【解決手段】 洗浄槽及び/又はすすぎ槽である内部空間と、上記内部空間に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、上記洗浄液供給機構から上記内部空間に供給された上記洗浄液を回収する回収機構と、上記回収機構により回収された上記洗浄液を上記内部空間に循環させる循環機構と、上記内部空間にすすぎ水を供給するすすぎ水供給機構とを備える自動洗浄機であって、さらに、上記洗浄液及び/又は上記すすぎ水に直径が100μm以下の微細気泡を付与する微細気泡付与機構を備えることを特徴とする自動洗浄機。
洗浄槽及び/又はすすぎ槽である内部空間と、前記内部空間に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、前記洗浄液供給機構から前記内部空間に供給された前記洗浄液を回収する回収機構と、前記回収機構により回収された前記洗浄液を前記内部空間に循環させる循環機構と、前記内部空間にすすぎ水を供給するすすぎ水供給機構と、前記洗浄液及び/又は前記すすぎ水に直径が100μm以下の微細気泡を付与する微細気泡付与機構を備える自動洗浄機を用いた洗浄対象物の洗浄方法であって、
前記内部空間に前記洗浄対象物を投入する投入工程と、
前記微細気泡付与機構により、前記洗浄液及び/又は前記すすぎ水に直径が100μm以下の微細気泡を付与する微細気泡付与工程と
前記微細気泡が付与された前記洗浄液及び/又は前記すすぎ水を前記内部空間に供給し、前記洗浄対象物を洗浄及び/又はすすぐ、洗浄及び/又はすすぎ工程と
を含むことを特徴とする洗浄方法。
前記第1微細気泡付与工程では、前記洗浄液供給機構が前記洗浄液を前記内部空間に供給する際に、前記第1微細気泡付与機構により前記洗浄液に前記微細気泡を付与する請求項10に記載の洗浄方法。
前記第1微細気泡付与工程では、前記循環機構が前記洗浄液を循環させる際に、前記第1微細気泡付与機構により前記洗浄液に前記微細気泡を付与する請求項10又は11に記載の洗浄方法。
前記洗浄液中の前記洗浄剤組成物の濃度が0.01〜0.50重量%となるように前記洗浄液に前記洗浄剤組成物を供給する洗浄剤組成物供給工程を含む請求項9〜15のいずれかに記載の洗浄方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような自動洗浄機では、通常、洗浄力を向上させるため洗浄液に洗浄剤組成物が供給される。
洗浄対象物を洗浄後の洗浄液は、廃液として環境中に排出されることになる。廃液に含まれる洗浄剤組成物は、環境汚染の原因となることがあるので、排出される洗浄剤組成物の量はできるだけ少ないことが望ましい。排出される洗浄剤組成物の量を減らすには、使用する洗浄剤組成物の量を減らすことが考えられるが、そうすると、洗浄対象物を充分に洗浄できなくなるという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、環境中に排出される洗浄剤組成物の量を少なくすることができ、かつ、洗浄対象物を充分に洗浄することができる自動洗浄機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の自動洗浄機は、洗浄槽及び/又はすすぎ槽である内部空間と、上記内部空間に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、上記洗浄液供給機構から上記内部空間に供給された上記洗浄液を回収する回収機構と、上記回収機構により回収された上記洗浄液を上記内部空間に循環させる循環機構と、上記内部空間にすすぎ水を供給するすすぎ水供給機構とを備える自動洗浄機であって、さらに、上記洗浄液及び/又は上記すすぎ水に直径が100μm以下の微細気泡を付与する微細気泡付与機構を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の自動洗浄機は微細気泡付与機構を備え、微細気泡付与機構は、洗浄液及び/又はすすぎ水に直径が100μm以下の微細気泡を付与する。
洗浄液及び/又はすすぎ水がこのような微細気泡を含むと、洗浄力が向上し、洗浄対象物を好適に洗浄することができる。
洗浄液が微細気泡を含むことにより洗浄力が向上する原理は、以下のように考えられる。
すなわち、微細気泡が食器の汚れに接触したり、汚れと食器との間に浸透すると、汚れが食器から解離されやすくなる。さらに、微細気泡が食器や汚れに接触すると、微細気泡が破泡することがある。微細気泡の破泡が生じると物理的圧力が生じ、汚れが食器から解離されやすくなる。
また、すすぎ水が微細気泡を含むことにより洗浄力が向上する原理は、以下のように考えられる。
すなわち、すすぎ水に付与された微細気泡は、洗浄対象物から解離した汚れや、洗浄液中の洗浄剤組成物に吸着し、汚れや洗浄剤組成物が、再度、洗浄対象物に付着することを抑制することができる。さらに、微細気泡の破泡に生じる物理的圧力により、汚れや洗浄剤組成物が洗浄対象物から解離されやすくなる。
【0008】
本発明の自動洗浄機は、上記洗浄液供給機構から上記内部空間に供給された洗浄液を回収する回収機構と、上記回収機構により回収された洗浄液を上記内部空間に循環させる循環機構とを備える。
回収機構及び循環機構により洗浄に用いられた洗浄液が回収及び循環されると、洗浄液を再利用することができる。そのため、廃液の量を少なくすることができる。
【0009】
本発明の自動洗浄機では、上記微細気泡付与機構は、上記洗浄液に上記微細気泡を付与する第1微細気泡付与機構を含むことが望ましい。
【0010】
また、本発明の自動洗浄機では、上記第1微細気泡付与機構は、上記洗浄液供給機構が上記洗浄液を上記内部空間に供給する際に、上記洗浄液に上記微細気泡を付与することが望ましい。
このように第1微細気泡付与機構が、洗浄液に微細気泡を付与することにより、最初から微細気泡を含む洗浄液を内部空間に供給することができる。
【0011】
本発明の自動洗浄機では、上記第1微細気泡付与機構は、上記循環機構が上記洗浄液を循環させる際に、上記洗浄液に微細気泡を付与することが望ましい。
洗浄液が洗浄に用いられると、洗浄液中の微細気泡が徐々に揮発することになる。つまり、洗浄液を再利用すると、再利用する度に洗浄液中の微細気泡が少なくなる。
しかし、洗浄液を循環させる際に、洗浄液に微細気泡を付与すると、洗浄液を再利用する場合でも、洗浄液中の微細気泡の割合を充分に保つことができる。
【0012】
本発明の自動洗浄機では、上記第1微細気泡付与機構は、上記洗浄液に上記微細気泡が10
4〜10
10個/mLの割合で含まれるように、上記洗浄液に上記微細気泡を付与することが望ましい。
洗浄液中の微細気泡の割合が10
4個/mL未満であると、洗浄液中の微細気泡の数が少なく、充分な洗浄力を得られにくい。
洗浄液中の微細気泡の割合が10
10個/mLを超えると、洗浄力の向上が上限に近づき経済的でない。
【0013】
本発明の自動洗浄機では、上記微細気泡付与機構は、上記すすぎ水に上記微細気泡を付与する第2微細気泡付与機構を含むことが望ましい。
また、上記第2微細気泡付与機構は、上記すすぎ水に上記微細気泡が10
4〜10
10個/mLの割合で含まれるように上記すすぎ水に上記微細気泡を付与することが望ましい。
すすぎ水中の微細気泡の割合が10
4個/mL未満であると、すすぎ水中の微細気泡の数が少なく、汚れや洗浄剤組成物が洗浄対象物に残留しやすくなる。
すすぎ水中の微細気泡の割合が10
10個/mLを超えると、洗浄力の向上が上限に近づき経済的でない。
【0014】
本発明の自動洗浄機は、食器洗浄用、容器洗浄用又は部品洗浄用であることが望ましい。
本発明の自動洗浄機を用いることにより、食器、容器又は部品に付着した汚れを好適に洗浄することができる。
【0015】
本発明の洗浄方法は、洗浄槽及び/又はすすぎ槽である内部空間と、上記内部空間に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、上記洗浄液供給機構から上記内部空間に供給された上記洗浄液を回収する回収機構と、上記回収機構により回収された上記洗浄液を上記内部空間に循環させる循環機構と、上記内部空間にすすぎ水を供給するすすぎ水供給機構と、上記洗浄液及び/又は上記すすぎ水に直径が100μm以下の微細気泡を付与する微細気泡付与機構を備える自動洗浄機を用いた洗浄対象物の洗浄方法であって、上記内部空間に上記洗浄対象物を投入する投入工程と、上記微細気泡付与機構により、上記洗浄液及び/又は上記すすぎ水に直径が100μm以下の上記微細気泡を付与する微細気泡付与工程と、上記微細気泡が付与された上記洗浄液及び/又は上記すすぎ水を上記内部空間に供給し、上記洗浄対象物を洗浄及び/又はすすぐ、洗浄及び/又はすすぎ工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の洗浄方法では、洗浄液及び/又はすすぎ水に直径が100μm以下の微細気泡を付与し、微細気泡を含む上記洗浄液及び/又はすすぎ水を上記内部空間に供給して、洗浄対象物を洗浄及び/又はすすぐ。
洗浄液及び/又はすすぎ水がこのような微細気泡を含むと、洗浄力が向上し、洗浄対象物を好適に洗浄する及び/又はすすぐことができる。
洗浄液及び/又はすすぎ水が微細気泡を含むことにより洗浄力が向上する原理は、既に述べた通りであるので、ここでの記載は省略する。
【0017】
本発明の洗浄方法では、上記微細気泡付与機構は、第1微細気泡付与機構を含み、上記微細気泡付与工程は、上記第1微細気泡付与機構により上記洗浄液に上記微細気泡を付与する第1微細気泡付与工程を含んでいてもよい。
また、上記第1微細気泡付与工程では、上記洗浄液供給機構が上記洗浄液を上記内部空間に供給する際に、上記第1微細気泡付与機構により上記洗浄液に上記微細気泡を付与してもよく、上記循環機構が上記洗浄液を循環させる際に、上記第1微細気泡付与機構により上記洗浄液に上記微細気泡を付与してもよい。
【0018】
本発明の洗浄方法において、上記第1微細気泡付与工程では、上記洗浄液に上記微細気泡が10
4〜10
10個/mLの割合で含まれるように、上記洗浄液に上記微細気泡を付与することが望ましい。
洗浄液中の微細気泡の割合が10
4個/mL未満であると、洗浄液中の微細気泡の数が少なく、充分な洗浄力を得られにくい。
洗浄液中の微細気泡の割合が10
10個/mLを超えると、洗浄力の向上が上限に近づき経済的でない。
【0019】
本発明の洗浄方法では、上記微細気泡付与機構は、第2微細気泡付与機構を含み、上記微細気泡付与工程は、上記第2微細気泡付与機構により上記すすぎ水に上記微細気泡を付与する第2微細気泡付与工程を含んでいてもよい。
【0020】
本発明の洗浄方法において、上記第2微細気泡付与工程では、上記すすぎ水に上記微細気泡が10
4〜10
10個/mLの割合で含まれるように、上記すすぎ水に上記微細気泡を付与することが望ましい。
すすぎ水中の微細気泡の割合が10
4個/mL未満であると、すすぎ水中の微細気泡の数が少なく、充分な洗浄力を得られにくい。
すすぎ水中の微細気泡の割合が10
10個/mLを超えると、洗浄力の向上が上限に近づき経済的でない。
【0021】
本発明の洗浄方法では、上記洗浄液中の上記洗浄剤組成物の濃度が0.01〜0.50重量%となるように上記洗浄液に上記洗浄剤組成物を供給する洗浄剤組成物供給工程を含むことが望ましい。
本発明の洗浄方法により洗浄対象物を洗浄する際には、微細気泡が付与された洗浄液が用いられる。そのため、洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度が0.01〜0.50重量%であったとしても充分に洗浄対象物を洗浄することができる。
洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度が0.01重量%未満であると、洗浄力が充分になりにくくなる。
洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度が0.50重量%を超えると、環境に排出される洗浄剤組成物の量が多くなり、環境汚染につながりやすくなる。
なお、本明細書において、「洗浄剤組成物」とは、洗浄液中の水以外の洗浄成分のことを意味する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の自動洗浄機では、微細気泡付与機構は、洗浄液及び/又はすすぎ水に直径が100μm以下の微細気泡を付与する。また、この微細気泡が付与された洗浄液及び/又はすすぎ水を用いて、洗浄対象物が洗浄される。洗浄液及び/又はすすぎ水がこのような微細気泡を含むと、洗浄力が向上し、洗浄対象物を好適に洗浄することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の自動洗浄機及びその使用方法について詳しく説明する。
本発明の自動洗浄機は、洗浄槽及び/又はすすぎ槽である内部空間と、上記内部空間に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、上記洗浄液供給機構から上記内部空間に供給された上記洗浄液を回収する回収機構と、上記回収機構により回収された上記洗浄液を上記内部空間に循環させる循環機構と、上記内部空間にすすぎ水を供給するすすぎ水供給機構とを備える自動洗浄機であって、さらに、上記洗浄液及び/又は上記すすぎ水に直径が100μm以下の微細気泡を付与する微細気泡付与機構を備えることを特徴とする。
【0025】
本発明の自動洗浄機は微細気泡付与機構を備え、微細気泡付与機構は、洗浄液及び/又はすすぎ水に直径が100μm以下の微細気泡を付与する。また、付与する微細気泡の直径は、10μm以下であることがより望ましく、0.01〜1μmであることがさらに望ましい。
洗浄液及び/又はすすぎ水がこのような微細気泡を含むと、洗浄力が向上し、洗浄対象物を好適に洗浄することができる。
洗浄液が微細気泡を含むことにより洗浄力が向上する原理は、以下のように考えられる。
すなわち、微細気泡が食器の汚れに接触したり、汚れと食器との間に浸透すると、汚れが食器から解離されやすくなる。さらに、微細気泡が食器や汚れに接触すると、微細気泡が破泡することがある。微細気泡の破泡が生じると物理的圧力が生じ、汚れが食器から解離されやすくなる。
また、すすぎ水が微細気泡を含むことにより洗浄力が向上する原理は、以下のように考えられる。
すなわち、すすぎ水に付与された微細気泡は、洗浄対象物から解離した汚れや、洗浄液中の洗浄剤組成物に吸着し、汚れや洗浄剤組成物が、再度、洗浄対象物に付着することを抑制することができる。さらに、微細気泡の破泡に生じる物理的圧力により、汚れや洗浄剤組成物が洗浄対象物から解離されやすくなる。
【0026】
なお、本明細書において、「微細気泡の直径」は、動的光散乱法で測定された微細気泡の直径の平均値のことを意味する。
【0027】
本発明の自動洗浄機は、上記洗浄液供給機構から上記内部空間に供給された洗浄液を回収する回収機構と、上記回収機構により回収された洗浄液を上記洗浄液供給機構に循環させる循環機構とを備える。
回収機構及び循環機構により洗浄に用いられた洗浄液が回収及び循環されると、洗浄液を再利用することができる。そのため、廃液の量を少なくすることができる。
【0028】
このような本発明の自動洗浄機を用いた洗浄方法は、上記内部空間に洗浄対象物を投入する投入工程と、上記微細気泡付与機構により、洗浄液及び/又はすすぎ水に直径が100μm以下の微細気泡を付与する微細気泡付与工程とを含むことを特徴とする。
【0029】
本発明の自動洗浄機は、上記機構さえ備えれば他にどのような機構を備えていてもよい。
その他の機構としては、上記洗浄液に洗浄剤組成物を供給する洗浄剤組成物供給機構が挙げられる。
自動洗浄機が洗浄剤組成物供給機構を備えていない場合は、洗浄液を別途準備し、準備した洗浄液を自動洗浄機に適用する必要がある。
しかし、本発明の自動洗浄機が、洗浄剤組成物供給機構を備える場合には、外部から水を取り込むだけで、自動洗浄機内で洗浄液を作製することができる。そのため、洗浄液を別途準備する工程を省略することができる。
【0030】
本発明の自動洗浄機が、洗浄剤組成物供給機構を備える場合、洗浄剤組成物供給機構は、洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度が0.01〜0.50重量%になるように、洗浄液に洗浄剤組成物を供給することが望ましい。
本発明の自動洗浄機により洗浄対象物を洗浄する際には、微細気泡が付与された洗浄液が用いられる。そのため、洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度が0.01〜0.50重量%であったとしても充分に洗浄対象物を洗浄することができる。
洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度が0.01重量%未満であると、洗浄力が充分になりにくくなる。
洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度が0.50重量%を超えると、環境に排出される洗浄剤組成物の量が多くなり、環境汚染につながりやすくなる。
【0031】
以下に、本発明の自動洗浄機の一例である実施形態について図面を用いながら説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る自動洗浄機の内部構造を模式的に示す模式図である。
図1(b)は、
図1(a)に示す自動洗浄機の使用時における、自動洗浄機の内部の状態を模式的に示す模式図である。
【0033】
図1(a)に示す、自動洗浄機1は、ドアタイプの食器洗浄用自動洗浄機である。
図1(a)に示すように自動洗浄機1は、洗浄槽及びすすぎ槽である内部空間10と、内部空間10に洗浄液又はすすぎ水が供給される際に供給口となる上ノズル71aと下ノズル71bと、上ノズル71a及び下ノズル71bに洗浄液又はすすぎ水を供給する配管70と、内部空間10から洗浄液及びすすぎ水を回収する回収機構80を備える。
また、自動洗浄機1は、洗浄液タンク31と、洗浄液タンク31に水を供給する給水口21と、洗浄液タンク31に洗浄剤組成物を供給する洗浄剤組成物供給機構40と、洗浄液タンク31から配管70に洗浄液を供給する第1ポンプ51と、洗浄液が第1ポンプ51から配管70に供給される際に洗浄液に微細気泡を付与する第1微細気泡付与機構61とを備えている。
また、自動洗浄機1は、すすぎ水タンク32と、すすぎ水タンク32に水を供給する給水口22と、すすぎ水タンク32から配管70にすすぎ水を供給する第2ポンプ52と、すすぎ水が第2ポンプ52から配管70に供給される際にすすぎ水に微細気泡を付与する第2微細気泡付与機構62を備えている。
また、回収機構80は循環用配管80aと排水口80bとに枝分かれしており、切り替え弁81により洗浄液が流れる方向を制御できる。また、循環用配管80aは、第1ポンプ51に洗浄液を供給することができる。
【0034】
図1(b)に示すように、自動洗浄機1を使用する場合には、まず、内部空間10に洗浄対象物である食器2が載置される。
次に、洗浄液タンク31に給水口21及び洗浄剤組成物供給機構40から、それぞれ、水及び洗浄剤組成物が供給され、洗浄液が作製される。
その後、第1ポンプ51により洗浄液が配管70に供給される。この際、第1微細気泡付与機構61により洗浄液に微細気泡が付与される。
微細気泡が付与された洗浄液は、配管70を通じ、上ノズル71a及び下ノズル71bに供給され、上ノズル71a及び下ノズル71bから内部空間10に洗浄液が噴射される。
これにより、食器2が洗浄される。
その後、洗浄液は、回収機構80により回収され、循環用配管80aを通じて第1ポンプ51に再度供給され、洗浄液は内部空間10に循環される。
食器2の洗浄後、洗浄液は、回収機構80に回収され、排水口80bから排水されることになる。
【0035】
自動洗浄機1を用いることにより、上記のように食器2を洗浄することができる。
自動洗浄機1では、第1ポンプ51は、洗浄液タンク31から洗浄液を内部空間10に供給することができ、さらに、回収機構80により回収された洗浄液を内部空間10に循環させることもできる。
つまり、自動洗浄機1では、第1ポンプ51が、洗浄液供給機構の機能及び循環機構の機能を有している。
【0036】
自動洗浄機1において、内部空間10に供給される洗浄液の温度は、特に限定されないが、洗浄液は50〜65℃であることが望ましい。
洗浄液が上記温度であると、油汚れ等を好適に落とすことができる。
【0037】
自動洗浄機1において、洗浄剤組成物供給機構40が供給する洗浄剤組成物の洗浄液中の濃度は、特に限定されないが、0.01〜0.50重量%になるように、洗浄剤組成物供給機構40は、洗浄剤組成物を洗浄液タンク31に供給することが望ましく、0.05〜0.30重量%になるように供給することがより望ましく、0.05〜0.20重量%になるように供給することがさらに望ましい。
後述するように、自動洗浄機1により食器を洗浄する際には、微細気泡が付与された洗浄液が用いられる。そのため、洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度が0.01〜0.50重量%であったとしても充分に食器を洗浄することができる。
洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度が0.01重量%未満であると、洗浄力が充分になりにくくなる。
洗浄液中の洗浄剤組成物の濃度が0.50重量%を超えると、環境に排出される洗浄剤組成物の量が多くなり、環境汚染につながりやすくなる。
【0038】
自動洗浄機1において、洗浄剤組成物供給機構40が供給する洗浄剤組成物の形状は、特に限定されず、液体洗浄剤組成物であってもよく、固形洗浄剤組成物であってもよい。
【0039】
自動洗浄機1において、洗浄剤組成物供給機構40が供給する洗浄剤組成物が液体洗浄剤組成物である場合、該液体洗浄剤組成物にあらかじめ微細気泡を付与してもよい。液体洗浄剤組成物が微細気泡を含む場合は、直径が100μm以下の微細気泡が含まれていることが望ましく、0.01〜1μmの微細気泡が含まれていることがより望ましい。
液体洗浄剤組成物に微細気泡が含まれていると、洗浄液中の微細気泡の割合を増やすことができる。そのため、洗浄力をより向上させることができる。
【0040】
自動洗浄機1において、洗浄剤組成物供給機構40が供給する洗浄剤組成物は、特に限定されず、通常の自動洗浄機用洗浄剤組成物を用いてもよい。また、自動洗浄機用洗浄剤組成物の成分には、界面活性剤、酸剤、アルカリ剤、漂白剤、酵素、金属腐蝕防止剤、高分子分散剤、除菌剤等が含まれていてもよい。
【0041】
自動洗浄機1では、洗浄剤組成物供給機構40が洗浄剤組成物を洗浄液に供給する時期は、洗浄液が最初に内部空間10に供給される前である。
このような時期に洗浄剤組成物を供給することにより、洗浄剤組成物が食器に触れる時間が長くなるため、効率よく食器を洗浄することができる。
【0042】
自動洗浄機1において、上ノズル71a及び下ノズル72bが、内部空間10に洗浄液を供給する方法は、特に限定されないが、噴射や噴霧等の方法により供給してもよい。
【0043】
自動洗浄機1において、回収機構80は、どのような手段で洗浄液を回収してもよく、例えば、吸引機構により能動的に洗浄液を回収する機構であってもよく、自然に下に溜まる洗浄液を回収する機構であってもよい。
また、洗浄液を、循環用配管80aを通じて第1ポンプ51に供給するか、排水口80bを通じて排水するかは、切り替え弁81を設けることにより制御することができる。
弁の切り替え時期は、洗浄時間等により決定することができる。
【0044】
図1(a)に示すように、第1微細気泡付与機構61は、第1ポンプ51から配管70に洗浄液が供給される際に、洗浄液に微細気泡を付与することができる。
つまり、内部空間10に最初に洗浄液を供給する途中、及び、洗浄液を内部空間10に循環させる途中の両方の時期において、洗浄液に微細機構を付与することができる。
また、洗浄液が洗浄に用いられると、洗浄液中の微細気泡が徐々に揮発することになる。そのため、洗浄液が循環すると、洗浄液中の微細気泡が少なくなり、洗浄力が徐々に低下することになる。
しかし、洗浄液を循環させる際に、洗浄液に微細気泡を付与すると、洗浄液を再利用する場合でも、洗浄液中の微細気泡の割合を充分に保つことができる。
【0045】
自動洗浄機1において、第1微細気泡付与機構61が付与する微細気泡の洗浄液中の割合は、特に限定されないが、第1微細気泡付与機構61は、洗浄液に微細気泡が10
4〜10
10個/mLの割合で含まれるように、洗浄液に微細気泡を付与することが望ましく、10
7〜10
9個/mLの割合で含まれるように付与することがより望ましい。
洗浄液中の微細気泡の割合が10
4個/mL未満であると、洗浄液中の微細気泡の数が少なく、充分な洗浄力を得られにくい。
洗浄液中の微細気泡の割合が10
10個/mLを超えると、洗浄力の向上が上限に近づき経済的でない。
【0046】
なお、本明細書において、「微細気泡の含有割合」は、動的光散乱法で測定された割合のことを意味する。
【0047】
自動洗浄機1において、第1微細気泡付与機構61が付与する微細気泡を形成する気体は、特に限定されないが、例えば、空気、酸素、二酸化炭素、アルゴン、オゾン、窒素、空気等があげられる。これらの中では、空気が望ましい。微細気泡が空気からなる場合には、外気を取り込むことにより容易に微細気泡を作製することができる。
【0048】
自動洗浄機1では、上記のように食器2を洗浄した後、食器2をすすぐこともできる。
食器2がすすがれる際には、まず、すすぎ水タンク32に給水口22から水が供給され、すすぎ水が貯められる。
その後、第2ポンプ52によりすすぎ水が配管70に供給される。つまり、第2ポンプ52は、すすぎ水供給機構である。
【0049】
またこの際、第2微細気泡付与機構62によりすすぎ水に微細気泡が付与される。
第2微細気泡付与機構が付与する微細気泡の直径は、100μm以下であることが望ましく、10μm以下であることがより望ましく、0.01〜1μmであることがさらに望ましい。
【0050】
また、第2微細気泡付与機構が付与する微細気泡のすすぎ水中の割合は、特に限定されないが、すすぎ水に微細気泡が10
4〜10
10個/mLの割合で含まれるように、すすぎ水に微細気泡を付与することが望ましく、10
7〜10
9個/mLの割合で含まれるように付与することがより望ましい。
すすぎ水中の微細気泡の割合が10
4個/mL未満であると、すすぎ水中の微細気泡の数が少なく、汚れや洗浄剤組成物が洗浄対象物に残留しやすくなる。
すすぎ水中の微細気泡の割合が10
10個/mLを超えると、洗浄力の向上が上限に近づき経済的でない。
【0051】
微細気泡が付与されたすすぎ水は、配管70を通じ、上ノズル71a及び下ノズル71bに供給され、上ノズル71a及び下ノズル71bから内部空間10にすすぎ水が噴射される。
これにより食器2は、微細気泡が付与されたすすぎ水によりすすがれる。そのため、食器に汚れや洗浄液が残留しにくくなる。
この効果の原理は、以下のように考えられる。
すなわち、すすぎ水に付与された微細気泡は、洗浄対象物から解離した汚れや、洗浄液中の洗浄剤組成物に吸着し、汚れや洗浄剤組成物が、再度、洗浄対象物に付着することを抑制することができる。さらに、微細気泡の破泡に生じる物理的圧力により、汚れや洗浄剤組成物が洗浄対象物から解離されやすくなる。
【0052】
なお、すすぎ水にはリンス剤を供給してもよい。
リンス剤としては、特に限定されないが、例えば、低級アルキレンオキサイドポリマーがあげられる。
【0053】
その後、すすぎ水は、回収機構80により回収され、排水口80bから排水されることになる。
【0054】
(その他の実施形態)
本発明の第1実施形態に係る自動洗浄機1では、第1ポンプ51が洗浄液を内部空間10に供給する際に、第1微細気泡付与機構61が洗浄液に微細気泡を付与していた。しかし、本発明の自動洗浄機では、微細気泡が付与された洗浄液が洗浄対象物と接触さえすれば、微細気泡を付与する時期は特に限定されない。
洗浄液に微細気泡を付与する時期は、最初に洗浄液が内部空間に供給される前であることが望ましく、例えば、洗浄液タンク31中の洗浄液に、微細気泡付与機構が微細気泡を付与してもよい。
【0055】
本発明の第1実施形態に係る自動洗浄機1では、第2ポンプ52がすすぎ水を内部空間10に供給する際に、第2微細気泡付与機構62がすすぎ水に微細気泡を付与していた。しかし、本発明の自動洗浄機では、微細気泡が付与されたすすぎ水が洗浄対象物と接触さえすれば、微細気泡を付与する時期は特に限定されない。
すすぎ水に微細気泡を付与する時期は、最初にすすぎ水が内部空間に供給される前であることが望ましく、例えば、すすぎ水タンク32中のすすぎ水に、微細気泡付与機構が微細気泡を付与してもよい。
【0056】
本発明の第1実施形態に係る自動洗浄機1では、第1ポンプ51及び第2ポンプ52が分かれていたが、本発明の自動洗浄機では、1つのポンプが洗浄液供給機構及びすすぎ水供給機構の機能を備えていてもよい。
【0057】
本発明の第1実施形態に係る自動洗浄機1では、第1微細気泡付与機構61及び第2微細気泡付与機構62が分かれていたが、本発明の自動洗浄機では、1つの微細気泡付与機構がこれらの機能を備えていてもよい。
【0058】
本発明の第1実施形態に係る自動洗浄機1では、洗浄液が循環用配管80aから第1ポンプ51に供給されていたが、本発明の自動洗浄機では、循環用配管は、第1ポンプとは別の循環用ポンプに洗浄液を供給してもよい。
この場合、第1ポンプが、洗浄液供給機構となり、循環用ポンプが循環機構となる。
【0059】
本発明の第1実施形態に係る自動洗浄機1では、内部空間10に、微細気泡が付与された洗浄液及び微細気泡が付与されたすすぎ水の両方を供給することができたが、本発明の自動洗浄機は、微細気泡が付与された洗浄液及び微細気泡が付与されたすすぎ水のいずれか一方のみを供給する自動洗浄機であってもよい。
すなわち、本発明の自動洗浄機は、第1微細気泡付与機構及び第2微細気泡付与機構のいずれか一方のみを備える自動洗浄機であってもよい。
【0060】
本発明の第1実施形態に係る自動洗浄機は、ドアタイプの食器洗浄用自動洗浄機であったが、本発明の自動洗浄機は、コンベアタイプの自動食器洗浄機であってもよい。
【0061】
本発明の自動洗浄機では、内部空間は、食器を洗浄するための洗浄槽と、食器をすすぐためのすすぎ槽に分かれていてもよい。特にコンベアタイプの自動食器洗浄機である場合、内部空間が、食器を洗浄するための洗浄槽と、食器をすすぐためのすすぎ槽に分かれていると、効率よく食器を洗浄することができる。
【0062】
また、本発明の自動洗浄機は、食器以外の洗浄対象物を洗浄する自動洗浄機であってもよい。食器以外の洗浄対象物としては、例えば、調理器具、工具、実験器具、野菜、果物等があげられる。