の状態で多数コンパクトに重ねることが出来る。その結果狭い格納スペース内であっても傘Pを母材の状態で多数格納で、また、製造現場から使用現場である温室まで搬送する場合であっても収容スペースの小さい箱を利用でき、格納、搬送作業の向上を図れる。
【0044】
図1の傘P1は裁頭円錐体の形状となっているが、この傘Pは側面から見て長方形状、台形状に成形されていても良い。要は、上部に開口部2を設け、この開口部2の口縁近辺に支持片3を一体に設けたシートで成形され、シートの端部が係合部で着脱自在に結合されたものであれば実施可能である。
【0045】
支持片3は開口部2の口縁付近の内周又は外周に一体成型しておいても良く、貼り付けて置いても良い。
【0046】
係合部Kは半円状又は長方形状のシートの互いに対向する端部にそれぞれ形成したV溝同士を係合したもの、一方の溝とこの溝に着脱自在に係合する爪、又は一方の孔とこの孔に着脱自在に嵌合して引っ掛かる他方の突起、あるいは糸等で着脱自在に縫合した構成を採用することが可能である。
【0047】
要は、この係合部Kは結合する前、又は結合を解除した時に傘Pを単なる扁平なシート状の母材にできるようになっていれば良い。
【0048】
図1の傘Pに使用するシート状の母材の一実施の形態が図2に示されている。
【0049】
図2は傘本体1と、支持片3と、支持片3の穿設した三つの孔A1、A2、A3を備えた紙又は合成樹脂製シートからなる母材を示し、図3から図12はこの母材を利用して温度センサの遮光装置Pを成形する工程を示している。
【0050】
図2に示す傘用母材は紙又は合成樹脂製のシートから成形されており、これは、平面から見て、直径方向に沿って直線状の端部9と、この端部9の反対側に形成されている円弧上の外縁10とを備えた半円状の傘本体1と、端部9の中央に半円状に切り欠いて形成した湾曲面7と、上記端部9のうち上記湾曲面7より上側の上側端部9aと下側の下側端部9bとにそれぞれ形成した上下一対の係合部K1、K2と、上側端部9aから図2において右側たる外方に延びながら湾曲面7に対向する湾曲片8と、湾曲片8から斜め上方に延びる支持片3と、支持片3に形成した二つ以上、例えば三つの孔A1、A2、A3と、を備えている。
そして、上記上側の係止部K1は上側端部9aに直線方向に沿ってそれぞれ隔設した複数の第1、第2、第3、第4のV溝a、b、c、d及び複数の第1、第2、第3の爪A、B、Cとで構成され、同じく、下側の係止部K2は下側端部9bに直線方向に沿ってそれぞれ隔設された複数の第5、第6、第7、第8のV溝e、f、g、h及び複数の第4、第5、第6、第7の爪D、E、F、Gとから構成されている。
そして、上側の第1、第2、第3の爪A、B、Cは下側のV溝h、g、f、eに対応して差し込まれるようになっている。
反対に、下側の第4、第5、第6、第7の爪D、E、F、Gは上側の第1、第2、第3、第4のV溝a、b、c、dに対応してさしこまれるようになっている。
上記の各V溝a〜h、及び爪A〜Gは次のようにして形成されている。
【0051】
即ち、上側端部9aに開口が幅狭の上下二つの蟻溝L、Mを形成し、これにより上側の蟻溝Lの底部上下両側を互いに対向する一対の第1、第2のV溝a、bとして形成させ、同じく下側の蟻溝Mの底部上下両側を互いに対向する一対の第3、第4のV溝c、dとして形成させている。
【0052】
そして、上記上側の蟻溝Lの開口部両端をV字状に尖った第1、第2の爪A、Bとして形成させ、同じく下側の蟻溝Mの開口部の一端をV字状に尖った第3の爪Cとして形成させている。
【0053】
次に、下側端部9bの上部に第5のV溝eを、下部に第8のV溝hをそれぞれを形成している。
そして、第5のV溝eの傾斜面に連なる端部に中央方向に向くV字状に尖った第4の爪Dを形成し、同じく第8のV溝hの傾斜面に連なる端部に外方に向くV字状に尖った第7の爪Gを形成している。
更に、下側端部9bの中央部に蟻溝Nを形成し、この蟻溝Nの底部上下両側を互いに対向する一対の第6、第7のV溝f、gとして形成させ、また、この蟻溝Nの開口部両端をV字状に尖った第5、第6の爪E、Fとして形成させている。
【0054】
次に、上記の母材を利用して傘Pを成形する工程を説明する。
【0055】
この温度センサの遮光装置の一実施の形態に係る成型方法は、次の第1〜第4の工程からなるものである。
先ず、図2に示す紙又は合成樹脂製のシートから成る母材を用意する。
次いで、図3に示すように上側端部9aと下側端部9b同士を回転して丸めながら近づけ、同時に湾曲片8も回転させ、この湾曲片8を傘本体1の下面に重ねながら湾曲面7と湾曲片8の内周8aとで開口部2を形成する(第1の工程)。
【0056】
次に上側係止部K1の各V溝d、c、b、aを対応する下側係止部K2の各V溝e、f、g、hに順次係合させ、上記母材を裁頭円錐体状に成形する(第2の工程)。
この第2の工程では、図4に示すように、先ず、下側の第4の爪Dを支持片3の上面を経由して上側の第4のV溝dに差し込みながら傘本体1の下面に当接させ、同時に上側のV溝dと下側のV溝eを互いに噛み合わせて係合させる。
同様の工程で他の上下のV溝cとf、bとg、aとh、同士を係合させる。
即ち、上記第2の工程に続いて、上側の爪Cを下側の爪Eの上面を経由して下側のV溝fに差し込みながら上側のV溝cと下側のV溝fとを互いに係合させる。
次に、図5図6に示すように、上下の端部9a、9b同士をさらに近づけて下側の爪Fを上側の爪Bの上面を経由して上側のV溝bに差し込みながら上側のV溝bと下側のV溝gを係合させ、更に、上側の爪Aを下側の爪Gの上面を経由して下側のV溝hに差し込んで上側のV溝aと下側のV溝hを係合させる。
上記の第2の工程を終了すると図6に示すように上下の係止部K1、K2が係合した状態で上端に開口部2を形成した裁頭円錐状の傘Pが成形される。
次に、図7から図8に示すように、傘本体1の下方内に位置している支持片3を上方に向けて曲げ、上記の工程で成形されている開口部2から外方に引き上げる(第3の工程)。
次いで、図9図10図11図12に示すように、引き上げた支持片3の孔A1、A2、A3に交互に信号線Rを差し込んで支持されながら温度センサQを下方に吊り下げる(第4の工程)。
この場合、図9に示しように、上側の孔A1に差し込まれた温度センサQは図10に示すように、再度中段の孔A2ni差し込まれ、次いで、図11に示すように下段のA孔A3を貫通させて傘本体1の内部に吊り下げる。
この状態で図12に示すように、舌片5を押し開いて通気孔6を開口させて傘本体1を通気させることが出来る。
【0057】
上記の工程によれば、紙又は合成樹脂製のシートを係合部K1,K2でその都度係合させるだけで裁頭円錐体状の傘本体1が成形され、この作業は温室等の使用現場で素人でも成形できるから加工性、作業性、経済性の向上を図れる。
【符号の説明】
【0058】
R 信号線
Q 温度センサ
P 傘
A1、A2,A3 孔
K 係合部
K1 上側係止部
K2 下側係止部
1 傘本体
2 開口部
3 支持片
4 切り込み
5 舌片
6 通気孔
7 彎曲面
8 湾曲片
8a 内周
9 直線状の端部
9a 上側端部
9b 下側端部
10 外縁
a、b、c、d、e、f、g、h 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13