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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-207908(P2017-207908A)
(43)【公開日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】硬貨処理機
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20171027BHJP
【FI】
   G07D9/00 418Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-99692(P2016-99692)
(22)【出願日】2016年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 弘之
【テーマコード(参考)】
3E001
【Fターム(参考)】
3E001AA04
3E001AA07
3E001AB03
3E001BA01
3E001CA09
3E001DA10
3E001DA14
3E001EA06
3E001FA07
3E001FA11
3E001FA45
3E001FA51
(57)【要約】
【課題】移動元収納部から移動先収納部への送出処理が適正に行われたか否かを判定できる硬貨処理機を提供する。
【解決手段】移動元収納部34と、移動元収納部34から送出された硬貨を受け入れる移動先収納部42と、移動元収納部34に収納されている硬貨の重量を割り出す移動元重量割出手段102aと、移動先収納部42に収納されている硬貨の重量を割り出す移動先重量割出手段71,72,122aと、移動元収納部34から硬貨を移動先収納部42に送出する送出処理前後の移動元収納部34の硬貨の重量の減少値を移動元重量割出手段102aの割り出し結果に基づいて求め、送出処理前後の移動先収納部42の硬貨の重量の増加値を移動先重量割出手段71,72,122aの割り出し結果に基づいて求めて、減少値と増加値との差が所定値より小さければ、当該送出処理が適正に行われたと判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を送出可能に収納する移動元収納部と、
前記移動元収納部から送出された硬貨を受け入れる移動先収納部と、
前記移動元収納部に収納されている硬貨の重量を割り出す移動元重量割出手段と、
前記移動先収納部に収納されている硬貨の重量を割り出す移動先重量割出手段と、
前記移動元収納部から硬貨を前記移動先収納部に送出する送出処理前後の前記移動元収納部の硬貨の重量の減少値を前記移動元重量割出手段の割り出し結果に基づいて求め、当該送出処理前後の前記移動先収納部の硬貨の重量の増加値を前記移動先重量割出手段の割り出し結果に基づいて求めて、前記減少値と前記増加値との差が所定値より小さければ、当該送出処理が適正に行われたと判定する判定手段と、を有する硬貨処理機。
【請求項2】
前記移動元収納部が、収納している硬貨を前記送出処理時に全て送出する場合、前記判定手段は、前記送出処理前に前記移動元重量割出手段で割り出された前記移動元収納部の硬貨の重量を前記減少値とすることを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理機。
【請求項3】
前記移動先収納部が、収納している硬貨がない空の状態で前記送出処理時に硬貨を受け入れる場合、前記判定手段は、前記送出処理後に前記移動先重量割出手段で割り出された前記移動先収納部の硬貨の重量を前記増加値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の硬貨処理機。
【請求項4】
前記移動先収納部が、収納している硬貨がある状態で前記送出処理時に硬貨を受け入れる場合、前記判定手段は、前記送出処理前に前記移動先重量割出手段で割り出された前記移動先収納部の硬貨の重量を、前記送出処理後に前記移動先重量割出手段で割り出された前記移動先収納部の硬貨の重量から減算して前記増加値とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の硬貨処理機。
【請求項5】
前記移動元収納部が、収納している硬貨を前記送出処理時に一部送出する場合、前記判定手段は、前記送出処理前に前記移動元重量割出手段で割り出された前記移動元収納部の硬貨の重量から、前記送出処理後に前記移動元重量割出手段で割り出された前記移動元収納部の硬貨の重量を減算して前記減少値とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の硬貨処理機。
【請求項6】
前記移動元収納部と前記移動先収納部との間に設けられ、前記移動元収納部側から落下する硬貨を前記移動先収納部に向けて案内するシュートと、前記シュートを振動させるシュート振動手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の硬貨処理機。
【請求項7】
前記移動元収納部を振動させる移動元収納部振動手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の硬貨処理機。
【請求項8】
前記移動先収納部に落下する硬貨を検知する検知手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の硬貨処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関では硬貨を処理する硬貨処理機が使用されている(例えば、特許文献1,2参照)。硬貨処理機には、投入された硬貨を、硬貨搬送部で入金一時庫に向けて搬送し、その途中、硬貨検出センサで枚数を計数しつつ硬貨鑑別部で金種を鑑別し、その後、硬貨検出センサおよび硬貨鑑別部の検出結果から入金金額・入金枚数等を表示させ、この表示に対して、承認操作が入力されると、入金一時庫のシャッタを開けて入金一時庫の硬貨を収納庫接続シュートによって収納庫へ移動させるものがある。また、この場合に、オペレータによって回収操作が入力されると、収納庫のシャッタを開けることで収納庫の硬貨を回収庫接続シュートによって回収庫に移動させるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3380378号公報
【特許文献2】特許第5033592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
硬貨処理機においては、例えば、上記のように入金一時庫から収納庫接続シュートを介して収納庫へ硬貨を移動させる際には、入金一時庫のシャッタを開いてから一定時間が経過したら、入金一時庫の全ての硬貨が収納庫接続シュートに放出されると共に収納庫へ移動すべき硬貨がすべて収納庫に移動したと判定している。同様に、収納庫から回収庫接続シュートを介して回収庫へ硬貨を移動させる際には、収納庫のシャッタを開いてから一定時間が経過したら、収納庫の全ての硬貨が回収庫接続シュートに放出されると共に回収庫へ移動すべき硬貨がすべて回収庫に移動したと判定している。
【0005】
上記のように移動元収納部から移動先収納部への送出処理の開始時点からの経過時間で硬貨の移動の完了を判定すると、例えば硬貨が途中でシュートに張り付く等して留まっていても、これを検出することはできない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、移動元収納部から移動先収納部への送出処理が適正に行われたか否かを判定できる硬貨処理機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の態様は、硬貨を送出可能に収納する移動元収納部と、前記移動元収納部から送出された硬貨を受け入れる移動先収納部と、前記移動元収納部に収納されている硬貨の重量を割り出す移動元重量割出手段と、前記移動先収納部に収納されている硬貨の重量を割り出す移動先重量割出手段と、前記移動元収納部から硬貨を前記移動先収納部に送出する送出処理前後の前記移動元収納部の硬貨の重量の減少値を前記移動元重量割出手段の割り出し結果に基づいて求め、当該送出処理前後の前記移動先収納部の硬貨の重量の増加値を前記移動先重量割出手段の割り出し結果に基づいて求めて、前記減少値と前記増加値との差が所定値より小さければ、当該送出処理が適正に行われたと判定する判定手段と、を有する。
【0008】
上記第1の態様によれば、判定手段が、移動元収納部から硬貨を移動先収納部に送出する送出処理前後の移動元収納部の硬貨の重量の減少値を移動元重量割出手段の割り出し結果に基づいて求め、当該送出処理前後の移動先収納部の硬貨の重量の増加値を移動先重量割出手段の割り出し結果に基づいて求めて、これら減少値と増加値との差が所定値より小さければ、当該送出処理が適正に行われたと判定する。つまり、送出処理が適正に行われれば、減少値と増加値とがほぼ等しくなって差が小さくなることから、この差が所定値より小さくなることで送出処理が適正に行われたと判定することになる。また、例えば移動元収納部と移動先収納部との間に硬貨が留まってしまうと、その分、減少値よりも増加値が小さくなって差が大きくなることから、この差が所定値以上になると、送出処理が適正に行われていないと判定することになる。
【0009】
本発明に係る第2の態様は、上記第1の態様において、前記移動元収納部が、収納している硬貨を前記送出処理時に全て送出する場合、前記判定手段は、前記送出処理前に前記移動元重量割出手段で割り出された前記移動元収納部の硬貨の重量を前記減少値とすることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る第2の態様によれば、移動元収納部が、収納している硬貨を送出処理時に全て送出する場合、判定手段は、送出処理前に移動元重量割出手段で割り出された移動元収納部の硬貨の重量を送出処理前後の移動元収納部の硬貨の重量の減少値とする。これにより、判定に要する時間を短縮できる。
【0011】
本発明に係る第3の態様は、上記第1または第2の態様において、前記移動先収納部が、収納している硬貨がない空の状態で前記送出処理時に硬貨を受け入れる場合、前記判定手段は、前記送出処理後に前記移動先重量割出手段で割り出された前記移動先収納部の硬貨の重量を前記増加値とすることを特徴とする。
【0012】
上記第3の態様によれば、移動先収納部が、収納している硬貨がない空の状態で送出処理時に硬貨を受け入れる場合、判定手段は、送出処理後に移動先重量割出手段で割り出された移動先収納部の硬貨の重量を増加値とする。これにより、判定に要する時間を短縮できる。
【0013】
本発明に係る第4の態様は、上記第1乃至第3のいずれか一態様において、前記移動先収納部が、収納している硬貨がある状態で前記送出処理時に硬貨を受け入れる場合、前記判定手段は、前記送出処理前に前記移動先重量割出手段で割り出された前記移動先収納部の硬貨の重量を、前記送出処理後に前記移動先重量割出手段で割り出された前記移動先収納部の硬貨の重量から減算して前記増加値とすることを特徴とする。
【0014】
上記第4の態様によれば、判定手段は、移動先収納部が、収納している硬貨がある状態で送出処理時に硬貨を受け入れる場合、送出処理前に移動先重量割出手段で割り出された移動先収納部の硬貨の重量を、送出処理後に移動先重量割出手段で割り出された移動先収納部の硬貨の重量から減算して増加値とする。これにより、移動先収納部が、収納している硬貨がある状態で送出処理時に硬貨を受け入れる場合でも、送出処理が適正であるか否かを判定することができる。
【0015】
本発明に係る第5の態様は、上記第1乃至第4のいずれか一態様において、前記移動元収納部が、収納している硬貨を前記送出処理時に一部送出する場合、前記判定手段は、前記送出処理前に前記移動元重量割出手段で割り出された前記移動元収納部の硬貨の重量から、前記送出処理後に前記移動元重量割出手段で割り出された前記移動元収納部の硬貨の重量を減算して前記減少値とすることを特徴とする。
【0016】
上記第5の態様によれば、判定手段は、移動元収納部が、収納している硬貨を送出処理時に一部送出する場合、送出処理前に移動元重量割出手段で割り出された移動元収納部の硬貨の重量から、送出処理後に移動元重量割出手段で割り出された移動元収納部の硬貨の重量を減算して減少値とする。これにより、移動元収納部から一部の硬貨を送出する場合でも、送出処理が適正であるか否かを判定することができる。
【0017】
本発明に係る第6の態様は、上記第1乃至第5のいずれか一態様において、前記移動元収納部と前記移動先収納部との間に設けられ、前記移動元収納部側から落下する硬貨を前記移動先収納部に向けて案内するシュートと、前記シュートを振動させるシュート振動手段と、をさらに有することを特徴とする。
【0018】
上記第6の態様によれば、移動元収納部と移動先収納部との間にシュートが設けられていることから、硬貨の張り付きによる残留を生じる可能性が高くなるため、シュート振動手段を作動させることにより、シュートに張り付いて残留している硬貨をシュートから移動先収納部に落下させることができる。
【0019】
本発明に係る第7の態様は、上記第1乃至第6のいずれか一態様において、前記移動元収納部を振動させる移動元振動手段をさらに有することを特徴とする。
【0020】
上記第7の態様によれば、移動元振動手段を作動させることにより、移動元収納部に張り付いて残留している硬貨を移動元収納部から移動先収納部に落下させることができる。
【0021】
本発明に係る第8の態様は、上記第1乃至第7のいずれか一態様において、前記移動先収納部に落下する硬貨を検知する検知手段をさらに有することを特徴とする。
【0022】
上記第8の態様によれば、検知手段を設けることにより、送出処理が適正に行われたか否かを適切なタイミングで判定することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、移動元収納部から移動先収納部への送出処理が適正に行われたか否かを判定できる硬貨処理機の提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の外観を示す斜視図である。
図2】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機を概略的に示すブロック図である。
図3】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の金種振分部、入金一時庫、収納庫シュートおよび収納庫を概略的に示す側面図である。
図4】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の重量センサの検出データのサンプリングのタイミングを示す図である。
図5】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の金種振分部、変形例の入金一時庫、収納庫シュートおよび収納庫を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る一実施形態の硬貨処理機を図面を参照して以下に説明する。図1に示す本実施形態の硬貨処理機1は、銀行等の金融機関の店舗に設置されて使用されるものである。硬貨処理機1は、例えば図示略の紙幣処理機と並設され、この紙幣処理機とで貨幣処理機を構成する。硬貨処理機1は、バラ硬貨の入金処理およびバラ硬貨の出金処理等の種々の処理が可能となっており、入出金処理等の種々の処理が可能な出納機を構成する。
【0026】
硬貨処理機1の機体10の上面には、入金処理時に操作者によるバラ硬貨の入金を受け付ける投入口15が設けられている。また、機体10の前面側には、入金されたバラ硬貨の中から偽硬貨等の入金不適と識別された入金不適硬貨を操作者に取出可能に排出する入金リジェクト口16と、バラ硬貨の出金処理時にバラ硬貨を操作者に取出可能に出金する出金箱17と等が設けられている。
【0027】
図2に示すように、硬貨処理機1は、投入口15を開閉する投入口シャッタ機構20と、投入口15に投入された硬貨を受け入れる入金受入部21とを有している。入金受入部21は、投入口15に投入された硬貨を受け入れるホッパ25と、ホッパ25の底面を形成し投入口15に投入された硬貨を載置させる供給盤26と、供給盤26の回転により繰り出される硬貨を受け入れる回転盤27と、を有している。
【0028】
また、硬貨処理機1は、回転盤27から1枚ずつ繰り出された硬貨つまり入金受入部21から送出された硬貨を搬送する入金搬送部31と、入金搬送部31で搬送中の硬貨の真偽および金種を識別しつつ金種別に計数する入金識別部32と、入金識別部32の識別結果から偽と識別された入金不適硬貨を入金搬送部31からリジェクトする入金リジェクト部37と、入金リジェクト部37で入金搬送部31からリジェクトされた硬貨を案内する入金リジェクト口シュート38と、入金リジェクト口シュート38で案内された硬貨を受け入れる上記した入金リジェクト口16と、を有している。
【0029】
また、硬貨処理機1は、入金識別部32の識別結果から真と識別された入金適正硬貨を入金搬送部31から金種別に振り分ける金種振分部33と、金種振分部33で振り分けられた硬貨を受け入れて金種別に分類し送出可能に収納する入金一時庫34(移動元収納部)と、を有している。
【0030】
入金一時庫34は、横移動可能となっており、硬貨処理機1は、図2に実線で示す第1の横方向位置にある入金一時庫34から送出された硬貨を金種別に分類した状態のまま案内する収納庫シュート41と、入金一時庫34から送出され収納庫シュート41で案内された硬貨を金種別に分類した状態のまま受け入れて送出可能に収納する収納庫42(移動元収納部、移動先収納部)と、を有している。入金一時庫34は、図2に実線で示す第1の横方向位置を基本位置とし、必要により、図2の二点鎖線で示す他の横方向位置に移動する。収納庫シュート41は、入金一時庫34と収納庫42の間に設けられて、入金一時庫34から送出される硬貨を収納庫42に向けて案内する。
【0031】
図3に示すように、入金一時庫34は、金種別の複数、具体的には、1円硬貨用、5円硬貨用、10円硬貨用、50円硬貨用、100円硬貨用および500円硬貨用の6カ所の貯留部100a〜100fを有している。貯留部100a〜100fには、それぞれ個別に底部101a〜101fが設けられており、これら底部101a〜101fが、それぞれ重量センサ102a〜102f(移動元重量割出手段)の対応する一つを介して、共通の一時庫シャッタ103に取り付けられている。つまり、貯留部100aの底部101aが重量センサ102aを介して一時庫シャッタ103に、貯留部100bの底部101bが重量センサ102bを介して一時庫シャッタ103に、貯留部100cの底部101cが重量センサ102cを介して一時庫シャッタ103に、貯留部100dの底部101dが重量センサ102dを介して一時庫シャッタ103に、貯留部100eの底部101eが重量センサ102eを介して一時庫シャッタ103に、貯留部100fの底部101fが重量センサ102fを介して一時庫シャッタ103に、それぞれ取り付けられている。入金一時庫34は、一時庫シャッタ103を横方向にスライドさせると、貯留部100a〜100fに収納していた硬貨を自重により全て下方に落下させて送出する。つまり、入金一時庫34は、収納している硬貨を送出処理時に全て送出する構造になっている。
【0032】
重量センサ102aは、貯留部100aに収納されている硬貨の重量を割り出すため、底部101a上の硬貨の重量を検出するものである。同様に、重量センサ102bは底部101b上の硬貨の重量を検出し、重量センサ102cは底部101c上の硬貨の重量を検出し、重量センサ102dは底部101d上の硬貨の重量を検出し、重量センサ102eは底部101e上の硬貨の重量を検出し、重量センサ102fは底部101f上の硬貨の重量を検出する。重量センサ102a〜102fとしては、例えば圧力センサやロードセルが用いられる。
【0033】
収納庫シュート41は、金種別の複数、具体的には6カ所のシュート部110a〜110fを有している。シュート部110aは、貯留部100aから落下する硬貨のみを案内し、シュート部110bは貯留部100bから落下する硬貨のみを案内し、シュート部110cは貯留部100cから落下する硬貨のみを案内し、シュート部110dは貯留部100dから落下する硬貨のみを案内し、シュート部110eは貯留部100eから落下する硬貨のみを案内し、シュート部110fは貯留部100fから落下する硬貨のみを案内する。収納庫シュート41には、これを振動させる振動機構111(シュート振動手段)が設けられている。
【0034】
収納庫42は、金種別の複数、具体的には6カ所の収納部120a〜120fを有している。つまり、収納庫42は、貯留部100aからシュート部110aで案内されて落下する硬貨のみを受け入れる収納部120aと、貯留部100bからシュート部110bで案内されて落下する硬貨のみを受け入れる収納部120bと、貯留部100cからシュート部110cで案内されて落下する硬貨のみを受け入れる収納部120cと、貯留部100dからシュート部110dで案内されて落下する硬貨のみを受け入れる収納部120dと、貯留部100eからシュート部110eで案内されて落下する硬貨のみを受け入れる収納部120eと、貯留部100fからシュート部110fで案内されて落下する硬貨のみを受け入れる収納部120fと、を有している。収納部120a〜120fには、それぞれ個別に底部121a〜121fが設けられており、これら底部121a〜121fに、それぞれ重量センサ122a〜122f(移動元重量割出手段、移動先重量割出手段)の対応する一つが設けられている。
【0035】
底部121aに設けられた重量センサ122aは、収納部120aに収納されている硬貨の重量を割り出すため、底部121a上の硬貨の重量を検出するものである。同様に、底部121bに設けられた重量センサ122bは底部121b上の硬貨の重量を検出し、底部121cに設けられた重量センサ122cは底部121c上の硬貨の重量を検出し、底部121dに設けられた重量センサ122dは底部121d上の硬貨の重量を検出し、底部121eに設けられた重量センサ122eは底部121e上の硬貨の重量を検出し、底部121fに設けられた重量センサ122fは底部121f上の硬貨の重量を検出する。重量センサ122a〜122fも、例えば圧力センサやロードセルが用いられる。
【0036】
以上により、入金識別部32で識別後に金種振分部33で金種別に振り分けられた硬貨を入金一時庫34が金種別に分類して一時貯留させることになり、また、入金一時庫34が一時庫シャッタ103を横方向にスライドさせると、収納庫シュート41が、入金一時庫34から送出された硬貨を金種別に分類した状態のまま収納庫42に向かうように案内し、収納庫42が、収納庫シュート41で案内された硬貨を金種別に分類した状態のまま受け入れて収納する。
【0037】
収納部120a〜120fには、それぞれ個別に硬貨繰出部123a〜123fが設けられている。収納部120aに設けられた硬貨繰出部123aは、収納部120aに収納されている硬貨を1枚ずつに分離して計数しつつ繰り出す。同様に、収納部120bに設けられた硬貨繰出部123bは、収納部120bに収納されている硬貨を繰り出し、収納部120cに設けられた硬貨繰出部123cは、収納部120cに収納されている硬貨を繰り出し、収納部120dに設けられた硬貨繰出部123dは、収納部120dに収納されている硬貨を繰り出し、収納部120eに設けられた硬貨繰出部123eは、収納部120eに収納されている硬貨を繰り出し、収納部120fに設けられた硬貨繰出部123fは、収納部120fに収納されている硬貨を繰り出す。収納庫42は、入金一時庫34から送出処理で送出された硬貨を受け入れることになり、その場合に、収納している硬貨がない状態で硬貨を受け入れたり、収納している硬貨がある状態で硬貨を受け入れたりする。また、収納庫42は、送出処理で後述する回収庫49に硬貨を送出することになり、その場合に、収納している硬貨の一部を送出したり、全部を送出したりする。
【0038】
収納庫42には、収納部120a〜120fのそれぞれの上部に、硬貨の通過を検知する通過検知センサ124a〜124f(検知手段)が設けられている。つまり、収納部120aの上部に収納部120aに落下する硬貨のみを検知する通過検知センサ124aが、収納部120bの上部に収納部120bに落下する硬貨のみを検知する通過検知センサ124bが、収納部120cの上部に収納部120cに落下する硬貨のみを検知する通過検知センサ124cが、収納部120dの上部に収納部120dに落下する硬貨のみを検知する通過検知センサ124dが、収納部120eの上部に収納部120eに落下する硬貨のみを検知する通過検知センサ124eが、収納部120fの上部に収納部120fに落下する硬貨のみを検知する通過検知センサ124fが、それぞれ設けられている。通過検知センサ124a〜124fとしては、発光部および受光部が別体の透過型の光センサ、あるいは発光部および受光部を一体化した反射型の光センサが用いられている。また、通過検知センサ124a〜124fは、収納部120a〜120fの受け入れ可能な残容量がないフル状態を検知するフル検知センサ、または収納部120a〜120fの受け入れ可能な残容量の余裕が少ないニアフル状態を検知するニアフル検知センサと兼用することができる。
【0039】
図2に示すように、硬貨処理機1は、第2の横方向位置にある入金一時庫34から送出された硬貨を金種混合で案内する第1回収庫シュート47と、収納庫42の硬貨繰出部123a〜123fから送出された硬貨を金種混合で案内する第2回収庫シュート48と、第1回収庫シュート47で案内された硬貨および第2回収庫シュート48で案内された硬貨をそれぞれ受け入れて金種混合で収納する回収庫49(移動先収納部)と、第3の横方向位置にある入金一時庫34から送出された硬貨を金種別に分類した状態のまま案内する出金庫シュート52と、出金庫シュート52で案内された硬貨を金種別に分類した状態のまま受け入れて送出可能に収納する出金庫53と、を有している。
【0040】
収納庫42および回収庫49は、機体10に対し着脱可能となっており、これらに収納された硬貨は、これらに収納された状態のまま機外に取り出し可能となっている。出金庫シュート52は、入金一時庫34と出金庫53との間に設けられて、入金一時庫34から送出された硬貨を出金庫53に向けて案内する。回収庫49は、入金一時庫34から送出処理で送出された硬貨および収納庫42から送出処理で送出された硬貨を受け入れることになり、いずれの場合も、常に収納している硬貨がない状態から硬貨を受け入れるようになっている。
【0041】
第1回収庫シュート47は、入金一時庫34と回収庫49との間に設けられて、入金一時庫34から送出された硬貨を回収庫49に向けて案内する。第1回収庫シュート47には、これを振動させる振動機構125(シュート振動手段)が設けられている。
【0042】
第2回収庫シュート48は、収納庫42と回収庫49との間に設けられて、収納庫42から送出された硬貨を回収庫49に向けて案内する。第2回収庫シュート48には、これを振動させる振動機構127(シュート振動手段)が設けられている。
【0043】
回収庫49の底部131には、重量センサ132(移動先重量割出手段)が設けられている。重量センサ132は、回収庫49に収納されている硬貨の重量を割り出すため、底部131上の硬貨の重量を検出するものである。回収庫49の上部には、硬貨の通過を検知する通過検知センサ133が設けられている。通過検知センサ133としては、発光部および受光部が別体の透過型の光センサ、あるいは発光部および受光部を一体化した反射型の光センサが用いられている。
【0044】
また、硬貨処理機1は、出金庫53から繰り出された硬貨を搬送する出金搬送部56と、出金搬送部56で搬送中の硬貨を金種を識別しつつ計数する出金識別部57と、出金識別部57で識別された硬貨を出金搬送部56から受け入れて金種混合で一時貯留させる出金一時庫58と、を有している。出金一時庫58は、上下移動可能となっており、図2に実線で示す第1の縦方向位置にあるとき、出金搬送部56から送出された硬貨を受け入れて収納する。出金一時庫58は、図2に実線で示す第1の縦方向位置を基本位置とし、必要により、図2に二点鎖線で示す他の縦方向位置に移動する。
【0045】
硬貨処理機1は、第1の縦方向位置にある出金一時庫58から送出された硬貨を金種混合で回収庫49に案内する第3回収庫シュート61と、第2の縦方向位置にある出金一時庫58から送出された硬貨を金種混合状態のまま案内する出金リジェクト箱シュート62と、出金リジェクト箱シュート62で案内された硬貨を受け入れて収納する出金リジェクト箱63と、第3の縦方向位置にある出金一時庫58から送出された硬貨を金種混合状態のまま案内する出金箱シュート64と、出金箱シュート64で案内された硬貨を受け入れて収納する上記した出金箱17と、を有している。出金箱17および出金リジェクト箱63は、機体10に対し着脱可能となっており、これらに収納された硬貨は、これらに収納された状態のまま機外に取り出し可能となっている。
【0046】
第3回収庫シュート61は、出金一時庫58と回収庫49との間に設けられて、出金一時庫58から送出された硬貨を回収庫49に向けて案内する。出金リジェクト箱シュート62は、出金一時庫58と出金リジェクト箱63との間に設けられて、出金一時庫58から送出された硬貨を出金リジェクト箱63に向けて案内する。出金箱シュート64は、出金一時庫58と出金箱17との間に設けられて、出金一時庫58から送出された硬貨を出金箱17に向けて案内する。
【0047】
硬貨処理機1は、全体を制御する制御部71(移動元重量割出手段、移動先重量割出手段、判定手段、制御手段)と、データを記憶する記憶部72と、操作入力を受け付けると共に表示を行う操作表示部73とを有している。以下に、硬貨処理機1の主な作動を処理別に説明する。
【0048】
「入金識別処理」
操作表示部73に入金識別処理の操作入力がなされると、制御部71は、投入口シャッタ機構20を開く。すると、投入口15からホッパ25に操作者により硬貨が投入されることになる。その後、操作表示部73にスタート操作が入力されると、制御部71は、投入口シャッタ機構20を閉じ、ホッパ25内の硬貨を供給盤26によって適量ずつ回転盤27に供給させることになり、供給された硬貨を回転盤27により1枚ずつ繰り出し入金搬送部31によって搬送させる。
【0049】
この入金搬送部31での搬送中に入金識別部32が硬貨の真偽、金種を識別して計数し、制御部71は、この識別結果に基づいて入金不適硬貨と識別された硬貨を入金リジェクト部37で入金リジェクト口シュート38にリジェクトして入金リジェクト口16へ移動させる。他方、入金適正硬貨と識別された硬貨は、金種振分部33で金種別に分類されて、基本の第1の横方向位置にあって空の状態の入金一時庫34の貯留部100a〜100fに金種別に収納される。制御部71は、供給盤26の硬貨がすべて入金リジェクト口16および入金一時庫34に振り分けられた状態になると、今回の入金識別処理における入金識別部32の識別結果に基づいて入金適正硬貨と識別された硬貨の総額および金種別の枚数等を操作表示部73に表示させて、入金識別処理を終了する。
【0050】
「入金確定処理」
入金識別処理後、入金承認操作が操作表示部73に入力されると、制御部71は、入金一時庫34から硬貨を送出する送出処理を含む入金確定処理を行う。制御部71は、入金確定処理において、まず、入金一時庫34から硬貨を送出する送出処理の前に、硬貨を送出可能に収納する移動元収納部としての入金一時庫34の貯留部100a〜100fに金種別に収納されている硬貨の重量を重量センサ102a〜102fの検出結果に基づいて割り出して今回の送出処理の直前の移動元前重量として記憶部72に記憶させる。移動元前重量は、重量センサ102a〜102fの測定値であり、例えば、図4に示すように、測定値の揺動停止時点t0の後、t1,t2,t3の各時点の3回サンプリングした平均値を用いる。
【0051】
それと共に、移動元収納部から送出された硬貨を受け入れる今回の送出処理の移動先収納部としての収納庫42の収納部120a〜120fに金種別に収納されている硬貨の重量を記憶部72に記憶されたデータから割り出して今回の送出処理の直前の移動先前重量とする。この記憶部72に記憶された収納庫42の収納部120a〜120fに金種別に収納されている硬貨の重量は、今回の送出処理の一つ前に重量センサ122a〜122fで硬貨の重量の検出を行った別の送出処理(収納庫42が移動先収納部か移動元収納部となる送出処理)での重量センサ122a〜122fの検出結果に基づいて割り出されて記憶部72に記憶されたデータである。制御部71は、これを読み出して、今回の送出処理の直前の移動先収納部としての収納庫42の収納部120a〜120fに金種別に収納されている硬貨の重量とする。
【0052】
今回の送出処理の移動先収納部としての収納庫42の収納部120a〜120fに金種別に収納されている硬貨の重量を割り出した後、制御部71は、一時庫シャッタ103を開いて今回の送出処理を実行する。すると、入金一時庫34の貯留部100a〜100fに金種別に分類して収納されていた硬貨を、収納庫シュート41のシュート部110a〜110fが、金種別に分類した状態のまま案内し、収納庫42の収納部120a〜120fが、金種別に分類した状態のまま収納する。
【0053】
制御部71は、今回の送出処理で一時庫シャッタ103を開いてから所定の待機時間が経過するのを待ち、この待機時間が経過すると、入金一時庫34から硬貨を送出する今回の送出処理が一旦終了したと判定して、移動元収納部から送出された硬貨を受け入れる移動先収納部としての収納庫42の収納部120a〜120fに金種別に収納されている硬貨の重量を重量センサ122a〜122fの検出結果に基づいて割り出して今回の送出処理の直後の移動先後重量として記憶部72に記憶させる。この移動先後重量は、重量センサ122a〜122fの測定値であり、例えば、上記と同様に3回サンプリングした平均値を用いる。
【0054】
そして、制御部71は、移動元収納部としての入金一時庫34から硬貨を移動先収納部としての収納庫42の収納部120a〜120fに送出する今回の送出処理の前後の入金一時庫34の金種別の貯留部100a〜100fの硬貨の金種別の減少値を、重量センサ102a〜102fの検出結果からの割り出し結果に基づいて求める。ここでは、移動元収納部としての入金一時庫34が、収納している硬貨を送出処理時に全て送出する構造であるため、制御部71は、上記のように今回の送出処理の直前に割り出した貯留部100a〜100fの硬貨の重量である移動元前重量を、今回の送出処理の前後の入金一時庫34の硬貨の金種別の減少値とする。
【0055】
また、制御部71は、今回の送出処理の前後の移動先収納部としての収納庫42の収納部120a〜120fの硬貨の金種別の増加値を、重量センサ122a〜122fの検出結果からの割り出し結果に基づいて求める。ここでは、移動先収納部としての収納庫42の収納部120a〜120fが、収納している硬貨がある状態で送出処理時に硬貨を受け入れるようになっているため、制御部71は、今回の送出処理の直前に割り出した収納部120a〜120fの移動先前重量を、今回の送出処理の直後に割り出した収納部120a〜120fの移動先後重量から、金種別に減算して今回の送出処理の前後の収納庫42の金種別の増加値とする。
【0056】
次に、制御部71は、今回の送出処理の前後の減少値から今回の送出処理の前後の増加値を金種別に減算して差を求め、それぞれの差が所定の金種別判定基準値(所定値)より小さければ、今回の送出処理が適正に行われたと判定して、入金確定処理を終了する。
【0057】
一方、いずれか一つでも差が所定の金種別判定基準値以上となる場合には、今回の送出処理が適正に行われていないと判定して、振動機構111を所定時間作動させて、収納庫シュート41を振動させる。その最中に、通過検知センサ124a〜124fのいずれかが硬貨の通過を検知すると、収納庫シュート41の振動を停止させ、この停止後に移動先後重量を求め直し、今回の送出処理の前後の増加値、および、減少値と増加値との差を求め直して、今回の送出処理が適正に行われたか否かを上記と同様に判定する。このような収納庫シュート41の振動と送出処理が適正か否かの判定とを所定回数繰り返しても今回の送出処理が適正と判定されなければ、操作表示部73にエラー報知を行わせる。また、振動機構111を所定時間作動させても、通過検知センサ124a〜124fのいずれも硬貨の通過を検知しない場合についても、操作表示部73にエラー報知を行わせる。
【0058】
ここで、今回の送出処理が適正か否かの判定の基準となる所定の金種別判定基準値は、対応金種の硬貨1枚分の重量よりも小さい値とし、例えば対応金種の硬貨1枚分の重量の1/2とする。
【0059】
具体的には、今回の送出処理において、第1金種用の貯留部100aの移動元前重量を減少値とし、第1金種用の収納部120aの移動先後重量から移動先前重量を減算して増加値として、これら減少値および増加値の差が、第1金種の硬貨1枚分の重量の1/2よりも小さければ、第1金種用の送出処理が適正に行われたと判定する一方、この差が、第1金種の硬貨1枚分の重量の1/2以上であれば、第1金種の送出処理が適正に行われていないと判定する。
【0060】
同様に、今回の送出処理において、第2金種用の貯留部100bの移動元前重量を減少値とし、第2金種用の収納部120bの移動先後重量から移動先前重量を減算して増加値として、これら減少値および増加値の差が、第2金種の硬貨1枚分の重量の1/2よりも小さければ、第2金種用の送出処理が適正に行われたと判定する一方、この差が、第2金種の硬貨1枚分の重量の1/2以上であれば、第2金種の送出処理が適正に行われていないと判定する。
【0061】
同様に、今回の送出処理において、第3金種用の貯留部100cの移動元前重量を減少値とし、第3金種用の収納部120cの移動先後重量から移動先前重量を減算して増加値として、これら減少値および増加値の差が、第3金種の硬貨1枚分の重量の1/2よりも小さければ、第3金種用の送出処理が適正に行われたと判定する一方、この差が、第3金種の硬貨1枚分の重量の1/2以上であれば、第3金種の送出処理が適正に行われていないと判定する。
【0062】
同様に、今回の送出処理において、第4金種用の貯留部100dの移動元前重量を減少値とし、第4金種用の収納部120dの移動先後重量から移動先前重量を減算して増加値として、これら減少値および増加値の差が、第4金種の硬貨1枚分の重量の1/2よりも小さければ、第4金種用の送出処理が適正に行われたと判定する一方、この差が、第4金種の硬貨1枚分の重量の1/2以上であれば、第4金種の送出処理が適正に行われていないと判定する。
【0063】
同様に、今回の送出処理において、第5金種用の貯留部100eの移動元前重量を減少値とし、第5金種用の収納部120eの移動先後重量から移動先前重量を減算して増加値として、これら減少値および増加値の差が、第5金種の硬貨1枚分の重量の1/2よりも小さければ、第5金種用の送出処理が適正に行われたと判定する一方、この差が、第5金種の硬貨1枚分の重量の1/2以上であれば、第5金種の送出処理が適正に行われていないと判定する。
【0064】
同様に、今回の送出処理において、第6金種用の貯留部100fの移動元前重量を減少値とし、第6金種用の収納部120fの移動先後重量から移動先前重量を減算して増加値として、これら減少値および増加値の差が、第6金種の硬貨1枚分の重量の1/2よりも小さければ、第6金種用の送出処理が適正に行われたと判定する一方、この差が、第6金種の硬貨1枚分の重量の1/2以上であれば、第6金種の送出処理が適正に行われていないと判定する。
【0065】
そして、制御部71は、今回の入金確定処理において、第1〜第6金種のすべてにおいて送出処理が適正に行われたと判定すると、入金確定処理が適正に行われたと判定する。また、今回の入金確定処理において、第1〜第6金種のいずれかにおいて送出処理が適正に行われていないと判定すると、入金確定処理が適正に行われていないと判定する。
【0066】
「入金返却処理」
入金識別処理後、入金返却操作が操作表示部73に入力されると、制御部71は、入金一時庫34から硬貨を送出する送出処理を含む入金返却処理を行う。入金返却処理においては、入金一時庫34を第1回収庫シュート47に連通可能な第2の横方向位置に移動させる。この移動の前または後であって、入金一時庫34から硬貨を送出する今回の送出処理の前に、移動元収納部としての入金一時庫34の貯留部100a〜100fに金種別に収納されている硬貨の重量を重量センサ102a〜102fの検出結果に基づいて割り出して今回の送出処理の直前の移動元前重量として記憶部72に記憶させる。この移動元前重量は、重量センサ102a〜102fの測定値であり、例えば、上記と同様に3回サンプリングした平均値を用いる。その後、制御部71は、一時庫シャッタ103を開いて今回の送出処理を実行する。すると、入金一時庫34の貯留部100a〜100fに金種別に分類して収納されていた硬貨を、第1回収庫シュート47が金種混合の状態として回収庫49に案内することになり、回収庫49が受け入れて金種混合の状態で収納する。
【0067】
制御部71は、今回の送出処理で一時庫シャッタ103を開いてから所定の待機時間が経過するのを待ち、この待機時間が経過すると、入金一時庫34から硬貨を送出する今回の送出処理が一旦終了したと判定して、移動元収納部から送出された硬貨を受け入れる移動先収納部としての回収庫49に収納されている硬貨の重量を重量センサ132の検出結果に基づいて割り出して今回の送出処理の直後の移動先後重量として記憶部72に記憶させる。この移動先後重量は、重量センサ132の測定値であり、例えば、上記と同様に3回サンプリングした平均値を用いる。
【0068】
そして、制御部71は、移動元収納部としての入金一時庫34から硬貨を移動先収納部としての回収庫49に送出する今回の送出処理の前後の入金一時庫34の金種別の貯留部100a〜100fの硬貨の金種別の減少値を、重量センサ102a〜102fの検出結果からの割り出し結果に基づいて求める。ここでは、移動元収納部としての入金一時庫34が、収納している硬貨を送出処理時に全て送出する構造であるため、制御部71は、今回の送出処理の直前に割り出した貯留部100a〜100fの硬貨の重量の合計である移動元前重量を、今回の送出処理の入金一時庫34の硬貨の重量の減少値とする。
【0069】
また、制御部71は、今回の送出処理の前後の移動先収納部としての回収庫49の硬貨の重量の増加値を、重量センサ132の検出結果からの割り出し結果に基づいて求める。ここでは、移動先収納部としての回収庫49が、収納している硬貨がない空の状態から送出処理時に硬貨を受け入れるようになっているため、制御部71は、今回の送出処理の直後に割り出した回収庫49の移動先後重量を、今回の送出処理の回収庫49の増加値とする。
【0070】
次に、制御部71は、今回の送出処理の前後の減少値から今回の送出処理の前後の増加値を減算して差を求め、この差が所定の判定基準値(所定値)より小さければ、今回の送出処理が適正に行われたと判定し、その後、重量センサ132により回収庫49が空の状態になったことを検知すると、入金返却処理を終了する。
【0071】
一方、この差が所定の判定基準値以上となる場合には、今回の送出処理が適正に行われていないと判定して、振動機構125を所定時間作動させて、第1回収庫シュート47を振動させる。その最中に、通過検知センサ133が硬貨の通過を検知すると、第1回収庫シュート47の振動を停止させて、この停止後に移動先後重量を求め直し、今回の送出処理の前後の増加値、および、減少値と増加値との差を求め直して、今回の送出処理が適正に行われたか否かを同様に判定する。このような第1回収庫シュート47の振動と送出処理が適正か否かの判定とを所定回数繰り返しても今回の送出処理が適正と判定されなければ、操作表示部73にエラー報知を行わせる。また、通過検知センサ133が硬貨の通過を検知しない状態で、所定時間が経過すると、第1回収庫シュート47の振動を停止させて、操作表示部73にエラー報知を行わせる。また、今回の送出処理が適正に行われたと判定しても、その後、所定時間内に重量センサ132により回収庫49が空の状態になったことを検知しなければ、操作表示部73にエラー報知を行わせる。
【0072】
ここで、今回の送出処理が適正か否かの判定の基準となる所定の判定基準値は、今回の送出処理で入金一時庫34から送出する硬貨のうち、入金一時庫34への受け入れ時に入金識別部32で識別された全金種の中から最も軽量な金種の硬貨1枚分の重量よりも小さい値とし、例えば最も軽量な金種の硬貨1枚分の重量の1/2とする。なお、この所定の判定基準値を、取り扱い金種の中の最も軽量な金種である1円硬貨の硬貨1枚分の重量よりも小さい値とし、例えば最も軽量な金種の硬貨1枚分の重量の1/2としても良い。
【0073】
「収納庫回収処理」
回収する硬貨の金種および枚数を含んで収納庫回収処理の実行操作が操作表示部73に入力されると、制御部71は、収納庫42から硬貨を送出する送出処理を含む収納庫回収処理を行う。収納庫回収処理において、制御部71は、まず、今回の送出処理の移動元収納部としての収納庫42の収納部120a〜120fに金種別に収納されている硬貨の重量を記憶部72に記憶されたデータから割り出して今回の送出処理の直前の移動元前重量とする。この記憶部72に記憶された収納庫42の収納部120a〜120fに金種別に収納されている硬貨の重量は、今回の送出処理の一つ前に重量センサ122a〜122fで硬貨の重量の検出を行った別の送出処理(収納庫42が移動先収納部か移動元収納部となる送出処理)での重量センサ122a〜122fの検出結果に基づいて割り出されて記憶部72に記憶されたデータであり、制御部71は、これを読み出して、今回の送出処理の移動元収納部としての収納庫42の収納部120a〜120fに金種別に収納されている硬貨の重量とする。
【0074】
その後、制御部71は、今回の送出処理として、今回の収納庫回収処理で入力された全ての金種のそれぞれについて入力された枚数の硬貨を繰り出すように、硬貨繰出部123a〜123fを駆動して、収納部120a〜120fから硬貨を繰り出させる。すると、繰り出された硬貨を、第2回収庫シュート48が金種混合の状態として回収庫49に案内することになり、回収庫49が受け入れて金種混合の状態で収納する。
【0075】
制御部71は、今回の送出処理で、入力された全金種の全枚数の硬貨を全て繰り出した後、所定の待機時間が経過するのを待ち、この待機時間が経過すると、収納庫42から硬貨を送出する今回の送出処理が一旦終了したと判定して、移動元収納部としての収納庫42の収納部120a〜120fに金種別に収納されている硬貨の重量を重量センサ122a〜122fの検出結果に基づいて割り出して今回の送出処理の直後の移動元後重量として記憶部72に記憶させる。この移動元後重量は、重量センサ122a〜122fの測定値であり、例えば、上記と同様に3回サンプリングした平均値を用いる。それと共に、移動元収納部から送出された硬貨を受け入れる移動先収納部としての回収庫49に収納されている硬貨の重量を重量センサ132の検出結果に基づいて割り出して今回の送出処理の直後の移動先後重量として記憶部72に記憶させる。この移動先後重量は、重量センサ132の測定値であり、例えば、上記と同様に3回サンプリングした平均値を用いる。
【0076】
そして、制御部71は、移動元収納部としての収納庫42から硬貨を移動先収納部としての回収庫49に送出する今回の送出処理の前後の収納庫42の金種別の収納部120a〜120fの硬貨の金種別の減少値を、重量センサ122a〜122fの検出結果からの割り出し結果に基づいて求める。ここでは、移動元収納部である収納庫42の収納部120a〜120fが、収納している硬貨を送出処理時に一部送出するため、制御部71は、今回の送出処理の直前に割り出した収納部120a〜120fの移動元前重量から、今回の送出処理の直後に割り出した収納部120a〜120fの移動元後重量を、金種別に減算して今回の送出処理の前後の収納庫42の金種別の減少値とし、これらを加算して今回の送出処理の前後の合計の減少値とする。
【0077】
ここで、収納庫42の収納部120a〜120fが、収納している硬貨を送出処理にて全て送出する全回収の場合は、制御部71が、移動元後重量を割り出さずに今回の送出処理の金種別の移動元前重量を、今回の送出処理の前後の収納庫42の金種別の収納部120a〜120fの硬貨の金種別の減少値とすることになる。
【0078】
また、制御部71は、今回の送出処理の前後の移動先収納部としての回収庫49の硬貨の重量の増加値を、重量センサ132の検出結果からの割り出し結果に基づいて求める。ここでは、移動先収納部としての回収庫49が、収納している硬貨がない空の状態から送出処理時に硬貨を受け入れるようになっているため、制御部71は、今回の送出処理の直後に割り出した回収庫49の移動先後重量を、今回の送出処理の回収庫49の増加値とする。
【0079】
次に、制御部71は、今回の送出処理の前後の合計の減少値から今回の送出処理の前後の増加値を減算して差を求め、この差が所定の判定基準値(所定値)より小さければ、今回の送出処理が適正に行われたと判定し、その後、重量センサ132により回収庫49が空の状態になったことを検知すると、入金返却処理を終了する。
【0080】
一方、この差が所定の判定基準値以上となる場合に、制御部71は、今回の送出処理が適正に行われていないと判定して、振動機構127を所定時間作動させて、第2回収庫シュート48を振動させる。その最中に、通過検知センサ133が硬貨の通過を検知すると、第2回収庫シュート48の振動を停止させて、この停止後に移動先後重量を求め直し、今回の送出処理の前後の増加値、および、減少値と増加値との差を求め直して、今回の送出処理が適正に行われたか否かを同様に判定する。このような第2回収庫シュート48の振動と今回の送出処理が適正か否かの判定とを所定回数繰り返しても今回の送出処理が適正と判定されなければ、操作表示部73にエラー報知を行わせる。また、通過検知センサ133が硬貨の通過を検知しない状態で、所定時間が経過すると、第2回収庫シュート48の振動を停止させて、操作表示部73にエラー報知を行わせる。また、今回の送出処理が適正に行われたと判定しても、その後、所定時間内に重量センサ132により回収庫49が空の状態になったことを検知しなければ、操作表示部73にエラー報知を行わせる。
【0081】
ここで、今回の送出処理が適正か否かの判定の基準となる所定の判定基準値は、今回の送出処理で繰り出された硬貨のうち最も軽量な金種の硬貨1枚分の重量よりも小さい値とし、例えば最も軽量な金種の硬貨1枚分の重量の1/2とする。なお、この所定の判定基準値を、取り扱い金種の中の最も軽量な金種である1円硬貨の硬貨1枚分の重量よりも小さい値とし、例えば最も軽量な金種の硬貨1枚分の重量の1/2としても良い。
【0082】
「装填識別処理」
操作表示部73に装填処理開始の操作入力なされると、制御部71は、上記した入金識別処理と同様の装填識別処理を行う。
【0083】
「装填確定処理」
装填識別処理後、装填承認操作が操作表示部73に入力されると、制御部71は、入金一時庫34から硬貨を送出する送出処理を含む装填確定処理を行う。装填確定処理において、制御部71は、入金一時庫34を出金庫シュート52に連通可能な第3の横方向位置に位置させた後、一時庫シャッタ103を開く。すると、入金一時庫34の貯留部100a〜100fに金種別に分類して収納されていた硬貨を、出金庫シュート52が、金種別に分類した状態のまま出金庫53に向かうように案内し、出金庫53が、金種別に分類した状態のまま収納する。
【0084】
「装填返却処理」
装填識別処理後、装填返却操作が操作表示部73に入力されると、制御部71は、上記した入金返却処理と同様の装填返却処理を行う。この場合も、上記した入金返却処理と同様にして、入金一時庫34から回収庫49への送出処理が適正に行われたか否かを判定する。
【0085】
「出金識別処理」
出金する硬貨の金種および枚数を含んで出金処理の実行操作が操作表示部73に入力されると、制御部71は、出金庫53から硬貨を送出する送出処理を含む出金処理を行う。出金処理において、制御部71は、今回の出金処理で入力された全ての金種のそれぞれについて入力された枚数の硬貨を出金庫53から繰り出させる。すると、繰り出された硬貨を、出金搬送部56が第1の縦方向位置にある出金一時庫58に搬送する。この出金搬送部56での搬送中に出金識別部57が硬貨の金種を識別して計数する。今回の出金処理で入力された全ての金種および枚数の硬貨が出金一時庫58に搬送された状態になると、今回の出金処理の出金識別部57の識別結果に基づいて、出金する硬貨の総額および金種別の枚数等を操作表示部73に表示させて、出金識別処理を終了する。
【0086】
「出金確定処理」
出金識別処理後、出金承認操作が操作表示部73に入力されると、制御部71は、出金一時庫58から硬貨を送出する送出処理を含む出金確定処理を行う。出金確定処理においては、まず、出金一時庫58を出金箱シュート64に連通可能な第3の縦方向位置に上昇させ、出金一時庫58から硬貨を出金箱シュート64に送出させる。すると、出金一時庫58から送出された硬貨を、出金箱シュート64が出金箱17に向かうように案内し、出金箱17が収納する。
【0087】
「出金返却処理」
出金識別処理後、出金返却操作が操作表示部73に入力されると、制御部71は、出金一時庫58から硬貨を送出する送出処理を含む出金返却処理を行う。出金返却処理においては、まず、出金一時庫58を出金リジェクト箱シュート62に連通可能な第2の縦方向位置に上昇させ、出金一時庫58から硬貨を出金リジェクト箱シュート62に送出させる。すると、出金一時庫58から送出された硬貨を、出金リジェクト箱シュート62が出金リジェクト箱63に向かうように案内し、出金リジェクト箱63が収納する。
【0088】
「出金庫回収処理」
回収する硬貨の金種および枚数を含んで回収処理の実行操作が操作表示部73に入力されると、制御部71は、出金識別処理と同様の処理を行って、今回の出金庫回収処理で入力された全ての金種のそれぞれについて入力された枚数の硬貨を出金庫53から繰り出させて、出金一時庫58に搬送する。その後、出金一時庫58から硬貨を第3回収庫シュート61に送出させる。すると、出金一時庫58から送出された硬貨を、第3回収庫シュート61が回収庫49に向かうように案内し、回収庫49が収納する。
【0089】
以上に述べた実施形態によれば、入金一時庫34が移動元収納部となり、収納庫42が移動先収納部となる入金確定処理においては、制御部71が、入金一時庫34から硬貨を収納庫42に送出する送出処理前後の入金一時庫34の硬貨の重量の減少値を重量センサ102a〜102fの検出結果に基づいて求め、当該送出処理前後の収納庫42の硬貨の重量の増加値を重量センサ122a〜122fの検出結果に基づいて求めて、いずれの金種でもこれら減少値と増加値との差が所定の金種別判定基準値より小さければ、当該送出処理が適正に行われたと判定する。つまり、送出処理が適正に行われれば、減少値と増加値とがほぼ等しくなって差が小さくなることから、この差が所定の金種別判定基準値より小さくなることで送出処理が適正に行われたと判定する。また、例えば入金一時庫34と収納庫42との間の収納庫シュート41に硬貨が留まってしまうと、その分、減少値よりも増加値が小さくなって差が大きくなることから、この差が所定の金種別判定基準値以上になると、送出処理が適正に行われていないと判定する。したがって、入金一時庫34から収納庫42への送出処理が適正に行われたか否かを判定できる。
【0090】
同様に、入金一時庫34が移動元収納部となり、回収庫49が移動先収納部となる入金返却処理および装填返却処理においては、制御部71が、入金一時庫34から硬貨を回収庫49に送出する送出処理前後の入金一時庫34の硬貨の重量の減少値を重量センサ102a〜102fの検出結果に基づいて求め、当該送出処理前後の回収庫49の硬貨の重量の増加値を重量センサ132の検出結果に基づいて求めて、これら減少値と増加値との差が所定の判定基準値より小さければ、当該送出処理が適正に行われたと判定する。したがって、入金一時庫34から回収庫49への送出処理が適正に行われたか否かを判定できる。
【0091】
同様に、収納庫42が移動元収納部となり、回収庫49が移動先収納部となる収納庫回収処理においては、制御部71が、収納庫42から硬貨を回収庫49に送出する送出処理前後の収納庫42の硬貨の重量の減少値を重量センサ122a〜122fの検出結果に基づいて求め、当該送出処理前後の回収庫49の硬貨の重量の増加値を重量センサ132の検出結果に基づいて求めて、これら減少値と増加値との差が所定の判定基準値より小さければ、当該送出処理が適正に行われたと判定する。したがって、収納庫42から回収庫49への送出処理が適正に行われたか否かを判定できる。
【0092】
また、入金一時庫34が移動元収納部となる入金確定処理、入金返却処理および装填返却処理では、入金一時庫34が、収納している硬貨を送出処理時に全て送出する構造であることから、制御部71は、送出処理前に重量センサ102a〜102fの検出結果に基づいて割り出された入金一時庫34の硬貨の重量を送出処理前後の入金一時庫34の硬貨の重量の減少値とする。これにより、判定に要する時間を短縮できる。
【0093】
また、回収庫49が移動先収納部となる入金返却処理および収納庫回収処理では、回収庫49が、収納している硬貨がない空の状態で送出処理時に硬貨を受け入れることから、制御部71は、送出処理後に重量センサ132の検出結果に基づいて割り出された回収庫49の硬貨の重量を増加値とする。これにより、判定に要する時間を短縮できる。
【0094】
また、収納庫42が移動先収納部となる入金確定処理では、収納庫42が、収納している硬貨がある状態で送出処理時に硬貨を受け入れることから、制御部71は、重量センサ122a〜122fの検出結果に基づいて送出処理前に割り出された収納庫42の硬貨の重量を、送出処理後に重量センサ122a〜122fの検出結果に基づいて割り出された収納庫42の硬貨の重量から減算して増加値とする。これにより、送出処理前に移動先収納部となる収納庫42に収納している硬貨がある場合でも、送出処理が適正であるか否かを判定することができる。
【0095】
また、収納庫42が移動元収納部となる収納庫回収処理では、収納庫42が、収納している硬貨を送出処理時に一部のみ送出可能であることから、制御部71は、重量センサ122a〜122fの検出結果に基づいて送出処理前に割り出された収納庫42の硬貨の重量から、送出処理後に重量センサ122a〜122fの検出結果に基づいて割り出された収納庫42の硬貨の重量を減算して減少値とする。これにより、収納庫42から一部の硬貨を送出する場合でも、送出処理が適正であるか否かを判定することができる。
【0096】
また、入金一時庫34と収納庫42との間に収納庫シュート41が、入金一時庫34と回収庫49との間に第1回収庫シュート47が、収納庫42と回収庫49との間に第2回収庫シュート48が、それぞれ設けられていることから、硬貨の張り付きによる残留を生じる可能性が高くなるため、送出処理が適正であるか否かを判定することによる効果が高い。
【0097】
また、制御部71が、収納庫シュート41を介する送出処理が適正に行われていないと判定すると振動機構111で収納庫シュート41を、第1回収庫シュート47を介する送出処理が適正に行われていないと判定すると振動機構125で第1回収庫シュート47を、第2回収庫シュート48を介する送出処理が適正に行われていないと判定すると振動機構127で第2回収庫シュート48を、それぞれ振動させる。これにより、収納庫シュート41、第1回収庫シュート47および第2回収庫シュート48に張り付いて残留している硬貨をこれらから落下させることができる。
【0098】
ここで、上記の実施形態において、入金一時庫34に加えて出金庫53に重量センサを設ければ、装填確定処理における入金一時庫34から出金庫53への送出処理についても同様に処理が適正であったか否かを判定することができる。また、出金庫53および出金一時庫58に重量センサを設ければ、出金識別処理および出金庫回収処理における出金庫53から出金一時庫58への送出処理についても同様に処理が適正であったか否かを判定することができる。また、回収庫49に加えて出金一時庫58に重量センサを設ければ、出金庫回収処理における出金一時庫58から回収庫49への送出処理についても同様に処理が適正であったか否かを判定することができる。また、出金一時庫58および出金箱17に重量センサを設ければ、出金確定処理における出金一時庫58から出金箱17への送出処理についても同様に処理が適正であったか否かを判定することができる。また、出金一時庫58および出金リジェクト箱63に重量センサを設ければ、出金返却処理における出金一時庫58から出金リジェクト箱63への送出処理についても同様に処理が適正であったか否かを判定することができる。
【0099】
また、上記の実施形態において、図5に示すように、入金一時庫34に、重量センサ102a〜102fを設けずに、図2に示す入金識別部32(移動元重量割出手段)の識別結果に基づいて入金一時庫34に収納されている硬貨の重量を割り出しても良い。つまり、上記した入金識別処理および装填識別処理において、入金識別部32で入金一時庫34に収納する硬貨の金種別の枚数を検出すると、金種毎に設定された基準重量に、それぞれの金種の検出枚数を乗算して、貯留部100a〜100fのそれぞれの硬貨の重量を割り出して移動元前重量とする。金種毎の基準重量は、記憶部72に予め記憶されているものとする。
【0100】
上記の実施形態においては、送出処理の前後の減少値から、送出処理の前後の増加値を減算して差を求め、この差が所定の判定基準値より小さければ、送出処理が適正に行われたと判定する一方、この差が所定の判定基準値以上となる場合には、送出処理が適正に行われていないと判定するようにした。これに加えて、送出処理の前後の増加値から、送出処理の前後の減少値を減算して差を求め、この差が所定の判定基準値より小さければ、送出処理が適正に行われたと判定する一方、この差が所定の判定基準値以上となる場合には、送出処理が適正に行われていないと判定するようにしても良い。
【0101】
上記の実施形態において、シュートへの張り付きの可能性が高い最も軽量な金種のみに上記構成を適用しても良い。つまり、入金一時庫34においては貯留部100a〜100fのうち最も軽量な金種の硬貨(1円硬貨)を収納する最軽量金種用の貯留部のみに重量センサを設け、収納庫42においては収納部120a〜120fのうち最も軽量な金種の硬貨(1円硬貨)を収納する最軽量金種用の収納部のみに重量センサを設ける。そして、入金確定処理および装填確定処理における送出処理時に、最軽量金種用の貯留部の移動元前重量を減少値とし、最軽量金種用の収納部の移動先後重量から移動先前重量を減算して増加値として、これら減少値および増加値の差が、最軽量金種の硬貨1枚分の重量の1/2よりも小さければ、最軽量金種用の送出処理が適正に行われたと判定する一方、この差が、最軽量金種用の硬貨1枚分の重量の1/2以上であれば、最軽量金種用の送出処理が適正に行われていないと判定する。それ以外の金種については判定を行わない。
【0102】
上記の実施形態において、振動機構111,125,127に換えてまたは共に、移動元収納部に図示略の移動元振動手段を設け、制御部71は、送出処理が適正に行われていないと判定した場合に、移動元振動手段を所定時間作動させて、移動元収納部を振動させるようにしてもよい。これにより、移動元振動手段を作動させることにより、移動元収納部に張り付いて残留している硬貨を移動元収納部から移動先収納部に落下させることができる。また、振動機構111,125,127および移動元振動手段を設けない構成とすることも可能である。この場合、制御部71は、一旦送出処理が適正に行われていないと判定した後に、所定時間待機し、この待機中に、通過検知センサ124a〜124f,133で硬貨の通過が検知されれば、送出処理が適正に行われたか否かを再判定する。これにより、送出処理が適正に行われたか否かを適切なタイミングで判定することが可能になる。
【0103】
上記の実施形態において、通過検知センサ124a〜124f,133を設けない構成とすることも可能である。この場合、制御部71は、一旦送出処理が適正に行われていないと判定した後に、振動機構111,125,127を所定時間作動させて、送出処理が適正に行われたか否かを再判定する。
【0104】
上記の実施形態において、振動機構111,125,127および通過検知センサ124a〜124f,133を設けない構成とすることも可能である。この場合、制御部71は、送出処理が適正に行われていないと一旦判定すると、操作表示部73にアラーム報知を行わせる。
【0105】
上記の実施形態において、送出処理が適正に行われたか否かを判定する前に振動機構111,125,127および/または移動元振動手段を所定時間駆動するようにしても良い。この場合、移動元後重量および移動先後重量のサンプリング開始のタイミングは、振動機構111,125,127および/または移動元振動手段の駆動の停止後とすることになる。
【0106】
上記の実施形態において、移動元後重量および移動先後重量のサンプリング開始のタイミングを、通過検知センサ124a〜124f,133で硬貨の通過が所定時間検知されなくなった後としても良い。これにより、送出処理が適正に行われたか否かを適切なタイミングで判定することが可能になる。
【符号の説明】
【0107】
1 硬貨処理機
34 入金一時庫(移動元収納部)
41 収納庫シュート
42 収納庫(移動元収納部、移動先収納部)
47 第1回収庫シュート
49 回収庫(移動先収納部)
71 制御部(移動元重量割出手段、移動先重量割出手段、判定手段、制御手段)
72 記憶部
102a〜102f 重量センサ(移動元重量割出手段)
111,125,127 振動機構(シュート振動手段)
122a〜122f 重量センサ(移動元重量割出手段、移動先重量割出手段)
124a〜124f 通過検知センサ(検知手段)
132 重量センサ(移動先重量割出手段)
図1
図2
図3
図4
図5