特開2017-209227(P2017-209227A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-209227(P2017-209227A)
(43)【公開日】2017年11月30日
(54)【発明の名称】磁石式壁掛けフック
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20171102BHJP
【FI】
   A47G29/00 C
   A47G29/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-103242(P2016-103242)
(22)【出願日】2016年5月24日
(71)【出願人】
【識別番号】509099464
【氏名又は名称】株式会社マグエバー
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】澤渡 紀子
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA02
3K100AE01
3K100AF03
3K100AG03
3K100AJ02
(57)【要約】
【課題】 強力な吸引力に抗して、壁面から容易に離反できるような磁石式壁掛けフックを提供すること。
【解決手段】 磁性体を有して構成される壁面に吸着できる永久磁石取り付け部をフック基台部に内蔵し、該壁面と離隔する側に物体を懸垂するフック部を有するフック基台部と、前記フック基台部に内蔵する前記永久磁石取り付け部が懸垂方向に略直行する方向に回転する構造とを備える。フックを備えたフック基台の裏面に取付ける永久磁石を回転可能とすることにより、フック基台を横に滑らすことにより簡単に取り外すことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体を有して構成される壁面に吸着できる永久磁石取り付け部をフック基台部に内蔵し、該壁面と離隔する側に物体を懸垂するフック部を有するフック基台部と、
前記フック基台部に内蔵する前記永久磁石取り付け部が懸垂方向に略直行する方向に回転する構造と
を備えることを特徴とする磁石式壁掛けフック。
【請求項2】
請求項1記載の磁石式壁掛けフックにおいて、前記永久磁石取り付け部の前記壁面接触面が摩擦抵抗の大なる素材にて被覆されていることを特徴とする磁石式壁掛けフック。
【請求項3】
請求項1もしくは2記載の磁石式壁掛けフックにおいて、前記永久磁石取り付け部の一端が、該永久磁石取り付け部の回転軸中心から前記壁面に下ろした垂線と略一致することを特徴とする磁石式壁掛けフック。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の磁石式壁掛けフックにおいて、前記永久磁石取り付け部の回転軸中心から前記壁面に下ろした垂線が永久磁石取り付け部のほぼ中心線となることを特徴とする磁石式壁掛けフック。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の磁石式壁掛けフックにおいて、前記フック基台部の軸受け部が軸位置移動可能なる構造であることを特徴とする磁石式壁掛けフック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁石式壁掛けフックに係り、たとえば裏面に強力永久磁石が封入され、磁気吸引力を用いて鋼板等の磁性体壁面に取り付ける壁掛けフックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磁性体の壁面にフックを取り付ける場合、硬い壁面に取り付け穴を開けたり、ネジタップを付けたりしなければならず、一般ユーザが取り付け工事をするのは非常に難しいものがあった。
【0003】
また、一旦取付けをした後、位置を移動するには再度取り付け工事をしなければならず、移動した後は取り付け穴がそのまま残ってしまうという欠点が存在した。
【0004】
そこで、磁性体の壁面に永久磁石で磁気吸引保持され、該永久磁石或いは永久磁石を収容するケースに付したフックに衣類や小物を懸吊する壁掛けフックが用いられている。これに関しては、たとえば特許文献1、特許文献2の如く、フックを磁性体壁面にいかに堅固に固定し、より耐荷重性能を向上させるかについての技術的思想が開示されている例が多い。
【0005】
一方、最近は永久磁石の研究が進み、ネオジウム磁石のように、非常に強力な磁力を有する永久磁石が開発されてきている。このような強力磁石を上記の壁掛けフックに用いた場合、フックの懸架荷重力は向上するが、磁性体壁面に堅固に吸着しすぎてなかなか脱着できない場合を生じ、無理にずらして磁性体壁面の表面を傷めるといった弊害を生ずることも有る。
【0006】
また、上記強力永久磁石を用いたフックを壁面から脱着する方法として梃子を用いる方法もあるが、フックの外に梃子やレバーを突出させるため、フックに懸架する物の邪魔になったり、フックのデザインに影響を及ぼしてしまったりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平6−26655号公報
【特許文献2】特開2007−303666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願は上述したこれまでの問題点を解決することを企図したものである。すなわち、鋼板等の磁性体壁面に取り付ける、裏面に強力永久磁石を封入し、磁気吸引力を用いて取り付ける壁掛けフックについては、近年、ネオジウム磁石のような非常に強力な永久磁石が入手できるようになり、壁面への吸引力を増しているところ、本願はこうした強力な吸引力に抗して、壁面から容易に離反できるような磁石式壁掛けフックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するために、本発明に係る磁石式壁掛け磁石フックにおいては、フック基台の裏面に取付けられた回転可能な永久磁石を備えることにより、利用者はフック基台を横に滑らすことにより該フックを簡単に取り外すことができる。
【0010】
また、上記永久磁石の回転軸を若干移動できるようにすることにより、更に簡単にフックを取り外すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の磁石式壁掛けフックを用いることにより、フックの懸架荷重力を保ちつつ、利用者は単にフックを横に滑らすだけで容易に脱着することができ、磁性体壁面の表面を傷つけることもなく、フックのデザインを損なうこともない。
【0012】
もちろん、永久磁石が壁面に接する面にシリコンゴムの様な摩擦抵抗の大なる薄膜を介することにより、壁面を傷つけることなくフックを取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る回転磁石フック実施例を示す概略図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る回転磁石フック構成品の概略図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る回転磁石フック構成品の概略図である。
図2C】本発明の一実施形態に係る回転磁石フック構成品の概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係る回転磁石フックの離反過程を示す概略図である。
図4A】本発明の別の実施形態に係る回転磁石フック構成品の概略図である。
図4B】本発明の別の実施形態に係る回転磁石フック構成品の概略図である。
図4C】本発明の別の実施形態に係る回転磁石フック構成品の概略図である。
図5】本発明の別の実施形態に係る回転磁石フックの離反過程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0015】
図1は本発明の一実施形態に係る磁石式壁掛けフック1の外観外略図であり、(a)は正面図、(b)は裏面図である。磁石式壁掛けフック1はフックが取り付けられたフック基台2とフック基台2中に回転軸4−1の周りに回転可能状態で取り付けられた回転磁石部4を備えて構成されている。フック基台2の正面には、磁石式壁掛けフック1の離反方向を示すマーク5が付されている。
【0016】
図2Aは、図1の磁石式壁掛けフック1(以後、「壁掛けフック」と省略する。)の構成品であるフック基台2及び回転磁石部4の構造を示す概略図である。図2Bはフック基台2のみの概略図であり、内部には後述の回転磁石部4を収容する空間2−2がある。また該空間2−2の上下面には回転磁石部4の回転軸4−1を支持するための軸受け凹部2−1がある。
【0017】
図2Cは、回転磁石部4の構造を示す概略図である。回転磁石部4は断面が略直角三角形の角錐形で、該直角三角形の直角を挟むこのうちの一辺を積分した一面には永久磁石4−2が取付けられている。永久磁石4−2が取り付けられた面を挟む頂角部分を積分して形成される立体の上下には回転軸4−1が設けられており、この回転軸4−1が図2Bのフック基台2の軸受け凹部2−1に嵌合して図2Aの如く壁掛けフック1が構成される。
【0018】
図2Aの壁掛けフック1は永久磁石4−2の磁気吸引力によって鋼板のような磁性体に吸着し、フック基台2に取り付けられたフック部3に荷物を掛けることができる。そのため、回転磁石部4の構造はフック懸架荷重方向に長いことが望ましい。また、フック懸架荷重を増すために、永久磁石4−2の磁性体壁6への吸着面はシリコン樹脂のような摩擦抵抗の大きい材質で被膜しておくことが望ましい。
【0019】
図3は、上記で説明した壁掛けフック1の磁性体壁6からの離反過程を説明するための断面図である。同図中、(a)は壁掛けフック1が磁性体壁6に吸着している状態の断面図である。回転磁石部4は、永久磁石4−2によって磁性体壁6に吸着し、回転磁石部4と一体化する壁掛けフック1のフック部3に荷物が掛けられる状態となっている。
【0020】
上記の状態から、フック基台2を図3の矢印方向(図2A〜Cでは右側)に滑らしていくと、回転磁石部4は回転軸4−1から磁性体壁6までの長さの梃として働き、永久磁石4−2を離反させ図3(b)の如く壁掛けフック1を磁性体壁6から容易に離反させることができる。図3からわかるように、壁掛けフック1を左右対称形に製作すれば逆方向に滑らすことにより離反することができる壁掛けフックとなる。
【0021】
上記、図1〜3によって説明してきた本発明の磁石式壁掛けフック1は定められた一方向に滑らすことにより容易に離反することができる例であるが、以下左右どちらに滑らしても容易に離反することができる応用例について説明する。
【0022】
図4Aは、本発明の応用例として、別の態様に係る磁石式壁掛けフック10である、左右どちらに滑らしても容易に離反することができる場合の構造を示す概略図である。図4Bに示すフック基台20の外形は図2A〜Cのフック基台とほぼ同外形であるが、後述のように形状の異なる回転磁石部40を収容する空間20−2の形状及び軸受け凹部20−1の形状が図2のフック基台とは異なる。
【0023】
すなわち、回転磁石部40が左右に回転するためのスペースであるため、空間20−2の断面形は軸受凹部20−1から磁性体壁6におろした垂線に対称的な空間形状となる。また、フック基台20の軸受凹部20−1は、後述するように回転磁石部20の軸が回転に従って磁性体壁6に対して移動するため移動量に適合して図5のごとく略楕円形となる。
【0024】
図4Cに示す回転磁石部40は断面が略二等辺三角形の角錐形で、該二等辺三角形底面には永久磁石40−2が取付けられている。上記二等辺三角垂形状の回転磁石部40の頂角の上下には回転軸40−1が設けられている。
【0025】
図5は、上記で説明した壁掛けフック10の磁性体壁6からの離反過程を説明する断面図である。(a)は、壁掛けフック10が磁性体壁6に吸着している状態の断面図である。回転磁石部40は、永久磁石40−2によって磁性体壁6に吸着し、回転磁石部40と一体化する壁掛けフック10のフック部30に荷物が掛けられる状態となっている。
【0026】
上記の状態から、フック基台20を図5の矢印方向(図5では右側)に滑らしていくと、回転磁石部40は回転軸40−1から回転磁石部40の右下端までの長さの梃として働き、永久磁石40−1を離反させ、同図中(b)の如く壁掛けフック10を磁性体壁6から容易に離反させることができる。この時、回転磁石部40の軸40−1は上方に押し上げられ、フック基台20の軸受け凹部20−1の上部へ移動する。
【0027】
図5においては壁掛けフック10を図5の右方向に滑らして離反させる場合の動作について説明したが、図5の左方向に滑らして離反させる場合は図5の対称形であるので詳細説明は省略する。いずれにしろ、本発明に係る磁石式壁掛けフックは、実際の応用場面に従っていろいろな変形が考えられる。
【0028】
本願に係る発明は上述した実施形態に限定されることなく、同一の技術思想の範囲内で種々の変更、拡大、置換、削除等を許容するものであり、それらすべては本願発明の技術思想としての範囲に含まれるものである。たとえば上記においては、フック取付け部に埋め込まれた永久磁石を開示したが、本願を適用するにあたってはこれに限定されるものではなく、たとえば電磁石を含む磁石一般であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
上述したように、本願に係る磁石式壁掛けフックによれば、強磁力によって磁性体壁に吸着している壁掛けフックを単に横に滑らしただけで容易に離反させることができる。本発明の磁石式の磁性体壁吸着方法を用いれば、磁性体壁に磁力吸着させる、壁掛け黒板やカレンダー、日程表、時計等得を容易に離反させることができる。
【0030】
このような特性は、オフィスのレイアウト変更や家庭での部屋の模様替え等に大変役に立つとともに、永久磁石の吸引力を用いて組み立てを行う建築やインテリアへの広い利用拡大が期待できる。
【符号の説明】
【0031】
1、10…磁石式壁掛けフック、2、20…フック基台、2−1…軸受け凹部、2−2…空間、3、30…フック部、4、40…回転磁石部、4−1…回転軸、4−2…永久磁石、5…マーク、6…磁性体壁
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5