(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-208170(P2017-208170A)
(43)【公開日】2017年11月24日
(54)【発明の名称】信号端子とグランド端子を備えた電気コネクタ、及び、これを用いた電気コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6597 20110101AFI20171027BHJP
H01R 13/6471 20110101ALI20171027BHJP
H01R 13/6585 20110101ALI20171027BHJP
H01R 13/6592 20110101ALI20171027BHJP
【FI】
H01R13/6597
H01R13/6471
H01R13/6585
H01R13/6592
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-97943(P2016-97943)
(22)【出願日】2016年5月16日
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】境澤 直志
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FB10
5E021FC20
5E021FC29
5E021LA06
5E021LA09
5E021LA15
5E021LA21
(57)【要約】
【課題】ドレイン線に結線することなく簡単な構造でグランド端子をグランド接続させることができる電気コネクタやこれを用いた電気コネクタ装置を提供すること。
【解決手段】信号端子及びグランド端子と、信号端子及びグランド端子を保持する絶縁ハウジングと、信号端子及びグランド端子の側部外周の少なくとも一部を覆う導電性シェルを備える。信号端子はペアを形成し、グランド端子は信号端子のペア同士の間に配置される。グランド端子の一部は、導電性シェルの内壁と直接接触している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号端子及びグランド端子と、
前記信号端子及び前記グランド端子を保持する絶縁ハウジングと、
前記信号端子及び前記グランド端子の側部外周の少なくとも一部を覆う導電性シェルと、を備え、
前記信号端子はペアを形成し、前記グランド端子は前記信号端子のペア同士の間に配置され、前記グランド端子の一部は、前記導電性シェルの内壁と直接接触していることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記信号端子又は前記グランド端子は、前記絶縁ハウジングによって固定された部分に対して相手コネクタの挿抜側に位置する部分において、同じ大きさ及び形状を有する請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記信号端子及び前記グランド端子の一部は、前記絶縁ハウジングによって固定された部分に対して相手コネクタの挿抜側に位置する部分において、前記信号端子と前記グランド端子のピッチ方向において一列に配列されている、請求項1又は2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記導電性シェルの内壁と直接接触している前記グランド端子の一部に、前記導電性シェルの内壁との接触側に向って負荷がかけられている、請求項1乃至3のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記導電性シェルの内壁と直接接触している前記グランド端子の一部は、前記絶縁ハウジングによって固定された部分に対して相手コネクタの挿抜側とは反対側に位置付けられている、請求項1乃至4のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記導電性シェルの内壁と直接接触している前記グランド端子の一部は、前記絶縁ハウジングによって固定された部分に対して相手コネクタの挿抜側に位置付けられている、請求項1乃至4のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記導電性シェルの内壁と直接接触している前記グランド端子の一部は、前記導電性シェルの内壁に対して摺動可能に設けられている、請求項6に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の前記電気コネクタと相手コネクタとから成る電気コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号端子とグランド端子を備えた電気コネクタ、及び、これを用いた電気コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、このような電気コネクタの一例が示されている。この種の電気コネクタでは、ツイストペアケーブルにそれぞれ接続されて差動信号の伝送に用いられる信号端子のペア同士の間にグランド端子を配置して、信号端子のペア間に生ずるクロストークの低減が図られている。この場合、グランド端子は、一般に、ペアケーブルに収容されたドレイン線に結線されるか、或いは、ドレイン線を使用しない場合にはいずれの部分とも接続されずに配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−287560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グランド端子をドレイン線に結線した場合、クロストークをより効率的に低減させることができるが、グランド端子をドレイン線に結線する作業は煩雑であり、製品コストの増大を招くといった問題が生じてしまう。
一方、ドレイン線を使用しない場合には、当然のことながら、クロストークの問題が顕在化し易く、特に近年では、コネクタの小型化に伴い端子間のピッチが狭小化しており、また、高周波信号の高速伝送が所望されていることから、クロストークの問題はより大きくなっている。
本願発明はこのような従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、ドレイン線に結線することなく簡単な構造でグランド端子をグランド接続させることができる電気コネクタやこれを用いた電気コネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様による電気コネクタは、信号端子及びグランド端子と、前記信号端子及び前記グランド端子を保持する絶縁ハウジングと、前記信号端子及び前記グランド端子の側部外周の少なくとも一部を覆う導電性シェルと、を備え、前記信号端子はペアを形成し、前記グランド端子は前記信号端子のペア同士の間に配置され、前記グランド端子の一部は、前記導電性シェルの内壁と直接接触していることを特徴として有する。
この態様の電気コネクタによれば、グランド端子を導電性シェルに直接接触させることにより、ドレイン線に結線することなく簡単な構造でグランド端子をグランド接続させることができ、従って、装置の構成を簡易化し、また、装置の製造コストを抑えることができる。また、信号端子のペア同士の間にグランド端子を配置することにより、ペア同士の間に生ずるクロストークを防止することができる。
【0006】
上記態様の電気コネクタにおいて、前記信号端子又は前記グランド端子は、前記絶縁ハウジングによって固定された部分に対して相手コネクタの挿抜側に位置する部分において、同じ大きさ及び形状を有するのが好ましい。
この態様の電気コネクタによれば、信号端子とグランド端子の一部を同じ大きさ及び形状とすることにより、電気コネクタの製造を容易にすることができる等の効果が得られる。
【0007】
また、上記態様の電気コネクタにおいて、前記信号端子及び前記グランド端子の一部は、前記絶縁ハウジングによって固定された部分に対して相手コネクタの挿抜側に位置する部分において、前記信号端子と前記グランド端子のピッチ方向において一列に配列されているのが好ましい。
この態様の電気コネクタによれば、信号端子とグランド端子の一部を一列に配列することにより、電気コネクタの製造を容易にすることができる等の効果が得られる。
【0008】
更に、上記態様の電気コネクタにおいて、前記導電性シェルの内壁と直接接触している前記グランド端子の一部に、前記導電性シェルの内壁との接触側に向って負荷がかけられているのが好ましい。
この態様の電気コネクタによれば、予め負荷をかけておくことにより、グランド端子を絶縁ハウジングに保持させるだけで、グランド端子の一部を導電性シェルに直接接触させることができる。
【0009】
また、上記態様の電気コネクタにおいて、前記導電性シェルの内壁と直接接触している前記グランド端子の一部は、前記絶縁ハウジングによって固定された部分に対して、相手コネクタの挿抜側とは反対側に位置付けられているのが好ましい。
この態様の電気コネクタによれば、ケーブルコネクタ10と基板コネクタ70との嵌合を妨げることなく、グランド端子を導電性シェルに接触させることができる。
【0010】
また、上記態様の電気コネクタにおいて、前記導電性シェルの内壁と直接接触している前記グランド端子の一部は、前記絶縁ハウジングによって固定された部分に対して相手コネクタの挿抜側に位置付けられているのが好ましい。
この態様の電気コネクタによれば、電気コネクタを大型化することなく、グランド端子を導電性シェルに直接接触させることができる。
【0011】
更にまた、上記態様の電気コネクタにおいて、前記導電性シェルの内壁と直接接触している前記グランド端子の一部は、前記導電性シェルの内壁に対して摺動可能に設けられているのが好ましい。
この態様の電気コネクタによれば、グランド端子と相手コネクタの端子との接触をスムースに行わせることができる。
【0012】
上記態様の電気コネクタは相手コネクタと対にされて、電気コネクタ装置を形成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本願発明によれば、ドレイン線に結線することなく簡単な構造でグランド端子をグランド接続させることができる電気コネクタやこれを用いた電気コネクタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一の実施形態による電気コネクタ装置の斜視図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態による電気コネクタの中心線断面図である。
【
図4】
図3から板状シェルを取り除いた斜視図である。
【
図7】信号端子とツイストペアケーブルの取付状態を示す概略斜視図である。
【
図9】本発明の第二の実施形態による電気コネクタの中心線断面図である。
【
図11】
図9から板状シェルを取り除いた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態による電気コネクタ、及び、これを用いた電気コネクタ装置について説明する。
図1に、本発明の第一の実施形態による電気コネクタ装置1の使用状態の一例を斜視図で示す。電気コネクタ装置1は、挿抜、例えば、嵌合及び抜去作業を通じて、互いに着脱可能な電気コネクタ10と相手コネクタ70の組から成る。電気コネクタ10は、例えば、電気ケーブル4に接続されたケーブルコネクタであってもよく、相手コネクタ70は、例えば、基板3に接続された基板コネクタであってもよい。これらケーブルコネクタ10及び基板コネクタ70はそれぞれ、略対称形状を有すると考えてよい。
【0016】
基板コネクタ70は、主に、絶縁ハウジング72と、絶縁ハウジング72から一部を露出させた状態で絶縁ハウジング72に保持された端子71と、更に、絶縁ハウジング72の前側及び底側以外の外周を実質的に覆う導電性シェル80を有する。
【0017】
絶縁ハウジング72の前面には、嵌合穴77が設けられており、嵌合穴77には、更に、電気コネクタ10の絶縁ハウジング20に設けた嵌合凹部28に適合する嵌合凸部(図示されていない)が設けられている。嵌合凸部には、端子71の一端側が露出した状態で配列され、一方、端子71の他端側71Aは、基板3に半田付けされている。
【0018】
ケーブルコネクタ10と基板コネクタ70は、図示矢印「α」方向に沿って移動させることにより、互いに嵌合させ或いは嵌合を解除することができる。ここで図示矢印「α」、「β」、「γ」は、互いに実質的に直交関係にある。ケーブルコネクタ10と基板コネクタ70を嵌合させたとき、基板コネクタ70の前面に設けた略矩形の嵌合穴77に、フード12から露出したケーブルコネクタ10の導電性シェル30や絶縁ハウジング20の先端部分が挿入されるとともに、基板コネクタ70の導電性シェル80の天井部及び底板部に設けた被ロック部、例えば、貫通孔85に、ケーブルコネクタ10の導電性シェル30の上部及び下部から弾性的に突出したロック部、例えば、図示矢印「β」方向に沿って変位可能とされたロック突部55が嵌る。この結果、ケーブルコネクタ10と基板コネクタ70の嵌合はロックされる。ロック状態は、ケーブルコネクタ10に設けたボタン13を操作してロック突部55を移動させることにより解除することができる。
【0019】
図2に、
図1に示したケーブルコネクタ10の中心線断面図を、更に、
図3に、
図2の斜視図を示す。明確のため、
図2に、
図1に示した基板コネクタ70側の端子71とシェル80の一部を二点鎖線で示し、また、
図2及び
図3では、
図1に示した、ケーブルコネクタ10のフード12、及び、電気ケーブル4に設けた外側の被覆部4aは、省略している。これらの図から明らかなように、
図1に示した1本の電気ケーブル4には、計4本のツイストペアケーブル5(
図2、
図3には、2本のツイストペアケーブル5のみが示されている)が含まれる。各ツイストペアケーブル5は、1本の内部チューブ5bを含み、1本の内部チューブ5bは2個の絶縁被覆5cを含み、各絶縁被覆5cは1本の導線5dを含む。
【0020】
ケーブルコネクタ10は、主に、絶縁ハウジング20と、絶縁ハウジング20から一部を露出させた状態で絶縁ハウジング20に保持された複数の信号端子11及びグランド端子14と、これら複数の信号端子11及びグランド端子14の実質的に長手方向に沿う側部外周を覆う導電性シェル30と、更に、
図2、
図3では便宜上省略した導電性シェル30の外周を覆う絶縁性のフード12を含む。尚、導電性シェル30は、信号端子11及びグランド端子14の側部外周の全体を覆っているのが好ましいが、必ずしも全体を覆っている必要はなく、少なくとも一部を覆っていれば足りる。
【0021】
絶縁ハウジング20は、本体ハウジング21と、本体ハウジング21の内部に収容された補助ハウジング22を含む。本体ハウジング21は、信号端子11及びグランド端子14の前側、換言すれば、ケーブルコネクタ10と基板コネクタ70との挿抜側を保持し、一方、補助ハウジング22は、信号端子11及びグランド端子14の後側、換言すれば、ケーブルコネクタ10と基板コネクタ70との挿抜側とは反対側を保持する。本体ハウジング21は全体として略断面矩形の筒状に形成されており、大径の本体24と、本体24から前側(挿抜側)に延びる小径の被挿入部25とを含む。
【0022】
導電性シェル30は、本体シェル31、板状シェル32、及び筒状シェル33を含む。いずれも、一枚の金属板を打ち抜き折り曲げることにより製造されており、多少の弾性を有する。本体シェル31、板状シェル32、及び筒状シェル33は、互いに物理的且つ電気的に接続され、従って、いずれもグランド機能を発揮し得る。
【0023】
図4に、
図3から板状シェル32を取り除いた斜視図を示す。本体シェル31は、全体として略Cの字状の断面を有し、主に、絶縁ハウジング20の本体24の側部外周と補助ハウジング22の側部外周の一部を覆う。本体シェル31には、支持部44によって連結された弾性腕50が設けられており、
図1に示したロック突部55は、この弾性腕50の一部として形成され、弾性腕50には、ロック突部55を操作するためのボタン13が固定される。
【0024】
板状シェル32は、全体として略コの字状の断面を有し、主に、本体シェル31に対して取り付けられ、本体シェル31によって覆われていない、絶縁ハウジング20の本体24の側部外周と補助ハウジング22の側部外周を覆う。
【0025】
筒状シェル33は、全体として略矩形断面を有した筒状体であって、主に、絶縁ハウジング20の被挿入部25の外周を覆う。筒状シェル33は、筒状の本体60と、この本体60から径方向に延びる、立片64、段部61a、段部63aを有する。本体60は、ケーブルコネクタ10と基板コネクタ70との嵌合時に、基板コネクタ70のシェル80の一部と接続され(
図2参照)、この接続を通じて、ケーブルコネクタ10の導電性シェル30と基板コネクタ70のシェル80は互いに導通される。筒状シェル33は、本体60に絶縁ハウジング20の被挿入部25を挿入するとともに、立片64、段部61a、段部63aを、絶縁ハウジング20や本体シェル31の所定部分に突き当てることにより、これら絶縁ハウジング20や本体シェル31に対して安定した状態で位置決めされる。筒状シェル33は、例えば、段部61aを介して本体シェル31側に延びた取付片61の係止穴61bに、絶縁ハウジング20の外面に突出した係止突部24bを嵌めることによって、また、段部63aに連結された取付片63を、本体シェル31によって外側から挟み込むようにして、絶縁ハウジング20に固定され得る。
【0026】
信号端子11及びグランド端子14は、一枚の金属板を打ち抜き、折り曲げることにより製造されていてもよい。
図5、
図6に、絶縁ハウジング20における信号端子11及びグランド端子14の配列状態を示す。
図5は、この配列状態を示す斜視図、
図6は、その正面図である。
【0027】
信号端子11及びグランド端子14は、2組の端子群を形成している。各端子群は、「β」方向に沿って同ピッチで水平に配置された、4本の信号端子11と1本のグランド端子14を、信号端子11、信号端子11、グランド端子14、信号端子11、信号端子11の順に含む。各端子群において、グランド端子14を挟んで左右にそれぞれ配置された相隣り合う2本の信号端子11は、それぞれ、差動信号を伝送するためのペア11A、11Bを形成しており、各ペアに含まれる2本の信号端子11には、それぞれ、各ツイストペアケーブルに含まれる差動信号を伝送するための2本の導線の各々が接続される。1本のグランド端子14は、「β」方向に配置されたこれら2組の信号端子11のペア11Aとペア11Bの間に、両側から挟み込まれるようにして配置される。このように、信号端子11のペア11Aとペア11Bの間にグランド端子14を配置することにより、ペア間のクロストークを防止することができるようになっている。
【0028】
これら2組の端子群は、基板コネクタ70の嵌合凸部(図示されていない)を挟み込む位置に、例えば、
図5、
図6の例で言えば、嵌合凹部28を挟んで対向するように「上側」と「下側」にそれぞれ配置されている。
図6によく示されているように、上側の端子群11’、14’と下側の端子群11、14は、「β」方向に沿って互いに1ピッチずらされている。以下、上側の端子群と下側の端子群を区別する必要があるときにのみ、上側の端子群に含まれる端子については、下側の端子群に含まれる端子と同じ参照番号に「’」を付して示す。
【0029】
各信号端子11は、実質的にその長手方向に沿って、基部11aと、基部11aに対して前側に位置する接点11dと、基部14aに対して後側(挿抜側とは反対側)に位置する導線取付部11bと、基部14aと導線取付部11bを連結する首部11cを含む。基部11aは幅広に形成されており、絶縁ハウジング20を構成する本体ハウジング21の本体24(
図2等参照)に対して圧入等によって固定され、導線取付部11bは、絶縁ハウジング20を構成する補助ハウジング22(
図2等参照)に対して圧入等によって固定される。補助ハウジング22に固定された導線取付部11bにはそれぞれ、
図7、
図8に示すように、ツイストペアケーブル5に含まれる導線5dが取り付けられる。ここで
図7は、信号端子11とツイストペアケーブル5の取付状態を示す概略斜視図、
図8は、その平面図である。接点11dは、ケーブルコネクタ10と基板コネクタ70との嵌合時に、(
図2に示したグランド端子14と同様に)基板コネクタ70の所定の端子71と接触し得る。
【0030】
一方、各グランド端子14は、基部14aと、基部14aに対して前側に位置する接点14dと、基部14aに対して後側に位置するシェル接触部14eと、基部14aとシェル接触部14eを連結する首部14cを含む。基部14aは、絶縁ハウジング20を構成する本体ハウジング21の本体24(
図2等参照)に対して圧入等によって固定される。接点14dは、ケーブルコネクタ10と基板コネクタ70との嵌合時に、基板コネクタ70の所定の端子71と接触し得る(
図2参照)。
【0031】
図2乃至
図4等に示すように、シェル接触部14eは、導電性シェル30の内壁と常時接触させた状態で使用される。上側のシェル接触部14e’の端部14h’は、導電性シェル30を構成する板状シェル32の内壁32aに、下側のシェル接触部14eの端部14hは、導電性シェル30を構成する本体シェル31の内壁31aに、それぞれ直接接触させている。このように、グランド端子14と導電性シェル30を直接接触させることにより、ケーブルコネクタに含まれるドレイン線をグランド端子に結線する必要がなくなり、この結果、装置構成を簡易化し、また、装置の製造コストを抑えることができる。尚、シェル接触部14eは、絶縁ハウジング20に固定された基部14aに対して後側に位置付けられていることから、ケーブルコネクタ10と基板コネクタ70との嵌合が妨げられることはない。尚、ここでいう「直接接触」とは、電気的に直接接触している意味であり、従って、ハンダや導電性樹脂等を介した接触も含まれる。
【0032】
シェル接触部14eを導電性シェル30と接触させるため、首部14cは導電性シェル30に向って折り曲げられている。シェル接触部14eには、グランド端子14を絶縁ハウジング20に固定する前に、首部14c等を利用して導電性シェル30の内壁31a、32aとの接触側に向って予め負荷をかけておくのが好ましい。これにより、グランド端子を絶縁ハウジングに保持させるだけで、グランド端子の一部を導電性シェルに直接接触させることができる。
【0033】
信号端子11やグランド端子14の先端11f、14fは、
図2乃至
図4等に示すように、絶縁ハウジング20の縦長の収容溝25aに配置される。このとき、先端11f、14fは、絶縁ハウジング20の本体25の隔壁25cを介して導電性シェル30と相対峙し、導電性シェル30と接触することはない。各収容溝25aの上部には開口25bが設けられており、信号端子11やグランド端子14の接点11d、14d付近を、絶縁ハウジング20の嵌合凹部28に露出させている。ケーブルコネクタ10と基板コネクタ70との嵌合時には、これらの開口25bを通じて、信号端子11やグランド端子14と基板コネクタ70の所定の端子71(
図1参照)とを接触させることができる。
【0034】
信号端子11やグランド端子14の、基部11a、14aや、これら基部11a、14aに対して前側に位置する部分、例えば、接点11d、14dや先端11f、14f等は、同じ大きさ及び形状を有しているのが好ましい。同じ大きさ及び形状とすることにより、電気コネクタの製造を容易にすることができる。
また、各端子群を形成している信号端子11やグランド端子14の、基部11a、14aや、これら基部11a、14aに対して前側に位置する部分、例えば、接点11d、14dや先端11f、14f等は、信号端子11とグランド端子14のピッチ方向「β」において一列に配列されているのが好ましい。これにより、電気コネクタの製造を容易にすることができる。
同様の理由から、上側及び下側の信号端子11、或いは、上側及び下側のグランド端子14は、それぞれ、全て同じ大きさ及び形状を有しているのが好ましい。
【0035】
図9乃至
図11に、本発明の第二の実施形態を示す。これら
図9乃至
図11は、
図2乃至
図4にそれぞれ対応する。第二の実施形態では、第一の実施形態と同様の部材には同様の参照番号を付す。
【0036】
第一の実施形態では、シェル接触部14eは、絶縁ハウジング20に固定された基部14aに対して後側に位置付けられていたのに対し、第二の実施形態では、シェル接触部15eは、絶縁ハウジング20に固定された基部15aに対して前側に位置付けられている。この構成によれば、電気コネクタを大型化することなく、グランド端子14を導電性シェル30に直接接触させることができる。
【0037】
第二の実施形態では、グランド端子15の先端15eがシェル接触部として使用される。このシェル接触部15eは、絶縁ハウジング20を介さずに、導電性シェル30の内壁60aに直接接触されている。シェル接触部15eは、基板コネクタ70との接点15dの近傍に設けられていることから、ケーブルコネクタ10と基板コネクタ70の嵌合時に、或いは、嵌合の解除時に、シェル接触部15eが内壁60aに対して移動するおそれがある。シェル接触部15eの移動時における絶縁ハウジング20の削れ等を防止するため、グランド端子15のシェル接触部15eは、導電性シェル30の内壁60aに対して摺動可能に設けられているのが好ましい。
【0038】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。従って、ここに開示された実施形態は例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって定められるべきであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 電気コネクタ装置
4 電気ケーブル
5 ツイストペアケーブル
10 ケーブルコネクタ(電気コネクタ)
11 信号端子
11a 基部(固定部)
11b 導線取付部
14 グランド端子
14a 基部(固定部)
14e シェル接触部
14h 端部
15 グランド端子
20 絶縁ハウジング
30 導電性シェル
70 基板コネクタ(相手コネクタ)
71 端子
72 絶縁ハウジング
80 導電性シェル