【解決手段】本発明に係る通信端末10は、エリア毎の通信の品質を示す品質情報を記憶する品質情報DB16と、2以上のエリアを結ぶ複数の経路に関して、ユーザが通過する確率である行動確率を記憶する行動確率DB14と、行動確率DB14に記憶されている各経路の行動確率に基づいて、ユーザの予測通過経路を特定する経路特定部15と、品質情報に応じて、予測通過経路に含まれる2以上のエリアそれぞれにおける通信量を設定する通信量設定部17と、予測通過経路に含まれる2以上のエリアそれぞれにおいて、通信量設定部17により設定された通信量で通信を制御する通信制御部11と、を備える。
前記通信量設定部は、前記予測通過経路に含まれる2以上の前記エリアの、前記品質情報に示される通信の品質を互いに比較し、該品質が高い前記エリアほど通信量を多く設定する、請求項1記載の通信端末。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る通信システム1の機能構成を示す図である。
図1に示されるように、通信システム1は、通信端末10と、データ記憶サーバ50と、品質記憶サーバ60と、を備えている。通信システム1は、通信端末10とデータ記憶サーバ50との間での自動通信における通信量を、特定のエリア毎に制御することにより、自動通信における通信の効率性の向上を図るシステムである。通信システム1では、各エリアの品質情報が考慮されて、各エリアにおける通信量が制御される(詳細は後述)。
【0017】
なお、自動通信とは、通信端末10におけるユーザ操作を伴うことなく、所定の条件を満たした場合に自動的に行われる通信をいい、例えば通信端末10が保持するデータのアップデート時や、通信端末10において新たなデータをダウンロードする場合等に自動的に行われる通信をいう。また、品質情報とは、通信を行うネットワークの品質を示す情報であり、例えば、RTT(Round Trip Time)、RSRP(Reference SignalReceived Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)、RSSI(Receive Strength Signal Indicator)等である。なお、品質情報は、ネットワークの品質を示す情報であればこれらに限定されない。
【0018】
データ記憶サーバ50は、通信端末10との通信対象のデータ、すなわち通信端末10によって取得されるデータを記憶するサーバである。当該通信対象のデータとは、例えばアプリ、ソフト、又は特定のサイトのRSS(Really Simple Syndication)の更新情報等である。データ記憶サーバ50は、新たなデータのダウンロード時やデータのアップデート時に、通信端末10に対して通知を行う。当該通知には、通知に係るデータ取得に要する通信の総容量を示す情報が含まれている。
【0019】
品質記憶サーバ60は、エリア毎の品質情報を記憶するサーバである。当該品質情報は、例えば品質記憶サーバ60と通信端末10とが通信を行うことにより取得されてもよいし、別のサーバと通信端末10とが通信を行うことにより取得されてもよい。各エリアは、例えば緯度経度に基づいて各地域を所定の大きさに区画することにより形成されている領域(メッシュ)である。この場合、各エリアはメッシュを一意に特定するメッシュコードにより識別される。品質記憶サーバ60は、所定時間間隔で、各通信端末10に最新の品質情報を自動送信する。すなわち、品質記憶サーバ60は、各通信端末10の品質情報を自動更新する。
【0020】
図6は、品質記憶サーバ60に記憶されている品質情報の一例を示すテーブルである。
図6に示されるように、品質記憶サーバ60においては、エリア名と、メッシュコードと、時間と、エリア品質とが関連付けて記憶されている。エリア名とは、エリア毎に設定されている名称である。メッシュコードとは、エリアを一意に特定する識別番号である。時間とは、エリア品質が測定された時刻を示す情報である。エリア品質とは、品質情報を数値化した情報である。例えば
図6に示す例では、スループットに応じた10段階の数値がエリア品質とされている。
【0021】
図1に戻り、通信端末10は、データ記憶サーバ50及び品質記憶サーバ60と通信を行い、通信対象のデータを自動通信で取得する端末である。通信端末10は、例えばユーザに所持(携帯)されて用いられる、スマートフォン等の携帯電話機、又は、タブレット端末等である。通信端末10は、通信制御部11と、総通信量算出部12と、電波検出部13と、行動確率DB14(確率記憶部)と、経路特定部15と、品質情報DB16(品質記憶部)と、通信量設定部17と、を機能構成として備えている。
【0022】
図2は、
図1に示した通信端末10のハードウェア構成を示す図である。通信端末10は、物理的には、
図2に示すように、1又は複数のCPU101、主記憶装置であるRAM102及びROM103、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置104、ディスプレイ等の出力装置105、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール106、半導体メモリ等の補助記憶装置107等を含むコンピュータとして構成されている。
【0023】
通信端末10の各機能は、
図2に示すCPU101、RAM102等のハードウェア上に1又は複数の所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで入力装置104、出力装置105、通信モジュール106を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置107におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0024】
図1に戻り、通信制御部11は、通信端末10における通信を制御する機能である。具体的には、通信制御部11は、データ記憶サーバ50からの通知(データのアップデート等の通知)を受け、総通信量算出部12に対して、上記通知に係るデータ取得に要する通信量の算出指示を出力する。また、通信制御部11は、通信量設定部17により設定された通信量で通信が行われるように、通信端末10における通信を制御する。具体的には、通信制御部11は、各エリアにおける、データ記憶サーバ50からのデータ取得に係る通信が、通信量設定部17により設定された通信量で行われるように、データ記憶サーバ50との間で行われる自動通信を制御する。
【0025】
総通信量算出部12は、通信対象のデータに基づいて、通信量設定部17により設定される各エリアの通信量の総計である総通信量を算出する機能である。総通信量算出部12は、例えば、データ記憶サーバ50からの通知(データのアップデート等の通知)に含まれている、通知に係るデータ取得に要する通信の総容量を示す情報に基づいて、上記総通信量を算出する。総通信量の算出後、総通信量算出部12は、電波検出部13に電波検出指示を出力する。
【0026】
電波検出部13は、電波強度を検出する機能である。電波検出部13は、例えば総通信量算出部12から電波検出指示を受け、電波強度の検出を開始する。電波強度が検出されることにより、例えば、通信端末10が通信圏内に在圏しており通信が可能であるか、或いは、通信端末10が圏外におり通信が不可能であるか、の判別が可能となる。電波検出部13は、検出された電波強度に基づき、通信端末10が通信圏内に在圏している場合(すなわち、検出された電波強度が所定値よりも強い場合)には経路特定部15に経路特定指示を出力する。
【0027】
行動確率DB14は、2以上のエリアを結ぶ複数の経路に関して、ユーザが通過する確率である行動確率を記憶するDBである。ここでのユーザとは、通信端末10のユーザを意味する。経路毎の行動確率は、例えば、通信端末10のユーザの行動履歴(各エリアの在圏履歴)に基づき算出される。例えば、
図7(a)では、あるユーザがエリアAに在圏する場合、所定時間後(
図7(a)の例ではT1秒後)に90%の確率でエリアBに移動し、所定時間後(
図7(a)の例ではT2秒後)に80%の確率でエリアCに移動することが示されている。このような行動確率は、上述したように、通信端末10のユーザの過去の行動履歴に基づいて算出される。そして、行動確率DB14においては、あるユーザがAに在圏する場合、T1秒後においては90%の確率でエリアBに移動し、T1秒後にエリアBに在圏する場合、T2秒後においては80%の確率でエリアCに移動することが記憶される。なお、行動確率は、必ずしも実際の行動履歴に基づき算出されるものでなくてもよく、例えばユーザの属性等から推定されるものであってもよい。
【0028】
経路特定部15は、行動確率DB14に記憶されている各経路の行動確率に基づいて、ユーザの予測通過経路を特定する機能である。経路特定部15は、例えば、電波検出部13から経路特定指示を受けた場合、すなわち電波検出部13において検出された電波強度が所定値よりも強い場合に、予測通過経路の特定を行ってもよい。経路特定部15は、予め定められたステップ数における予測通過経路を特定する。ステップ数とは、異なるエリアへの移動数を意味する。例えばエリアAに在圏した後に、エリアBに移動し更にエリアCに移動すると、2ステップ分移動したこととなる。
【0029】
経路特定部15は、まず、行動確率DB14を参照し、所定のステップ数において通過し得る経路を全て抽出する。通過し得る経路とは、行動確率が0%でない経路をいう。そして、経路特定部15は、所定のステップ数において最も通過する確率が高い経路を、予測通過経路として特定する。経路特定部15は、特定した予測通過経路を示す情報を含んだ通信量設定指示を、通信量設定部17に出力する。
【0030】
品質情報DB16は、エリア毎の通信の品質を示す品質情報を記憶するDBである。品質情報DB16は、品質記憶サーバ60によって自動更新された品質情報を記憶している。品質情報DB16は、通信端末10のユーザ用にパーソナライズされた品質情報を記憶している。より詳細には、品質情報DB16は、当該ユーザの行動範囲のエリアに係る品質情報を記憶している。ユーザの行動範囲のエリアとは、例えば所定期間内においてユーザが在圏したことのあるエリアであってもよいし、所定期間内においてユーザが所定回数以上在圏したエリアであってもよい。
【0031】
通信量設定部17は、経路特定部15から受けた通信量設定指示に応じて、通信量を設定する機能である。通信量設定部17は、品質情報DB16に記憶されている品質情報に基づいて、上記通信設定指示に含まれている予測通過経路の各エリアそれぞれにおける通信量を設定する。通信量設定部17は、予測通過経路に含まれる2以上のエリアの、品質情報に示される通信の品質を互いに比較し、該品質が高いエリアほど通信量を多く設定する。また、通信量設定部17は、通信量を設定する各エリアの通信量の総計が、総通信量算出部12によって算出された総通信量となるように、通信量を設定する。
【0032】
図7は、現在地との品質比較結果に応じた通信量設定処理を説明する図である。
図7(a)〜
図7(d)では、エリアAが現在値であり、経路特定部15によって、90%の確率でエリアAからの移動先となるエリアB、及び、80%の確率でエリアBからの移動先となるエリアCが予測通過経路(2ステップの予測通過経路)であると特定された例を示している。また、
図7(a)〜
図7(d)において、ハッチングにより、エリアB及びエリアCが現在値であるエリアAよりも通信の品質が高いか否かを示している(
図7中の凡例を参照)。
【0033】
図7(a)では、予測通過経路に含まれるエリアB及びエリアCの双方が、現在値であるエリアAよりも通信の品質が高い。この場合、通信量設定部17は、エリアAの通信量を0(通信しない)に設定すると共に、エリアAよりも通信の品質が高い、エリアB及びエリアCにおいて総通信量を按分する。すなわち、エリアB及びエリアCの通信量は、総通信量/Nとされる。Nはステップ数であり、本例では、N=2である。
【0034】
図7(b)では、予測通過経路に含まれるエリアB及びエリアCの双方が、現在値であるエリアAよりも通信の品質が低い。この場合、通信量設定部17は、エリアAの通信量を総通信量とすると共に、エリアB及びエリアCの通信量を0(通信しない)に設定する。
【0035】
図7(c)では、予測通過経路に含まれるエリアBが現在値であるエリアAよりも通信の品質が低く、エリアCが現在値であるエリアAよりも通信の品質が高い。この場合、通信量設定部17は、エリアBの通信量を0(通信しない)に設定すると共に、エリアA及びエリアCの通信量を、エリアCへの移動確率に応じて決定する。例えば、通信量設定部17は、エリアAの通信量を総通信量×(1−エリアCへの移動確率)に設定し、エリアCの通信量を総通信量×エリアCへの移動確率に設定する。エリアCへの移動確率とは、エリアAからエリアBを経てエリアCに移動する確率であるので、90%×80%=72%である。
【0036】
図7(d)では、予測通過経路に含まれるエリアBが現在値であるエリアAよりも通信の品質が高く、エリアCが現在値であるエリアAよりも通信の品質が低い。この場合、通信量設定部17は、エリアCの通信量を0(通信しない)に設定すると共に、エリアA及びエリアBの通信量を、エリアBへの移動確率に応じて決定する。例えば、通信量設定部17は、エリアAの通信量を総通信量×(1−エリアBへの移動確率)に設定し、エリアBの通信量を総通信量×エリアBへの移動確率に設定する。エリアBへの移動確率とは、現在値であるエリアAからエリアBに移動する確率であるので、90%である。
【0037】
次に、
図3〜
図5を参照して、通信端末10の処理フローを説明する。
図3は、通信端末の処理を示すフローチャートである。
図4は、
図3の処理における、エリア毎の通信量設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図5は、現在値との品質比較結果に応じた通信量設定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0038】
図3に示されるように、通信端末10では、通信制御部11により、データ記憶サーバ50からのデータダウンロード又はデータアップデート等の通知が受信される(ステップS1)。そして、該通知に係るデータ取得に関する通信ステップループ処理が開始される(ステップS2)。当該ループ処理は、データ取得を完了させるステップ数(ステップ数I=N)に到達するか、或いは通信が終了するまで繰り返し行われる。最初は、ステップ数I=1の処理が行われる。なお、通信ステップループ処理においては、データ取得を完了させるステップ数(ステップ数I=N)が設定されるだけでなく、データ取得を完了させる時間が設定される。例えば、データ取得を120秒で、2ステップで完了させたい場合には、60秒間隔で通信ステップループ処理が行われる。
【0039】
つづいて、総通信量算出部12により、データ取得に要する通信の総通信量が算出される(ステップS3)。当該総通信量は、通信ステップループ処理が繰り返されることにより徐々に減っていく。このように、ループ処理の度に、データ取得に要する最新の総通信量(残り総容量)が算出されて各エリアの通信量が設定されるので、例えばユーザの行動が予測経路から外れた場合であっても、最新の総通信量に応じて各エリアに適切な通信量を設定することができる。
【0040】
つづいて、電波検出部13により電波強度が検出され、通信圏内に在圏しているか否かが判定される(ステップS4)。S4において通信圏内に在圏していない(すなわち圏外である)と判定された場合には、ステップ数I=I+1の処理が行われる(ステップS6)。S6では、データ取得を完了させるステップ数(ステップ数I=N)に到達するか、或いは通信が終了した場合に、ループ処理が終了する。一方で、S4において通信圏内に在圏していると判定された場合には、エリア毎の通信量が設定され(ステップS5)、その後にS6の処理が行われる。ステップS5の詳細について、
図4を参照して説明する。
【0041】
図4に示されるように、上述したS5の処理(エリア毎の通信量設定処理)では、まず、経路特定部15及び通信量設定部17により、処理に用いる情報が取得される(ステップS51)。すなわち、経路特定部15により、行動確率DB14に記憶されている各経路に係る行動確率が取得されると共に、通信量設定部17により、行動確率DB14に記憶されている各経路に係る行動確率、及び、品質情報DB16に記憶されているエリア毎の通信の品質が取得される。
【0042】
つづいて、経路特定部15により、各経路の行動確率に基づき予測通過経路が特定される(ステップS52)。経路特定部15は、所定のステップ数において最も通過する確率が高い経路を、予測通過経路として特定する。そして、通信量設定部17によりエリア毎の通信量が設定されると共に、通信制御部11により、設定された通信量で自動通信が行われる(ステップS53)。通信量設定部17は、予測通過経路に含まれる2以上のエリアの、品質情報に示される通信の品質を互いに比較し、該品質が高いエリアほど通信量を多く設定する。ステップS53の処理の詳細について、
図5を参照して説明する。
【0043】
図5に示されるように、上述したS53の処理は、現在値のエリアの通信の品質と、予測通過経路に含まれる各エリアの通信の品質との比較結果に応じて、3パターン(S531、S532、S533)考えられる。なお、
図5に関する以下の説明においては、データ取得を完了させるステップ数I=N=2である例を説明する。
【0044】
予測通過経路の全エリアが、現在値のエリアよりも通信の品質が低い場合には、S531の処理が行われる。S531の処理では、現在値のエリアにおいてデータが全て取得されるように現在値の通信量が設定され(ステップS5311)、データが全て取得されることに伴って、ループ処理のステップ数I=Nとされる(ステップS5312)。これにより、
図3に示したS6において通信ステップのループ処理が終了する。
【0045】
予測通過経路の全エリアが、現在値のエリアよりも通信の品質が高い場合には、S532の処理が行われる。S532の処理では、現在値のエリアにおける通信量が0(通信しない)に設定されると共に、他のエリアそれぞれについて、データの総通信量をNで除算した値が通信量として設定される(ステップS5321)。
【0046】
予測通過経路のエリアとして、現在値よりも品質が高いエリアと品質が低いエリアとが含まれている場合には、S533の処理が行われる。S533の処理では、現在値のエリアについて、データの総通信量と、「1−移動先への移動確率」とを乗算した値が通信量として設定される(ステップS5331)。移動先への移動確率とは、現在値よりも品質が高いエリアへの移動確率である。また、S533の処理では、現在値よりも品質が低いエリアにおける通信量が0(通信しない)に設定されると共に、現在値よりも品質が高いエリアについて、データの総通信量と移動先への移動確率(現在値よりも品質が高いエリアへの移動確率)とを乗算した値が通信量として設定される(ステップS5331)。
【0047】
次に、
図8〜
図12を参照して、現在値との品質比較結果に応じた通信量設定の具体例について説明する。
図8は、現在地との品質比較結果に応じた通信量設定処理の概要を説明する図である。
図8(a)に示されるように、時刻T0においてエリアAを現在値とするユーザについて、2ステップ目まででデータ取得を完了させる例(N=2)を説明する。当該ユーザは、T1秒後には1ステップ目としてエリアBに移動し、T2秒後には2ステップ目としてエリアC、エリアF、又はエリアGに移動する。なお、エリアCからの移動先はエリアDであり、エリアGからの移動先はエリアHである。この場合、経路特定部15は、
図8(b)に示されるように、当該ユーザの考えられる経路として、A→B→F、A→B→C→D、及びA→B→G→Hを抽出する。そして、経路特定部15は、上記経路それぞれを通過する確率が、0.7、0.15、及び0.15であったとすると、最も確率が高い、A→B→Fの経路を予測通過経路として特定する。以下、A→B→Fの経路が予測通過経路であるとして、
図9及び
図10に示す第1の例、並びに、
図11及び
図12に示す第2の例を説明する。
【0048】
図9は、各ステップでの現在地との品質比較結果の一例(第1の例)を示す図である。
図10は、
図9に示す例において各ステップで設定される通信量を示す図である。第1の例では、現在値であるエリアAに対して、エリアB、エリアF、及びエリアGの品質が高く、エリアC、エリアD、及びエリアHの品質が低い。いま、上述したように予測通過経路がA→B→Fである。
図9(a)に示されるように、ユーザがエリアAに在圏する時刻T0においては、通信量設定部17は、エリアAの通信量を0(通信しない)に設定すると共に、エリアAよりも通信の品質が高い、エリアB及びエリアFにおいて総通信量を按分する(
図10(a)参照)。すなわち、エリアB及びエリアCの通信量は、総通信量/N(N=2)とされる。
【0049】
エリアAからの移動先はエリアBのみであるため、ユーザはエリアBに移動する。エリアFは、エリアBよりも品質が高い場合(
図9(b)と、エリアBよりも品質が低い場合(
図9(c)とがある。
図9(b)に示されるように、エリアFの品質がエリアBの品質よりも高い場合には、通信量設定部17は、現在値であるエリアBの通信量を、総通信量×(1−エリアFへの移動確率)=総通信量の30%に設定すると共に、エリアFの通信量を、総通信量×エリアFへの移動確率=総通信量の70%に設定する(
図10(b)参照)。一方で、
図9(c)に示されるように、エリアFの品質がエリアBの品質よりも低い場合には、通信量設定部17は、現在値であるエリアBの通信量を総通信量の100%に設定すると共に、エリアFの通信量を0(通信しない)に設定する(
図10(c)参照)。
【0050】
図11は、各ステップでの現在地との品質比較結果の他の例(第2の例)を示す図である。
図12は、
図11に示す例において各ステップで設定される通信量を示す図である。第2の例では、現在値であるエリアAに対して、エリアF、エリアG、及びエリアKの品質が高く、エリアB、エリアC、エリアD、及びエリアHの品質が低い。いま、上述したように予測通過経路がA→B→Fである。
図11(a)に示されるように、ユーザがエリアAに在圏する時刻T0においては、通信量設定部17は、エリアAよりも品質が低いエリアBの通信量を0(通信しない)に設定すると共に、エリアA及びエリアFの通信量を、エリアFへの移動確率に応じて決定する。例えば、通信量設定部17は、エリアAの通信量を総通信量×(1−エリアFへの移動確率)=総通信量×(1−80%×70%)=総通信量の44%に設定し、エリアFの通信量を総通信量×エリアFへの移動確率=総通信量×80%×70%=総通信量の56%に設定する(
図12(a)参照)。
【0051】
ユーザがエリアAからエリアBに移動したとする。
図11(b)に示されるように、エリアFはエリアBよりも品質が高いため、通信量設定部17は、現在値であるエリアBにおける通信量を0(通信しない)に設定すると共に、エリアFの通信量を残りの全ての通信量(すなわち、総通信量の56%)に設定する(
図12(b)参照)。なお、
図9(c)に示されるように、仮にエリアFがエリアBよりも品質が低い場合には、通信量設定部は、現在値であるエリアBにおいて残りの全ての通信量(すなわち、総通信量の56%)を設定し、エリアFの通信量を0(通信しない)に設定する(
図12(c)参照)。
【0052】
次に、本実施形態に係る通信端末10の作用効果について説明する。
【0053】
通信端末10は、エリア毎の通信の品質を示す品質情報を記憶する品質情報DB16と、2以上のエリアを結ぶ複数の経路に関して、ユーザが通過する確率である行動確率を記憶する行動確率DB14と、行動確率DB14に記憶されている各経路の行動確率に基づいて、ユーザの予測通過経路を特定する経路特定部15と、品質情報に応じて、予測通過経路に含まれる2以上のエリアそれぞれにおける通信量を設定する通信量設定部17と、予測通過経路に含まれる2以上のエリアそれぞれにおいて、通信量設定部17により設定された通信量で通信を制御する通信制御部11と、を備える。
【0054】
この通信端末10では、予測通過経路が特定されると共に、予測通過経路に含まれる複数のエリアそれぞれについて品質情報に応じて通信量が設定され、該設定された通信量となるように通信が制御される。すなわち、当該通信端末10では、通信の品質を考慮して各エリアの通信量が決定される。これにより、エリア毎に適した通信が行われることになり、例えば、通信の品質が高いエリアで通信量を多くし、品質が低いエリアで通信量を少なくすることが可能となる。このことで、自動通信における通信の効率性を向上させることができる。すなわち、通信端末10では、ユーザの移動エリア毎に適した通信量を決定し、エリア毎に適した通信を行うため、取得対象のデータ(目的データ)をより細分化した通信制御が可能となり、通信効率が向上する。
【0055】
また、通信量設定部17は、予測通過経路に含まれる2以上のエリアの、品質情報に示される通信の品質を互いに比較し、該品質が高いエリアほど通信量を多く設定する。これにより、相対的に品質の高いエリアにおいて通信量を多くすることができ、予測通過経路に応じて適切に、通信の効率性を向上させることができる。
【0056】
また、品質情報DB16は、ユーザの行動範囲のエリアに係る品質情報を記憶している。これにより、通信量設定に用いる必要十分な品質情報のみを記憶することができ、通信端末10における処理をより簡易化することができる。
【0057】
通信端末10は、電波強度を検出する電波検出部13を更に備え、経路特定部15は、電波検出部により検出された電波強度が所定値よりも強い場合に、予測通過経路の特定を行う。これにより、通信端末10が通信可能な圏内にいる場合に予測通過経路の特定やその後の通信量設定が行われるので、例えば圏外にいる場合などデータの取得ができない場合に予測通過経路の特定等の処理が行われることを回避することができ、通信端末10において無駄な処理が発生することを回避することができる。
【0058】
通信端末10は、通信対象のデータに基づいて、通信量設定部17により設定される各エリアの通信量の総計である総通信量を算出する総通信量算出部12を更に備え、通信量設定部17は、設定する各エリアの通信量の総計が、総通信量となるように、予測通過経路に含まれる2以上のエリアそれぞれにおける通信量を設定する。これにより通信対象のデータの容量に応じて、各エリアの通信量を設定することができ、事前に設定する通信量に基づき、所望のデータを確実に取得することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、通信量設定部17は、予測通過経路に含まれる2以上のエリアの通信の品質を互いに比較し、該品質が高いエリアほど通信量を多く設定するとして説明したがこれに限定されず、例えば、予測通過経路に含まれるエリアの品質と、通信の品質に関する所定の閾値とを比較することにより、各エリアの通信量を設定してもよい。