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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-209046(P2017-209046A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】球根植付け機の球根装填部
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20171102BHJP
【FI】
   A01C11/02 302D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-104069(P2016-104069)
(22)【出願日】2016年5月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】梅田 洵平
(72)【発明者】
【氏名】甲地 重春
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
【テーマコード(参考)】
2B060
【Fターム(参考)】
2B060AA01
2B060AA07
2B060AA10
2B060AC08
2B060AE03
2B060BA04
2B060BA09
2B060CC06
(57)【要約】
【課題】球根の装填時の作業者の負担を軽減したニンニク等の球根植付け機を提供する。
【解決手段】球根植付機において、球根載置プレート3の装填部31は、水平平面円盤の球根載置プレート3に開けられた上下貫通孔部に設けられ、貫通孔部から下方に逆円錐台状に突き出した袋状で、平面視断面が半円弧状とV字状の互いの開口部を突き合わせた状態の滴状となっており、上方が広く、下方に向かい縮径していて、側面視逆円錐台状となっていて、逆円錐台状頂部面部が解放されているとともに、下端縁部313が外側に拡開又は円弧状に広げられた形状となっていて、下端縁部313より上下方向にスリット312が複数形成され、可撓性部材で形成されていることを特徴としたニンニク等の球根植付け機の球根装填部による。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球根や芋類などの植付け対象物を装填して保持するための装填部を備えた球根載置プレートと、該球根載置プレートから植付け対象物を取り出して圃場に植付ける植付け位置まで移動させる移動手段と、移動手段によって植付け位置まで移動させた植え付け対象物を取り出して圃場に植付ける植付手段とを備えた球根植付機において、
前記球根載置プレートの装填部は、水平平面円盤の球根載置プレートに開けられた上下貫通孔部に設けられ、該貫通孔部から下方に逆円錐台状に突き出した袋状で、平面視断面が半円弧状とV字状の互いの開口部を突き合わせた状態の滴状となっており、上方が広く、下方に向かい縮径していて、側面視逆円錐台状となっていて、逆円錐台状頂部面部が解放されているとともに、下端縁部が外側に拡開又は円弧状に広げられた形状となっていて、下端縁より上下方向にスリットが複数形成され、装填された植え付け対象物を下端部から押し出しできるように可撓性部材で形成されていることを特徴としたニンニク等の球根植付け機の球根装填部。
【請求項2】
前記球根載置プレートは、薄板状の円盤で、該円盤外周側に装填部が複数等間隔に設けられていることを特徴とした請求項1に記載のニンニク等の球根植付け機の球根装填部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ニンニクの球根を畑の畝の所定の位置に植え付ける植付け機に関する。詳細には、ニンニク植付け機の植え付け球根を供給するために並べる目皿部の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知の球根植付け機としては、特開2010−200699号公報「植付機の種球保持用ホルダ」(従来技術1)や特許第3941685号公報「球根類植付装置」(従来技術2)が開示されている。
【0003】
従来技術1には、「弾性体で構成して中央から外方へ放射線状に複数の切れ目を備える保持板と、中央に前記切れ込みと同半径の開孔を有する開孔板とを有し、前記保持板と前記開孔板とを中心を一致させて交互に複数重ね合せて貼設することを特徴とする植付機の種球保持用ホルダ」の開示がされている。また、従来技術2には、「球根や芋類などの植付け対象物を保持する保持手段・・・・・・・・前記保持手段は、装填された植付け対象物の外周面に沿って弾性変形しながら接触する保持部材を備えて、該保持部材により装填された植付け対象物を姿勢変化しないように保持する構成とした」球根類植付装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−200699号公報(従来技術1)
【特許文献2】特許第3941685号公報(従来技術2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ニンニク等の球根類の植付け機の場合、植付け装置に球根を作業者が供給して、植付け装置が供給された球根を走行している畝に植付けて行くものであるが、ニンニクの植え付けは、一般的に110cm程度の幅の畝に4条に植え付けられるため条列の間隔は、約25cm前後である。また、一つの条列の前後の植え付け位置の間隔は、15cm乃至17cmと条列間の幅よりは狭い。ニンニク等の球根類は、将来の発芽部分である先の尖った出芽部と、発根部分でありやや平面状である発根底部とを有し、出芽部と発根底部は、互いにほぼ反対側に位置している。そしてニンニクの球根については、出芽部と発根底部との間の外周部がほとんど一つの曲面部と、二つの平面部とを有し、二つの平面部間は鋭角な角度である稜線部を形成している。そして、ニンニク等の球根類は、発根底部を下にし、出芽部を上にして植え付けるが、植え付け後に発芽し、さらに芽が葉として成長すると稜線部を中心線としておおよそ左右に分かれ弧状に伸び垂れ下がる。この際、前後の植え付け間隔より広い条列間の方向に葉が伸びた方が、葉が干渉しにくいため成長が良好となる。そのため、理想的な植え付けとしては、全てのニンニク等の球根を、確実に発根底部を下にして出芽部を上にして出芽部から畝表面までの深さが5〜7cmくらいにして植え付けるとともに、稜線部を条列の方向に向かせて植え付けることが望ましい。
【0006】
このため、前記従来技術1や従来技術2において開示されているように、植え付け球根を装填する従来技術1における「ホルダ」や従来技術2における「保持手段」は、装填された球根が姿勢変化しないように保持するものである。しかし、両者とも球根を装填すると、球根外周を保持している保持部材は、装填する押し込み方向に弾性変形して向いた状態となる。装填方向と逆方向に抜き戻すには、保持部材が捲れるように変形させる必要がある。球根の装填は、少なくとも3本の指で球根をつまむようにして押し込まなければならないが、押し込んだ後に指を引き抜くときに、保持部材の一部が捲れようとするため、指に摩擦抵抗が作用する。このため、作業を長時間続けていると、作業者の指に擦れ等によるダメージが発生する場合がある。また、保持部材は球根を保持するためのある程度の強い弾性力を有していなければならないため、球根を装填するときの押し込み力も一定の力が必要であり、長時間の作業においては作業者に負担となる。
【0007】
このため本発明の目的は、球根の装填時の作業者の負担を軽減したニンニク等の球根植付け機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1は、球根や芋類などの植付け対象物を装填して保持するための装填部を備えた球根載置プレートと、該球根載置プレートから植付け対象物を取り出して圃場に植付ける植付け位置まで移動させる移動手段と、移動手段によって植付け位置まで移動させた植え付け対象物を取り出して圃場に植付ける植付け手段とを備えた球根植付け機において、
前記球根載置プレートの装填部は、水平平面円盤の球根載置プレートに開けられた上下貫通孔部に設けられ、該貫通孔部から下方に逆円錐台状に突き出した袋状で、平面視断面が半円弧状とV字状の互いの開口部を突き合わせた状態の滴状となっており、上方が広く、下方に向かい縮径していて、側面視逆円錐台状となっていて、逆円錐台状頂部面部が解放されているとともに、下端縁部が外側に拡開又は円弧状に広げられた形状となっていて、下端縁より上下方向にスリットが複数形成され、装填された植え付け対象物を下端部から押し出しできるように可撓性部材で形成されていることを特徴としたニンニク等の球根植付け機の球根装填部である。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の請求項2は、前記球根載置プレートは、薄板状の円盤で、該円盤外周側に装填部が複数等間隔に設けられていることを特徴とした請求項1に記載のニンニク等の球根植付け機の球根装填部である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、装填部は、下方に逆円錐台状に突き出した袋状で、平面視断面が半円弧状とV字状の互いの開口部を突き合わせた状態の滴状となっており、上方が広く、下方に向かい縮径された形状であるため、ニンニク等の球根を入れると、球根の曲面部と鋭角な角度である稜線部とが装填部内の半円弧状とV字状の部分に位置して方向が固定されるため、作業者は装填部に球根を押し込むことが必要ないため、作業者の指の擦れ等を防止でき、負担を軽減することができるニンニク等の球根植付け機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け機の一部カバーを取外した状態の平面図である。
図2】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け機の一部断面した左側面図である。
図3】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け機の球根載置プレートの平面図である。
図4】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け機の球根載置プレートの駆動部を示す断面図である。
図5】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け機の装填部の斜視図である。
図6】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け機の装填部の説明図である。
図7】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け機の装填部から球根装填手段が球根を押出す状態を示した断面図である。
図8】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図である。
図9】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図である。
図10】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図である。
図11】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図である。
図12】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図である。
図13】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図である。
図14】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図である。
図15】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図である。
図16】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の作動状態を説明する右側面図である。
図17】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の球根植付ホルダーを垂直方向に移動させるホルダー上下移動手段の作動状態を示す左側面説明図である。
図18】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の球根植付ホルダーを垂直方向に移動させるホルダー上下移動手段の作動状態を示す左側面説明図である。
図19】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置のホルダー上下反転手段と球根植え付け手段との作動状態を示す説明図である。
図20】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置のホルダー上下反転手段と球根植え付け手段との作動状態を示す説明図である。
図21】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置のホルダー上下反転手段と球根植え付け手段との作動状態を示す説明図である。
図22】この発明の球根植付ホルダーの先端部の拡大図である。
図23】この発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け装置の孔開け装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を以下の図面に基づいて説明する。図1はこの発明の実施形態であるニンニク等の球根植え付け機の平面図であり、一部カバーを外した状態を示している。図2は左側面図であり、一部断面した状態を示している。図3は装填部を備えた球根載置プレートの平面図、図4は球根載置プレートの駆動部の一部を示す断面図、図5は装填部の斜視図、図6は断面した装填部を示していて、(a)は球根を入れた状態で、(b)は球根の押出し途中を示した図である。図8乃至図16はこの発明のニンニク等の球根植付装置の要部の作動状態を説明する右側面図であり、装填部は球根位置を示すため一部省略して示している。図17図18は球根植付ホルダーを垂直方向に移動させるホルダー上下移動手段の作動状態を示す左側面図、図19乃至図21は球根植付ホルダーを上下反転させるホルダー上下反転手段と球根植付ホルダーに装填された球根をホルダーから押し出して土中へ押し入れて植え付ける球根植え付け手段との作動状態を示す説明図、図22は球根植付ホルダーの先端部の拡大図である、図23は孔開け装置の斜視図を示したものである。
【0013】
この発明のニンニク等の球根植え付け装置1は、この実施形態ではクローラ走行部20で走行する走行装置2に載置されているが、他の実施形態では走行輪を有し走行する走行装置2に載置しても作業は可能である。この走行装置2の左右のクローラ走行部20の幅間隔は、球根植え付け畝MFを跨いで走行可能な幅に設けられている。21は走行装置の運転操作部であり、運転操作部21は、走行装置2の後部側方右側に設けられている。2つの作業者用シート22は、最後部の左右に設けられていて、右側に乗車した作業者が運転操作を行う。
【0014】
この発明の一例のニンニク等の球根植え付け装置1は、走行装置2とともに走行する走行フレーム10と、走行フレーム10に係合して固定可能であるとともに走行フレーム10との係合を外して走行方向前後に移動可能な移動フレーム11と、走行フレーム10に設けられニンニク等の球根を載置する球根載置プレート3と、移動フレーム11に設けられるニンニク等の球根の球根植付ホルダー4と、走行フレーム10に設けられ球根載置プレート3に載置されたニンニク等の球根を球根植付ホルダー4に装填する球根装填手段5と、移動フレーム11に設けられ水平軸60を回動中心として球根植付ホルダー4を上下反転させるとともに、移動フレーム11を走行フレーム10に対して走行前後方向へ移動させるホルダー上下反転手段6と、球根植付ホルダー4を垂直方向に移動させるホルダー上下移動手段7と、球根植付ホルダー4に装填された球根Gをホルダーから押し出して土中へ押し入れて植え付ける球根植え付け手段9と、球根植え付け畝MFを被覆しているマルチフィルムに球根植え付け用の孔を開ける孔開け装置8とを有する球根植え付け装置であり、前記球根載置プレート3に作業者が供給するための球根の貯留部34とを設けたものである。
【0015】
走行フレーム10は、走行装置2に固定されて取り付けられ、下部に水平ガイドレール100を設けており、水平ガイドレール100には移動フレーム11の前後移動体112が前後方向に移動自在に係合している。
【0016】
移動フレーム11は、走行フレーム10の水平ガイドレール100に前後方向に移動自在であり、前後左右に垂直方向に設けられた4本の上下ガイドレール110を有しており、この4本の上下ガイドレール110に植付ホルダーフレーム111を上下昇降移動可能に係合している。植付ホルダーフレーム111は、後述するホルダー上下移動手段7の昇降枠72に取り付けられているとともにホルダー上下反転手段6を設け、かつ下部に孔開け装置8を設けている。
【0017】
図3に示す球根載置プレート3は、薄板円盤状であり複数の上下貫通孔を円盤外周部に設け、貫通孔部にそれぞれニンニク等の球根を装填して保持可能な装填部31を備え、水平方向に間欠的に回転可能である。球根載置プレート3を回転軸33を中心に間欠的に回転させる回転駆動部32をその下方に備える。走行装置2に備え付けられた場合は、作業者用シート22の前に設けられる。この実施形態では球根載置プレート3は4つ横方向に並設されており、それぞれの球根載置プレート3は、その外周部分に45度角間隔で装填部31を設けている。それぞれの装填部31は、球根Gを上下方向にした状態で保持可能であるとともに、作業者が装填部31へ球根を載せる位置と、球根載置プレート3の上方に位置する球根装填手段5によって装填部31の球根Gを球根植付ホルダー4へ装填する位置とを水平方向へ間欠的に回転する。この実施形態では作業者が装填部31へ球根を載せる位置と球根植付ホルダー4へ装填する位置とは180度角の間隔に設けられており45度角ごとの回転によって間欠的に停止する。間欠移動角度及び装填部31の数は、作業速度に合わせて任意に設定することができる。
【0018】
球根載置プレート3に作業者が供給するための球根は、作業者用シート22の前方の球根載置プレート3の手前側に設けられている貯留部34に入れられる。作業者は、貯留部34から球根を取り出し、間欠的に回転する球根載置プレート3の装填部31に間欠停止したタイミングに合わせて供給する。図4に示すように、横方向に4つ並列された球根載置プレート3は、該球根載置プレート3の下方部に設けた回転駆動部32のモータ35で駆動される。各球根載置プレート3の回転軸33は、それぞれ駆動ギヤ36で接続されていて、これにモータ35に固着された駆動ギヤ36を接続して同期されて回転する。
【0019】
球根載置プレート3の装填部31は、図3乃至図5に示すように貫通孔部から下方に逆円錐台状に突き出した袋状で、平面視断面が半円弧状部とV字状部の互いの開口部を突き合わせた状態の滴状となっており、上方が広く、下方に向かい縮径していて、側面視逆円錐台状となっていて、下方に位置する逆円錐台状頂部面部が解放されているとともに、下端縁部313が外側に拡開又は円弧状に広げられた形状となっていて、下端縁部313より上下方向にスリット312が複数形成され、開放された上面部から装填された植え付け対象物の球根Gを図6の(a),(b)に示すように下端部から押し出しできるように可撓性部材で形成されている。装填部31の上端部は水平面状のフランジ部が設けられ、球根載置プレート3に当接させてネジによって取付けられている。
【0020】
本例の装填部31は、図5に示すように、平面視断面が半円弧状部側とV字状部側に2分割して形成され、それぞれ下端縁中央部より上下方向にスリットが形成されていて、互いを突き合せた状態で球根載置プレート3に取り付けられている。突き合せ面部はスリットとしても作用する。ニンニク等の球根を装填部31の上方から入れると、球根の曲面部と鋭角な角度の角部である稜線部とが装填部31内の半円弧状とV字状の部分に位置して方向が固定される。本例の場合、図3に示すように角部が球根載置プレート3の中心部側に向くように取付けていて、球根植え付けホルダー4に装填される位置になると進行方向の後方側を向いた状態となる。
【0021】
球根植付ホルダー4は、ホルダー上下反転手段6の回動枠64に設けられており、球根Gを保持可能な凹状の球根保持部40と、球根保持部40の中心から放射状に外周に配置され中心方向へ付勢されている外周保持部41とを有する。球根植付ホルダー4は、球根載置プレート3の装填部31の下方の位置で球根保持部40の凹状開口を上方に向けた状態で位置しており、ホルダー上下反転手段6によって球根保持部40の凹状開口を下方に向けた状態に上下180度回動し、球根保持部40の凹状開口を下方に向けた状態のときにホルダー上下移動手段7によって垂直方向に上下動する。
【0022】
外周保持部41は、この実施形態では中心方向へ付勢される複数本の棒状スプリング材からなり、球根保持部40の外周に固定されて設けられる。球根保持部40は、球根Aの先端側を凹状の内方向へ向けて載置され得る凹状部を有し、外周保持部41の外周内側で外周保持部41の先端側から基部方向の中側に位置している。球根保持部40が図22の位置のときに球根保持部40の球根Gは、その外側を外側から外周保持部41によって保持されている。球根保持部40は、後述する球根植え付け手段9の押出しシャフト90によって外周保持部41の先端方向へ移動し、更に押出しシャフト90は外周保持部41によって保持されていた球根Gを、外周保持部41の先端から外に押し出し、土中へ押し入れて一定の深さに植え付ける。(図14参照)。
【0023】
球根装填手段5は、球根載置プレート3の上方に位置し、走行フレーム10に支持された支持部51と、垂直方向に設けられ昇降部52が昇降する昇降棒53と、昇降部52に連結固定されているプッシュロッド50と、モータ部及びリンク部からなるプッシュロッド駆動部54を有している。昇降棒53も走行フレーム10に垂直方向に固定されて、昇降部52は、プッシュロッド50を上下昇降可能に設けられている。球根装填手段5のプッシュロッド50は、球根載置プレート3の装填部31の上方に位置し、昇降部52の昇降に従って上下し、装填部31に置かれているニンニク等の球根Gを上から押し出して、装填部31の下方に位置する球根植付ホルダー4の球根保持部40に装填する。(図7図9参照)
【0024】
ホルダー上下反転手段6は、シリンダー61、ラック62、ピニオン63、回動枠64を有しピニオン63の回動中心である水平回動軸60を回動中心として回動枠64を上下反転させることによって回動枠64に設けられている球根植付ホルダー4を上下反転させる。
【0025】
また、ホルダー上下反転手段6は、移動フレーム11の一側面側に設けられる前述したシリンダー61、ラック62、ピニオン63、回動枠64の反対側面に球根植付ホルダー4を走行前後方向へ移動させるホルダー前後移動手段65を有している。ホルダー前後移動手段65は、走行フレーム10に固定されているガイドプレート65a、ガイドプレート65aに形成される係合凹部65bと、係合凹部65bに係脱可能なフックピン65cと、水平回動軸60とともに回動する回動アーム65d、フックピン65cと回動アーム65dとの間に設けられフックピン65cと回動アーム65dのそれぞれと回動可能に連結するリンクプレート65eとを有している。回動アーム65dは、水平回動軸60に固定されており、後述する押出シャフト90とほぼ90度の角度をもって同方向へ回動する。ガイドプレート65aは、下方に開口してフックピン65cと係脱可能な係合凹部65bを設けているとともに、係合凹部65bの前方から下方に垂直方向に伸びているフックピン当接ガイド65fを設けている。
【0026】
回動枠64には、球根植え付け手段9が設けられている。球根植え付け手段9は、図19図20図21に示すように、押出しシャフト90と、押出しシリンダー91と、連結リンク92とからなる。連結リンク92は、回動可能に連結する2つのリンクからなり、それぞれの端部を回動枠63と押出シャフト90の端部にそれぞれ回動可能に連結し、押出しシリンダー91のロッド91aの先端と回動リンク93によって回動自在に連結しており、ロッド91aの伸長により押出シャフト90を下方へ移動させる。押出シャフト90は、球根植付ホルダー4の外周保持部41の中心位置を基部から先端部方向へ往復移動可能である。押出しシャフト90は、球根植付ホルダー4の球根保持部40に装填された球根Gを球根保持部40、外周保持部41から押し出して植え付け位置の土中へ押し入れて一定の深さに植え付ける。
【0027】
図17図18に示すホルダー上下移動手段7は、上下用シリンダー70と、上下用シリンダー70のシリンダー本体70aが固定され移動フレーム11に設けられる支持枠71と、上下用シリンダー70のシリンダーロッド70bが固定される昇降枠72とからなる。上下用シリンダー70は、シリンダーロッド70bの伸長方向が垂直下方向に伸長するように支持枠71にシリンダー本体70aが固定されている。昇降枠72は、移動フレーム11の植付ホルダーフレーム111と固定されており、移動フレーム11の前後左右に設けられた4本の上下ガイドレール110に係合しており、上下用シリンダー70のシリンダーロッド70bの伸縮によって昇降する。
【0028】
走行装置2は、マルチフィルム上面位置検出手段200と、球根植付ホルダー上下移動制御手段(図示せず)とを設けている。マルチフィルム上面位置検出手段200は、移動フレーム11に一端が回動部203によって上下回動自在に設けられ、他端にマルチフィルム上面をトレースするマルチフィルム上面当接部202を有するセンサーアーム201を有する。マルチフィルム上面当接部202はローラからなる。
【0029】
球根植付ホルダー上下移動制御手段(図示せず)は、移動フレーム11とセンサーアーム201との回動部203の回動角の変化により検出した角度信号を、球根植付ホルダー上下移動制御手段に伝達して、球根植付ホルダー4の上下移動の位置制御をマルチフィルム上面を基準に制御する。
【0030】
球根植え付け畝MFを被覆しているマルチフィルムに孔を開ける孔開け装置8は、移動フレーム11の下部と4本の連結杆86によって取り付けられており、図23に示すようにベースプレート84上に畝に4条に植え付けられる条列数、通常は4つの孔開け部87を走行装置2の幅方向に並設して設けられている。各孔開け部87は連動ロッド85により作動は連動されている。ベースプレート84は、移動レーム11の植付ホルダーフレーム111の下部に取り付けられ上下動することで孔開け装置8は作動するとともに、植付ホルダーフレーム111の下降によりベースプレート84が畝上面を押圧することによる畝上面との摩擦力によって、移動フレーム11は走行装置2とともに前進走行する走行フレーム10の水平ガイドレール100を相対的に後方へ移動する。
【0031】
それぞれの孔開け部87は、植え付け予定位置の中心から周辺方向へ移動しつつマルチフィルム上面を破る複数の爪80、この実施例では4本の棒状の爪80と、爪80を作動させる爪作動アーム81と、爪作動アーム81の作動ピン83と長円孔によって係合し爪作動アーム81を時間差的に作動させ得るように連結するリンク状の爪作動リンク82と、爪作動リンク82を回動させる連結リンク88とを設けている。
【0032】
次にこの発明の実施形態であり、走行装置2に備え付けられたニンニク等の球根植え付け装置1の作動について説明する。
【0033】
作業者は、走行装置2の作業者座席22に通常2人が座り、右側の作業者が走行装置2の運転操作部21を操作して操縦する。運転操作部21の操作によってエンジンが始動され変速機を介してクローラ走行部20を回転させ、走行装置2を走行させる。走行装置2は、畝MFを跨ぐように畝間にクローラ走行部20を走らせる。
【0034】
ニンニク等の球根植え付け装置1は、図8において球根載置プレート3の装填部31には球根Gが載置されており、球根装填手段5のプッシュロッド50は、装填部31の上方に位置し、球根植付ホルダー4の球根保持部40は、装填部31の下方に位置している。作業者が2人の場合は、それぞれ作業用シート22の前の球根載置プレート3を二つずつ受け持って球根Gを、装填部31にV字状部311と半円弧状部310に合わせ芽が出る先端側Aを下にして挿入する。このとき球根載置プレート3の回転は停止されている。
【0035】
次に、球根装填手段5のプッシュロッド駆動部54が作動し、プッシュロッド駆動部54が昇降部52を昇降棒53に沿って下降させ、昇降部52に取り付けられているプッシュロッド50も下降する。そしてプッシュロッド50が装填部31に載置されていた球根Gを下方に位置する球根植付ホルダー4の球根保持部40まで押し出し装填する(図9)。
【0036】
プッシュロッド50は、球根植付ホルダー4の球根保持部40に球根Gを装填する位置まで下降後、直ぐにプッシュロッド駆動部54が昇降部52を昇降棒53に沿って上昇させプッシュロッド50を元の位置に停止させる(図10)。この間、球根載置プレート3の回転は停止されているため、この間に作業者は球根Gを装填部31に供給する。
【0037】
プッシュロッド50が装填部31から上方に位置すると、球根載置プレート3の円形板状体が、45度角回転し、球根Gを載置した次の装填部31をプッシュロッド50の下方位置に位置させる。この球根載置プレート3の円形板状体の回転とともに、ホルダー上下反転手段6のシリンダーロッド61bが伸長し始め、シリンダーロッド61bの先端に取り付られているラック62が前方へ移動しピニオン63を水平回動軸60を中心に回動させる(図19図20)。
【0038】
このピニオンの回動により植付ホルダー4が取り付けられている回動枠64が、水平回動軸60を中心に回動し始め球根植付ホルダー4が押出シャフト90とともに上下反転し始める。そして、球根植付ホルダー4は180度上下反転して球根保持部40は下方を向いた状態になるため、球根Gの先端部Aは上方を向く(図20)。
【0039】
また、ホルダー上下反転手段6のシリンダーロッド61bの伸長による水平回動軸60の回動は、ホルダー前後移動手段65の回動アーム65dを180度回動させることにより、移動フレーム11を走行フレーム10に対して前方へ移動させる(図11図12)。この作動は、回動アーム65dの180度回動によりリンクプレート65eを介してフックピン65cと水平回動軸60との間隔を狭めるが、フックピン65cがガイドプレート65aの係合凹部65bに係合されており、ガイドプレート65aが走行フレーム10に固定されているため、移動フレーム11の前後移動体112が走行フレーム10の水平ガイドレール100を摺動して移動フレーム11が走行フレーム10に対して前方へ移動させる。
【0040】
次に図13に示すようにマルチフィルム上面位置検出手段200のローラーからなるマルチフィルム上面当接部202がマルチフィルム上面をトレースすることで、マルチフィルム上面とクローラ走行部20が走行する畝間面との高さ相違が生じた場合でも、マルチフィルム上面を基準として移動フレーム11とセンサーアーム201の回動部203の角度が変化し、その角度変化に対応して、球根植付ホルダー上下移動制御手段(図示せず)が作動し、ホルダー上下移動手段7の上下用シリンダー70を作動させシリンダーロッド70bを伸長させるとともにその下降距離を調整する。
【0041】
ホルダー上下移動手段7の上下用シリンダー70の作動により昇降枠72が下降し、昇降枠72に固定されている植付ホルダーフレーム111が下降し、孔開け装置8が下降してマルチフィルム上面、又は地面に接する。同時に植付ホルダーフレーム111の下降により、植付ホルダーフレーム111とともに下降するホルダー前後移動手段65のフックピン65cが、走行フレーム10に固定されているガイドプレートの65aの係合凹部65bから外れる。このフックピン65cと係合凹部65bが外れることにより移動フレーム11は、走行フレーム10に対して前後移動可能状態となる。
【0042】
ホルダー上下移動手段7の上下用シリンダー70による昇降枠72の下降に同調して、孔開け装置8が作動して球根植え付け畝Mを被覆しているマルチフィルムに球根植え付け用の孔を開ける。孔開け装置8の各孔開け部87は、4本の棒状の爪80を植え付け予定位置の中心へ突き刺した後、中心から周辺方向へ移動しつつマルチフィルム上面を破る。
【0043】
次に球根植え付け手段9の押出シリンダー91が作動し、押出しシャフト90を球根植付ホルダー4の外周保持部41の中心位置を基部から先端部方向へ下降させる。押出しシャフト90は、球根植付ホルダー4の球根保持部40に装填された球根Gを球根保持部40、外周保持部41から押し出して植え付け位置の土中へ押し入れて一定の深さに植え付ける(図14参照)。
【0044】
球根植え付け手段9の押出しシャフト90の下降及び上昇作動をしている時間は、走行フレーム10は走行装置2の走行速度で前進するが、移動フレーム11の植付ホルダーフレーム111は、孔開け装置8の接地摩擦によりその場所に停止し、走行フレーム10の水平ガイドレール100に沿って相対的に後方へ移動する。
【0045】
押出シャフト90は、一定の深さまで下降して土中に球根Gを植え付けた後、上昇し土中から出る(図15)と、再びホルダー上下反転手段6が作動して球根植付ホルダー4は180度上下反転して球根保持部40は上方を向いた状態になると同時にホルダー前後移動手段65も作動し、ホルダー前後移動手段65の回動アーム65dの180度の回動によりフックピン65cが前方に移動し、同時にホルダー上下移動手段7の上下用シリンダーロッド70bを縮短させ昇降枠72を上昇させフックピン65cをフックピン当接ガイド65fに沿って上昇させて係合凹部65bに係合させる。これによって移動フレーム11は走行フレーム10に前後方向に連動された状態になる(図16)。
【0046】
この状態は、図8と同じ状態であり、この作動を一つの植え付けサイクルとして、走行装置2の走行とともに順次ニンニクを植え付けていく。
【産業上の利用可能性】
【0047】
この発明は、ニンニク等の球根類の植え付け作業に使用されるニンニク等の球根植付け機に利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0048】
1 球根植え付け装置
10 走行フレーム
100 水平ガイドレール
11 移動フレーム
110 上下ガイドレール
111 植付ホルダーフレーム
112 前後移動体
2 走行装置
20 クローラ走行部
21 運転操作部
22 作業者用シート
200 マルチフィルム上面位置検出手段
201 センサーアーム
202 マルチフィルム上面当接部
203 回動部
3 球根載置プレート
31 装填部
310 半円弧状部
311 V字状部
312 スリット
313 下端縁部
32 回転駆動部
33 回転軸
34 貯留部
35 モータ
36 駆動ギヤ
4 球根植付ホルダー
40 球根保持部
41 外周保持部
5 球根装填手段
50 プッシュロッド
51 支持部
52 昇降部
53 昇降棒
54 プッシュロッド駆動部
6 ホルダー上下反転手段
60 水平回動軸
61 シリンダー
61a シリンダー本体
61b シリンダーロッド
62 ラック
63 ピニオン
64 回動枠
65 ホルダー前後移動手段
65a ガイドプレート
65b 係合凹部
65c フックピン
65d 回動アーム
65e リンクプレート
65f フックピン当接ガイド
7 ホルダー上下移動手段
70 上下用シリンダー
70a シリンダー本体
70b シリンダーロッド
71 支持枠
72 昇降枠
8 孔開け装置
80 爪
81 爪作動アーム
82 爪作動リンク
83 爪作動ピン
84 ベースプレート
85 連動ロット
86 連結杆
87 孔開け部
88 連結リンク
9 球根植え付け手段
90 押出シャフト
91 押出シリンダー
92 連結リンク
93 回動連結部
G ニンニク等の球根
MF 畝
図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
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図10
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図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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