【課題】フォーカス群の小型化、軽量化を図り、フォーカス駆動系への負荷を低減すると共に、光学系全体をコンパクトに構成すると共に、簡素な構成で良好な結像性能を実現することができる近距離撮影用の望遠系の撮影レンズ及び撮影装置を提供する。
【解決手段】物体側より順に、正の第1レンズ群G1、負の第2レンズ群G2及び正の第3レンズ群G3を有し、第2レンズ群G2は一枚の正レンズのみ含み、第3レンズ群G3は正のフロントサブレンズ群と負のリアサブレンズ群とからなり、無限遠から近距離物体へのフォーカシングに際しては、第1レンズ群G1及び第3レンズ群G3を固定とし、第2レンズ群G2を像面側に移動させ、所定の条件式を満足する。
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の撮影レンズと、その像面側に当該撮影レンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮影素子とを備えたことを特徴とする撮影装置。
【背景技術】
【0002】
従来より、近距離撮影可能な撮影レンズでは、フォーカシングの際の収差変動を抑制し、結像性能の高い画像を得るために種々のレンズ構成及びフォーカシング方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示の望遠レンズでは、正正負の3群構成を採用すると共に、無限遠から近距離へのフォーカシングの際に複数のレンズ群を光軸に沿って、各間隔が所定の条件を満足するようにフローティングさせている。これにより、近距離撮影時にも収差補正を良好に行うことができ、結像性能の高い画像を得ることができる。
【0004】
しかしながら、この特許文献1に開示の望遠レンズでは、フォーカシングの際に、レンズ群の移動に伴い光学全長が変化する。このため、鏡筒を密閉構造とすることが困難となり、鏡筒内に隙間からゴミ等が侵入する可能性が高まる。また、フォーカシングの際に鏡筒全長が変化すると、撮影距離と被写体との位置によっては、被写体にレンズ先端が接触する場合があり、被写体やレンズに破損や汚れが生じる場合があった。さらに、望遠レンズは入射瞳径が大きいことから、第1レンズ群を構成するレンズの外径は大きく、重くなる。そのため、フォーカシングの際に第1レンズ群が移動すると、光学系全体における重心位置も移動するため、鏡筒又は撮影装置本体にブレが生じ、撮影画像のブレを招く恐れもある。これらのことから、この特許文献1に開示の望遠レンズでは、オートフォーカスの高速化及び動画撮影に対応することが困難な場合がある。
【0005】
このような課題を解決するための手段の一つとして、例えば、特許文献2に開示のレンズ構成及びフォーカシング方法を挙げることができる。特許文献2に開示の撮影レンズでは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、第3レンズ群に後続する後続レンズ群を備えるレンズ構成を採用し、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際に、第1レンズ群を固定させ、第2レンズ群を像面側に移動させ、第3レンズ群を物体側に移動させている。つまり、フォーカシングの際に、内側のレンズ群のみを移動させるいわゆるインナーフォーカス式のフォーカシング方法を採用しているため、光学全長の変化を生じさせず、重心位置の移動も抑制することができ、上述した課題を解決することができる。これと同時に、フォーカシングの際に、第1レンズ群以外のレンズ群をフローティングさせることにより、上記と同様に、近距離撮影時の収差補正を良好に行うことができ、結像性能の高い画像を得ることができる。
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示の撮影レンズは望遠レンズであるが、光学的絞りよりも物体側に、屈折力の強い負の第2レンズ群が配置されているため、いわゆるテレフォト比を上げることが困難である。このため、焦点距離に対してレンズの全長を短くしたり、レンズ外径を小さくすることが難しく、全体をコンパクトに構成することが困難になる。また、フォーカシングの際に複数のレンズ群を移動させているため、各レンズ群の移動をそれぞれ制御する必要があり、フォーカス駆動系の機構が複雑になり、制御上の負荷が大きくなることが問題として挙げられる。
【0007】
これに対して、特許文献3に開示の撮影レンズは、3群構成を採用し、フォーカシングの際に正の屈折力を有する第2レンズ群のみを移動させている。フォーカス群が一つのレンズ群であるため、フォーカス駆動系の負荷を軽減することができ、撮影レンズをコンパクトに構成することができる。しかしながら、特許文献3に開示の撮影レンズでは、フォーカス群を正レンズとしており、当該フォーカス群は他のレンズ群と同程度の外径を有している。すなわち、フォーカス群の小型化が十分に図られておらず、また、正レンズであるためその重量が重くなるという問題がある。つまり、高速なフォーカシングを実現するには、フォーカス群のより一層の小型化、軽量化が求められる。
【0008】
そこで、高速なフォーカシングを実現するために、例えば、特許文献4に開示される撮影レンズのように、正負正の3群構成を採用すると共に、負の屈折力を有する第2レンズ群のみをフォーカシングの際に移動させることが考えられる。特許文献4に開示の撮影レンズは、これらのレンズ構成等を採用することによりコンパクトで、優れた結像性能を実現すると共に、負レンズからなる第2レンズ群をフォーカス群とすることにより、フォーカス群の小型化、軽量化を十分に図ることができ、フォーカス駆動系への負荷を大きく軽減している。
【0009】
しかしながら、特許文献4に開示の撮影レンズは標準画角のレンズであり、特許文献4に開示のレンズ構成やフォーカシング方法を望遠レンズにそのまま適用することは困難である。望遠レンズでは、広角〜標準レンズと比べて撮影距離の変動に伴う球面収差、像面湾曲、軸上色収差等が増大するため、フォーカス群を1枚の負レンズで構成した場合、特に近距離撮影時においては、これらの各種収差を十分に補正することができず、高い結像性能を得ることが困難になるためである。
【0010】
一方、特許文献5には、近距離撮影可能な望遠レンズにおいて、フォーカス群を一つのレンズ群とし、このレンズ群を正レンズと負レンズとから構成することが記載されている。当該レンズ構成及びフォーカシング方法を採用することにより、フォーカス群の小型化、軽量化を図り、駆動系への負荷を低減することによりフォーカスの高速化を実現している。これと同時に、フォーカス群を正負2枚のレンズで構成しているため、撮影距離の変動に伴う上記球面収差、像面湾曲、軸上色収差等の各種収差の補正も可能になる。
【0011】
しかしながら、特許文献5に開示の望遠レンズでは、フォーカス群の像面側に配置された固定レンズ群の横倍率が小さく、明るい望遠レンズを実現するには、当該望遠レンズを構成するレンズ枚数が増加するため、光学全長が長くなるという問題があった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本件発明の実施例1の撮影レンズのレンズ構成例を示す図である。上段が物体距離無限遠状態におけるレンズ構成図であり、下段が最至近状態におけるレンズ構成図である。
【
図2】本件発明の実施例1の撮影レンズの像倍率「0倍(∞)」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図3】本件発明の実施例1の撮影レンズの像倍率「−0.5倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図4】本件発明の実施例1の撮影レンズの像倍率「−1.0倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図5】本件発明の実施例2の撮影レンズのレンズ構成例を示す図である。上段が物体距離無限遠状態におけるレンズ構成図であり、下段が最至近状態におけるレンズ構成図である。
【
図6】本件発明の実施例2の撮影レンズの像倍率「0倍(∞)」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図7】本件発明の実施例2の撮影レンズの像倍率「−0.5倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図8】本件発明の実施例2の撮影レンズの像倍率「−1.0倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図9】本件発明の実施例3の撮影レンズのレンズ構成例を示す図である。上段が物体距離無限遠状態におけるレンズ構成図であり、下段が最至近状態におけるレンズ構成図である。
【
図10】本件発明の実施例3の撮影レンズの像倍率「0倍(∞)」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図11】本件発明の実施例3の撮影レンズの像倍率「−0.5倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図12】本件発明の実施例3の撮影レンズの像倍率「−1.0倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図13】本件発明の実施例4の撮影レンズのレンズ構成例を示す図である。上段が物体距離無限遠状態におけるレンズ構成図であり、下段が最至近状態におけるレンズ構成図である。
【
図14】本件発明の実施例4の撮影レンズの像倍率「0倍(∞)」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図15】本件発明の実施例4の撮影レンズの像倍率「−0.5倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図16】本件発明の実施例4の撮影レンズの像倍率「−1.0倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図17】本件発明の実施例5の撮影レンズのレンズ構成例を示す図である。上段が物体距離無限遠状態におけるレンズ構成図であり、下段が最至近状態におけるレンズ構成図である。
【
図18】本件発明の実施例5の撮影レンズの像倍率「0倍(∞)」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図19】本件発明の実施例5の撮影レンズの像倍率「−0.5倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【
図20】本件発明の実施例5の撮影レンズの像倍率「−1.0倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本件発明に係る撮影レンズ及び撮影装置の実施の形態を説明する。
【0021】
1.撮影レンズ
本件発明に係る撮影レンズは、本件発明に係る撮影レンズは、物体側より順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群及び正の屈折力の第3レンズ群を有し、前記第2レンズ群内には少なくとも一枚の正レンズを含み、無限遠から近距離物体へのフォーカシングに際しては、第1レンズ群及び第3レンズ群を固定とし、第2レンズ群を像面側に移動させ、後述する条件式を満足することを特徴とする。
【0022】
1−1.光学系の構成
まず、当該撮影レンズの光学系の構成について説明する。
【0023】
(1)第1レンズ群
第1レンズ群は、正の屈折力を有するものであれば、下記条件式(1)、(2)を満足する限り、その具体的なレンズ構成は特に制限されるものではない。テレフォト比を大きくするためには、当該第1レンズ群は、強い正の屈折力を有することが好ましい。
【0024】
(2)第2レンズ群
第2レンズ群は、負の屈折力を有し、少なくとも1枚の正レンズを含むものであれば、下記条件式(1)、(2)を満足する限り、その具体的なレンズ構成は特に制限されるものではない。本件発明では、フォーカス群である第2レンズ群に少なくとも1枚の正レンズを設けたため、当該正レンズにより軸上色収差や倍率色収差の補正が容易になる。また、当該構成を採用することにより、撮影距離の変動に伴う球面収差、像面湾曲、軸上色収差等の各種収差を補正することが容易であり、撮影距離によらず高い結像性能を実現することができる。
【0025】
本件発明において、当該第2レンズ群に含まれる正レンズとは、単一要素としての正レンズを指している。ここで、単一要素とは、例えば、接合レンズ、複合非球面レンズ等の複数の光学要素がレンズ面において接合されたものである場合、この接合レンズ等を構成する複数の光学的要素の各々を指す。つまり、接合レンズであれば、接合される前の状態の単体としての各レンズが単一要素としてのレンズに該当し、複合非球面レンズであれば、非球面フィルムが設けられる前の状態の単体としてのレンズが上記単一要素としてのレンズに該当する。すなわち、本件発明において、単一要素とは、接合等される前の状態における一つの光学要素を指し、当該第2レンズ群は少なくとも一つの正の屈折力を有する単一要素を含むものとする。
【0026】
また、本件発明において、この第2レンズ群内に含まれる正レンズの位置は特に限定されるものではない。当該正レンズは、第2レンズ群を構成する複数のレンズのうち、最も物体側に配置されていてもよいし、最も像面側に配置されていてもよい。また、当該第2レンズ群が単一要素としてのレンズを3枚以上備える場合に、当該正レンズは、第2レンズ群内において、他のレンズ(単一要素としての他のレンズ)間に配置されていてもよい。いずれの場合であっても、本件発明による効果を得ることができる。
【0027】
(3)第3レンズ群
第3レンズ群は、正の屈折力を有するものであれば、下記条件式(1)、(2)を満足する限り、その具体的なレンズ構成は特に制限されるものではない。
【0028】
本件発明における具体的な構成例として、例えば、第3レンズ群は、当該第3レンズ群中の最も大きい軸上空気間隔を介して、物体側に配置される正の屈折力を有するフロントサブレンズ群と、像面側に配置される負の屈折力を有するリアサブレンズ群とからなるものとすることができる。第3レンズ群をこのように最も大きい軸上空気間隔を介して、上記フロントサブレンズ群と上記リアサブレンズ群とからなる構成を採用することにより、射出瞳距離を短くすることが可能になる。その結果、像側近傍のレンズを径方向において小型化することができ、マウント径の小さい撮影装置に好適な撮影レンズとすることができる。また、当該構成自体がテレフォトの構成となるため、当該撮影レンズの望遠化が容易になる。第3レンズ群を当該構成とする場合、当該撮影レンズにおいては、条件式(2)に代えて、後述する条件式(3)を満足すれば足り、条件式(2)を必ずしも満足する必要はない。なお、この点については、後述する。
【0029】
(4)光学的絞り
本件発明において、光学的絞りの位置は特に限定されるものではない。第1レンズ群内、第2レンズ群内、第3レンズ群内、或いは各レンズ群の間等、その配置に限定はない。光学的絞りがいずれの位置に配置された場合であっても、本件発明に係る光学的効果を得ることができる。また、当該光学的絞りは、像面に対して固定であってもよいし、移動可能であってもよい。例えば、近距離撮影時の周辺光量の調整や収差補正を行う上で、光学的絞りを移動させることは好ましいが、当該撮影レンズに要求される光学特性等に応じて、当該光学的絞りの固定/移動の別は任意である。しかしながら、光学的絞りの固定/移動の別によらず、フォーカス駆動系への負荷を低減するという観点から、光学的絞りの開口径を可変とする為の機構部を含めた重量が比較的重い場合には、光学的絞りは第2レンズ群内以外の位置に配置されることが好ましい。なお、この点については、後述する。
【0030】
本件発明に係る撮影レンズでは、上述のように、物体側から順に正負正の3群構成を採用している。光学系内の屈折力の配置をこのようにすることにより、テレフォト比を上げることが容易であり、焦点距離に対して光学全長の増加を抑制することができ、鏡筒径及び鏡筒全長をコンパクトに構成できる。このため、本件発明に係る撮影レンズを望遠系のレンズに適用した場合、全体をコンパクトに構成することができる。但し、本件発明において、望遠系のレンズとは、中望遠レンズ〜望遠レンズ等と称される焦点距離の比較的長い撮影レンズをいうものとする。
【0031】
一方、本件発明とは異なり、最も物体側に配置される第1レンズ群を負群とした場合、テレフォト比を上げることが困難になり、焦点距離に対する光学全長の増加を抑制することが困難になる。従って、当該屈折力配置を採用した場合には望遠系レンズに適用することが困難になる。また、第2レンズ群を正群とした場合、第2レンズ群を負群とする場合と比較すると、第2レンズ群を構成するレンズの外径・重量が大きくなるため、フォーカス駆動系への負荷を減少させることが困難になる。また、第3レンズ群を負群とした場合、最も像面側に配置される当該第3レンズ群より物体側に、上記負の屈折力を有する第2フォーカスレンズ群が配置される。このため、近距離物体の被写体像を像面に結像させると共に、明るい光学系を得るためには第1レンズ群の外径を大きくする必要性がある。従って、第3レンズ群を負群とした場合、当該撮影レンズの明るさが不足すると共に、当該撮影レンズをコンパクトに構成することが困難になり、さらに球面収差の補正も困難になる。
【0032】
1−2.フォーカシング方法
次に、フォーカシング方法について説明する。本件発明に係る撮影レンズは、上記レンズ構成を採用すると共に、無限遠から近距離物体へのフォーカシングに際して、最も物体側に配置される第1レンズ群と、最も像面側に配置される第3レンズ群とを固定とし、これらの内側に配置される第2レンズ群をフォーカス群としている。
【0033】
すなわち、本件発明では、いわゆるインナーフォーカス式のフォーカシング方法を採用しているため、フォーカシングの際に光学全長が変化せず、鏡筒を密閉構造とすることが容易である。このため、鏡筒内に埃やゴミ等が隙間から侵入するのを防止することができる。また、鏡筒全長も固定されるため、近距離撮影の際のフォーカシング時に光学系先端が被写体に接触して、被写体やレンズに破損や汚れが生じるのを防止することができる。従って、一般にマクロレンズ等と称される、被写体に近接して撮影を行う際に用いられる近距離撮影用レンズに好適に適用することができる。
【0034】
また、本件発明では上記レンズ構成を採用しているため、第1レンズ群及び第3レンズ群を構成するレンズの外径・重量に比して、第2レンズ群を構成するレンズの外径・重量はそれぞれ小さくなる。従って、第1レンズ群及び/又は第3レンズ群をフォーカス群とした場合と比較すると、フォーカス群を構成するレンズの小径化、軽量化を図ることが容易になり、フォーカス駆動系への負荷を低減することができる。
【0035】
さらに、望遠系のレンズにおいて上記レンズ構成を採用した場合、正群である第1レンズ群及び第3レンズ群を構成するレンズの外径・重量は比較的大きくなる。本件発明では、第1レンズ群及び第3レンズ群を固定群とするため、フォーカシングの際に光学系内の重心位置が移動するのを抑制することができる。これらのことから、フォーカシングの際に鏡筒又は撮影装置本体にブレが生じるのを抑制し、高速オートフォーカスの実現を容易にすると共に、動画撮影の際にも被写体の移動に応じて迅速に被写体にフォーカスすることができる。
【0036】
ここで、上述したとおり当該光学系内における光学的絞りの位置は任意である。しかしながら、フォーカス駆動系への負荷を低減し、高速オートフォーカスの実現、或いは動画撮影への対応といった観点から、上述のとおり、第2レンズ群内に光学的絞りが配置されることは好ましくない。第2レンズ群内に光学的絞りを配置した場合、フォーカシングの際に第2レンズ群を構成する各レンズと共に、当該光学的絞りもその位置を移動させる必要が生じるため、フォーカス駆動系への負荷が光学的絞りの分だけ増加するためである。
【0037】
また、光学的絞りの固定/移動の別についても上述のとおり任意である。しかしながら、当該光学的絞りを移動させる際は、フォーカス群である第2レンズ群を移動させるためのフォーカス駆動系とは別の駆動系により当該光学的絞りを移動させることが好ましい。フォーカス駆動系への負荷を低減するためである。
【0038】
1−3.条件式
次に、条件式について説明する。本件発明に係る撮影レンズは、上記レンズ構成及びフォーカシング方法を採用すると共に、下記条件式(1)及び条件式(2)を満足することを特徴とする。
【0040】
1−3−1.条件式(1)
まず、条件式(1)について説明する。条件式(1)は、本件発明に係る撮影レンズが等倍又は等倍付近の被写体像を像面に結像する近距離撮影用のレンズ、すなわちマクロレンズであることを規定した式である。本件発明では、当該条件式(1)を満足する撮影レンズにおいて、上記レンズ構成及びフォーカシング方法を採用し、且つ、次に説明する条件式(2)を満足することにより、フォーカス群の小型化、軽量化を図り、フォーカス駆動系への負荷を低減すると共に、光学系全体をコンパクトに構成し、且つ、簡素な構成で良好な結像性能を実現可能にした。
【0041】
特に、本件発明に係る撮影レンズにおいて、当該条件式(1)の値は下記式(1a)の範囲内であることがより好ましく、下記式(1b)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0042】
0.75≦|B| ・・・(1a)
0.90≦|B| ・・・(1b)
【0043】
1−3−2.条件式(2)
条件式(2)は、第3レンズ群の焦点距離と、無限遠合焦状態における光学系全系の焦点距離との比を規定しており、条件式(2)を満足することにより、第3レンズ群の焦点距離が適正な値となり、光学全長と収差補正の適正化を図ることができる。条件式(2)の下限値未満となる場合、第3レンズ群の焦点距離が短く、第3レンズ群の正の屈折力が強くなる。この場合、像面側のレンズ群が強い正の屈折力がを有するため、テレフォト化が不十分になり、光学系全系の焦点距離に対する光学全長が長くなる。従って、望遠系の撮影レンズを実現する上で好ましくない。一方、条件式(2)の上限値を超える場合、第3レンズ群の焦点距離が長く、第3レンズ群の屈折力が弱くなる。この場合、光学系全系におけるFナンバーが大きくなる傾向がある。このため、明るく、結像性能の高い撮影レンズを実現するには、収差補正のために要するレンズ枚数が増加する。特に、第1レンズ群及び第2レンズ群を構成するレンズ枚数を増加させる必要がある。つまり、撮影レンズを構成するレンズ枚数が増加するため、光学全長が長くなり、当該撮影レンズをコンパクトに構成することが困難になる他、フォーカス駆動系への負荷を十分に低減することが困難になる。
【0044】
これらの観点から、当該条件式(2)の値は下記式(2a)の範囲内であることがより好ましく、下記式(2b)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0045】
0.80 ≦ f3/f ≦ 5.00 ・・・(2a)
0.85 ≦ f3/f ≦ 4.50 ・・・(2b)
【0046】
1−3−3.条件式(3)
第3レンズ群が、上述したように、当該第3レンズ群中の最も大きい軸上空気間隔を介して、物体側に配置される正の屈折力を有するフロントサブレンズ群と、像面側に配置される負の屈折力を有するリアサブレンズ群とからなる場合、本件発明に係る撮影レンズは、上記条件式(1)と共に、条件式(3)を満足するものとする(下記数式参照)。この場合、条件式(2)を満足することがより好ましいが、条件式(2)を満足しない場合であっても、条件式(3)を満足する場合には同等の効果が得られる。
【0048】
条件式(3)は、第3レンズ群中のフロントサブレンズ群の焦点距離と、第3レンズ群中のリアサブレンズ群の焦点距離との比を規定しており、条件式(3)を満足することにより、第3レンズ群中のこれらサブレンズ群の焦点距離の比が適正な値となり、光学全長と周辺光量バランスの適正化を図ることができる。条件式(3)の下限値を下回る場合、フロントサブレンズ群の正の屈折力が強くなる。その結果、像側に近いレンズ群が強い正の屈折力を有することになり、テレフォト化が不十分になり、光学系全系の焦点距離に対する光学全長が長くなる。従って、望遠系の撮影レンズを実現する上で好ましくない。一方、条件式(3)の上限値を上回る場合、リアサブレンズ群の負の屈折力が強くなる。この場合、射出瞳距離が短くなり、像面に配置されたCCD等の固体撮影素子(固体撮像素子)への入射光の角度が斜入射となり、特に周辺部の瞳の不均衡により光量低下を招くため好ましくない。
【0049】
これらの観点から、当該条件式(3)の値は下記式(3a)の範囲内であることがより好ましく、下記式(3b)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0050】
0.40 ≦ f3f/|f3r| ≦ 1.30 ・・・(3a)
0.50 ≦ f3f/|f3r| ≦ 1.25 ・・・(3b)
【0051】
1−3−4.条件式(4)
次に、条件式(4)について説明する。本件発明に係る撮影レンズは、上記条件式(1)及び条件式(2)又は上記条件式(1)及び条件式(3)と共に、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
【0053】
条件式(4)は、第2レンズ群の焦点距離と無限遠合焦状態における光学系全系の焦点距離の比を規定しており、この数値が下限値を下回ると第2レンズ群のパワーが強いため、各物体距離での球面収差や像面湾曲等の収差補正が不十分となる。また、この数値が上限値を上回ると第2レンズ群のパワーが弱いため、フォーカスに要する第2レンズ群の移動量が大きくなり、光学全長方向における小型化を図ることが困難となる。
【0054】
これらの観点から、当該条件式(4)の値は下記式(4a)の範囲内であることがより好ましく、下記式(4b)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0055】
0.21 ≦ |f2|/f ≦ 0.75 ・・・(4a)
0.23 ≦ |f2|/f ≦ 0.70 ・・・(4b)
【0056】
1−3−5.条件式(5)
次に、条件式(5)について説明する。本件発明に係る撮影レンズは、上記条件式(1)及び条件式(2)又は上記条件式(1)及び条件式(3)と共に、以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
【0058】
条件式(5)は第2レンズ群中の正レンズの焦点距離と第2レンズ群の焦点距離の比を規定しており、この数値が下限値を下回ると第2レンズ群のパワーが弱いため、フォーカスに要する第2レンズ群の移動量が大きくなり、光学全長方向における小型化を図ることが困難となる。また、この数値が上限値を上回ると第2レンズ群中の正レンズのパワーが弱いため、各物体距離での球面収差や像面湾曲等の収差補正が不十分となる。
【0059】
これらの観点から、当該条件式(5)の値は下記式(5a)の範囲内であることがより好ましく、下記式(5b)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0060】
0.73 ≦ f2p/|f2| ≦ 1.95 ・・・(5a)
0.76 ≦ f2p/|f2| ≦ 1.85 ・・・(5b)
【0061】
1−3−6.条件式(6)
次に、条件式(6)について説明する。本件発明に係る撮影レンズは、上記条件式(1)及び条件式(2)又は上記条件式(1)及び条件式(3)と共に、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
【0063】
条件式(6)は、第3レンズ群の無限遠合焦状態における横倍率の範囲を規定しており、条件式(6)を満足することにより、第3レンズ群の無限遠合焦状態における横倍率が適正な値となり、光学全長と収差補正の適正化を図ることができる。条件式(6)の数値が下限値を下回る場合、第3レンズ群の横倍率が小さく、明るい望遠系撮影レンズを実現するには、第1レンズ群及び第2レンズ群で形成される光学系のFナンバーをより小さく明るいものとすると共に、より焦点距離を長くする必要が生じる。その結果、高い結像性能を得るには、収差補正のために多くのレンズを要する。つまり、撮影レンズを構成するレンズの枚数が増加し、光学全長が長くなるため好ましくない。一方、条件式(6)の数値が上限値を上回る場合、第3レンズ群の横倍率が大きくなり過ぎて、高い結像性能を得るには、収差補正のために特に第3レンズ群内に多くのレンズ枚数を要する。このため、光学全長が長くなる。このように、当該条件式(6)の範囲を超える場合、いずれの場合も当該撮影レンズを小型化することが困難になるため好ましくない。
【0064】
これらの観点から、当該条件式(6)の値は下記式(6a)の範囲内であることがより好ましく、下記式(6b)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0065】
0.20 ≦ |B3| ≦ 0.85 ・・・(6a)
0.25 ≦ |B3| ≦ 0.80 ・・・(6b)
【0066】
1−3−7.条件式(7)
次に、条件式(7)について説明する。本件発明に係る撮影レンズは、上記条件式(1)及び条件式(2)又は上記条件式(1)及び条件式(3)と共に、以下の条件式(7)を満足することが好ましい。
【0068】
条件式(7)は、第1レンズ群の焦点距離と無限遠合焦状態における光学系全系の焦点距離の比を規定している。この数値が下限値を下回ると、第1レンズ群の焦点距離が短く、当該撮影レンズのテレフォト化が不十分となり、焦点距離に対する光学全長が長くなる。また、この数値が上限値を上回ると第1レンズ群の焦点距離が長くなり過ぎ、第1レンズ群内での収差補正が難しくなる。その結果、収差補正のために要するレンズ枚数が増え、当該撮影レンズの小型化が困難となる。
【0069】
これらの観点から、当該条件式(7)の値は下記式(7a)の範囲内であることがより好ましく、下記式(7b)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0070】
0.30 ≦ f1/f ≦ 0.70 ・・・(7a)
0.32 ≦ f1/f ≦ 0.65 ・・・(7b)
【0071】
2.撮影装置
次に、本件発明に係る撮影装置の実施の形態を説明する。本件発明に係る撮影装置は、上記撮影レンズと、その像面側に当該撮影レンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮影素子(撮像素子)とを備えたことを特徴とする。ここで、撮影素子の種類等に特に限定はなく、撮影素子の大きさについても特に限定されるものではない。本件発明に係る撮影レンズは、上述のように、フォーカス群の小型化、軽量化を図り、フォーカス駆動系への負荷を低減すると共に、光学系全体をコンパクトに構成することができ、且つ、簡素な構成で良好な結像性能を実現することができる近距離撮影用の望遠系の撮影レンズであるため、いわゆる一眼レフカメラ等のレンズ交換式カメラに適用した場合、撮影レンズがコンパクトであるため好ましく、筐体の小さいいわゆるミラーレス一眼カメラ等の小型のレンズ交換式カメラに好適である。また、本件発明に係る撮影レンズは、被写体の移動に応じて高速にフォーカスすることが可能であるため、これらの小型の撮影装置であって、動画撮影可能な撮影装置に特に好適である。但し、本件発明に係る撮影装置は、これらのレンズ交換式カメラに限定されるものではなく、撮影レンズが筐体に交換不能に固定されたいわゆるデジタルカメラ等であってもよく、カメラ機能の他に通信機能等を備えた携帯電話、携帯用電子機器等の各種電子機器に適用してもよいのは勿論である。
【0072】
次に、実施例および比較例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではなく、下記実施例に記載するレンズ構成は本件発明の一例に過ぎず、本件発明に係る撮影レンズの具体的なレンズ構成は、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
【実施例1】
【0073】
本発明による撮影レンズの実施例を図面を参照して説明する。
図1は、本実施例1の光学系のレンズ構成例を示す図である。上段が物体距離無限遠状態におけるレンズ構成図であり、下段が最至近状態におけるレンズ構成図である。
【0074】
図1に示すように、本実施例1の撮影レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とを備えている。第1レンズ群G1内に光学的絞りSが配置されており、第2レンズ群は正レンズを1枚有している。また、第3レンズ群は、当該第3レンズ群中の最も大きい軸上空気間隔を介して物体側に配置される正の屈折力を有するフロントサブレンズ群G3fと、像面側に配置される負の屈折力を有するリアサブレンズ群G3rとからなる。さらに、撮影素子の物体側には光学フィルターCGが設けられている。
【0075】
当該撮影レンズにおいて、フォーカシングの際に、第1レンズ群G1及び第3レンズ群G3は固定群であり、図中点線で示すように、フォーカシングの前後においてその位置は固定されている。一方、第2レンズ群G2はフォーカス群であり、図中矢印で示すように、無限遠から近距離物体へのフォーカシングの際に、像面側に移動する。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は
図1に示すとおりである。
【0076】
次に、当該本実施例1において、具体的数値を適用した数値実施例1のレンズデータを表1に示す。但し、表1に示すレンズデータは、各レンズの面番号毎に「r」(レンズ面の曲率半径)、「d」(レンズ厚又は、互いに隣接するレンズ面の光軸上の間隔)、「Nd」(d線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率)、「νd」(d線に対するアッベ数)を示している。また、表2は、可変間隔表であり、「f」は全系の焦点距離、「Fno.」はFナンバー(FNO)、「W」は半画角(°)である。 なお、これらは後述する表3〜表10においても同様である。また、数値実施例1における条件式(1)〜条件式(7)の各数値を表11に示す。なお、表1において、f=92.742(mm)、FNO=2.880 W=12.654(°)である。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
また、
図2〜
図4に、本実施例1の光学系の像倍率「0倍(∞)」、「−0.5倍」、「−1.0倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。各縦収差図は、図面に向かって左側から順にそれぞれ球面収差(SA(mm))、非点収差(AST(mm))、歪曲収差(DIS(%))を示す。球面収差図において、縦軸はFナンバー(図中、FNOで示す)を表し、実線はd線(波長λ=587.6nm)、短破線はg線(波長λ=435.8nm)、長波線はC線(波長λ=656.3nm)の特性である。非点収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表し、実線はサジタル平面、破線はメリディオナル平面の特性である。歪曲収差図において、縦軸は像高(図中、Yで示す)を表す。なお、これらは
図6〜
図8、
図10〜
図12、
図14〜
図16、
図18〜
図20においても同様である。
【実施例2】
【0080】
次に、実施例2の撮影レンズを図面を参照して説明する。
図5は、本実施例2の撮影レンズのレンズ構成例を示す図である。実施例2の撮影レンズは、各レンズ群の具体的レンズ構成は異なるが、実施例1の撮影レンズと略同様の構成を有している。
図6〜
図8に、本実施例2の撮影レンズの像倍率「0倍(∞)」、「−0.5倍」、「−1.0倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。
【0081】
また、表3及び表4に具体的数値を適用した数値実施例2の各データを示す。但し、表3において、f=116.425(mm)、FNO=2.880、W=10.221(°)である。また、数値実施例2における条件式(1)〜条件式(7)の各数値を表11に示す。
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【実施例3】
【0084】
次に、実施例3の撮影レンズを図面を参照して説明する。
図9は、本実施例3の撮影レンズのレンズ構成例を示す図である。実施例3の撮影レンズは、各レンズ群の具体的レンズ構成は異なるが、実施例1の撮影レンズと略同様の構成を有している。
図10〜
図12に、本実施例3の撮影レンズの像倍率「0倍(∞)」、「−0.5倍」、「−1.0倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。
【0085】
また、表5及び表6に具体的数値を適用した数値実施例3の各データを示す。但し、表5において、f=61.833(mm)、FNO=2.880、W=19.343(°)である。また、数値実施例3における条件式(1)〜条件式(7)の各数値を表11に示す。
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【実施例4】
【0088】
次に、実施例4の撮影レンズを図面を参照して説明する。
図13は、本実施例4の撮影レンズのレンズ構成例を示す図である。実施例4の撮影レンズは、各レンズ群の具体的レンズ構成は異なるが、実施例1の撮影レンズと略同様の構成を有している。
図14〜
図16に、本実施例4の撮影レンズの像倍率「0倍(∞)」、「−0.5倍」、「−1.0倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。
【0089】
また、表7及び表8に具体的数値を適用した数値実施例4の各データを示す。但し、表7において、f=174.569(mm)、FNO=2.880、W=6.842(°)である。また、数値実施例4における条件式(1)〜条件式(7)の各数値を表11に示す。
【0090】
【表7】
【0091】
【表8】
【実施例5】
【0092】
次に、実施例5の撮影レンズを図面を参照して説明する。
図17は、本実施例5の撮影レンズのレンズ構成例を示す図である。実施例5の撮影レンズは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に光学的絞りSを配置した点、及び、各レンズ群の具体的レンズ構成は異なるが、実施例1の撮影レンズと略同様の構成を有している。
図18〜
図20に、本実施例5の撮影レンズの像倍率「0倍(∞)」、「−0.5倍」、「−1.0倍」における球面収差、非点収差及び歪曲収差の縦収差図をそれぞれ示す。
【0093】
また、表9及び表10に具体的数値を適用した数値実施例5の各データを示す。但し、表9において、f=290.995(mm)、FNO=2.880、W=4.176(°)である。また、数値実施例5における条件式(1)〜条件式(7)の各数値を表11に示す。
【0094】
【表9】
【0095】
【表10】
【0096】
【表11】