【解決手段】組立式家具100は、段ボール材で構成されたそれぞれ2つずつの外周スリーブ体101、格子体102および天板104を備えている。外周スリーブ体101は、平面視で方形の筒状に形成されている。格子体102は、板状の複数の組板103を格子状に組んで構成されて外周スリーブ体101内に収容されている。天板104は、格子体102を覆う平面視で方形の板状に形成されている。外周スリーブ体101と格子体102との間には壁体105が挿し込まれている。壁体105は、天板104上に起立する段ボール製の板状体で構成されている。2つの外周スリーブ体101は、互いに隣接配置されて連結体106によって連結されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、単純な構成で組み立ておよび解体の各作業が簡単にできる組立式家具を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の特徴は、複数の板状体が縦横方向に互いに挿し込み合って格子状に組まれた格子体と、格子体の側面外周部を覆う筒状に形成された外周スリーブ体と、外周スリーブ体内に収容された格子体上に配置される平板状の天板とを備えることにある。
【0007】
このように構成した発明の特徴によれば、組立式家具は、格子体を筒状の外周スリーブ体内に収容した状態でこの格子体上に天板を配置して構成されているため、構成部品を単純な形状で部品点数を少なくすることができ、組立作業および解体作業を簡単にすることができる。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、前記組立式家具において、外周スリーブ体は、屈曲可能な板状体で構成されているにある。
【0009】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、組立式家具は、外周スリーブ体が屈曲可能な板状体で構成されているため保管時には折り畳むことによって省スペースで保管することができる。この場合、外周スリーブ体を構成する材料としては、紙材(例えば、段ボール材やボール紙など)または樹脂材を用いることができる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、前記組立式家具において、さらに、格子体と外周スリーブ体との間に挿し込まれる板状に形成されて天板の縁上に起立する壁体を備えることにある。
【0011】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、組立式家具は、格子体と外周スリーブ体との間に挿し込まれて天板の縁上に起立する壁体を備えているため、この壁体を目隠しとして用いることができ避難所などの共同生活場所でのプライベート空間を確保することができる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、組立式家具において、さらに、互いに隣接配置した2つの外周スリーブ体における一方の外周スリーブ体と格子体との間に挿し込まれる板状の第1挿し込み部と、他方の外周スリーブ体と格子体との間に挿し込まれる板状の第2挿し込み部とが一体的に形成された板状の連結体を備えることにある。
【0013】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、組立式家具において、互いに隣接配置した2つの外周スリーブ体にそれぞれ挿し込まれる第1挿し込み部および第2挿し込み部をそれぞれ有した連結体を備えているため、互いに隣接配置された2つの外周スリーブ体を一体化して使用中2つの外周スリーブ体が互いに離隔することが防止され、安定的に使用することができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記組立式家具において、天板は、外縁部分に格子体と外周スリーブ体との間に挿し込まれる板状に形成された挿し込み部を備えることにある。
【0015】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、組立式家具は、天板における外縁部分に格子体と外周スリーブ体との間に挿し込まれる板状の挿し込み部を備えているため、天板を単に格子体上に載せた場合に比べて天板の位置ずれや脱落を防止することができ、安定的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る組立式家具の外観構成の概略を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す組立式家具を構成する外周スリーブ体、格子体および天板の外観構成の概略を示す分解斜視図である。
【
図3】
図1に示す組立式家具を構成する外周スリーブ体を折り畳んだ状態の外観構成の概略を示す斜視図である。
【
図4】
図2に示す格子体を構成する組板の外観構成の概略を示す斜視図である。
【
図5】
図2に示す格子体を折り畳んだ状態の外観構成の概略を示す斜視図である。
【
図6】
図1に示す組立式家具を構成する壁体の外観構成の概略を示す斜視図である。
【
図7】
図1に示す組立式家具を構成する連結体の外観構成の概略を示す斜視図である。
【
図8】
図1に示す組立式家具を組み立てる工程において外周スリーブ体内に格子体を収容した状態を示す斜視図である。
【
図9】
図1に示す組立式家具を組み立てる工程において外周スリーブ体内に収容された格子体上に天板を配置した状態を示す斜視図である。
【
図10】
図1に示す組立式家具を組み立てる工程において格子体が収容された外周スリーブ体内に1つ目の壁体を挿し込んだ状態を示す斜視図である。
【
図11】
図1に示す組立式家具を組み立てる工程において格子体が収容された外周スリーブ体内に2つ目の壁体を挿し込んだ状態を示す斜視図である。
【
図12】
図1に示す組立式家具を組み立てる工程において格子体が収容された外周スリーブ体内に2つ目の壁体を挿し込んだ状態を示す斜視図である。
【
図13】
図1に示す組立式家具の天板上に敷物を敷いて使用する状態を示した斜視図である。
【
図14】本発明の変形例に係る組立式家具の外観構成の概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(組立式家具100の構成)
以下、本発明に係る組立式家具の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る組立式家具100の全体構成の概略を模式的に示す斜視図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各図面間および各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この組立式家具100は、災害が発生した場合に避難施設でベッドまたは腰掛けとして用いられるものである。
【0018】
この組立式家具100は、2つの外周スリーブ体101を備えている。各外周スリーブ体101は、格子体102、天板104、壁体105および連結体106をそれぞれ保持するための部品であり、筒状に形成されている。より具体的には、外周スリーブ体101は、
図2に示すように、格子体102の側面外周部を覆う平面視で正方形状の筒状に形成されている。この場合、外周スリーブ体101は、本実施形態においては、段ボール材で構成されている。すなわち、外周スリーブ体101は、屈曲可能な板状体で形成されており、
図3に示すように、人手によって折り畳むこともできる。本実施形態においては、外周スリーブ体101は、縦が約860mm、横が約860mm、高さが約400mmの方形筒状に形成されている。
【0019】
格子体102は、天板104上に載置される人の重量を支持するための部品であり、複数の組板103を縦横方向に組んだ格子状に形成されている。複数の組板103は、
図4に示すように、格子体102を構成する部品であり、帯状に延びる段ボール製の板状体に複数のスリット103aが形成されて構成されている。この場合、各組板103は、長辺方向に直交する短辺方向の長さ、すなわち、組板103の高さは前記外周スリーブ体101の高さと同じ長さに形成されている。
【0020】
スリット103aは、複数の組板103を互いに直交する方向に挿し込み合うための溝状の切欠き部分であり、組板103の厚さより若干広い溝幅で形成されている。このスリット103aは、組板103の長辺方向に所定の間隔を介して短辺方向に延びて形成されている。
【0021】
本実施形態においては、格子体102は、1つの組板103に対して5つのスリット103aが形成された10個の組板103を互いに直交する方向に挿し込み合って格子状に組まれて構成されている。これにより、格子体102は、各組板103が互いに直交配置された格子状の状態と、
図5に示すように、格子状の格子体102を対角方向に押し潰して各組板103を重ね合わせた折り畳み状態とにそれぞれ相互に変形させることができる。なお、
図5は、各組板103を重ね合わせて折り畳んだ格子体102を寝かせた状態で示している。
【0022】
天板104は、
図2に示すように、格子体102の上面を覆って使用者Uが載る部分であり、段ボール材を平板状に形成して構成されている。より具体的には、天板104は、前記外周スリーブ体101の平面視における方形の開口形状と同じ形状でかつ同開口形状よりより一回り小さい大きさで形成されている。この天板104には、外周部に挿し込み部104aが形成されている。なお、
図1においては、仰臥した姿勢の使用者Uを二点鎖線で示している。
【0023】
挿し込み部104aは、外周スリーブ体101と格子体102との間に挿し込まれて天板104の位置ずれを防止するための部分であり、天板104の4辺の外周部がそれぞれ折り曲げられて構成されている。なお、天板104は、格子体102の上面における少なくとも一部を覆う形状に形成されていれば、必ずしも外周スリーブ体101の開口形状に対応する形状に形成する必要はない。
【0024】
壁体105は、
図6に示すように、天板104の上方空間の一部を仕切るための部品であり、垂直方向に延びる段ボール製の板状体で構成されている。より具体的には、壁体105は、外周スリーブ体101と格子体102との間に挿し込まれて天板104の上方に延びる高さの板状体に形成されている。この場合、壁体105の高さは、天板104上に寝るまたは座る人の高さ以上の高さに形成される。本実施形態においては、壁体105は、約1200mmの高さに形成される。
【0025】
この壁体105は、第1壁部105aおよび第2壁部105bを備えている。第1壁部105aは、外周スリーブ体101の開口部の1辺に対応する長さの板状部分である。また、第2壁部105bは、第1壁部105aに対して屈曲して延びる板状部分であり、第1壁部105aよりも短い長さに形成されている。これにより、壁体105は、第1壁部105aと第2壁部105bとによって屈曲部105cが形成されて剛性が向上している。そして、この壁体105は、2つの外周スリーブ体101において各外周スリーブ体101ごとにそれぞれ互いに直交する2辺にそれぞれ設けられる。
【0026】
連結体106は、
図7に示すように、2つの外周スリーブ体101を互いに連結するための部品であり、垂直方向に延びる段ボール製の板状体で構成されている。より具体的には、連結体106は、互いに隣接する2つの外周スリーブ体101のうちの一方の外周スリーブ体101と格子体102との間に挿し込まれる第1挿し込み部106aと、他方の外周スリーブ体101と格子体102との間に挿し込まれる第2挿し込み部106bとを備えて構成されている。
【0027】
この場合、第1挿し込み部106aおよび第2挿し込み部106bは、下部側がスリット106cを介して互いに隣接して形成されるとともに、上部側が互いに繋がって形成されている。スリット106cは、互いに隣接配置された2つの外周スリーブ体101における互いに対向配置された2つの側壁を挿し込むための切欠き部分であり、前記2つの側壁の厚さよりも若干広い溝幅で同2つの側壁の高さよりも若干深い深さで形成されている。この連結体106は、本実施形態においては、横幅が約530mm、高さが1200mm(壁体105と同じ高さ)に形成されている。
【0028】
(組立式家具100の作動)
次に、上記のように構成した組立式家具100の作動について説明する。まず、組立式家具100を保管または運搬する場合について説明する。この組立式家具100は、使用しない場合においては、外周スリーブ体101、格子体102、天板104、壁体105および連結体106をそれぞれ互いに分離した状態で保管または運搬することができる。
【0029】
この場合、外周スリーブ体101および格子体102は平たく折り畳んで保管または運搬することができる(
図3,
図5参照)。また、格子体102は、組板103を分離した状態で個別に保管または運搬することもできる。また、天板104、壁体105および連結体106は、適宜折り曲げて保管または運搬することができる。
【0030】
次に、組立式家具100を使用する場合について説明する。まず、使用者Uは、2つの外周スリーブ体101、2つの格子体102、2つの天板104、4つの壁体105および1つの連結体106をそれぞれ用意する。次に、使用者Uは、2つの外周スリーブ体101をそれぞれ開いて平面視で方形筒状に形成するとともに、2つの格子体102をそれぞれ開いて平面視で方形の格子状に形成する。
【0031】
次に、使用者Uは、
図8に示すように、2つの外周スリーブ体101内にそれぞれ1つずつ格子体102をそれぞれ挿入する。次に、使用者Uは、
図9に示すように、外周スリーブ体101内に収容された格子体102上に天板104を載置して天板104における4つの挿し込み部104aを外周スリーブ体101と格子体102との間にそれぞれ挿し込む。これにより、天板104は、外周スリーブ体101および格子体102に対して固定される。
【0032】
次に、使用者Uは、
図10および
図11にそれぞれ示すように、2つの外周スリーブ体101を互いに隣接配置した後、一方の外周スリーブ体101に2つの壁体105をそれぞれ取り付ける。具体的には、使用者Uは、外周スリーブ体101における互いに直交する2辺にそれぞれ壁体105を配置して外周スリーブ体101と格子体102との間に壁体105の下部を挿し込む。この場合、使用者Uは、2つの壁体105間において一方の壁体105における第2壁部105bを他方の壁体105の第1壁部105aに重ねるように配置する。これにより、外周スリーブ体101の1つの角部上に2つの壁体105の各屈曲部105cが配置される。
【0033】
次に、使用者Uは、
図12に示すように、互いに隣接する2つの外周スリーブ体101間に連結体106を取り付ける。具体的には、使用者Uは、互いに隣接する2つの外周スリーブ体101の各外周スリーブ体101と格子体102との間に第1挿し込み部106aおよび第2挿し込み部106bをそれぞれ挿し込む。すなわち、連結体106は、2つの外周スリーブ体101間に跨った状態で取り付けられる。これにより、2つの外周スリーブ体101は、連結体106が取り付けられた部分で連結される。
【0034】
次に、使用者Uは、2つの外周スリーブ体101における他方の外周スリーブ体101に前記と同様にして2つの壁体105をそれぞれ取り付ける。これにより、使用者Uは、
図1に示すように、組立式家具100を完成させて使用することができる。具体的には、使用者Uは、天板104上に寝たり座ったりして使用することができる。
【0035】
また、使用者Uは、
図13に示すように、天板104上に敷物110を敷いて使用してもよい。この場合、敷物110は、気泡緩衝材、発泡樹脂シート、敷布、敷布団またはアルミニウムシートなどで構成することができる。
【0036】
一方、使用者Uは、組立式家具100の使用を終了する場合には、組立式家具100を解体する。具体的には、使用者Uは、外周スリーブ体101、格子体102、天板104、壁体105および連結体106をそれぞれ互いに分離して個別に保管または運搬することができる。
【0037】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、組立式家具100は、格子体102を筒状の外周スリーブ体101体内に収容した状態でこの格子体102上に天板104を配置して構成されているため、構成部品を単純な形状で部品点数を少なくすることができ、組立作業および解体作業を簡単にすることができる。
【0038】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下で説明する各変形例においては、上記実施形態と同様の構成部分に同じ符号を付して説明は適宜省略する。
【0039】
例えば、上記実施形態においては、組立式家具100は、2つの正方形状の外周スリーブ体101を備えて構成した。しかし、組立式家具100は、1つまたは3つ以上の外周スリーブ体101で構成することができる。また、外周スリーブ体101は、平面視で正方形以外の形状、例えば、平面視で長方形、三角形または六角形などの多角形状、円形または楕円形に形成することができる。この場合、外周スリーブ体101の大きさも組立式家具100の仕様に応じて適宜決定されるものである。
【0040】
また、上記実施形態においては、格子体102は、10個の組板103によって平面視で方形に形成した。しかし、格子体102は、外周スリーブ体101内に収容される形状であって天板104上に載置される人または物の重さを支持することができる剛性を有していれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。したがって、格子体102は、少なくとも3つの組板103で構成することができる。
【0041】
また、上記実施形態においては、組立式家具100は、人手によって屈曲変形可能な段ボール材で構成した。しかし、組立式家具100は、段ボール材以外の材料、例えば、人手によって屈曲変形可能または不能な樹脂材および金属材をそれぞれ単独でまたはこれらを適宜組み合わせて構成することができる。
【0042】
また、上記実施形態においては、組立式家具100は、壁体105を備えて構成した。これにより、組立式家具100は、使用者Uのプライベート空間を確保することができる。しかい、組立式家具100は、壁体105が不要な場合、例えば、
図14に示すように、組立式家具100を腰掛けまたは物品Wを置いておく物置台として用いる場合には壁体105を省略して構成することができる。なお、
図14においては、使用者Uおよび物品Wを二点鎖線で示している。
【0043】
また、上記実施形態においては、壁体105は、第1壁部105aおよび第2壁部105bを備えて構成した。しかし、壁体105は、第1壁部105aおよび第2壁部105bのうちの一方で構成することができる。また、壁体105は、第1壁部105aおよび第2壁部105bの大きさおよび形状を互いに異ならせて構成してもよいし、両者を同じ大きさおよび形状に構成することもできる。
【0044】
また、上記実施形態においては、組立式家具100は、連結体106を備えて構成した。しかし、組立式家具100は、複数の外周スリーブ体101を連結する必要がない場合、または組立式家具100が1つの外周スリーブ体101で構成されているなどの場合には連結体106を省略して構成することができる。
【0045】
また、上記実施形態においては、天板104は、外縁部に挿し込み部104aを備えて構成した。しかし、天板104は、挿し込み部104aを省略して構成することにより格子体102上に単に載せるように構成することもきる。
【0046】
また、上記実施形態においては、組立式家具100は、ベッドとして構成した。しかし、組立式家具100は、ベッド以外の家具、例えば、ベンチ、椅子、テーブル、脚立または台として構成することができる。
【0047】
U…使用者、W…物品、
100…組立式家具、101…外周スリーブ体、102…格子体、103…組板、103a…スリット、104…天板、104a…挿し込み部、105…壁体、105a…第1壁部、105b…第2壁部、105c…屈曲部、106…連結体、106a…第1挿し込み部、106b…第2挿し込み部、106c…スリット、
110…敷物。