【解決手段】実施形態の一例であるジェスチャー操作装置10は、操作対象100の操作を示唆するジェスチャーを検知するためのジェスチャーセンサ11と、ジェスチャーセンサ11の検知範囲に操作者の手が進入したときに、当該検知範囲の外周に風を噴出させる第1送風ユニット20と、ジェスチャーセンサ11の検知情報に基づいて操作対象100に操作信号を出力すると共に、第1送風ユニット20の駆動を制御する制御部40とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ジェスチャー操作は、スイッチのような接触物のない空間での操作となるため、操作位置が分かり難いという問題がある。LEDインジケータ等により操作位置を示す方法が知られているが、例えば操作対象が車載用機器である場合、視覚に頼る方法は好ましくない。なお、特許文献1の車載機器操作装置では、操作位置を知らせるための目印として、エンジン回転数計と車両速度計を利用している。
【0005】
本発明の目的は、視覚に頼らない直観的な方法により、操作者に対して操作位置を知らせることが可能なジェスチャー操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るジェスチャー操作装置は、操作対象の操作を示唆するジェスチャーを検知するためのジェスチャーセンサと、前記ジェスチャーセンサの検知範囲に操作者の手が進入したときに、当該検知範囲の外周に風を噴出させる送風ユニットと、前記ジェスチャーセンサの検知情報に基づいて前記操作対象に操作信号を出力すると共に、前記送風ユニットの駆動を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、送風ユニットから噴出される風(以下、「操作範囲伝達風」という場合がある)によって、ジェスチャーセンサの検知範囲、即ち操作範囲を操作者(以下、「ユーザー」という場合がある)に知らせることができる。つまり、ユーザーは手にあたる操作範囲伝達風によって操作範囲を直観的に認識することができる。
【0008】
本発明に係るジェスチャー操作装置は、前記操作対象の操作を示唆する前記ジェスチャーが検知されたときに、前記ジェスチャーセンサの前記検知範囲内に風を噴出させる第2送風ユニットをさらに備え、前記制御部は、さらに前記第2送風ユニットの駆動を制御することが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、第2送風ユニットから噴出される風(以下、「操作受付伝達風」という場合がある)によって、ジェスチャー操作が受け付けられたことをユーザーに知らせることができる。
【0010】
本発明に係るジェスチャー操作装置は、前記ジェスチャーセンサを覆う意匠パネルをさらに備え、前記意匠パネルは、平面視において前記ジェスチャーセンサを囲むように形成された前記送風ユニットの送風口と、前記送風口に囲まれた範囲に形成された前記第2送風ユニットの第2送風口とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るジェスチャー操作装置によれば、視覚に頼らない直観的な方法により、ユーザーに対して操作位置を知らせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態の一例について詳細に説明する。
実施形態の説明で参照する図面は模式的に記載されたものであるから、実施形態の各構成要素の寸法等は以下の説明を参酌して判断されるべきである。また、複数の実施形態の各構成要素を適宜組み合わせてジェスチャー操作装置を構成することは当初から想定されている。
【0014】
図1は、実施形態の一例であるジェスチャー操作装置10の全体構成を示すブロック図である。
図1に例示するように、ジェスチャー操作装置10は、操作対象100の操作を示唆するジェスチャーを検知するためのジェスチャーセンサ11と、ジェスチャーセンサ11の検知情報に基づいて操作対象100に操作信号を出力する制御部40とを備える。ジェスチャー操作装置10は、例えば自動車の車内に搭載される。以下では、ジェスチャー操作装置10を車載用装置として説明するが、ジェスチャー操作装置10は車載用に限定されない。
【0015】
操作対象100は、特に限定されず、例えばオーディオ、エアコン、ナビゲーション装置、室内灯、ウィンカー、ワイパー装置、ヘッドライト、窓の開閉装置、ドアのロック装置などが挙げられる。1つのジェスチャー操作装置10によって操作可能な操作対象100は、1つに限定されず、複数であってもよい。
【0016】
ジェスチャーセンサ11は、例えば赤外線を照射する光源と、受光素子とを有する。この場合、光源から照射された赤外線が検知対象物であるユーザーの手にあたり、その反射光の変化を受光素子で捉えて手の動き、即ちジェスチャーを検知する。ジェスチャーセンサ11は、例えば手の前後左右の動きだけでなく、高さ方向の動きを検知することも可能である。ジェスチャーセンサ11の設置場所は、特に限定されず、ハンドル及びその周辺、インストルメントパネル、センターコンソールなどが例示できる。なお、ジェスチャーセンサ11として、ジェスチャーを撮像するカメラを用いることも可能である。
【0017】
操作対象100の操作を示唆するジェスチャーは、操作対象100に応じて適宜設定される。例えば、ウィンカーを操作するジェスチャー操作としては、ジェスチャーセンサ11の上方において、左に曲がる場合は手を右から左にスライドさせ、右に曲がる場合は手を左から右にスライドさせる動きが挙げられる。また、オーディオの音量を上げるジェスチャー操作の例としては、ジェスチャーセンサ11の上方にかざした手をセンサの近傍から遠ざける動きが挙げられる。本実施形態では、ジェスチャーセンサ11が検知範囲内でこのようなジェスチャーがなされたときの上記反射光を検知し、当該検知情報を制御部40に出力する。
【0018】
制御部40は、上述の通り、ジェスチャーセンサ11の検知情報に基づいて操作対象100に操作信号を出力する。詳しくは後述するが、制御部40は、さらに第1送風ユニット20及び第2送風ユニット30の駆動を制御する。本実施形態では、第1送風ユニット20の風の供給源としてブロアファン101を利用している。
【0019】
制御部40は、例えばCPU、メモリ、及び入出力ポートを含むマイコンによって構成され、メモリには各ジェスチャーに対応する上記反射光のパターンであるマスターパターンが予め記憶されている。制御部40は、ジェスチャーセンサ11により検知された反射光のパターンをマスターパターンと比較し、各パターンが一致する場合に、当該マスターパターンに対応するジェスチャーがなされたものと判断する。そして、当該ジェスチャーに基づく操作信号を対応する操作対象100に出力する。
【0020】
ジェスチャー操作装置10は、さらに第1送風ユニット20(送風ユニット)を備える。第1送風ユニット20は、ジェスチャーセンサ11の検知範囲にユーザーの手が進入したときに、当該検知範囲の外周に操作範囲伝達風W1(後述の
図5参照)を噴出させる。操作範囲伝達風W1は、ジェスチャーセンサ11の検知範囲を囲み、風の壁となるように噴出される。そして、手に操作範囲伝達風W1を感じたユーザーは、操作範囲伝達風W1に囲まれた範囲がジェスチャー操作が可能な操作範囲であることを認識する。
【0021】
ジェスチャー操作装置10は、さらに第2送風ユニット30を備えることが好適である。第2送風ユニット30は、操作対象100の操作を示唆するジェスチャーが検知されたときに、ジェスチャーセンサ11の検知範囲内に操作受付伝達風W2(後述の
図5参照)を噴出させる。操作受付伝達風W2は、操作範囲伝達風W1に囲まれた範囲において、局所的に噴出される。そして、手に操作受付伝達風W2を感じたユーザーは、ジェスチャー操作が受け付けられたことを認識する。
【0022】
以下、
図2〜
図5をさらに参照しながら、特に各送風ユニットについて詳説する。
図2はジェスチャー操作装置10の斜視図、
図3はジェスチャー操作装置10の分解斜視図、
図4はジェスチャー操作装置10の断面図である。
図5は、ジェスチャー操作装置10の動作を説明するための図である。
【0023】
図2〜
図5に例示するように、ジェスチャー操作装置10は、ジェスチャーセンサ11を覆う意匠パネル12を備える。意匠パネル12は、平面視においてジェスチャーセンサ11を囲むように形成された第1送風ユニット20の第1送風口21(送風口)と、第1送風口21に囲まれた範囲に形成された第2送風ユニット30の第2送風口32とを有する。ここで、平面視とは、パネル表面に対して垂直に意匠パネル12を見た状態を意味する。本実施形態では、意匠パネル12の裏側に配置される基板13上にジェスチャーセンサ11が搭載されている。制御部40は、例えばジェスチャーセンサ11と同様に基板13上に設けられる(図示せず)。
【0024】
意匠パネル12は、ジェスチャーセンサ11等を隠してジェスチャー操作装置10の意匠性を向上させる。このため、意匠パネル12は不透明であることが好ましい。但し、ジェスチャーセンサ11から照射される赤外線及びその反射光は透過させる必要がある。意匠パネル12は、例えば円板形状を有する樹脂製パネルである。本実施形態では、意匠パネル12の周囲に円環状の周辺意匠パネル16が設けられている。
【0025】
意匠パネル12の裏側には、パネル側から順に、基板13、ホルダー14、及びブロア接続カバー15が設けられている。基板13は、上述の通り、ジェスチャーセンサ11が搭載される部材であって、意匠パネル12よりも直径が小さな円板形状を有する。ジェスチャーセンサ11は、例えば基板13の中央に配置される。基板13の中央近傍には、ジェスチャーセンサ11と干渉しない位置に操作受付伝達風W2を通すための貫通孔33が形成されている。ホルダー14は、第2送風ユニット30を構成するエアポンプ31を収容すると共に、第1送風ユニット20の操作範囲伝達風W1を通す通風路22を形成する。ブロア接続カバー15は、通風路22とブロアファン101を接続する部材である。
【0026】
ホルダー14は、第2送風ユニット30のエアポンプ31を収容する有底円筒形状の収容部34と、収容部34の周囲に形成され、底に貫通孔が形成された平面視円環状の凹部とを有する。基板13は、収容部34を覆うようにホルダー14上に配置され、意匠パネル12とホルダー14によって挟持される。凹部上には、意匠パネル12の第1送風口21が形成された部分が重ねられ、これにより通風路22が形成される。ホルダー14の裏側には、有底円筒形状のブロア接続カバー15が取り付けられる。ブロア接続カバー15は、底部中央を貫通して形成され、ブロアファン101に接続される筒状の接続部23を有する。
【0027】
第1送風ユニット20は、ジェスチャーセンサ11の検知範囲にユーザーの手が進入したときに、第1送風口21から操作範囲伝達風W1を噴出させる。ジェスチャーセンサ11の検知範囲へのユーザーの手の進入は、ジェスチャーセンサ11により検知されることが好ましい。そして、ジェスチャーセンサ11の検知情報を取得した制御部40が、第1送風ユニット20を駆動させて操作範囲伝達風W1を噴出させる。ユーザーは、ジェスチャーセンサ11の検知範囲の外周に噴出される操作範囲伝達風W1が手に当たることによって操作範囲を直観的に認識することができる。また、操作範囲伝達風W1を常時噴出させると、ジェスチャーセンサ11の検知範囲外で風を感じて操作範囲が不明確になることが想定されるが、検知範囲にユーザーの手が進入したタイミングで操作範囲伝達風W1を噴出させることで、かかる不具合の発生を防止できる。
【0028】
第1送風ユニット20の第1送風口21は、細長く湾曲した貫通孔であって、意匠パネル12に形成されている。第1送風口21は、平面視においてジェスチャーセンサ11を囲むように同一円周上に形成されることが好適である。
図2に示す例では、ジェスチャーセンサ11を中心とする同一円周上に4つに分割された第1送風口21が形成されている。各第1送風口21は、それぞれの間に小さな隙間をあけて略円形状に形成されている。これにより、ジェスチャーセンサ11の検知範囲を囲むように筒状の操作範囲伝達風W1を噴出させることができる。但し、第1送風口21の形状は特に限定されず、例えばジェスチャーセンサ11を囲むように複数の円形状の第1送風口21が形成されてもよい。
【0029】
各第1送風口21に沿った円の直径は、ジェスチャーセンサ11の検知範囲よりもやや大きいことが好ましく、当該円の半径は、例えば手の幅よりもやや小さく設定される。第1送風口21の幅は、例えば指の幅程度に設定される。ジェスチャーセンサ11の検知範囲全体に操作範囲伝達風W1を噴出させることも考えられるが、この場合は、操作受付伝達風W2と区別することが難しくなり、また風圧が弱くなる、大きなエネルギーが必要になるといった不具合がある。ジェスチャーセンサ11の検知範囲の外周に操作範囲伝達風W1を噴出させることで、かかる不具合の発生を防止できる。
【0030】
第1送風ユニット20は、操作範囲伝達風W1の供給源としてブロアファン101を利用している。ブロアファン101から供給される風は、ブロア接続カバー15の接続部23からジェスチャー操作装置10内に入り、ホルダー14の通風路22を通って第1送風口21から噴出される。ブロアファン101と接続部23の間には、例えば図示しない弁が設けられる。制御部40は、ジェスチャーセンサ11の検知範囲にユーザーの手が進入したときに当該弁を開く。ブロアファン101が停止している場合は、当該弁を開くと共にブロアファン101を駆動させる。
【0031】
第2送風ユニット30は、操作対象100の操作を示唆するジェスチャーが検知されたときに、第2送風口32から局所的かつ瞬間的に操作受付伝達風W2を噴出させる。ジェスチャーセンサ11の検知情報を取得した制御部40が、第2送風ユニット30を駆動させて操作受付伝達風W2を噴出させる。ユーザーは、操作受付伝達風W2が手に当たることによってジェスチャー操作が受け付けられたことを直観的に認識することができる。
【0032】
第2送風ユニット30は、ホルダー14に収容された操作受付伝達風W2の供給源であるエアポンプ31を備え、エアポンプ31から基板13の貫通孔33及び意匠パネル12の第2送風口32を介して操作受付伝達風W2が噴出される。第2送風ユニット30における操作受付伝達風W2の供給源としては、エアポンプ31に限定されず、例えばエアシリンダであってもよく、また第1送風ユニット30と同様にブロアファン101を利用してもよい。
【0033】
第2送風ユニット30の第2送風口32は、意匠パネル12に形成された円形状の貫通孔であって、第1送風口21に囲まれた範囲に形成される。
図3に示す例では、意匠パネル12の中央に対応する位置(重なる位置)にジェスチャーセンサ11が配置され、パネルの中央近傍であって第1送風口21から離れた位置に1つの第2送風口32が形成されている。なお、第2送風口32の形状等は特に限定されず、例えば操作範囲伝達風W1と容易に区別可能な局所的かつ瞬間的な操作受付伝達風W2を噴出できる限り、複数の第2送風口32が形成されてもよい。第2送風口32の直径は、第1送風口21の幅よりも小さいことが好ましく、例えば1mm程度である。
【0034】
図6は、ジェスチャー操作装置10の制御手順を示すフローチャートである。
図6では、ユーザーがジェスチャーセンサ11上に手をかざしてジェスチャー操作を行い、当該操作に基づく操作信号が操作対象100に出力されるまでの手順を示している。
【0035】
まず初めに、操作対象100を操作しようとするユーザーは、ジェスチャー操作装置10の意匠パネル12上に手をかざす。このとき、ジェスチャー操作装置10は、ジェスチャーセンサ11の検知範囲へのユーザーの手の進入を検知する(S10)。かかる検知は、上述の通り、ジェスチャーセンサ11によりなされることが好ましい。
【0036】
ジェスチャーセンサ11の検知範囲への手の進入が検知された場合は、第1送風口21から操作範囲伝達風W1を噴出させる(S11)。制御部40は、必要により第1送風ユニット20の操作範囲伝達風W1の供給源であるブロアファン101を駆動させ、弁を開放してジェスチャーセンサ11の検知範囲を囲む筒状の操作範囲伝達風W1を噴出させる。これにより、ユーザーはジェスチャー操作装置10の操作範囲を明確に認識し、当該範囲内で操作対象100の操作を示唆する所定のジェスチャー操作を継続する。
【0037】
そして、所定のジェスチャー操作がなされた場合は、第2送風口32から操作受付伝達風W2を噴出させる(S12、S13)。これにより、ユーザーはジェスチャー操作が受け付けられたことを認識する。制御部40は、ジェスチャーセンサ11の検知情報と予め登録されたマスター情報を比較して、所定のジェスチャー操作がなされたか否かを判断する。制御部40は、例えばジェスチャーセンサ11により検知された反射光パターンと上述のマスターパターンが一致する場合に所定のジェスチャーがなされたものと判断する。続いて、第2送風ユニット30のエアポンプ31を駆動させて操作受付伝達風W2を噴出させると共に、当該ジェスチャーに基づく操作信号を対応する操作対象100に出力する(S14)。最後に、操作範囲伝達風W1の噴出を停止させる(S15)。
【0038】
一方、所定のジェスチャー操作がなされなかった場合、即ちジェスチャーセンサ11の検知情報とマスター情報が一致しなかった場合は、操作範囲伝達風W1の噴出を停止し(S15)、操作対象100に対する操作信号の出力は行わない。即ち、S13及びS14の処理をとばしてS15の処理を実行する。ジェスチャー操作を受け付ける時間、回数等は、任意に設定できる。検知されたジェスチャー操作がマスター情報と一致しない場合は、音等によりエラー情報を出力してもよい。
【0039】
以上のように、上述の構成を備えたジェスチャー操作装置10によれば、風の壁が形成されるように噴出される第1送風ユニット20の操作範囲伝達風W1によって、視覚に頼らない方法で操作範囲をユーザーに知らせることができる。さらに、局所的かつ瞬間的に噴出される操作受付伝達風W2によって、ジェスチャー操作が受け付けられたことをユーザーに知らせることができる。
【0040】
なお、上述の実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。例えば、送風ユニットとして第1送風ユニット20のみを備え、操作対象の操作を示唆するジェスチャーが検知されたときに、音を出力してジェスチャー操作が受け付けられたことをユーザーに知らせてもよい。また、意匠パネル12を有さず、ジェスチャーセンサ11が露出した形態とすることも可能である。この場合、例えばジェスチャーセンサ11が搭載される基材に送風ユニットの送風口が形成される。